(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/289 20210101AFI20231115BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20231115BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20231115BHJP
H01M 10/6567 20140101ALI20231115BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20231115BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20231115BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20231115BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231115BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20231115BHJP
【FI】
H01M50/289
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/6567
H01M10/04 W
H01M10/6556
H01M50/507
H01M50/209
H01M50/55 101
(21)【出願番号】P 2021553082
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(86)【国際出願番号】 CN2020080427
(87)【国際公開番号】W WO2020207230
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-09-08
(31)【優先権主張番号】201920498614.5
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】侯躍攀
(72)【発明者】
【氏名】游凱杰
(72)【発明者】
【氏名】陳興地
(72)【発明者】
【氏名】唐▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】李子源
(72)【発明者】
【氏名】馬俊
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-109077(JP,A)
【文献】特開2013-012441(JP,A)
【文献】特開2016-134196(JP,A)
【文献】特開2012-033306(JP,A)
【文献】特開2012-074350(JP,A)
【文献】国際公開第2014/109034(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
H01M 10/613
H01M 10/6567
H01M 10/04
H01M 10/6556
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池モジュールであって、
キャビティを有する筐体(1)と、
長手方向(X)に沿って
一列に配列されている複数の電池セル(22)を含む電池セル配列構成(2)と、
前記電池セル配列構成(2)の高さ方向(Z)に沿う一側面に固定される支持部材(21)と、
を備え、
前記電池モジュールは、少なくとも二つの前記電池セル配列構成(2)及び少なくとも二つの前記支持部材(21)を含み、少なくとも二つの前記電池セル配列構成(2)は、幅方向(Y)に沿って配列され、かつ少なくとも二つの前記電池セル配列構成(2)は、それぞれ少なくとも二つの前記支持部材(21)に一対一に対応して設置され、
前記電池セル配列構成(2)及び前記支持部材(21)は前記キャビティ内に位置
し、
前記支持部材(21)は平板構成であり、
前記筐体(1)は、少なくとも二つの凹部(111a)を有し、少なくとも二つの前記支持部材(21)は、それぞれが対応する前記凹部(111a)内に位置し、
各凹部(111a)は、前記筐体(1)の外側に向かって突出する底壁を有することを特徴とする電池モジュール。
【請求項2】
前記凹部(111a)の深さが前記支持部材(21)の厚さ以上である、
請求項
1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記筐体(1)は、二つの前記凹部(111a)を有し、
二つの前記凹部(111a)は、幅方向(Y)に沿って配置され、
前記筐体(1)は、前記幅方向(Y)に沿って対向して設置された両端部を有し、
隣接する前記凹部(111a)の間に第1のリブ(111b)が形成され、前記凹部(111a)と対応する前記端部との間に第2のリブ(111c)が形成され、
前記電池セル配列構成(2)は、対応する前記第1のリブ(111b)及び前記第2のリブ(111c)にいずれも当接する、
請求項
1または
2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記電池モジュールは少なくとも二つの水冷板を含み、前記水冷板は前記支持部材(21)である
請求項1~
3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項5】
前記幅方向(Y)に沿った、前記電池セル(22)と筐体(1)の側壁との間の距離が10mmより小さいことである、
請求項1~
4のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項6】
前記電池セル配列構成(2)は、第1の電池セル配列構成(23)及び第2の電池セル配列構成(24)を含み、前記第1の電池セル配列構成(23)は、複数の前記電池セル(22)及び第1のバスバー(231)を含み、前記第2の電池セル配列構成(24)は、複数の前記電池セル(22)及び第2のバスバー(241)を含み、
前記第1のバスバー(231)は、前記第1の電池セル配列構成(23)の前記幅方向(Y)に沿う一側に設置され、前記第2のバスバー(241)は、前記第2の電池セル配列構成(24)の前記幅方向(Y)に沿う一側に設置される、
請求項1~
5のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項7】
前記電池セル(22)は、ケース(222)、蓋板(223)及び電極端子を含み、前記ケース(222)は、前記蓋板(223)に固定的に接続され、前記電極端子は、前記蓋板(223)に設置され、前記電極端子は、対応するバスバーに接続されることに用いられ、
前記第1の電池セル配列構成(23)の前記電極端子は、前記第2の電池セル配列構成(24)に向き、及び/又は、前記第2の電池セル配列構成(24)の前記電極端子は、前記第1の電池セル配列構成(23)に向く、
請求項1~
6のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項8】
前記電池セル(22)は、ケース(222)、蓋板(223)及び電極端子を含み、前記ケース(222)は、前記蓋板(223)に固定的に接続され、前記電極端子は、前記蓋板(223)に設置され、前記電極端子は、対応するバスバーに接続されることに用いられ、
前記第1の電池セル配列構成(23)の前記電極端子は、前記第2の電池セル配列構成(24)に背向し、及び/又は、前記第2の電池セル配列構成(24)の前記電極端子は、前記第1の電池セル配列構成(23)に背向する、
請求項1~
6のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項9】
前記電池セル(22)は、さらに電極アセンブリ(221)を含み、前記電極アセンブリ(221)は、第1の極片(221a)、第2の極片(221b)及びダイアフラム(221c)を含み、前記ダイアフラム(221c)は、前記第1の極片(221a)と前記第2の極片(221b)との間に位置され、
前記第1の極片(221a)、前記第2の極片(221b)及び前記ダイアフラム(221c)は、巻付けられて成形され、かつ前記電極アセンブリ(221)の外面は、二つの扁平面を含み、二つの前記扁平面は、高さ方向(Z)に沿って対向して設置され、または、
前記第1の極片(221a)、前記ダイアフラム(221c)及び前記第2の極片(221b)は、高さ方向(Z)に沿って積層される、
請求項1~
8のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【請求項10】
前記電池セル配列構成(2)と前記支持部材(21)との間に接着剤が設けられ、前記電池セル配列構成(2)は、前記接着剤により前記支持部材(21)に固定される、
請求項
9に記載の電池モジュール。
【請求項11】
前記高さ方向(Z)に沿って、前記筐体(1)は上部筐体(12)及び下部筐体(11)を含み、前記下部筐体(11)は前記上部筐体(12)の下方に位置され、
前記凹部(111a)は、前記下部筐体(11)に設けられる、
請求項
1~
3のいずれか一項に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互援用
本願は、2019年04月12日に提出された、発明名称が「電池モジュール」である中国特許出願201920498614.5号の優先権を主張し、それらの内容が引用により本願に援用されている。
【0002】
本願は、蓄積エネルギー装置の技術分野に関し、特に電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0003】
電池モジュールは、筐体と筐体の内部に位置する複数の電池セルを含み、ここで、筐体は、電池セルを収容し且つ電池セルを支持することに用いられる。組み立てる時に、まず電池セルを筐体のキャビティ内に配置し、次に各電池セルの電気的接続及びサンプリング線の溶接を行い、すなわち上記電池セルの電気的接続及びサンプリング線の溶接過程は筐体のキャビティ内のみで行うことができ、操作しにくいのみでなく、筐体の影響を受けやすく、接続信頼性が高くない。
【発明の概要】
【0004】
これに鑑みて、本願の実施例は、従来技術における電池モジュールの組立過程において操作しにくく、接続信頼性が低いという問題を解決することに用いられる電池モジュールを提供している。
【0005】
本願の実施例は、電池モジュールを提供し、前記電池モジュールは、キャビティを有する筐体と、長手方向に沿って配列されている複数の電池セルを含む電池セル配列構成と、電池セル配列構成の高さ方向に沿う一側に固定される支持部材と、を備え、電池モジュールは、少なくとも二つの電池セル配列構成及び少なくとも二つの支持部材を含み、少なくとも二つの電池セル配列構成は、幅方向に沿って配列されかつそれぞれ少なくとも二つの支持部材に対応して設置され、電池セル配列構成及び支持部材は、キャビティ内に位置する。
【0006】
本願の実施例の電池モジュールにおいて、支持部材が設置されている。電池モジュールを組み立てる場合、電池セルを筐体に取り付ける前に、筐体の外側に、各電池セルを支持部材に固定することで、支持部材により各電池セルを支持し、且つ各電池セルを電気的に接続し、電池セル配列構成を形成し、最後に該電池セル配列構成を筐体のキャビティに入れ、電池モジュールの組み立てを実現する。電池モジュールの組立過程において、当該支持部材は、電池セルを支持する役割を果たすので、電池セルの配列構成の剛性を向上させ、電池セルの配列構成を筐体に入れることができる。
【0007】
電池モジュールの上記構成に基づいて、当該電池モジュールは、従来技術における組立方式を採用する必要がない。各電池セルの間の電気的接続は、筐体の外部で行うことで、筐体のキャビティ空間の影響を受けず、操作しやすく、接続信頼性が高いという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下に実施例に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明する図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な仕事が要らず、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【0009】
【
図1】は、本願の実施例に係る電池モジュールの構成概略図である。
【
図2】は、
図1に示す実施例の電池モジュールの側面構成概略図である。
【
図3】は、
図1に示す実施例の電池モジュールの分解構成概略図である。
【
図4】は、
図3に示す実施例の電池モジュールの下部筐体の構成概略図である。
【
図5】は、
図3に示す実施例の電池セル配列構成の分解構成概略図である。
【
図6】は、
図5に示す実施例の電池セルの分解構成概略図である。
【
図7】は、
図5に示す実施例の電池セルの側面構成概略図である。
【
図8】は、
図7に示す実施例の電池セルの第1の実施例におけるA-A方向構成概略断面図である。
【
図9】は、
図7に示す実施例の電池セルの第2の実施例におけるA-A方向構成概略断面図である。
【符号の説明】
【0010】
1 筐体
11 下部筐体
111 底板
111a 凹部
111b 第1のリブ、
111c 第2のリブ
112 第1の接続部
12 上部筐体
121 頂板
122 第2の接続部
2 電池セル配列構成
21 支持部材、
22 電池セル
221 電極アセンブリ
221a 第1の極片
221b 第2の極片
221c ダイアフラム
222 ケース、
222a 第1の表面
222b 第2の表面
222c 第3の表面
223 蓋板
223a 第1の電極端子
223b 第2の電極端子
224 中継接続シート
23 第1の電池セル配列構成
231 第1のバスバー
24 第2の電池セル配列構成
241 第2のバスバー
【発明を実施するための形態】
【0011】
本願の技術案をよりよく理解するために、以下に図面を参照しながら本願の実施例を詳細に説明する。
【0012】
ここで、説明された実施例は本願の一部の実施例のみであり、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な仕事を要さずに想到し得る他の実施例は、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0013】
本願の実施例に用いられる用語は特定の実施例を説明することに用いられるのみであり、本願を限定することを意図するものではない。本願の実施例及び添付の特許請求の範囲に用いられる単数の形式の「一種」、「前記」及び「当該」は、コンテキストにおいて明確に他の意味を表す場合の他に、複数の形式もを含む。
【0014】
理解すべきことは、本明細書で使用される用語「及び/又は」は関連対象を説明する関連関係のみであり、三種類の関係が存在してもよいことを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在し、A及びBが同時に存在し、Bが単独で存在するという三種類の状況を示すことができる。また、本明細書における符号「/」は、一般的に前後関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0015】
注意すべきことは、本願の実施例に記載された「上」、「下」、「左」、「右」等の方位語は、図面に示された角度で説明されることであるが、本願の実施例を限定するものと理解すべきではない。また、コンテキストにおいて、理解すべきことは、一つの素子が他の素子に接続されることを言及する場合、それは他の素子に直接的に接続されるのみでなく、中間素子により他の素子に間接的に接続されてもよい。
【0016】
図1~
図9を参照して、
図1は本願に係る電池モジュールの一つの実施例における構成概略図であり、
図2は
図1の側面構成図であり、
図3は
図1の分解構成図であり、
図4は
図3における電池モジュールの下部筐体の構成概略図であり、
図5は
図3における電池セル配列構成の分解構成概略図であり、
図6は
図5における電池セルの分解構成概略図であり、
図7は
図5に示す実施例の電池セルの構成の側面構成概略図であり、
図8は
図7に示す実施例の電池セルの一つの実施例におけるA-A方向構成概略断面図であり、
図9は
図7に示す実施例の電池セルの他の実施例におけるA-A方向構成概略断面図である。
【0017】
本願の実施例は、電池モジュールを提供している。
図3に示すように、当該電池モジュールは、キャビティを有する筐体1を備える。当該電池モジュールは、さらに長手方向Xに沿って配列された複数の電池セル22を含む電池セル配列構成2を含む。
【0018】
説明すべきことは、本明細書における「長手方向」は、電池セル配列構成2における、電池セル22の配列方向と同じ方向を示す。電池セル22の配列方向が変化する場合、長手方向で示す方向がそれに伴って変化する。例えば、
図5に示すように、各電池セル22がY方向に沿って配列される場合、長手方向は
図5におけるY方向を示す。従って、「長手方向」などの方位語は、本願の保護範囲を絶対的に限定するものと見なされるべきではない。
【0019】
同時に、
図5に示すように、当該電池モジュールは、さらに支持部材21を含んでいる。当該支持部材21は、電池セル配列構成2の高さ方向Zに沿う一側に固定される。高さ方向Zが長手方向Xに対して垂直である。当該電池モジュールは、少なくとも二つの電池セル配列構成2及び少なくとも二つの支持部材21を含んでいる。少なくとも二つの電池セル配列構成2は、幅方向Yに沿って配列され、かつそれぞれ少なくとも二つの支持部材21に対応して設置される。電池セル配列構成2の数量と支持部材21の数量が、一対一で対応的に設けられている。幅方向Yが長手方向Xに対して垂直である。当該電池セル配列構成2及び支持部材21は筐体1のキャビティ内に位置する。
【0020】
本願において、当該電池モジュールは、支持部材21が設置されているので、電池モジュールを組み立てる場合、電池セル22を筐体1に取り付ける前に、まず各電池セル22を支持部材21に固定することで、支持部材21により各電池セル22を支持し、次に各電池セル22を電気的に接続することで、電池セル配列構成2を形成し、最後に当該電池セル配列構成2を筐体1のキャビティに入れることで、電池モジュールの組み立てを完成する。ここで、電池モジュールの組立過程において、当該支持部材21が電池セル22を支持する役割を果たすので、電池セル配列構成2の剛性を向上させ、電池セル配列構成2を筐体1に容易に組み込むことができる。
【0021】
電池モジュールの上記構成に基づいて、当該電池モジュールは従来技術における組立方式を採用する必要がなく、各電池セル22の間の電気的接続は筐体1の外部で行うことができるので、筐体1のキャビティ空間の影響を受けず、操作しやすく、接続信頼性が高いという利点を有する。
【0022】
一つの実施例において、
図3に示すように、当該筐体1は、固定的に接続された上部筐体12及び下部筐体11を備える。上部筐体12は、頂板121及び第2の接続部122を備える。下部筐体11は、底板111及び第1の接続部112を備える。当該上部筐体12と下部筐体11との間は第1の接続部112及び第2の接続部122により固定的に接続され、且つ両者が固定的に接続されていることで、筐体1のキャビティを形成する。筐体1は、全体として筒状構成となす。筐体1のキャビティの軸方向は、長手方向Xと同一である。
【0023】
一つの実施例において、
図5に示すように、当該支持部材21は平板構成であり、各電池セル22は支持部材21の板面に固定される。同時に、
図4に示すように、当該筐体1は二つの凹部111aを有する。二つの支持部材21はそれぞれ対応する凹部111a内に位置する。二つの凹部111aは幅方向Yに沿って離間的に配置される。理解できるように、凹部111aの数量は二つに限られなく、三つ以上でもよい。一つの実施例において、支持部材21の数量および位置と、凹部111aの数量および位置とが一対一で対応的に設けられている。
【0024】
図3と
図4に示すように、下部筐体11は底板111を有し、凹部111aは下部筐体11の底板111に設置される。勿論、当該凹部111aは上部筐体12の頂板121に設置されてもよい。本実施例において、支持部材21が筐体1の凹部111a内に位置する場合、電池セル配列構成2が筐体1のキャビティに装入された後の高さを下げさせることができるので、電池モジュールの高さ方向Zの寸法を下げさせ、電池モジュールのエネルギー密度を向上させる。
【0025】
一つの実施例において、凹部111aの深さが支持部材21の厚さ以上であることで、全ての支持部材21が当該凹部111a内に位置することができ、さらに電池モジュールの高さ方向Zに沿う寸法をさらに下げさせ、エネルギー密度を向上させる。
【0026】
一つの実施例において、
図4に示すように、当該筐体1は、二つの凹部111aを有する。二つの凹部111aは幅方向Yに沿って配置され、かつ隣接する凹部111aの間に第1のリブ111bが形成される。同時に、筐体1は幅方向Yに沿って対向して設置された両端部を有する。凹部111aと対応する端部との間に第2のリブ111cが形成される。従って、支持部材21が凹部111a内に位置する場合、当該電池セル配列構成2の幅方向Yに沿う両端は第1のリブ111b及び第2のリブ111cにそれぞれに当接し、二つのリブは電池セル配列構成2を支持する役割を果たし、電池セル配列構成2と筐体1の内壁との間の接触面積を向上させるので、電池セル配列構成2の筐体1における安定性を向上させることができる。
【0027】
一つの実施例において、支持部材21の幅方向Yに沿う寸法は電池セル22の幅方向Yに沿う寸法より小さく、すなわち電池セル22が支持部材21に固定される場合、当該電池セル22の幅方向Yに沿う少なくとも一端は支持部材21から伸び出し、かつ伸び出した部分は第1のリブ111b及び/又は第2のリブ111cに当接する。支持部材21の幅方向Yに沿う寸法が小さい場合、さらに支持部材21の重量を低減し、電池モジュールのエネルギー密度を向上させることができる。
【0028】
また、凹部111aの深さが支持部材21の厚さに等しい場合、当該支持部材21は、凹部111aに位置した後、その上端面が二つのリブの端面と同一平面にあり、この場合に、当該電池セル配列構成2と二つのリブの端面との接触エリア、及び当該電池セル配列構成2と支持部材21の上端面との接触エリアが同一平面にあるので、当該電池セル配列構成2は、完全平面が力を受ける状態とされ、力を受ける面積が大きく、安定性が良い。凹部111aの上端面は、電池セル配列構成を支持する表面である。
【0029】
一つの実施例において、
図3及び
図4に示すように、当該凹部111aは底壁を有する。当該底壁が筐体1の外側に向かって突出し、当該底壁の厚さと筐体1の他の部位の厚さとがほぼ同じであるので、当該凹部111aが高い強度及び剛性を有することを確保できる。
【0030】
一つの実施例において、当該電池モジュールは、少なくとも二つの水冷板を備える。当該水冷板の内部に流体通路を有する。冷却液は、当該流体通路内に流通して電池セル22と熱交換を行うことで、電池セル22の冷却を実現することができる。本実施例において、当該水冷板は上記実施例の支持部材21である。
【0031】
本実施例において、当該水冷板は、電池セル22を冷却することに用いられるのみでなく、電池セル22を支持することに用いられるので、電池セル配列構成2の輸送及び電池モジュールの組み立てが便利になり、他の構成を支持部材として設置する必要がなく、電池モジュールの部品数を減少させ、電池モジュールのエネルギー密度を向上させる。
【0032】
一つの実施例には、電池セル22は、筐体1の側壁に当接する。本実施例において、電池セル22が筐体1の側壁に当接する場合、電池セル22の幅方向に沿う運動をさらに制限し、電池セル配列構成2の筐体1における安定性を向上させることができる。
【0033】
勿論、本願において、幅方向Yに沿って、当該電池セル22と筐体1の側壁が当接しなくてもよく、すなわち両者の間に隙間がある。支持部材21が筐体1の凹部111a内に位置するので、当該凹部111aは支持部材21が幅方向Yに沿って動くことを制限することができ、凹部111aにより電池セル22が幅方向Yに沿って動くことを間接的に制限することができる。従って、電池セル22と筐体1の側壁が接触しなくても、電池セル22の幅方向Yに沿った位置を制限ることができる。
【0034】
一つの実施例において、幅方向Yに沿った、当該電池セル22と筐体1の側壁との間の距離が10mmより小さく、すなわち当該電池セル22と筐体1の側壁との間に側板が設置されない。従って、従来の電池モジュールに比べて、本願における電池セル22と筐体1の側壁との間に側板が設置される必要がないので、電池モジュールのエネルギー密度をさらに向上させることができる。
【0035】
一つの実施例において、
図3に示すように、当該電池モジュールは、それぞれ第1の電池セル配列構成23及び第2の電池セル配列構成24である二つの電池セル配列構成2を含むことができる。
図4に示すように、第1の電池セル配列構成2は、複数の電池セル22及び第1のバスバー231を含み、且つ第1のバスバー231は長手方向Xに沿って延在しかつ各電池セル22に電気的に接続される。第2の電池セル配列構成24は、複数の電池セル22及び第2のバスバー241を含み、かつ第2のバスバー241は長手方向Xに沿って延在しかつ各電池セル22に電気的に接続される。当該電池モジュールにおいて、バスバーは、各電池セル22の間の電気的接続を実現することに用いられ、接続方式は直列接続、並列接続又はハイブリッド接続であってもよい。
【0036】
ここで、
図5に示すように、第1のバスバー231は第1の電池セル配列構成23の幅方向Yに沿う一側に設置され、第2のバスバー241は第2の電池セル配列構成24の幅方向Yに沿う一側に設置される。
【0037】
従って、
図3に示すように、電池モジュールにおいて、電池セル22の電気的接続構成(バスバー及び電極端子等を含む)は電池モジュールの幅方向Yに位置し、電池モジュールの高さ方向Zに沿う空間を占用しない。従って、電池モジュールの高さ方向Zの寸法を小さくすることができ、高さ方向の空間が限られた取付環境に適用することができる。
【0038】
一つの実施例において、
図6に示すように、当該電池セル22は、ケース222、蓋板223及び電極端子を備える。電極端子は第1の電極端子223a及び第2の電極端子223bを備える。二つの電極端子のうち、一方は電池セル22の正極端子であり、他方は電池セル22の負極端子である。当該ケース222は蓋板223に固定的に接続される。電極端子は蓋板223に設置される。当該電極端子は、対応するバスバーに電気的に接続されることに用いられる。
図1~
図3に示す実施例において、第1の電池セル配列構成23の電極端子は第2の電池セル配列構成24に向き、及び/又は、第2の電池セル配列構成24の電極端子は第1の電池セル配列構成23に向く。ケース222は金属材質又はプラスチック材質であってもよい。ケース222が金属材質である場合、電池セル22はさらに絶縁層を含み、絶縁層はケース222の外表面を被覆することで、ケース222と筐体1が絶縁される。好ましくは、絶縁層の厚さは1mmより小さい。
【0039】
別の実施例において(図示せず)、第1の電池セル配列構成23の電極端子は第2の電池セル配列構成24に背向し、及び/又は、第2の電池セル配列構成24の電極端子は第1の電池セル配列構成23に背向する。
【0040】
以上の二つの実施例は、いずれも各電池セル22の間の電気的接続を実現することができ、しかし、第1の電池セル配列構成23の電極端子が第2の電池セル配列構成24に向き、第2の電池セル配列構成24の電極端子が第1の電池セル配列構成23に向く場合、二つのバスバーの間の距離が小さく、かつ二つの電池セル配列構成2の電極端子の間の距離も小さい。従って、電気的接続を実現しやすく、かつ電池モジュールのエネルギー密度を向上させることができる。
【0041】
一つの実施例において、
図6に示すように、当該電池セル22はさらにケース222の内部に位置する一つ又は複数の電極アセンブリ221を備える。当該電池セル22の電極端子とタブとの間は中継接続シート224により電気的に接続される。当該電極アセンブリ221は第1の極片221a、第2の極片221b及びダイアフラム221cを含み、ここで、第1の極片221aと第2の極片221bのうち、一つは正極片であり、もう一つは負極片であり、ダイアフラム221cは第1の極片221aと第2の極片221bとの間に位置し、二つの極片の間の絶縁を実現することに用いられる。
【0042】
当該電池セル22のケース222は開口を有する六面体構成である。ケース222は、第1の表面222a、第2の表面222b及び第3の表面222cを備える。ここで、第1の表面222aと第2の表面222bは、電池モジュールの高さ方向Zに沿って対向して設置され、すなわち当該第1の表面222aと第2の表面222bは上記電池セルの側面であり、両者の面積が大きい。第3の表面222cは電池モジュールの長手方向Xに対して垂直である。
【0043】
図7と
図8に示す実施例において、当該電極アセンブリ221は巻付式構成であり、ここで第1の極片221a、第2の極片221b及びダイアフラム221cはいずれも帯状構成である。電極アセンブリ221が成形する時、第1の極片221a、第2の極片221b及びダイアフラム221cが順に積層されかつ二周以上巻き付けされ、当該電極アセンブリ221が扁平構成である。
【0044】
本実施例において、
図8に示すように、当該電極アセンブリ221の外面は二つの扁平面を含み、かつ二つの扁平面は高さ方向Zに沿って対向して設置され、すなわち当該電極アセンブリ221の扁平面はケース222の第1の表面222aに対向して設置される。当該扁平面は巻回軸線にほぼ平行であり、電極アセンブリ221における面積が最大であり、且つ当該電極アセンブリ221が長手方向Xに沿って分布する二つの狭い平面の面積より大きい。本願において、当該扁平面は、厳密な平面である必要はない。
【0045】
図9に示す別の実施例において、当該電極アセンブリ221は積層式構成である。電極アセンブリ221が成形する時、第1の極片221a、第2の極片221b及びダイアフラム221cが順に積層されて配置され、かつ積層方向が電池モジュールの高さ方向Zと同じである。
【0046】
以上の二つの実施例において、電極アセンブリ221は充放電過程において極片の厚さ方向に沿って膨張する。具体的には、
図8に示す巻付式電極アセンブリ221において、扁平面に対して垂直な方向(高さ方向Z)に沿って膨張力が最大であり、
図9に示す積層式電極アセンブリ221において、第1の極片221a、第2の極片221b及びダイアフラム221cの積層方向(高さ方向Z)に沿って膨張力が最大である。同時に、当該電池セル配列構成2において、各電池セル22は長手方向Xに沿って配列され、すなわち電池セル配列構成2の長手方向Xに沿った寸法は電池セル配列構成2の高さ方向Zに沿った寸法より大きく、従って、本願における電池セル22の配置方式により最大膨張力の方向は電池セル22の配列方向に対して垂直である。従って、電池セル22が長手方向Xに沿って大きな膨張力を生成することを避けることができる。
【0047】
また、上記したように、
図8に示す電極アセンブリ221において、面積が最大の面は高さ方向Zに対して垂直な面であり、同様に、
図9に示す電極アセンブリ221において、面積が最大の面も高さ方向Zに対して垂直な面であり、それに応じて、電池セル22におけるケース222の面積が最大の面は第1の表面222a(高さ方向Zに対して垂直な表面)である。従って、当該電池モジュールにおいて、電池セル22の面積が最大の表面は支持部材21に固定され、両者の間に大きな接触面積を有するので、電池セル22と支持部材21との接続信頼性を向上させることができる。
【0048】
さらに、当該電池セル配列構成2と支持部材21との間に接着剤が設けられている。各電池セル22は接着剤により支持部材21に固定される。
【0049】
上記したように、当該電池セル22において、高さ方向Zに沿って、電極アセンブリ221の膨張力が最大である。従って、当該膨張力の作用で、電池セル22と支持部材21を圧着することができるので、両者の接着の信頼性を向上させる。
【0050】
以上は本願の好ましい実施例に過ぎず、本願を限定するものではない。本願の精神及び原則内で、行われたいかなる修正、均等な置換、改良等は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。