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特許7385606端部バリアボックス、及び端部バリアボックスを用いたリフロー炉
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  • 特許-端部バリアボックス、及び端部バリアボックスを用いたリフロー炉 図1
  • 特許-端部バリアボックス、及び端部バリアボックスを用いたリフロー炉 図2A
  • 特許-端部バリアボックス、及び端部バリアボックスを用いたリフロー炉 図2B
  • 特許-端部バリアボックス、及び端部バリアボックスを用いたリフロー炉 図3
  • 特許-端部バリアボックス、及び端部バリアボックスを用いたリフロー炉 図4A
  • 特許-端部バリアボックス、及び端部バリアボックスを用いたリフロー炉 図4B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】端部バリアボックス、及び端部バリアボックスを用いたリフロー炉
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/30 20060101AFI20231115BHJP
   F27B 9/04 20060101ALI20231115BHJP
   F27D 7/06 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
F27B9/30
F27B9/04
F27D7/06 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020572762
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-28
(86)【国際出願番号】 US2019038922
(87)【国際公開番号】W WO2020005900
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】201810680383.X
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】タオポン ウェイ
【審査官】國方 康伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-185983(JP,A)
【文献】特開平06-164129(JP,A)
【文献】米国特許第05715990(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 9/00- 9/40
F27D 7/00-15/02
H05K 3/32- 3/34
B23K 1/00- 3/08
B23K 31/02
B23K 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲ガスがリフロー炉の炉床に入るのを遮断する端部バリアボックスにおいて、
ボックス本体(101)であって、該ボックス本体(101)は底部(102)を備え、該底部(102)は取付け用底板(108)を有し、該ボックス本体(101)は頂部開口(109)を形成し、該ボックス本体は一対の側壁(104、105)を更に備え、該側壁(104、105)は対向して配置されているボックス本体(101)と、
複数のデフレクター(110)であって、該複数のデフレクター(110)の各々は前記一対の側壁(104、105)の間に取り付けられ、該複数のデフレクター(110)の各々は少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)で構成され、該少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)は、前記取付け用底板(108)上に取り付けられ該取付け用底板(108)から上向きに延びている、複数のデフレクター(110)とを具備し、
前記端部バリアボックス(100)は、前記リフロー炉の少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)の下方に組み立てるように使用され、前記少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)のうちの隣接する前記ガイドレールの間に第1の幅(W1)が含まれ、
前記少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)のうちの一方の前記ガイドレール(115.1)と対応する前記側壁(104)との間に第2の幅(W2)が含まれ、
前記少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)のうちの他方の前記ガイドレール(115.2)と対応する前記側壁(105)との間に第3の幅(W3)が含まれ、
前記少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)のうちの少なくとも1つのフィンは、幅が前記第1の幅(W1)、前記第2の幅(W2)及び前記第3の幅(W3)のうちの少なくとも1つの幅よりも小さくされ、これにより前記少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)のうちの少なくとも1つのフィンは、前記頂部開口(109)から取外可能であり、
前記フィンの各々は屈曲部(218)を備え、該屈曲部(218)は、取外可能な締結組立体(420)によって、前記取付け用底板(108)に連結され、これにより、前記少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)が前記取付け用底板(108)に取り付けられており、
前記取外可能な締結組立体(420)は、
挿入部材(430)であって、該挿入部材(430)は前記屈曲部(218)に取り付けられ、該挿入部材(430)はU字形フレーム(431)及びボルト(432)を備え、前記屈曲部は孔(435)を有し、前記U字形フレーム(431)の2つの端部(438.1、438.2)が前記孔(435)の2つの端部に取り付けられ、前記ボルト(432)は、前記U字形フレーム(431)の頂部(436)に取り付けられて、前記孔(435)の方向に向かって延びる舌部(433)を有する、挿入部材(430)と、
収納部材(440)であって、該収納部材(440)は前記取付け用底板(108)に取り付けられ、該収納部材(440)はボス(443)を備え、該ボス(443)は収納スロット(445)を備え、前記ボス(443)は前記孔(435)を通過するために使用され、これにより前記収納スロット(445)は、前記ボルト(432)の前記舌部(433)を収納する収納部材(440)とを備える、端部バリアボックス。
【請求項2】
前記複数のデフレクター(110)の幅(W4)が、前記一対の側壁間の幅(W5)と同一である請求項に記載の端部バリアボックス。
【請求項3】
前記少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)は4つのフィンである請求項1又は2に記載の端部バリアボックス。
【請求項4】
前記複数のデフレクター(110)のうちの隣接する前記デフレクター(110)の間に隙間(285)が形成されてガス通路を形成する請求項1~3のいずれか一項に記載の端部バリアボックス。
【請求項5】
前記取付け用底板(108)は複数の通気孔(256)を備え、該複数の通気孔(256)は前記ガス通路と連通している請求項に記載の端部バリアボックス。
【請求項6】
前記収納部材(440)は、弾性部材(448)及びボール(449)を備え、該ボール(449)は、前記弾性部材(448)の一端に配置され、前記弾性部材(448)及び前記ボール(449)は、前記収納スロット(445)の2つの側部に配置され、前記ボール(449)は、前記舌部(433)の側面と弾性的に接触するために使用される請求項1~5のいずれか一項に記載の端部バリアボックス。
【請求項7】
リフロー炉において、
少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)と、
該リフロー炉の入口端及び出口端に配置された請求項1~のいずれか1項に記載の前記端部バリアボックス(100)とを具備し、
前記端部バリアボックス(100)は、前記少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)の下方に配置されているリフロー炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、リフロー炉、並びにリフロー炉の入口端及び出口端で使用される端部バリアボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
処理ガスとして不活性ガスを用いるリフロー炉の場合、外部環境から来る空気が炉床に入ると、炉床内の不活性雰囲気が破壊され、酸素ガスに対する不活性ガスの比率、及び炉内のガス温度を制御することが困難になる。したがって、リフロー炉の入口端及び出口端の頂部及び底部に、それぞれ反対側の開口を備える端部バリアボックスを設け、底部における端部バリアボックスは、リフロー炉のワーク供給ガイドレールの下方に位置している。バリアボックス内に供給される不活性ガスは、頂部の端部バリアボックスと底部の端部バリアボックスとの間にバリア領域を形成することができ、それによって外部環境から来てリフロー炉の炉床内に入る空気をガスカーテンによって減少させることができる。
【0003】
しかしながら、端部バリアボックスの使用中、リフロー炉の炉床内のガスが端部バリアボックスに接触する結果、これらのガス内の揮発性汚染物質が、端部バリアボックスの内部構成部品上に凝縮物を形成する。そのため、清掃及び保守に好都合な端部バリアボックスを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記問題を解決するために、本出願の目的は、取外し及び清掃に好都合な端部バリアボックスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本出願の第1の態様は、周囲ガスがリフロー炉の炉床に入るのを遮断する端部バリアボックスであって、ボックス本体であって、ボックス本体は底部を備え、底部は取付け用底板を有し、ボックス本体は頂部開口を形成し、ボックス本体は一対の側壁を更に備え、側壁は対向して配置されている、ボックス本体と、複数のデフレクターであって、複数のデフレクターの各々は一対の側壁の間に取り付けられ、複数のデフレクターの各々は少なくとも3つのフィンを備え、少なくとも3つのフィンは、取付け用底板上に取り付けられ取付け用底板から上向きに延びている、複数のデフレクターとを備える、端部バリアボックスを提供する。
【0006】
上記の第1の態様によれば、端部バリアボックスは、リフロー炉の少なくとも2本のガイドレールの下方に設置され、少なくとも2本のガイドレールのうちの隣接するガイドレールの間に第1の幅が含まれ、少なくとも2本のガイドレールのうちの一方のガイドレールと対応する側壁との間に第2の幅が含まれ、少なくとも2本のガイドレールのうちの他方のガイドレールと対応する側壁との間に第3の幅が含まれ、少なくとも3つのフィンのうちの少なくとも1つのフィンは、幅が第1の幅、第2の幅及び第3の幅のうちの少なくとも1つの幅よりも小さくされ、これにより少なくとも3つのフィンのうちの少なくとも1つのフィンは、頂部開口から取外可能である。少なくとも3つのフィンのうちの少なくとも1つのフィンは、少なくとも2本のガイドレールのうちの隣接するガイドレール間、少なくとも2本のガイドレールのうちの一方のガイドレールと対応する側壁との間、又は少なくとも2本のガイドレールのうちの他方のガイドレールと対応する側壁との間で取外可能である。
【0007】
上記の第1の態様によれば、複数のデフレクターの幅が一対の側壁間の幅と同一である。
【0008】
上記の第1の態様によれば、少なくとも3つのフィンは4つのフィンである。
【0009】
上記の第1の態様によれば、複数のデフレクターのうちの隣接するデフレクターの間に隙間が形成されてガス通路を形成する。
【0010】
上記の第1の態様によれば、取付け用底板は複数の通気孔を備え、複数の通気孔はガス通路と連通している。
【0011】
上記の第1の態様によれば、フィンの各々は屈曲部を備え、屈曲部は取外可能な締結組立体によって取付け用底板に連結され、これにより少なくとも3つのフィンが取付け用底板に取り付けられる。
【0012】
上記の第1の態様によれば、取外可能な締結組立体は挿入部材であって、挿入部材は屈曲部に取り付けられ、挿入部材はU字形フレーム及びボルトを備え、屈曲部は孔を有し、U字形フレームの2つの端部が孔の2つの端部に取り付けられ、ボルトは、U字形フレームの頂部に取り付けられて、孔の方向に向かって延びる舌部を有する、挿入部材と、収納部材であって、収納部材は取付け用底板に取り付けられ、収納部材はボスを備え、ボスは収納スロットを備え、ボスは孔を通過するために使用され、これにより収納スロットはボルトの舌部を収納する収納部材とを備える。
【0013】
上記の第1の態様によれば、収納部材は弾性部材及びボールを備え、ボールは弾性部材の一端に配置され、弾性部材及びボールは、収納スロットの2つの側部に配置され、ボールは舌部の側面と弾性的に接触するために使用される。
【0014】
本出願の第2の態様は、リフロー炉であって、少なくとも2本のガイドレールと、リフロー炉の入口端及び出口端に配置された上記の端部バリアボックスとを備え、端部バリアボックスは、少なくとも2本のガイドレールの下方に配置されているリフロー炉を提供する。
【0015】
本出願の端部バリアボックスによれば、デフレクターは少なくとも3つのフィンを含むように設定され、これによりデフレクターは、レールを取外すことなく容易に取外すことができ、これは、端部バリアボックスの清掃及び保守に好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ガイドレールを組み付けた後の、本出願の端部バリアボックスの立体構造図である。
図2A】本出願の端部バリアボックスの立体構造図である。
図2B】取付け用底板の具体的な構造を示すための、図2Aに示す端部バリアボックスの分解立体構造図である。
図3】ガイドレール間の距離と、ガイドレールと側壁との間の距離と、フィンの幅との間の関係を示すための、図1の端部バリアボックスの正面図である。
図4A】連結状態にある締結組立体の一実施形態を示す立体構造図である。
図4B】分離状態にある締結組立体の一実施形態を示す立体構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願の様々な具体的な実施形態を、以下において本明細書の一部を構成する図面を参照して説明する。本出願において、本出願の様々な例示的な構造部品及び要素を説明するために、「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」、「頂」、「底」等の方向を指す用語が使用されるが、本明細書においてこれらの用語は、例示の目的でのみ使用され、図面に示す例示的な向きに基づくことを理解されたい。本出願に開示される実施形態は、異なる方向に配置することができるので、これらの用語は、単なる例示であり、限定とみなすべきではない。可能ならいつでも、本出願では、同様の構成要素を指示するために同一の或いは類似の参照符号が用いられている。
【0018】
図1は、リフロー炉のガイドレールの下方に組み立てられたときの、本出願の端部バリアボックス100の立体構造図であり、端部バリアボックス100とガイドレールとの間の位置関係、及び端部バリアボックス100の外側構造を例示する。図1に示すように、端部バリアボックス100は、リフロー炉内において2本のガイドレール115.1、115.2の下方に位置している。ここでは、端部バリアボックス100をより明確に示すために、端部バリアボックス100の上方のガイドレール115.1、115.2の小さな部位のみが図1に示される。
【0019】
図1に示すように、端部バリアボックス100は、ボックス本体101を含み、ボックス本体101は、頂部103、底部102及び側壁104、105を備える。ボックス本体101の頂部103は頂部開口190を形成し、底部102は取付け用底板108を有する。側壁104、105は、ボックス本体101の左側面及び右側面に位置し、対向して配置される。ボックス本体101の後面はバッフル107を有し、ボックス本体101の前面はリフロー炉と連通している。ガイドレール115.1、115.2は、一端をバッフル107によって支持され、側壁104、105と実質的に平行な方向に延びてリフロー炉の炉床を通過し、溶接されるワークを端部バリアボックス100の前後方向に沿って輸送するために使用される。
【0020】
端部バリアボックス100は、複数のデフレクター110を更に備える。デフレクター110の各々は、側壁104と側壁105との間に配置され、一方の側壁104から他方の側壁105まで延びている。デフレクター110の各々は、取付け用底板108上に取り付けられ、取付け用底板108から上向きに延びている。これらのデフレクター110は、並んでかつ互いに平行に配置される。ガイドレール115.1、115.2は、複数のデフレクター110の上方に位置している。
【0021】
もちろん、当業者であれば、端部バリアボックス100に対応する端部バリアボックスをガイドレール115.1、115.2の上方に組み立てることも理解するであろう。ガイドレールの上方の端部バリアボックスも開口及びデフレクターを有し、ガイドレールの上方の端部バリアボックスの開口は下向きに配置される。このような一対の端部バリアボックスは、リフロー炉の炉床の入口端及び出口端の両方に設けられる。したがって、ガイドレール115.1、115.2の上方及び下方の端部バリアボックスにガスが同時に導入されると、リフロー炉の炉床の両端部における外部周囲ガスと、リフロー炉の炉床内における内部ガスとを、ガイドレール115.1、115.2の近くにおいて2つの端部バリアボックス間で遮断することができる。ガイドレールの上方の端部バリアボックスは、端部バリアボックス100と同じ構造にすることができ、又は既存の任意の端部バリアボックスにすることができる。
【0022】
端部バリアボックス100の具体的な構造は図2A及び図2Bに更に示され、図2Bは、図2Aの端部バリアボックス100の分解立体構造図である。
【0023】
図2A及び図2Bに示すように、端部バリアボックス100の底部102は、底板254及び前側板208を更に含む。底板254、前側板208、取付け用底板108、側壁104、105及びバッフル107は、まとまって端部バリアボックス100の底部102にガス空洞を形成する。底板254は、ガス入力口252を連結する開口(図示せず)を備えている。ガス入力口252は、窒素ボトル等のガス源に連結することができ、これによりガス源内のガスは、ガス入力口252を通って端部バリアボックス100のガス空洞に供給される。取付け用底板108は、ガスが通るための複数の通気孔256を備え、これによりガス空洞内のガスは、通気孔256を通って取付け用底板108の上方に供給することができる。
【0024】
隣接するデフレクター110の間に隙間285が形成され、隙間285はガス通路を形成することができる。通気孔256は、底板108の隙間285に対応する位置に配置され、これによりガス空洞内のガスは、通気孔256を通ってガス通路に入ることができる。ガス通路に入るガスは、デフレクター110に沿って底部から頂部に流れることができ、それによってデフレクター110の上方にガス層流のバリア領域を形成する。本出願の例では、7つのデフレクター110を設けて、6つのガス通路を形成する。当業者であれば、異なるリフロー炉及び溶接製品の仕様要件に従って、7つよりも多い又は7つ未満のデフレクター110を設けることもでき、それらは全て本出願の範囲内である。
【0025】
デフレクター110の各々は、4つのフィン212.1、212.2、212.3、212.4を含み、4つのフィンは、その幅方向に沿って一列に並んで配置されてデフレクター110を形成する。フィンの各々の底部は屈曲部218を有し、取付け用底板108と屈曲部218とは、フィンが取付け用底板108に連結できるように、締結組立体220によって連結されている。
【0026】
図2A及び図2Bに示すように、フィンの各々は、側壁104から側壁105への方向において或る特定の幅とされている。複数のフィンの幅は同じでも異なってもよいが、それらの幅の合計は、デフレクター110の幅W4と同一である(図3参照)。フィンの各々は、底部102から頂部開口109への方向で或る特定の高さとされている。複数のフィンの高さは、フィンの各々がガイドレールから或る特定の距離Hだけ離れている限り、同じでも異なってもよい(図3を参照)。
【0027】
図3は、図1の端部バリアボックス100の正面図であり、端部バリアボックス100は、フィンの寸法設定及びフィンの取外しプロセスを説明するために、リフロー炉のガイドレールの下方に組み立てられる。
【0028】
図3に示すように、リフロー炉のガイドレール115.1とガイドレール115.2との間に幅W1が含まれ、ガイドレール115.1と側壁104との間に幅W2が含まれ、ガイドレール115.2と側壁105との間に幅W3が含まれる。例として、W1、W2、W3は順次減少している。W1、W2、W3の合計は、実質的に側壁104と側壁105との間の幅W5に等しい。4つのフィン212.1、212.2、212.3、212.4で構成される、デフレクター110の幅W4も実質的にW5と同一である。
【0029】
本出願の図3に示す例において、フィンの各々は実質的に同じ幅とされ、この幅は、W1、W2未満であるが、W3よりも大きい。フィンの各々の高さもほぼ同じであり、ガイドレールから或る特定の距離Hだけ離れている。他の実施形態において、必要な数のフィンが設けられ、又は或る特定の幅とされたフィンが設けられ、これによりフィンのうちの少なくとも1つがW1、W2、W3のいずれかよりも狭い幅とされている限り、複数のフィンの幅は異なってもよいことに留意されたい。
【0030】
端部バリアボックス100の使用中、リフロー炉の炉床内の高温ガスが端部バリアボックスに接触し、端部バリアボックスのバリア領域内のガスの温度はより低いため、リフロー炉の炉床から来るガスは、端部バリアボックス100のデフレクター110及び取付け用底板108上に容易に凝縮物を形成する。デフレクター110及び取付け用底板108上の凝縮物が或る特定の程度蓄積すると、例えば、ガスの流れに影響を及ぼしてバリア領域を形成すると、デフレクター110は、端部バリアボックス100から取外す必要があり、これにより端部バリアボックス100は別個に清掃することができ、取付け用底板108は好都合に清掃することができる。従来技術では、デフレクターはただ1つのフィンを含む。ガイドレール115.1、115.2が、フィンの上方への取出しを妨げるので、デフレクター及び取付け用底板を清掃するためにフィンを除去するとき、ガイドレール115.1、115.2を最初に除去する、又は端部バリアボックス全体を除去する必要がある。
【0031】
本出願において、1つのデフレクター110は、4つのフィン212.1、212.2、212.3、212.4が重ね継ぎされるように設定され、かつ適切なフィン幅が設定され、これによりフィンは、隣接するガイドレール間の隙間又はガイドレールと側壁との間の隙間を通って取り出すことができる。デフレクター110は、リフロー炉の2本のガイドレール115.1、115.2によってブロックされていても、取外すのが困難ではない。したがって、本出願によって提供される端部バリアボックス100を使用することによって、デフレクター110は、ガイドレールを取外すことなく好都合に取外すことができ、端部バリアボックスの清掃を容易にする。
【0032】
デフレクター110の具体的な取外しプロセスは、以下において図3を参照して詳細に説明する。
【0033】
デフレクター110を取外すとき、フィン212.1、212.3が最初に取外される。具体的には、フィン212.1は、ガイドレール115.1と側壁104との間の隙間を通過することが可能であり、フィン212.1を開口109から上向きに取り出す。フィン212.3は、ガイドレール115.1とガイドレール115.2との間の隙間を通過することが可能であり、フィン212.3を開口109から上向きに取り出す。これによって、フィン212.1、212.3は取外すことができる。次いで、フィン212.2及びフィン212.4を取外す。フィン212.2及びフィン212.4は、最初に左方に又は右方に或る距離だけ移動され、これによりフィン212.2及びフィン212.4は、ガイドレール115.1と側壁104との間の隙間、又はガイドレール115.1とガイドレール115.2との間の隙間を通過することができ、開口109から上向きに取り出す。
【0034】
一部のリフロー炉では、W1、W2、W3の大きさの関係が変わるように、ガイドレール115.1、115.2の位置を調整可能とすることができる。このとき、どのフィンを最初に除去するかは、図3に示すデフレクター110のフィンの限定された取外し工程に代えて、W1、W2、W3の大きさに応じて具体的に決定することもできる。一例として、ガイドレール115.1を左方に移動して、フィンの幅がW1よりも小さいがW2、W3よりも大きくなれば、フィン212.2、212.3を最初に取外すことができ、次いでフィン212.1、212.4を中間に移動した後、取外すことができる。
【0035】
1つのデフレクター110から分割されるフィンの数は、上記例の数に限定されず、リフロー炉内におけるガイドレールの数、及びリフロー炉内におけるガイドレールの位置設定に従って決定される。例えば、リフロー炉内に2本のガイドレールを配置するとき、少なくとも1つのフィンの幅がW1、W2、W3のいずれかよりも小さい限り、1つのデフレクター110は3つのフィンを重ね継ぎすることもできる。デフレクターは、少なくとも1つのフィンの幅がW1、W2、W3のいずれかよりも小さい限り、より多数の、例えば5つのフィンから構成することもできる。
【0036】
デフレクター110を取り付けるとき、取り付けプロセスは取外しプロセスの逆である。図3に示す例では、フィン212.1、212.3は、フィン212.2、212.4を取り付けた後に取り付けることができる。
【0037】
図4A及び図4Bは、フィンと取付け用底板108との間の連結構造を例示するために締結組立体220の一実施形態の具体的な構造を示し、締結組立体220は、取外可能な締結組立体420である。図4Aの取外可能な締結組立体420は連結状態にあり、図4Bの取外可能な締結組立体420は分離状態にある。その上、取外可能な締結組立体420の具体的な構造をより明確に示すために、図4A及び図4Bにはフィンの屈曲部218のみを示し、フィンの残りの部分は省略している。他の実施形態では、締結組立体220は、他の構造を有する締結組立体にすることもできる。
【0038】
図4A及び図4Bに示すように、取外可能な締結組立体420は、挿入部材430及び収納部材440を含み、挿入部材430はフィンの屈曲部218上に配置され、収納部材440は取付け用底板108に取り付けられる。
【0039】
挿入部材430は、U字形フレーム431及びボルト432を含む。屈曲部218に孔435を設け、U字形フレーム431は、屈曲部218の上面に連結され、孔435を左右方向にまたがっている。ボルト432は、U字形フレーム431の内側面に取り付けられる。具体的には、U字形フレーム431は、頂部436と、2つの端部438.1、438.2とを有し、頂部436は孔435から或る特定の距離に保たれ、2つの端部438.1、438.2は、孔435の左端部及び右端部においてそれぞれ屈曲部218の上面に連結され、これによりフレーム431は実質的に逆U字形である。ボルト432は、頂部436の下面に連結され、頂部436と孔435との間に位置している。ボルト432は、基部437及び舌部433を含む。基部437は、U字形フレームの頂部436の下面に連結され、舌部433は、基部437から孔435に向かって延びている。舌部433の左端部及び右端部は、滑らかな湾曲面439を有し、わずかに内方へくぼんでいる。他の例では、挿入部材430は基部437を有さなくてもよく、舌部433は、U字形フレームの頂部436の下面に直接連結される。
【0040】
収納部材440は台座441及びボス443を含む。台座441の左端部及び右端部に連結孔442.1、442.2を設け、台座441は、連結孔442.1、442.2を通って取付け用底板108に連結することができる。台座441の中間にボス443があり、ボス443の中間に収納スロット445を備え、収納スロット445によりボス443は2つの部分に分割される。収納スロット445の左側面及び右側面における側壁に、それぞれ弾性部材448を備えており、2つの弾性部材448は、左右方向で拡張可能及び収縮可能である。弾性部材448の端部にボール449を連結している。挿入部材430を収納部材440に連結すると、ボルト432の舌部433が収納スロット445内に挿入され、ボルト432の基部437がボス443の上面に当接する。一例として、ボス443の頂面は湾曲面の形状にされている。
【0041】
フィンの取り付け及び取外しプロセスは、以下において図2A図4A及び図4Bと併せて更に説明する。
【0042】
フィンを取り付けるとき、取外可能な締結組立体420は、図4Bから図4Aへの状態を経て、フィンを取付け用底板108に垂直方向で下向きに連結する。具体的には、フィンに下向きの圧力を加えると、収納部材440は孔435を上向きに通過する。孔435の寸法は、収納部材440の台座441を収納しかつ台座441の寸法と一致するように設定され、これにより台座441を孔435に収納した後、挿入部材430に対する収納部材440の水平方向の位置が制限される。ボルト432の基部437は、ボス443の頂面と接触しており、それによって挿入部材430に対する収納部材440の垂直方向の位置も制限される。挿入部材430の舌部433を収納部材440の収納スロット445に挿入すると、弾性部材448及びボール449は、舌部433の湾曲面439に左右から弾性的に接触しかつ或る特定の張力を維持し、これによりボルト432の舌部433が収納スロット445に挿入された後、弾性部材448及びボール449は、湾曲面439のくぼみに当接する。弾性部材448及びボール449は、外力を受けることなく湾曲面439に対して移動することはない。それによって、挿入部材430及び収納部材440は一緒に連結することができ、こうしてフィンが取付け用底板108に連結される。
【0043】
フィンを取外すとき、取外可能な締結組立体420は、図4Aから図4Bの状態を経て、フィンを取付け用底板108から垂直方向で上向きに引き抜く。具体的には、フィンに上向きの引張力を加えると、引張力は、湾曲面439に対する弾性部材448の弾性力に打ち勝ち、これにより挿入部材430の舌部433は、収納部材440の収納スロット445から係脱され、それによって挿入部材430と収納部材440とを分離し、これによりフィンが取付け用底板108から取外される。一例として、フィンに上向きの引張力を加える前に、フィンは、ボス443の上面の湾曲面部分が基部437と接触するように、前後方向にわずかにそらされ、挿入部材430は、ボス443の頂面の湾曲面部分によって或る角度でそらされて、それにより、弾性部材448及びボール449は、そらせ作用によって湾曲面439から分離され、次いでフィンを取外すためにフィンに引張力を加える。これによって、加える張力が再弾性力に打ち勝つ必要がないため、フィンは、より小さな引張力を加えることによって取外すことができる。
【0044】
したがって、フィンの取り付け及び取外しは、取外可能な締結組立体420によって容易にすることができ、フィンは、ねじ取り付けのための作業空間を必要とすることなく、より小さな空間内でより迅速に取り付け及び取外すことができる。
【0045】
本発明は、図面に例示された具体的な実施形態を参照して説明してきたが、本出願の端
部バリアボックスは、本出願の趣旨及び範囲及び背景から逸脱することなく、多くの変形
を取り入れ得ることを理解されたい。当業者であれば、本出願に開示された実施形態における配置を変更するための異なる様式があり、それらは全て本出願及び特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に属することを理解するであろう。
また、本開示は以下の発明を含む。
第1の態様は、
周囲ガスがリフロー炉の炉床に入るのを遮断する端部バリアボックスにおいて、
ボックス本体(101)であって、該ボックス本体(101)は底部(102)を備え、該底部(102)は取付け用底板(108)を有し、該ボックス本体(101)は頂部開口(109)を形成し、該ボックス本体は一対の側壁(104、105)を更に備え、該側壁(104、105)は対向して配置されているボックス本体(101)と、
複数のデフレクター(110)であって、該複数のデフレクター(110)の各々は前記一対の側壁(104、105)の間に取り付けられ、該複数のデフレクター(110)の各々は少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)を備え、該少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)は、前記取付け用底板(108)上に取り付けられ該取付け用底板(108)から上向きに延びている、複数のデフレクター(110)とを具備する端部バリアボックスである。
第2の態様は、
前記端部バリアボックス(100)は、前記リフロー炉の少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)の下方に組み立てるように使用され、前記少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)のうちの隣接する前記ガイドレールの間に第1の幅(W1)が含まれ、
前記少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)のうちの一方の前記ガイドレール(115.1)と対応する前記側壁(104)との間に第2の幅(W2)が含まれ、
前記少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)のうちの他方の前記ガイドレール(115.2)と対応する前記側壁(105)との間に第3の幅(W3)が含まれ、
前記少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)のうちの少なくとも1つのフィンは、幅が前記第1の幅(W1)、前記第2の幅(W2)及び前記第3の幅(W3)のうちの少なくとも1つの幅よりも小さくされ、これにより前記少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)のうちの少なくとも1つのフィンは、前記頂部開口(109)から取外可能である第1の態様における端部バリアボックスである。
第3の態様は、
前記複数のデフレクター(110)の幅(W4)が、前記一対の側壁間の幅(W5)と同一である第2の態様における端部バリアボックスである。
第4の態様は、
前記少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)は4つのフィンである第2の態様における端部バリアボックスである。
第5の態様は、
前記複数のデフレクター(110)のうちの隣接する前記デフレクター(110)の間に隙間(285)が形成されてガス通路を形成する第2の態様における端部バリアボックスである。
第6の態様は、
前記取付け用底板(108)は複数の通気孔(256)を備え、該複数の通気孔(256)は前記ガス通路と連通している第5の態様における端部バリアボックスである。
第7の態様は、
前記フィンの各々は屈曲部(218)を備え、該屈曲部(218)は、取外可能な締結組立体(420)によって、前記取付け用底板(108)に連結され、これにより、前記少なくとも3つのフィン(212.1、212.2、212.3)が前記取付け用底板(108)に取り付けられる第2の態様における端部バリアボックスである。
第8の態様は、
前記取外可能な締結組立体(420)は、
挿入部材(430)であって、該挿入部材(430)は前記屈曲部(218)に取り付けられ、該挿入部材(430)はU字形フレーム(431)及びボルト(432)を備え、前記屈曲部は孔(435)を有し、前記U字形フレーム(431)の2つの端部(438.1、438.2)が前記孔(435)の2つの端部に取り付けられ、前記ボルト(432)は、前記U字形フレーム(431)の頂部(436)に取り付けられて、前記孔(435)の方向に向かって延びる舌部(433)を有する、挿入部材(430)と、
収納部材(440)であって、該収納部材(440)は前記取付け用底板(108)に取り付けられ、該収納部材(440)はボス(443)を備え、該ボス(443)は収納スロット(445)を備え、前記ボス(443)は前記孔(435)を通過するために使用され、これにより前記収納スロット(445)は、前記ボルト(432)の前記舌部(433)を収納する収納部材(440)とを備える第7の態様における端部バリアボックスである。
第9の態様は、
前記収納部材(440)は、弾性部材(448)及びボール(449)を備え、該ボール(449)は、前記弾性部材(448)の一端に配置され、前記弾性部材(448)及び前記ボール(449)は、前記収納スロット(445)の2つの側部に配置され、前記ボール(449)は、前記舌部(433)の側面と弾性的に接触するために使用される第8の態様における端部バリアボックスである。
第10の態様は、
リフロー炉において、
少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)と、
該リフロー炉の入口端及び出口端に配置された第1の態様~第9の態様のいずれか1つにおける前記端部バリアボックス(100)とを具備し、
前記端部バリアボックス(100)は、前記少なくとも2本のガイドレール(115.1、115.2)の下方に配置されているリフロー炉である。
【符号の説明】
【0046】
100 端部バリアボックス
101 ボックス本体
102 底部
103 頂部
104 側壁
105 側壁
107 バッフル
108 底板
109 頂部開口
110 デフレクター
115.1 ガイドレール
115.2 ガイドレール
212.1 フィン
212.2 フィン
212.3 フィン
190 頂部開口
208 前側板
218 屈曲部
220 締結組立体
252 ガス入力口
254 底板
256 通気孔
285 隙間
420 締結組立体
430 挿入部材
431 U字形フレーム
432 ボルト
433 舌部
435 孔
436 頂部
437 基部
438.1 端部
438.2 端部
439 湾曲面
440 収納部材
441 台座
442.1 連結孔
442.2 連結孔
443 ボス
445 収納スロット
448 弾性部材
449 ボール
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B