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特許7385602肺癌を治療するためのTLR7アゴニストおよびその医薬の組み合わせ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】肺癌を治療するためのTLR7アゴニストおよびその医薬の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20231115BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
A61K31/519
A61K31/4709
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 121
A61K9/20
A61K9/48
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020565840
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 CN2019088360
(87)【国際公開番号】W WO2019223788
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】201810560770.X
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シークウァン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,リン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,イン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ミンチャン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】シュ,ホンジヤン
【審査官】新留 素子
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-524037(JP,A)
【文献】WANG, Chenchen et al.,Oncotarget,2014年12月15日,Vol.6, No.3,p.1779-1789
【文献】HAN, Baohui et al.,British Journal of Cancer,2018年02月13日,Vol.118,p.654-661
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00 ~ 33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式で表される、2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩を含む、肺癌を治療するための医薬組成物。
【化1】
【請求項2】
前記医薬組成物は経口投与される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、0.0001mg/kg重量/日~20mg/kg重量/日である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩の治療有効量は、0.001mg/kg重量/日~10mg/kg重量/日である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物の投与頻度が1日1回または1日2回以上である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記肺癌は小細胞肺癌および非小細胞肺癌である、請求項1~のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
TLR7アゴニストとしての2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、アンロチニブまたはその薬学的に許容される塩との医薬の組み合わせ物を含む、肺癌を治療するための医薬組成物
【請求項8】
前記医薬の組み合わせは、固定の組み合わせまたは非固定の組み合わせから選ばれる、請求項に記載の医薬組成物
【請求項9】
前記固定の組み合わせ物は、固体医薬組成物の形態である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記非固定の組み合わせ物における、TLR7アゴニストとしての2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩、および、アンロチニブまたはその薬学的に許容される塩は、それぞれ、固体医薬組成物の形態である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記固体医薬組成物は、錠剤およびカプセルからなる群から選択される、請求項9または10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
0.0001mg/kg/日~20mg/kg/日の2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、
1mg/kg/日のアンロチニブ二塩酸塩と、
を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項13】
0.0001mg/kg/日~10mg/kg/日の2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、
1mg/kg/日のアンロチニブ二塩酸塩と、
を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項14】
0.0001mg/kg/日~20mg/kg/日の2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、
1日1回6mg、8mg、10mgまたは12mgの投与量のアンロチニブ二塩酸塩と、
を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項15】
0.001mg/kg/日~10mg/kg/日の2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、
1日1回6mg、8mg、10mgまたは12mgの投与量のアンロチニブ二塩酸塩と、
を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項16】
1週3回投与で投与量0.0001mg/kg/回~20mg/kg/回の2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、
11日間連続投与で投与量1mg/kg/日の投与量のアンロチニブ二塩酸塩と、
を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項17】
1週3回投与で投与量0.001mg/kg/回~10mg/kg/回の2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、
11日間連続投与で投与量1mg/kg/日の投与量のアンロチニブ二塩酸塩と、
を含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記肺癌は小細胞肺癌および非小細胞肺癌である、請求項7~17のいずれか1項に記載の医薬組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2018年05月25日に中華人民共和国国家知的所有権局に出願された出願番号が201810560770.Xである中国特許出願に基づく優先権および利益を主張し、当該出願の全内容を引用により本願に組み込む。
【0002】
本発明は、Toll様受容体7(Toll Like Receptor 7:TLR7)アゴニストおよびその医薬の組み合わせに関する。具体的には、本発明は、肺癌を治療するためのTLR7アゴニスト、肺癌の治療におけるTLR7アゴニストの使用、ならびにTLR7アゴニストとチロシンキナーゼ阻害剤との医薬の組み合わせ、および肺癌の治療における当該医薬の組み合わせの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
チロシンキナーゼは、タンパク質チロシン残基のリン酸化を触媒する酵素のグループであり、それらは細胞内におけるシグナル伝達に重要な役割を果たし、正常細胞の調節、シグナル伝達および発達(発育)に関与し、腫瘍細胞の増殖、分化、移動(遊走)およびアポトーシスと密接に関連している。多くの受容体型チロシンキナーゼは腫瘍の形成に関連しており、その細胞外ドメインの構造の違いにより、上皮成長因子受容体(EGFR)、血小板由来成長因子受容体(PDGFR)、血管内皮成長因子受容体(VEGFR)、線維芽細胞成長因子受容体(FGFR)などに分類することができる。
【0004】
Toll様受容体はさまざまな免疫細胞で発現されている。Toll様受容体は、微生物病原体によって発現される病原体関連微生物パターン(PAMP)または壊死細胞によって放出されるダメージ関連分子パターン(DAMP)という高度に保存された構造モチーフを認識している。相応する病原体関連微生物パターン(PAMP)またはダメージ関連分子パターン(DAMP)によりToll様受容体を刺激してシグナルカスケードを誘導し、AP-1、NF-κBおよびインターフェロン調節因子(インパルス応答関数)などの転写因子の活性化を引き起こす。このように、インターフェロン、炎症誘発性サイトカインおよびエフェクターサイトカインの産生を含む様々な細胞応答を誘導し、したがって免疫応答を引き起す。これまでに、13種のToll様受容体は哺乳類で発見されてきた。Toll様受容体1、2、4、5および6は主に細胞表面に発現し、Toll様受容体3、7、8および9はエンドソームに発現している。異なるToll様受容体は、異なる病原体に由来するリガンドを認識する。Toll様受容体7(TLR7)は、主に形質細胞様樹状細胞(pDC)で発現してリガンドを認識することによりインターフェロンα(IFN-α)の分泌を誘導する。いくつかのTLR7アゴニスト、例えば、イミキモド(Imiquimod)、レシキモド(resiquimod)、GS-9620などが報告されている。WO2016023511およびWO2017076346(それらの全内容はすべて参照により本明細書に組み込まれている)にも、良好な生物学的活性および選択性を示す新規なTLR7アゴニストを開示している。
【0005】
腫瘍におけるTLR7の役割がすでに研究されている。イミキモド(Imiquimod)は、外性器疣贅、光線性角化症、表在性基底細胞癌の治療のために米国FDAによって承認されたTLR7アゴニストである。イミキモドは体の免疫反応を促進することができ、放射線療法の有効性を高めるためのアジュバントとしても使用できる。ただし、TLR7アゴニストはすべての腫瘍に適しているわけではない。
【0006】
増殖性疾患(例えば、癌)に苦しむ患者には多くの治療選択肢があるが、臨床使用のためのより効果的な治療薬、特に複数の薬剤の組み合わせを使用することが依然として必要である。
【発明の概要】
【0007】
第1の態様によれば、本発明は、肺癌を治療するための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、あるいは肺癌を治療するための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
【0008】
その他の態様によれば、本発明は式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の、肺癌を治療するための医薬の製造における使用を提供する。さらに、本発明は、有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、それを必要とする個体に投与することを含む肺癌の治療方法を提供する。さらに、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の、肺癌を治療するための使用を提供する。
【0009】
第2の態様によれば、本発明はTLR7アゴニストおよびアンロチニブを含む医薬の組み合わせを提供する。
【0010】
その別の態様によれば、本発明は、肺癌を治療するための医薬の製造における前記医薬の組み合わせの使用を提供する。さらに、本発明は、有効量の本発明に係る医薬の組み合わせを、それを必要とする個体に投与することを含む、肺癌の治療方法を提供する。さらに、本発明は、肺癌を治療するための前記医薬の組み合わせを提供する。さらに、本発明は、肺癌を治療するための前記医薬の組み合わせの使用を提供する。前記医薬の組み合わせは、TLR7アゴニストおよびアンロチニブを含む。
〔発明の詳細な説明〕
【0011】
一態様によれば、本発明は、肺癌を治療するための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、あるいは肺癌を治療するための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供し、ここで、前記式Iの化合物は次の通りであり、またはそれらの薬学的に許容される塩である。
【化1】

[式I中、
およびLは、それぞれ独立して-O-、-CH-、-S-、-NH-、-NHC(=O)-、-C(=O)-、-C(=O)NH-、-S(=O)-、-S(=O)-、-NHS(=O)-、および-S(=O)NH-からなる群から選ばれ、ここで、前記-CH-、-NH-、-NHC(=O)-、-C(=O)NH-、-NHS(=O)-または-S(=O)NH-は1つ以上のRで任意に置換され、
は、水素、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロヒドロカルビル、3~10員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~10員のアリールおよび3~10員のヘテロアリールからなる群から選ばれ、ここで、前記C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロヒドロカルビル、3~10員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~10員のアリールおよび3~10員のヘテロアリールは1つ以上のRで任意に置換され、
は、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、スルファニル、アミノ、-COOH、-CONH、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロヒドロカルビル、3~10員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~10員のアリール、および3~10員のヘテロアリールからなる群から選ばれ、ここで、前記ヒドロキシル、スルファニル、アミノ、-COOH、-CONH、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロヒドロカルビル、3~10員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~10員のアリールおよび3~10員のヘテロアリールは1つ以上のRで任意に置換され、
Bは、C3-10シクロヒドロカルビル、3~10員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~10員のアリール、および3~10員のヘテロアリールからなる群から選ばれ、
は、結合、C0-6アルキレン、イミノ、-O-、-S-、-S(=O)-、および-S(=O)-からなる群から選ばれ、ここで、前記C0-6アルキレンおよびイミノは1つ以上のRで任意に置換され、
は、水素、アミノ、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロヒドロカルビル、3~10員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~10員のアリール、および3~10員のヘテロアリールからなる群から選ばれ、ここで、前記アミノ、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、C2-10アルキニル、C3-10シクロヒドロカルビル、3~10員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~10員のアリールおよび3~10員のヘテロアリールは1つ以上のRで任意に置換され、あるいは、
およびLは、B環上の隣接する原子とともに、飽和または不飽和の5~8員環を形成し、前記5~8員環は1つ以上のRで任意に置換され、
nは0、1、2、3、4、または5であり、
は、それぞれ独立してハロゲン、シアノ、-R、-OR、=O、-SR、-NR、=NR、-C(ハロゲン)、-CR(ハロゲン)、-CR(ハロゲン)、-OCN、-SCN、-N=C=O、-NCS、-NO、-NO、-NRC(=O)R、-NRC(=O)OR、-NRC(=O)NRR、-C(=O)NRR、-C(=O)OR、-OC(=O)NRR、-OC(=O)OR、-C(=O)R、-S(=O)OR、-S(=O)R、-OS(=O)OR、-S(=O)NRR、-S(=O)R、-NRS(=O)R、-NRS(=O)NRR、-NRS(=O)OR、-OP(=O)(OR)、-P(=O)(OR)、-C(=O)R、-C(=S)R、-C(=O)OR、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=S)SR、-C(=O)NRR、-C(=S)NRR、-C(=NR)NRR、および-NRC(=NR)NRRからなる群から選ばれ、各Rは、独立してH、C1-8アルキル、C3-8シクロヒドロカルビル、3~8員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~8員のアリール、3~8員のヘテロアリール、3~8員のアリールアルキル、および3~8員のヘテロアリールアルキルからなる群から選ばれ、且つ、
が-CH-または-NH-である場合、RはHではない。]。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩は、次の通りの構造を備えてもよい。
【0013】
式Iの化合物のいくつかの実施形態において、LおよびLは、それぞれ独立して-O-、-CH-、-S-、-NH-、-C(=O)-、-S(=O)-、および-S(=O)-からなる群から選ばれ、ここで、前記-CH-および-NH-は1つ以上のRで任意に置換される。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、LおよびLは、それぞれ独立して-O-、-CH-、-S-、および-NH-からなる群から選ばれ、ここで、前記-CH-および-NH-は1つ以上のRで任意に置換される。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、LおよびLは、それぞれ独立して-O-および-CH-からなる群から選ばれ、ここで、前記-CH-は1つ以上のRで任意に置換される。
【0014】
式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Rは、水素、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-6シクロヒドロカルビル、3~6員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~6員のアリール、および3~6員のヘテロアリールからなる群から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-6シクロヒドロカルビル、3~6員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~6員のアリール、および3~6員のヘテロアリールは1つ以上のRで任意に置換される。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Rは、C1-6アルキルからなる群から選ばれ、ここで、前記C1-6アルキルは1つ以上のRで任意に置換される。
【0015】
式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Rは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、スルファニル、アミノ、-COOH、-CONH、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-6シクロヒドロカルビル、3~6員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~6員のアリール、および3~6員のヘテロアリールからなる群から選ばれ、ここで、前記ヒドロキシル、スルファニル、アミノ、-COOH、-CONH、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-6シクロヒドロカルビル、3~6員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~6員のアリール、および3~6員のヘテロアリールは1つ以上のRで任意に置換される。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Rは、水素、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、アミノ、-CONH、およびC1-6アルキルからなる群から選ばれ、ここで、前記ヒドロキシル、アミノ、-CONHおよびC1-6アルキルは1つ以上のRで任意に置換される。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Rは、水素、シアノ、および-CONHからなる群から選ばれ、ここで、前記-CONHは1つ以上のRで任意に置換される。
【0016】
式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Bは、3~10員のアリールおよび3~10員のヘテロアリールからなる群から選ばれる。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Bは、5~7員のアリールおよび5~7員のヘテロアリールからなる群から選ばれる。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Bは、フェニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、チエニル、チアゾリル、フラニル、オキサゾリル、チアジアゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、およびトリアゾリルからなる群から選ばれる。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Bは、フェニル、ピリジニル、およびチアゾリルからなる群から選ばれる。
【0017】
式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Lは、結合およびC0-6アルキレンからなる群から選ばれ、ここで、前記C0-6アルキレンは1つ以上のRで任意に置換される。
【0018】
式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Rは、水素、アミノ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロヒドロカルビル、3~8員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~8員のアリール、および3~8員のヘテロアリールからなる群から選ばれ、ここで、前記アミノ、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、C2-6アルキニル、C3-8シクロヒドロカルビル、3~8員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~8員のアリール、および3~8員のヘテロアリールは1つ以上のRで任意に置換され、あるいは、RおよびLは、B環上の隣接する原子とともに、飽和または不飽和の5~8員環を形成し、前記5~8員環は1つ以上のRで任意に置換される。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Rは、水素、アミノ、C1-6アルキル、C3-8シクロヒドロカルビル、3~8員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~8員のアリール、および3~8員のヘテロアリールからなる群から選ばれ、ここで、前記アミノ、C1-6アルキル、C3-8シクロヒドロカルビル、3~8員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~8員のアリール、および3~8員のヘテロアリールは1つ以上のRで任意に置換され、あるいは、RおよびLは、B環上の隣接する原子とともに、飽和または不飽和の5~8員環を形成し、前記5~8員環は1つ以上のRで任意に置換される。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Rは、水素、アミノ、C1-6アルキル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、アゼチジニル、ジアゼパニル、および2オキサ-5-アザジシクロ[2.2.1]ヘプチルからなる群から選ばれ、ここで、前記アミノ、C1-6アルキル、ピペラジニル、モルホリニル、テトラヒドロピロリル、ピペリジニル、アゼチジニル、ジアゼパニルおよび2オキサ-5-アザジシクロ[2.2.1]ヘプチルは1つ以上のRで任意に置換され、あるいは、RおよびLは、B環上の隣接する原子とともに、飽和または不飽和の6員環を形成し、前記6員環は1つ以上のRで任意に置換される。
【0019】
式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン、シアノ、-R、-OR、=O、-SR、-NR、=NR、-C(ハロゲン)、-CR(ハロゲン)、-CR(ハロゲン)、-OCN、-SCN、-N=C=O、-NCS、-NO、-NO、-NRC(=O)R、-C(=O)NRR、-C(=O)OR、-OC(=O)NRR、-C(=O)R、-S(=O)OR、-S(=O)R、-OS(=O)OR、-S(=O)NRR、-S(=O)R、-NRS(=O)R、-C(=O)R、-C(=O)OR、および-C(=O)NRRからなる群から選ばれる。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン、シアノ、-R、-OR、=O、-NR、=NR、-C(ハロゲン)、-CR(ハロゲン)、および-CR(ハロゲン)からなる群から選ばれる。式Iの化合物のいくつかの実施形態において、Rは、ハロゲン、-R、-OR、および=Oからなる群から選ばれる。在上記の実施形態において、各Rは、独立してH、C1-8アルキル、C3-8シクロヒドロカルビル、3~8員のヘテロシクロヒドロカルビル、3~8員のアリール、3~8員のヘテロアリール、3~8員のアリールアルキル、および3~8員のヘテロアリールアルキルからなる群から選ばれる。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩は、以下の化合物またはその薬学的に許容される塩のうちの1種または複数種から選ばれる。
【0021】
2-ブトキシ-7-(3-((4-メチルピぺラジン-1-イル)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(3-(モルホリノメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
7-(3-(アミノメチル)ベンジル)-2-ブトキシ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(3-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4アミン、
2-ブトキシ-7-(4-((3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)メチル)ベンジル-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-((3-フルオロピロリジン-1-イル)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
1-(4-((4-アミノ-2-ブトキシ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)メチル)ベンジル)ピロリジン-3-オール、
2-ブトキシ-7-(4-(ピペリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-(モルホリノメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-((4-メチルピぺラジン-1-イル)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-((ジメチルアミノ)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-((ジエチルアミノ)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-((ジプロピルアミノ)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
7-(4-(アゼチジン-1-イルメチル)ベンジル)-2-ブトキシ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-((3-メトキシアゼチジン-1-イル)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-((4-メチル-1,4-ジアゼパム-1-イル)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-((2,6-ジメチルモルホリノ)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
7-(4-((1S,4S)-2オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イルメチル)ベンジル)-2-ブトキシ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-((4-メトキシピペリジン-1-イル)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-((4-イソプロピルピぺラジン-1-イル)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-((6-(ピロリジン-1-イルメチル)ピリジン-3-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(3-(2-(ピロリジン-1-イル)エチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-(1-(ピロリジン-1-イル)エチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-(1-メチルピペリジン-4-イル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-(4-(1-メチルピロリジン-2-イル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
1-(4-((4-アミノ-2-ブトキシ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)メチル)フェニル)-4-メチルピぺラジン-2-オン、
7-ベンジル-2-(2-メトキシエトキシ)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-(2-メトキシエトキシ)-7-((6-メチルピリジン-3-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
7-((5-クロロピリジン-2-イル)メチル)-2-(2-メトキシエトキシ)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-(2-メトキシエトキシ)-7-((6-(ピロリジン-1-イルメチル)ピリジン-3-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
1-(4-((4-アミノ-2-(2-メトキシエトキシ)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)メチル)フェニル)-4-メチルピぺラジン-2-オン、
2-ブトキシ-7-((5-(ピロリジン-1-イルメチル)ピリジン-2-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
4-アミノ-2-ブトキシ-7-((6-(ピロリジン-1-イルメチル)ピリジン-3-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボニトリル、
4-アミノ-2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボニトリル、
4-アミノ-2-ブトキシ-7-(4-(モルホリノメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボニトリル、
4-アミノ-2-ブトキシ-7-(4-((4-メチルピぺラジン-1-イル)メチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボニトリル、
4-アミノ-2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-6-カルボキサミド、
2-ブトキシ-7-((1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-((2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-((2-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-((2-イソプロピル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-((1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-((2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、
2-ブトキシ-7-((2-エチル-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン;または
2-ブトキシ-7-((2-(ピロリジン-1-イルメチル)チアゾール-5-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、前記式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩は、2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、または2-ブトキシ-7-((2-(ピロリジン-1-イルメチル)チアゾール-5-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、またはその薬学的に許容される塩である。本発明のいくつかの実施形態において、前記式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩は、2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩である。
【0023】
他の一態様によれば、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、あるいは式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の、肺癌を治療するための医薬の製造における使用を提供する。さらに、本発明は、有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩あるいは式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む肺癌の治療方法を提供する。さらに、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩あるいは式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の、肺癌を治療するための使用を提供する。本発明のいくつかの実施形態において、前記使用および方法では、前記式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩は、アンロチニブまたはその薬学的に許容される塩と共に医薬の組み合わせを形成することができる。
【0024】
第2の態様によれば、本発明は、TLR7アゴニストおよびアンロチニブを含む医薬の組み合わせを提供する。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明は、TLR7アゴニストと、1mg/kg/dのアンロチニブまたはその薬学的に許容される塩とを含む医薬の組み合わせを提供する。特に、前記医薬の組み合わせは、20mg/kgのTLR7アゴニストおよび1mg/kg/dのアンロチニブまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせにおけるTLR7アゴニストは、イミキモド(Imiquimod)、GSK-2245035、レシキモド(resiquimod)、vesatolimod(GS-9620)、telratolimod、TMX-202、DSP-0509、RG-7854、Loxoribine、および式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩からなる群から選ばれ、ここで、前記式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩は、前記したような構成を備え、または前記したような化合物のうちの1種または複数種から選ばれる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態において、前記医薬の組み合わせにおけるTLR7アゴニストは、1種または複数種のTLR7アゴニストであってもよい。本発明で使用される場合、用語「複数種」とは1種より多く、例えば2種、3種、4種、5種またはそれ以上の種であってもよい。例えば、本発明のいくつかの実施形態において、前記TLR7アゴニストは、GSK-2245035、vesatolimod、または2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、2-ブトキシ-7-((2-(ピロリジン-1-イルメチル)チアゾール-5-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、あるいはその薬学的に許容される塩のうちの一種または任意の複数種から選ばれる。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態において、前記医薬の組み合わせは固定の組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記固定の組み合わせは、固体医薬組成物の形態である。いくつかの実施形態において、前記固体医薬組成物は、錠剤およびカプセルからなる群から選ばれる。
本発明のいくつかの実施形態において、前記医薬の組み合わせは非固定の組み合わせである。いくつかの実施形態において、前記非固定の組み合わせにおけるTLR7アゴニストおよびアンロチニブは、それぞれ固体医薬組成物の形態である。いくつかの実施形態において、前記固体医薬組成物は、錠剤およびカプセルからなる群から選ばれる。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態において、前記医薬の組み合わせにおけるTLR7アゴニストは、GSK-2245035、vesatolimod、2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたは2-ブトキシ-7-((2-(ピロリジン-1-イルメチル)チアゾール-5-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、あるいはその薬学的に許容される塩からなる群から選ばれる。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態において、前記医薬の組み合わせは、2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンもしくは2-ブトキシ-7-((2-(ピロリジン-1-イルメチル)チアゾール-5-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、またはその薬学的に許容される塩と、アンロチニブまたはその薬学的に許容される塩とを含む。本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩とアンロチニブ二塩酸塩とを含む。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、0.0001mg/kg/d~20mg/kg/dの2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、またはその薬学的に許容される塩と1mg/kg/dのアンロチニブ二塩酸塩とを含む。本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、0.001mg/kg/d~10mg/kg/dの2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、1mg/kg/dのアンロチニブ二塩酸塩とを含む。本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、0.0001mg/kg/d~20mg/kg/dの2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、1日1回6mg、8mg、10mgまたは12mgの投与量のアンロチニブ二塩酸塩とを含む。本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、0.001mg/kg/d~10mg/kg/dの2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、1日1回6mg、8mg、10mgまたは12mgの投与量のアンロチニブ二塩酸塩とを含む。本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、20mg/kg/dの2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンと、1mg/kg/dのアンロチニブ二塩酸塩とを含む。本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、1週3回投与で投与量0.0001mg/kg/回~20mg/kg/回の2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、11日間連続投与で投与量1mg/kg/dのアンロチニブ二塩酸塩とを含む。本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、1週3回投与で投与量0.001mg/kg/回~10mg/kg/回の2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、11日間連続投与で投与量1mg/kg/dのアンロチニブ二塩酸塩とを含む。本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、1週3回投与で投与量0.0001mg/kg/回~20mg/kg/回の2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、11日間連続投与で1日1回6mg、8mg、10mgまたは12mgの投与量のアンロチニブ二塩酸塩とを含む。本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、1週3回投与で投与量0.001mg/kg/回~10mg/kg/回の2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンまたはその薬学的に許容される塩と、11日間連続投与で1日1回6mg、8mg、10mgまたは12mgの投与量のアンロチニブ二塩酸塩とを含む。本発明のいくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、1週3回投与で投与量20mg/kg/回の2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンと、11日間連続投与で投与量1mg/kg/dのアンロチニブ二塩酸塩とを含む。
【0032】
他の一態様によれば、本発明は、肺癌を治療するための医薬の製造における本発明に係る医薬の組み合わせの使用を提供する。さらに、本発明は、有効量の本発明に係る医薬の組み合わせを、それを必要とする個体に投与することを含む肺癌の治療方法を提供する。さらに、本発明は、肺癌を治療するための本発明に係る医薬の組み合わせを提供する。さらに、本発明は、肺癌を治療するための本発明に係る医薬の組み合わせの使用を提供する。前記医薬の組み合わせは、TLR7アゴニストおよびアンロチニブを含む。本発明のいくつかの実施形態において、前記TLR7アゴニストは、イミキモド(Imiquimod)、GSK-2245035、レシキモド(resiquimod)、vesatolimod(GS-9620)、telratolimod、TMX-202、DSP-0509、RG-7854、Loxoribine、および式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩からなる群から選ばれ、ここで、前記式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩は、前記したような構成を備え、または前記したような化合物のうちの1種または複数種から選ばれる。本発明のいくつかの実施形態において、前記TLR7アゴニストは、GSK-2245035、vesatolimod、2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンもしくは2-ブトキシ-7-((2-(ピロリジン-1-イルメチル)チアゾール-5-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、またはその薬学的に許容される塩のうちの1種または複数種から選ばれる。本発明のいくつかの実施形態において、前記TLR7アゴニストは、2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンもしくは2-ブトキシ-7-((2-(ピロリジン-1-イルメチル)チアゾール-5-イル)メチル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミン、またはその薬学的に許容される塩から選ばれる。本発明のいくつかの実施形態において、前記TLR7アゴニストは、2-ブトキシ-7-(4-(ピロリジン-1-イルメチル)ベンジル)-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-4-アミンである。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明は、肺癌を治療するための併用薬の製造におけるTLR7アゴニストおよびアンロチニブの使用を提供し、ここで、前記TLR7アゴニストおよびアンロチニブは、それぞれ医薬組成物として製造される。
本発明のいくつかの実施形態において、(a)活性成分としてTLR7アゴニストを含有する第1の医薬組成物と、(b)活性成分としてアンロチニブを含有する第2の医薬組成物とを含む、肺癌を治療するためのキットをさらに提供する。
本発明のいくつかの実施形態において、前記肺癌は小細胞肺癌および非小細胞肺癌を含む。
【0034】
定義および説明
他に断らない限り、本明細書に用いられる下記の用語は、次の意味を有する。ある1つの特定の用語は、特に定義されない場合、不確定または不明確とが認定されておらず、当該分野の一般的な意味として理解されるべきである。本明細書に商品名が現れた場合、その対応の商品またはその活性成分を示すことである。
【0035】
本発明で使用される場合、前記アンロチニブの化学名は、1-[[[4-(4-フルオロ-2-メチル-1H-インドール-5-イル)オキシ-6-メトキシキノリン-7-イル]オキシ]メチル]シクロプロピルアミンであり、次の構造式を持っている。
【化2】
【0036】
本発明で使用される場合、前記一部のTLR7アゴニストの名称、構造式および化学名を次の表に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
用語「置換」または「置換され」とは、特定原子の原子価状態が正常であり且つ置換された化合物が安定的なものであればよく、特定原子における任意の1個以上の水素原子が置換基で置換されることを意味する。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、2つの水素原子がオキソで置換され、オキソがアリールの上で発生しないことを意味する。
【0045】
用語「任意」または「任意に/必要に応じて」とは、後述する事情や状況が発生する可能性も、発生しない可能性もあることを意味し、該記載は、前記の事情や状況が発生した場合も、発生しなった場合も含む。例えば、エチルが「任意に」ハロゲンで置換されることは、エチルがハロゲンで置換されていない(CHCH)、一置換された(例えば、CHCHF)、多置換された(例えば、CHFCHF、CHCHFなど)、または全置換された(CFCF)ものであってもよいことを意味する。1つ以上の置換基を含む任意の基について、任意の空間的に存在し得ないおよび/または合成し得ない置換や置換モードを導入することにならないことは、当業者にとって理解されるべきである。
【0046】
本明細書に記載のCm-nとは、この部分が所定範囲内の整数の炭素原子を有することを意味する。例えば、「C1-6」とは、当該基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子、または6個の炭素原子を有し得ることを意味する。
【0047】
任意の変数(例えば、R)は、化合物の組成や構造に1回以上現れる場合、その各状況における定義がそれぞれ独立している。そのため、例えば、1個の基は2個のRで置換される場合、各Rのいずれも独立して選択肢を持っている。
【0048】
ある連結基の数が0であり、例えば-(CH-である場合、該連結基は共有結合であることを意味する
【0049】
ある置換基の結合が1個の環における2個の原子に交差接続する場合、当該置換基とこの環における任意の原子とを結合することができる。例えば、構成単位
【化3】

または
【化4】

は、シクロヘキシル基、シクロヘキサジエン基における任意の位置で置換されてもよいことを示す。
【0050】
用語「ハロゲン」、「ハロ」または「ハロゲン元素」とは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
用語「水酸基」とは、-OH基を意味する。
用語「シアノ」とは、-CN基を意味する。
用語「メルカプト基」は、-SH基を意味する。
用語「アミノ」は、-NH基を意味する。
用語「アルキル」とは、一般式がC2n+1である炭化水素基を意味する。該アルキルは直鎖または分岐鎖であってもよい。例えば、用語「C1-6アルキル」とは、1~6個の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ネオペンチル、ヘキシル、2-メチルペンチルなど)を意味する。同様に、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホニル、およびアルキルチオにおけるアルキルの部分(すなわちアルキル基)は、上記と同じ定義を有する。
用語「アルコキシ」とは-O-アルキルを意味する。
【0051】
用語「アルケニル」とは、炭素原子および水素原子からなる直鎖または分枝鎖の、少なくとも1個の二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルケニルの非限定的な例には、ビニル(エテニルとも呼ばれ)、1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、イソブテニル、および1,3-ブタジエニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
用語「アルキニル」とは、炭素原子および水素原子からなる直鎖または分岐鎖の、少なくとも1つの三重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素基を意味する。アルキニルの非限定的な例には、エチニル(-C≡CH)、1-プロピニル(-C≡C-CH)、2-プロピニル(-CH-C≡CH)、および1,3-ブタジイニル(-C≡C-C≡CH)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
用語「シクロアルキル」とは、完全飽和で且つ単環、架橋環またはスピロ環として存在できる炭素環を意味する。特に断らない限り、該炭素環は、通常3~10員環である。シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル(ビシクロ[2.2.1]ヘプチル)、ビシクロ[2.2.2]オクチル、およびアダマンチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
用語「シクロヒドロカルビル(環状炭化水素基)」とは、炭素原子および水素原子からなり、好ましくは1つまたは2つの環を含む、飽和または不飽和の非芳香族環状炭化水素基を意味する。前記シクロヒドロカルビルは、単環、縮合多環、架橋環またはスピロ環の構造であってもよい。シクロヒドロカルビルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、スピロ[3.3]ヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
用語「ヘテロシクリル」とは、完全に飽和または部分的に不飽和の(ただし、完全に不飽和のヘテロ芳香族ではない)、且つ単環、縮合多環、架橋環またはスピロ環の形式として存在し得る非芳香族環を意味する。特に断らない限り、該ヘテロ環(複素環)は、通常、独立に硫黄、酸素および/または窒素から選ばれるヘテロ原子を1~3個(好ましくは1または2個)有する3~7員環である。ヘテロシクリルの非限定的な例としては、オキシラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ピロリジニル、N-メチルピロリジニル、ジヒドロピロリル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピラゾリジニル、4H-ピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチエニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
用語「ヘテロシクロアルキル」とは、単環、縮合多環、架橋環またはスピロ環として存在し得る完全に飽和した環状基を意味する。特に断らない限り、該ヘテロ環(ヘテロシクロ、複素環)は、通常、硫黄、酸素および/または窒素から独立して選ばれる1~3個(好ましくは1または2個)のヘテロ原子を含む3~7員環である。3員ヘテロシクロアルキルの例には、エポキシエチル、シクロチオエチル、およびアジルジニルが含まれるがこれらに限定されない。4員ヘテロシクロアルキルの非限定的な例には、アゼチジニル、オキセタニル、およびチエタニルが含まれるがこれらに限定されない。5員ヘテロシクロアルキルの例には、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、およびテトラヒドロピラゾリルが含まれるがこれらに限定されない。6員ヘテロシクロアルキルの例には、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、ピペラジニル、1,4-チオキサニル、1,4-ジオキサニル、チオモルホリニル、1,3-ジチアニル、および1,4-ジチアニルが含まれるがこれらに限定されない。7員ヘテロシクロアルキルの例には、アゼパニル(azepanyl)、オキセパニル(oxepanyl)、およびチエパニル(thiepanyl)が含まれるがこれらに限定されない。好ましくは、5個または6個の環原子を有する単環式ヘテロシクロアルキルである。
【0057】
用語「ヘテロシクロヒドロカルビル(ヘテロ環式炭化水素基)」とは、芳香族性を有しない単環系、縮合多環系、架橋環系またはスピロ環系の基を意味し、そのうち一部の環原子は、N、O、S(O)(式中、nは0、1、または2である)から選ばれるヘテロ原子であり、その残りの環原子はCである。このような環は、飽和、または不飽和(例えば、1つ以上の二重結合を有する)であってもよく、しかしながら完全に共役なπ電子系を有しない。3員ヘテロシクロヒドロカルビルの例には、エポキシエチル、シクロチオエチル、およびアジルジニルが含まれるがこれらに限定されない。4員ヘテロシクロヒドロカルビルの例には、アゼチジニル、オキセタニル、およびチエタニルが含まれるがこれらに限定されない。5員ヘテロシクロヒドロカルビルの例には、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,1-ジオキソイソチアゾリジニル、チアゾリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロピラゾリル、ピロリニル、ジヒドロフラニル、およびジヒドロチエニルが含まれるがこれらに限定されない。6員ヘテロシクロヒドロカルビルの例には、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、ピペラジニル、1,4-チオキサニル、1,4-ジオキサニル、チオモルホリニル、1,2-、1,4-ジチアニル、ジヒドロピリジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニルおよびジヒドロチアピラニルが含まれるがこれらに限定されない。7員ヘテロシクロヒドロカルビルの例には、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、オキサアザビシクロ[2.2.1]ヘプチルおよびアザスピロ[3.3]ヘプチルが含まれるがこれらに限定されない。
【0058】
用語「アリール」とは、完全に共役したπ電子系を有する全炭素の単環式または縮合多環式芳香環の基を意味する。例えば、アリールは、6~20個、6~14個、または6~12個の炭素原子を有してもよい。アリールの非限定的な例としては、フェニル、ナフチル、アントリルおよび1,2,3,4-テトラヒドロナフタレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0059】
用語「ヘテロアリール」とは、単環式または縮合多環式系の基を意味し、それらの中にN、O、Sから選ばれる少なくとも1つの環原子を含有し、その残りの環原子がCであり、且つ、少なくとも1つの芳香環を有する。好ましいヘテロアリールは、単一の4~8員環、特に5~8員環を有するか、または6~14個、特に6~10個の環原子を含有する複数の縮合環を有する。ヘテロアリールの非制限的な例は、ピロリル、フラニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、トリアゾリル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、およびイソインドリルなどが挙げられるが、これらに限らない。
【0060】
用語「治療」とは、一般に、所望の薬理学的効果および/または生理学的効果を得ることを意味する。当該効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防するという点で予防的であり得、ならびに/あるいは、疾患および/または疾患による副作用を部分的または完全に安定化または治癒するという点で治療的であり得る。本明細書で使用される「治療」は、(a)疾患または症状に感受性があるが、まだ疾患と診断されていない患者における疾患または症状を予防することと、(b)疾患の症状を抑制し、すなわちその進行を阻止すること、または(c)疾患の症状を緩解し、すなわち疾患または症状の退行を引き起こすことを含む、患者の疾患に対する任意の治療を包含する。
【0061】
用語「有効量」とは、(i)特定の疾患、状態、または障害を治療または予防し、(ii)特定の疾患、状態、または障害の1つまたは複数の症状を軽減、改善、または解消し、あるいは(iii)本明細書に記載の特定の疾患、状態、または障害の1つまたは複数の症状の発症を予防しまたは遅らせる、本発明の化合物の投与量を意味する。「治療有効量」となる本発明に係る化合物の量は、化合物、疾患状況とその重症度、投与形態および治療しようとする哺乳類の年齢によって変わるが、当業者は、その自身の持つ知識および本発明に開示された内容により通常的に決めることができる。
【0062】
本発明で使用される場合、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩は、任意の適切な経路と方法、例えば、経口または非経口(例えば、静脈内)によって投与することができる。式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の治療有効量には、約0.0001mg/kg重量/日~20mg/kg重量/日、例えば、0.001mg/kg重量/日~10mg/kg重量/日が含まれるが、これらに限定されない。式Iの化合物の投与量および投与頻度は、患者対象のニーズにより決められ、例えば、1日に1回または2回、または1日に複数回投与する。投与は断続的にしてもよく、例えば、数日間の期間において、患者個体が式Iの化合物の1日投与量を受け取り、その後数日間の期間またはより長い期間において、患者が式Iの化合物の1日投与量を受け取らないようにしてもよい。
【0063】
アンロチニブは、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬、鼻腔内、吸入、膣、眼内、局所、皮下、脂肪内、関節内、腹腔内および髄腔内投与を含むがこれらに限定されない様々な経路で投与することができる。いくつかの特定の実施形態において、アンロチニブは経口投与される。アンロチニブの投与量は、疾患の重症度、疾患の反応、治療関連のいずれの毒性、および患者の年齢と健康状態に応じて決定できる。例えば、アンロチニブの1日投与量は2mg~20mgであってもよく、いくつかの実施形態において、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の1日投与量は、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、および16mgであってもよい。アンロチニブは、1日1回または1日複数回投与されてもよい。いくつかの実施形態において、アンロチニブは、経口固形製剤として1日1回投与される。
【0064】
アンロチニブの投与計画は、薬物の活性、毒性、および患者の耐性などに応じて包括的に決定することができる。好ましくは、アンロチニブは断続的な計画で投与される。断続的投与には、投薬期間および休薬期間を含み、投薬期間においてアンロチニブを1日に1回または複数回投与することができる。例えば、投薬期間と休薬期間の日数での比率は2:0.5~5であり、好ましくは2:0.5~3、より好ましくは2:0.5~2、さらに好ましくは2:0.5~1である。いくつかの実施形態において、2週間連続的に投与され、2週間休薬される。いくつかの実施形態において、2週間連続的に投与され、1週間休薬される。いくつかの実施形態において、5日間連続的に投与され、2日間休薬される。例えば、アンロチニブは、1日1回6mg、8mg、10mgまたは12mgの投与量で連続的に2週間経口投与され、1週間休薬されるように投与することができる。
【0065】
本発明で使用される場合、前記TLR7アゴニストおよびアンロチニブは、その非塩形態(例えば、遊離酸または遊離塩基)を含んでおり、またそれらの薬学的に許容される塩を含んでおり、前記非塩形態または塩形態のいずれも本発明の保護範囲に含まれる。例えば、前記TLR7アゴニストの薬学的に許容される塩は塩酸塩であってもよく、アンロチニブの薬学的に許容される塩は塩酸塩または二塩酸塩であってもよい。
【0066】
用語「薬学的に許容される」とは、それらの化合物、材料、組成物および/または剤形に対して信頼性を有する医学的判断の範囲においてヒトおよび動物の組織とを接触して使用することに適用するが、過剰な毒性、刺激性、アレルギー性の反応、または他の問題や合併症がなく、合理的なベネフィット・リスク比に見合うことを意味する。
【0067】
用語「薬学的に許容される塩」とは、塩基性ラジカルと遊離酸から形成される塩、および酸性ラジカルと遊離塩基から形成される塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、およびp-メチルベンゼンスルホン酸塩からなる群より選ばれ、好ましくは、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、p-メチルベンゼンスルホン酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、およびアミノ酸塩などからなる群より選ばれる。本発明において、薬学的に許容される塩を形成する場合、前記遊離酸と塩基性ラジカルとのモル比は約1:0.5~1:5、好ましくは1:0.5、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7または1:8である。本発明において、薬学的に許容される塩を形成する場合、前記遊離塩基と酸性ラジカルとのモル比は約1:0.5~1:5、好ましくは1:0.5、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7または1:8である。
【0068】
本発明で使用される場合、本発明に係る医薬の組み合わせにおける化合物は、例えば、少なくとも1つの塩基性部位(basic site)を持つ場合、酸付加塩を形成することができる。必要に応じて、別に存在する塩基性部位を持つ対応の酸付加塩をさらに形成することができる。少なくとも1つの酸性基(例えば、COOH)を有する化合物も、塩基とが塩を形成することができる。化合物がは、例えばカルボキシルとアミノの両方を含む場合、対応の分子内塩(inner salt)を形成することができる。
【0069】
本発明に係る化合物は非対称であってもよく、例えば、1つ以上の立体異性体を有する。特に断らない限り、全ての立体異性体、例えば光学異性体およびジアステレオマーのいずれも含まれている。本発明の不斉炭素原子含有化合物は、光学活性の純粋な形態で、またはラセミ体の形態で分離することができる。光学活性の純粋な形態は、ラセミ混合物から分割することができ、または、キラル材料やキラル試薬を用いて合成することができる。
【0070】
用語「個体(対象)」とは、哺乳類である。いくつかの実施形態において、前記個体はマウスである。いくつかの実施形態において、前記個体はヒトである。
【0071】
用語「約」とは、平均値の3標準偏差(three standard deviations)内、または特定の分野中の標準許容範囲(standard tolerance range)内におけるすべての値を含むと理解されるべきである。いくつかの実施形態において、「約」は0.5を超えない変動として理解されるべきである。「約」は、その後に示されているすべての値を修飾(限定)する。例えば、「約1、2、3」は、「約1」、「約2」、「約3」を意味する。
【0072】
用語「医薬の組み合わせ」とは、2種以上の活性成分を同時、並行または順次に組み合わせて使用することを意味する。医薬の組み合わせにより、活性成分が協調(連合)的効果を示すことができる。いくつかの実施形態において、上記効果は相乗効果である。医薬の組み合わせには、固定の組み合わせまたは非固定の組み合わせが含まれる。
【0073】
用語「固定の組み合わせ」とは、活性成分(例えば、TLR7アゴニストまたはアンロチニブ)を、固定された総投与量または投与量割合で、あるいは単一の実体、医薬組成物または製剤の形態で、同時に個体に投与することを意味する。言い換えれば、活性成分は、同じ医薬製剤中に存在し、いくつかの実施形態において、例えば、同じ錠剤、または同じカプセル、または同じ薬袋に存在する。
【0074】
用語「非固定の組み合わせ」とは、2種以上の活性成分を、独立した実体(例えば、医薬組成物、医薬製剤)として特定の時間制限なしで同時、並行または順次に個体に投与することを意味し、ここで、個体に投与される前記活性成分は治療有効量レベルに達する。非固定の組み合わせは、例えば3種以上の活性成分を投与するカクテル療法が挙げられる。非固定の組み合わせにおいて、前記した各活性成分は、完全に独立した医薬組成物として包装、販売、または投与することができる。前記「非固定の組み合わせ」には、「固定の組み合わせ」の間に、または「固定の組み合わせ」と任意の1種または複数種の活性成分の独立した実体との併用(連合使用)をさらに含む。
【0075】
用語「医薬組成物」とは、本発明に係る1つまたは複数の化合物またはその薬学的に許容される塩、あるいはその医薬の組み合わせまたはそれらの塩と、薬学的に許容される補助剤(賦形剤)とからなる混合物を意味する。医薬組成物は、本発明に係る化合物またはその医薬の組み合わせを個体に投与することに有利となる目的とする。
【0076】
用語「相乗効果」とは、2種の活性成分(例えば、TLR7アゴニストおよびアンロチニブ)の組み合わせによって生成される効果(例えば、肺癌細胞増殖の阻害、または肺癌症状の緩和など)は、任意の成分単独投与時に得た効果の単純な相加効果よりも大きいことを意味する。
【0077】
投与モード
以下の内容は、本発明に係る医薬の組み合わせの投与モードを制限するものではない。
【0078】
本発明に係る医薬の組み合わせにおける活性成分は、それぞれ別々に調製し、またはそのうちの一部または全部一緒に調製することができる。一実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせは、単回投与または複数回投与に適した医薬組成物に調製することができる。
【0079】
本発明に係る医薬の組み合わせにおける活性成分は、それぞれ独立して投与し、またはそのうちの一部または全部一緒に投与することができる。本発明に係る医薬の組み合わせにおける活性成分は、実質的に異なる時間に投与することができ、またはそのうちの一部または全部が実質的に同時に投与することができる。
【0080】
本発明に係る医薬の組み合わせにおける活性成分は、それぞれ独立して、またはそのうちの一部または全部一緒に、様々な適切な経路(経口投与、または非経口投与(静脈内、筋肉内、局所または皮下経路による投与)を含むがこれらに限定されない)で投与することができる。いくつかの実施形態において、本発明に係る医薬の組み合わせにおける活性成分は、それぞれ独立して、またはそのうちの一部または全部一緒に経口投与し、または例えば静脈内注射や腹腔内注射によって注射投与することができる。
【0081】
本発明に係る医薬の組み合わせにおける活性成分は、それぞれ独立した適切な剤形であってもよく、または活性成分のうちの一部または全部一緒に適切な剤形であってもよく、前記剤形は、錠剤、トローチ、丸剤、カプセル剤(例えば、ハードカプセル、ソフトカプセル、腸溶カプセル、マイクロカプセル)、エリキシル、顆粒、シロップ、注射剤(筋肉内、静脈内、腹腔内注射剤)、粉末、エマルジョン、懸濁液、溶液、分散剤、および経口または非経口投与用の徐放性の剤形を含むが、これらに限定されない。
【0082】
本発明に係る医薬の組み合わせにおける活性成分は、それぞれ、独立してまたはそのうちの一部または全部一緒に薬学的に許容される担体および/または賦形剤と共に調製することができる。
【0083】
本発明に係る医薬の組み合わせには、追加の治療剤をさらに含んでもよい。一実施形態において、前記追加の治療剤は当該技術分野で知られている癌治療剤であってもよく、好ましくは、肺癌治療剤である。
【0084】
技術的効果
本願の発明者らは、驚くべきことに、TLR7アゴニストとしての式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩が肺癌に対して良好な効果を有し、さらに、TLR7アゴニストおよびアンロチニブの医薬の組み合わせも肺癌に対して良好な効果を有することを見出した。
【実施例
【0085】
明確にするために、以下の実施例によってさらに本発明を説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定することを意図しない。本発明に用いられる全ての試薬は、市販品であり、さらなる精製の必要がなくそのままで使用することができる。
【0086】
本発明に係る式Iの化合物の製造方法およびそのToll様受容体7に対するインビトロ受容体結合活性については、WO2016023511およびWO2017076346を参照することができる。
【実施例1】
【0087】
LLC肺癌マウスモデルに対する抗腫瘍実験
実施例1において、前記TLR7アゴニストは、
【化5】

から選ばれ、前記アンロチニブは、アンロチニブ二塩酸塩から選ばれる。
【0088】
LLC(Lewis Lung Cancer)マウス肺癌皮下移植腫瘍(濃度2×10/ml*0.2mL/匹)を、滅菌条件下でC57BL/6マウス右腋窩に播種し(播種時に播種部位を剃毛し)、ブロック挿入法で継代した。前記C57BL/6マウスは、体重16~18g、雌、飼養環境:SPFレベルである。C57BL/6移植腫瘍の直径はノギスで測定され、腫瘍が100~300mmに成長した後、動物をランダムに次の5群に分られた。
【0089】
i. 対照群(空白対照群)、
ii. 単剤群:アンロチニブ5mg/kg/d(陽性対照群)、溶媒が生理食塩水であり、
iii. 単剤群:TLR7アゴニスト20mg/kg、1週3回、溶媒がエタノール + Tween80(v:v=1:1)であり、
iv. 単剤群:アンロチニブ1mg/kg/d、溶媒が生理食塩水であり、
v. 併用群:TLR7アゴニスト20mg/kg、1週3回 + アンロチニブ1mg/kg/d。
【0090】
対照群および単剤群は、体積10mL/kgで投与され、併用群は同時に2種の薬が投与される場合、各種の薬の投与がそれぞれ体積10mL/kgでした。開始の時に3日ごとに体重および腫瘍直径を1回測定し、動物の行動を毎日観察した。
【0091】
0日目にマウスを群分け、ここで、対照群に12匹、その他の各群に6匹を入れた。1日目から投与し始め、胃内投与(i.g.)により投与した。12日目に投与を終了した。実験中、それぞれ0日目、3日目、6日目、9日目、12日目、15日目に腫瘍体積を測定し、15日目に実験を終了し、腫瘍を取り出してその重量を秤量した。
【0092】
腫瘍体積および腫瘍増殖抑制率(腫瘍抑制効果)は、次の式を使用して計算された。
腫瘍体積(TV)=(長さ×幅)/2
腫瘍増殖抑制率(TGI)=(1-治療群腫瘍重量/対照群腫瘍重量)×100%。
【0093】
結果を表1に示すように、TLR7アゴニストが腫瘍LLCの増殖を阻害でき、それとアンロチニブと併用して投与した場合腫瘍LLCの増殖を阻害でき、相乗効果を示している。
【0094】
【表8】