(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】体液サンプル中の分析物濃度を測定するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/78 20060101AFI20231115BHJP
G01N 33/52 20060101ALI20231115BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
G01N21/78 A
G01N33/52 B
G01N33/483 C
(21)【出願番号】P 2021504523
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2019071064
(87)【国際公開番号】W WO2020030615
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-08-05
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197169
【氏名又は名称】柴田 潤二
(72)【発明者】
【氏名】マックス ベルク
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ジーフェルト
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー トゥルク
【審査官】伊藤 裕美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0051738(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0172591(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0343480(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0109951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/83
C12Q 1/00 - C12Q 1/70
C12M 1/34
G01N 33/48 - G01N 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液サンプル(112)中の分析物濃度を測定するための光学試験ストリップ(110)であって、
a)少なくとも1つの透明領域(116)を有する試験ストリップキャリア(114)と、
b)試験フィールド(118)を備え、前記試験フィールド(118)が、
-少なくとも1つのキャリア箔(120)を含み、前記キャリア箔(120)が、前記試験ストリップキャリア(114)に適用され、前記試験ストリップキャリア(114)の前記透明領域(116)を少なくとも部分的に覆い、
-前記キャリア箔(120)に適用される少なくとも1つの試験化学物質(122)を含み、前記試験化学物質(122)が、分析物との光学的に検出可能な検出反応を実行するように構成され、前記試験化学物質(122)が、650nm<λ
abs≦1100nmの範囲内の少なくとも1つの吸収波長λ
abs(144)を有する光を少なくとも部分的に吸収するように構成され、
-前記サンプル(112)に含まれる固体成分を少なくとも部分的にフィルタ
して除去するための少なくとも1つの多孔質材料(124)を含み、
前記キャリア箔(120)が、
10nm≦λ
blc≦WL
low
(ここで前記WL
low
は、550nm≦WL
low
≦650nmである)の波長λ
blc(146)を有する光を本質的に遮断するように適合された少なくとも1つの波長
をフィルタ
リングする構成要素(121)を有する、
光学試験ストリップ
(110)。
【請求項2】
前記波長
をフィルタ
リングする構成要素(121)が、ロングパスフィルタ構成要素およびバンドパスフィルタ構成要素からなる群から選択される、請求項1
に記載の光学試験ストリップ(110)。
【請求項3】
前記波長
をフィルタ
リングする構成要素(121)が、少なくとも1つのロングパスフィルタ(150)を備え、前記ロングパスフィルタ(150)
の透過スペクトルが、
光の波長とともに立ち上がる透過エッジ(158)を有し、前記ロングパスフィルタ(150)
の透過スペクトルが、さらに、特徴的な波長λ
LP(164)を有し、λ
LP(164)における前記ロングパスフィルタ(150)の透過率が、前記ロングパスフィルタ(150)の最大透過率の50%であり、WL
low=λ
LP(164)である、請求項1
又は2に記載の光学試験ストリップ(110)。
【請求項4】
前記波長
をフィルタ
リングする構成要素(121)が、干渉フィルタ(152)を備え、前記干渉フィルタ(152)
の透過スペクトルが、特徴的な波長λ
HPF(176)を有し
、WL
low=λ
HPF(176)であり、前記干渉フィルタ(152)が、前記キャリア箔(120)の少なくとも1つの表面上に配置されている、請求項1から
3のいずれか一項に記載の光学試験ストリップ(110)。
【請求項5】
前記光学試験ストリップ(110)、具体的には前記キャリア箔(120)が、少なくとも1つのさらなる
波長をフィルタ
リングする構成要素を備え、前記少なくとも1つのさらなる
波長をフィルタ
リングする構成要素が、ショートパスフィルタを備え、前記
ショートパスフィルタが、WL
high>WL
lowを有する波長λ≧WL
highを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている、請求項1から
4のいずれか一項に記載の光学試験ストリップ(110)。
【請求項6】
前記波長をフィルタリングする構成要素(121)が、前記キャリア箔(120)内に配置されている、請求項1に記載の光学試験ストリップ(110)。
【請求項7】
前記波長をフィルタリングする構成要素(121)が、ロングパスフィルタ構成要素およびバンドパスフィルタ構成要素からなる群から選択される、請求項6に記載の光学試験ストリップ(110)。
【請求項8】
前記波長をフィルタリングする構成要素(121)が、少なくとも1つのロングパスフィルタ(150)を備え、前記ロングパスフィルタ(150)の透過スペクトルが、光の波長とともに立ち上がる透過エッジ(158)を有し、前記ロングパスフィルタ(150)の透過スペクトルが、さらに、特徴的な波長λ
LP
(164)を有し、λ
LP
(164)における前記ロングパスフィルタ(150)の透過率が、前記ロングパスフィルタ(150)の最大透過率の50%であり、WL
low
=λ
LP
(164)である、請求項6又は7に記載の光学試験ストリップ(110)。
【請求項9】
前記光学試験ストリップ(110)、具体的には前記キャリア箔(120)が、少なくとも1つのさらなる波長をフィルタリングする構成要素を備え、前記少なくとも1つのさらなる波長をフィルタリングする構成要素が、ショートパスフィルタを備え、前記ショートパスフィルタが、WL
high
>WL
low
を有する波長λ≧WL
high
を有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている、請求項6から8のいずれか一項に記載の光学試験ストリップ(110)。
【請求項10】
携帯型装置(130)を使用することによって光学試験ストリップ(110)の試験フィールド(118)に適用される血液サンプル(112)中の分析物濃度を測定するための方法であって、
i)請求項1から
9のいずれか一項に記載の光学試験ストリップ(110)を提供することと、
ii)前記携帯型装置(130)を提供することであって、前記携帯型装置(130)が、少なくとも1つのカメラ(132)および少なくとも1つの波長フィルタ(134)を備え、前記波長フィルタ(134)が、
1200nm≧λ≧WL
high
(ここで前記WL
high
は、800nm≦WL
high
≦1000nmである)の波長λを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている、ことと、
iii)前記血液サンプル(112)を前記試験フィールド(118)に適用することと、
iv)前記携帯型装置(130)の前記カメラ(132)を使用することによって前記サンプル(112)が適用された前記試験フィールド(118)の少なくとも1つの画像を撮像することと、
v)前記試験フィールド(118)の試験化学物質(122)の光学的に検出可能な検出反応を評価することにより、前記試験フィールド(118)に適用される前記血液サンプル(112)の分析物濃度を判定すること、を含む、
方法。
【請求項11】
前記携帯型装置(130)が、さらに、少なくとも1つの照明源(136)を備え、方法ステップiv)が、さらに、前記光学試験ストリップ(110)を照明することを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記波長フィルタ(134)が、少なくとも1つのショートパスフィルタを備え、前記ショートパスフィルタ
の透過スペクトルが、
光の波長とともに低下する透過エッジを有し、前記ショートパスフィルタ
の透過スペクトルが、さらに、特徴的な波長λ
SPを有し、λ
SPにおける前記ショートパスフィルタの透過率が、前記ショートパスフィルタの最大透過率の50%であり、WL
high=λ
SPである、請求項
10又は
11に記載の方法。
【請求項13】
800nm≦WL
high≦950nm、具体的には800nm≦WL
high≦900nmである、請求項
10から
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
血液サンプル(112)中の分析物濃度を測定するためのキット(128)であって、前記キット(128)が、光学試験ストリップ(110)に言及する請求項1から
9のいずれか一項に記載の光学試験ストリップ(110)を備え、前記キットが、さらに、携帯型装置(130)を備え、前記携帯型装置(130)が、少なくとも1つのカメラ(132)を備え、前記携帯型装置(130)が、さらに、少なくとも1つの波長フィルタ(134)を備え、前記波長フィルタ(134)が、
1200nm≧λ≧WL
high
(ここで前記WL
high
は、800nm≦WL
high
≦1000nmである)の波長λを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体液サンプル中の分析物濃度を測定するための光学試験ストリップ、およびキットに関する。本発明は、さらに、体液光学試験ストリップのサンプル中の分析物濃度を測定するための方法に関し、本発明にかかるキットおよび方法は、1つ以上の体液中の1つ以上の分析物の濃度を定量的または定性的に検出および/または測定するために、医学的診断において使用されることができる。本発明の他の応用分野にも実施可能である。
【背景技術】
【0002】
医療診断の分野では、多くの場合、血液、間質液、尿、唾液、または他の種類の体液などの体液サンプル中の1つ以上の分析物の濃度が検出および/または測定される必要がある。検出される分析物の例は、グルコース、トリグリセリド、乳酸塩、コレステロール、またはこれらの体液に通常存在する他のタイプの分析物である。分析物の濃度および/または存在に応じて、必要に応じて適切な処理を選択することができる。
【0003】
米国特許出願公開第2006/0051738号明細書は、全血の単一滴と反応し、グルコースとカイロミクロンなどの光散乱分析物との双方を報告することができる診断用乾式試薬試験について説明している。そのような乾式試薬試験は、電気化学的検出方法論、光学的検出方法論、または双方の方法論を採用することができる。これらの試験は、過剰な量の脂肪を有する食事によって引き起こされる過剰なレベルの食後脂肪血症を糖尿病患者に警告し、したがって、糖尿病患者の心血管合併症のリスクを減らすのに役立つことができる。
【0004】
米国特許出願公開第2018/0172591号明細書は、光学バイオセンサについて説明している。光学バイオセンサは、基板と、基板上に配置され且つ光の照射時に電気信号を生成する光センサと、光センサ上に配置され、且つアッセイされる標的物質と、光の照射時に蛍光、消光または発光によって光を放出する誘導材料とを含むバイオサンプル層とを含み、光センサは、蛍光、消光または発光によって誘導材料から放出された光によって照射される。光学センサは、光の照射時に光センサによる光によって変化したバイオサンプルのスペクトルを検出し、変化したスペクトルを電気信号に変換することにより、別の検出器を使用せずにバイオサンプルのアッセイを可能にする。
【0005】
米国特許出願公開第2005/0109951号明細書は、携帯型蛍光検出のための装置、システムおよび方法を説明している。本発明の携帯型装置は、波長範囲が光の少なくとも1つの波長として定義される低電力光を特徴とする。光源は、消費される電力の大部分が次に透過光に変換されるように、エネルギ効率が高いことが好ましい。そして、励起されたフルオロフォアから放出された光は、好ましくは、任意の低コストおよび低電力の光検出器によって検出される。必要に応じて高感度の光学検出器が使用されることができるが、好ましくは、蛍光は、例えば、通常のフォトダイオードまたはCCD(電荷結合素子)センサなどの任意の光検知装置によって検出される。
【0006】
国際公開第2013/158505号パンフレットは、生物学的サンプル中の酵素または生化学的分析物の活性レベルまたは濃度の少なくとも1つを検出および定量化するための酵素ベースの診断試験システムを記載している。そのような酵素ベースの診断試験システムは、診療現場における迅速、正確、手頃な実験室品質の試験を提供することができる。酵素ベースの診断試験システムは、サンプル中の酵素の量または活性をアッセイするために、またはサンプル中の酵素基質の濃度を酵素的に判定するために構成されたラテラルフロー型クロマトグラフィアッセイカセットを含むことができる。さらに、酵素ベースの診断試験システムは、データ収集およびデータ分析機能を有する試験装置(例えば、スマートフォンまたは同様の遠隔コンピューティング装置)を含むことができる。そのような試験装置はまた、自動化されたデータレポートおよび意思決定支援も含むことができる。
【0007】
一般に、当業者に知られている装置および方法は、1つ以上の試験化学物質を含む試験要素を利用し、これは、検出される分析物の存在下で、光学的に検出可能な検出反応などの1つ以上の検出可能な検出反応を実行することができる。
【0008】
通常、これらの変化から検出される少なくとも1つの分析物の濃度を導き出すために、試験化学における1つ以上の光学的に検出可能な変化が監視される。試験化学の光学特性の少なくとも1つの変化を検出するために、様々なタイプの検出器が当該技術分野で知られている。最近の開発では、携帯電話、ラップトップ、スマートフォンおよびその他の携帯型装置などの家庭用電化製品が、試験化学の変化を検出するための検出器として使用されるように人気になっている。一般的な試験ストリップの試験化学の光学特性の変化を検出するために家庭用電化製品を使用することに加えて、例えば携帯型装置のカメラなどの家庭用電化製品を使用することによって特別に設計された試験モジュールから情報を取得することもまた、当該技術分野から知られている。したがって、米国特許出願公開第2017/0343480号明細書は、ストリップモジュールを使用して携帯端末によって血糖値を測定するための方法を開示している。ストリップモジュールは、染料パッドに適用されたサンプルに応答して変化する色を有する染料パッドを含む。ストリップモジュールはまた、第1の面および第2の面を有する透明ストリップを含む。第1の面は、第2の面の反対側にある。染料パッドは、透明ストリップの第1の面に取り付けられ、透明ストリップは、第2の面に隣接して配置された携帯端末の光源から提供される光を反射し、光を染料パッドに透過する。
【0009】
しかしながら、体液サンプル中の分析物濃度を測定する目的で家庭用電化製品を使用することに伴う利点にもかかわらず、いくつかの技術的課題が残っている。具体的には、周囲光は、スマートフォンのカメラなどの携帯型装置のカメラによって検出される光に大きく寄与する可能性がある。したがって、判定された分析物濃度に対する周囲光の影響を一般に考慮する必要があり、これまでのところ、例えば米国特許出願公開第2017/0343480号明細書から知られているような照明構成、追加の結合手段、および特別に設計された試験ストリップの複雑な組み合わせを必要とする。特に、追加のハードウェアを使用することによって周囲光の影響を考慮する一般的なアプローチは、一般に、ユーザにとって重大な不便と経済的負担の増加とをもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許出願公開第2006/0051738号明細書
【文献】米国特許出願公開第2018/0172591号明細書
【文献】米国特許出願公開第2005/0109951号明細書
【文献】米国特許出願公開第2017/0343480号明細書
【発明の概要】
【0011】
解決すべき課題
したがって、分析測定の上述した技術的課題に対処する装置および方法を提供することが望ましい。具体的には、追加のハードウェアを必要とせずに、体液サンプル中の分析物濃度を判定または測定する際の周囲光の影響を軽減する光学試験ストリップ、キット、および方法が提供される必要がある。
【0012】
概要
この課題は、独立請求項の特徴を備えた体液サンプル中の分析物濃度を測定するための光学試験ストリップ、キットおよび方法によって対処される。単独で、または任意の組み合わせで実現されることができる有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0013】
以下において使用されるように、用語「有する」、「備える」もしくは「含む」またはそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な方法で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴に加えて、この文脈で説明されているエンティティにさらなる特徴が存在しない状況と、1つ以上の追加の特徴が存在する状況との双方を指す場合がある。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」および「AはBを含む」という表現は、双方とも、B以外に、他の要素がAに存在しない状況(すなわち、Aが単独で且つ排他的にBからなる状況)、および、B以外に、要素C、要素CおよびD、さらにはさらなる要素など、1つ以上のさらなる要素がエンティティAに存在する状況を指す場合がある。
【0014】
さらに、特徴または要素が1回以上存在することができることを示す「少なくとも1つ」、「1つ以上」という用語または同様の表現は、通常、それぞれの特徴または要素を導入するときに一度だけ使用されることに留意されたい。以下では、ほとんどの場合、それぞれの特徴または要素を指すとき、それぞれの特徴または要素が1回または1回以上存在することができるという事実にもかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つ以上」という表現は繰り返されない。
【0015】
さらに、以下において使用されるように、用語「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「より特に」、「具体的に」、「より具体的に」または同様の用語は、代替の可能性を制限することなく、任意の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は、任意の特徴であり、決して特許請求の範囲を制限することを意図したものではない。本発明は、当業者が認識するように、代替の特徴を使用することによって実施されることができる。同様に、「本発明の実施形態において」または同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替の実施形態に関するいかなる制限もない、本発明の範囲に関するいかなる制限もない、およびそのような方法で導入された特徴を本発明の他の任意または非任意の特徴と組み合わせる可能性に関するいかなる制限もない任意の特徴であることを意図している。
【0016】
第1の態様では、体液サンプル中の分析物濃度を測定するための光学試験ストリップが開示されている。光学試験ストリップは、少なくとも1つの透明領域および試験フィールドを有する試験ストリップキャリアを備える。試験フィールドは、少なくとも1つのキャリア箔、キャリア箔に適用される少なくとも1つの試験化学物質、および少なくとも1つの多孔質材料を備える。
【0017】
したがって、本明細書で使用される「光学試験ストリップ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、体液サンプル中の分析物濃度を測定するために構成された任意の要素を指すことができる。光学試験ストリップは、特に、色変化検出反応を実行し、それによって分析物濃度に関する光学的に検出可能な情報を提供するように構成されることができる。一例として、光学試験ストリップは、特にストリップ形状とすることができ、したがって、試験ストリップは、長くて狭い形状を有することができる。
【0018】
本明細書で使用される「分析物」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、特に、これらに限定されるものではないが、検出および/または測定される1つ以上の特定の化合物および/または他のパラメータを指すことができる。一例として、少なくとも1つの分析物は、グルコース、コレステロール、またはトリグリセリドのうちの1つ以上など、代謝に関与する化合物とすることができる。追加的にまたは代替的に、例えばpH値など、他のタイプの分析物またはパラメータを判定することができる。
【0019】
本明細書で使用される「サンプル中の分析物濃度を測定する」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、任意のサンプル中の少なくとも1つの分析物の定量的および/または定性的判定を指すことができる。例えば、サンプルは、血液、間質液、尿、唾液または他のタイプの体液などの体液を含むことができる。一例として、測定の結果は、分析物の濃度および/または測定される分析物の存在または不在とすることができる。具体的には、一例として、測定は、血糖測定とすることができ、したがって、測定の結果は、例えば、血糖濃度とすることができる。
【0020】
したがって、本明細書で使用される「試験ストリップキャリア」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、光学試験ストリップ、特に試験フィールドに安定化手段を提供するように構成された任意の基材を指すことができる。試験ストリップキャリアは、具体的には、例えば矩形ストリップの形状などのストリップ形状を有することができる。一例として、試験ストリップキャリアは、可撓性を有するおよび/または変形可能とすることができる。一例として、試験ストリップキャリアは、例えば、2mmから5mmなどの1mmから20mmの試験ストリップの長手軸に垂直な横方向延長部などの幅を有することができる。試験ストリップキャリアは、さらに、例えば、15mmから50mmなどの10mmから70mmの長手方向延長部などの長さを有することができる。長さは、例えば少なくとも1.5の係数など、幅を超えてもよい。試験ストリップキャリアは、さらに、例えば500マイクロメートルから1mmなどの100マイクロメートルから2mmの厚さを有することができる。試験ストリップキャリアは、完全にまたは部分的に、プラスチック材料、セラミック材料または紙のうちの1つ以上などの少なくとも1つの材料から作製されることができる。具体的には、試験ストリップキャリアは、完全にまたは部分的に、少なくとも1つのプラスチック箔から作製されることができる。試験ストリップキャリアは、単層または複数の層から作製されることができる。試験ストリップキャリアは、具体的には、可視光に対して完全にまたは部分的に不透明である少なくとも1つの材料を含むことなどによって、不透明とすることができる。
【0021】
試験ストリップキャリアは、例えば、完全にまたは部分的に半透明材料から作製された領域、または試験ストリップキャリアに少なくとも1つの開口、突破口もしくは孔を有する領域など、少なくとも1つの透明領域を有する。一例として、透明領域は、円形、楕円形、または多角形の形状を有することができる。一例として、透明領域は、試験ストリップキャリアの非透明または不透明材料によって完全にまたは部分的に囲まれることができる。一例として、透明領域は、試験ストリップキャリア内に少なくとも1つの窓、具体的には窓開口を形成することができる。以下にさらに詳細に概説されるように、具体的には、窓または窓開口は、試験フィールドによって完全にまたは部分的に覆われることができ、これは、一例として、少なくとも1つの透明領域の領域において試験ストリップキャリアに適用され、それによって、例えば少なくとも窓を覆うことができる。しかしながら、透明領域は、例えば、試験ストリップを完全に覆うなど、試験ストリップ全体にわたって拡大されることができる。したがって、特に、試験ストリップキャリア自体は、例えば、完全に透明材料から作製されることができ、したがって、例えば、それ自体が透明領域とすることができる。
【0022】
本明細書で使用される「試験フィールド」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、少なくとも1つの分析物を検出するための少なくとも1つの量の試験化学物質を有する任意の要素を指すことができる。一例として、試験フィールドは、試験化学物質を含む少なくとも1つの層を含むことができる。一例として、試験フィールドは、層状構造を有する任意の層状要素を含むことができ、試験化学物質は、層状構造の少なくとも1つの層によって構成される。特に、用語は、例えば、試験化学物質が適用されたキャリア箔などの試験フィールドの少なくとも1つの層を有する材料の1つ以上の層を有する、円形、多角形または矩形の形状のフィールドなどのフィールドなど、コヒーレントな量の試験化学物質を指すことができる。サンプルを拡散するための拡散特性を提供するか、または例えば少なくとも1つの多孔質材料を含むことによって、細胞成分などのサンプルの粒子成分を分離するためなどの分離特性を提供する他の層が存在することができる。
【0023】
特に、試験フィールドは、サンプルに含まれる固体成分を少なくとも部分的にフィルタにかけて除去するために、少なくとも1つの多孔質材料、例えば、完全にまたは部分的に多孔質である材料を含む。特に、多孔質材料は、サンプルの粒子または固体成分を分離するように構成されることができる。したがって、多孔質材料は、具体的には、例えば二酸化チタン(TiO2)などのフィルタ材料とすることができるか、またはそれを含むことができる。特に、多孔質材料は、例えば、体液サンプル中に含まれる細胞成分をフィルタにかけて除去することができる。
【0024】
さらに、試験フィールドは、少なくとも1つのキャリア箔を備える。試験フィールドの少なくとも1つのキャリア箔は、試験ストリップキャリアに適用され、試験ストリップキャリアの透明領域を覆う。したがって、キャリア箔は、例えば、試験ストリップキャリアの透明領域、例えば、開口または孔を覆うか、または重なることができる。具体的には、キャリア箔は、試験ストリップキャリアの開口または孔などの透明領域を覆うのに適しているように、固有の剛性を有する材料とすることができるか、またはそれを含むことができる。
【0025】
本明細書で使用される「キャリア箔」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、任意のフィルム状材料を指すことができる。具体的には、キャリア箔は、第1の伸長方向のキャリア箔が、第1の方向に直交して延びる別の方向のキャリア箔の伸長よりも少なくとも10倍小さくすることができる箔形状を有することができる。キャリア箔は、具体的には、少なくとも1つの可撓性または変形可能なプラスチック箔などの少なくとも1つの可撓性または変形可能な材料から作製されることができる。一例として、プラスチック箔は、10マイクロメートルから500マイクロメートルの厚さを有することができる。具体的には、キャリア箔は、可視スペクトル範囲で半透明である少なくとも1つの透明なプラスチック材料など、少なくとも1つの透明なマトリックス材料を含むことができる。例を以下においてさらに詳細に説明する。
【0026】
特に、キャリア箔は、複雑な構造、例えば、1つ以上の材料の層を有する層状構造を含むことができる。したがって、キャリア箔は、透明なマトリックス材料の少なくとも1つの層を具体的に含むことができる。他の層、例えば、粘着剤層、接着テープ層、または結合のための他の層などの接着剤層が存在することができる。
【0027】
キャリア箔は、さらに、550nm≦WLlow≦650nmを有するλblc≦WLlowの波長λblcを有する光を本質的に遮断するように適合された少なくとも1つの波長フィルタ構成要素を有する。特に、WLlowは、少なくとも1つの波長フィルタ構成要素を特徴付ける波長を指す。本明細書で使用される「光」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、電磁スペクトル内の波長を有する電磁放射を指すことができる。具体的には、以下に言及される光という用語は、具体的には、少なくとも10nm≦λe≦1200nm、特に100nm≦λe≦1200nm、より具体的には250nm≦λe≦1200nm、さらに具体的には400nm≦λe≦1200nmの範囲の波長λeを有する電磁放射とすることができるか、またはそれを含むことができる。
【0028】
特に、波長フィルタ構成要素は、例えば、具体的にはキャリア箔の少なくとも1つの層内のキャリア箔の透明なマトリックス材料など、キャリア箔のマトリックス材料に導入または混合されることができる。追加的にまたは代替的に、波長フィルタ構成要素は、マトリックス材料中に分散されるか、または例えば、共有結合、化学結合またはイオン結合によるなど、マトリックス材料に化学的に結合されるかの1つ以上によって、マトリックス材料に実装されることができる。追加的にまたは代替的に、波長フィルタ構成要素はまた、例えば、マトリックス材料の少なくとも1つの層の片側または両側に配置された少なくとも1つの層など、少なくとも1つのフィルタ層を形成することができる。
【0029】
本明細書で使用される「本質的に遮断する」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、電磁放射の大部分が物質を通過するのを停止または遮断されるプロセスを指すことができる。特に、特徴的な波長WLlowを有し且つ波長λblcを有する光を本質的に遮断するように構成された波長フィルタ構成要素は、キャリア箔を透過または通過することから、波長λblc≦WLlowを有する電磁放射の強度の80%以上を吸収または反射する一方または双方を行うように具体的に構成されることができる。したがって、特徴的な波長WLlowを有し且つ波長λblcを有する光を本質的に遮断するように構成された波長フィルタ構成要素は、キャリア箔を通る波長λblc≦WLlowを有する光の20%未満、特に10%未満、より具体的には5%未満を透過するように具体的に構成されることができる。透過率は、具体的には、例えば、フィルタによって透過された電磁放射を、フィルタに入射する光の開始強度によって割った値に100%を掛けたものなど、光の強度の商として定義されることができる。
【0030】
少なくとも1つの波長フィルタ構成要素の遮断効果は、様々な物理的原理に基づくことができる。したがって、一例として、波長フィルタ構成要素は、例えば少なくとも1つの有機または無機染料などの少なくとも1つの染料など、光を吸収するのに適した少なくとも1つのフィルタ材料を、具体的には波長選択的な方法で含むことができる。一例として、フィルタ材料、例えば少なくとも1つの染料は、上記概説したように、少なくとも1つのマトリックス材料に導入されることができる。追加的にまたは代替的に、フィルタ材料はまた、少なくとも1つのフィルタ層、例えば、キャリア箔の片側または両側に直接的にまたは間接的に適用されているフィルタ材料の少なくとも1つの層によって構成されることができる。さらに、吸収に加えて、または吸収の代替として、遮断効果はまた、例えば波長選択的な方法で、反射によって達成されることができる。したがって、一例として、および以下にさらに詳細に概説されるように、波長フィルタ構成要素は、異なる光屈折率を有する複数の層を含む少なくとも1つの多層セットアップを含むことができる。したがって、一例として、波長フィルタ構成要素は、例えば、周期的に変化する屈折率などの変化する屈折率を有する層などの少なくとも1つの有機または無機材料の複数の層を有する少なくとも1つの干渉フィルタなど、少なくとも1つの干渉フィルタを含むことができる。一例として、層セットアップは、片側または両側のキャリア箔に直接的にまたは間接的に適用されることができる。追加的にまたは代替的に、キャリア箔自体は、波長選択要素の一部とすることができる。名称付きの可能性の組み合わせが可能である。
【0031】
試験フィールドは、さらに、キャリア箔に直接的にまたは間接的に適用された少なくとも1つの試験化学物質を含む。試験化学物質は、分析物に対して光学的に検出可能な検出反応を実行するように構成されている。本明細書で使用される「試験化学物質」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、分析物の存在下で検出反応を実行するのに適した化合物の混合物などの化合物または複数の化合物を指すことができ、検出反応は、光学的になど、特定の手段によって検出可能である。検出反応は、具体的には分析物特異的とすることができる。試験化学物質は、この場合、具体的には、分析物の存在下で色が変化する色変化試験化学物質などの光学試験化学物質とすることができる。色変化は、具体的には、サンプルに存在する分析物の量に依存することができる。試験化学物質は、一例として、グルコースオキシダーゼおよび/またはグルコースデヒドロゲナーゼなどの少なくとも1つの酵素を含むことができる。さらに、1つ以上の色素、メディエータなどの他の成分が存在することができる。試験化学物質は、一般に当業者に知られており、J.20 Hones et al.:Diabetes Technology and Therapeutics,Vol.10,Supplement 1,2008,pp.10-26を参照することができる。しかしながら、他の試験化学物質も可能である。
【0032】
試験化学物質は、さらに、少なくとも部分的に、例えば完全にまたは部分的に、650nm<λabs≦1100nmの範囲の少なくとも1つの吸収波長λabsを有する光を吸収するように構成されている。特に、少なくとも1つの吸収波長λabsを有する光は、特に試験化学物質によって完全にまたは部分的に吸収されることができる。本明細書で使用される「吸収」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、原子の電子などの物質によって吸収されるエネルギのプロセスを指すことができる。したがって、特に、少なくとも1つの吸収波長λabsを有する光の電磁エネルギは、少なくとも部分的に試験化学物質によって吸収されることができ、それによって、例えば、試験化学物質の内部エネルギに変換されることができる。したがって、一例として、試験化学物質は、具体的には、消光係数または減衰係数α>0を有することができる。
【0033】
一例として、波長λblcを有する光を本質的に遮断するように適合された波長フィルタ構成要素の遮断波長λblcについて、具体的には、例えば、100nm≦λblc≦WLlow、250nm≦λblc≦WLlow、または400nm≦λblc≦WLlowなど、10nm≦λblc≦WLlowを適用することができる。したがって、特に、波長フィルタ構成要素は、紫外線範囲からWLlowまでの全ての光を本質的に遮断するように適合されることができる。具体的には、波長フィルタ構成要素は、例えば、UV範囲の電磁放射などの紫外線(UV)光、ならびに可視光、具体的には、WLlow以下の人間の眼に見える電磁放射を本質的に遮断するように構成されることができる。
【0034】
特に、波長フィルタ構成要素は、キャリア箔内に配置されることができる。具体的には、波長フィルタ構成要素は、例えば、キャリア箔の材料内で混合されるなど、キャリア箔内に分散されることができる。
【0035】
一例として、波長フィルタ構成要素は、ロングパスフィルタ構成要素およびバンドパスフィルタ構成要素からなる群から選択されることができる。具体的には、例えば、波長フィルタ構成要素は、波長λblc≦WLlowを有する光を本質的に遮断するように構成されることができるなど、波長フィルタ構成要素は、具体的にはロングパスフィルタとすることができるか、またはそれを含むことができる。あるいは、波長フィルタ構成要素は、バンドパスフィルタとすることができるか、またはそれを含むことができる。バンドパスフィルタは、具体的には、ロングパスフィルタおよびショートパスフィルタの組み合わせとすることができるか、またはそれらを含むことができ、したがって、例えば、波長帯域内でのみ、所定の波長範囲内の光のみを透過することができる。したがって、特に、波長フィルタ構成要素は、波長λblc≧WLhighを有する光を遮断するようにさらに構成されることができる。具体的には、WLhighは、少なくとも1つの波長フィルタ構成要素をさらに特徴付ける追加の波長を指すことができる。一例として、波長フィルタ構成要素は、例えば、WLhigh以上の波長を有する光、ならびにWLlow以下の波長を有する光を本質的に遮断するように構成されることができる。
【0036】
特に、波長フィルタ構成要素は、具体的には、少なくとも1つのロングパスフィルタとすることができるか、またはそれを含むことができる。ロングパスフィルタは、特に、光の波長とともに立ち上がる透過エッジを有することができる。したがって、ロングパスフィルタは、具体的には、光の透過率が高いほど、長い波長を示すことができる。特に、ロングパスフィルタを通過する光の透過率は、波長の立ち上がりとともに立ち上がることができる。さらに、ロングパスフィルタは、特徴的な波長λLPを有することができる。したがって、WLlowは、λLPに等しくすることができる。特に、λLPにおけるロングパスフィルタの透過率TLPは、ロングパスフィルタの最大透過率TLPmaxの50%とすることができる。したがって、特徴的な波長λLPは、λLPにおけるロングパスフィルタの透過率TLPがロングパスフィルタの最大透過率TLPmaxの50%とすることができるように定義されることができる。特に、一例として、例えばその透過範囲におけるロングパスフィルタが85%の最大透過率を有する場合、この場合の特徴的な波長λLPは、例えば波長が立ち上がる透過スペクトルを表示する場合、ロングパスフィルタが0.5×85%=42.5%の透過率を達成する波長として定義される。特に、ロングパスフィルタの最大透過率は、例えば、少なくとも75%、具体的には少なくとも80%、より具体的には少なくとも85%、さらには少なくとも90%または少なくとも95%とすることができる。
【0037】
さらに、ロングパスフィルタは、透過エッジの立ち上がりの急勾配SLPを有することができる。特に、ロングパスフィルタが、λLP未満の波長を有する光の最大部分およびλLP以上またはそれを超える波長を有する光の最大部分を遮断または吸収するために、急勾配の透過エッジを有する場合に好ましくすることができる。ロングパスフィルタの急勾配は、一般に、単位電子ボルト(eV)で報告されることができ、以下のように定義されることができる。
SLP=h・c・[(1/λblc)-(1/λtrans)]。(1)
【0038】
式(1)において、λblcは、具体的には、ロングパスフィルタが本質的に光を遮断する波長以下とすることができる。したがって、波長λblcでは、ロングパスフィルタの透過率TLPは、具体的には20%よりも小さく、特に10%よりも小さく、より具体的には5%よりも小さくすることができる。さらに、λtransは、ロングパスフィルタがロングパスフィルタの最大透過率TLPmaxの95%の値に到達する波長以上であると定義されることができる。したがって、λtransよりも小さい波長では、ロングパスフィルタの透過率TLPは、ロングパスフィルタの最大透過率TLPmaxの95%未満とすることができ、λtrans以上の波長では、透過率TLPは、TLPmaxの≧95%、例えばTLPmaxの95%から100%とすることができる。例えば、特に透過領域においてロングパスフィルタが85%の最大透過率を有する場合、λtransは、例えば波長が立ち上がると、透過率が0.95×85%=80.75%の値に到達する波長として定義されることができる。さらに、ロングパスフィルタの急勾配に関する上記の式では、パラメータhは、プランク定数(h≒6.626・10-34Js)を示し、cは、真空中の光速(c≒3.0・108m/s)を示す。そのような方法で定義された急勾配では、具体的には、急勾配SLPは、例えば、0eV<SLP≦1.2eV、具体的には0.1eV≦SLP≦1.1eV、より具体的には0.2eV≦SLP≦0.9eVとすることができる。
【0039】
特に、少なくとも1つの波長フィルタ構成要素を特徴付ける特徴的な波長WLlowは、例えば、550nm≦WLlow≦650nmの範囲、具体的には600nm≦WLlow≦650nmの範囲、より具体的には625nm≦WLlow≦650nmの範囲内とすることができる。
【0040】
光学試験ストリップの試験フィールドは、特に、以下からなる群から選択される形状を有することができる:矩形、正方形、丸形、円形。さらに、試験フィールドは、少なくとも1つの拡散層を含むことができる。特に、拡散層は、体液サンプルを、サンプルが適用されることができる試験フィールドの表面全体に均等に拡散または分配するように構成されることができる。
【0041】
波長フィルタは、例えば、干渉フィルタ、具体的にはハイパス干渉フィルタを含むことができる。したがって、本明細書で使用される「干渉フィルタ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、対象となる全ての波長に対してほぼゼロの吸収係数を維持しながら、1つ以上のスペクトル帯域またはラインを反射し、他のスペクトル帯域またはラインを透過する光学フィルタを指すことができる。一例として、干渉フィルタは、異なる屈折率を有する誘電体材料の複数の層を含むことができる。特に、干渉フィルタは、波長選択特性を備えている。したがって、一例として、カットオフ周波数とも呼ばれる特徴的な波長λHPFを有するハイパス干渉フィルタは、λHPF未満の波長を有する全ての光を選択的に遮断または減衰することができ、ハイパス干渉フィルタは、λHPFよりも高い波長を有する全ての光を透過することができる。
【0042】
干渉フィルタは、具体的には、キャリア箔の少なくとも1つの表面に配置されることができる。一例として、干渉フィルタは、例えば別個の層として、キャリア箔の上面に直接的にまたは間接的に適用されることができる。追加的にまたは代替的に、干渉フィルタは、キャリア箔の下面に直接的にまたは間接的に適用されることができる。したがって、干渉フィルタは、例えば、キャリア箔の上面および下面の双方に配置されることができる。
【0043】
さらに、光学試験ストリップ、具体的にはキャリア箔は、少なくとも1つのさらなるフィルタ構成要素を含むことができる。特に、少なくとも1つのさらなるフィルタ構成要素は、ショートパスフィルタを含むことができる。具体的には、ショートパスフィルタは、光の波長とともに低下する透過エッジを有することができる。したがって、ショートパスフィルタは、波長を減少させるために光の透過率の増加を具体的に示すことができる。特に、ショートパスフィルタを通過する光の透過率は、波長の立ち上がりとともに低下することができる。さらに、ショートパスフィルタは、特徴的な波長λSPを有することができ、λSPは、WLhighに等しくすることができる。特に、λSPにおけるショートパスフィルタの透過率TSPは、ショートパスフィルタの最大透過率TSPmaxの50%とすることができる。例えば、ショートパスフィルタの特徴的な波長λSPは、630nm≦λSP≦800nmの範囲、具体的には640nm≦λSP≦680nmの範囲内とすることができる。
【0044】
一例として、さらなるフィルタ構成要素、具体的にはショートパスフィルタは、ショートパス干渉フィルタとすることができるか、またはそれを含むことができる。具体的には、ショートパス干渉フィルタは、例えば、上記定義された干渉フィルタとすることができる。特に、ショートパス干渉フィルタは、異なる屈折率を有する誘電体材料の複数の層を含むことができる。特に、ショートパス干渉フィルタはまた、波長選択特性を含むことができる。したがって、一例として、ショートパス干渉フィルタは、特徴的な波長λSPFを有することができ、λSPFよりも高い波長を有する全ての光を選択的に遮断または減衰することができ、ショートパス干渉フィルタは、λSPFよりも低い波長を有する全ての光を透過することができる。
【0045】
光学試験ストリップ、具体的にはキャリア箔は、例えば、フィルタ構成要素の組み合わせを含むことができる。一例として、光学試験ストリップは、例えばハイパス干渉フィルタおよびショートパス干渉フィルタなど、ロングパスフィルタおよびショートパスフィルタの組み合わせを含むことができる。しかしながら、他のフィルタの組み合わせも可能である。
【0046】
特に、さらなるフィルタ構成要素は、波長λ≧WLhighを有し、WLhigh>WLlow、例えば、WLlow+20nm≦WLhigh≦WLlow+60nm、例えば、WLlow+30nm≦WLhigh≦WLlow+50nmなど、具体的にはWLhigh≧WLlow+20nm、より具体的にはWLhigh≧WLlow+30nmを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されることができる。
【0047】
特に、キャリア箔は、例えば、以下からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことができる:熱可塑性材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリカーボネート(PC)、具体的にはPokalon(登録商標)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)。さらに、一例として、試験ストリップキャリアは、以下からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含むことができる:プラスチック材料、熱可塑性材料、ポリカーボネート、具体的にはMakrolon(登録商標)またはLexan(登録商標)。
【0048】
光学試験ストリップは、例えば、少なくとも1つの参照カラーフィールドをさらに含むことができる。本明細書で使用される「参照カラーフィールド」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、既知の特性の所定の色を有する任意の二次元領域を指すことができる。特に、参照カラーフィールドは、例えば、白色を有するフィールドなどの少なくとも1つの白色フィールドを含むことができる。さらに、参照カラーフィールドは、以下からなる群から選択される形状を有することができる:正方形、丸形、円形。
【0049】
特に、参照カラーフィールドは、例えば、参照として使用されることができる。具体的には、試験フィールドに適用されるサンプル内の分析物濃度を判定するとき、参照カラーフィールドの色を参照として使用して、試験化学物質と分析物との光学的に検出可能な検出反応と比較することができる。
【0050】
本発明のさらなる態様では、携帯型装置を使用することによって、光学試験ストリップの試験フィールドに適用される体液サンプル中の分析物濃度を測定するための方法が開示される。本方法は、所与の順序で実行されることができる以下の方法ステップを備える。しかしながら、異なる順序も可能である。さらに、1つ、複数、さらには全ての方法ステップを1回または繰り返し実行することができる。さらに、方法ステップは、連続して実行されてもよく、あるいは、2つ以上の方法ステップが、適時に重複して、または並行してさえも実行されてもよい。本方法は、さらに、記載されていない追加の方法ステップを含むことができる。
【0051】
本方法は、以下のステップを含む:
i)550nm≦WLlow≦650nmを有するλblc≦WLlowの波長λblcを有する光を本質的に遮断するように適合された少なくとも1つの波長フィルタ構成要素を有する光学試験ストリップを提供することと、
ii)携帯型装置を提供することであって、携帯型装置が、少なくとも1つのカメラおよび少なくとも1つの波長フィルタを備え、波長フィルタが、800nm≦WLhigh≦1000nmを有する1200nm≧λ≧WLhighの波長λを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている、ことと、
iii)体液サンプルを試験フィールドに適用することと、
iv)携帯型装置のカメラを使用することによってサンプルが適用された試験フィールドの少なくとも1つの画像を撮像することと、
v)試験フィールドの試験化学物質の光学的に検出可能な検出反応を評価することにより、試験フィールドに適用された体液サンプルの分析物濃度を判定すること。
【0052】
本明細書で使用される「携帯型装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、携帯型電子装置、より具体的には、携帯電話またはスマートフォンなどの携帯型通信装置を指すことができる。追加的にまたは代替的に、携帯型装置はまた、少なくとも1つのカメラを有するタブレットコンピュータまたは別のタイプの携帯型コンピュータを指すことができる。
【0053】
本明細書で使用される「カメラ」という用語は、広義の用語であり、当業者にその通常の慣習的な意味を与えられるべきであり、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。用語は、具体的には、限定されるものではないが、空間的に分解された一次元、二次元、または三次元の光学情報を記録または撮像するように構成された少なくとも1つの撮像素子を有する装置を指すことができる。一例として、カメラは、画像を記録するように構成された少なくとも1つのCCDチップおよび/または少なくとも1つのCMOSチップなどの少なくとも1つのカメラチップを含むことができる。本明細書で使用される場合、限定されるものではないが、「画像」という用語は、具体的には、カメラチップの画素などの撮像素子からの複数の電子読み取りなど、カメラを使用することによって記録されたデータに関連することができる。したがって、画像自体は、画素を含むことができ、画像の画素は、カメラチップの画素に相関する。
【0054】
カメラは、具体的には、カラーカメラとすることができる。したがって、例えば画素ごとに、3色R、G、Bの色値の色値などの色情報が提供または生成されることができる。各画素に4色など、より多くの色値も可能である。カラーカメラは、一般に当業者に知られている。したがって、一例として、カメラチップの各画素は、赤色(R)用の1画素、黄色(G)用の1画素、および青色(B)用の1画素のようなカラー記録画素など、3つ以上の異なるカラーセンサを有することができる。R、G、Bなどの各画素について、それぞれの色の強度に応じて、値は、0から255の範囲のデジタル値などの画素によって記録されることができる。一例として、R、G、Bなどのカラートリプルを使用する代わりに、C、M、Y、Kなどの4部を使用することもできる。これらの技術は、一般に当業者に知られている。
【0055】
携帯型装置の波長フィルタは、カメラチップ、例えば、少なくとも1つのCMOSチップに統合されることができる。したがって、具体的には携帯型装置のカメラを使用して画像を撮像する場合、1200nm≧λ≧WLhighの波長λを有する光は、本質的に遮断されることができる。したがって、特に、携帯型装置を使用して画像を記録する場合、特徴的な波長WLhighを有する波長フィルタは、波長λを有する光が記録されるのを本質的に遮断することができる。
【0056】
用語のさらに可能な定義および可能な実施形態については、上記与えられた、または以下にさらに説明されるような光学試験ストリップの説明を参照することができる。
【0057】
携帯型装置は、さらに、少なくとも1つの照明源を備えることができる。照明源は、具体的には、携帯型装置を使用して物体の画像を撮像するときに物体を照明する目的で発光するように構成されることができる。特に、方法ステップiv)は、さらに、特に携帯型装置の照明源を使用することによって、光学試験ストリップ、具体的には試験フィールドを照明することを含むことができる。
【0058】
光学試験ストリップは、例えば、少なくとも1つの参照カラーフィールドを含むことができる。特に、本方法は、さらに、携帯型装置、例えば、携帯型装置のカメラを使用することによって、参照カラーフィールドの少なくとも1つの画像を撮像するステップvi)を含むことができる。さらに、方法ステップvi)は、光学試験ストリップ、具体的には参照カラーフィールドを照明することを含むことができる。
【0059】
特に、携帯型装置の波長フィルタは、少なくとも1つのショートパスフィルタを備えることができる。一例として、ショートパスフィルタは、具体的には、光の波長とともに低下する透過エッジを有することができる。したがって、ショートパスフィルタは、具体的には、波長が低いほど、光の透過率の立ち上がりを示すことができる。特に、ショートパスフィルタを通過する光の透過率は、波長の立ち上がりとともに低下することができる。さらに、ショートパスフィルタは、特徴的な波長λSPを有することができる。したがって、WLhighは、λSPに等しくすることができる。特に、一例として、λSPにおけるショートパスフィルタの透過率TSPは、ショートパスフィルタの最大透過TSPmaxの50%とすることができる。
【0060】
特に、携帯型装置の少なくとも1つの波長フィルタを特徴付ける特徴的な波長WLhighは、例えば、800nm≦WLhigh≦1000nmの範囲、具体的には800nm≦WLhigh≦950nmの範囲、より具体的には、800nm≦WLhigh≦900nmの範囲内とすることができる。
【0061】
具体的には、光学試験ストリップは、一例として、上記開示された、または以下にさらに説明されるような光学試験ストリップとすることができるか、またはそれを含むことができる。
【0062】
本発明のさらなる態様では、体液サンプル中の分析物濃度を測定するためのキットが開示される。キットは、上記または以下にさらに詳細に説明される実施形態のいずれか1つにかかる光学試験ストリップと、少なくとも1つのカメラを備える携帯型装置とを備える。携帯型装置は、さらに、少なくとも1つの波長フィルタを備え、波長フィルタは、800nm≦WLhigh≦1000nmを有する1200nm≧λ≧WLhighの波長λを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている。
【0063】
特に、携帯型装置は、さらに、少なくとも1つの照明源を備えることができる。具体的には、携帯型装置の少なくとも1つの照明源は、携帯型装置を使用して、例えば光学試験ストリップなどの物体の画像を撮像するときに、光学試験ストリップなどの物体を照明するように構成されることができる。
【0064】
さらに、携帯型装置は、少なくとも1つのプロセッサを備えることができる。一例として、プロセッサは、上述したまたは以下にさらに説明する、携帯型装置を使用することによって光学試験ストリップの試験フィールドに適用される体液サンプル中の分析物濃度を測定するための方法の方法ステップii)からv)を実行するように構成されることができる。さらに、プロセッサはまた、本方法の方法ステップvi)を実行するように構成されることができる。
【0065】
本発明にかかる装置および方法は、体液サンプル中の分析物濃度を測定するための公知の方法および装置に勝る多くの利点を提供することができる。したがって、具体的には、本発明は、一般的な装置および方法よりも周囲の照明条件からより独立していることができる。特に、一例として、試験化学物質の光学的に検出可能な検出反応、具体的には呈色反応自体は、スペクトル範囲によって変化することができ、例えば、異なるスペクトル範囲について変化することができる。したがって、光学的に検出可能な検出反応は、周囲の照明条件に依存することができる。しかしながら、本発明は、例えば、カメラ用の追加のフィルタなどの追加のカラーフィルタをハードウェア要素として利用することなく、光学的に検出可能な検出反応に対する周囲光の影響を軽減するための装置および方法を提供することができる。特に、一例として、例えば、スマートフォンのカメラなどの携帯型装置を使用することにより、血糖値を検出するために光学試験ストリップなどの熱量測定カラーストリップを分析または評価する場合、特に、異なる周囲の照明条件を補償する必要があり、さらに様々なカメラ固有の特性または特徴を考慮する必要がある場合がある。さらに、一例として、携帯型装置自体の照明源は、例えばスマートフォンなど、携帯型装置の異なるタイプおよびモデルによって異なる場合がある。さらに、一例として、例えばCCDチップまたはCMOSチップにおけるカメラチップなどのRGBチャネルにおいて使用されるカラーフィルタは、様々なカメラについて大きく異なる場合がある。本発明は、狭い周波数範囲でのみ試験化学物質の強度変化を追跡することにより、分析物濃度の評価を可能にすることができる。例えば、結果として、分析物濃度の評価は、例えば照明状況などの周囲の照明条件にあまり依存しないことができ、したがって、公知の方法および装置よりも、観察された呈色反応に明確に起因することができる。
【0066】
要約すると、さらに可能な実施形態を除外することなく、以下の実施形態が想定されることができる。
【0067】
実施形態1:体液サンプル中の分析物濃度を測定するための光学試験ストリップであって、
a)少なくとも1つの透明領域を有する試験ストリップキャリアと、
b)試験フィールドを備え、試験フィールドが、
-少なくとも1つのキャリア箔を含み、キャリア箔が、試験ストリップキャリアに適用され、試験ストリップキャリアの透明領域を少なくとも部分的に覆い、
-キャリア箔に適用される少なくとも1つの試験化学物質を含み、試験化学物質が、分析物との光学的に検出可能な検出反応を実行するように構成され、試験化学物質が、650nm<λabs≦1100nmの範囲内の少なくとも1つの吸収波長λabsを有する光を少なくとも部分的に吸収するように構成され、
-サンプルに含まれる固体成分を少なくとも部分的にフィルタにかけて除去するための少なくとも1つの多孔質材料を含み、
キャリア箔が、550nm≦WLlow≦650nmを有するλblc≦WLlowの波長λblcを有する光を本質的に遮断するように適合された少なくとも1つの波長フィルタ構成要素を有する、光学試験ストリップ。
【0068】
実施形態2:波長フィルタ構成要素が、10nm≦λblc≦WLlow、具体的には100nm≦λblc≦WLlow、より具体的には250nm≦λblc≦WLlow、さらに具体的には400nm≦λblc≦WLlowの波長λblc(146)を有する光を本質的に遮断するように適合されている、先行する実施形態に記載の光学試験ストリップ。
【0069】
実施形態3:波長フィルタ構成要素が、キャリア箔内に配置され、具体的には、波長フィルタ構成要素が、キャリア箔内に分散されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ。
【0070】
実施形態4:波長フィルタ構成要素(121)が、ロングパスフィルタ構成要素およびバンドパスフィルタ構成要素からなる群から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ(110)。
【0071】
実施形態5:波長フィルタ構成要素が、少なくとも1つのロングパスフィルタを備え、ロングパスフィルタが、光の波長とともに立ち上がる透過エッジを有し、ロングパスフィルタが、さらに、特徴的な波長λLPを有し、λLPにおけるロングパスフィルタの透過率が、ロングパスフィルタの最大透過率の50%であり、WLlow=λLPである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ。
【0072】
実施形態6:ロングパスフィルタが、立ち上がり透過エッジの急勾配SLPを有し、0eV<SLP≦1.2eV、具体的には0.1eV≦SLP≦1.1eV、より具体的には0.2eV≦SLP≦0.9eVであり、SLP=h・c・[(1/λblc)-(1/λtrans)]であり、波長λblcでは、ロングパスフィルタの透過率TLPが、TLPmaxの5%以下であり、波長λtransでは、ロングパスフィルタの透過率TLPが95%以上である、先行する実施形態に記載の光学試験ストリップ。
【0073】
実施形態7:600nm≦WLlow≦650nm、具体的には625nm≦WLlow≦650nmである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ。
【0074】
実施形態8:試験フィールドが、正方形、丸形、円形からなる群から選択される形状を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ。
【0075】
実施形態9:試験フィールドが、さらに、少なくとも1つの拡散層を含み、拡散層が、体液サンプルを、サンプルが適用される試験フィールドの表面上に均等に拡散または分配するように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ。
【0076】
実施形態10:波長フィルタ構成要素が干渉フィルタを含み、干渉フィルタが、特徴的な波長λHPFを有し、WLlow=λHPFである、先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ。
【0077】
実施形態11:干渉フィルタが、キャリア箔の少なくとも1つの表面、具体的にはキャリア箔の上面、キャリア箔の下面、またはキャリア箔の上面および下面の双方に配置されている、先行する実施形態に記載の光学試験ストリップ。
【0078】
実施形態12:光学試験ストリップ(110)、具体的にはキャリア箔(120)が、少なくとも1つのさらなるフィルタ構成要素を含み、前記少なくとも1つのさらなるフィルタ構成要素が、ショートパスフィルタを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ(110)。
【0079】
実施形態13:さらなるフィルタ構成要素が、例えば、WLlow+20nm≦WLhigh≦WLlow+60nm、例えば、WLlow+30nm≦WLhigh≦WLlow+50nmなど、具体的にはWLhigh≧WLlow+20nm、より具体的にはWLhigh≧WLlow+30nmであるWLhigh>WLlowの波長λ≧WLhighを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている、先行する請求項に記載の光学試験ストリップ(110)。
【0080】
実施形態14:キャリア箔が、熱可塑性材料、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリカーボネート(PC)、具体的にはPokalon(登録商標)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ。
【0081】
実施形態15:試験ストリップキャリアが、プラスチック材料、熱可塑性材料、ポリカーボネート、具体的にはMakrolon(登録商標)またはLexan(登録商標)からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ。
【0082】
実施形態16:光学試験ストリップが、さらに、少なくとも1つの参照カラーフィールドを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ。
【0083】
実施形態17:参照カラーフィールドが少なくとも1つの白色フィールドを含む、先行する実施形態に記載の光学試験ストリップ。
【0084】
実施形態18:参照カラーフィールドが、正方形、丸形、円形からなる群から選択される形状を有する、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップ。
【0085】
実施形態19:携帯型装置を使用することによって光学試験ストリップの試験フィールドに適用される体液サンプル中の分析物濃度を測定するための方法であって、
i)550nm≦WLlow≦650nmを有するλblc≦WLlowの波長λblcを有する光を本質的に遮断するように適合された少なくとも1つの波長フィルタ構成要素を有する光学試験ストリップを提供することと、
ii)携帯型装置を提供することであって、携帯型装置が、少なくとも1つのカメラおよび少なくとも1つの波長フィルタを備え、波長フィルタが、800nm≦WLhigh≦1000nmを有するλ≧WLhighの波長λを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている、ことと、
iii)体液サンプルを試験フィールドに適用することと、
iv)携帯型装置のカメラを使用することによってサンプルが適用された試験フィールドの少なくとも1つの画像を撮像することと、
v)試験フィールドの試験化学物質の光学的に検出可能な検出反応を評価することにより、試験フィールドに適用された体液サンプルの分析物濃度を判定すること、を含む、方法。
【0086】
実施形態20:波長フィルタ(134)が、1200nm≧λ≧WLhighの波長λを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている、先行する実施形態に記載の方法。
【0087】
実施形態21:携帯型装置が、さらに、少なくとも1つの照明源を備え、方法ステップiv)が、さらに、具体的には携帯型装置の照明源を使用することによって光学試験ストリップを照明することを含む、方法に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0088】
実施形態22:光学試験ストリップが、さらに、少なくとも1つの参照カラーフィールドを含み、方法が、さらに、携帯型装置を使用することによって参照カラーフィールドの少なくとも1つの画像を撮像するステップvi)を含む、方法に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
実施形態23:方法ステップvi)が、さらに、具体的には携帯型装置の照明源を使用することによって光学試験ストリップを照明することを含む、先行する実施形態に記載の方法。
【0090】
実施形態24:波長フィルタが、少なくとも1つのショートパスフィルタを含み、ショートパスフィルタが、光の波長とともに低下する透過エッジを有し、ショートパスフィルタが、さらに、特徴的な波長λSPを有し、λSPにおけるショートパスフィルタの透過率が、ショートパスフィルタの最大透過率の50%であり、WLhigh=λSPである、方法に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
実施形態25:800nm≦WLhigh≦950nm、具体的には800nm≦WLhigh≦900nmである、方法に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
実施形態26:光学試験ストリップが、光学試験ストリップに言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップを含む、方法に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
実施形態27:体液サンプル中の分析物濃度を測定するためのキットであって、キットが、光学試験ストリップに言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の光学試験ストリップを備え、キットが、さらに、携帯型装置を備え、携帯型装置が、少なくとも1つのカメラを備え、携帯型装置が、さらに、少なくとも1つの波長フィルタを備え、波長フィルタが、800nm≦WLhigh≦1000nmを有するλ≧WLhighの波長λを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている、キット。
【0094】
実施形態28:波長フィルタ(134)が、1200nm≧λ≧WLhighの波長λを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている、先行する実施形態に記載のキット(128)。
【0095】
実施形態29:携帯型装置が、さらに、少なくとも1つの照明源を備える、キットに言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載のキット。
【0096】
実施形態30:携帯型装置が、さらに、少なくとも1つの制御ユニット、具体的には少なくとも1つのプロセッサを備える、キットに言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載のキット。
【0097】
実施形態31:少なくとも1つのプロセッサが、方法に言及する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法の方法ステップiii)からv)を実行するように構成されている、先行する実施形態に記載のキット。
【0098】
図面の簡単な説明
さらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項と併せて、実施形態の後続の説明においてより詳細に開示される。その中で、それぞれの任意の特徴は、当業者が理解するように、独立した方法で、ならびに任意の実行可能な組み合わせで実現されることができる。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に示されている。その中で、これらの図の同一の参照符号は、同一または機能的に匹敵する要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0099】
図では以下のとおりである:
【
図1】斜視図で体液サンプル中の分析物濃度を測定するための光学試験の実施形態を示している。
【
図2】斜視図で体液サンプル中の分析物濃度を測定するためのキットの実施形態を示している。
【
図3】断面図で光学試験ストリップの実施形態を示している。
【
図4A】光学試験ストリップの断面図の異なる実施形態を示している。
【
図4B】光学試験ストリップの断面図の異なる実施形態を示している。
【
図5A】波長フィルタ構成要素の異なる実施形態の透過スペクトルのグラフを示している。
【
図5B】異なる血糖濃度に対する試験化学物質の反射スペクトルのグラフを示している。
【
図5C】異なる血糖濃度に対する試験フィールドの反射スペクトルのグラフを示している。
【
図6A】カメラを有する携帯型装置の実施形態によって記録された赤色のヒストグラムのグラフを示している。
【
図6B】カメラを有する携帯型装置の実施形態によって記録された赤色のヒストグラムのグラフを示している。
【
図7A】携帯型装置を使用することによって光学試験ストリップの試験フィールドに適用された体液サンプル中の分析物濃度を測定するための方法の異なる実施形態のフローチャートを示している。
【
図7B】携帯型装置を使用することによって光学試験ストリップの試験フィールドに適用された体液サンプル中の分析物濃度を測定するための方法の異なる実施形態のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0100】
図1には、斜視図で体液サンプル112中の分析物濃度を測定するための光学試験ストリップ110の実施形態が示されている。光学試験ストリップ110は、少なくとも1つの透明領域116を有する試験ストリップキャリア114を備える。光学試験ストリップ110は、さらに、試験ストリップキャリア114に適用された少なくとも1つのキャリア箔120を備える少なくとも1つの試験フィールド118を備え、キャリア箔120は、少なくとも1つの波長フィルタ構成要素121を有する。試験フィールド118は、さらに、キャリア箔120に適用される少なくとも1つの試験化学物質122であって、分析物との光学的に検出可能な検出反応を実行するように構成された試験化学物質122と、サンプル112に含まれる固体成分を少なくとも部分的にフィルタにかけるための少なくとも1つの多孔質材料124とを含む。さらに、光学試験ストリップ110は、少なくとも1つの参照カラーフィールド126を含むことができる。
【0101】
図2は、斜視図で体液サンプル112中の分析物濃度を測定するためのキット128の実施形態を示している。キット128は、光学試験ストリップ110および携帯型装置130を備える。携帯型装置130は、少なくとも1つのカメラ132および少なくとも1つの波長フィルタ134を備える。さらに、携帯型装置130は、少なくとも1つの照明源136および少なくとも1つのプロセッサ138を備えることができる。
【0102】
図3には、光学試験ストリップ110の実施形態が断面図で示されている。特に、
図3に示されるように、サンプル112は、光学試験ストリップ110、具体的には試験フィールド118の第1の面140に適用されることができ、試験化学物質122の光学的に検出可能な検出反応は、光学試験ストリップ110、具体的には試験フィールド118の第2の面142から評価されることができる。
図4Aおよび
図4Bには、光学試験ストリップ110の断面図の異なる実施形態が示されている。
図4Aおよび
図4Bは、
図3に示される領域IVによって示される光学試験ストリップ110の一部の拡大断面図の実施形態を具体的に示すことができる。具体的には、
図4Aおよび
図4Bは、試験フィールド118の異なる実施形態を示すことができる。
【0103】
図4Aおよび
図4Bに示されるように、試験フィールド118のキャリア箔120は、試験ストリップキャリア114に適用され、試験ストリップキャリア114の透明領域116を少なくとも部分的に覆う。試験フィールド118は、さらに、光学的に検出可能な検出反応を実行するように構成された試験化学物質122を含む。試験化学物質122は、少なくとも1つの吸収波長λ
abs144を有する光を少なくとも部分的に吸収するようにさらに構成され、少なくとも1つの吸収波長λ
abs144は、650nm<λ
abs≦1100nmの範囲内にある。さらに、
図4Aに示されるように、試験フィールド118は、サンプル112に含まれる固体成分を少なくとも部分的にフィルタにかけるための少なくとも1つの多孔質材料124を含む。試験化学物質122および少なくとも部分的に多孔質材料124は、例えば
図4Aに示されるように、別々の層に配置されることができる。特に、
図4Bに示されるように、試験化学物質122および少なくとも部分的に多孔質材料124はまた、1つの層に組み合わされることができる。さらに、試験フィールド118は、体液サンプル112を、サンプル112が適用される試験フィールド118の表面、特に第1の面140上に均等に拡散または分配するように構成された拡散層148を含むことができる。
【0104】
キャリア箔120は、さらに、550nm≦WL
low≦650nmを有するλ
blc≦WL
lowのλ
blcを有する光を本質的に遮断するように適合された少なくとも1つの波長フィルタ構成要素121を有する。特に、波長フィルタ構成要素121は、例えば、キャリア箔120内に配置されることができ、具体的には、波長フィルタ構成要素121は、例えば
図4Aに示されるように、キャリア箔120内に分散されることができる。より具体的には、波長フィルタ構成要素121は、少なくとも1つのロングパスフィルタ150とすることができるか、またはそれを含むことができる。追加的にまたは代替的に、波長フィルタ構成要素121は、少なくとも1つの干渉フィルタ152とすることができるか、またはそれを含むことができる。具体的には、干渉フィルタ152は、キャリア箔120の少なくとも1つの表面、具体的には、
図4Bに示されるように、キャリア箔120の上面に配置されることができる。しかしながら、干渉フィルタ152はまた、キャリア箔120の下面、またはキャリア箔120の上面および下面の双方に適用されることができる。
【0105】
図5Aは、波長フィルタ構成要素121の異なる実施形態の透過スペクトルのグラフを示している。特に、一例として、ロングパスフィルタ150の第1の透過スペクトル154および干渉フィルタ152の第2の透過スペクトル156を示すことができる。具体的には、
図5Aに示されるように、ロングパスフィルタは、x軸160に示される光の波長とともに立ち上がる透過エッジ158を有することができる。y軸162は、具体的には、波長フィルタ構成要素121の透過率を示すことができる。さらに、ロングパスフィルタ150は、特徴的な波長λ
LP164を有することができ、λ
LP164におけるロングパスフィルタ150の透過率T
LP166は、ロングパスフィルタ150の最大透過率T
LPmax168の50%とすることができる。したがって、
図5では、一例として、T
LPmax168は、80%とすることができ、したがって、T
LP166は、0.5×80%=40%とすることができる。さらに、ロングパスフィルタ150は、立ち上がり透過エッジ158の急勾配S
LP170を有することができる。特に、上記の式(1)に記載されているように、S
LPは、波長λ
blc172およびλ
trans174を使用することによって計算されることができる。具体的には、波長λ
blc172では、ロングパスフィルタ150の透過率T
LPは、T
LPmaxの5%以下とすることができ、波長λ
trans174では、ロングパスフィルタ150の透過率T
LPは、T
LPmaxの95%以上とすることができる。
【0106】
さらに、干渉フィルタ152は、特徴的な波長λ
HPF176を有することができ、
図5の第2の透過スペクトル156によって示されるように、干渉フィルタ152は、λ
HPF176未満の波長を有する全ての光を選択的に遮断または減衰することができ、干渉フィルタ152は、λ
HPF176よりも高い波長を有する全ての光を透過することができる
。
【0107】
一例として、波長フィルタ構成要素121は、具体的には、周囲光および携帯型装置130の特性、具体的にはカメラ132の特性とは無関係に、一例として、光学試験ストリップ110、具体的には試験化学物質122の光学的に検出可能な検出反応の強度ベースの評価を可能にすることができる。
【0108】
図5Bは、異なる血糖濃度に対する試験化学物質122の反射スペクトルのグラフを示しており、波長フィルタ構成要素121は、試験フィールド118のキャリア箔120に存在しない。特に、グラフは、試験化学物質122を含むが波長フィルタ構成要素121を有しない様々な試験フィールドの反射スペクトルを示すことができる。例えば、図示された反射の値は、試験化学物質122との接触の20秒後に発生することができる。具体的には、異なる血糖濃度は、x軸160に示される光の波長によって変化することができ、y軸132は、異なる血糖濃度に対する相対反射率、具体的には反射率のパーセンテージを示すことができる。特に、6つの異なる血糖濃度は、グラフの6つの異なる曲線によって示されることができる。具体的には、曲線200は、0ミリグラム/デシリットル(mg/dl)の血糖濃度の反射スペクトルを示すことができ、曲線202は、40mg/dlの血糖濃度の反射スペクトルを示すことができ、曲線204は、80mg/dlの血糖濃度の反射スペクトルを示すことができ、曲線206は、160mg/dlの血糖濃度の反射スペクトルを示すことができ、曲線208は、260mg/dlの血糖濃度の反射スペクトルを示すことができ、曲線210は、440mg/dlの血糖濃度の反射スペクトルを示すことができる。
【0109】
図5Cは、異なる血糖濃度についての試験フィールド118の実施形態の反射スペクトルのグラフを示している。具体的には、試験フィールド118は、波長フィルタ構成要素121を有するキャリア箔120を備える。したがって、
図5Cに示される反射スペクトルは、異なる血糖濃度に対する試験化学物質122の反射スペクトルを示すことができ、波長λ
blc(172)を有する光は、試験フィールド118のキャリア箔120の波長フィルタ構成要素121によって本質的に遮断されることができる。一例として、
図5Cに示される反射スペクトルは、
図5Bに使用されるのと同じ血糖濃度の反射スペクトルを示すことができ、反射スペクトルは、
図5Aに示されるように、ロングパスフィルタ150の第1の透過スペクトル154によって重ね合わされる。理解を深めるために、ロングパスフィルタ150の透過スペクトル154の一部が
図5Cにさらに示されている。
【0110】
示されているように、異なる血糖濃度は、明確に分離されることができ、波長λ≧550nm、具体的にはλ≧600nmにおいて線形コースを示すことができる。したがって、本発明にかかる光学試験ストリップ110の試験フィールド118に適用されるサンプル112の血糖濃度などの分析物濃度を判定することは、分析物濃度の測定精度を特に改善することができる。具体的には、図示されるように、分析物濃度の判定は、例えば、分析物濃度、例えば血糖濃度が照明条件のごく僅かな変化について大幅に変化する波長λ<550nmの波長範囲において困難とすることができるためである。
【0111】
図6Aおよび
図6Bでは、カメラ132を有する携帯型装置130の実施形態によって記録された赤色のヒストグラムのグラフを示している。一例として、
図6Aでは、信号、具体的にはカメラ132の赤色チャネルの信号が、具体的には波長フィルタ134を使用せずに画像を撮像する場合に、第1のヒストグラム178に示されることができる。特に、例えば、第1のヒストグラム178において、第1の照明180、具体的には例えば6500Kを有する白色標準光、および第2の照明182、具体的には緑がかった光が周囲照明に使用されることができる。一例として、第2の照明182を用いて、例えば、緑がかった光を用いて、一例として、約10カウントの障害信号が記録されることができる。しかしながら、
図6Bでは、カメラ132の赤色チャネルの信号は、例えば、
図6Aに示される第1のヒストグラムに類似して、第2のヒストグラム184に示されることができ、第2のヒストグラム184において、赤色フィルタが使用されることができる。例えば、第2の照明182、例えば、「緑がかった」照明は、具体的には信号障害をもはやもたらさないことができることを見ることができる。一例として、第1の照明180の信号、例えば、白色光の信号は、第1のヒストグラム178を第2のヒストグラム184と比較するとき、例えば、約100カウントだけ異なることができる。これは、例えば、フィルタ内の損失に起因して発生することができる。しかしながら、一例として、信号は、より強い照明を使用することなどによって、例えば、例えば180カウントに増幅および/または立ち上げられることができる。
【0112】
図7Aは、携帯型装置130を使用することによって、光学試験ストリップ110の試験フィールド118に適用された体液サンプル112中の分析物濃度を測定するための方法の実施形態のフローチャートを示している。本方法は、以下のステップを含む:
i)(参照符号186によって示される)550nm≦WL
low≦650nmを有するλ
blc≦WL
lowの波長λ
blc146を有する光を本質的に遮断するように適合された少なくとも1つの波長フィルタ構成要素121を有する光学試験ストリップ110を提供することと、
ii)(参照符号188によって示される)携帯型装置130を提供することであって、携帯型装置130が、少なくとも1つのカメラ132および少なくとも1つの波長フィルタ134を備え、波長フィルタ134が、800nm≦WL
high≦1000nmを有する1200nm≧λ≧WL
highの波長λを有する光の透過を本質的に遮断するように構成されている、ことと、
iii)(参照符号190によって示される)体液サンプル112を試験フィールド118に適用することと、
iv)(参照符号192によって示される)携帯型装置130のカメラ132を使用することによってサンプル112が適用された試験フィールド118の少なくとも1つの画像を撮像することと、
v)(参照符号194によって示される)試験フィールド118の試験化学物質122の光学的に検出可能な検出反応を評価することにより、試験フィールド118に適用された体液サンプル112の分析物濃度を判定すること。
【0113】
図7Bは、携帯型装置130を使用することによって光学試験ストリップ110の試験フィールド118に適用された体液サンプル112中の分析物濃度を測定するための方法の別の実施形態のフローチャートを示している。
図7Bに示されるように、本方法は、さらに、携帯型装置130を使用することによって参照カラーフィールド126の少なくとも1つの画像を撮像するステップvi)(参照符号196によって示される)を含むことができる。一例として、ステップvi)は、ステップv)を実行する前に具体的に実行されることができる。特に、ステップiv)および/またはステップvi)は、さらに、具体的には携帯型装置130の照明源136を使用することによって光学試験ストリップ110を照明するサブステップ198を含むことができる。
【符号の説明】
【0114】
110 光学試験ストリップ
112 サンプル
114 試験ストリップキャリア
116 透明領域
118 試験フィールド
120 キャリア箔
121 波長フィルタ構成要素
122 試験化学物質
124 多孔質材料
126 参照カラーフィールド
128 キット
130 携帯型装置
132 カメラ
134 波長フィルタ
136 照明源
138 プロセッサ
140 第1の面
142 第2の面
144 λabs
146 λblc
148 拡散層
150 ロングパスフィルタ
152 干渉フィルタ
154 第1の透過スペクトル
156 第2の透過スペクトル
158 透過エッジ
160 x軸
162 y軸
164 λLP
166 TLP
168 TLPmax
170 SLP
172 λblc
174 λtrans
176 λHPF
178 第1のヒストグラム
180 第1の照明
182 第2の照明
184 第2のヒストグラム
186 ステップi)
188 ステップii)
190 ステップiii)
192 ステップiv)
194 ステップv)
196 ステップvi)
198 試験ストリップを照明する
200 0mg/dl曲線
202 40mg/dl曲線
204 80mg/dl曲線
206 160mg/dl曲線
208 260mg/dl曲線
210 440mg/dl曲線