(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】画像形成装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20231115BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20231115BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231115BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
H04N1/00 350
H04N1/00 E
B41J29/42 F
B41J29/38 203
G06F3/16 600
(21)【出願番号】P 2022108138
(22)【出願日】2022-07-05
(62)【分割の表示】P 2018152001の分割
【原出願日】2018-08-10
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】森岡 宏仁
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-052391(JP,A)
【文献】特開2005-102084(JP,A)
【文献】特開2003-058360(JP,A)
【文献】特開2006-011026(JP,A)
【文献】特開2016-087819(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/42
B41J 29/38
G06F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイおよび音声を出力する出力手段を備える画像形成装置であって、
前記画像形成装置に係る情報を示す複数のメッセージの中から、出力用の音声メッセージを指定する指定手段と、
前記指定手段で指定された出力用の音声メッセージを出力する際の出力音量値を設定する音量設定手段と、
ユーザが認証されているログインユーザかどうかを判断する判断手段と、を備え、
前記判断手段によって前記ユーザがログインユーザであると判断された場合、前記出力手段は、前記出力用の音声メッセージが、前記ログインユーザに係る音声メッセージである場合は、前記出力用の音声メッセージを前記音量設定手段によって設定された出力音量値で出力し、前記出力用の音声メッセージが、前記ログインユーザとは異なるユーザに係る音声メッセージである場合は、前記出力用の音声メッセージの出力を行わず、前記出力用の音声メッセージに係るメッセージを前記ディスプレイに表示する、画像形成装置。
【請求項2】
前記出力用の音声メッセージが、前記ログインユーザのジョブに係る音声メッセージである場合、前記音量設定手段は前記
出力音量値を通常の音量よりも小さい音量に
なるように設定する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記出力用の音声メッセージが、前記ログインユーザが利用しようとする機能とは異なる機能に係る音声メッセージである場合、前記音量設定手段は前記
出力音量値を通常の音量よりも小さい音量に
なるように設定する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ログインユーザが、前記
出力音量値がどのように設定されるか予め決められているユーザである場合、前記出力手段は、前記出力用の音声メッセージの内容にかかわらず、前記予め決められている
出力音量値で前記出力用の音声メッセージを出力する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記出力用の音声メッセージが、緊急性の高い内容の音声メッセージである場合、前記音量設定手段は前記
出力音量値を小さい音量に
なるようには設定しない、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
ディスプレイおよび音声を出力する出力手段を備える画像形成装置における制御方法であって、
前記画像形成装置に係る情報を示す複数のメッセージの中から、出力用の音声メッセージを指定し、
指定された出力用の音声メッセージを出力する際の出力音量値を設定し、
ユーザが認証されているログインユーザかどうかを判断し、
前記ユーザがログインユーザであると判断された場合、前記出力用の音声メッセージが、前記ログインユーザに係る音声メッセージである場合は、前記出力用の音声メッセージを設定された出力音量値で出力し、前記出力用の音声メッセージが、前記ログインユーザとは異なるユーザに係る音声メッセージである場合は、前記出力用の音声メッセージの出力を行わず、前記出力用の音声メッセージに係るメッセージを前記ディスプレイに表示する、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置および制御方法に関し、特にたとえば、音声による通知を行う、画像形成装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の画像形成装置の一例が特許文献1に開示される。この特許文献1には、プリンタ装置の状態を音声で通知する音声ガイダンス方法において、通知される音声メッセージの内容、具体的には、当該メッセージの重要度、緊急度等に応じて、再生される音声の音量を変化させることが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、背景技術の画像形成装置では、音声の音量が小さいと、装置から離れた場所に居る人には聞こえないという問題があり、音声の音量が大きいと、装置の近くに居る人にとっては、音量が大きすぎて耳障りになるという問題がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、ログインしている登録ユーザの場合に適切な音量で音声による通知を行うことができる、画像形成装置、制御プログラムおよび制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の実施例は、ディスプレイおよび音声を出力する出力手段を備える画像形成装置であって、画像形成装置に係る情報を示す複数のメッセージの中から、出力用の音声メッセージを指定する指定手段と、指定手段で指定された出力用の音声メッセージを出力する際の出力音量値を設定する音量設定手段と、ユーザが認証されているログインユーザかどうかを判断する判断手段と、を備え、判断手段によってユーザがログインユーザであると判断された場合、出力手段は、出力用の音声メッセージが、ログインユーザに係る音声メッセージである場合は、出力用の音声メッセージを音量設定手段によって設定された出力音量値で出力し、出力用の音声メッセージが、ログインユーザとは異なるユーザに係る音声メッセージである場合は、出力用の音声メッセージの出力を行わず、出力用の音声メッセージに係るメッセージをディスプレイに表示する、画像形成装置である。
【0008】
第1の実施例では、画像形成装置(10:実施例において相当する部分を示す参照符号。ただし、限定する意味ではない。以下、同様。)は、
ディスプレイ(50)および音声を出力する出力手段(70、80)を備える。指定手段(70、S3)は、画像形成装置に係る情報を示す複数のメッセージの中から、出力用の音声メッセージを指定する。たとえば、音量テーブル(
図7)では、音声メッセージ毎に音量値(通常の音量値)が予め設定されている。音量設定手段(70、S5、S33)は、たとえばその音量テーブルを参照して、指定手段で指定された出力用の音声メッセージの内容に応じて、当該出力用のメッセージを音声で出力する際の
出力音量値を設定する。判断手段(70、S131)は、ユーザが認証されているログインユーザかどうかを判断す
る。判断手段によってユーザがログインユーザであると判断された場合、出力手段は、音量設定手段によって設定された
出力音量値で出力用の音声メッセージを出力する。
ただし、出力用の音声メッセージが、ログインユーザとは異なるユーザに係る音声メッセージである場合は、出力手段は、出力用の音声メッセージを出力せず、出力用の音声メッセージに係るメッセージをディスプレイに表示する。
【0009】
第1の実施例によれば、ユーザがログインしているログインユーザであり、出力用の音声メッセージがログインユーザに係る音声メッセージであるときに、適切な音量で音声による通知を行うことができ、さらに出力用の音声メッセージがログインユーザとは異なるユーザに係る出力用の音声メッセージであるとき、たとえば出力音声値をゼロにすることによって出力用の音声メッセージを出力せず、出力用の音声メッセージに係るメッセージをディスプレイに表示するので、ログインユーザは、自身に関係ない音声メッセージを聞くことがないが、ディスプレイに表示されたメッセージによって、当該メッセージを認識できる。
【0011】
第2の実施例は、第1の実施例に従属する画像形成装置であって、出力用の音声メッセージが、ログインユーザのジョブに係る音声メッセージである場合、音量設定手段は出力音量値を通常の音量よりも小さい音量になるように設定する。
【0012】
第3の実施例は、第1の実施例に従属する画像形成装置であって、出力用の音声メッセージが、ログインユーザが利用しようとする機能とは異なる機能に係る音声メッセージである場合、音量設定手段は出力音量値を通常の音量よりも小さい音量になるように設定する。
【0013】
第4の実施例は、第1の実施例に従属する画像形成装置であって、ログインユーザが、出力音量値がどのように設定されるか予め決められているユーザである場合、出力手段は、出力用の音声メッセージの内容にかかわらず、予め決められている出力音量値で出力用の音声メッセージを出力する。
【0014】
第5の実施例は、第1の実施例に従属する画像形成装置であって、出力用の音声メッセージが、緊急性の高い内容の音声メッセージである場合、音量設定手段は出力音量値を小さい音量になるようには設定しない。
【0015】
第6の実施例は、ディスプレイおよび音声を出力する出力手段を備える画像形成装置における制御方法であって、画像形成装置に係る情報を示す複数のメッセージの中から、出力用の音声メッセージを指定し、指定された出力用の音声メッセージを出力する際の出力音量値を設定し、ユーザが認証されているログインユーザかどうかを判断し、ユーザがログインユーザであると判断された場合、出力用の音声メッセージが、ログインユーザに係る音声メッセージである場合は、出力用の音声メッセージを設定された出力音量値で出力し、出力用の音声メッセージが、ログインユーザとは異なるユーザに係る音声メッセージである場合は、出力用の音声メッセージの出力を行わず、出力用の音声メッセージに係るメッセージをディスプレイに表示する、制御方法である。
【0016】
第7の実施例においても、それぞれ、第1の実施例と同様に、ユーザがログインしている登録ユーザであるときに、適切な音量で音声による通知を行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、ユーザがログインしている登録ユーザであるときに、適切な音量で音声による通知を行うことができる。
【0018】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1はこの発明の一実施例である画像形成装置の外観構成の一例を斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】
図2は
図1に示す画像形成装置の電気的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は
図1に示す画像形成装置に設けられる人検出センサの検出範囲の一例を示す図である。
【
図4】
図4は
図2に示すCPUに接続されるRAMのメモリマップの一例を示す図である。
【
図5】
図5は
図2に示すCPUの音声通知制御のフロー図である。
【
図6】
図6は
図2に示すCPUの音量設定制御のフロー図である。
【
図7】
図7は変形例における音量テーブルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は変形例における音量設定制御のフロー図である。
【
図9】
図9は第2実施例におけるCPUの音量設定制御のフロー図である。
【
図10】
図10は第3実施例におけるCPUの音量設定制御のフロー図である。
【
図11】
図11は第4実施例におけるCPUの音量設定制御のフロー図である。
【
図12】
図12は第5実施例におけるCPUの音量設定制御のフロー図である。
【
図13】
図13は第6実施例におけるCPUの音声通知制御のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は実施例の画像形成装置10の外観構成の一例を斜め上方から見た斜視図である。
図1を参照して、この発明の一実施例である画像形成装置10は、画像形成部12と画像読取部14との間に胴内排紙部16が形成される胴内排紙型の画像形成装置であって、画像読取部14の前面側に別ユニットとして設けられる操作ユニット18を備える。後述するように、画像形成装置10は、画像読取部14で読み取った画像データ等に基づいて、所定の用紙(記録媒体)に対して多色または単色の画像を形成し、画像形成された用紙を胴内排紙部16に排出する。この実施例では、画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)である。
【0021】
なお、この実施例では、ユーザの立ち位置に対向する面、つまり操作ユニット18が設けられる側の面を前面(正面)として画像形成装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定し、画像形成装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから画像形成装置10を見た状態を基準として規定する。
【0022】
先ず、画像形成装置10の基本構成について説明する。
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部12と、画像形成部12の上方に設けられる画像読取部14とを備える。
【0023】
画像形成部12の筐体は、右側上部に形成される第1連結筐体12aと奥側上部に形成される第2連結筐体12bとを含み、これら第1連結筐体12aおよび第2連結筐体12bによって画像読取部14が支持される。これにより、画像読取部14の下面側には、画像形成済みの用紙が収容される胴内空間である胴内排紙部16が形成される。この胴内排紙部16には、排紙口(図示せず)から排出される画像形成済みの用紙を受ける排紙トレイ26が設けられる。
【0024】
画像形成部12は、露光ユニット、現像器、感光体ドラム、帯電器、中間転写ベルト、転写ローラおよび定着ユニット等を備える。画像形成部12は、その下方に配置される給紙カセット20等から搬送される用紙に対して電子写真方式によって画像を形成する。すなわち、画像形成部12は、帯電器および露光ユニット等によって画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム上に形成し、現像器によって、感光体ドラム上の静電潜像をトナーにより顕像化する。また、感光体ドラム上に形成されたトナー像を中間転写ベルトおよび転写ローラ等によって用紙に転写し、用紙に転写されたトナー像を定着ユニットによって熱定着させる。その後、画像形成済みの用紙を第1連結筐体12aに形成される排紙口から胴内排紙部16(排紙トレイ26)に排出する。なお、用紙上に画像を形成するための画像データは、画像読取部14で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等である。
【0025】
画像読取部14は、透明材によって形成される原稿載置台を上面に有する筐体24を備える。この筐体24内には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等が設けられる。画像読取部14は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0026】
また、画像読取部14の上面には、奥側に配置されるヒンジ等を介して、原稿押えカバー30が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー30には、原稿載置トレイ32に載置された原稿を画像読取部14の画像読取位置に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)34が設けられる。
【0027】
さらに、画像読取部14の筐体24は、原稿押えカバー30の前面よりも前方に突出する筐体突出部24aを有する。つまり、筐体24の前端部は、原稿押えカバー30の前面よりも前方に突出する。そして、この画像読取部14の筐体24の前面側に、操作ユニット18が設けられる。
【0028】
さらに、第1連結筐体12aの前面に人検出センサ60が設けられる。人検出センサ60としては、焦電センサ(赤外線センサ)を用いて、周囲温度と温度差のあるものが検出範囲内で動いたときに、その温度変化を検出することによって、人の有無を検出する、人感センサを用いることができる。
【0029】
ただし、人検出センサ60を設ける位置は一例であり、筐体突出部24aの前面に設けるようにしてもよい。
【0030】
また、人検出センサ60としては、レーザまたは超音波を用いた距離センサ、または、CCDまたはCMOSを用いたデジタルカメラ(イメージセンサ)を用いることもできる。距離センサを用いる場合には、所定の検出範囲内の物体を距離の変化で検出することができ、イメージセンサを用いる場合には、所定の検出範囲内の物体の動きを画像の変化(動き)で検出することができる。
【0031】
さらに、他の例では、人検出センサ60として、画像形成装置10に接続された床センサ(圧力センサ)を用いることもできる。この場合には、画像形成装置10の周囲(画像形成装置10の近傍)に設定された人検出範囲A(
図3参照)に対応する床面の範囲(所定領域に相当)に床センサが設けられ、画像形成装置10(CPU70)は、床センサの出力に基づいて、人検出範囲Aの範囲内に人間(ユーザ)が存在するかどうかを判断する。
【0032】
また、図示は省略するが、画像形成装置10の所定位置には、画像形成装置10の各部位の動作を制御する制御部が設けられる。制御部は、後述する、CPU70、メモリ(74、88)および通信回路92等を備え、ユーザによる操作ユニット18への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位を制御し、画像形成装置10に種々の動作を実行させたり、通信可能に接続された機器との間でデータを送受信したりする。
【0033】
操作ユニット18は、操作装置または操作パネルなどとも呼ばれ、横長の矩形板状に形成される。この操作ユニット18は、その上面(操作パネル上面)をユーザが目視し易いように、前側下がりに傾斜して設けられる。ただし、操作ユニット18は、その上端部を軸に回動可能に画像読取部14の筐体に取り付けられる。
【0034】
操作ユニット18の上面には、ディスプレイ50、タッチパネル52およびホームボタン54が設けられる。ホームボタン54は、ディスプレイ50およびタッチパネル52の右方に設けられる。
【0035】
ホームボタン54は、静電容量方式のスイッチを用いたハードウェアキー(操作ボタン)である。ホームボタン54は、ディスプレイ50にホーム画面を表示するためのキーである。ただし、ホーム画面とは、メインメニューを表示する画面(基本画面)であり、コピー、プリント、ファクシミリおよびスキャンの各機能を選択するためのキーの画像および各機能および他の機能に関する詳細設定を行うための設定画面を表示するためのキーの画像が表示される。
【0036】
図2は
図1に示す画像形成装置10の電気的な構成の一例を示すブロック図である。ただし、本願発明に直接的に関係の無い一部のコンポーネントについては省略してある。
【0037】
図2に示すように、画像形成装置10はCPU70を含む。CPU70は、上述した、画像形成部12、画像読取部14、タッチパネル52および人検出センサ60に接続されるとともに、RAM74、オーディオIC78、表示制御回路84、操作ボタン86、HDD88、ROM90および通信回路92に接続される。また、オーディオIC78はスピーカ80に接続され、表示制御回路84はディスプレイ50に接続される。
【0038】
CPU70は、ROM90に記憶されたプログラムに従って、画像形成装置10の全体的な制御を司る。また、CPU70は、ROM90に記憶されたプログラムに従って、この実施例の報知制御処理を実行する。画像形成部12および画像読取部14は、上記のとおりであるため、重複した説明は省略する。
【0039】
ディスプレイ50は、液晶ディスプレイ(LCD)などの汎用のモニタである。ディスプレイ50としては、EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの他の汎用のモニタを用いることもできる。ディスプレイ50には、画像形成装置10が実行可能な各種のジョブから所望のジョブまたは動作モードを選択するための画面であるホーム画面、画像形成装置10が備える機能の使用/不使用を設定するとともに使用する機能の詳細な内容を設定するための設定画面、画像形成装置10を操作するための操作画面などの各種画面が表示される。また、各種画面には、画像形成装置10のステータス(動作状態)、各種設定や印刷指示などをユーザから受け付けるためのソフトウェアキーの画像、スキャンした画像(プレビュー画像)、外部のコンピュータおよび記憶媒体から受信(取得)した画像(入力画像)、および各種のメッセージ等が表示される。
【0040】
ただし、この実施例では、ジョブは、スキャン、コピー(原稿のスキャンを含む)、印刷、ファクスの送信および電子メールの送信などを意味する。
【0041】
タッチパネル52は、タッチパネル52のタッチ有効範囲内でのタッチ操作(タッチ入力)を検出して、そのタッチ入力の位置を示すタッチ座標データをCPU70に出力する。タッチパネル52は、汎用のタッチパネルであり、静電容量方式、電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式など、任意の方式のものを用いることができる。この実施例では、タッチパネル52としては、静電容量方式のタッチパネルが用いられ、ディスプレイ50の表示面上にタッチパネル52が設けられる。
【0042】
なお、この実施例では、ディスプレイ50上にタッチパネル52を設けるようにしてあるが、これらが一体的に形成されたタッチパネルディスプレイを設けるようにしてもよい。
【0043】
人検出センサ60は、上述したように、赤外線センサを用いた人感センサであり、CPU70は、人検出センサ60の出力に基づいて所定の範囲内に存在する物体(人間、ユーザ)の有無を検出する。
【0044】
図3は、画像形成装置10の周囲に設定される人検出範囲Aを説明するための平面図である。
図3に示すように、人検出範囲Aは、画像形成装置10の前方であり、画像形成装置10を使用すると考えられる人(ユーザ)の存在を検出可能な範囲に設定される。
図3に示す例では、画像形成装置10(操作ユニット18)の前方に、扇形状の人検出範囲Aが設定される。扇の半径の長さLは、画像形成装置10が設置される環境に応じて適宜設定可能であるが、最大値は、人検出センサ60の最大検出距離によって制限される。扇の中心角θもまた、画像形成装置10が設置される環境に応じて適宜設定可能であるが、最大値は、人検出センサ60の水平方向における最大視野角によって制限される。
【0045】
なお、図示は省略するが、人検出センサ60によってユーザのような人間を検出するため、人検出センサ60の垂直方向における中心角は、人検出範囲Aにおいて床および天井を検出しない大きさに設定されればよい。
【0046】
図2に戻って、RAM74は、CPU70のワーク領域およびバッファ領域として用いられる。
【0047】
オーディオIC78は、CPU70の指示に従って、音声データを再生し、再生した音声をスピーカ80から出力する。したがって、音声データに対応する音または音声(合成音声)がスピーカ80から出力される。具体的には、画像形成装置10の状況に応じて、画像形成装置10の使用に係る各種情報に対応した所定の内容の音声(音声メッセージ)がスピーカ80から出力される。たとえば、画像形成装置10の使用に係る各種情報とは、印刷が完了した旨、ファクスを受信した旨、原稿載置台に原稿が残っている旨、原稿載置トレイ32に載置された原稿のサイズを検知した旨、トナーが無くなった旨および用紙が無くなった旨についての情報であり、これらの情報をユーザに通知するための音声メッセージがスピーカ80から出力される。
【0048】
表示制御回路84は、GPUおよびVRAMなどを含み、CPU70の指示の下、GPUは、RAM74に記憶された画像生成データ304b(
図4参照)を用いてディスプレイ50に種々の画面を表示するための表示画像データをVRAMに生成し、生成した表示画像データをディスプレイ50に出力する。詳細な説明は省略するが、画像生成データは、ポリゴンデータおよびテクスチャデータなどのデータを含む。
【0049】
操作ボタン86は、ホームボタン54などの各種のキーないしボタンを含む。HDD88は、画像形成装置10のメインメモリであり、各種のデータを記憶する。ROM90は、CPU70によって実行されるプログラムおよび画像形成装置10の固有の情報(モデル名、シリアル番号)を記憶する。
【0050】
通信回路92は、モデムおよびNIC(Network Interface Card)を含む。モデムは、ファクスの送受信を行うための通信回路であり、公衆電話回線に接続される。NICはネットワーク(LANおよびインターネット)を介して他の電子機器と通信するための通信回路であり、たとえばLANに接続される。
【0051】
なお、
図2に示す画像形成装置10の電気的な構成は単なる一例であり、これに限定される必要はない。たとえば、画像形成装置10には、紙詰まりを検出するためのセンサ、給紙カセット20等における用紙切れを検出するためのセンサ等が設けられる。
【0052】
このような構成の画像形成装置では、上述したように、画像形成装置に係る情報が音声でユーザに通知されることがある。このような画像形成装置において、通知される情報が複数あり、それらに重要度や緊急度に関して差がある場合には、通知される情報の重要度、緊急度に応じて、再生される音声の音量を変化させるものがある。
【0053】
しかしながら、従来の画像形成装置では、再生される音声の音量が小さいと、装置から離れた場所に居る人には聞こえないという問題があり、再生される音声の音量が大きいと、装置の近くに居る人にとっては、音量が大きすぎて耳障りになるという問題がある。
【0054】
そこで、本願発明の画像形成装置10では、音声メッセージの内容および画像形成装置10の周囲(人検出範囲Aの範囲内)に人が居るかどうかに応じて、音声メッセージ毎に設定された通常の音量値から、出力時の音量値が変更されるようにしてある。
[第1実施例]
以下、本実施例における音声メッセージを出力する際の音量値の設定方法について説明する。まず、画像形成装置10の状況に応じて、画像形成装置10で再生(出力)可能な音声メッセージのうち、画像形成装置10を使用する人に通知すべき情報に対応する出力用の音声メッセージが選択(指定)される。ただし、画像形成装置10を使用する人には、画像形成装置10の近傍に居る人、すなわち人検出範囲Aの範囲内に居る人だけでなく、人検出範囲Aの範囲外に居るが画像形成装置10を使用する可能性がある人も含まれる。なお、画像形成装置10を使用する可能性がある人とは、たとえば画像形成装置10が設置される部屋またはフロアに居る人を意味する。
【0055】
ただし、画像形成装置10で出力可能な音声メッセージのそれぞれには、通常の音量値(デフォルトの音量値)が設定される。また、各音声メッセージの通常の音量値は、音声メッセージの内容に応じて設定される。なお、音量値が大きければスピーカ80から出力される際の音量が大きくなり、音量値が小さければスピーカ80から出力される際の音量が小さくなる。
【0056】
たとえば、エラーを通知する音声メッセージおよびジョブの終了を通知する音声メッセージについては、通常の音量値として、比較的大きい値が設定される。具体的には、これらの音声メッセージの通常の音量値は、人検出範囲Aの範囲内に居る人だけでなく、人検出範囲Aの範囲外に居る人、すなわち装置から離れた場所に居る人でも音声メッセージを認識できる程度の値に設定される。
【0057】
一方、ユーザの操作に応答する音声メッセージについては、通常の音量値として、比較的小さい値が設定されている。すなわち、ユーザの操作に応答する音声メッセージの通常の音量値は、少なくとも、エラーを通知する音声メッセージ等の通常の音量値よりも小さい値が設定される。具体的には、人検出範囲Aの範囲外に存在する人が認識できなくても、人検出範囲Aの範囲内に居る人が音声メッセージを認識できる程度の値に設定される。
【0058】
そして、出力用の音声メッセージが指定されると、その出力用の音声メッセージに設定された通常の音量値が、その出力用の音声メッセージの出力時の音量値(出力音量値)として設定される。
【0059】
続いて、人検出センサ60の出力に応じて、画像形成装置10の周囲、すなわち人検出範囲Aの範囲内に人が存在すると判断される場合には、出力用の音声メッセージの内容に応じて出力音量値を変更するかどうかが判断される。
【0060】
たとえば、エラーを通知する音声メッセージのうち、用紙切れ、トナー切れおよび紙詰まり等の一般的なユーザでも対処可能なエラーを通知するための音声メッセージが出力用の音声メッセージとして選択された場合であって、かつ、人検出範囲Aの範囲内に人が居る場合には、出力音量値が、通常の音量値よりも小さい音量値に変更される。また、プリントジョブ等のジョブの終了を通知する音声メッセージが出力用の音声メッセージとして選択された場合であって、かつ、人検出範囲Aの範囲内に人が居る場合には、出力音量値が、通常の音量値よりも小さい音量値に変更される。以上のような内容の音声メッセージでは、その音声メッセージの重要度、緊急度の観点から、人検出範囲Aの範囲内に人が居ない場合には、画像形成装置10から離れた場所(人検出範囲Aの範囲外)にも音声メッセージが届くようにするべきであるが、人検出範囲Aの範囲内に人が居る場合には、その人が当該音声メッセージの内容を認識できれば充分だからである。
【0061】
一方、エラーを通知する音声メッセージのうち、機密性の高い情報を含む媒体、たとえば原稿、印刷済の用紙、USBメモリ等の記憶媒体等の取り忘れを通知するための音声メッセージ等の緊急性の高い内容の音声メッセージが出力用の音声メッセージとして選択された場合には、人検出範囲Aの範囲内に人が居る場合であっても、出力音量値が小さい音量値に変更されない。このような内容の音声メッセージでは、通知対象が人検出範囲Aの範囲内に居る人とは限られず、また、セキュリティ上の観点からも速やかに、かつ人検出範囲Aの範囲外にも通知するべきであるので、常に大きな音量で音声メッセージを出力する必要があるからである。
【0062】
また、ユーザの操作に応答する音声メッセージが出力用の音声メッセージとして選択された場合には、人検出範囲Aの範囲内に人が居る場合であっても、出力音量値が変更されない。上述したように、ユーザの操作に応答する音声メッセージ等については、通常の音量値として比較的小さい値が設定されている。この場合の音声メッセージの対象は、画像形成装置10を操作している人、すなわち人検出範囲Aの範囲内に居る人であり、その人が音声メッセージを認識できれば良く、他の人に音声メッセージを伝える必要が無い。したがって、ユーザの操作に応答する音声メッセージ等については、出力音量値を変更する必要が無い。
【0063】
以上のように、人検出範囲Aの範囲内に人が居ない場合、または人検出範囲Aの範囲内に人が居る場合であっても、出力音量値を変更しないと判断された場合には、通常の音量値に応じて設定された出力音量値に応じた音量で、出力用の音声メッセージがスピーカ80から出力される。
【0064】
一方、出力音量値を変更すると判断された場合には、出力用の音声メッセージの内容に応じて、出力音量値が変更される。そして、変更された出力音量値に応じた音量で、出力用の音声メッセージがスピーカ80から出力される。
【0065】
また、図示は省略するが、出力用の音声メッセージがスピーカ80から出力されるときに、出力用の音声メッセージが示す情報に対応する内容のメッセージがディスプレイ50に表示される。したがって、人検出範囲Aの範囲内に居る人、特に画像形成装置10を操作している人は、ディスプレイ50に表示されたメッセージを見ることによって、出力用の音声メッセージが示す画像形成装置10に係る情報を視覚的に認識することができる。
【0066】
画像形成装置10の上記のような動作は、画像形成装置10のCPU70がRAM74に記憶された情報処理プログラムを実行することによって実現される。具体的な処理については、後でフロー図を用いて説明する。
【0067】
図4は
図2に示したRAM74のメモリマップ300の一例を示す図である。RAM74は、プログラム記憶領域302およびデータ記憶領域304を含む。プログラム記憶領域302は、CPU70によって実行される情報処理プログラムを記憶し、情報処理プログラムは、操作検出プログラム302a、表示プログラム302b、人検出プログラム302c、音声通知プログラム302dおよび音量設定プログラム302eなどを含む。
【0068】
操作検出プログラム302aは、操作ボタン86の操作に従って入力される操作入力データを検出し、データ記憶領域304に記憶するためのプログラムである。
【0069】
表示プログラム302bは、ホーム画面などの各種の画面に対応する表示画像データを生成し、生成した表示画像データをディスプレイ50に出力(表示)するためのプログラムである。
【0070】
人検出プログラム302cは、画像形成装置10の周囲に設定された人検出範囲Aの範囲内に存在する物体(人間、ユーザ)を検出するためのプログラムである。
【0071】
音声通知プログラム302dは、画像形成装置10の状況に応じて、画像形成装置10の使用に係る各種情報に対応した出力用の音声メッセージを指定し、当該出力用の音声メッセージをスピーカ80から出力するためのプログラムである。また、音声通知プログラム302dは、後述する出力音量値データ304eが示す出力音量値に応じた音量で、出力用の音声メッセージをスピーカ80から出力するためのプログラムでもある。
【0072】
音量設定プログラム302eは、音声通知プログラム302dに従って音声メッセージが出力される際の出力音量値を設定するためのプログラムであり、通常音量値設定プログラム、第1判断プログラムおよび音量値変更プログラムを含む。通常音量値設定プログラムは、出力用の音声メッセージが指定された場合に、通常音量値データ304dを読み出して、出力用の音声メッセージに設定された通常の音量値を取得し、当該通常の音量値を出力音量値として設定し、当該出力音量値に対応する出力音量値データ304eを生成するためのプログラムである。第1判断プログラムは、通常音量値設定プログラムに従って出力音量値が設定された場合に、人検出範囲Aの範囲内に人が居る場合には、出力音量値を変更するかどうかを判断するためのプログラムである。音量値変更プログラムは、第1判断プログラムに従って出力音量値を変更すると判断された場合に、出力用の音声メッセージの内容に応じて、出力音量値を変更し、出力音量値データ304eを変更(更新)するためのプログラムである。
【0073】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域302には、CPU70で各種の機能を実行するためのプログラムなども記憶される。
【0074】
RAM74のデータ記憶領域304には、操作入力データ304a、画像生成データ304b、音声データ304c、通常音量値データ304dおよび出力音量値データ304eなどが記憶される。
【0075】
操作入力データ304aは、操作検出プログラム302aに従って検出(取得)されたタッチ座標データまたは/および操作データである。検出されたタッチ座標データまたは/および操作データは、時系列に従ってデータ記憶領域304に記憶される。
【0076】
画像生成データ304bは、ディスプレイ50に表示される各種の画面についての表示画像データを生成するためのポリゴンデータおよびテクスチャデータなどを含む画像データである。
【0077】
音声データ304cは、画像形成装置10の使用に係る各種情報に対応する音声メッセージの音声(合成音声)についてのデータである。音声データ304cは、たとえば、音声通知制御を開始するときに、HDD88から読み出されてRAM74のデータ記憶領域304に記憶される。
【0078】
通常音量値データ304dは、画像形成装置10で出力可能な音声メッセージ毎に設定された通常の音量値についてのデータである。
【0079】
出力音量値データ304eは、音量設定プログラム302eに従って設定される出力音量値についてのデータである。ただし、音量値変更プログラムに従って出力音量値が変更されている場合には、出力音量値データ304eは、変更後の出力音量値についてのデータである。
【0080】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域304には、画像形成装置10の全体制御処理の実行に必要な他のデータが記憶されたり、全体制御処理の実行に必要なタイマ(カウンタ)およびレジスタが設けられたりする。また、データ記憶領域304には、画像形成装置10で出力可能な音声メッセージ毎に、出力される条件が記述された条件テーブルも記憶される。この画像形成装置10では、条件テーブルに記述された条件に従って、音声通知を行うかどうかが判断される。
【0081】
図5は
図2に示したCPU70の音声通知制御のフロー図の一例である。
図5に示すように、CPU70は、音声通知制御を開始すると、ステップS1で、音声通知を行うかどうかを判断する。ここでは、CPU70は、画像形成装置10の状況に応じて、所定の音声メッセージを、画像形成装置10を使用する人に通知するかどうかを判断する。
【0082】
ステップS1で“NO”であれば、つまり、音声通知を行わないと判断した場合には、ステップS1に戻る。一方、ステップS1で“YES”であれば、つまり、音声通知を行うと判断した場合は、ステップS3で、出力用の音声メッセージを指定して、ステップS5で、音量設定制御を行って、ステップS7で、出力用の音声メッセージを音量設定制御で設定された出力音量値に対応する音量でスピーカ80から出力するとともに、タイマをスタートする。図示は省略したが、タイマ(カウンタ)はRAM74に設けられる。
【0083】
続いて、ステップS9で、所定時間(たとえば、1分)を経過したかどうかを判断する。ステップS9で“NO”であれば、つまり、所定時間を経過していなければ、ステップS7に戻る。ステップS9で“YES”であれば、つまり、所定時間を経過していれば、ステップS11で、出力用の音声メッセージの出力を停止するとともに、タイマをリセットして、ステップS1に戻る。なお、音声メッセージの再生時間は数秒であるため、ステップS7およびS9の処理によって、所定時間を経過するまで、音声メッセージが繰り返し出力される。
【0084】
図6は、CPU70の音量設定制御のフロー図の一例である。たとえば、この音量設定制御のフローは、音声通知制御のステップS5において実行されるサブルーチンである。
【0085】
図6に示すように、CPU70は、音量設定制御を開始すると、ステップS31で、出力用の音声メッセージの通常の音量値を取得する。ここでは、RAM74に記憶された通常音量値データ304dを読み出して、出力用の音声メッセージの通常の音量値を取得する。
【0086】
続いて、ステップS33で、出力用の音声メッセージの通常の音量値を、出力音量値として設定して、ステップS35で、人間(物体)を検出したかどうかを判断する。ここでは、CPU70は、人検出センサ60の出力に基づいて人検出範囲Aの範囲内に人間が存在するかどうかを判断する。
【0087】
ステップS35で“NO”であれば、つまり、人間を検出していなければ、音声通知制御にリターンする。一方、ステップS35で“YES”であれば、つまり、人間を検出すれば、ステップS37で、出力音量値を変更するかどうかを判断する。ここでは、出力用の音声メッセージの内容に応じて出力音量値を変更するかどうかを判断する。
【0088】
ステップS37で“NO”であれば、つまり、出力音量値を変更しないと判断された場合は、音声通知制御にリターンする。ステップS35で“NO”の場合およびステップS37で“NO”の場合には、音声通知制御のステップS7では、ステップS33で設定された出力音量値に応じた音量で、出力用の音声メッセージがスピーカ80から出力される。
【0089】
一方、ステップS37で“YES”であれば、つまり、出力音量値を変更すると判断した場合は、ステップS39で、出力音量値を変更して、音声通知制御にリターンする。この場合、音声通知制御のステップS7では、ステップS39で変更された後の出力音量値に応じた音量で、出力用の音声メッセージがスピーカ80から出力される。
【0090】
この実施例によれば、再生されるメッセージの内容および画像形成装置10の周囲に人が居るかどうかに応じて、再生時の音量を通常の音量から変更するので、装置の周囲の状況に応じて、適切な音量で音声による通知を行うことができる。
【0091】
また、この実施例によれば、画像形成装置10の周囲に人が居ると判断された場合に、再生時の音量を小さくするので、装置の近くに居る人にとってメッセージが耳障りにならないようにすることができる。
【0092】
なお、第1実施例では、メッセージを所定時間において繰り返し出力するようにしたが、メッセージを1回出力するようにしてもよい。
【0093】
また、第1実施例では、メッセージを出力するようにしたが、音声に変えて、所定の音または所定のメロディーを出力するようにしてもよい。
[変形例]
さらに、第1実施例では、出力用の音声メッセージの内容に応じて出力音量値を変更するかどうかが第1判断プログラムに従って判断され、音量値変更プログラムに従って出力音量値が変更されるようにしたが、予め作成された音量テーブルに従って出力音量値が設定および変更されるようにしても良い。
図7は変形例における音量テーブルの一例を示す図である。この音量テーブルのデータは、RAM74に記憶される。
【0094】
図7に示すように、音量テーブルは、画像形成装置10で出力可能な音声メッセージ毎に割り当てられたID(メッセージID)に対応して、メッセージの内容、通常の音量(通常音量)および有人時の音量(有人時音量)が記述される。
【0095】
メッセージIDは、音声メッセージを識別するための識別情報であり、たとえば、音声メッセージ毎に番号(メッセージ番号)が昇順に付される。通常音量は、人検出範囲Aの範囲内に人が居ない場合にその音声メッセージが出力される際の音量の大小を示している。また、有人時音量は、人検出範囲Aの範囲内に人が居る場合にその音声メッセージが出力される際の音量の大小を示している。ただし、通常音量および有人時音量を示す「大」および「小」とは、相対的な音量の大きさを示しており、それぞれに所定の音量値が割り当てられている。
【0096】
たとえば、「大」に割り当てられる音量値は、人検出範囲Aの範囲外に居る人でも音声メッセージを認識できる程度の値に設定される。また、「小」に割り当てられる音量値は、人検出範囲Aの範囲外に存在する人が認識できなくても、人検出範囲Aの範囲内に居る人が音声メッセージを認識できる程度の値に設定される。さらに、「小」に割り当てられる音量値は、人検出範囲Aの範囲内に居る人が音声メッセージをうるさいと感じない程度の値に設定されればよい。ただし、「大」および「小」に割り当てられる音量値は、画像形成装置10が設置される環境に応じて、適宜設定される。
【0097】
図7に示す例では、メッセージ番号1が割り当てられた音声メッセージ(音声メッセージ1)の内容は、「紙が詰まりました。」であり、この音声メッセージ1では、通常音量が「大」に設定され、有人時音量が「小」に設定される。同様に、メッセージ番号2が割り当てられた音声メッセージ(音声メッセージ2)、メッセージ番号3が割り当てられた音声メッセージ(音声メッセージ3)およびメッセージ番号6が割り当てられた音声メッセージ(音声メッセージ6)では、通常音量が「大」に設定され、有人時音量が「小」に設定される。これらの音声メッセージの内容は、一般的なユーザでも対処可能なエラーを通知する音声メッセージおよびジョブの終了を通知する音声メッセージであり、その音声メッセージの内容の重要度、緊急度の観点から、人検出範囲Aの範囲内に人が居ない場合には、画像形成装置10からある程度離れた場所にも音声メッセージが届くようにするべきだが、人検出範囲Aの範囲内に人が居る場合には、その人が当該音声メッセージの内容を認識できれば良いからである。
【0098】
また、メッセージ番号4が割り当てられた音声メッセージ(音声メッセージ4)の内容は、「原稿が残っています。確認して下さい。」であり、この音声メッセージ4では、通常音量および有人時音量がいずれも「大」に設定される。このような緊急性の高い内容の音声メッセージでは、通知対象が人検出範囲Aの範囲内に居る人とは限られず、セキュリティ上の観点からも速やかに通知する必要があるので、常に大きな音量で音声メッセージを出力すべきだからである。
【0099】
さらに、メッセージ番号5が割り当てられた音声メッセージ(音声メッセージ5)の内容は、「原稿サイズを検知しました。」であり、この音声メッセージ5では、通常音量および有人時音量がいずれも「小」に設定される。このようなユーザの操作に応答する音声メッセージでは、通知対象が画像形成装置10を操作している人、すなわち人検出範囲Aの範囲内に居る人であり、その人が音声メッセージを認識できれば良いからである。
【0100】
なお、
図7に示す音量テーブルでは、説明の便宜上、通常音量および有人時音量を示す「大」および「小」が記述されるようにしたが、音量値を示す数字または記号等が記述されていても良い。
【0101】
また、
図7に示す音量テーブルでは、説明の便宜上、メッセージIDに対応して、メッセージの内容が記述されるようにしたが、音量テーブルには、メッセージの内容は記述されなくても良い。
【0102】
この変形例の画像形成装置10では、音声通知を行うと判断された場合に、出力される出力用の音声メッセージのメッセージIDが指定され、音量テーブルに従って、当該メッセージIDに対応する音声メッセージの通常音量に対応する通常の音量値が出力音量値として設定され、人検出範囲Aの範囲内に人が居る場合に、有人時音量に対応する有人時の音量値を取得して、出力音量値と有人時の音量値とが異なる場合に、出力音量値が有人時の音量値に変更される。
【0103】
図8は変形例における音量設定制御のフロー図である。以下、フロー図を用いて、変形例における音量設定制御について説明するが、第1実施例で説明した音量設定制御と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0104】
図8に示すように、CPU70は、音声通知制御を開始すると、ステップS51で、出力用の音声メッセージのメッセージIDを取得して、ステップS53で、音量テーブルを読み出して、ステップS55で、音量テーブルに従って出力用の音声メッセージの通常の音量値を取得し、ステップS33で、通常の音量値を、出力音量値として設定する。そして、ステップS35で“YES”であれば、つまり、人間を検出すれば、ステップS57で、音量テーブルに従って出力用の音声メッセージの有人時の音量値を取得して、ステップS59で、出力用音量と有人時の音量値とが異なるかどうかを判断する。ステップS59で“NO”であれば、つまり、出力用音量と有人時の音量値とが同じであると判断した場合は、音声通知制御にリターンする。一方、ステップS59で“YES”であれば、つまり、出力用音量と有人時の音量値とが異なると判断した場合は、ステップS39で、出力音量値を変更して、音声通知制御にリターンする。
[第2実施例]
第2実施例の画像形成装置10は、音量設定制御の内容の一部が異なる以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、重複した説明は省略することにする。
【0105】
この第2実施例では、出力用の音声メッセージが指定されると、当該出力用の音声メッセージの内容と画像形成装置10で実行中の動作モードとの関係で、その出力用の音声メッセージを出力する必要が無い場合には、出力音量値がゼロに設定される。つまり、音声メッセージが出力されない。
【0106】
ただし、この実施例では、動作モードは、スキャンモード、コピーモード、印刷モード、ファクスモードおよび電子メールモードなどを意味する。これらのモードのそれぞれは、画像形成装置10が実行可能な各種のジョブのそれぞれに対応しており、各モードでは、対応するジョブを実行するためのユーザの操作を受け付けたり、当該ジョブを実行したりする。
【0107】
たとえば、画像形成装置10で実行中の動作モードがコピーモードである場合、エラーを通知する音声メッセージのうち、用紙切れ、トナー切れまたは紙詰まり等の印刷に係るエラーについての音声メッセージ等については、出力音量値がゼロに設定される。
【0108】
ここで、ディスプレイ50には、コピーを実行できない旨のメッセージともに、印刷に係るエラーについてのメッセージが表示される。したがって、画像形成装置10を操作している人、すなわちコピーを実行しようとしている人は、ディスプレイ50に表示されたメッセージによって、印刷に係るエラーが発生していることを認識できる。このため、音声によって通知する必要が無いので、出力音量値がゼロに設定される。
【0109】
また、画像形成装置10で実行中の動作モードがスキャンモード、ファクスモード(ファクスの送信モード)または電子メールモードである場合、エラーを通知する音声メッセージのうち、印刷に係るエラーについての音声メッセージ等については、出力音量値がゼロに設定される。ここで、印刷に係るエラーが解消されなくても、スキャン、ファクスの送信および電子メールの送信は実行できる。したがって、画像形成装置10を操作している人、すなわちスキャン、ファクスの送信または電子メールの送信を実行しようとしている人には、印刷に係るエラーが発生していることを積極的に通知する必要が無い。このため、出力音量値がゼロに設定される。なお、ディスプレイ50には、印刷に係るエラーについてのメッセージが表示されるので、画像形成装置10を操作している人は、印刷に係るエラーが発生していることを認識できる。
【0110】
一方、出力用の音声メッセージの内容と画像形成装置10で実行中の動作モードとの関係で、その出力用の音声メッセージを出力する必要がある場合には、第1実施例と同様の方法で、出力音量値が設定される。
【0111】
また、第2実施例では、上述したような動作を実現するために、画像形成装置10のRAM74に記憶された情報処理プログラムには、出力用の音声メッセージが指定された場合に、当該出力用の音声メッセージの内容と画像形成装置10で実行中の動作モードとの関係で、その出力用の音声メッセージを出力する必要があるかどうかを判断する第2判断プログラム等が含まれる。
【0112】
さらに、第2実施例では、音量設定プログラム302eは、第2判断プログラムによって出力用の音声メッセージを出力する必要が無いと判断された場合には、出力音量値をゼロに設定するためのプログラムでもある。
【0113】
以下、フロー図を用いて、第2実施例における音量設定制御について説明するが、第1実施例で説明した音量設定制御と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0114】
図9は第2実施例におけるCPU70の音量設定制御のフロー図である。
図9に示すように、音量設定制御が開始されると、CPU70は、ステップS71で、画像形成装置10で実行中の動作モードについての情報を取得し、ステップS73で、出力用の音声メッセージを出力するかどうかを判断する。ここでは、出力用の音声メッセージの内容と画像形成装置10で実行中の動作モードとの関係で、その出力用の音声メッセージを出力する必要があるかどうかを判断する。
【0115】
ステップS73で、“YES”であれば、つまり、出力用の音声メッセージを出力すると判断した場合は、ステップS31に進む。一方、ステップS73で、“NO”であれば、つまり、出力用の音声メッセージを出力しないと判断した場合は、ステップS75で、出力音量値をゼロに設定して、音声通知制御にリターンする。
【0116】
この実施例によれば、出力用の音声メッセージの内容と画像形成装置10で実行中の動作モードとの関係で、その出力用の音声メッセージを出力する必要が無い場合には、出力音量値がゼロに設定されるので、装置の使用状況に応じて、適切に音声通知を行うことができる。
【0117】
なお、第2実施例では、第2判断プログラムに従って、出力用の音声メッセージを出力する必要があるかどうかが判断されるようにしたが、これに代えて、出力用の音声メッセージを出力する必要があるかどうかについての情報が記述されたテーブルが存在する場合には、当該テーブルの内容に従って音声メッセージが出力されたり、音声メッセージが出力されなかったりするようにしても良い。
[第3実施例]
第3実施例の画像形成装置10は、音量設定制御の内容の一部が異なる以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、重複した説明は省略することにする。
【0118】
この第3実施例では、ユーザ認証が実行され、ログインが許可される操作者(登録ユーザ)が画像形成装置10を操作している場合に、出力用の音声メッセージが指定されると、当該出力用の音声メッセージの内容と登録ユーザとの関係で、その出力用の音声メッセージを出力する必要が無い場合には、出力音量値がゼロに設定される。つまり、音声メッセージが出力されない。
【0119】
たとえば、或る登録ユーザが画像形成装置10を操作している場合には、エラーを通知する音声メッセージのうち、他のユーザが指示したプリントジョブで発生した印刷に係るエラーについての音声メッセージ等については、出力音量値がゼロに設定される。
【0120】
ここで、ログイン中の登録ユーザがコピーを実行しようとする場合には、ディスプレイ50には、コピーを実行できない旨のメッセージともに、印刷に係るエラーについてのメッセージが表示される。したがって、当該登録ユーザは、ディスプレイ50に表示されたメッセージによって、印刷に係るエラーが発生していることを認識できる。このため、音声によって通知する必要が無いので、出力音量値がゼロに設定される。
【0121】
また、ログイン中の登録ユーザがスキャン、ファクスの送信および電子メールの送信等を実行しようとする場合には、印刷に係るエラーが解消されなくても、これらのジョブは実行できる。したがって、当該登録ユーザには、印刷に係るエラーが発生していることを積極的に通知する必要が無いので、出力音量値がゼロに設定される。ただし、ディスプレイ50には、印刷に係るエラーについてのメッセージが表示されるので、画像形成装置10を操作している人は、印刷に係るエラーが発生していることを認識できる。
【0122】
一方、出力用の音声メッセージの内容とログイン中の登録ユーザとの関係で、その出力用の音声メッセージを出力する必要がある場合には、第1実施例と同様の方法で、出力音量値が設定される。
【0123】
また、第3実施例では、上述したような動作を実現するために、画像形成装置10のRAM74に記憶された情報処理プログラムには、出力用の音声メッセージが指定された場合に、当該出力用の音声メッセージの内容と登録ユーザとの関係で、その出力用の音声メッセージを出力する必要があるかどうかを判断するための第3判断プログラム等が含まれる。
【0124】
さらに、第3実施例では、音量設定プログラム302eは、第3判断プログラムによって出力用の音声メッセージを出力する必要が無いと判断された場合には、出力音量値をゼロに設定するためのプログラムでもある。
【0125】
以下、フロー図を用いて、第3実施例における音量設定制御について説明するが、第1実施例で説明した音量設定制御と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0126】
図10は第3実施例におけるCPU70の音量設定制御のフロー図である。
図10に示すように、音量設定制御が開始されると、CPU70は、ステップS91で、ユーザ認証がされているかどうかを判断する。ステップS91で“NO”であれば、つまり、ユーザ認証がされていない場合は、ステップS31に進む。一方、ステップS91で“YES”であれば、つまり、ユーザ認証がされている場合は、ステップS93で、ログインしている登録ユーザのユーザ情報を取得して、ステップS95で、出力用の音声メッセージを出力するかどうかを判断する。ここでは、出力用の音声メッセージの内容と登録ユーザとの関係で、その出力用の音声メッセージを出力する必要があるかどうかを判断する。
【0127】
ステップS95で、“YES”であれば、つまり、出力用の音声メッセージを出力すると判断した場合は、ステップS31に進む。一方、ステップS95で、“NO”であれば、つまり、出力用の音声メッセージを出力しないと判断した場合は、ステップS97で、出力音量値をゼロに設定して、音声通知制御にリターンする。
【0128】
この実施例によれば、ユーザ認証が実行され、登録ユーザが画像形成装置10を操作している場合に、出力用の音声メッセージの内容と登録ユーザとの関係で、その出力用の音声メッセージを出力する必要が無い場合には、出力音量値がゼロに設定されるので、装置を操作するユーザに合わせて、適切に音声通知を行うことができる。
【0129】
なお、第3実施例では、第3判断プログラムに従って、出力用の音声メッセージを出力する必要があるかどうかが判断されるようにしたが、これに代えて、出力用の音声メッセージを出力する必要があるかどうかについての情報が記述されたテーブルが存在する場合には、当該テーブルの内容に従って音声メッセージが出力されたり、音声メッセージが出力されなかったりするようにしても良い。
[第4実施例]
第4実施例の画像形成装置10は、音量設定制御の内容の一部が異なる以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、重複した説明は省略することにする。
【0130】
従来の画像形成装置では、音声で通知しなければならない情報が複数あり、それらに重要度や緊急度に関して差がある場合には、通知する情報の重要度、緊急度に応じて、再生される音声の音量を変化させるものがある。
【0131】
しかしながら、従来の画像形成装置では、画像形成装置10で実行中の動作モードによっては、通知される情報をユーザが既に認識しているにもかかわらず、大きな音量で音声が出力されることがある。このような場合、ユーザにとって音声が耳障りになるという問題がある。
【0132】
そこで、第4実施例の画像形成装置10では、出力用の音声メッセージの内容と、画像形成装置10で実行中の動作モードとの関係に応じて、音声メッセージ毎に設定された通常の音量値から、出力時の音量値が変更されるようにしてある。
【0133】
具体的には、出力用の音声メッセージが指定されると、その出力用の音声メッセージに設定された通常の音量値が、出力音量値として設定され、続いて、当該出力用の音声メッセージの内容と画像形成装置10で実行中の動作モードとの関係で、出力音量値を変更するかどうかが判断される。
【0134】
たとえば、画像形成装置10で実行中の動作モードがコピーモードである場合、エラーを通知する音声メッセージのうち、用紙切れ、トナー切れまたは紙詰まり等の印刷に係るエラーについての音声メッセージ等については、出力音量値が、通常の音量値よりも小さい音量値に変更される。すなわち、出力音量値が、人検出範囲Aの範囲外に存在する人でも音声メッセージを認識できる程度の値から、人検出範囲Aの範囲外に存在する人が認識できなくても、人検出範囲Aの範囲内に居る人が音声メッセージを認識できる程度の値に変更される。
【0135】
ここで、ディスプレイ50には、コピーを実行できない旨のメッセージともに、印刷に係るエラーについてのメッセージが表示される。したがって、画像形成装置10を操作している人、すなわちコピーを実行しようとしている人は、ディスプレイ50に表示されたメッセージによって、印刷に係るエラーが発生していることを認識できるので、大きな音量で音声メッセージを出力する必要が無い。このため、出力音量値が通常の音量値よりも小さい音量値に変更される。
【0136】
また、画像形成装置10で実行中の動作モードがスキャンモード、ファクスモードまたは電子メールモードである場合、エラーを通知する音声メッセージのうち、印刷に係るエラーについての音声メッセージ等については、出力音量値が、通常の音量値よりも小さい音量値に変更される。すなわち、出力音量値が、人検出範囲Aの範囲外に存在する人でも音声メッセージを認識できる程度の値から、人検出範囲Aの範囲外に存在する人が認識できなくても、人検出範囲Aの範囲内に居る人が音声メッセージを認識できる程度の値に変更される。
【0137】
ここで、印刷に係るエラーが解消されなくても、スキャン、ファクスの送信および電子メールの送信は実行できる。したがって、スキャン、ファクスの送信または電子メールの送信を実行しようとしている人には、印刷に係るエラーが発生していることを積極的に通知する必要が無い。このため、出力音量値が通常の音量値よりも小さい音量値に変更される。
【0138】
また、第4実施例では、上述したような動作を実現するために、音量設定プログラム302eに含まれる第1判断プログラムは、出力音量値が設定された場合に、出力用の音声メッセージの内容と画像形成装置10で実行中の動作モードとの関係で、出力音量値を変更するかどうかを判断するためのプログラムである。また、音量設定プログラム302eに含まれる音量値変更プログラムは、第1判断プログラムに従って出力音量値を変更すると判断された場合に、出力用の音声メッセージの内容と画像形成装置10で実行中の動作モードとの関係に応じて、出力音量値を変更し、出力音量値データ304eを変更するためのプログラムである。
【0139】
以下、フロー図を用いて、第4実施例における音量設定制御について説明するが、第1実施例で説明した音量設定制御と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0140】
図11は第4実施例におけるCPU70の音量設定制御のフロー図である。
図11に示すように、音量設定制御が開始されると、CPU70は、ステップS33で、出力用の音声メッセージの通常の音量値を出力音量値として設定して、ステップS111で、画像形成装置10で実行中の動作モードについての情報を取得し、ステップS113で、出力用の音声メッセージの内容と、画像形成装置10で実行中の動作モードとの関係に応じて、出力音量値を変更するかどうかを判断する。
【0141】
ステップS113で“NO”であれば、つまり、出力音量値を変更しないと判断された場合は、音声通知制御にリターンする。一方、ステップS113で“YES”であれば、つまり、出力音量値を変更すると判断した場合は、ステップS115で、出力音量値を変更して、音声通知制御にリターンする。
【0142】
この実施例によれば、出力用の音声メッセージの内容と、画像形成装置10で実行中の動作モードとの関係に応じて、音声メッセージの出力時の音量値が通常の音量から変更されるので、装置の使用状況に応じて、適切に音声通知を行うことができる。
[第5実施例]
第5実施例の画像形成装置10は、音量設定制御の内容の一部が異なる以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、重複した説明は省略することにする。
【0143】
従来の画像形成装置では、音声で通知しなければならない情報が複数あり、それらに重要度や緊急度に関して差がある場合には、通知する情報の重要度、緊急度に応じて、再生される音声の音量を変化させるものがある。
【0144】
しかしながら、従来の画像形成装置では、ユーザ認証が実行され、ログインが許可される登録ユーザが画像形成装置10を操作している場合に、他のユーザが指示したジョブで発生した音声メッセージについても大きな音量で音声が出力されることがある。このような場合、ユーザにとって音声が耳障りになるという問題がある。
【0145】
そこで、第5実施例の画像形成装置10では、登録ユーザが画像形成装置10を操作している場合に、出力用の音声メッセージの内容と登録ユーザとの関係に応じて、音声メッセージ毎に設定された通常の音量値から、出力時の音量値が変更されるようにしてある。
【0146】
たとえば、或る登録ユーザが画像形成装置10を操作している場合、エラーを通知する音声メッセージのうち、他のユーザが指示したプリントジョブで発生した印刷に係るエラーについての音声メッセージ等については、出力音量値が、通常の音量値よりも小さい音量値に変更される。すなわち、出力音量値が、人検出範囲Aの範囲外に存在する人でも音声メッセージを認識できる程度の値から、人検出範囲Aの範囲外に存在する人が認識できなくても、人検出範囲Aの範囲内に居る人が音声メッセージを認識できる程度の値に変更される。
【0147】
ここで、ログイン中の登録ユーザがコピーを実行しようとする場合には、ディスプレイ50には、コピーを実行できない旨のメッセージともに、印刷に係るエラーについてのメッセージが表示される。したがって、当該登録ユーザは、ディスプレイ50に表示されたメッセージによって、印刷に係るエラーが発生していることを認識できるので、大きな音量で音声メッセージを出力する必要が無い。このため、上述のように出力音量値が通常の音量値よりも小さい音量値に変更される。
【0148】
また、ログイン中の登録ユーザがスキャン、ファクスの送信および電子メールの送信等を実行しようとする場合には、印刷に係るエラーが解消されなくてもスキャン、ファクスの送信および電子メールの送信等は実行できる。したがって、登録ユーザには、印刷に係るエラーが発生していることを積極的に通知する必要が無いので、上述のように出力音量値が通常の音量値よりも小さい音量値に変更される。
【0149】
さらに、ログイン中の登録ユーザが指示したジョブで発生した印刷に係るエラーについての音声メッセージ等については、出力音量値が、通常の音量値よりも小さい音量値に変更される。登録ユーザが当該音声メッセージの内容を認識できれば充分だからである。
【0150】
さらにまた、ログイン中の登録ユーザ毎に出力音量値がどのように変更されるか予め設定されていても良い。たとえば、音声メッセージを耳障りだと感じるユーザの場合は、出力用の音声メッセージの内容にかかわらず、出力音量値が通常の音量値よりも小さい音量値に変更されるようにしても良い。また、音が聞こえにくいユーザの場合は、出力用の音声メッセージの内容にかかわらず、出力音量値が通常の音量値よりも大きい音量値に変更されるようにしても良い。
【0151】
また、第5実施例では、上述したような動作を実現するために、音量設定プログラム302eに含まれる第1判断プログラムは、出力音量値が設定された場合に、出力用の音声メッセージの内容と登録ユーザとの関係で、出力音量値を変更するかどうかを判断するためのプログラムである。また、音量設定プログラム302eに含まれる音量値変更プログラムは、第1判断プログラムに従って出力音量値を変更すると判断された場合に、出力用の音声メッセージの内容と登録ユーザとの関係に応じて、出力音量値を変更し、出力音量値データ304eを変更するためのプログラムである。
【0152】
以下、フロー図を用いて、第5実施例における音量設定制御について説明するが、第1実施例で説明した音量設定制御と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0153】
図12は第5実施例におけるCPU70の音量設定制御のフロー図である。
図12に示すように、音量設定制御が開始されると、CPU70は、ステップS33で、出力用の音声メッセージの通常の音量値を出力音量値として設定して、ステップS131で、ユーザ認証がされているかどうかを判断する。ステップS131で“NO”であれば、つまり、ユーザ認証がされていない場合は、音声通知制御にリターンする。一方、ステップS131で“YES”であれば、つまり、ユーザ認証がされている場合は、ステップS133で、ログインしている登録ユーザのユーザ情報を取得して、ステップS135で、出力用の音声メッセージの内容と、登録ユーザとの関係に応じて、出力音量値を変更するかどうかを判断する。ステップS135で“NO”であれば、つまり、出力音量値を変更しないと判断された場合は、音声通知制御にリターンする。一方、ステップS135で“YES”であれば、つまり、出力音量値を変更すると判断した場合は、ステップS137で、出力音量値を変更して、音声通知制御にリターンする。
【0154】
この実施例によれば、出力用の音声メッセージの内容と、登録ユーザとの関係に応じて、音声メッセージの出力時の音量値が通常の音量から変更されるので、装置を操作するユーザに合わせて、適切に音声通知を行うことができる。
[第6実施例]
第6実施例の画像形成装置10は、音声通知制御の内容の一部が異なる以外は、第1実施例の画像形成装置10と同じであるため、重複した説明は省略することにする。
【0155】
第6実施例では、画像形成装置10で出力可能な音声メッセージのそれぞれには、保留指定の有無が設定されている。ただし、保留とは、人検出範囲Aの範囲内に人が存在すると判断される場合に、当該音声メッセージの出力を保留することを意味する。すなわち、保留指定が「有り」の音声メッセージは、人検出範囲Aの範囲内に人が存在すると判断されているときには出力されない。一方、保留指定が「無し」の音声メッセージは、人検出範囲Aの範囲内に人が存在すると判断されていても、出力される。
【0156】
たとえば、直ちに通知する必要のない情報を通知するための音声メッセージ、画像形成装置10を操作している人以外の人(他人)に向けて情報を通知するための音声メッセージ、および一般的なユーザでは対処できないエラーを通知する音声メッセージは、保留指定が「有り」に設定されている。
【0157】
直ちに通知する必要のない情報を通知するための音声メッセージを保留するのは、画像形成装置10を操作している人が存在する状態でこのような音声メッセージを出力すると、その人が音声メッセージを煩わしく感じるおそれがあるためである。また、他人に向けて情報を通知するための音声メッセージを保留するのは、画像形成装置10を操作している人が存在する状態でこのような音声メッセージを出力すると、画像形成装置10を操作している人が、その音声メッセージを自身に向けて通知されたものと誤解するおそれがあるからである。さらに、一般的なユーザでは対処できないエラーを通知する音声メッセージを保留するのは、一般的なユーザが画像形成装置10を操作している状態でこのような音声メッセージを出力しても意味が無いだけでなく、そのユーザを混乱させるおそれがあるからである。
【0158】
この第6実施例では、出力用の音声メッセージが指定されると、その出力用の音声メッセージの保留指定の有無が判断される。出力用の音声メッセージの保留指定が「無し」であれば、第1実施例と同様に出力音量値が設定ないし変更され、出力音量値に応じた音量で、出力用の音声メッセージがスピーカ80から出力される。
【0159】
一方、出力用の音声メッセージの保留指定が「有り」であれば、人検出範囲Aの範囲内に人が存在すると判断されている間、出力が保留され、その後、人検出範囲Aの範囲内に人が存在しないと判断されたときに、出力用の音声メッセージがスピーカ80から出力される。
【0160】
また、出力用の音声メッセージの保留指定が「有り」であっても、人検出範囲Aの範囲内に人が存在しないと判断されていれば、出力用の音声メッセージの出力は保留されない。
【0161】
さらに、第6実施例では、上述したような動作を実現するために、音声データ304cに含まれる複数の音声メッセージのそれぞれに、当該音声メッセージの保留指定の有無を示すデータが紐づけられている。さらに、第6実施例では、画像形成装置10のRAM74に記憶された情報処理プログラムには、出力用の音声メッセージの保留指定の有無を判断するための第4判断プログラム等が含まれる。
【0162】
以下、フロー図を用いて、第6実施例における音声通知制御について説明するが、第1実施例で説明した音声通知制御と同じ処理については同じ参照符号を付し、重複した内容については、説明を省略するまたは簡単に説明することにする。
【0163】
図13は第6実施例におけるCPU70の音声通知制御のフロー図である。
図13に示すように、音声通知制御が開始されると、ステップS3で、出力用の音声メッセージを指定して、ステップS151で、出力用の音声メッセージの保留指定が有るかどうかを判断する。ステップS151で“YES”であれば、つまり、出力用の音声メッセージの保留指定が有ると判断した場合には、ステップS153で、人間を検出したかどうかを判断する。ステップS153で“YES”であれば、つまり、人間を検出すれば、同じステップS153に戻る。一方、ステップS153で“NO”であれば、つまり、人間を検出していなければ、ステップS5に進む。
【0164】
また、ステップS151で“NO”であれば、つまり、出力用の音声メッセージの保留指定が無いと判断した場合には、ステップS5に進む。
【0165】
この実施例によれば、画像形成装置10の周囲に居る人、たとえば画像形成装置10を操作する人に通知すべきでない内容の音声メッセージについては、その人が画像形成装置10の前から立ち去ってから出力するので、適切に音声通知を行うことができる。
【0166】
なお、第6実施例に示した態様は、第2実施例から第5実施例までのいずれかの実施例に組み合わせて採用することが可能である。
【0167】
また、第6実施例では、出力用の音声メッセージの出力が保留される場合、人検出範囲Aの範囲内に人が存在しないと判断されたときに、出力用の音声メッセージがスピーカ80から出力されるようにしたが、人検出範囲Aの範囲内に人が存在しないと判断されてから所定時間経過後に出力用の音声メッセージが出力されるようにしても良い。このようにすれば、人検出範囲Aの範囲内に居た人が画像形成装置10から充分離れてから出力用の音声メッセージを出力するので、適切に音声通知を行うことができる。
【0168】
また、上述の実施例で示したフロー図の各ステップは、同じ結果が得られるのであれば、処理される順番は適宜変更することが可能である。
【0169】
さらに、本明細書中で挙げた、具体的な構成は、いずれも単なる一例であり、実際の製品の仕様に応じて適宜変更可能である。たとえば、音声出力機能を備える、印刷装置(画像形成部12)、ファクス、スキャナ(画像読取部14)またはこれらのうちのいずれか2つの装置を一体的に設けた画像形成装置においても、実施例で説明した音声通知処理を実行することができる。
【0170】
さらにまた、音声メッセージ毎に設定された、通常の音量値、人検出範囲Aの範囲内に人が居る場合の音量値、実行中の動作モードに応じた音量値および登録ユーザとの関係に応じた音量値を任意に設定可能としてもよい。
【0171】
さらにまた、画像形成装置10は、マイク等の音センサをさらに備えても良い。この音センサは、CPU70に接続され、主として画像形成装置10の周囲の騒音レベルを検出するために用いられる。ただし、画像形成装置10が音声認識機能を有する場合には、音センサは、ユーザの音声入力を受け付けるためにも用いられることがある。この場合、画像形成装置10では、音センサの出力に応じて検出された画像形成装置10の周囲の騒音レベルに応じて、出力音量値が変更される。具体的には、画像形成装置10の周囲の騒音レベルが高いほど、すなわち画像形成装置10の周囲の騒音が大きいほど、出力音量値が大きい音量値に変更される。画像形成装置10の周囲の騒音によって、音声メッセージが聞き取り難くなるからである。このようにすれば、装置の周囲の状況に応じて、適切に音声通知を行うことができる。
【0172】
また、上述の実施例では、画像形成装置10のCPU70で、出力音量値の設定および出力音量値の変更が実行されるようにしたが、通信回路92を介して接続される外部のコンピュータのプロセッサまたはクラウド上のコンピュータのプロセッサ等(以下、まとめて「外部プロセッサ」ということがある。)によって出力音量値の設定および出力音量値の変更が実行されるようにしても良い。この場合、画像形成装置10のCPU70は、出力用の音声メッセージを指定すると、外部プロセッサに対して出力用の音声メッセージについてのデータおよび人検出範囲Aの範囲内に人が居るかどうかについてのデータを送信する。ただし、出力用の音声メッセージについてのデータには、外部プロセッサが出力用の音声メッセージの内容についてのデータにアクセスできる場合は、少なくとも出力用の音声メッセージの識別情報が含まれていれば良く、外部プロセッサが出力用の音声メッセージの内容についてのデータにアクセスできない場合は、出力用の音声メッセージの内容についての情報が含まれていれば良い。
【0173】
外部プロセッサは、出力用の音声メッセージについての情報を受信すると、上述した通常音量値設定プログラムと同様のプログラムに従って、その出力用の音声メッセージに設定された通常の音量値を出力音量値として設定する。続いて、外部プロセッサは、人検出範囲Aの範囲内に人が居るかどうかについての情報に応じて、上述した第1判断プログラムと同様のプログラムに従って、出力用の音声メッセージの内容に応じて出力音量値を変更するかどうかを判断する。外部プロセッサは、出力音量値を変更しないと判断した場合には、出力音量値を変更せずに、当該出力音量値についてのデータを画像形成装置10に送信する。また、外部プロセッサは、出力音量値を変更すると判断した場合には、上述した音量値変更プログラムと同様のプログラムに従って、出力用の音声メッセージの内容に応じて出力音量値を変更し、変更後の出力音量値についてのデータを画像形成装置10に送信する。
【0174】
画像形成装置10は、出力音量値についてのデータを受信し、当該データが示す出力音量値に応じた音量で、出力用の音声メッセージをスピーカ80から出力する。なお、外部のコンピュータまたはクラウド上のコンピュータとしては、学習機能を備えるモデル、いわゆるAI(人工知能)を有するコンピュータまたはコンピュータシステムであっても良い。人工知能は、一般に、推論および判断などの知的な機能を実現するための学習機能を持つため、使用される回数が増すにつれて、より適切な出力音量値を設定することができる。
【符号の説明】
【0175】
10 …画像形成装置
12 …画像形成部
14 …画像読取部
18 …操作ユニット
50 …ディスプレイ
52 …タッチパネル
54 …ホームボタン
70 …CPU
74 …RAM
78 …オーディオIC
80 …スピーカ
88 …HDD
90 …ROM
92 …通信回路