(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 23/48 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
H01L23/48 H
(21)【出願番号】P 2022030694
(22)【出願日】2022-03-01
(62)【分割の表示】P 2020105520の分割
【原出願日】2016-01-27
【審査請求日】2022-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】岩井 克浩
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-016837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0164078(US,A1)
【文献】特開2004-335947(JP,A)
【文献】特開平10-012790(JP,A)
【文献】特開2014-082385(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0017141(US,A1)
【文献】特開2006-203039(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0203548(US,A1)
【文献】米国特許第05877548(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1リードと、
厚さ方向視において第1方向に前記第1リードから離間し、前記第1リードに電気的に接続された半導体素子と、
前記半導体素子が搭載された主面を有する第2リードと
前記半導体素子と前記第1リードの一部とを覆う封止樹脂と、を備え、
前記封止樹脂は、前記厚さ方向視において前記第1方向に垂直な第2方向に延びる第1樹脂側面を含み、
前記第1リードは、突起部と内方部を含み、前記突起部は、前記第1樹脂側面から前記第1方向に突出し、前記内方部は、前記封止樹脂内に埋め込まれており、
前記第1リードの前記内方部は、ワイヤボンディング部と、前記突起部と前記ワイヤボンディング部とを相互に接続する屈曲部と、を含み、
前記第2リードは、前記主面とは反対側を向く裏面と、前記第1リードに向かって前記第1方向に延びる庇部と、をさらに有し、前記庇部は、前記庇部の上面に曲面を含み、前記庇部は、前記厚さ方向において前記第2リードの前記主面と前記第2リードの前記裏面との間に形成されて
おり、
前記第1リードは、前記厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面を有し、
前記第1リードの前記裏面は、各々が前記封止樹脂から露出した部分であって、前記第1方向一端側に並べられた、前記第2方向において最外方に位置する外方裏面実装部と、前記第2方向において前記外方裏面実装部よりも内方に位置する内方裏面実装部と、を有しており、
前記外方裏面実装部の面積は、前記内方裏面実装部の面積よりも大である、半導体装置。
【請求項2】
前記庇部が、前記庇部の下側に平坦な平坦面を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記庇部の前記平坦面が、前記庇部の曲面よりも前記第1方向の長さが長い、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2リードは、前記主面から凹む主面側凹部を有し、前記半導体素子が、前記厚さ方向視において前記主面側凹部と前記庇部との間に配置されている、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記封止樹脂の一部が前記主面側凹部内に配置されている、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記封止樹脂が、前記庇部の前記平坦面を覆う、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1リードの隣に配置された第3リードをさらに含み、前記第3リードが前記半導体素子のゲート電極に電気的に接続されている、請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1樹脂側面が前記第1方向に対して傾斜している、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2リードが、隣接部分よりも前記第2方向の長さが長い部分的に広げられた部分を含む、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1リードの前記内方部の前記ワイヤボンディング部の少なくとも一部が、前記第2リードの前記主面よりも高く配置されている、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記封止樹脂が、下面、上面、および前記第1樹脂側面を含む複数の側面を含み、前記複数の側面が全体として前記下面から先細りになっている、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2リードの前記裏面が、前記封止樹脂の前記下面から露出している、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第2リードの前記主面が、前記封止樹脂から露出された領域を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第1リードの前記ワイヤボンディング部が、前記庇部の前記平坦面よりも高い主面および裏面を備える、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記第1リードの前記屈曲部が、前記封止樹脂の前記第1樹脂側面よりも前記第1方向に対して傾斜角が小さい上部傾斜面を有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第2リードは、前記庇部の上に配置され、前記封止樹脂の一部を介して前記第1リードの前記ワイヤボンディング部に面するように配置された平坦な端部を備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記封止樹脂は、前記第1方向において前記第1樹脂側面と反対の第2樹脂側面を含み、
前記庇部は、前記第1方向において前記第1樹脂側面よりも前記第2樹脂側面の近くに配置されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記庇部が、前記第2方向に細長く、前記第2方向の長さが前記第1リードよりも長い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記庇部が、前記第2方向に細長く、前記第2方向の長さが前記半導体素子よりも長い、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記半導体素子と前記第1リードの前記ワイヤボンディング部とを電気的に接続するワイヤをさらに備え、前記ワイヤ全体が前記封止樹脂に埋め込まれている、請求項1に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トランジスタに代表される半導体素子を備えた半導体装置は、様々な構成が提案されている。特許文献1には、従来の半導体装置の一例が開示されている。同文献に開示された半導体装置は、半導体素子、複数のリードおよび封止樹脂を備えている。半導体素子は、複数のリードのいずれかに支持されており、複数のリードに導通している。封止樹脂は、複数のリードの一部ずつと半導体素子とを覆っている。複数のリードのうち封止樹脂から露出した部分は、回路基板等に実装される際に用いられる複数の実装部を構成している。複数の実装部は、たとえばはんだによって回路基板に接合される。
【0003】
半導体装置の仕様や使用環境に応じて、複数の実装部と回路基板とを接合するはんだには応力が生じる。この応力によってはんだに亀裂が生じたりはんだが剥離してしまうことは好ましくない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、実装強度を高めることが可能な半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される半導体装置は、半導体素子と、各々が厚さ方向において互いに反対側を向く主面および裏面を有し且ついずれかの前記主面によって前記半導体素子を支持するとともに前記半導体素子に導通する複数のリードと、前記複数のリードの一部ずつおよび前記半導体素子を覆う封止樹脂と、を備える半導体装置であって、前記複数のリードは、各々が前記裏面が前記封止樹脂から露出した部分であって、前記厚さ方向と直角である第1方向一端側に並べられ且つ前記厚さ方向および前記第1方向と直角である第2方向において最外方に位置する外方裏面実装部と、前記第2方向において前記外方裏面実装部よりも内方に位置する内方裏面実装部と、を有しており、前記外方裏面実装部の面積は、前記内方裏面実装部の面積よりも大であることを特徴としている。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記内方裏面実装部の面積を1とした場合の前記外方裏面実装部の面積比は、1.7~2.5である。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記内方裏面実装部の前記第2方向寸法を1とした場合の前記外方裏面実装部の寸法比は、1.7~2.5である。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記面積比を1とした場合の前記寸法比の比は、0.68~1.47である。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数のリードは、前記第2方向両側に位置する一対の前記外方裏面実装部を有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数のリードは、各々が前記外方裏面実装部を有する第1リードおよび第2リードを含む。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2リードは、前記内方裏面実装部を含む。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1リードは、前記厚さ方向視において前記第1方向外方を向く第1先端面と、当該第1先端面よりも前記第1方向内方に凹む第1凹端面と、を有する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1リードは、前記第1先端面および前記第1凹端面を有する第1端子部を有しており、前記裏面のうち前記第1端子部に属する部分が、前記外方裏面実装部を構成している。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記外方裏面実装部は、前記第1先端面との境界端縁である第1先端縁と、前記第1凹端面との境界端縁である第2凹端縁と、を有する。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1リードの前記主面に設けられた第1主面めっき層、前記第1リードの前記裏面に設けられた第1裏面めっき層および前記第1リードの前記第1凹端面を覆い且つ前記第1先端面を露出させる第1側面めっき層を備える。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1裏面めっき層と前記第1側面めっき層とは、同一の材質からなり且つ互いに繋がっている。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1主面めっき層と前記第1裏面めっき層および前記第1側面めっき層とは、互いに異なる材質からなる。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1リードは、前記第1端子部に対して前記厚さ方向において前記主面が向く側に位置する第1ワイヤボンディング部と、前記第1ワイヤボンディング部および前記第1端子部を繋ぐ第1屈曲部と、を有する。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1リードは、前記厚さ方向に貫通し且つ前記厚さ方向視において前記第1屈曲部と重なる第1貫通孔を有する。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1貫通孔は、前記厚さ方向視において前記第1端子部および前記第1ワイヤボンディング部と重なる。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1リードは、前記厚さ方向視において前記第2方向における外方から内方に凹む第1凹端側面を有する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1凹端側面は、前記厚さ方向視において前記第1屈曲部および前記第1ワイヤボンディング部と重なる。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2リードは、前記厚さ方向視において前記第1方向外方を向く第2先端面と、当該第2先端面よりも前記第1方向内方に凹む第2凹端面と、を有する。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2リードは、前記第2先端面および前記第2凹端面を有する第2外方端子部を有しており、前記裏面のうち前記第2外方端子部に属する部分が、前記外方裏面実装部を構成している。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記外方裏面実装部は、前記第2先端面との境界端縁である第2先端縁と、前記第2凹端面との境界端縁である第2凹端縁と、を有する。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2リードの前記主面に設けられた第2主面めっき層、前記第2リードの前記裏面に設けられた第2裏面めっき層および前記第2リードの前記第2凹端面を覆い且つ前記第2先端面を露出させる第2側面めっき層を備える。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2裏面めっき層と前記第2側面めっき層とは、同一の材質からなり且つ互いに繋がっている。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2主面めっき層と前記第2裏面めっき層および前記第2側面めっき層とは、互いに異なる材質からなる。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2リードは、前記第2外方端子部に対して前記厚さ方向において前記裏面が向く側に位置する第2ワイヤボンディング部と、前記第2ワイヤボンディング部および前記第2外方端子部を繋ぐ第2屈曲部と、を有する。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2リードは、前記厚さ方向に貫通し且つ前記厚さ方向視において前記第2屈曲部と重なる第2貫通孔を有する。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2貫通孔は、前記厚さ方向視において前記第2外方端子部および前記第2ワイヤボンディング部と重なる。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2リードは、前記厚さ方向視において前記第2方向における外方から内方に凹む第2凹端側面を有する。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2凹端側面は、前記厚さ方向視において前記第2屈曲部および前記第2ワイヤボンディング部と重なる。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第2リードは、前記第2外方端子部に対して前記第2方向内方に位置する第2内方端子部を有しており、前記裏面のうち前記第2内方端子部に属する部分が、前記内方裏面実装部を構成している。
【0036】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記複数のリードは、前記第1リードおよび前記第2リードに対して前記第1方向に離間配置され且つ前記半導体素子が搭載された素子ボンディング部を有する第3リードを含み、前記第3リードは、前記裏面のうち前記封止樹脂から露出した部分からなる素子側裏面実装部を有する。
【0037】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3リードは、各々が前記素子ボンディング部から前記第1方向に延出し且つ前記第2方向に配列された複数の端子状延出部を有する。
【0038】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3リードは、前記素子ボンディング部から前記第2方向に延出する側方延出部を有する。
【0039】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3リードは、前記厚さ方向視における端部において前記裏面から厚さ方向に凹む裏面側凹部を有する。
【0040】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3リードは、前記裏面側凹部に対して前記厚さ方向における前記主面側に繋がり且つ前記厚さ方向視において外方に突出する庇部を有する。
【0041】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3リードは、前記主面と前記庇部との間に介在し且つ前記庇部よりも前記厚さ方向視において内方に位置する主面側中間端面を有する。
【0042】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記主面側中間端面は、前記厚さ方向視において前記裏面側凹部と重なる。
【0043】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3リードは、前記厚さ方向視において前記半導体素子を避けた位置に設けられ且つ前記主面から前記厚さ方向に凹む主面側凹部を有する。
【0044】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記半導体素子は、素子本体と、当該素子本体の前記主面が向く側に設けられた第1電極および第2電極と、前記素子本体の前記裏面が向く側に設けられた第3電極と、を有する。
【0045】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1電極と前記第1リードの前記第1ワイヤボンディング部とに接続された第1ワイヤと、前記第2電極と前記第2リードの前記第2ワイヤボンディング部とに接続された第2ワイヤと、を備える。
【0046】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第3電極は、前記第3リードの前記素子ボンディング部に導電性接合材によって接合されている。
【0047】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1電極は、ゲート電極であり、前記第2電極は、ソース電極であり、前記第3電極は、ドレイン電極である。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、前記外方裏面実装部は、前記第2方向において最外方に位置している。前記外方裏面実装部の面積は、前記第2方向内方に位置する前記内方裏面実装部よりも大である。発明者らの研究によると、回路基板等にはんだによって実装した前記半導体装置を低温状態と高温状態とに交互に晒す耐久試験を行った場合、前記第2方向最外方に位置するはんだにより大きな応力が生じることが判明した。前記半導体装置によれば、最外方に位置する前記外方裏面実装部の面積が相対的に大であることにより、応力によって亀裂等が生じることを抑制することが可能である。したがって、前記半導体装置の実装強度を高めることができる。
【0049】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】本発明の第1実施形態に基づく半導体装置を示す平面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に基づく半導体装置を示す底面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に基づく半導体装置を示す要部平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に基づく半導体装置を示す要部拡大平面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に基づく半導体装置を示す要部拡大平面図である。
【
図7】
図3のVI-VI線に沿う要部拡大断面図である。
【
図8】
図3のVIII-VIII線に沿う断面図である。
【
図9】
図3のVIII-VIII線に沿う要部拡大断面図である。
【
図11】
図3のX-X線に沿う要部拡大断面図である。
【
図12】
図3のXII-XII線に沿う要部拡大断面図である。
【
図13】
図3のXIII-XIII線に沿う断面図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に基づく半導体装置の製造における一工程を示す要部平面図である。
【
図15】本発明の第1実施形態に基づく半導体装置の製造における一工程を示す要部平面図である。
【
図16】本発明の第1実施形態に基づく半導体装置と比較例の半導体装置との亀裂進展試験結果を示すグラフである。
【
図17】本発明の第1実施形態に基づく半導体装置の変形例を示す要部拡大平面図である。
【
図18】本発明の第1実施形態に基づく半導体装置の他の変形例を示す要部拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0052】
図1~
図13は、本発明の第1実施形態に基づく半導体装置を示している。本実施形態の半導体装置A1は、複数のリード1,2,3、半導体素子4および封止樹脂6を備えている。
【0053】
図1は、半導体装置A1を示す平面図である。
図2は、半導体装置A1を示す底面図である。
図3は、半導体装置A1を示す要部平面図である。
図4は、半導体装置A1を示す要部拡大平面図である。
図5は、半導体装置A1を示す要部拡大平面図である。
図6は、
図3のVI-VI線に沿う断面図である。
図7は、
図3のVI-VI線に沿う要部拡大断面図である。
図8は、
図3のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9は、
図3のVIII-VIII線に沿う要部拡大断面図である。
図10は、
図3のX-X線に沿う断面図である。
図11は、
図3のX-X線に沿う要部拡大断面図である。
図12は、
図3のXII-XII線に沿う要部拡大断面図である。
図13は、
図3のXIII-XIII線に沿う断面図である。y方向は、本発明の第1方向であり、x方向は、本発明の第2方向であり、z方向は、本発明の厚さ方向である。
【0054】
半導体装置A1の大きさは特に限定されず、本実施形態においては、たとえばx方向寸法が2.6~3.6mm、y方向寸法が2.6mm~3.6mm、z方向寸法が0.7mm~1.0mmである。
【0055】
複数のリード1,2,3は、半導体素子4を支持するとともに、半導体素子4と導通している。以降の説明においては、第1リード1、第2リード2および第3リード3と称する。第1リード1、第2リード2および第3リード3は、たとえば、金属板に打ち抜き加工や折り曲げ加工等を施すことにより形成されている。第1リード1、第2リード2および第3リード3は、金属からなり、好ましくはCuおよびNiのいずれか、またはこれらの合金や42アロイなどからなる。第1リード1、第2リード2および第3リード3の厚さは、たとえば0.1mm~0.3mmであり、本実施形態においては0.2mm程度である。
【0056】
図3に示すように、第1リード1および第2リード2は、x方向に並べられている。第3リード3は、第1リード1および第2リード2に対して、y方向に離間して配置されている。z方向視寸法は、第3リード3が最大であり、第1リード1が最小である。
【0057】
図6および
図7に示すように、第1リード1は、主面101および裏面102を有する。主面101および裏面102は、z方向において互いに反対側を向いている。
図4、
図6および
図7に示すように、第1リード1は、第1ワイヤボンディング部111、第1端子部112および第1屈曲部115を有する。第1ワイヤボンディング部111は、第1端子部112に対してz方向において主面101が向く側に位置している。また、第1ワイヤボンディング部111は、第1端子部112に対してy方向内方に位置している。本実施形態においては、第1ワイヤボンディング部111と第1端子部112とのz方向位置の差は、0.15mm程度である。第1屈曲部115は、第1ワイヤボンディング部111と第1端子部112とを繋いでおり、x方向視において屈曲形状である。
【0058】
第1端子部112は、2つの第1先端面121および1つの第1凹端面122を有する。第1先端面121は、y方向外方を向く面である。第1凹端面122は、第1先端面121に対して、z方向視においてy方向内方に凹んだ面である。第1凹端面122は、x方向において2つの第1先端面121に挟まれている。
【0059】
図2に示すように、裏面102のうち第1端子部112に属する部分は、外方裏面実装部150を構成している。
図7に示すように、外方裏面実装部150は、封止樹脂6から露出しており、半導体装置A1を回路基板91に実装する際に、はんだ92によって接合される部位である。外方裏面実装部150は、第1先端面121との境界端縁である先端縁151と、第1凹端面122との境界端縁である凹端縁152と、を有する。
【0060】
図4、
図6および
図7に示すように、第1リード1は、第1凹端側面123および第1貫通孔130を有する。第1凹端側面123は、z方向視においてx方向外方から内方に凹んでいる。第1凹端側面123は、z方向視において、第1ワイヤボンディング部111および第1屈曲部115と重なっている。第1貫通孔130は、第1リード1をz方向に貫通している。z方向視において第1貫通孔130は、第1屈曲部115と重なっている。また、第1貫通孔130は、z方向視において第1ワイヤボンディング部111および第1端子部112と重なっている。
【0061】
主面101の一部は、第1主面めっき層191によって覆われている。第1主面めっき層191は、たとえばAgめっき層からなる。本実施形態においては、主面101のうち第1ワイヤボンディング部111および第1屈曲部115に属する部分が、第1主面めっき層191によって覆われている。
【0062】
裏面102は、第1裏面めっき層192によって覆われている。第1凹端面122は、第1側面めっき層193によって覆われている。また、第1側面めっき層193は、2つの第1先端面121を露出させている。第1裏面めっき層192と第1側面めっき層193とは、同一の材質からなり且つ互いに繋がっている。第1主面めっき層191と第1裏面めっき層192および第1側面めっき層193とは、互いに異なる材質からなる。第1裏面めっき層192および第1側面めっき層193は、たとえばSnめっき層からなる。
【0063】
図8、
図9および
図12に示すように、第2リード2は、主面201および裏面202を有する。主面201および裏面202は、z方向において互いに反対側を向いている。
図5、
図8、
図9および
図12に示すように、第2リード2は、第2ワイヤボンディング部211、第2外方端子部212、2つの第2内方端子部213および3つの第2屈曲部215を有する。第2ワイヤボンディング部211は、第2外方端子部212および2つの第2内方端子部213に対してz方向において主面201が向く側に位置している。また、第2ワイヤボンディング部211は、第2外方端子部212および2つの第2内方端子部213に対してy方向内方に位置している。本実施形態においては、第2ワイヤボンディング部211と第2外方端子部212および2つの第2内方端子部213とのz方向位置の差は、0.15mm程度である。3つの第2屈曲部215は、第2ワイヤボンディング部211と第2外方端子部212および2つの第2内方端子部213とを各別に繋いでおり、x方向視において屈曲形状である。第2外方端子部212は、x方向において最外方に位置する。2つの第2内方端子部213は、第2外方端子部212に対してx方向内方に位置しており、x方向に並んでいる。また、2つの第2内方端子部213は、x方向において第1端子部112と第2外方端子部212とに挟まれている。
【0064】
第2外方端子部212は、2つの第2先端面221および1つの第2凹端面222を有する。第2先端面221は、y方向外方を向く面である。第2凹端面222は、第2先端面221に対して、z方向視においてy方向内方に凹んだ面である。第2凹端面222は、x方向において2つの第2先端面221に挟まれている。
【0065】
図2に示すように、裏面102のうち第2外方端子部212に属する部分は、外方裏面実装部250を構成している。外方裏面実装部250は、封止樹脂6から露出しており、
図9に示すように、半導体装置A1を回路基板91に実装する際に、はんだ92によって接合される部位である。外方裏面実装部250は、第2先端面221との境界端縁である第2先端縁251と、第2凹端面222との境界端縁である第2凹端縁252と、を有する。
【0066】
図2に示すように、裏面102のうち2つの第2内方端子部213に属する部分は、2つの内方裏面実装部260を構成している。内方裏面実装部260は、封止樹脂6から露出しており、半導体装置A1を回路基板91に実装する際に、はんだ92によって接合される部位である。
【0067】
図5、
図8、
図9および
図12に示すように、第2リード2は、第2凹端側面223および第2貫通孔230を有する。第2凹端側面223は、z方向視においてx方向外方から内方に凹んでいる。第2凹端側面223は、z方向視において、第2ワイヤボンディング部211および第2屈曲部215と重なっている。第2貫通孔230は、第2リード2をz方向に貫通している。z方向視において第2貫通孔230は、第2屈曲部215と重なっている。また、第2貫通孔230は、z方向視において第2ワイヤボンディング部211および第2外方端子部212と重なっている。
【0068】
図3に示すように、主面201の一部は、第2主面めっき層291によって覆われている。第2主面めっき層291は、たとえばAgめっき層からなる。本実施形態においては、主面201のうち第2ワイヤボンディング部211および第2屈曲部215に属する部分が、第2主面めっき層291によって覆われている。
【0069】
図8、
図9および
図12に示すように、裏面202は、第2裏面めっき層292によって覆われている。第2凹端面222は、第2側面めっき層293によって覆われている。また、第2側面めっき層293は、2つの第2先端面221を露出させている。また、第2側面めっき層293は、内方裏面実装部260の先端面を露出させている。第2裏面めっき層292と第2側面めっき層293とは、同一の材質からなり且つ互いに繋がっている。第2主面めっき層291と第2裏面めっき層292および第2側面めっき層293とは、互いに異なる材質からなる。第2裏面めっき層292および第2側面めっき層293は、たとえばSnめっき層からなる。
【0070】
図2に示すように、外方裏面実装部150および外方裏面実装部250が、x方向両側において最外方に配置されており、2つの内方裏面実装部260が、外方裏面実装部150および外方裏面実装部250の間に配置されている。
【0071】
外方裏面実装部150、外方裏面実装部250および内方裏面実装部260の寸法および面積の一例を以下に挙げる。
【0072】
図2に示す外方裏面実装部150と外方裏面実装部250のx方向の寸法L1が0.7mm程度、内方裏面実装部260のx方向の寸法L2が0.3mm程度である。外方裏面実装部150および内方裏面実装部260の間隔と250および260の間隔とは同じ大きさであり、この寸法S1は、0.27mmである。また、2つの内方裏面実装部260の間隔である寸法S2は、0.27mmであり、寸法S1と等しい。寸法L2を1とした場合の寸法L2の寸法比R2は、2.33である。この寸法比R2は、1.7~2.5であることが好ましい。本実施形態においては、外方裏面実装部150、外方裏面実装部250および2つの内方裏面実装部260のy方向寸法は、いずれも同じである。外方裏面実装部150および外方裏面実装部250は、x方向を長手方向とする長矩形状である。2tの内方裏面実装部260は、外方裏面実装部150および外方裏面実装部250よりも扁平の度合いが小である矩形状である。
【0073】
外方裏面実装部150および外方裏面実装部250の面積は等しく、これらの面積E1は、0.222mm2である。2つの内方裏面実装部260の面積E2は、0.096mm2である。面積E2を1とした場合の面積E1の面積比R1は、2.31である。この面積比R1は、1.7~2.5であることが好ましい。
【0074】
面積比R1を1とした場合の寸法比R2の比R3は、1.01である。この比R3は、0.68~1.47であることが好ましい。
【0075】
図10および
図11に示すように、第3リード3は、主面301および裏面302を有する。
図3に示すように、主面301および裏面302は、z方向において互いに反対側を向く。第3リード3は、素子ボンディング部311、複数の端子状延出部312および2つの側方延出部313を有する。素子ボンディング部311は、たとえばz方向視矩形状であり、半導体素子4が搭載されている。複数の端子状延出部312は、各々が素子ボンディング部311からy方向に延出し且つx方向に配列されている。2つの側方延出部313は、素子ボンディング部311からx方向両側に延出している。
【0076】
図2に示すように、裏面302のうち封止樹脂6から露出する部分が、素子側裏面実装部350を構成する。本実施形態においては、裏面302の全体が、素子側裏面実装部350を構成している。素子側裏面実装部350は、半導体装置A1を回路基板91に実装する際にはんだ92によって接合される部位である。
【0077】
図10および
図11に示すように、第3リード3は、裏面側凹部361、庇部362、および主面側中間端面363を有する。
【0078】
裏面側凹部361は、z方向視における第3リード3の端部において裏面302からz方向に凹んでいる。庇部362は、裏面側凹部361に対してz方向における主面301側に繋がり且つz方向視において外方に突出する。主面側中間端面363は、主面301と庇部362との間に介在し且つ庇部362よりもz方向視において内方に位置する。主面側中間端面363は、厚さ方向視において裏面側凹部361と重なる。
【0079】
本実施形態においては、裏面側凹部361、庇部362および主面側中間端面363は、z方向視において第3リード3の第1リード1および第2リード2側の端縁、x方向両側の端縁およびy方向において第1リード1および第2リード2とは反対側の端縁であって複数の端子状延出部312の間の部位に設けられている。
【0080】
図3に示すように、第3リード3は、複数の主面側凹部371を有する。主面側凹部371は、z方向視において半導体素子4を避けた位置に設けられ且つ主面301から厚さ方向に凹んでいる。本実施形態においては、複数の主面側凹部371は、複数の端子状延出部312および2つの側方延出部313の根本部分に設けられている。
【0081】
図11に示すように、第3リード3の主面301は、第3主面めっき層391によって覆われている。図示された例においては、主面301のうち複数の端子状延出部312に属する部分を除く部分に第3主面めっき層391が設けられている。第3主面めっき層391は、たとえばAgめっき層からなる。
【0082】
裏面302は、第3裏面めっき層392によって覆われている。第3リード3の側面のうち複数の端子状延出部312の先端面および2つの側方延出部313の先端面を除く部分は、第3側面めっき層393によって覆われている。第3裏面めっき層392と第3側面めっき層393とは、同一の材質からなり且つ互いに繋がっている。第3主面めっき層391と第3裏面めっき層392および第3側面めっき層393とは、互いに異なる材質からなる。第3裏面めっき層392および第3側面めっき層393は、たとえばSnめっき層からなる。
【0083】
半導体素子4は、半導体装置A1の電気的機能を発揮する要素である。半導体素子4の種類は特に限定されず、
図3および
図6に示すように、本実施形態においては、半導体素子4は、トランジスタとして構成されている。半導体素子4の素子本体40、第1電極41、第2電極42および第3電極43を有する。
【0084】
第1電極41および第2電極42は、素子本体40のうち主面301と同じ側を向く面に設けられている。第3電極43は、素子本体40のうち裏面302と同じ側を向く面に設けられている。本実施形態においては、第1電極41は、ゲート電極であり、第2電極42は、ソース電極であり、第3電極43は、ドレイン電極である。
【0085】
半導体装置A1は、第1ワイヤ51および複数の第2ワイヤ52を有する。第1ワイヤ51は、第1電極41と第1リード1の第1ワイヤボンディング部111とに接続されている。複数の第2ワイヤ52は、第2電極42と第2リード2の第2ワイヤボンディング部211とに接続されている。
【0086】
第3電極43は、導電性接合材49を介して第3リード3の素子ボンディング部311に搭載されている。より具体的には、導電性接合材49は、第3電極43と素子ボンディング部311の主面301に設けられた第3主面めっき層391とを接合している。
【0087】
封止樹脂6は、第1リード1、第2リード2および第3リード3の一部ずつと、半導体素子4と、第1ワイヤ51と、複数の第2ワイヤ52とを覆っている。封止樹脂6は、たとえば黒色のエポキシ樹脂からなる。
【0088】
図1、
図2および
図6に示すように、封止樹脂6は、封止樹脂主面61、封止樹脂裏面62および封止樹脂側面63を有する。封止樹脂主面61と封止樹脂裏面62とは、z方向において反対側を向いている。封止樹脂主面61は、主面101、主面201および主面301と同じ側を向く。封止樹脂裏面62は、裏面102、裏面202および裏面302と同じ側を向く。封止樹脂側面63は、封止樹脂主面61および封止樹脂裏面62に繋がっており、z方向に対して若干傾斜している。
【0089】
外方裏面実装部150、外方裏面実装部250、2つの内方裏面実装部260および素子側裏面実装部350は、いずれも封止樹脂6から露出している。また、外方裏面実装部150、外方裏面実装部250、2つの内方裏面実装部260および素子側裏面実装部350は、封止樹脂6の封止樹脂裏面62と面一である。
【0090】
図14は、半導体装置A1の製造に用いられるリードフレーム10を示している。リードフレーム10は、上述した第1リード1、第2リード2および第3リード3となる部位を有する金属板材料である。
【0091】
リードフレーム10のうち主面101、主面201および主面301となるべき部位の所定領域には、第1主面めっき層191、第2主面めっき層291および第3主面めっき層391となるAgめっき層が設けられている。リードフレーム10のうち裏面102、裏面202および裏面302となるべき部位の全面には、第1裏面めっき層192、第2裏面めっき層292および第3裏面めっき層392となるSnめっき層が設けられている。リードフレーム10のうちz方向に沿う側面には、第1側面めっき層193、第2側面めっき層293および第3側面めっき層393となるSnめっき層が設けられている。
【0092】
図15に示すように、リードフレーム10に半導体素子4を搭載する。次いで、第1ワイヤ51および複数の第2ワイヤ52をボンディングする。次いで、封止樹脂6を形成する。そして、切断線81、切断線82および切断線83に沿って、リードフレーム10を切断する。この切断によって形成される第1端子部112の第1先端面121、第2外方端子部212の第2先端面221、端子状延出部312の先端面および側方延出部313の先端面は、リードフレーム10の切断面からなり、第1側面めっき層193、第2側面めっき層293および第3側面めっき層393は設けられない面となる。
【0093】
次に、半導体装置A1の作用について説明する。
【0094】
本実施形態によれば、外方裏面実装部150および外方裏面実装部250は、x方向において最外方に位置している。外方裏面実装部150および外方裏面実装部250の面積は、x方向内方に位置する内方裏面実装部260よりも大である。発明者らの研究によると、回路基板91等にはんだ92によって実装した半導体装置A1を低温状態と高温状態とに交互に晒す耐久試験を行った場合、x方向最外方に位置するはんだ92により大きな応力が生じることが判明した。半導体装置A1によれば、最外方に位置する外方裏面実装部150および外方裏面実装部250の面積が相対的に大であることにより、応力によって亀裂等が生じることを抑制することが可能である。したがって、半導体装置A1の実装強度を高めることができる。
【0095】
半導体装置A1においては、x方向両側に外方裏面実装部150と外方裏面実装部250とを設けている。これにより、x方向両側のはんだ92の亀裂発生をバランスよく抑制することができる。
【0096】
図16は、半導体装置A1と比較例としての半導体装置との亀裂進展試験結果を示している。本試験は、はんだによって回路基板等に実装された半導体装置を、低温状態(-55度)と高温状態(150度)とに設定することを1サイクルとして、複数サイクルの温度変化を与えた場合に、はんだに生じる亀裂の進展度合いを測定したものである。横軸は、実施した温度サイクル数であり、縦軸は、完全にはんだが剥離してしまう状態を100%とした場合の亀裂進展率である。比較例は、全ての裏面実装部が、内方裏面実装部260と同様の構成とされており、大小の相違がないものである。すなわち、面積比R1が1.0である例に相当する。同図に示すように、比較例においては、1000サイクルで亀裂進展率が53%であり、1765サイクルで亀裂進展率が100%に到達した。一方、半導体装置A1の外方裏面実装部150および外方裏面実装部250において、1000サイクルで亀裂進展率が18%であり、2000サイクルで59%であった。そして、3900サイクルで亀裂進展率が100%に到達した。このように、半導体装置A1は、比較例に対して、はんだの亀裂進展を明瞭に抑制可能である。亀裂進展率が100%に到達するサイクル数の下限としは、3000サイクルが好ましく、この場合、面積比R1は、1.7であった。また、面積比R1および寸法比R2が2.5を超えると、半導体装置A1における外方裏面実装部150および外方裏面実装部250の専有面積が過大となり、裏面実装部のレイアウトがいびつなものとなってしまう。
【0097】
以上より、内方裏面実装部260の面積を1とした場合の外方裏面実装部150および外方裏面実装部250の面積の面積比R1が、1.7~2.5であることは、外方裏面実装部150および外方裏面実装部250が極端に大きくなることにより半導体装置A1が大型化することを回避しつつ、はんだ92の亀裂発生を抑制するのに好ましい。
【0098】
内方裏面実装部260のx方向寸法を1とした場合の外方裏面実装部150および外方裏面実装部250のx方向寸法の寸法比R2が、1.7~2.5であることは、面積比R1を上述した範囲としつつ、外方裏面実装部150および外方裏面実装部250がy方向に極端に大きくなってしまうことを抑制することができる。本実施形態においては、外方裏面実装部150および外方裏面実装部250と内方裏面実装部260とのy方向寸法が同一であり、外方裏面実装部150および外方裏面実装部250は、内方裏面実装部260に対してy方向に突出する構成とはなっていない。
【0099】
上述した面積比R1と寸法比R2とを実現する意図により、面積比R1を1とした場合の寸法比R2の比R3は、0.68~1.47であることが好ましい。
【0100】
図4および
図7に示すように、第1端子部112には、2つの第1先端面121および第1凹端面122が設けられている。第1先端面121は、
図15に示す工程において切断された面によって構成されているため、第1リード1が露出している。一方、第1凹端面122は、第1側面めっき層193によって覆われている。第1側面めっき層193は、たとえばSnめっき層からなり、第1リード1よりもはんだ92に対する濡れ性が優れている。このため、外方裏面実装部150をはんだ92によって回路基板91に接合する場合、はんだ92が第1側面めっき層193(第1凹端面122)も覆う形態となる。これにより、実装強度をさらに高めることができる。また、第1側面めっき層193は、第1裏面めっき層192と繋がる同一のめっき層によって構成されている。これにより、外方裏面実装部150(第1裏面めっき層192)と第1凹端面122(第1側面めっき層193)とにはんだ92が一体的に付着する形態となる。これは、実装強度の向上に好適である。
【0101】
図5および
図9に示すように、第2外方端子部212には、2つの第2先端面221および第2凹端面222が設けられている。第2先端面221は、
図15に示す工程において切断された面によって構成されているため、第2リード2が露出している。一方、第2凹端面222は、第2側面めっき層293によって覆われている。第2側面めっき層293は、たとえばSnめっき層からなり、第2リード2よりもはんだ92に対する濡れ性が優れている。このため、外方裏面実装部250をはんだ92によって回路基板91に接合する場合、はんだ92が第2側面めっき層293(第2凹端面222)も覆う形態となる。これにより、実装強度をさらに高めることができる。また、第2側面めっき層293は、第2裏面めっき層292と繋がる同一のめっき層によって構成されている。これにより、外方裏面実装部250(第2裏面めっき層292)と第2凹端面222(第2側面めっき層293)とにはんだ92が一体的に付着する形態となる。これは、実装強度の向上に好適である。
【0102】
ゲート電極である第1電極41に対して、ソース電極である第2電極42には、より大きい電流が流れる。この大きな電流が流れる第2リード2に第2外方端子部212と2つの第2内方端子部213とを設けることは、低抵抗化に好ましい。
【0103】
第1凹端側面123および第1貫通孔130を設けることにより、第1リード1と封止樹脂6との接合強度を高めることができる。第2凹端側面223と第2貫通孔230とを設けることにより、第2リード2と封止樹脂6との接合強度を高めることができる。裏面側凹部361、庇部362、主面側中間端面363および主面側凹部371を設けることにより、第3リード3と封止樹脂6との接合強度を高めることができる。
【0104】
図17および
図18は、半導体装置A1の変形例を示している。なお、これらの図において、上述した例と同一または類似の要素には、上述した例と同一の符号を付している。
【0105】
図17に示す変形例においては、第1端子部112が1つの第1先端面121と2つの第1凹端面122とを有している。第1先端面121は、x方向において2つの第1凹端面122の間に配置されている。このような第1端子部112は、図中想像線で示されたリードフレーム10を用いることにより形成される。本変形例においても、2つの第1凹端面122は、第1側面めっき層193に覆われている。このような変形例によっても、半導体装置A1の実装強度を高めることができる。
【0106】
図18に示す変形例においては、第1端子部112が1つの第1先端面121と1つの第1凹端面122とを有している。第1先端面121と第1凹端面122とは、x方向に並んでいる。このような第1端子部112は、図中想像線で示されたリードフレーム10を用いることにより形成される。本変形例においても、第1凹端面122は、第1側面めっき層193に覆われている。このような変形例によっても、半導体装置A1の実装強度を高めることができる。
【0107】
なお、
図17および
図18に示す変形例と同様の形態を、第2リード2の第2ワイヤボンディング部211の第2先端面221および第2凹端面222に適用可能であることはもちろんである。
【0108】
本発明に係る半導体装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る半導体装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0109】
A1 :半導体装置1
1 :第1リード
2 :第2リード
3 :第3リード
4 :半導体素子
6 :封止樹脂
10 :リードフレーム
40 :素子本体
41 :第1電極
42 :第2電極
43 :第3電極
49 :導電性接合材
51 :第1ワイヤ
52 :第2ワイヤ
61 :封止樹脂主面
62 :封止樹脂裏面
63 :封止樹脂側面
81 :切断線
82 :切断線
83 :切断線
91 :回路基板
92 :はんだ
101 :主面
102 :裏面
111 :第1ワイヤボンディング部
112 :第1端子部
115 :第1屈曲部
121 :第1先端面
122 :第1凹端面
123 :第1凹端側面
130 :第1貫通孔
150 :外方裏面実装部
151 :先端縁
152 :凹端縁
191 :第1主面めっき層
192 :第1裏面めっき層
193 :第1側面めっき層
201 :主面
202 :裏面
211 :第2ワイヤボンディング部
212 :第2外方端子部
213 :第2内方端子部
215 :第2屈曲部
221 :第2先端面
222 :第2凹端面
223 :第2凹端側面
230 :第2貫通孔
250 :外方裏面実装部
251 :第2先端縁
252 :第2凹端縁
260 :内方裏面実装部
291 :第2主面めっき層
292 :第2裏面めっき層
293 :第2側面めっき層
301 :主面
302 :裏面
311 :素子ボンディング部
312 :端子状延出部
313 :側方延出部
350 :素子側裏面実装部
361 :裏面側凹部
362 :庇部
363 :主面側中間端面
371 :主面側凹部
391 :第3主面めっき層
392 :第3裏面めっき層
393 :第3側面めっき層
E1 :面積
E2 :面積
L1 :寸法
L2 :寸法
R1 :面積比
R2 :寸法比
R3 :比
S1 :寸法
S2 :寸法