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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】道路機械の表示装置
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
E01C19/48 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021509461
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020013079
(87)【国際公開番号】W WO2020196540
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2019057337
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 幸宏
(72)【発明者】
【氏名】馬場 信行
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特公平06-065804(JP,B2)
【文献】特開2000-110111(JP,A)
【文献】特表平08-510807(JP,A)
【文献】特開2017-167046(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0106846(US,A1)
【文献】特開2019-203374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラクタと、前記トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ給送するコンベアと、前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、道路の舗装に関する情報を取得する情報取得装置と、を備える道路機械の表示装置であって、
前記情報取得装置が取得した前記道路の舗装に関する情報に基づいて将来的に発生する事象を予測し、該事象に関する情報を道路図上に表示し、
運搬車両による前記ホッパ内への前記舗装材の供給が開始された第1地点と、運搬車両による前記ホッパ内への前記舗装材の次の供給が開始された第2地点との間の距離に基づいて導き出される、運搬車両1台分の前記舗装材によって形成される未設舗装体の長さを表示する、
道路機械の表示装置。
【請求項2】
トラクタと、前記トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ給送するコンベアと、前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、道路の舗装に関する情報を取得する情報取得装置と、を備える道路機械の表示装置であって、
前記情報取得装置が取得した前記道路の舗装に関する情報に基づいて将来的に発生する事象を予測し、該事象に関する情報を道路図上に表示し、
新設舗装体の厚さと幅と長さとに基づいて導き出される、運搬車両1台分の前記舗装材によって形成される未設舗装体の長さを表示する、
路機械の表示装置。
【請求項3】
トラクタと、前記トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ給送するコンベアと、前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、道路の舗装に関する情報を取得する情報取得装置と、を備える道路機械の表示装置であって、
前記情報取得装置が取得した前記道路の舗装に関する情報に基づいて将来的に発生する事象を予測し、該事象に関する情報を道路図上に表示し、
運搬車両1台分の前記舗装材によって形成される未設舗装体の長さと前記道路機械の移動速度とに基づいて導き出される、運搬車両による前記ホッパ内への前記舗装材の次の供給が開始される時刻、運搬車両による前記ホッパ内への前記舗装材の次の供給が開始されるまでの時間、及び、運搬車両による前記ホッパ内への前記舗装材の次の供給が開始される位置の少なくとも1つを表示する、
路機械の表示装置。
【請求項4】
トラクタと、前記トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ給送するコンベアと、前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、道路の舗装に関する情報を取得する情報取得装置と、を備える道路機械の表示装置であって、
前記情報取得装置が取得した前記道路の舗装に関する情報に基づいて将来的に発生する事象を予測し、該事象に関する情報を道路図上に表示し、
新設舗装体の体積と、運搬車両1台分の前記舗装材によって形成される未設舗装体の幅とに基づいて導き出される、該未設舗装体の長さを表示する、
路機械の表示装置。
【請求項5】
トラクタと、前記トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ給送するコンベアと、前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、道路の舗装に関する情報を取得する情報取得装置と、を備える道路機械の表示装置であって、
前記情報取得装置が取得した前記道路の舗装に関する情報に基づいて将来的に発生する事象を予測し、該事象に関する情報を道路図上に表示し、
前記道路機械の移動速度の変更に応じ、運搬車両による前記ホッパ内への前記舗装材の次の供給が開始される時刻、運搬車両による前記ホッパ内への前記舗装材の次の供給が開始されるまでの時間、及び、運搬車両による前記ホッパ内への前記舗装材の次の供給が開始される位置の少なくとも1つの表示を更新する、
路機械の表示装置。
【請求項6】
降雨が予想される時刻を表示する、
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の道路機械の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、道路機械の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、新設舗装体の舗装距離、舗装幅、及び合材使用量と、未設舗装体の舗装距離及び舗装幅とに基づき、未設舗装体を完成させるために必要な合材量を算出し且つその合材量を表示装置に表示させるアスファルトフィニッシャが知られている(特許文献1参照。)。新設舗装体は、新たに舗装される道路のうちの既に完成した部分であり、未設舗装体は、新たに舗装される道路のうちの未だ完成していない部分である。
【0003】
このアスファルトフィニッシャの操作者は、表示装置に表示された内容から迅速かつ正確に未設舗装体を完成させるために必要な合材量を知り、適正量の合材を発注して道路の舗装を完成させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公平6-65804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、アスファルトフィニッシャの操作者は、未設舗装体を完成させるために必要な合材量を知るだけでは、今後の敷き均し作業の進み具合を正確に予測できないおそれがある。
【0006】
上述に鑑み、アスファルトフィニッシャの操作者又はアスファルトフィニッシャの周囲で作業する作業者等の関係者が敷き均し作業の進み具合をより正確に予測できるようにする道路機械の表示装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る道路機械の表示装置は、トラクタと、前記トラクタの前側に設置されて舗装材を受け入れるホッパと、前記ホッパ内の舗装材を前記トラクタの後側へ給送するコンベアと、前記コンベアにより給送された前記舗装材を前記トラクタの後側で敷き拡げるスクリュと、前記スクリュにより敷き拡げられた前記舗装材を前記スクリュの後側で敷き均すスクリードと、道路の舗装に関する情報を取得する情報取得装置と、を備える道路機械の表示装置であって、前記情報取得装置が取得した前記道路の舗装に関する情報に基づいて将来的に発生する事象を予測し、該事象に関する情報を道路図上に表示し、運搬車両による前記ホッパ内への前記舗装材の供給が開始された第1地点と、運搬車両による前記ホッパ内への前記舗装材の次の供給が開始された第2地点との間の距離に基づいて導き出される、運搬車両1台分の前記舗装材によって形成される未設舗装体の長さを表示する。
【発明の効果】
【0008】
上述の手段により、敷き均し作業の進み具合を関係者がより正確に予測できるようにする道路機械の表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るアスファルトフィニッシャの側面図である。
図2図1のアスファルトフィニッシャの上面図である。
図3】表示システムの構成例を示す図である。
図4】表示装置に表示される画像の一例を示す図である。
図5】表示装置に表示される画像の別の一例を示す図である。
図6】表示システムの別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る道路機械の一例であるアスファルトフィニッシャ100の側面図である。図2はアスファルトフィニッシャ100の上面図である。アスファルトフィニッシャ100は、主に、トラクタ1、ホッパ2、及びスクリード3で構成されている。以下では、トラクタ1から見たホッパ2の方向(+X方向)を前方とし、トラクタ1から見たスクリード3の方向(-X方向)を後方とする。道路機械は、ベースペーバ、タックペーバ、又はマルチアスファルトペーバ等であってもよい。
【0011】
トラクタ1は、アスファルトフィニッシャ100を移動させるための機構である。本実施形態では、トラクタ1は、後輪走行用油圧モータを用いて後輪5を回転させ、且つ、前輪走行用油圧モータを用いて前輪6を回転させてアスファルトフィニッシャ100を移動させる。後輪走行用油圧モータ及び前輪走行用油圧モータは油圧ポンプから作動油の供給を受けて回転する。後輪5及び前輪6はクローラで置き換えられてもよい。走行用モータは、電動モータであってもよい。
【0012】
コントローラ50は、アスファルトフィニッシャ100を制御する制御装置である。本実施形態では、コントローラ50は、CPU、メモリ、及び不揮発性記憶装置等を含むマイクロコンピュータで構成され、トラクタ1に搭載されている。コントローラ50の各機能は、不揮発性記憶装置に記憶されているプログラムをCPUが実行することで実現される。但し、コントローラ50の各機能は、ハードウェア又はファームウェアで構成されていてもよい。
【0013】
ホッパ2は、舗装材を受け入れるための機構である。本実施形態では、ホッパ2は、トラクタ1の前側に設置され、ホッパシリンダによって車幅方向(Y軸方向)に開閉できるように構成されている。アスファルトフィニッシャ100は、通常、ホッパ2を全開状態にしてダンプトラックの荷台から舗装材(例えばアスファルト混合物である。)を受け入れる。ダンプトラックは、舗装材を運搬する運搬車両の一例である。図1及び図2はホッパ2が全開状態であることを示す。ホッパ2内の舗装材が減少するとホッパ2が閉じられ、ホッパ2の内壁付近にあった舗装材がホッパ2の中央部に集められる。ホッパ2の中央部にあるコンベアCVがトラクタ1の後側に舗装材を給送できるようにするためである。トラクタ1の後側に給送された舗装材は、スクリュSCによってトラクタ1の後側且つスクリード3の前側で車幅方向に敷き拡げられる。本実施形態では、スクリュSCは、エクステンションスクリュが左右に連結された状態にある。図1及び図2は、スクリュSCによって敷き拡げられた舗装材PVをドットパターンで示している。
【0014】
スクリード3は、舗装材PVを敷き均すための機構である。本実施形態では、スクリード3は、図2に示すように、前側スクリード30及び後側スクリード31を含む。前側スクリード30は、左前側スクリード30L及び右前側スクリード30Rを含む。後側スクリード31は、左後側スクリード31L及び右後側スクリード31Rを含む。スクリード3は、トラクタ1によって牽引される浮動スクリードであり、レベリングアーム3Aを介してトラクタ1に連結されている。
【0015】
スクリード3の前部にはモールドボード43が取り付けられている。モールドボード43は、スクリード3の前方に滞留する舗装材PVの量を調整できるように構成されている。舗装材PVは、モールドボード43の下端と路盤BSとの間の隙間を通ってスクリード3の下に至る。
【0016】
トラクタ1には、情報取得装置51が取り付けられている。情報取得装置51は、道路の舗装に関する情報を取得し、取得した情報をコントローラ50に対して出力できるように構成されている。道路の舗装に関する情報は、新設舗装体に関する情報、未設舗装体に関する情報、及び、天気に関する情報の少なくとも1つを含む。本実施形態では、情報取得装置51は、前方監視装置51F、後方監視装置51B、及び走行速度センサ51Sを含む。
【0017】
前方監視装置51Fは、アスファルトフィニッシャ100の前方を監視できるように構成されている。本実施形態では、前方監視装置51Fは、トラクタ1の前方にある空間を監視範囲RFとするLIDARであり、トラクタ1の上面の前端中央部に取り付けられている。但し、前方監視装置51Fは、アスファルトフィニッシャ100の他の部位に取り付けられていてもよい。
【0018】
後方監視装置51Bは、アスファルトフィニッシャ100の後方を監視できるように構成されている。本実施形態では、後方監視装置51Bは、スクリード3の後方にある空間を監視範囲RBとするLIDARであり、アスファルトフィニッシャ100の操作者のための手摺りとして機能するガイドレール1Gに取り付けられている。但し、後方監視装置51Bは、運転席1Sの下部に取り付けられていてもよく、アスファルトフィニッシャ100の他の部位に取り付けられていてもよい。
【0019】
情報取得装置51は、アスファルトフィニッシャ100の側方を監視できるように構成される側方監視装置を含んでいてもよい。この場合、側方監視装置は、例えば、トラクタ1の左方にある空間を監視範囲とするLIDARとして、後輪5よりも前側でトラクタ1の上面の左端部に取り付けられてもよい。側方監視装置は、例えば、トラクタ1の右方にある空間を監視範囲とするLIDARとして、後輪5よりも前側でトラクタ1の上面の右端部に取り付けられてもよい。
【0020】
LIDARは、例えば、監視範囲内にある100万点以上の点とLIDARとの間の距離を測定する。但し、前方監視装置51F及び後方監視装置51Bの少なくとも一方は、単眼カメラ、ステレオカメラ、ミリ波レーダ、レーザレーダ、レーザスキャナ、距離画像カメラ、又はレーザレンジファインダ等であってもよい。側方監視装置についても同様である。
【0021】
前方監視装置51Fの監視範囲RFは、望ましくは、路盤BSと路盤BSの外側にある地物APとを含む。路盤BS上に新設舗装体NPが敷設された後も新設舗装体NPによって覆われることのない地物AP上の所定点に対する路盤BSの表面の高さ(深さ)が導き出されるようにするためである。側方監視装置の監視範囲についても同様である。本実施形態では、監視範囲RFは、路盤BSの幅より大きい幅を有する。地物APはL形側溝ブロックである。地物APは、路盤BSの表面の高さの基準となり得る地物であれば、既設舗装体又は縁石等、L形側溝ブロック以外の他の地物であってもよい。
【0022】
後方監視装置51Bの監視範囲RBは、望ましくは、新設舗装体NPと新設舗装体NPの外側にある地物APとを含む。新設舗装体NPによって覆われることのない地物AP上の所定点に対する新設舗装体NPの表面の高さが導き出されるようにするためである。本実施形態では、監視範囲RBは、新設舗装体NPの幅より大きい幅を有する。
【0023】
前方監視装置51Fは、測位装置及び慣性計測装置を含んでいてもよい。前方監視装置51Fの位置及び姿勢を検出するためである。測位装置は、例えば、GNSS受信機である。後方監視装置51B及び側方監視装置についても同様である。
【0024】
走行速度センサ51Sは、アスファルトフィニッシャ100の走行速度を検出できるように構成されている。本実施形態では、走行速度センサ51Sは、車輪速センサであり、後輪5の回転角速度及び回転角度、ひいては、アスファルトフィニッシャ100の走行速度及び走行距離を検出できるように構成されている。
【0025】
情報取得装置51は、アスファルトフィニッシャ100の位置を検出できるように構成された測位装置、アスファルトフィニッシャ100の操舵角を検出できるように構成された操舵角センサ、及び、後側スクリード31の伸張量を検出して舗装幅を算出できるように構成された舗装幅センサ等を含んでいてもよい。
【0026】
車載表示装置52は、アスファルトフィニッシャ100に関する情報を表示できるように構成されている。本実施形態では、車載表示装置52は、運転席1Sの前方に設置されている液晶ディスプレイである。但し、車載表示装置52は、スクリード3の左端部及び右端部の少なくとも一方に設置されていてもよい。
【0027】
通信装置53は、アスファルトフィニッシャ100とアスファルトフィニッシャ100の外部にある機器との間の通信を制御できるように構成されている。本実施形態では、通信装置53は、運転席1Sの前方に設置され、携帯電話通信網、近距離無線通信網、又は衛星通信網等を介した通信を制御できるように構成されている。
【0028】
次に、図3を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載される表示システムDSの構成例について説明する。図3は、表示システムDSの構成例を示すブロック図である。
【0029】
表示システムDSは、主に、コントローラ50、前方監視装置51F、後方監視装置51B、走行速度センサ51S、車載表示装置52、及び通信装置53等で構成されている。
【0030】
コントローラ50は、機能要素として監視部50a、厚さ算出部50b、及び表示制御部50cを含む。監視部50a、厚さ算出部50b、及び表示制御部50cは、説明の便宜のために区別されて示されているが、物理的に区別されている必要はなく、全体的に或いは部分的に共通のソフトウェアコンポーネント若しくはハードウェアコンポーネントで構成されていてもよい。
【0031】
監視部50aは、所定の事象の発生を監視できるように構成されている。所定の事象は、例えば、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの供給の開始を含む。本実施形態では、監視部50aは、前方監視装置51Fの出力に基づき、プッシュローラ2b(図1参照。)を介してアスファルトフィニッシャ100と接しているダンプトラックによるダンプアップが行われたか否かを監視している。
【0032】
具体的には、監視部50aは、前方監視装置51Fの出力に基づき、ダンプトラックの荷台が上昇したことを検知した場合に、ダンプアップが行われたと判定する。
【0033】
ダンプアップが行われたと判定した場合、監視部50aは、このときのアスファルトフィニッシャ100の位置に関する情報を不揮発性記憶装置に記憶する。ホッパ2内への舗装材PVの次の供給が行われるまでのアスファルトフィニッシャ100の移動距離を算出できるようにするためである。
【0034】
アスファルトフィニッシャ100の位置に関する情報は、例えば、走行速度センサ51Sが出力する情報である。監視部50aは、例えば、ダンプアップが行われたと判定した時点における後輪5の回転位置と、現時点における後輪5の回転位置とに基づき、ダンプアップが行われたと判定した後の後輪5の回転角度、及び、アスファルトフィニッシャ100の移動距離を算出できる。
【0035】
アスファルトフィニッシャ100の位置に関する情報は、GNSS受信機等の測位装置が出力する情報であってもよい。監視部50aは、ダンプアップが行われたと判定した時点における測位装置の出力と、現時点における測位装置の出力とに基づき、ダンプアップが行われたと判定した後のアスファルトフィニッシャ100の移動距離を算出できるためである。
【0036】
厚さ算出部50bは、新設舗装体NPの厚さを算出できるように構成されている。本実施形態では、厚さ算出部50bは、前方監視装置51Fの出力に基づき、新設舗装体NPを敷設する際の基準となるL形側溝ブロックの所定部位と路盤BSの表面との間の距離(以下、「第1垂直距離」とする。)を新設舗装体NPの厚さとして導き出す。この場合、第1垂直距離は、路盤BSの表面に垂直な方向における距離であり、L形側溝ブロックの所定部位は、路盤BSの表面よりも高い位置にある。
【0037】
或いは、厚さ算出部50bは、後方監視装置51Bの出力に基づき、新設舗装体NPを敷設する際の基準となるL形側溝ブロックの所定部位と新設舗装体NPの表面との間の距離(以下、「第2垂直距離」とする。)を第1垂直距離に加えた距離を新設舗装体NPの厚さとして導き出してもよい。この場合、第2垂直距離は、新設舗装体NPの表面に垂直な方向における距離であり、L形側溝ブロックの所定部位は、新設舗装体NPの表面よりも低い位置にある。
【0038】
或いは、厚さ算出部50bは、側方監視装置の出力に基づいて新設舗装体NPの厚さを導き出してもよい。
【0039】
或いは、厚さ算出部50bは、前方監視装置51Fの出力から導き出される、基準座標系における路盤BSの表面の高さと、後方監視装置51Bの出力から導き出される、基準座標系における新設舗装体NPの表面の高さとに基づいて新設舗装体NPの厚さを導き出してもよい。基準座標系は、例えば世界測地系である。世界測地系は、地球の重心に原点をおき、X軸をグリニッジ子午線と赤道との交点の方向にとり、Y軸を東経90度の方向にとり、そしてZ軸を北極の方向にとる三次元直交XYZ座標系である。具体的には、厚さ算出部50bは、前方監視装置51Fに関する局所座標系と基準座標系との間の座標変換を通じて基準座標系における路盤BSの表面の高さを導き出す。また、厚さ算出部50bは、後方監視装置51Bに関する局所座標系と基準座標系との間の座標変換を通じて基準座標系における新設舗装体NPの表面の高さを導き出す。
【0040】
表示制御部50cは、表示装置で表示される情報を制御できるように構成されている。表示装置は、トラクタ1に搭載された車載表示装置52、ダンプトラックに搭載された車載表示装置、管理センタに設置された管理装置に付属する表示装置、及び、関係者が携帯するスマートフォン等の支援装置に付属する表示装置等を含む。関係者は、例えば、アスファルトフィニッシャ100の操作者、及び、アスファルトフィニッシャ100の周囲で作業する作業者等を含む。管理装置又は支援装置に付属する表示装置で情報を表示させる場合、表示制御部50cは、通信装置53を介して管理装置又は支援装置に情報を送信する。
【0041】
本実施形態では、表示制御部50cは、道路図を車載表示装置52に表示させる。道路図は、アスファルトフィニッシャ100が敷設する道路に関する図形である。道路図は、例えば、道路の上面図を表す画像であり、不揮発性記憶装置に予め記憶されている。道路図は、不揮発性記憶装置等に予め記憶されている道路設計データに基づいて動的に描画されてもよい。
【0042】
また、表示制御部50cは、道路の舗装に関する情報に基づいて将来的に発生する事象に関する情報を道路図上に表示できるように構成されている。本実施形態では、表示制御部50cは、情報取得装置51が取得した道路の舗装に関する情報に基づいて将来的に発生する事象に関する情報を道路図上に表示する。
【0043】
「道路の舗装に関する情報」は、例えば、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの供給が開始された時点(ダンプアップが開始された時点)、及び、その時点におけるアスファルトフィニッシャ100の位置等を含む。
【0044】
「将来的に発生する事象」は、例えば、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの次の供給の開始、及び、ホッパ2内の舗装材PVの使い切り等を含む。
【0045】
「将来的に発生する事象に関する情報」は、例えば、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの次の供給が行われる時点、ホッパ2内の舗装材PVを使い切る時点、及び、それらの時点におけるアスファルトフィニッシャ100の位置等を含む。
【0046】
例えば、表示制御部50cは、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの1回目の供給が開始された第1地点と、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの2回目の供給が開始された第2地点との間の距離を舗装距離Dとして導き出す。そして、表示制御部50cは、舗装距離Dに基づき、ダンプトラック1台分の舗装材PVによって形成される未設舗装体の長さ(以下、「目安長さL」とする。)を導き出す。
【0047】
第1地点は、例えば、1台目のダンプトラックによる1回目のダンプアップが行われたと監視部50aが判定した時点(以下、「第1時点」とする。)における測位装置の出力である。第2地点は、例えば、2台目のダンプトラックによる1回目のダンプアップが行われたと監視部50aが判定した時点(以下、「第2時点」とする。)における測位装置の出力である。第3地点以降についても同様である。2台目のダンプトラックは、典型的には、1台目のダンプトラックとは別のダンプトラックであるが、1台目のダンプトラックと同じダンプトラックであってもよい。また、この例では、各ダンプトラックに積載されている舗装材PVの量は同じである。
【0048】
監視部50aは、例えば、各ダンプトラックのナンバープレートにおける登録番号を認識することで、2台目のダンプトラックによる1回目のダンプアップと、1台目のダンプトラックによる2回目以降のダンプアップとを区別してもよい。1台目のダンプトラックによる2回目以降のダンプアップを、2台目のダンプトラックによる1回目のダンプアップであると誤って認識してしまうのを防止するためである。
【0049】
表示制御部50cは、例えば、第1地点と第2地点との間の舗装距離Dをそのまま目安長さLとしてもよく、舗装距離Dに所定値を加算した値等、舗装距離Dから導き出される値を目安長さLとしてもよい。
【0050】
或いは、表示制御部50cは、複数の舗装距離Dに基づいて目安長さLを算出してもよい。表示制御部50cは、例えば、第1地点と第2地点との間の舗装距離D1と、第2地点と第3地点との間の舗装距離D2との平均値を目安長さLとして算出してもよい。或いは、表示制御部50cは、3つ以上の舗装距離の平均値を目安長さLとして算出してもよく、複数の舗装距離から算出される他の統計値を目安長さLとして算出してもよい。他の統計値は、例えば、最大値、最小値又は中間値等であってもよい。
【0051】
そして、表示制御部50cは、目安長さLに基づき、3台目のダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの3回目の供給が行われるときのアスファルトフィニッシャ100の位置(以下、「第3予想地点」とする。)を導き出す。
【0052】
表示制御部50cは、例えば、第1地点と第2地点との間の舗装距離D1と、その区間における新設舗装体NPの厚さと、第2地点と第3地点との間の舗装距離D2とに基づき、第2地点と第3地点との間の区間における新設舗装体NPの厚さを算出してもよい。
【0053】
表示制御部50cは、例えば、これから敷設される舗装体である未設舗装体の幅及び厚さと、第1地点と第2地点との間に敷設された舗装体である新設舗装体NPの幅及び厚さが同じであれば、第2地点から目安長さLだけ進行方向前方にある地点を第3予想地点として導き出してもよい。この場合、未設舗装体の幅は、例えば、不揮発性記憶装置等に予め記憶されている道路設計データに含まれる値であってもよい。新設舗装体NPの幅は、道路設計データに含まれる値であってもよく、舗装幅センサの出力に基づく値であってもよい。新設舗装体NPの厚さは、例えば、厚さ算出部50bによって算出される値であってもよい。未設舗装体の厚さは、例えば、アスファルトフィニッシャ100の操作者が設定可能な設定値であってもよい。
【0054】
また、表示制御部50cは、目安長さLとアスファルトフィニッシャ100の移動速度とに基づき、アスファルトフィニッシャ100が第3予想地点に到達する時点(以下、「第3予想時刻」とする。)を導き出してもよい。第3予想時刻は、2台目のダンプトラックによって供給された舗装材PVが使い切られる時刻に相当する。
【0055】
表示制御部50cは、アスファルトフィニッシャ100が第3予想地点に到達するまでの残り時間を導き出してもよい。
【0056】
その上で、表示制御部50cは、道路図上の第3予想地点に対応する部分を他の部分から区別できるように表示させる。また、表示制御部50cは、道路図上の第3予想地点に対応する部分に関連付けて第3予想時刻を表示させてもよい。
【0057】
表示制御部50cは、第1地点と第2地点との間に敷設された新設舗装体NPの体積を算出してもよい。表示制御部50cは、例えば、厚さ算出部50bが算出した新設舗装体NPの厚さと、第1地点と第2地点との間の舗装距離Dと、舗装幅センサが検出した新設舗装体NPの幅とに基づき、ダンプトラック1台分の舗装材PVによって形成される未設舗装体の体積(以下、「目安体積V」とする。)として新設舗装体NPの体積を算出してもよい。そして、表示制御部50cは、未設舗装体の目安体積Vと幅と厚さとに基づき、未設舗装体の目安長さLを算出してもよい。
【0058】
表示制御部50cは、第1地点と第2地点との間の舗装距離D(メートル)と、その舗装距離Dを舗装するのに要した時間である舗装時間T(分)とに基づき、単位時間当たりの舗装距離である舗装速度(メートル/分)を算出してもよい。そして、表示制御部50cは、未設舗装体の長さと舗装速度とに基づき、未設舗装体の敷設を完了するまでに要する時間、又は、未設舗装体の敷設を完了するときの時刻等を算出してもよい。この場合、未設舗装体の長さは、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの次の供給が行われる地点と現在地点との間の道のりであってもよく、予定されている舗装区間の終点と現在地点との間の道のりであってもよい。
【0059】
表示制御部50cは、ダンプトラックに積載されていた舗装材PVの重量と、その舗装材PVを用いてアスファルトフィニッシャ100が敷設した新設舗装体NPの重量とに基づき、アスファルトフィニッシャ100内に残っている舗装材PVの重量を算出してもよい。この場合、「ダンプトラックに積載されていた舗装材PVの重量」は、例えば、アスファルトプラントに設置された台貫等を用いて計測された値であってもよい。「その舗装材PVを用いてアスファルトフィニッシャ100が敷設した新設舗装体NPの重量」は、例えば、第1時点以降に敷設された新設舗装体NPの厚さと幅と長さと密度とを乗算した値であってもよい。新設舗装体NPの厚さは、例えば、厚さ算出部50bが算出した値であってもよい。新設舗装体NPの幅は、例えば、舗装幅センサの出力に基づく値であってもよい。新設舗装体NPの長さは、例えば、走行速度センサ51Sの出力に基づく値であってもよい。新設舗装体NPの密度は、例えば、電磁波を利用した舗装密度測定器の出力に基づく値であってもよい。
【0060】
表示制御部50cは、通信装置53を通じて取得したダンプトラックに関する情報を表示装置に表示させてもよい。ダンプトラックに関する情報は、例えば、ダンプトラックの遅延に関する情報であってもよい。具体的には、ダンプトラックに関する情報は、ダンプトラックが作業現場に到着すると予想される時刻である予想到着時刻、又は、当初の予定到着時刻と予想到着時刻との差等であってもよい。例えば、表示制御部50cは、通信装置53を介し、走行中のダンプトラックの位置に関する情報を受信し、ダンプトラックの現在の位置と作業現場との間の距離に基づいて予想到着時刻を算出する。或いは、表示制御部50cは、通信装置53を介し、ウェブ上で公開されている経路探索に関するAPI(Application Programming Interface)にアクセスし、走行中のダンプトラックの現在の位置から作業現場までの所要時間に関する情報を取得してもよい。
【0061】
このように、表示制御部50cは、施工が完了した舗装体である新設舗装体NPに関する情報に基づき、施工が完了していない舗装体である未設舗装体に関する情報を導出し、導出した情報を車載表示装置52等に表示させることができる。そのため、関係者は、舗装材PVをタイミングよく発注することができる。また、関係者は、過不足が生じないように、発注すべき舗装材PVの重量をより正確に指定できる。
【0062】
次に、図4を参照し、表示制御部50cが表示装置に表示させる画像の一例について説明する。図4は、車載表示装置52に表示される画像の一例を示す図である。
【0063】
表示制御部50cは、アスファルトフィニッシャ100の稼働中に道路図を表示させる。図4の例では、道路図は、第1直線区間SC1、拡幅区間SC2、及び第2直線区間SC3を含む。拡幅区間SC2は、破線で囲まれたバス停区間SC4を含む。
【0064】
また、表示制御部50cは、アスファルトフィニッシャ100の現在地点に対応する道路図上の位置に車両図形G1を表示させる。車両図形G1は、例えば、アスファルトフィニッシャ100を真上から見たときのアスファルトフィニッシャ100の形状を表す図形である。
【0065】
また、表示制御部50cは、例えば、新設舗装体NPが敷設された空間に対応する道路図上の範囲に細かいドットパターンの新設舗装体図形G2を表示させ、未設舗装体が敷設される空間に対応する道路図上の範囲に斜線パターンの未設舗装体図形G3を表示させる。
【0066】
その上で、表示制御部50cは、例えば、前方監視装置51Fの出力に基づき、ダンプトラックによるダンプアップが監視部50aによって複数回検知されたときに、ダンプトラック1台分の舗装材PVによって形成される未設舗装体の体積である目安体積Vを算出する。図4の例では、説明を簡単にするため、表示制御部50cは、2台目のダンプトラックによるダンプアップが検知されたときに目安体積Vを算出する。そして、表示制御部50cは、未設舗装体の目安体積Vと幅と厚さとに基づき、未設舗装体の目安長さLを算出する。更に、表示制御部50cは、目安長さLに基づき、3台目以降のダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの次回以降の供給が行われるときのアスファルトフィニッシャ100の位置である予想地点を導き出す。そして、表示制御部50cは、図形G4~G22を道路図上に重畳表示させる。
【0067】
図形G4は、現在時刻を表す吹き出しであり、図形G5に対応付けられている。図4の例では、現在時刻である「13:30」は、2台目のダンプトラックによるダンプアップが検知された時刻である。
【0068】
図形G5は、現時点におけるスクリード3の後端位置を表す一点鎖線である。
【0069】
図形G6は、2台目のダンプトラックによって供給された舗装材PVによって形成される未設舗装体の目安長さL2を表す破線双方向矢印である。
【0070】
図形G7は、3台目のダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの3回目の供給が行われる時刻を表す吹き出しであり、図形G8に対応付けられている。図4の例は、20分後の「13:50」に3台目のダンプトラックによるダンプアップが行われることを示している。
【0071】
図形G8は、舗装材PVの3回目の供給が行われるときのスクリード3の後端位置を表す一点鎖線である。
【0072】
図形G9は、3台目のダンプトラックによって供給される舗装材PVによって形成される未設舗装体の目安長さL3を表す破線双方向矢印である。図4の例では、目安長さL3は、目安長さL2よりも短い。未設舗装体が敷設される区間にバス停区間SC4が含まれるためである。
【0073】
図形G10は、4台目のダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの4回目の供給が行われる時刻を表す吹き出しであり、図形G11に対応付けられている。図4の例は、35分後の「14:05」に4台目のダンプトラックによるダンプアップが行われることを示している。
【0074】
図形G11は、舗装材PVの4回目の供給が行われるときのスクリード3の後端位置を表す一点鎖線である。
【0075】
図形G12は、4台目のダンプトラックによって供給される舗装材PVによって形成される未設舗装体の目安長さL4を表す破線双方向矢印である。図4の例では、目安長さL4は、目安長さL2よりも短い。未設舗装体が敷設される区間にバス停区間SC4が含まれるためである。
【0076】
図形G13は、5台目のダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの5回目の供給が行われる時刻を表す吹き出しであり、図形G14に対応付けられている。図4の例は、50分後の「14:20」に5台目のダンプトラックによるダンプアップが行われることを示している。
【0077】
図形G14は、舗装材PVの5回目の供給が行われるときのスクリード3の後端位置を表す一点鎖線である。
【0078】
図形G15は、5台目のダンプトラックによって供給される舗装材PVによって形成される未設舗装体の目安長さL5を表す破線双方向矢印である。図4の例では、目安長さL5は、目安長さL2と同じである。未設舗装体が敷設される区間に拡幅区間が含まれず、2台目のダンプトラックによって供給された舗装材PVによって形成される未設舗装体の幅が、5台目のダンプトラックによって供給される舗装材PVによって形成される未設舗装体の幅と等しいためである。
【0079】
図形G16は、6台目のダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの6回目の供給が行われる時刻を表す吹き出しであり、図形G17に対応付けられている。図4の例は、70分後の「14:40」に6台目のダンプトラックによるダンプアップが行われることを示している。
【0080】
図形G17は、舗装材PVの6回目の供給が行われるときのスクリード3の後端位置を表す一点鎖線である。
【0081】
図形G18は、3台目のダンプトラックが作業現場に到着すると予想される予想到着時刻を表す吹き出しであり、図形G7及び図形G8に対応付けられている。図4の例は、30分後の「14:00」に3台目のダンプトラックが作業現場に到着すると予想されていることを示している。
【0082】
図形G19は、3台目のダンプトラックの到着が遅れることを表す吹き出しであり、図形G18に対応付けられている。図4の例は、3台目のダンプトラックの到着時刻が3回目の供給が行われる予定時刻よりも遅くなってしまうという予想を示している。図4に示す画像を見た操作者は、「13:50」に予定されている3回目の供給が行われる時刻よりも、3台目のダンプトラックの到着時刻が10分遅い「14:00」になってしまうおそれがあることを認識できる。このように、表示制御部50cは、ダンプアップ(舗装材PVのホッパ2内への供給)が予定されている時刻よりも遅い時刻にダンプトラックが作業現場に到着することが予想される場合に、ダンプトラックの到着が遅れていることを表す図形を表示することで、その旨をアスファルトフィニッシャ100の操作者に知らせることができる。
【0083】
図形G20は、4台目のダンプトラックが作業現場に到着すると予想される予想到着時刻を表す吹き出しであり、図形G10及び図形G11に対応付けられている。図4の例は、35分後の「14:05」に4台目のダンプトラックが作業現場に到着すると予想されていることを示している。図4に示す画像を見た操作者は、「14:05」に予定されている4回目の供給が行われる時刻と、4台目のダンプトラックの到着時刻とが同じになってしまうおそれがあることを認識できる。
【0084】
図形G21は、5台目のダンプトラックが作業現場に到着すると予想される予想到着時刻を表す吹き出しであり、図形G13及び図形G14に対応付けられている。図4の例は、45分後の「14:15」に5台目のダンプトラックが作業現場に到着すると予想されていることを示している。図4に示す画像を見た操作者は、「14:20」に予定されている5回目の供給が行われる時刻よりも、5台目のダンプトラックの到着時刻が5分早い「14:15」になることを認識できる。
【0085】
図形G22は、6台目のダンプトラックが作業現場に到着すると予想される予想到着時刻を表す吹き出しであり、図形G16及び図形G17に対応付けられている。図4の例は、65分後の「14:35」に6台目のダンプトラックが作業現場に到着すると予想されていることを示している。図4に示す画像を見た操作者は、「14:40」に予定されている6回目の供給が行われる時刻よりも、6台目のダンプトラックの到着時刻が5分早い「14:35」になることを認識できる。
【0086】
なお、アスファルトフィニッシャ100の操作者は、実際の施工に必要な舗装材PVの総量が予定よりも少なくて済むと判断した場合には、コントローラ50及び通信装置53を介し、作業現場まで運搬される舗装材PVの総量を予定されていた総量よりも減らすように、ダンプトラックの運転者又は管理会社等の関係者に通知してもよい。例えば、アスファルトフィニッシャ100は、車載表示装置52に付属しているタッチパネル等の入力装置を介して操作者が所定の入力操作を行うことで、舗装材PVの総量の低減量を関係者に通知できるように構成されていてもよい。通知を受けた関係者は、作業現場まで舗装材PVを運搬するダンプトラックの台数を予定台数よりも減らしたり、或いは、各ダンプトラックが運搬する舗装材PVの量を減らしたりするといった対応を取ることができる。なお、このような対応は、通知を受けたコンピュータ等の管理装置によって自動的に行われてもよい。実際の施工に必要な舗装材PVの総量が予定よりも多くなってしまうと判断した場合、すなわち、予定されていた舗装材PVの総量では不足が生じてしまうと判断した場合についても同様である。このように、アスファルトフィニッシャ100の操作者は、実際の施工に必要な舗装材PVの総量と、予定されていた舗装材PVの総量とが一致しないことを施工開始後に認識したとしても、作業現場まで運搬される舗装材PVの総量の増減量を関係者又は管理装置等に容易に伝えることができる。
【0087】
次に、図5を参照し、表示制御部50cが表示装置に表示させる画像の別の一例について説明する。図5は、車載表示装置52に表示される画像の別の一例を示す図である。
【0088】
図5に示す画像は、図形G30及びG31を含む点、及び、図形G18~図形G22を含まない点で図4に示す画像と異なるが、その他の点では図4に示す画像と同じである。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
【0089】
図形G30は、アスファルトフィニッシャ100の状態を示すテキストボックスであり、アスファルトフィニッシャ100が減速したことを表している。図形G30は、例えば、作業現場に向かっている3台目のダンプトラックが交通渋滞の影響により遅延することが分かったため、アスファルトフィニッシャ100の操作者がアスファルトフィニッシャ100を減速させたときに表示される。
【0090】
アスファルトフィニッシャ100の減速に応じ、表示制御部50cは、3台目以降のダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの3回目以降の供給のそれぞれが行われるタイミングを算出し直す。
【0091】
図5は、図形G7により、当初「13:50」に予定されていた3回目の供給が「14:10」に延期されたことを示している。同様に、図5は、図形G10により、当初「14:05」に予定されていた4回目の供給が「14:25」に延期され、図形G13により、当初「14:20」に予定されていた5回目の供給が「14:40」に延期され、図形G6により、当初「14:40」に予定されていた6回目の供給が「15:00」に延期されたことを示している。この場合、表示制御部50cは、図5に示すように、影響を受けた3回目以降の供給が行われる時刻のそれぞれを表す吹き出しである図形G7、G10、G13、及びG16に粗いドットパターンを付すように構成されていてもよい。舗装材PVの供給タイミングが延期されたことを関係者に認識させるためである。
【0092】
図形G31は、作業環境の変化に関する情報を表示する吹き出しである。図5の例では、図形G31は、「14:45」に降雨が予想されていることを示している。表示制御部50cは、例えば、通信装置53を介して天気に関する情報を取得する。
【0093】
図5の画像を見た関係者は、例えば、「14:40」に予定されている5回目の供給のために行われた舗装材PVの発注をキャンセルし、「14:40」での敷き均し作業の打ち切りを決定できる。雨が降り出す前に敷き均し作業を終わらせるためである。
【0094】
アスファルトフィニッシャ100を増速させる場合についても同様である。アスファルトフィニッシャ100の操作者は、例えば、降雨が予想されている場合、雨が降り出す前に敷き均し作業を完了させるために、アスファルトフィニッシャ100を増速させる場合がある。
【0095】
この場合、表示制御部50cは、アスファルトフィニッシャ100の増速に応じ、アスファルトフィニッシャが増速したことを表す図形G30を表示させる。そして、表示制御部50cは、3台目以降のダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの3回目以降の供給のそれぞれが行われるタイミングを算出し直す。
【0096】
表示制御部50cは、アスファルトフィニッシャ100の増速が実際に行われる前に、アスファルトフィニッシャ100を増速させたときの供給タイミングの変化を表示させてもよい。どの程度の増速が行われた場合にどの程度の時間短縮が実現されるのかを操作者が事前に認識できるようにするためである。アスファルトフィニッシャ100を減速させる場合についても同様である。
【0097】
以上の構成により、表示システムDSは、情報取得装置51が取得した道路の舗装に関する情報に基づいて将来的に発生する事象を予測し、その事象に関する情報を道路図上に表示させることができる。
【0098】
次に、図6を参照し、アスファルトフィニッシャ100に搭載される表示システムDSの別の構成例について説明する。図6は、表示システムDSの別の構成例を示すブロック図である。
【0099】
図6の表示システムDSは、後方監視装置51B及び厚さ算出部50bが省略されている点で、図3の表示システムDSと異なるが、その他の点では図3の表示システムDSと同じである。そのため、共通部分の説明を省略し、相違部分を詳説する。
【0100】
図6の表示システムDSでは、表示制御部50cは、新設舗装体NPの厚さを算出することなく、ダンプトラック1台分の舗装材PVによって形成される未設舗装体の長さである目安長さLを導き出す。
【0101】
具体的には、表示制御部50cは、新設舗装体NPの体積を算出することなく、すなわち、ダンプトラック1台分の舗装材PVによって形成される未設舗装体の体積である目安体積Vを算出することなく、目安長さLを算出できるように構成されている。
【0102】
より具体的には、表示制御部50cは、例えば、未設舗装体の厚さ及び幅が新設舗装体NPの厚さ及び幅と同じであると判断できる場合には、第1地点と第2地点との間の舗装距離Dを目安長さLとして導き出す。
【0103】
第1地点の位置座標は、例えば、1台目のダンプトラックによる1回目のダンプアップが行われたと監視部50aが判定した時点における測位装置の出力によって定められる。同様に、第2地点の位置座標は、例えば、2台目のダンプトラックによる1回目のダンプアップが行われたと監視部50aが判定した時点における測位装置の出力によって定められる。そして、表示制御部50cは、第1地点の位置座標と第2地点の位置座標から第1地点と第2地点との間の舗装距離Dを導き出すことができる。
【0104】
或いは、表示制御部50cは、アスファルトフィニッシャ100が第1地点にあるときの走行速度センサ51Sの出力と、第2地点にあるときの走行速度センサ51Sの出力との差DFに基づき、舗装距離Dを導き出してもよい。
【0105】
「アスファルトフィニッシャ100が第1地点にあるときの走行速度センサ51Sの出力」は、例えば、1台目のダンプトラックによる1回目のダンプアップが行われたと監視部50aが判定した時点における走行速度センサ51Sの出力である。また、「アスファルトフィニッシャ100が第2地点にあるときの走行速度センサ51Sの出力」は、例えば、2台目のダンプトラックによる1回目のダンプアップが行われたと監視部50aが判定した時点における走行速度センサ51Sの出力である。
【0106】
差DFは、アスファルトフィニッシャ100が第1地点から第2地点まで移動した際の後輪5の回転角度に相当する。
【0107】
或いは、表示制御部50cは、複数の舗装距離Dに基づいて目安長さLを算出してもよい。表示制御部50cは、例えば、第1地点と第2地点との間の舗装距離D1と、第2地点と第3地点との間の舗装距離D2との平均値を目安長さLとして算出してもよい。或いは、表示制御部50cは、3つ以上の舗装距離の平均値を目安長さLとして算出してもよく、複数の舗装距離から算出される他の統計値を目安長さLとして算出してもよい。他の統計値は、例えば、最大値、最小値、又は中間値等であってもよい。
【0108】
或いは、表示制御部50cは、未設舗装体の厚さが新設舗装体NPの厚さと同じであると判断できる場合には、目安面積Sとして新設舗装体NPの表面積を算出してもよい。目安面積Sは、ダンプトラック1台分の舗装材PVによって形成される未設舗装体の表面積である。具体的には、表示制御部50cは、第1地点と第2地点との間の舗装距離Dと、舗装幅センサが検出した新設舗装体NPの幅とに基づき、目安面積Sとして新設舗装体NPの表面積を算出してもよい。そして、表示制御部50cは、未設舗装体の目安面積Sと幅とに基づき、未設舗装体の目安長さLを算出してもよい。
【0109】
この構成により、図6の表示システムDSは、図3の表示システムDSよりも簡易な構成で、図3の表示システムDSによって実現される効果と同様の効果を実現できる。
【0110】
上述のように、本発明の実施形態に係る道路機械の表示装置は、例えば、アスファルトフィニッシャ100に搭載された車載表示装置52、ダンプトラックに搭載された車載表示装置、アスファルトフィニッシャ100に搭載された通信装置53を介して接続される管理装置に付属の表示装置、又は、アスファルトフィニッシャ100に搭載された通信装置53を介して接続されるスマートフォン等の支援装置に付属の表示装置等を含む。
【0111】
道路機械としてのアスファルトフィニッシャ100は、トラクタ1と、トラクタ1の前側に設置されて舗装材PVを受け入れるホッパ2と、ホッパ2内の舗装材PVをトラクタ1の後側へ給送するコンベアCVと、コンベアCVにより給送された舗装材PVをトラクタ1の後側で敷き拡げるスクリュSCと、スクリュSCにより敷き拡げられた舗装材PVをスクリュSCの後側で敷き均すスクリード3と、道路の舗装に関する情報を取得する情報取得装置51とを備えている。
【0112】
そして、アスファルトフィニッシャ100の表示装置は、情報取得装置51が取得した道路の舗装に関する情報に基づいて将来的に発生する事象を予測し、その事象に関する情報を道路図上に表示する。
【0113】
この構成により、アスファルトフィニッシャ100の表示装置は、敷き均し作業の進み具合を操作者等がより正確に予測できるようにする。
【0114】
アスファルトフィニッシャ100の表示装置は、舗装距離Dに基づいて導き出される、運搬車両としてのダンプトラックの1台分の舗装材PVによって形成される未設舗装体の長さである目安長さLを表示できるように構成されていてもよい。この場合、舗装距離Dは、例えば、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの供給が開始された第1地点と、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの次の供給が開始された第2地点との間の距離である。
【0115】
アスファルトフィニッシャ100の表示装置は、新設舗装体NPの厚さと幅と長さとに基づいて導き出される、ダンプトラック1台分の舗装材PVによって形成される未設舗装体の長さである目安長さLを表示できるように構成されていてもよい。この構成により、関係者は、敷き均し作業の進み具合を更に正確に予測できるようになる。実際の敷き均し作業では、L形側溝ブロック等の配置によって決まる基準高さに対応するように新設舗装体NPの厚さが決定される場合がある。この場合、新設舗装体NPの厚さは、道路設計データに定められた厚さとは異なり、未設舗装体を完成させるために必要な舗装材PVの量も当初予定していた量とは異なってしまう。これに対し、アスファルトフィニッシャ100の表示装置は、新設舗装体NPの実際の厚さに基づいて未設舗装体の目安長さLを算出して表示させることができる。そのため、アスファルトフィニッシャ100の操作者は、未設舗装体を完成させるために必要な舗装材PVの量が変化したことを早期に認識でき、舗装材PVの発注量を調節する等、様々な措置を講じることができる。
【0116】
アスファルトフィニッシャ100の表示装置は、ダンプトラック1台分の舗装材PVによって形成される未設舗装体の長さとアスファルトフィニッシャ100の移動速度とに基づいて導き出される、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの次の供給が開始される時刻、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの次の供給が開始されるまでの時間、及び、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの次の供給が開始される位置の少なくとも1つを表示できるように構成されていてもよい。
【0117】
アスファルトフィニッシャ100の表示装置は、新設舗装体NPの体積と、ダンプトラック1台分の舗装材PVによって形成される未設舗装体の幅とに基づいて導き出される未設舗装体の長さである目安長さLを表示できるように構成されていてもよい。この場合、新設舗装体NPの体積は、未設舗装体の目安体積Vに相当する。この構成により、表示装置は、新設舗装体NPの幅に比べて未設舗装体の幅が拡張或いは縮小する場合であっても、未設舗装体の目安長さLをより正確に導き出すことができる。
【0118】
アスファルトフィニッシャ100の表示装置は、降雨が予想される時刻を表示できるように構成されていてもよい。この構成により、関係者は、雨が降り出す前に敷き均し作業を完了させたり、雨が降り出す前に敷き均し作業を中断させたりするための措置を取ることができる。この措置は、例えば、アスファルトフィニッシャ100の走行速度を増減させることを含む。
【0119】
アスファルトフィニッシャ100の表示装置は、アスファルトフィニッシャ100の移動速度の変更に応じ、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの次の供給が開始される時刻、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの次の供給が開始されるまでの時間、及び、ダンプトラックによるホッパ2内への舗装材PVの次の供給が開始される位置の少なくとも1つの表示を更新できるように構成されていてもよい。この構成により、関係者は、ダンプトラックの到着遅延等の予定外の事象に対応すべく、アスファルトフィニッシャ100の移動速度を増減させた場合であっても、敷き均し作業の進み具合をより正確に予測できるようになる。
【0120】
以上、本発明の好ましい実施形態が説明された。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に限定されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形又は置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0121】
本願は、2019年3月25日に出願した日本国特許出願2019-057337号に基づく優先権を主張するものであり、この日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0122】
1・・・トラクタ 1G・・・ガイドレール 1S・・・運転席 2・・・ホッパ 3・・・スクリード 3A・・・レベリングアーム 5・・・後輪 6・・・前輪 30・・・前側スクリード 31・・・後側スクリード 43・・・モールドボード 50・・・コントローラ 50a・・・監視部 50b・・・厚さ算出部 50c・・・表示制御部 51・・・情報取得装置 51B・・・後方監視装置 51F・・・前方監視装置 51S・・・走行速度センサ 52・・・車載表示装置 53・・・通信装置 100・・・アスファルトフィニッシャ AP・・・地物 BS・・・路盤 CV・・・コンベア DS・・・表示システム NP・・・新設舗装体 PV・・・舗装材 SC・・・スクリュ
図1
図2
図3
図4
図5
図6