(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】深層学習人工ニューラルネットワークにおけるアナログニューラルメモリのプログラミングのための精密な調整
(51)【国際特許分類】
G11C 11/56 20060101AFI20231115BHJP
G11C 11/54 20060101ALI20231115BHJP
G11C 16/10 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
G11C11/56 210
G11C11/54
G11C16/10 110
G11C16/10 140
(21)【出願番号】P 2021520973
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 US2019043524
(87)【国際公開番号】W WO2020081140
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-07-22
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ヒュー バン
(72)【発明者】
【氏名】レムケ、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ティワリ、ビピン
(72)【発明者】
【氏名】ドー、ナン
(72)【発明者】
【氏名】レイテン、マーク
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-520845(JP,A)
【文献】特開平10-106276(JP,A)
【文献】国際公開第2017/200883(WO,A1)
【文献】特表2006-509326(JP,A)
【文献】特表2009-537055(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0291285(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/56
G11C 16/10
G11C 11/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択された不揮発性メモリセルを、N個の可能な値のうちの1つを記憶するようにプログラミングする方法であって、Nは2よりも大きい整数であり、前記選択された不揮発性メモリセルは浮遊ゲートを含み、前記方法は、
前記選択された不揮発性メモリセルを「0」状態にプログラミングするステップと、
読み出し動作中に3~5μAの電流を引き込むレベルに、前記選択された不揮発性メモリセルに対して消去を行うように、前記選択された不揮発性メモリセルでソフト消去動作を実行するステップと、
粗プログラミングプロセスを実行するステップであって、前記粗プログラミングプロセスが、
ルックアップテーブル内のM個の異なる電流値
から粗標的電流値を第1のスレッショルド電流値として選択するステップであって、M<Nである、ステップと、
前記浮遊ゲートに電荷を追加するステップと、
検証動作中に前記選択された不揮発性メモリセルを通る電流が前記第1のスレッショルド電流値以下になるまで、前記追加するステップを繰り返すステップと、を含む、ステップと、
検証動作中に前記選択された不揮発性メモリセルを通る電流が第2のスレッショルド電流値以下になるまで、精密プログラミングプロセスを実行するステップ
であって、前記粗プログラミングプロセスのプログラミングステップにおける増分よりも小さい増分の電荷が前記浮遊ゲートに追加される、ステップと、を含む、方法。
【請求項2】
検証動作中に前記選択された不揮発性メモリセルを通る電流が第3のスレッショルド電流値以下になるまで、第2の精密プログラミングプロセスを実行するステップ、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記精密プログラミングプロセスは、前記選択された不揮発性メモリセルの制御ゲートに、大きさが増加していく電圧パルスを印加するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記精密プログラミングプロセスは、前記選択された不揮発性メモリセルの制御ゲートに、持続時間が増加していく電圧パルスを印加するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の精密プログラミングプロセスは、前記選択された不揮発性メモリセルの制御ゲートに、大きさが増加していく電圧パルスを印加するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の精密プログラミングプロセスは、前記選択された不揮発性メモリセルの制御ゲートに持続時間が増加していく電圧パルスを印加するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記選択された不揮発性メモリセルは、スプリットゲート型フラッシュメモリセルである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記選択された不揮発性メモリセルは、アナログメモリディープニューラルネットワーク内のベクトル行列乗算アレイ内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記選択された不揮発性メモリセルで読み出し動作を実行するステップと、
前記読み出し動作中に前記選択された不揮発性メモリセルによって引き込まれた前記電流を、積分型アナログデジタル変換器を使用してデジタルビットを生成するために積分するステップと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記選択された不揮発性メモリセルで読み出し動作を実行するステップと、
前記読み出し動作中に前記選択された不揮発性メモリセルによって引き込まれた前記電流を、シグマデルタ型アナログデジタル変換器を使用してデジタルビットに変換するステップと、を更に含む、請求項1に記載の方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2018年10月16日に出願された「Precision Tuning For the Programming Of Analog Neural Memory In A Deep Learning Artificial Neural Network」と題する米国特許仮出願第62/746,470号、及び2018年12月21日に出願された「Precision Tuning For the Programming Of Analog Neural Memory In A Deep Learning Artificial Neural Network」と題する米国特許出願第16/231,231号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
人工ニューラルネットワーク内のベクトル行列乗算(VMM)アレイ内の不揮発性メモリセルの浮遊ゲートに正確な量の電荷を精密かつ迅速に堆積させるための精密調整アルゴリズム及び装置の多数の実施形態が開示される。
【背景技術】
【0003】
人工ニューラルネットワークは、生物学的ニューラルネットワーク(動物の中枢神経系、特に脳)を模倣しており、多数の入力に依存し得、かつ、一般的に未知である関数を推定する又は近似するために使用される。人工ニューラルネットワークは、概して、メッセージを交換する相互接続した「ニューロン」の層を含む。
【0004】
図1は人工ニューラルネットワークを示しており、図中、円は、入力又はニューロンの層を表す。接続(シナプスと呼ばれる)は、矢印によって表され、経験に基づいて調整され得る数値の重みを有する。これにより、ニューラルネットワークは入力に適応し、学習可能になる。典型的には、ニューラルネットワークは、複数の入力の層を含む。典型的には、1つ以上のニューロンの中間層、及びニューラルネットワークの出力を提供するニューロンの出力層が存在する。それぞれのレベルでニューロンは、シナプスから受け取ったデータに基づいて個々に又は合わせて決定を行う。
【0005】
高性能情報処理用の人工ニューラルネットワークの開発における主要な課題の1つは、適切なハードウェア技術の欠如である。実際には、実用ニューラルネットワークは、非常に多数のシナプスに依拠しており、これによりニューロン間の高い接続性、すなわち、非常に高度な計算処理の並列化が可能となる。原理的には、このような複雑性は、デジタルスーパーコンピュータ又は専用GPU(グラフィックプロセッシングユニット)クラスタによって実現が可能である。しかしながら、高コストに加え、これらのアプローチはまた、生物学的ネットワークが主として低精度のアナログ計算を実施するのではるかに少ないエネルギーしか消費しないのと比較して、エネルギー効率が劣っていることに悩まされている。人工ニューラルネットワークにはCMOSアナログ回路が使用されてきたが、ほとんどのCMOS実装シナプスは、多数のニューロン及びシナプスを前提とすると、嵩高過ぎていた。
【0006】
出願人は以前に、参照により組み込まれる米国特許出願第15/594,439号において、シナプスとして1つ以上の不揮発性メモリアレイを利用する人工(アナログ)ニューラルネットワークを開示した。不揮発性メモリアレイは、アナログニューロモーフィックメモリとして動作する。ニューラルネットワークデバイスは、第1の複数の入力を受け取り、それから第1の複数の出力を生成するように構成されている第1の複数のシナプス、及び第1の複数の出力を受け取るように構成された第1の複数のニューロンを含む。第1の複数のシナプスは複数のメモリセルを含み、各メモリセルは、半導体基板内に形成された、間にチャネル領域が延在している離間したソース領域及びドレイン領域と、チャネル領域の第1の部分の上方に配設され、チャネル領域の第1の部分から絶縁された浮遊ゲートと、チャネル領域の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域の第2の部分から絶縁された非浮遊ゲートと、を含む。複数のメモリセルのそれぞれは、浮遊ゲート上の多くの電子に対応する重み値を格納するように構成されている。複数のメモリセルは、第1の複数の入力に、格納された重み値を乗算して第1の複数の出力を生成するように構成される。
【0007】
アナログニューロモーフィックメモリシステムに使用される各不揮発性メモリセルは、消去・プログラムに対応して、浮遊ゲート内に電荷、すなわち電子の数、を非常に特異的かつ正確な量で保持しなければならない。例えば、各浮遊ゲートはN個の異なる値のうちの1つを保持しなければならず、ここで、Nは、各セルによって示され得る異なる重みの数である。Nの例としては、16、32、64、128及び256が挙げられる。
【0008】
VMMシステムにおける1つの課題は、選択されたセルを、Nの異なる値に必要とされる精度及び粒度でプログラムする能力である。例えば、選択されたセルが64個の異なる値のうちの1つを含むことができる場合、プログラム動作において極めて高い精度が必要とされる。
【0009】
必要とされるのは、アナログニューロモーフィックメモリシステムにおいてVMMと共に使用するのに適した、改善されたプログラミングシステム及び方法である。
【発明の概要】
【0010】
人工ニューラルネットワーク内のベクトル行列乗算(VMM)アレイ内の不揮発性メモリセルの浮遊ゲートに正確な量の電荷を精密かつ迅速に堆積させるための精密調整アルゴリズム及び装置について、多数の実施形態が開示される。それにより、選択されたセルは、N個の異なる値のうちの1つを保持するために、極めて高い精度でプログラミングすることができる。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】人工ニューラルネットワークを示す図である。
【
図2】先行技術のスプリットゲート型フラッシュメモリセルを示す。
【
図3】別の先行技術のスプリットゲート型フラッシュメモリセルを示す。
【
図4】別の先行技術のスプリットゲート型フラッシュメモリセルを示す。
【
図5】別の先行技術のスプリットゲート型フラッシュメモリセルを示す。
【
図6】1つ以上の不揮発性メモリアレイを利用する例示的な人工ニューラルネットワークの各レベルを示す図である。
【
図7】ベクトル行列乗算システムを示すブロック図である。
【
図8】1つ以上のベクトル行列乗算システムを利用する例示的な人工ニューラルネットワークを示すブロック図である。
【
図9】ベクトル行列乗算システムの別の実施形態を示す。
【
図10】ベクトル行列乗算システムの別の実施形態を示す。
【
図11】ベクトル行列乗算システムの別の実施形態を示す。
【
図12】ベクトル行列乗算システムの別の実施形態を示す。
【
図13】ベクトル行列乗算システムの別の実施形態を示す。
【
図15】長・短期記憶システムで使用する例示的なセルを示す。
【
図18】先行技術のゲート付き回帰型ユニットシステムを示す。
【
図19】ゲート付き回帰型ユニットシステムで使用する例示的なセルを示す。
【
図22A】不揮発性メモリセルをプログラミングする方法の一実施形態を示す。
【
図22B】不揮発性メモリセルをプログラミングする方法の別の実施形態を示す。
【
図23】粗プログラミング方法の一実施形態を示す。
【
図24】不揮発性メモリセルのプログラミングで使用される例示的なパルスを示す。
【
図25】不揮発性メモリセルのプログラミングで使用される例示的なパルスを示す。
【
図26】セルの傾斜特性に基づいてプログラミングパラメータを調節する、不揮発性メモリセルのプログラミングのための較正アルゴリズムを示す。
【
図28】不揮発性メモリセルのプログラミングのための較正アルゴリズムを示す。
【
図30】プログラミング動作中に不揮発性メモリセルの制御ゲートに印加された電圧の例示的な進行を示す。
【
図31】プログラミング動作中に不揮発性メモリセルの制御ゲートに印加された電圧の例示的な進行を示す。
【
図32】ベクトル乗算行列システム内の不揮発性メモリセルのプログラミング中にプログラミング電圧を印加するためのシステムを示す。
【
図36A】ニューロン出力用の積分型アナログデジタル変換器の一実施形態を示す。
【
図36B】
図36Aの積分型アナログデジタル変換器の経時的な電圧出力を示すグラフを示す。
【
図36C】ニューロン出力用の積分型アナログデジタル変換器の別の実施形態を示す。
【
図36D】
図36Cの積分型アナログデジタル変換器の経時的な電圧出力を示すグラフを示す。
【
図36E】ニューロン出力用の積分型アナログデジタル変換器の別の実施形態を示す。
【
図36F】ニューロン出力用の積分型アナログデジタル変換器の別の実施形態を示す。
【
図37A】ニューロン出力用の逐次比較型アナログデジタル変換器を示す。
【
図37B】ニューロン出力用の逐次比較型アナログデジタル変換器を示す。
【
図38】シグマデルタ型アナログデジタル変換器の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の人工ニューラルネットワークは、CMOS技術及び不揮発性メモリアレイの組み合わせを利用する。
不揮発性メモリセル
【0056】
デジタル不揮発性メモリは、周知である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,029,130号(「’130号特許」)は、フラッシュメモリセルの一種である、スプリットゲート型不揮発性メモリセルのアレイを開示する。このようなメモリセル210を
図2に示す。各メモリセル210は、半導体基板12内に形成されたソース領域14とドレイン領域16と、を含み、ソース領域14とドレイン領域16の間にはチャネル領域18がある。浮遊ゲート20は、チャネル領域18の第1の部分の上方に形成され、チャネル領域18の第1の部分から絶縁され(並びに、チャネル領域18の第1の部分の導電性を制御して)、ソース領域14の一部分の上方にかけて形成される。ワード線端子22(典型的には、ワード線に結合される)は、チャネル領域18の第2の部分の上方に配設され、チャネル領域18の第2の部分から絶縁された、(並びに、チャネル領域18の第2の部分の導電性を制御する)第1の部分と、上に向かって浮遊ゲート20の上方にかけて延在する第2の部分と、を有する。浮遊ゲート20及びワード線端子22は、ゲート酸化物によって基板12から絶縁される。ビット線24はドレイン領域16に結合される。
【0057】
ワード線端子22に高圧正電圧を印加することによって、メモリセル210に対して消去が行われ(電子が浮遊ゲートから除去される)、これによって、浮遊ゲート20の電子は、浮遊ゲート20からワード線端子22までそれらの間にある絶縁体の中をファウラーノルドハイム(Fowler-Nordheim)トンネリングを介して通過する。
【0058】
メモリセル210は、ワード線端子22に正電圧、及びソース領域14に正電圧を印加することによってプログラムされる(電子が浮遊ゲートに印加される)。電子電流は、ソース領域14からドレイン領域16に向かって流れる。電子は加速し、ワード線端子22と浮遊ゲート20との間の間隙に達すると、発熱する。熱せられた電子の一部が、浮遊ゲート20からの静電引力に起因して、浮遊ゲート20にゲート酸化物を介して注入される。
【0059】
メモリセル210は、ドレイン領域16及びワード線端子22に正の読み出し電圧を印加する(ワード線端子の下方のチャネル領域18の部分をオンにする)ことによって、読み出される。浮遊ゲート20が正に帯電する(すなわち、電子を消去する)と、浮遊ゲート20の下方のチャネル領域18の部分も同様にオンになり、電流はチャネル領域18を流れ、これは、消去された状態つまり「1」の状態として検知される。浮遊ゲート20が負に帯電する(すなわち、電子でプログラムされる)と、浮遊ゲート20の下方のチャネル領域の部分はほとんど又は完全にオフになり、電流はチャネル領域18を流れず(又はほとんど流れず)、これは、プログラムされた状態つまり「0」の状態として検出される。
【0060】
表1は、読み出し、消去、及びプログラム動作を実行するためのメモリセル110の端子に印加できる典型的な電圧範囲を示す。
表1:
図3のフラッシュメモリセル210の動作
【表1】
【0061】
他の種類のフラッシュメモリセルとして、他のスプリットゲート型メモリセル構成も知られている。例えば、
図3は、ソース領域14と、ドレイン領域16と、チャネル領域18の第1の部分の上方にある浮遊ゲート20と、チャネル領域18の第2の部分の上方にある選択ゲート22(典型的には、ワード線、WL、に結合される)と、浮遊ゲート20の上方にある制御ゲート28と、ソース領域14の上方にある消去ゲート30と、を含む4ゲートメモリセル310を示す。この構成は、あらゆる目的のため参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,747,310号に記載されている。ここで、全てのゲートは、浮遊ゲート20を除いて、非浮遊ゲートであり、つまり、それらは電圧源に電気的に接続される又は接続可能である。プログラミングは、熱せられた電子がチャネル領域18から浮遊ゲート20にその電子自体を注入することによって実行される。消去は、電子が浮遊ゲート20から消去ゲート30へトンネリングすることによって実行される。
【0062】
表2は、読み出し、消去、及びプログラム動作を実行するためのメモリセル310の端子に印加され得る典型的な電圧範囲を示す。
表2:
図3のフラッシュメモリセル310の動作
【表2】
【0063】
図4は、別の種類のフラッシュメモリセルである、3ゲートメモリセル410を示す。メモリセル410は、メモリセル410が別個の制御ゲートを有しないことを除いて、
図3のメモリセル310と同一である。消去動作(消去ゲートの使用を通して消去が起こる)及び読み出し動作は、制御ゲートバイアスが印加されないことを除いて、
図3のものと同様である。プログラミング動作もまた、制御ゲートバイアスなしで行われるため、結果として、プログラム動作中は、制御ゲートバイアスの不足を補償するため、より高い電圧がソース線に印加されなければならない。
【0064】
表3は、読み出し、消去、及びプログラム動作を実行するためのメモリセル410の端子に印加され得る典型的な電圧範囲を示す。
表3:
図4のフラッシュメモリセル410の動作
【表3】
【0065】
図5は、別の種類のフラッシュメモリセルである、積層ゲートメモリセル510を示す。メモリセル510は、浮遊ゲート20がチャネル領域18全体の上方にわたって延在し、制御ゲート22(ワード線に結合される)が絶縁層(図示せず)によって分離された浮遊ゲート20の上方に延在することを除いて、
図2のメモリセル210と同様である。消去、プログラミング、及び読み出し動作は、メモリセル210について前述したものと同様の方法で動作する。
【0066】
表4は、読み出し、消去、及びプログラム動作を実行するためのメモリセル510及び基板12の端子に印加され得る典型的な電圧範囲を示す。
表4:
図5のフラッシュメモリセル510の動作
【表4】
【0067】
上記の人工ニューラルネットワークにおける不揮発性メモリセルの種類のうちの1つを含むメモリアレイを利用するために、2つの修正が行われる。第1に、以下に更に説明されるように、アレイ内の他のメモリセルのメモリ状態に悪影響を与えずに各メモリセルを個々にプログラム、消去、及び読み出しできるように線を構成する。第2に、メモリセルの連続(アナログ)プログラミングを提供する。
【0068】
具体的には、アレイ内の各メモリセルのメモリ状態(すなわち、浮遊ゲート上の電荷)を、完全に消去された状態から完全にプログラムされた状態へ、独立して、かつ他のメモリセルの異常が最小で、連続的に変更することができる。別の実施形態では、アレイ内の各メモリセルのメモリ状態(すなわち、浮遊ゲートの電荷)を、完全にプログラムされた状態から完全に消去された状態へ、及び逆もまた同様に、独立して、かつ他のメモリセルの異常が最小で、連続的に変更することができる。これはつまり、セル格納がアナログであるか、又は多数の不連続値(16又は64の異なる値など)のうちの1つを最低限格納できることを意味し、これにより、メモリアレイ内の全てのセルが非常に正確に、かつ個別に調整可能となり、またメモリアレイは格納に対して理想的になり、ニューラルネットワークのシナプシスの重みに微調整が可能となる。
不揮発性メモリセルアレイを使用するニューラルネットワーク
【0069】
図6は、本実施形態の不揮発性メモリアレイを利用するニューラルネットワークの非限定実施例を概念的に示す。この例は、顔認識アプリケーション用に不揮発性メモリアレイニューラルネットワークを使用するが、不揮発性メモリアレイベースのニューラルネットワークを使用して他の適切なアプリケーションを実施することも可能である。
【0070】
S0は入力層であり、この例では、5ビット精度の32×32ピクセルRGB画像である(すなわち、各色R、G、及びBにつき1つずつで3つの32×32ピクセルアレイであり、各ピクセルは5ビット精度である)。入力層S0から層C1に行くシナプスCB1は、一部のインスタンスには異なる重みのセットを適用し、他のインスタンスには共有の重みを適用し、入力画像を3×3ピクセルの重なり合うフィルタでスキャンし(カーネル)、1ピクセル(又はモデルによっては2ピクセル以上)ずつフィルタをシフトする。具体的には、画像の3×3部分における9ピクセルの値(すなわち、フィルタ又はカーネルと呼ばれる)はシナプスCB1に提供され、そこでこれらの9個の入力値に適切な重みを乗算し、その乗算の出力を合計後、単一の出力値が決定され、特徴マップC1の層の1つのピクセルを生成するためにCB1の第1のシナプスによって与えられる。3×3フィルタは次に、入力層S0内で右側に1ピクセルだけシフトされ(すなわち、3ピクセルの列を右側に追加し、左側で3ピクセルの列をドロップする)、これにより、この新しく位置づけられたフィルタの9ピクセル値はシナプスCB1に提供され、そこでそれらに上記と同じ重みを乗算し、関連するシナプスによって第2の単一の出力値を決定する。このプロセスを、3×3フィルタが入力層S0の32×32ピクセル画像全体にわたって3色全て及び全てのビット(精度値)についてスキャンするまで続ける。プロセスは次に、層C1の特徴マップ全てが計算されるまで、異なる重みのセットを使用して繰り返されて、C1の異なる特徴マップを生成する。
【0071】
本例では、層C1において、それぞれ30×30ピクセルを有する16個の特徴マップが存在する。各ピクセルは、入力とカーネルとの乗算から抽出された新しい特徴ピクセルであり、したがって、各特徴マップは、2次元アレイであり、したがってこの例では、層C1は、2次元アレイの16層を構成する(本明細書で言及される層及びアレイは、必ずしも物理的関係ではなく論理的な関係であり、すなわち、アレイは必ずしも物理的な2次元アレイに配向されないことに留意されたい)。層C1内の16個の特徴マップの各々は、フィルタスキャンに適用された異なるシナプス重みのセット16個のうちの1つによって生成される。C1特徴マップは全て、境界同定など、同じ画像特徴の異なる態様を対象とすることができる。例えば、第1のマップ(この第1のマップを生成するのに使用される全てのスキャンに共有される第1の重みセットを使用して生成される)は、円形エッジを識別することができ、第2のマップ(第1の重みセットと異なる第2の重みセットを使用して生成される)は、方形エッジ又は特定の特徴のアスペクト比などを識別することができる。
【0072】
層C1から層S1へ行く前には、各特徴マップ内の重なり合わずに連続する2×2領域からの値をプールする活性化関数P1(プーリング)が適用される。プーリング関数の目的は、近隣の位置を平均すること(又はmax関数を使用することも可能である)、例えばエッジ位置の依存を低減すること、及び次の段階に行く前にデータサイズを低減することである。層S1において、16個の15×15特徴マップ(すなわち、それぞれ15×15ピクセルの異なるアレイ16個)が存在する。層S1から層C2に行くシナプスCB2は、S1内のマップを4×4フィルタにより1ピクセルのフィルタシフトでスキャンする。層C2において、22個の12×12特徴マップが存在する。層C2から層S2へ行く前には、各特徴マップ内の重なり合わずに連続する2×2領域からの値をプールする活性化関数P2(プーリング)が適用される。層S2において、22個の6×6特徴マップが存在する。層S2から層C3へ行くシナプスCB3では活性化関数(プーリング)が適用され、ここで層C3内の全てのニューロンは、CB3のそれぞれのシナプスを介して層S2内の全てのマップに接続する。層C3において、64個のニューロンが存在する。層C3から出力層S3へと行くシナプスCB4は、C3をS3に完全に接続する、すなわち、層C3内の全てのニューロンは、層S3内の全てのニューロンに接続される。S3における出力は、10個のニューロンを含み、ここで出力が最も高いニューロンが、クラスを決定する。この出力は、例えば、元の画像の内容の同定又は分類を示すことができる。
【0073】
シナプスの各層は、不揮発性メモリセルのアレイ又はアレイの一部を使用して実行される。
【0074】
図7は、その目的のために使用可能なアレイのブロック図である。ベクトル行列乗算(Vector-by-matrix multiplication、VMM)アレイ32は、不揮発性メモリセルを含み、ある層と次の層との間のシナプス(
図6のCB1、CB2、CB3、及びCB4など)として利用される。具体的には、VMMアレイ32は、不揮発性メモリセルのアレイ33、消去ゲート及びワード線ゲートデコーダ34、制御ゲートデコーダ35、ビット線デコーダ36、並びにソース線デコーダ37を含み、それらのデコーダは不揮発性メモリセルアレイ33に対するそれぞれの入力をデコードする。VMMアレイ32への入力は、消去ゲート及びワード線ゲートデコーダ34から、又は制御ゲートデコーダ35から行うことができる。この例におけるソース線デコーダ37はまた、不揮発性メモリセルアレイ33の出力をデコードする。あるいは、ビット線デコーダ36が、不揮発性メモリセルアレイ33の出力をデコードすることができる。
【0075】
不揮発性メモリセルアレイ33は、2つの目的を果たす。第1に、VMMアレイ32によって使用される重みを格納する。第2に、不揮発性メモリセルアレイ33は、不揮発性メモリセルアレイ33に格納された重みによって、入力を有効に乗算して、それらを出力線(ソース線又はビット線)ごとに加算して、出力を生成し、この出力は次の層への入力又は最後の層への入力になる。不揮発性メモリセルアレイ33が乗算及び加算の関数を実行することで、別個の乗算及び加算の論理回路の必要性はなくなり、また、メモリ内の計算により電力効率も良い。
【0076】
不揮発性メモリセルアレイ33の出力は、不揮発性メモリセルアレイ33の出力を合計してその畳み込み用の単一の値を作成する、差動加算器(加算オペアンプ又は加算カレントミラーなど)38に供給される。差動加算器38は、正の重み及び負の重みの総和を実行するように配置される。
【0077】
差動加算器38の合計された出力値は、次に出力を整流する活性化関数回路39に供給される。活性化関数回路39は、シグモイド、tanh、又はReLU関数を提供し得る。活性化関数回路39の整流された出力値は、次の層(例えば
図6のC1)として特徴マップの要素になり、次いで、次のシナプスに適用されて次の特徴マップ層又は最後の層を生成する。したがって、この例では、不揮発性メモリセルアレイ33は、複数のシナプスを構成し(ニューロンの前の層から、又は画像データベースなどの入力層から、入力を受け取る)、加算オペアンプ38及び活性化関数回路39は、複数のニューロンを構成する。
【0078】
図7のVMMアレイ32への入力(WLx、EGx、CGx、及び任意選択的にBLx及びSLx)は、アナログレベル、バイナリレベル、又はデジタルビット(この場合、DACは、デジタルビットを適切な入力アナログレベルに変換するために提供される)であり得、出力は、アナログレベル、バイナリレベル、又はデジタルビットであり得る(この場合、出力ADCは出力アナログレベルをデジタルビットに変換するために提供される)。
【0079】
図8は、図中でVMMアレイ32a、32b、32c、32d及び32eとして標示されたVMMアレイ32の多数の層の使用を示すブロック図である。
図8に示されるように、入力(Inputxで示される)は、デジタルアナログ変換器31によってデジタルからアナログに変換され、入力VMMアレイ32aに提供される。変換されたアナログ入力は、電圧又は電流であり得る。第1の層の入力D/A変換は、入力VMMアレイ32aの行列乗算器の適切なアナログレベルに入力Inputxをマッピングする関数又はLUT(ルックアップテーブル)を使用することによって行うことができる。入力変換はまた、外部アナログ入力を入力VMMアレイ32aへのマッピングされたアナログ入力に変換するために、アナログ-アナログ(A/A)変換器によって行うこともできる。
【0080】
入力VMMアレイ32aによって生成された出力は、次に、次のVMMアレイ(隠しレベル1)32bへの入力として提供され、次に入力VMMアレイ(隠しレベル2)32cへの入力として提供される出力を生成する、などとなる。VMMアレイ32の様々な層は、畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network、CNN)のシナプス及びニューロンの各層として機能する。VMMアレイ32a、32b、32c、32d及び32eはそれぞれスタンドアローンの物理的不揮発性メモリアレイとすることができ、又は複数のVMMアレイは、同じ物理的不揮発性メモリアレイの異なる部分を利用することができ、又は複数のVMMアレイは、同じ物理的不揮発性メモリアレイの重なり合う部分を利用することができる。
図8に示される例は、5つの層(32a、32b、32c、32d、32e)、すなわち、1つの入力層(32a)、2つの隠れ層(32b、32c)、及び2つの完全に接続された層(32d、32e)を含む。当業者であれば、これは単なる例示であり、代わりにシステムが2つを超える隠れ層及び2つを超える完全に接続された層を含み得ることを理解するであろう。
ベクトル行列乗算(VMM)アレイ
【0081】
図9は、
図3に示されるメモリセル310に特に適したニューロンVMMアレイ900を示し、入力層と次の層との間でシナプス及びニューロンの一部として利用される。VMMアレイ900は、不揮発性メモリセルのメモリアレイ901と、不揮発性基準メモリセルの基準アレイ902(アレイの頂部に位置する)と、を含む。あるいは、別の基準アレイが底部に位置することができる。
【0082】
VMMアレイ900では、制御ゲート線903などの制御ゲート線が垂直方向に延びており(したがって、行方向の基準アレイ902が、制御ゲート線903に直交する)、消去ゲート線904などの消去ゲート線が水平方向に延びている。ここで、VMMアレイ900への入力は、制御ゲート線(CG0、CG1、CG2、CG3)に提供され、VMMアレイ900の出力はソース線(SL0、SL1)に現れる。一実施形態では、偶数行のみが使用され、別の実施形態では、奇数行のみが使用される。各ソース線(それぞれSL0、SL1)に加えられる電流は、その特定のソース線に接続されたメモリセルからの全ての電流の合計関数を実行する。
【0083】
ニューラルネットワークについて本明細書に記載されているように、VMMアレイ900の不揮発性メモリセル、すなわちVMMアレイ900のフラッシュメモリは、サブスレッショルド領域で動作するように構成されることが好ましい。
【0084】
本明細書に記載される不揮発性基準メモリセル及び不揮発性メモリセルは、以下のように弱い反転でバイアスされる:
Ids=Io*e(Vg-Vth)/kVt=w*Io*e(Vg)/kVt
式中、w=e(-Vth)/kVtである。
【0085】
メモリセル(基準メモリセル又は周辺メモリセルなど)又はトランジスタを使用して入力電流を入力電圧に変換するI-Vログ変換器を使用した場合:
Vg=k*Vt*log[Ids/wp*Io]
式中、wpは、基準又は周辺メモリセルのwである。
【0086】
ベクトル行列乗算器VMMアレイとして使用されるメモリアレイについて、出力電流は以下である:
Iout=wa*Io*e(Vg)/kVt、すなわち
Iout=(wa/wp)*Iin=W*Iin
W=e(Vthp-Vtha)/kVt
式中、メモリアレイの各メモリセルのwa=wである。
【0087】
ワード線又は制御ゲートは、入力電圧のためのメモリセルの入力として使用することができる。
【0088】
あるいは、本明細書に記載されたVMMアレイのフラッシュメモリセルは、線形領域で動作するように構成することができる。
Ids=β*(Vgs-Vth)*Vds;β=u*Cox*W/L
W=α(Vgs-Vth)
【0089】
ワード線又は制御ゲート又はビット線又はソース線は、線形領域内で動作するメモリセルの入力として使用することができる。
【0090】
I-V線形変換器用に、線形領域で動作するメモリセル(基準メモリセル又は周辺メモリセルなど)又はトランジスタを使用して、入出力電流を入出力電圧に線形変換することができる。
【0091】
図7のVMMアレイ32のための他の実施形態は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第15/826,345号に記載されている。上記出願に記載されているように、ソース線又はビット線は、ニューロン出力(電流和出力)として使用することができる。
【0092】
図10は、
図2に示されるメモリセル210に特に適したニューロンVMMアレイ1000を示し、入力層と次の層との間のシナプスとして利用される。VMMアレイ1000は、不揮発性メモリセルのメモリアレイ1003と、第1の不揮発性基準メモリセルの基準アレイ1001と、第2の不揮発性基準メモリセルの基準アレイ1002と、を含む。アレイの列方向に配置された基準アレイ1001及び1002は、端子BLR0、BLR1、BLR2、及びBLR3に流入する電流入力を電圧入力WL0、WL1、WL2、及びWL3に変換するように機能する。実際には、第1及び第2の不揮発性基準メモリセルは、電流入力が流入する状態で、マルチプレクサ1014(一部のみ示す)を通してダイオード接続される。基準セルは、標的基準レベルに調整(例えば、プログラム)される。標的基準レベルは、基準ミニアレイマトリックス(図示せず)によって提供される。
【0093】
メモリアレイ1003は、2つの目的を果たす。第1に、VMMアレイ1000により使用される重みを、それぞれのメモリセルに格納する。第2に、メモリアレイ1003は、メモリセルアレイ1003に格納された重みによって、入力(すなわち、端子BLR0、BLR1、BLR2、及びBLR3に提供された電流入力であり、これを基準アレイ1001及び1002が電圧入力に変換して、ワード線WL0、WL1、WL2、及びWL3に供給する)を有効に乗算して、次いで、全ての結果(メモリセル電流)を加算して、それぞれのビット線(BL0~BLN)上の出力を生成し、この出力は次の層への入力又は最後の層への入力となる。メモリアレイ1003が乗算及び加算の関数を実行することで、別個の乗算及び加算の論理回路の必要性はなくなり、また、電力効率も良い。ここで、電圧入力はワード線WL0、WL1、WL2、及びWL3に提供され、出力は、読み出し(推論)動作中にビット線BL0~BLNそれぞれに現れる。各々のビット線BL0~BLNに配置された電流は、その特定のビット線に接続された全ての不揮発性メモリセルからの電流の合計関数を実行する。
【0094】
表5は、VMMアレイ1000の動作電圧を示す。表中の列は、選択セルのワード線、非選択セルのワード線、選択セルのビット線、非選択セルのビット線、選択セルのソース線、及び非選択セルのソース線に加えられる電圧を示す。行は、読み出し、消去、及びプログラムの各動作を示す。
表5:
図10のVMMアレイ1000の動作
【表5】
【0095】
図11は、
図2に示されるメモリセル210に特に適したニューロンVMMアレイ1100を示し、入力層と次の層との間でシナプス及びニューロンの一部として利用される。VMMアレイ1100は、不揮発性メモリセルのメモリアレイ1103と、第1の不揮発性基準メモリセルの基準アレイ1101と、第2の不揮発性基準メモリセルの基準アレイ1102と、を含む。基準アレイ1101及び1102は、VMMアレイ1100の行方向に延びる。VMMアレイは、VMMアレイ1100においてワード線が垂直方向に延びることを除いて、VMM1000と同様である。ここで、入力はワード線(WLA0、WLB0、WLA1、WLB2、WLA2、WLB2、WLA3、WLB3)に提供され、出力は、読み出し動作中にソース線(SL0、SL1)に現れる。各ソース線に加えられる電流は、その特定のソース線に接続されたメモリセルからの全ての電流の合計関数を実行する。
【0096】
表6は、VMMアレイ1100の動作電圧を示す。表中の列は、選択セルのワード線、非選択セルのワード線、選択セルのビット線、非選択セルのビット線、選択セルのソース線、及び非選択セルのソース線に加えられる電圧を示す。行は、読み出し、消去、及びプログラムの各動作を示す。
表6:
図11のVMMアレイ1100の動作
【表6】
【0097】
図12は、
図3に示されるメモリセル310に特に適したニューロンVMMアレイ1200を示し、入力層と次の層との間でシナプス及びニューロンの一部として利用される。VMMアレイ1200は、不揮発性メモリセルのメモリアレイ1203と、第1の不揮発性基準メモリセルの基準アレイ1201と、第2の不揮発性基準メモリセルの基準アレイ1202と、を含む。基準アレイ1201及び1202は、端子BLR0、BLR1、BLR2、及びBLR3に流入する電流入力を電圧入力CG0、CG1、CG2、及びCG3に変換するように機能する。実際には、第1及び第2の不揮発性基準メモリセルは、電流入力がBLR0、BLR1、BLR2、及びBLR3を通って流入する状態で、マルチプレクサ1212(一部のみ示す)を通してダイオード接続される。マルチプレクサ1212は、読み出し動作中に第1及び第2の不揮発性基準メモリセルの各々のビット線(BLR0など)上の一定電圧を確実にするために、それぞれのマルチプレクサ1205及びカスコーディングトランジスタ1204を各々含む。基準セルは、標的基準レベルに調整される。
【0098】
メモリアレイ1203は、2つの目的を果たす。第1に、VMMアレイ1200によって使用される重みを格納する。第2に、メモリアレイ1203は、メモリセルアレイに格納された重みによって、入力(端子BLR0、BLR1、BLR2、及びBLR3に提供された電流入力であり、基準アレイ1201及び1202がこれらの電流入力を入力電圧に変換して、制御ゲート(CG0、CG1、CG2、及びCG3)に供給する)を有効に乗算して、次いで、全ての結果(セル電流)を加算して出力を生成し、この出力はBL0~BLNに出現し、次の層への入力又は最後の層への入力となる。メモリアレイが乗算及び加算の関数を実行することで、別個の乗算及び加算の論理回路の必要性がなくなり、また、電力効率も良い。ここで、入力は制御ゲート線(CG0、CG1、CG2、及びCG3)に提供され、出力は、読み出し動作中にビット線(BL0~BLN)に現れる。各ビット線に加えられる電流は、その特定のビット線に接続されたメモリセルからの全ての電流の合計関数を実行する。
【0099】
VMMアレイ1200は、メモリアレイ1203内の不揮発性メモリセルの一方向調整を実施する。すなわち、各不揮発性メモリセルは消去され、次いで、浮遊ゲート上の所望の電荷に達するまで部分的にプログラムされる。これは、例えば、以下に記載される新規の精密プログラミング技術を使用して実行することができる。過度に多くの電荷が浮遊ゲートに加えられる場合(誤った値がセルに格納されるなど)、セルは消去されなければならず、一連の部分的なプログラミング動作をやり直さなければならない。示されるように、同じ消去ゲート(EG0又はEG1など)を共有する2つの行は、一緒に消去される必要があり(ページ消去として知られる)、その後、各セルは、浮遊ゲート上の所望の電荷に達するまで部分的にプログラムされる。
【0100】
表7は、VMMアレイ1200の動作電圧を示す。表中の列は、選択セルのワード線、非選択セルのワード線、選択セルのビット線、非選択セルのビット線、選択セルの制御ゲート、選択セルと同じセクタ内の非選択セルの制御ゲート、選択セルとは異なるセクタ内の非選択セルの制御ゲート、選択セルの消去ゲート、非選択セルの消去ゲート、選択セルのソース線、及び非選択セルのソース線に加えられる電圧を示す。行は、読み出し、消去、及びプログラムの各動作を示す。
表7:
図12のVMMアレイ1200の動作
【表7】
【0101】
図13は、
図3に示されるメモリセル310に特に適したニューロンVMMアレイ1300を示し、入力層と次の層との間でシナプス及びニューロンの一部として利用される。VMMアレイ1300は、不揮発性メモリセルのメモリアレイ1303と、基準アレイ1301又は第1の不揮発性基準メモリセルと、第2の不揮発性基準メモリセルの基準アレイ1302とを含む。EG線EGR0、EG0、EG1、及びEGR1は垂直に延び、CG線CG0、CG1、CG2、及びCG3並びにSL線WL0、WL1、WL2、及びWL3は水平に延びる。VMMアレイ1300は、VMMアレイ1300が双方向調整を実装することを除いてVMMアレイ1400と同様であり、個々のセルは、個別のEG線の使用により、浮遊ゲート上の所望の電荷量に達するために、完全に消去され、部分的にプログラムされ、必要に応じて部分的に消去することができる。示されるように、基準アレイ1301及び1302は、端子BLR0、BLR1、BLR2及びBLR3内の入力電流を制御ゲート電圧CG0、CG1、CG2及びCG3に変換し(マルチプレクサ1314を介したダイオード接続された基準セルの作用を通じて)、これらの電圧は行方向でメモリセルに印加される。電流出力(ニューロン)は、ビット線BL0~BLN中にあり、各ビット線は、その特定のビット線に接続された不揮発性メモリセルからの全ての電流を合計する。
【0102】
表8は、VMMアレイ1300の動作電圧を示す。表中の列は、選択セルのワード線、非選択セルのワード線、選択セルのビット線、非選択セルのビット線、選択セルの制御ゲート、選択セルと同じセクタ内の非選択セルの制御ゲート、選択セルとは異なるセクタ内の非選択セルの制御ゲート、選択セルの消去ゲート、非選択セルの消去ゲート、選択セルのソース線、及び非選択セルのソース線に加えられる電圧を示す。行は、読み出し、消去、及びプログラムの各動作を示す。
表8:
図13のVMMアレイ1300の動作
【表8】
長・短期記憶
【0103】
先行技術は、長・短期メモリ(long short-term memory、LSTM)として知られる概念を含む。LSTMユニットは、しばしば、ニューラルネットワーク内で使用される。LSTMによって、ニューラルネットワークは所定の任意の期間にわたって情報を記憶し、後続の動作においてその情報を使用することができる。従来のLSTMユニットは、セル、入力ゲート、出力ゲート、及び忘却ゲートを含む。3つのゲートは、セル内及びセル外への情報の流れ、及び情報がLSTM内で記憶される期間を調整する。VMMは、LSTMユニットにおいて特に有用である。
【0104】
図14は、例示的なLSTM1400を示す。この例におけるLSTM1400は、セル1401、1402、1403及び1404を含む。セル1401は、入力ベクトルx
0を受け取り、出力ベクトルh
0及びセル状態ベクトルc
0を生成する。セル1402は、入力ベクトルx
1と、セル1401からの出力ベクトル(隠れ状態)h
0と、セル1401からのセル状態ベクトルc
0とを受け取り、出力ベクトルh
1とセル状態ベクトルc
1とを生成する。セル1403は、入力ベクトルx
2と、セル1402からの出力ベクトル(隠れ状態)h
1と、セル1402からのセル状態ベクトルc
1とを受け取り、出力ベクトルh
2とセル状態ベクトルc
2とを生成する。セル1404は、入力ベクトルx
3と、セル1403からの出力ベクトル(隠れ状態)h
2と、セル1403からのセル状態ベクトルc
2とを受け取り、出力ベクトルh
3を生成する。追加のセルも使用可能であり、4つのセルを有するLSTMは、単なる例である。
【0105】
図15は、
図14のセル1401、1402、1403及び1404に使用可能なLSTMセル1500の例示的な実装を示す。LSTMセル1500は、入力ベクトルx(t)と、先行するセルからのセル状態ベクトルc(t-1)と、先行するセルからの出力ベクトルh(t-1)とを受け取り、セル状態ベクトルc(t)及び出力ベクトルh(t)を生成する。
【0106】
LSTMセル1500は、シグモイド関数デバイス1501、1502、及び1503を含み、各々が0~1の数を適用することで、入力ベクトルの各成分が出力ベクトルに寄与する程度を制御する。LSTMセル1500はまた、入力ベクトルに双曲線正接関数を適用するためのtanhデバイス1504及び1505と、2つのベクトルを乗算するための乗算器デバイス1506、1507、及び1508と、2つのベクトルを加算するための加算デバイス1509と、を含む。出力ベクトルh(t)は、システム内の次のLSTMセルに提供することができ、又は他の目的でアクセスすることができる。
【0107】
図16は、LSTMセル1500の一実装例であるLSTMセル1600を示す。読者の便宜のために、LSTMセル1500からの同じ採番方法が、LSTMセル1600で使用される。シグモイド関数デバイス1501、1502及び1503、並びにtanhデバイス1504は各々、複数のVMMアレイ1601及び活性化回路ブロック1602を含む。したがって、VMMアレイは、特定のニューラルネットワークシステムで使用されるLSTMセルにおいて特に有用であることが理解できる。
【0108】
LSTMセル1600の代替例(及びLSTMセル1500の実装の別の例)を
図17に示す。
図17では、シグモイド関数デバイス1501、1502及び1503、並びにtanhデバイス1504は、同じ物理ハードウェア(VMMアレイ1701及び活性化関数ブロック1702)を、時分割多重化された方式で共有する。LSTMセル1700はまた、2つのベクトルを乗算するための乗算器デバイス1703と、2つのベクトルを加算するための加算器デバイス1708と、(活性化回路ブロック1702を含む)tanhデバイス1505と、シグモイド関数ブロック1702から出力される値i(t)を格納するレジスタ1707と、マルチプレクサ1710を介して乗算器デバイス1703から出力される値f(t)
*c(t-1)を格納するレジスタ1704と、マルチプレクサ1710を介して乗算器デバイス1703から出力される値i(t)
*u(t)を格納するレジスタ1705と、マルチプレクサ1710とマルチプレクサ1709を介して乗算器デバイス1703から出力される値o(t)
*c~(t)を格納する、レジスタ1706とを含む。
【0109】
LSTMセル1600が複数のVMMアレイ1601とそれぞれの活性化関数ブロック1602のセットを複数含むのに対し、LSTMセル1700は、LSTMセル1700の実施形態において複数の層を表すために使用されるVMMアレイ1701と活性化関数ブロック1702のセットを1つのみ含む。LSTMセル1700は、LSTMセル1600と比較して、VMM及び活性化関数ブロックのために必要とするスペースは1/4で済むので、LSTM1600よりも必要とするスペースが少ない。
【0110】
LSTMユニットは典型的には複数のVMMアレイを含み、これらは各々、加算器及び活性化回路ブロック及び高電圧生成ブロックなどの、VMMアレイの外側の特定の回路ブロックによって提供される機能を必要とすることが理解できる。各VMMアレイのための別個の回路ブロックを提供することは、半導体デバイス内のかなりの量のスペースを必要とし、幾分非効率的であろう。したがって、以下に記載される実施形態では、VMMアレイ自体の外側に必要とされる回路の最小化を試みる。
ゲート付き回帰型ユニット
【0111】
アナログVMM実装は、ゲート付き回帰型ユニット(gated recurrent unit、GRU)システムに利用することができる。GRUは、反復ニューラルネットワーク内のゲート機構である。GRUは、GRUセルが一般にLSTMセルよりも少ない構成要素を含むことを除いて、LSTMに類似している。
【0112】
図18は、例示的なGRU1800を示す。この例におけるGRU1800は、セル1801、1802、1803及び1804を含む。セル1801は入力ベクトルx
0を受け取り、出力ベクトルh
0を生成する。セル1802は、入力ベクトルx
1と、セル1801からの出力ベクトルh
0とを受け取り、出力ベクトルh
1を生成する。セル1803は、入力ベクトルx
2と、セル1802からの出力ベクトル(隠れ状態)h
1とを受け取り、出力ベクトルh
2を生成する。セル1804は、入力ベクトルx
3と、セル1803からの出力ベクトル(隠れ状態)h
2とを受け取り、出力ベクトルh
3を生成する。追加のセルも使用可能であり、4つのセルを有するGRUは、単なる例である。
【0113】
図19は、
図18のセル1801、1802、1803及び1804に使用可能なGRUセル1900の例示的な実装を示す。GRUセル1900は、入力ベクトルx(t)と、先行するGRUセルからの出力ベクトルh(t-1)とを受け取り、出力ベクトルh(t)を生成する。GRUセル1900は、シグモイド関数デバイス1901及び1902を含み、各々が、出力ベクトルh(t-1)及び入力ベクトルx(t)からの成分に0~1の数を適用する。GRUセル1900はまた、入力ベクトルに双曲線正接関数を適用するためのtanhデバイス1903と、2つのベクトルを乗算するための乗算器デバイス1904、1905及び1906と、2つのベクトルを加算するための加算器デバイス1907と、1から入力を減算して出力を生成するコンプリメンタリデバイス1908とを含む。
【0114】
図20は、GRUセル1900の一実装例であるGRUセル2000を示す。読者の便宜のために、GRUセル1900からの同じ採番方法が、GRUセル2000で使用される。
図20から分かるように、シグモイド関数デバイス1901及び1902、並びにtanhデバイス1903は各々、複数のVMMアレイ2001及び活性化関数ブロック2002を含む。したがって、VMMアレイは、特定のニューラルネットワークシステムで使用されるGRUセルにおいて特に使用されることが理解できる。
【0115】
GRUセル2000の代替例(及びGRUセル1900の実装の別の例)を
図21に示す。
図21において、GRUセル2100は、VMMアレイ2101及び活性化関数ブロック2102を使用しており、シグモイド関数として構成された場合には、0~1の数を適用することで、入力ベクトルの各成分が出力ベクトルに寄与する程度を制御する。
図21では、シグモイド関数デバイス1901及び1902、並びにtanhデバイス1903は、同じ物理ハードウェア(VMMアレイ2101及び活性化関数ブロック2102)を、時分割多重化された方式で共有する。GRUセル2100はまた、2つのベクトルを乗算するための乗算器デバイス2103と、2つのベクトルを加算するための加算器デバイス2105と、1から入力を減算して出力を生成するためのコンプリメンタリデバイス2109と、マルチプレクサ2104と、マルチプレクサ2104を介して乗算器デバイス2103から出力される値h(t-1)
*r(t)を保持するレジスタ2106と、マルチプレクサ2104を介して乗算器デバイス2103から出力される値h(t-1)
*z(t)を保持するレジスタ2107と、マルチプレクサ2104を介して乗算器デバイス2103から出力される値h^(t)
*(1-z((t))を保持するレジスタ2108と、を含む。
【0116】
GRUセル2000が複数のVMMアレイ2001と活性化関数ブロック2002のセットを複数含むのに対し、GRUセル2100は、GRUセル2100の実施形態において複数の層を表すために使用されるVMMアレイ2101と活性化関数ブロック2102のセット1つのみを含む。GRUセル2100は、GRUセル2000と比較して、VMM及び活性化関数ブロックのために必要とするスペースは1/3で済むので、GRUセル2000よりも必要とするスペースが少ない。
【0117】
GRUシステムは典型的には複数のVMMアレイを含み、これらは各々、加算器及び活性化回路ブロック及び高電圧生成ブロックなどの、VMMアレイの外側の特定の回路ブロックによって提供される機能を必要とすることが理解できる。各VMMアレイのための別個の回路ブロックを提供することは、半導体デバイス内にかなりの量のスペースを必要とし、幾分非効率的であろう。したがって、以下に記載される実施形態では、VMMアレイ自体の外側に必要とされる回路の最小化を試みる。
【0118】
VMMアレイへの入力は、アナログレベル、バイナリレベル、又はデジタルビット(この場合、デジタルビットを適切な入力アナログレベルに変換するためにDACが必要とされる)であり、出力はアナログレベル、バイナリレベル、又はデジタルビット(この場合、出力アナログレベルをデジタルビットに変換するために出力ADCが必要とされる)であり得る。
【0119】
VMMアレイ内の各メモリセルに関して、各重みwは、単一のメモリセルによって、又は差分セルによって、又は2つのブレンドメモリセル(2つのセルの平均)によって実装することができる。差分セルの場合では、重みwを差分重み(w=w+-w-)として実装するために、2つのメモリセルが必要とされる。2つのブレンドメモリセルの場合は、2つのセルの平均として重みwを実装するために2つのメモリセルが必要とされる。
VMM内のセルの精密プログラミングのための実施形態
【0120】
図22Aは、プログラミング方法2200を示す。最初に、方法は、典型的には受け取られるプログラムコマンドに応じて、開始する(ステップ2201)。次に、一斉プログラム動作が、全てのセルを「0」状態にプログラムする(ステップ2202)。次いで、各セルが読み出し動作中に約3~5μAの電流を引き込むように、ソフト消去動作が、全てのセルに対して中間弱消去レベルに消去を行う(ステップ2203)。これは、読み出し動作中に各セルが約20~30μAの電流を引き込む、深く消去されたレベルとは対照的である。次いで、全ての非選択セルで非常に深いプログラムされた状態までセルの浮遊ゲートに電子を追加するハードプログラムが実行されて(ステップ2204)、それらのセルが本当に「オフ」であることを確実にし、すなわち、それらのセルは読み出し動作中に無視できる量の電流しか引き込まない。
【0121】
次いで、粗プログラミング方法が、選択されたセルで実行され(ステップ2205)、続いて精密プログラミング方法が、選択されたセルで実行されて(ステップ2206)、各選択されたセルに所望される精密な値をプログラムする。
【0122】
図22Bは、プログラミング方法2200と同様の別のプログラミング方法2210を示す。しかしながら、方法が開始した後(ステップ2201)、
図22Aのステップ2202でのように全てのセルを「0」状態にプログラムするプログラム動作の代わりに、消去動作が使用されて、全てのセルに対して消去を行って「1」状態にする(ステップ2212)。次いで、各セルが読み出し動作中に約3~5uAの電流を引き込むように、ソフトプログラム動作(ステップ2213)が使用されて、全てのセルを中間状態(レベル)にプログラムする。その後、
図22Aの場合と同様に、粗プログラミング方法及び精密プログラミング方法が続く。
図22Bの実施形態の変形は、ソフトプログラミング方法(ステップ2213)を完全に除去する。
【0123】
図23は、検索及び実行方法2300である、粗プログラミング方法2205の第1の実施形態を示す。最初に、ルックアップテーブル検索を実行して、選択されたセルの粗標的電流値(I
CT)を、その選択されたセルに記憶されることが意図される値に基づいて決定する(ステップ2301)。選択されたセルは、N個の可能な値(例えば、128、64、32など)のうちの1つを記憶するようにプログラムできるとする。N個の値のそれぞれは、選択されたセルによって読み出し動作中に引き込まれた異なる所望の電流値(I
D)に対応し得る。一実施形態では、ルックアップテーブルは、検索及び実行方法2300の実施中に、選択されたセルの粗標的電流値I
CTとして使用する、M個の可能な電流値を含んでもよく、MはN未満の整数である。例えば、Nが8である場合、Mは4であってもよく、これは、選択されたセルが記憶することができる8つの可能な値が存在し、4つの粗標的電流値のうちの1つが検索及び実行方法2300の粗標的として選択されることを意味する。すなわち、検索及び実行方法2300(繰り返しになるが、粗プログラミング方法2205の実施形態である)は、選択されたセルを、所望の値(I
D)に幾分近い値(I
CT)に迅速にプログラムすることを意図しており、次いで、精密プログラミング方法2206は、所望の値(I
D)に極めて近くなるように、選択されたセルをより精密にプログラムすることを意図する。
【0124】
セル値、所望の電流値、及び粗標的電流値の例を、N=8及びM=4の単純な例について表9及び10に示す。
表9:N=8の場合のN個の所望の電流値の例
【表9】
表10:M=4の場合のM個の標的電流値の例
【表10】
オフセット値I
CTOFFSETxは、粗調整中に所望の電流値をオーバーシュートしてしまうのを防止するために使用される。
【0125】
粗標的電流値I
CTが選択されると、選択されたセルは、選択されたセルのセルアーキテクチャタイプ(例えば、メモリセル210、310、410、又は510)に基づいた、選択されたセルの適切な端子に電圧v
0を印加することによってプログラムされる(ステップ2302)。選択されたセルが
図3のメモリセル310のタイプである場合、電圧v
0は制御ゲート端子28に印加され、v
0は粗標的電流値I
CTに応じて5~7Vであり得る。v
0の値は、任意選択的に、粗標的電流値I
CTと対応させてv
0を記憶する電圧ルックアップテーブルから決定することができる。
【0126】
次に、選択されたセルは、電圧vi=vi-1+vincrementを印加することによってプログラムされ、式中、iは1で開始し、このステップが繰り返されるたびに増分し、vincrementは、所望される変化の粒度に見合う程度のプログラミングを引き起こす小さい電圧である(ステップ2303)。したがって、第1の時間ステップ2303はi=1で実行され、v1は、v0+vincrementである。次いで、選択されたセルで読み出し動作が実行され、選択されたセルを通って引き込まれた電流(Icell)が測定される、検証動作が行われる(ステップ2304)。IcellがICT(ここでは第1のスレッショルド値である)以下である場合、検索及び実行方法2300は完了し、精密プログラミング方法2206を開始することが可能となる。IcellがICT以下でない場合、ステップ2303が繰り返され、iはインクリメントされる。
【0127】
したがって、粗プログラミング方法2205が終了し、精密プログラミング方法2206が開始する時点で、電圧viは、選択されたセルをプログラムするために使用される最後の電圧であり、選択されたセルは、粗標的電流値ICTに関連付けられた値を記憶することになる。精密プログラミング方法2206の目標は、選択されたセルを、読み出し動作中に選択されたセルが電流ID(50pA以下などの許容可能な量の偏差を加減する)を引き込む点にプログラムすることであり、この電流は、選択されたセルに記憶されることが意図される値に関連付けられている所望の電流値である。
【0128】
図24は、精密プログラム方法2206中に、選択されたメモリセルの制御ゲートに印加することができる異なる電圧進行の例を示す。
【0129】
第1のアプローチ下では、選択されたメモリセルを更にプログラムするために、増加する電圧が制御ゲートに漸次印加される。開始点はviであり、これは粗プログラミング方法2205中に印加された最後の電圧である。増分vp1がv1に加えられ、次いで、電圧v1+vp1が使用されて、選択されたセルをプログラムする(進行2401において左から第2のパルスによって示される)。vp1は、vincrement(粗プログラミング方法2205中に使用される電圧増分)よりも小さい増分である。各プログラミング電圧が印加された後、IcellがIPT1(第1の精密標的電流値であり、ここでは第2のスレッショルド値である)以下であるかどうかの判定が行われる、検証ステップ(ステップ2304と同様)が実行され、IPT1=ID+IPT1OFFSETであり、IPT1OFFSETは、プログラムオーバーシュートを防止するために加算されるオフセット値である。判定が偽である場合、別の増分vp1が、前に印加されたプログラミング電圧に加えられ、プロセスが繰り返される。IcellがIPT1以下である時点で、プログラミングシーケンスのこの部分は停止する。任意選択的に、IPT1がIDに等しいか、又は十分な精度でIDにほぼ等しい場合、選択されたメモリセルは正常にプログラムされている。
【0130】
I
PT1がI
Dに十分に近接していない場合は、より小さい粒度の更なるプログラミングを行うことができる。ここで、進行2402が使用される。進行2402の開始点は、進行2401下のプログラミングに使用された最後の電圧である。増分V
p2(v
p1よりも小さい)がその電圧に加えられ、組み合わされた電圧が印加されて、選択されたメモリセルをプログラムする。各プログラミング電圧が印加された後、I
cellがI
PT2(第2の精密標的電流値であり、ここでは第3のスレッショルド値である)以下であるかどうかの判定が行われる、検証ステップ(ステップ2304と同様)が実行され、I
PT2=ID+I
PT2OFFSETであり、I
PT2OFFSETは、プログラムオーバーシュートを防止するために加算されるオフセット値である。判定が偽である場合、別の増分V
p2が、前に印加されたプログラミング電圧に加えられ、プロセスが繰り返される。I
cellがI
PT2以下である時点で、プログラミングシーケンスのこの部分は停止する。ここで、標的値が十分な精度で達成されているので、I
PT2はI
Dに等しいか、又はプログラミングが停止できるほどI
Dに十分に近接していると想定される。当業者は、使用されるプログラミング増分が段々と小さくなって追加の進行が適用され得ることを理解することができる。例えば、
図25では、2つだけではなく、3つの進行(2501、2502、及び2503)が適用される。
【0131】
第2のアプローチが、進行2403に示される。ここで、選択されたメモリセルのプログラミング中に印加された電圧を増加させる代わりに、増加する期間の持続時間に対して同じ電圧が印加される。進行2401におけるvp1及び進行2403におけるvp2などの増分電圧を加える代わりに、各印加パルスが、前に印加されたパルスよりもtp1だけ長くなるように、追加の時間増分tp1がプログラミングパルスに加えられる。各プログラミングパルスが印加された後、進行2401について前述したのと同じ検証ステップが実行される。任意選択的に、プログラミングパルスに加えられた追加の時間増分は前の使用された進行よりも短い持続時間である、追加の進行を適用できる。1つの時間的な進行のみが示されているが、当業者は、任意の数の異なる時間的進行が適用できることを理解するであろう。
【0132】
ここで、粗プログラミング方法2205の2つの更なる実施形態について、更なる詳細が提供される。
【0133】
図26は、適応較正方法2600である、粗プログラミング方法2205の第2の実施形態を示す。方法が開始する(ステップ2601)。セルは、デフォルトの開始値v
0でプログラムされる(ステップ2602)。検索及び実行方法2300とは異なり、ここでv
0は、ルックアップテーブルから得られず、代わりに比較的小さい初期値とすることができる。セルの制御ゲート電圧は、第1の電流値IR1(例えば、100na)及び第2の電流値IR2(例えば、10na)で測定され、サブスレッショルド傾斜は、それらの測定値に基づいて決定され(例えば、360mV/dec)、記憶される(ステップ2603)。
【0134】
新しい所望の電圧viが決定される。このステップが最初に実行されるとき、i=1であり、v1は、以下のようなサブスレッショルド式を使用して、記憶されたサブスレッショルド傾斜値並びに電流標的及びオフセット値に基づいて決定される。
Vi=Vi-1+Vincrement、
Vincrementは、傾斜Vgに比例する
Vg=k*Vt*log[Ids/wa*Io]
ここで、waはメモリセルのwであり、Idsは電流標的プラスオフセット値である。
【0135】
記憶された傾斜値が比較的急勾配である場合、比較的小さい電流オフセット値を使用することができる。記憶された傾斜値が比較的平坦である場合、比較的高い電流オフセット値を使用することができる。したがって、傾斜情報を決定することは、問題の特定のセルにカスタマイズされている電流オフセット値が選択されることを可能にする。これは、最終的に、プログラミングプロセスをより短くする。このステップが繰り返されると、iはインクリメントされ、vi=vi-1+vincrementである。次いで、セルは、viを使用してプログラムされる。vincrementは、標的電流値と対応させてvincrementの値を記憶するルックアップテーブルから決定することができる。
【0136】
次に、選択されたセルで読み出し動作が実行され、選択されたセルを通って引き込まれた電流(Icell)が測定される、検証動作が行われる(ステップ2605)。IcellがICT(ここでは粗標的スレッショルド値である)以下である場合(ICT=ID+ICTOFFSETに設定され、ICTOFFSETは、プログラムオーバーシュートを防止するために追加されるオフセット値である)、適応較正方法2600は完了し、精密プログラミング方法2206が開始され得る。IcellがICT以下でない場合、ステップ2604~2605が繰り返され、iはインクリメントされる。
【0137】
図27は、適応較正方法2600の態様を示す。ステップ2603中、例示的な電流値IR1及びIR2を選択されたセル(ここではメモリセル2702)に印加するために電流源2701が使用され、次いで、メモリセル2702の制御ゲートにおける電圧(IR1に対するCGR1及びIR2に対するCGR2)が測定される。傾斜は、(CGR2-CGR1)/decである。
【0138】
図28は、絶対較正方法2800である、粗プログラミング方法2205の第2の実施形態を示す。方法が開始する(ステップ2801)。セルは、デフォルトの出発値V
0でプログラムされる(ステップ2802)。セル(VCGRx)の制御ゲート電圧は、電流値Itargetで測定され、記憶される(ステップ2803)。新しい所望の電圧v
1は、記憶された制御ゲート電圧並びに電流標的及びオフセット値Ioffset+Itargetに基づいて決定される(ステップ2804)。例えば、新しい所望の電圧v
1は、以下のように計算することができる:v
1=v
0+(VCGBIAS-記憶されたVCGR)、式中、VCGBIAS=~1.5Vであり、これは、最大標的電流でのデフォルトの読み出し制御ゲート電圧であり、記憶されたVCGRは、ステップ2803の測定された読み出し制御ゲート電圧である。
【0139】
次いで、セルは、viを使用してプログラムされる。i=1のとき、ステップ2804からの電圧v1が使用される。i>=2のとき、電圧vi=vi-1+Vincrementが使用される。vincrementは、標的電流値と対応させてvincrementの値を記憶するルックアップテーブルから決定することができる。次に、選択されたセルで読み出し動作が実行され、選択されたセルを通って引き込まれた電流(Icell)が測定される、検証動作が行われる(ステップ2806)。IcellがICT(ここではスレッショルド値である)以下である場合、絶対較正方法2800は完了し、精密プログラミング方法2206が開始され得る。IcellがICT以下でない場合、ステップ2805~2806が繰り返され、iはインクリメントされる。
【0140】
図29は、絶対較正方法2800のステップ2803を実装するための回路2900を示す。電圧源(図示せず)はVCGRを生成し、これは、初期電圧で開始し、上昇する。ここで、n+1個の異なる電流源2901(2901-0、2901-1、2901-2、...、2901-n)は、大きさが増加していく異なる電流IO0、IO1、IO2、...IOnを生成する。各電流源2901は、インバータ2902(2902-0、2902-1、2902-2、...、2902-n)及びメモリセル2903(2903-0、2903-1、2903-2、...2903-n)に接続されている。VCGRが上昇するにつれて、各メモリセル2903は、増加する量の電流を引き込み、各インバータ2902への入力電圧は減少する。IO0<IO1<IO2<...<IOnであるため、VCGRが増加するにつれて、最初にインバータ2902-0の出力が低から高に切り替わる。次にインバータ2902-1の出力が低から高に切り替わり、次いでインバータ2902-2が同様に切り替わり、以下インバータ2902-nの出力が低から高に切り替わるまで同様である。各インバータ2902は、スイッチ2904(2904-0、2904-1、2904-2、...、2904-n)を制御し、その結果、インバータ2902の出力が高であるとき、スイッチ2904は閉じられ、これにより、VCGRがコンデンサ2905(2905-0、2905-1、2905-2、...、2905-n)によってサンプリングされる。したがって、スイッチ2904及びコンデンサ2905は、サンプルアンドホールド回路を形成する。IO0、IO1、IO2、...、IOnの値は、Itargetの可能な値として使用され、それぞれのサンプリングされた電圧は、
図28の絶対較正方法2800において関連する値VCGRxとして使用される。グラフ2906は、経時的に上昇するVCGR、並びに様々な時間において低から高に切り替わるインバータ2902-0、2902-1、及び2902-nの出力を示す。
【0141】
図30は、適応較正方法2600又は絶対較正方法2800中に、選択されたセルをプログラミングするための例示的な進行3000を示す。一実施形態では、電圧Vcgpは、選択された行のメモリセルの制御ゲートに印加される。選択された行内の選択されたメモリセルの数は、例えば、32である。したがって、選択された行内の最大32個のメモリセルが、並行してプログラムされ得る。各メモリセルは、ビット線イネーブル信号によって、プログラミング電流Iprogに結合することが可能になる。ビット線イネーブル信号が非アクティブである場合(選択されたビット線に正電圧が印加されていることを意味する)、メモリセルはインヒビット状態である(プログラムされない)。
図30に示されるように、ビット線有効化信号En_blx(xは1~nで変化し、nはビット線の数である)は、異なる時間に、そのビット線に所望されるVcgp電圧レベルで(したがって、上記ビット線上の選択されたメモリに対して)有効化される。別の実施形態では、選択されたセルの制御ゲートに印加された電圧は、ビット線でのイネーブル信号を使用して制御することができる。各ビット線イネーブル信号により、そのビット線に対応する所望の電圧(
図28に記載のviなど)がVcgpとして印加される。ビット線イネーブル信号はまた、ビット線に流れ込むプログラミング電流を制御することもできる。この例では、後続の制御ゲート電圧Vcgpはそれぞれ、その前の電圧よりも高い。あるいは、後続の制御ゲート電圧はそれぞれ、その前の電圧より低くても、高くてもよい。Vcgpの後続の増分はそれぞれ、その前の増分と等しいか又は等しくないかのいずれでもよい。
【0142】
図31は、適応較正方法2600又は絶対較正方法2800中に、選択されたセルをプログラミングするための例示的な進行3100を示す。一実施形態では、ビット線イネーブル信号は、選択されたビット線(上記ビット線内の選択されたメモリセルを意味する)が、対応するVcgp電圧レベルでプログラムされることを可能にする。別の実施形態では、選択されたセルの増分上昇を行う制御ゲートに印加された電圧は、ビット線イネーブル信号を使用して制御することができる。各ビット線イネーブル信号により、そのビット線に対応する所望の電圧(
図28に記載のviなど)が制御ゲート電圧に印加される。この例では、後続の増分はそれぞれ、その前の増分と等しい。
【0143】
図32は、VMMアレイで読み出し又は検証するための入力及び出力方法を実装するためのシステムを示す。入力関数回路3201は、デジタルビット値を受け取り、それらのデジタル値をアナログ信号に変換して使用することで、制御ゲートデコーダ3202を介して決定した、アレイ3204内の選択されたセルの制御ゲートに電圧を印加する。同時に、ワード線デコーダ3203もまた、選択されたセルが位置する行を選択するために使用される。出力ニューロン回路ブロック3205は、アレイ3204内のセルの各列(ニューロン)の出力作用を実行する。出力回路ブロック3205は、積分型アナログデジタル変換器(ADC)、逐次比較型(SAR)ADC、又はシグマデルタ型ADCを使用して実装することができる。
【0144】
一実施形態では、入力関数回路3201に提供されるデジタル値は、例として4つのビット(DIN3、DIN2、DIN1、及びDIN0)を含み、各種ビット値は、制御ゲートに印加された異なる数の入力パルスに対応する。パルスの数が大きいほど、セルの出力値(電流)は大きくなる。ビット値及びパルス値の例を表11に示す。
表11:デジタルビット入力と生成パルス数
【表11】
【0145】
上記の例では、セル値を読み出すための4ビットのデジタル値に対して最大16個のパルスが存在する。各パルスは、1単位のセル値(電流)に等しい。例えば、Icell単位=1nAの場合、DIN[3~0]=0001では、Icell=1*1nA=1nAであり、DIN[3~0]=1111では、Icell=15*1nA=15nAである。
【0146】
別の実施形態では、デジタルビット入力は、表12に示すように、セル値を読み出すためにデジタルビット位置加算を使用する。ここで、4ビットのデジタル値を評価するのに、4つのパルスのみが必要である。例えば、第1のパルスは、DIN0を評価するために使用され、第2のパルスは、DIN1を評価するために使用され、第3のパルスは、DIN2を評価するために使用され、第4のパルスは、DIN3を評価するために使用される。その後、4つのパルスからの結果は、ビット位置に応じて加算される。実現されるデジタルビット加算式は、以下のものである:出力=2^0*DIN0+2^1*DIN1+2^2*DIN2+2^3*DIN3)*Icell単位。
【0147】
例えば、Icell単位=1nAの場合、DIN[3~0]=0001では、Icell合計=0+0+0+1
*1nA=1nAであり、DIN[3~0]=1111では、Icell合計=8
*1nA+4
*1nA+2
*1nA+1
*1nA=15nAである。
表12:デジタルビット入力加算
【表12】
【0148】
図33は、検証動作中にVMMの出力を合計して、出力を表す単一のアナログ値を得るために使用できる電荷加算器3300の例を示しており、この単一のアナログ値は、任意選択的にデジタルビット値に変換することができる。電荷加算器3300は、電流源3301と、スイッチ3302及びサンプルアンドホールド(S/H)コンデンサ3303を含むサンプルアンドホールド回路と、を含む。4ビットのデジタル値の例で示されるように、4つの評価パルスからの値を保持するための4つのS/H回路が存在し、これらの値はプロセスの終了時に合計される。S/Hコンデンサ3303は、そのS/Hコンデンサの2^n
*DINnビット位置に関連付けられる比率で選択され、例えば、C_DIN3=x8 Cu、C_DIN2=x4 Cu、C_DIN1=x2 Cu、DIN0=x1 Cuである。電流源3301もまた、それに応じて比率が乗じられる。
【0149】
図34は、検証動作中にVMMの出力を合計するために使用できる電流加算器3400を示す。電流加算器3400は、電流源3401、スイッチ3402、スイッチ3403及びスイッチ3404、並びにスイッチ3405を含む。4ビットのデジタル値の例で示されるように、4つの評価パルスからの値を保持するための電流源回路が存在し、これらの値はプロセスの終了時に合計される。電流源は、2^n
*DINnビット位置に基づいて比率が乗じられ、例えば、I_DIN3=x8 Icell単位、_I_DIN2=x4 Icell単位、I_DIN1=x2 Icell単位、I_DIN0=x1 Icell単位である。
【0150】
図35は、複数のデジタル値を受け取り、それらを一緒に合計し、入力の和を表す出力DOUTを生成する、デジタル加算器3500を示す。デジタル加算器3500は、検証動作中に使用することができる。4ビットのデジタル値の例で示されるように、4つの評価パルスからの値を保持するためのデジタル出力ビットが存在し、これらの値はプロセスの終了時に合計される。デジタル出力は、2^n
*DINnビット位置に基づいてデジタルスケーリングされ、例えば、DOUT3=x8 DOUT0、_DOUT2=x4 DOUT1、I_DOUT1=x2 DOUT0、I_DOUT0=DOUT0である。
【0151】
図36Aは、セル電流をデジタル出力ビットに変換するために出力ニューロンに適用された二重傾斜積分型ADC 3600を示す。積分オペアンプ3601及び積分コンデンサ3602からなる積分器は、基準電流IREFに対してセル電流ICELLを積分する。
図36Bに示されるように、固定時間t1の間、セル電流は上方に積分され(Voutが上昇する)、次いで、基準電流が、時間t2にわたって下方に積分される(Voutが降下する)ように印加される。電流Icellは、=t2/t1
*IREFである。例えば、t1に対して、10ビットのデジタルビット解像度では、1024サイクルが使用され、t2に対するサイクル数は、Icell値に応じて0~1024サイクルに変化する。
【0152】
図36Cは、セル電流をデジタル出力ビットに変換するために出力ニューロンに適用された単一傾斜積分型ADC 3660を示す。積分オペアンプ3661及び積分コンデンサ3662からなる積分器は、セル電流ICELLを積分する。
図36Dに示されるように、時間t1の間、セル電流が上方に積分され(VoutがVref2に達するまで上昇する)、時間t2の間、別のセル電流が上方に積分される。セル電流Icell=Cint
*Vref2/tである。パルスカウンタは、積分時間tの間のパルス(デジタル出力ビット)の数をカウントするために使用される。例えば、図示されるように、t1に対するデジタル出力ビットは、t2のデジタル出力ビットよりも少なく、これは、t1の間のセル電流がt2積分中のセル電流よりも大きいことを意味する。初期較正は、積分コンデンサ値を基準電流及び固定時間で較正するために行われ、Cint=Tref
*Iref/Vref2である。
【0153】
図36Eは、セル電流をデジタル出力ビットに変換するために出力ニューロンに適用された二重傾斜積分型ADC 3680を示す。二重傾斜積分型ADC 3680は、積分オペアンプを利用しない。セル電流又は基準電流は、コンデンサ3682に直接積分される。パルスカウンタは、積分時間の間のパルス(デジタル出力ビット)をカウントするために使用される。電流Icellは、=t2/t1
*IREFである。
【0154】
図36Fは、セル電流をデジタル出力ビットに変換するために出力ニューロンに適用された単一傾斜積分型ADC 3690を示す。単一傾斜積分型ADC 3680は、積分オペアンプを利用しない。セル電流は、コンデンサ3692に直接積分される。パルスカウンタは、積分時間の間のパルス(デジタル出力ビット)をカウントするために使用される。セル電流Icell=Cint
*Vref2/tである。
【0155】
図37Aは、セル電流をデジタル出力ビットに変換するために出力ニューロンに適用されたSAR(逐次比較型)ADCを示す。セル電流は、抵抗器を横切って降下させて、VCELLに変換することができる。あるいは、セル電流は、S/Hコンデンサをチャージアップして、VCELLに変換することができる。MSBビット(最上位ビット)から始まるビットを計算するために、二分探索が使用される。SAR 3701からのデジタルビットに基づいて、適切なアナログ基準電圧をコンパレータ3703に設定するために、DAC 3702が使用される。コンパレータ3703の出力は、次のアナログレベルを選択するために、SAR 3701に順番にフィードバックされる。
図37Bに示されるように、4ビットのデジタル出力ビットの例では、4つの評価期間が存在し、アナログレベルを中間に設定することによってDOUT3を評価するための第1のパルス、次いで、アナログレベルを上半分の中間又は下半分の中間に設定することによってDOUT2を評価するための第2のパルスなどがある。
【0156】
図38は、セル電流をデジタル出力ビットに変換するために出力ニューロンに適用されたシグマデルタ型ADC 3800を示す。オペアンプ3801及びコンデンサ3805からなる積分器は、選択されたセル電流からの電流と、1ビット電流DAC 3804からもたらされる基準電流との総和を積分する。コンパレータ3802は、基準電圧に対して積分出力電圧を比較する。クロックドDFF 3803は、コンパレータ3802の出力に応じてデジタル出力ストリームを提供する。デジタル出力ストリームは、典型的には、デジタル出力ビットに出力される前にデジタルフィルタに進む。
【0157】
本明細書で使用される場合、「の上方に(over)」及び「に(on)」という用語は両方とも、「の上に直接」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「の上に間接的に」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を包括的に含むことに留意されるべきである。同様に、「隣接した」という用語は、「直接隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「間接的に隣接した」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を含み、「に取り付けられた」は、「に直接取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されていない)、及び「に間接的に取り付けられた」(中間材料、要素、又は間隙がそれらの間に配設されている)を含み、「電気的に結合された」は、「に直接電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に接続する中間材料又は要素がそれらの間にない)、及び「に間接的に電気的に結合された」(要素を一緒に電気的に接続する中間材料又は要素がそれらの間にある)を含む。例えば、要素を「基板の上方に」形成することは、その要素を基板に直接、中間材料/要素をそれらの間に伴わずに形成すること、及びその要素を基板の上に間接的に1つ以上の中間材料/要素をそれらの間に伴って形成することを含み得る。