(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】歯着色防止構成物とその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/87 20060101AFI20231115BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20231115BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20231115BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20231115BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20231115BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
A61K8/87
A61K8/24
A61K8/365
A61K8/81
A61K8/29
A61Q11/00
(21)【出願番号】P 2022114351
(22)【出願日】2022-07-15
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2022-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515119697
【氏名又は名称】拓華生技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】李 忠霖
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲ず▼韻
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-523630(JP,A)
【文献】特開昭57-018774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 6/00- 6/90
A61P 1/00-43/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
総重量の3%~30%のポリウレタン
-35、1%~
5%のリン酸水素カルシウム
と、
0.5%~5%の乳酸カルシウム及びそのほかの口腔が許容できる担体及び/または賦形剤とを含み、
前記口腔が許容できる担体及び/または賦形剤は湿潤剤、界面活性剤、アレルギー防止剤、抗菌剤または防腐剤、風味剤と研磨剤が組み合わせたグループの一種類または多種類から選ばれることを特徴とする歯着色防止構成物。
【請求項2】
前記歯着色防止構成物の重量の
10%~
15%のポリビニルピロリドン、
1.5%~
2.5%のアクリル酸共重合体及び/または
0.25%~
5%の二酸化チタンを含み、また該歯着色防止構成物の全ての成分の総重量は100%であることを特徴とする請求項
1に記載の歯着色防止構成物。
【請求項3】
前記歯着色防止構成物は溶液
、ジェル、糊剤または軟膏剤型であることを特徴とする請求項
1に記載の歯着色防止構成物。
【請求項4】
請求項
1に記載の歯着色防止構成物を歯の表面に一時的に付けた後、水でうがいして歯の表面に付着していない該歯着色防止構成物を除去することを特徴とする歯着色防止方法。
【請求項5】
前記歯は前記歯着色防止構成物を使用する前にすでに歯美白剤または歯磨剤によってきれいにしたことを特徴とする請求項
4に記載の歯着色防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は歯着色防止構成物とその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代では、たくさんの人が歯の外観を気にするようになり、白くてツヤのある歯が多くの人の憧れでもあり、歯をホワイトニングすることがスピーディーかつ有効な方法の一つである。歯を変色させる原因はたくさんあり、主に「生理的な原因」と「病理的な原因」に分けられる。
【0003】
歯が変色する「生理的な原因」は主に加齢によるものであり、年を取るとともに歯も黄色っぽくなり、食習慣を加えると、例えばよくお茶、コーヒー、ワインまたはカレーなどを習慣的に摂食すると食べ物の色素が歯の表面に沈着するため、歯が黄ばむ速度を速くさせてしまう。歯が変色する「病理的な原因」はよく虫歯に見られ、抜髄治療を行った後の歯或いは歯の外傷によって歯の一部が変色しやすくなる。
【0004】
歯のホワイトニングは歯に沈着する色素を除去するために最も有効な方法であり、その効果は過酸化物の濃度及び歯と接触する時間により変わり、また、治療の過程においての食習慣は全体の美白効果に影響する。今までたくさんの技術刊行物では研究が発表され、歯のホワイトニングの後の歯の表面が傷付いているため、色素を歯に沈着しやすく、歯をより敏感にさせてしまう。特に歯のホワイトニングの後にコーヒー、コーラまたはそのほかの飲み物を飲むと歯に着色しやすくなる。上述の問題を解決するために、歯の美白後に美白の効果を延長することに対し、色素が再び沈着することを予防する歯の商品と方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明の課題は、歯のホワイトニングの後の歯の表面に色素が沈着し易かったり、歯が敏感になったりする問題を解決せんとするにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の歯着色防止構成物は、ポリウレタンとリン酸水素カルシウム、及び選択可能なそのほかの口腔が許容できる担体及び/または賦形剤と、を備える。
【0007】
本発明の歯着色防止キットは、歯着色防止構成物と該歯着色防止構成物の取扱説明書と、を備える。
【0008】
本発明の歯着色防止方法は、歯着色防止構成物を歯に使い、該構成物はポリウレタンとリン酸水素カルシウム、及び選択可能なそのほかの口腔が許容できる担体及び/または賦形剤と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の歯着色防止構成物は歯の着色防止能力を著しく増進できる上、長期にわたり歯の着色防止作用を著しく向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ホワイトニング評価用シェードガイド(VITA Bleachedguide 3D-MASTER)を参照して、カメラで制作した歯の階調のカラーチャートである。
【
図2】異なった濃度のポリウレタン-35を含む着色防止ジェル配合の組別の階調変化を表す表である。
【
図3】異なった濃度のリン酸水素カルシウムを含む着色防止ジェル配合の組別の階調変化を表す表である。
【
図4】異なった濃度の乳酸カルシウムを含む着色防止ジェル配合の組別の階調変化を表す表である。
【
図5】異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合の組別の階調変化を表す表である。
【
図6-1】異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合の組別の階調変化を表す表である。
【
図6-2】異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合の組別の階調変化を表す表である。
【
図6-3】異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合の組別の階調変化を表す表である。
【
図7】異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合の組別の階調変化を表す表である。
【
図8】異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合の組別の階調変化を表す表である。
【
図9】異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合の組別の階調変化を表す表である。
【
図10】歯における美白効果の階調変化を表す表である。
【
図11】歯における着色防止効果の階調変化を表す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、本発明は本明細書に挙げられた特定例の材料、組成、工程、方法または構造に限らない。このため、本明細書の中にいつくかの選択肢を挙げたが、それに近いまたは効果が同じもの全てが本発明の実施または実施例に応用でき、本明細書ではより良い材料と方法だけ述べる。
【0012】
また、本発明で使用する技術用語は本発明の特定実施例を説明するという目的だけであって、意図的に制限するものではない。
【0013】
明細書に伴う図面に係る以下に記載される詳細の説明は、本発明の例示性実施例の説明とし、意図的に本発明の実施可能な唯一の例示性実施例ではない。全明細書で使用する技術用語「例示性」は「実施例、例または事例」を意味し、ほかの例示性実施例より良いかまたは優れていることは説明するまでもない。詳細の説明は特定の細部を含み、本明細書における全体の範例性実施例を理解する目的として提供するためである。本発明に属する技術分野において当業者が分かることは、本明細書の範例性実施例はこれら特定の細部によって実施しなくても良い。
【0014】
本明細書で使用する以下の各技術用語はその段落で述べる意義を含む。
【0015】
ほかに定義することを除き、本明細書で使用する技術と科学用語は通常本発明に属する技術分野における当業者が理解できる含意と同じである。一般的に、本明細書で使用する命名法は動物薬理学、薬学科学、分離科学と有機化学における実験室工程は本分野で周知されかつ常用する。理解すべきことは、本発明の操作性を保持できれば、ステップの順番やある動作を行う順番は構わない。このほか、同時にまたは同時ではないように二つまたはそれ以上のステップや動作を行える。
【0016】
本明細書で使用する「一つ」及び「一種類」は一つまたは一つ以上(即ち少なくとも一つ)の物体を意味する。例えば、「一種類の素子」は一つの素子または一つ以上の素子を意味する。
【0017】
特別に指定しない限り、本明細書で使用するパーセントは歯着色防止構成物の総重量によって計算する。特別に指定しない限り、本明細書で使用する比率は組分けに対応した重量比である。特別に指定しない限り、全ての測量は25℃の環境で行う。
【0018】
本明細書で使用する用語「歯」は天然の歯や人工歯列を意味し、「歯の表面」は天然の歯の表面や人工歯列の硬い表面である義歯、歯キャップ、歯冠、歯板、歯科ブリッジ、歯の詰め物、インプラントとその類似物を含む。一つの実施方法において、歯の表面は天然の歯の表面を意味する。
【0019】
本明細書で使用する「構成物」は本発明の少なくとも一つの化合物と口腔が許容できるキャリア及び/または賦形剤の混合物を意味する。
【0020】
本明細書で使用する用語「口腔が許容できる」は本発明で有用な化合物の生物活性や性質を除去しない物質を意味し、例えば担体または賦形剤である。また毒性がないため、該物質はすぐに被験者に投与でき、生物反応または構成物に含有するいずれかの成分と有害な方式で互いに作用することを起こさない。
【0021】
本明細書で使用する「有効量」は本分野の当業者が合理的な判断によって、提供した化合物または構成物の量は積極的に有益な効果を誘導し、好ましくは、口腔の健康に対して有益効果を有するが、抵抗不可能の副作用を影響にならないように低くし、リスクよりも合理的な有益効果を提供できる。
【0022】
本明細書で使用する「相乗作用」は二種類以上の成分による効果であり、単純に各成分の同じ効果を合計したものより大きく、該効果は歯の着色防止効果を延長することに例えられる。
【0023】
本発明の内容全体を通して、各態様は請求範囲という形式によって表せる。理解すべきことは、請求範囲形式の記述は便宜と簡潔のためであるだけで、本発明の請求範囲に対する制限ではない。このため、請求範囲の記述は具体的に全ての可能な子範囲及び該請求範囲内の単独数値を開示する。例えば、1から6の請求範囲の記述はすでに特定する子範囲を開示したとみなし、例えば、1から3、1から4、1から5、2から4、2から6、3から6など、及び該範囲内の単独と一部の数字、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3と6。範囲の広さに関係せず全て適用できる。
【0024】
本発明で使用する「歯着色防止構成物」は口腔保健、口腔衛生や口腔外観に用いる一種の構成物である。本発明の歯着色防止構成物はポリウレタンとリン酸水素カルシウム、及び選択可能なそのほかの口腔が許容できる担体及び/または賦形剤と、を備える。
【0025】
本発明の歯着色防止構成物は口腔が許容できる量のポリウレタンを含む。一つの実施方法において、歯着色防止構成物は該構成物の総重量の約30%~約3%のポリウレタンを含み、より良いのは約30%~約10%のポリウレタンを含み、最も良いのは約30%~約20%のポリウレタンを含む。もう一つの実施例方法では、本発明が開示する歯着色防止構成物に含むポリウレタンの含有量は該構成物の総重量の30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%或いは3%、または上述の各含有量の間にあるいずれかの含有量とする。
【0026】
本発明の歯着色防止構成物は、口腔が許容できる量のリン酸水素カルシウムを含む。一つの実施方法において、歯着色防止構成物は該構成物の総重量の約25%~約0.1%のリン酸水素カルシウムを含み、より良いのは約10%~約0.5%のリン酸水素カルシウムを含み、さらに良いのは約5%~約1%のリン酸水素カルシウムを含み、最も良いのは約3%~約1%のリン酸水素カルシウムを含む。もう一つの実施例方法では、本発明が開示する歯着色防止構成物に含まれるリン酸水素カルシウムの含有量は、該構成物の総重量の25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2.8%、2.6%、2.4%、2.2%、2.0%、1.8%、1.6%、1.4%、1.2%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%或いは0.1%、または上述の各含有量の間にあるいずれかの含有量とする。
【0027】
本発明の歯着色防止構成物は、口腔が許容できる量の乳酸カルシウムを含む。一つの実施方法において、歯着色防止構成物は該構成物の総重量の約25%~約0.1%の乳酸カルシウムを含み、より良いのは約10%~約0.1%の乳酸カルシウムを含み、さらに良いのは約5%~約0.5%の乳酸カルシウムを含み、最も良いのは約3%~約0.5%の乳酸カルシウムを含む。もう一つの実施方法では、本発明が開示する歯着色防止構成物に含む乳酸カルシウムの含有量は、該構成物の総重量の25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1.8%、1.6%、1.4%、1.2%、1.0%、0.9%、0.8%、0.7%、0.6%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%或いは0.1%、または上述の各含有量の間にあるいずれかの含有量とする。
【0028】
本発明の歯着色防止構成物は、少なくとも一種類の架橋ポリビニルピロリドンといった増粘剤を含む。架橋ポリビニルピロリドンはポリビニルピロリドンとN-ビニル-2-ピロリドンなどのホモポリマーを含む。一つの実施方法において、歯着色防止構成物に含むポリビニルピロリドンは、該構成物の重量の約30%~約2.5%を占め、より良いのは約15%~約10%である。
【0029】
本発明の歯着色防止構成物は、歯石形成に関係するリン酸カルシウムが沈着することを有効に減少できるポリリン酸を材料とする歯石防止剤を含み、例えば、アニオン性高分子の合成物のポリアクリレート、無水マレイン酸及び/またはメチルビニルエーテルの共重合体とそれらの混合物など、より良いのはアクリル酸共重合体である。一つの実施方法において、歯着色防止構成物の中にアクリル酸共重合体の含有量は該構成物の重量の約20%~約0.2%であり、より良いのは約2.5%~約1.5%である。
【0030】
本発明の歯着色防止構成物は二酸化チタンを含む。一つの実施方法において、歯着色防止構成物の中に二酸化チタンの含有量は該構成物の重量の約25%~約0.1%であり、より良いのは約5%~約0.25%であり、さらに良いのは約1.5%~約0.5%である。
【0031】
本発明は歯美白構成物を提供し、過酸化水素と口腔が許容できる担体を含み、該歯美白構成物に含む過酸化水素は構成物の総重量の約0.1%~約6%であり、より良いのは約2%~約6%、さらに良いのは4%~約6%である。
【0032】
一つの実施方法において、本発明の歯美白構成物はさらに水、グリセリン、プロピレングリコール、クエン酸カリウム、ポリビニルピロリドン、アクリレート、アクリル酸アルキルクロスポリマー、硝酸カリウム、N-エチル-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、真珠抽出物と口腔が許容できるその他の成分を組み合わせたグループから選ばれるものを含む。
【0033】
本明細書の中の「口腔が許容できる担体」及び/または「口腔が許容できる賦形剤」が互いに交換でき、本発明の歯着色防止構成物においてあらゆる有用な担体及び/または賦形剤を意味する。該口腔が許容できる担体及び/または賦形剤は本明細書に開示する容量において、口腔内にしばらく留まらせることによって、歯の表面と十分に接触させても、哺乳類動物に害をもたらすことがない。一般的に、該口腔が許容できる担体及び/または賦形剤は不意に飲み込んでも無害である。
【0034】
本発明に使用する口腔が許容できる担体及び/または賦形剤は、本発明の実施方法または実施例の歯着色防止構成物に使用でき、上述の主な成分の効果または性質を変えることなく安全かつ有効な材料である。本発明の歯着色防止構成物において口腔が許容できる担体及び/または賦形剤は水、湿潤剤、界面活性剤、アレルギー防止剤、抗菌剤または防腐剤、風味剤などを組み合わせたグループの一つまたは多種類を含む。
【0035】
本発明の歯着色防止構成物は少なくとも一種類の湿潤剤を含み、該湿潤剤はソルビトール、グリセリン、キシリトール、プロピレングリコール、またはそれらを組み合わせたグループから選ばれる。
【0036】
本発明の歯着色防止構成物は少なくとも一種類の界面活性剤を含み、該表面活性剤は陰イオン、非イオン、双性、双性イオン、陽イオン、またはそれらの混合物のどちらでも良い。該界面活性剤はポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、またはそれらを組み合わせたグループから選ばれても良い。
【0037】
本発明の歯着色防止構成物は少なくとも一種類の炭酸カリウムのアレルギー防止剤を含み、該炭酸カリウムはクエン酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、またはそれらを組み合わせたグループから選ばれる。
【0038】
本発明の歯着色防止構成物は少なくとも一種類の抗菌剤または防腐剤を含み、該抗菌剤または防腐剤はフェノキシエタノール、安息香酸、サリチル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、メチルパラベン、クロルフェネシン(Chlorphenesin)、エチルヘキシルグルセリン、またはそれらを組み合わせたグループから選ばれる。
【0039】
本発明の歯着色防止構成物は少なくとも一種類の風味剤を含み、該風味剤は精油や調味するための各種アルデヒド、エステル、アルコールなどの物質を含む。該精油の実例は、レモン、ダイダイ、グレープフルーツ、ミカン、ペパーミント、モチノキ、サッサフラス、チョウジ、セージ、スペアミント、マジョラム、シナモンなどのオイルエキスを含む。一つの実施方法において、該風味剤はアセスルファムカリウム、N-エチル-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、メントール、カルボン、またはアネトールを含む。
【0040】
本発明の歯着色防止構成物は少なくとも一種類の研磨剤を含み、該研磨剤は水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸水素カルシウム、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、ベントナイト、またはそれらを組み合わせたグループから選ばれる。
【0041】
本分野を熟知する技術者にとって、本発明の歯着色防止構成物の中に含む一部の成分が多重の効果を持つことは、明らかに分かり易い。このため、本明細書の中に一つの化合物は一つの効果があると述べても、ほかの効果を持つことを排除する意味ではない。例えば、メントールという化合物は芳香剤と消毒剤として同時に使え、ポリソルベート20という化合物は界面活性剤と乳化剤として同時に使える。
【0042】
本発明の歯着色防止構成物は口腔の中にしばらく留まらせ、実質的に全ての歯の表面に接触することで着色防止活性を達成させる。このため、本発明の歯着色防止構成物は溶液、ジェル、糊剤、軟膏またはそのほかの形として呈する。一つの実施方法において、該歯着色防止構成物はうがい薬型である。もう一つの実施方法において、該歯着色防止構成物は塗布ジェル剤型である(以下、着色防止ジェルともいう)。またもう一つの実施方法において、該歯着色防止構成物は歯磨き粉型である。
【0043】
本発明の歯美白構成物は口腔の中にしばらく留まらせ、実質的に全ての歯の表面に接触することで美白効果を達成させる。このため、本発明の歯美白構成物は溶液、ジェル、糊剤、軟膏またはそのほかの形として呈する。一つの実施方法において、該歯美白構成物はうがい薬型である。もう一つの実施方法において、該歯美白構成物は塗布ジェル剤型である。またもう一つの実施方法において、該歯美白構成物は歯磨き粉型である。
【0044】
本発明の歯着色防止構成物を実施する時、使用者は該歯着色防止構成物を人の歯の表面に付けることで、歯の必要とする部分に必要な効果が得られ、例えば、着色防止、歯の美白、口腔内の爽やかさの維持などがある。本発明の歯着色防止構成物は歯以外の口腔表面の例えば口腔粘膜組織または歯茎にも安全に付けられ、アレルギーや不快感を起こさない。本発明の歯着色防止構成物はあらゆる方式で歯に付けられ、より良いのは歯ブラシまたはマウスピースによって付けたり、直接に流したりする。
【0045】
一つの実施方法において、本発明の歯着色防止構成物はジェル、糊剤、または軟膏剤型の時、歯ブラシによって有効量な歯着色防止構成物を歯の表面に付けさせ、歯着色防止構成物が歯の表面にしばらく接触させた後、うがいすることによって歯の表面をきれいに流す。もう一つの実施方法において、本発明の歯着色防止構成物はジェル、糊剤、または軟膏剤型の時、有効量な歯着色防止構成物をマウスピースに詰めてから歯に嵌めさせ、歯着色防止構成物が歯の表面にしばらく接触させた後、うがいすることによって歯の表面をきれいに流す。該歯着色防止構成物が歯の表面と接触する時間は、歯着色防止構成物の中の活性成分の濃度によって変化し、例えば30分以内とし、より良いのは30秒~25分、さらに良いのは30秒~10分、最も良いのは30秒~3分である。
【0046】
一つの実施方法において、本発明の歯着色防止構成物は溶液であり、例えばうがい薬形式の時、有効量の歯着色防止構成物を直接に使用でき、口腔内でしばらく留まらせた後、うがいすることによって歯の表面をきれいに流すことができる。
【0047】
本発明の歯着色防止構成物の使用時期は制限されず、例えば日常に歯磨剤を使った後でも使用できる。歯医者にスケーリングやホワイトニングを施術してもらった後に本発明の歯着色防止構成物を付けてもらうと良い。或いは、自宅で歯美白剤を使用した後に本発明の歯着色防止構成物を使用できる。口腔が許与できる範囲内であれば、本発明の歯着色防止構成物を使用する回数と頻度は特に制限することなく、より良いのは日常に歯磨剤を使った後にすぐに使用することが望ましく、より良いのは一日に三回、一日に二回、一日に一回、二日に一回、三日に一回、四日に一回、五日に一回、六日に一回、または一週間に一回が良い。或いは、歯医者の指示によって使用する。
【0048】
本発明は歯着色防止キットを提供し、上述の歯着色防止構成物と取扱説明書を含み、使用者が該取扱説明書を参照しながら該歯着色防止構成物を使用できる。
【0049】
本発明は歯美白の着色防止キットも提供し、上述の歯着色防止構成物、歯美白構成物と取扱説明書を含む。使用者は該取扱説明書を参照しながら、先に該歯美白構成物を使ってホワイトニングステップを行った後、該歯着色防止構成物を使って歯着色防止ステップを行う。
【0050】
以下の実施例によってさらに本発明のより良い実施方法を説明するが、本発明は以下の実施例の内容に限らないことは理解すべきである。
【0051】
実施例の材料と方法について、
A、テスト用歯の選択条件:本実施例では使用する歯は人の永久歯で、該歯は20歳以上の成人は矯正または歯並びの異常によって抜いた永久歯であり、選択条件は表面を削ったことがないもの、歯冠と歯根はまるごとか半分までの割れを許容すること、根尖病変がない。エナメル質形成不全、歯の変形や割れ、根尖病変、先天性の歯の色調異常、一年以上にわたる喫煙またはビンロウを噛むことによる変色などのものを除く。
【0052】
B、着色防止構成物の調製:異なった濃度のポリウレタン、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムのジェル形式の着色防止構成物配合を調製し、詳細の成分は表1に示すように、各配合はポリウレタン、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムの含有量以外、そのほかの成分と含有量が同じである。Xはポリウレタン-35が実施例の中の重量変化量を表す。Yはリン酸水素カルシウムが実施例の中の重量変化量を表す。Zは乳酸カルシウムが実施例の中の重量変化量である。
【0053】
【0054】
C、美白剤の調製:濃度5.6%の過酸化水素のジェル形式の美白剤配合を調製し、詳細の成分は表1Bに示す。
【0055】
【0056】
D、染色液:以下の実施例は市販するNespresso濃縮ブラックコーヒーを染色液として使用し、使用する温度は37±2.5℃である。各実施例で行う着色防止試験は同じ濃縮ブラックコーヒーによって同じ濃度と成分の染色液を調製して使用する。
【0057】
E、歯の階調のカラーチャートを製作する:アメリカ歯科学会(American Dental Association, ADA)が公表した29色美白階調をカラーチャートの基準に基づき、ホワイトニング評価用シェードガイド(VITA Bleachedguide 3D-MASTER)を参照して、カメラ(Canon M6 Mark ii)で歯の階調のカラーチャートを製作する(
図1に示す)、歯の階調の変化を比較するために使用する。
【0058】
実施例1:上述のように集まった歯をランダムに選び、37%のリン酸で洗浄した後、もう一度水で洗うことで歯の表面の汚れを除去し、摂氏37度の乾燥器に入れ乾燥させる。
【0059】
異なった濃度のポリウレタン-35の着色防止ジェル配合A(表1Aに示す)を配合すれば、表2に示すように、着色防止ジェルの総重量の3%、15%と30%のポリウレタン-35をそれぞれ含む配合A-1、A-2とA-3が得られ、そのほかの成分は表1Aに示すように全て同じである。歯を上述の着色防止ジェル配合に15分間浸け、一度水で洗浄してから水分を拭き、この工程を7回繰り返す。さらに染色液に6時間浸け、その間は15分ごとに上述の歯の階調のカラーチャートと同じ条件で撮影する。
【0060】
【0061】
対照群は水を着色防止ジェル配合Aの代わりにし、上述と同じ工程を行う。
【0062】
その結果は
図2に示す。対照群は染色液に浸ける前の歯の階調の平均は7.6階、1時間後は28.33階に上昇し、階調変化は97.7%である。2時間連続に浸けた後は29階に達し、階調変化は100%である。
【0063】
実験群では、3%のポリウレタン-35を含有する着色防止ジェル配合A-1組は染色液に浸ける前の歯の階調の平均は2階、2時間浸けた後は17.43階に上昇し、階調変化は60.11%である。6時間連続に浸けた後に測定した階調は25.53階、階調変化は88.04%である。15%のポリウレタン-35を含有する着色防止ジェル配合A-2組は染色液に浸ける前の歯の階調は3階、2時間浸けた後は15.5階に上昇し、階調変化は53.44%である。6時間連続に浸けた後に測定した階調は25階、階調変化は86.2%である。30%のポリウレタン-35を含有する着色防止ジェル配合A-3組は染色液に浸ける前の歯の階調は1階、2時間浸けた後は12.25階に上昇し、階調変化は42.24%である。6時間連続に浸けた後は18階調になり、階調変化は62.06%である。
【0064】
上述の結果から示すように、本発明の着色防止ジェル処理をしない対照群では、歯がコーヒー色素に対する着色防止効果が弱く、コーヒーに1時間浸けた後、階調変化は97.7%まで達する。本発明の着色防止ジェル配合A-1、A-2、A-3によって処理した後、対照群より歯が長時間コーヒーの中における着色防止力を有効に向上できる。
【0065】
実施例2:異なった濃度のリン酸水素カルシウムの着色防止ジェル配合B(表1Aに示す)を配合すれば、表3に示すように、着色防止ジェルの総重量の0%、1%と2%のリン酸水素カルシウムをそれぞれ含む配合B-1、B-2とB-3が得られ、そのほかの成分は表1Aに示すように全て同じである。歯を上述の着色防止ジェル配合に15分間浸け、一度水で洗浄してから水分を拭き、この工程を7回繰り返す。さらに染色液に6時間浸け、その間は15分ごとに上述の歯の階調のカラーチャートと同じ条件で撮影する。
【0066】
【0067】
対照群は水を着色防止ジェル配合Bの代わりにし、上述と同じ工程を行う。
【0068】
その結果は
図3に示す。リン酸水素カルシウムを含まない着色防止ジェル配合B-1組が染色液に浸ける前の歯の階調の平均は2階、1時間浸けた後は14.8階に上昇し、階調変化は51.03%である。2時間浸けた後は18.3階調に上昇し、階調変化は53.44%である。6時間連続に浸けた後は25.7階調になり、階調変化は88.62%である。1%のリン酸水素カルシウムを含有する着色防止ジェル配合B-2組は染色液に浸ける前の歯の階調は3階、2時間浸けた後は15.5階に上昇し、階調変化は53.44%である。6時間連続に浸けた後は25階調になり、階調変化は86.2%である。2%のリン酸水素カルシウムを含有する着色防止ジェル配合B-3組は染色液に浸ける前の歯の階調は1.5階、2時間浸けた後は14.85階に上昇し、階調変化は51.12%である。6時間連続に浸けた後は17.22階調になり、階調変化は59.39%である。
【0069】
実施例1に示すように、本発明の着色防止ジェル処理をしない対照群はコーヒーに1時間浸けた後、階調変化は97.7%まで達する。上述の結果から示すように、対照群と比較して、リン酸水素カルシウムの含有有無に関係せず着色防止ジェル処理した後の歯は良い着色防止効果を表す。注目すべきことは、リン酸水素カルシウム添加の着色防止ジェル配合はリン酸水素カルシウム添加しない着色防止ジェル配合よりも歯が長時間コーヒーの中における着色防止力を有効に向上でき、ほかの濃度と比べてより良い着色防止効果を有する。
【0070】
実施例3:異なった濃度の乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合C(表1Aに示す)を配合すれば、表4に示すように、着色防止ジェルの総重量の0%、0.5%と1%の乳酸カルシウムをそれぞれ含む配合C-1、C-2とC-3が得られ、そのほかの成分は表1Aに示すように全て同じである。歯を上述の着色防止ジェル配合に15分間浸け、一度水で洗浄してから水分を拭き、この工程を7回繰り返す。さらに染色液に6時間浸け、その間は15分ごとに上述の歯の階調のカラーチャートと同じ条件で撮影する。
【0071】
【0072】
対照群は水を着色防止ジェル配合Cの代わりにし、上述と同じ工程を行う。
【0073】
その結果は
図4に示す。乳酸カルシウムを含まない着色防止ジェル配合C-1組が染色液に浸ける前の歯の階調の平均は3階、1時間浸けた後は13.5階に上昇し、階調変化は45.5%である。2時間浸けた後は15.5階調に上昇し、階調変化は53.44%である。6時間連続に浸けた後は25階調になり、階調変化は86.2%である。0.5%の乳酸カルシウムを含有する着色防止ジェル配合C-2組は染色液に浸ける前の歯の階調は1階、2時間浸けた後は15.2階に上昇し、階調変化は52.41%である。6時間連続に浸けた後は24.63階調になり、階調変化は84.94%である。1%の乳酸カルシウムを含有する着色防止ジェル配合C-3組は染色液に浸ける前の歯の階調は1階、2時間浸けた後は15.06階に上昇し、階調変化は51.95%である。6時間連続に浸けた後は23.3階調になり、階調変化は80.34%である。
【0074】
実施例1に示すように、本発明の着色防止ジェル処理をしない対照群はコーヒーに1時間浸けた後、階調変化は97.7%まで達する。上述の結果から示すように、対照群と比較して、乳酸カルシウムの含有有無に関係せず着色防止ジェル処理した後の歯は良い着色防止効果を表す。注目すべきことは、乳酸カルシウム添加の着色防止ジェル配合は乳酸カルシウム添加しない着色防止ジェル配合よりも歯が長時間コーヒーの中における着色防止力を有効に向上でき、ほかの濃度と比べてより良い着色防止効果を有する。
【0075】
実施例4:表5に示すように、異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合D-1、D-2、D-3、そのほかの成分は表1Aに示すように全て同じである。
【0076】
【0077】
結果は
図5に示す。3%のポリウレタン-35、0%のリン酸水素カルシウム、0%の乳酸カルシウムを含有する着色防止ジェル配合D-1組が染色液に浸ける前の歯の階調の平均は1階、1時間浸けた後は12.6階に上昇し、階調変化は43.6%である。2時間浸けた後は15.6階調に上昇し、階調変化は54.02%である。6時間連続に浸けた後は18階調になり、階調変化は62.06%である。30%のポリウレタン-35、2%のリン酸水素カルシウム、0%の乳酸カルシウムを含有する着色防止ジェル配合D-2組は染色液に浸ける前の歯の階調は1階、2時間浸けた後は11.6階に上昇し、階調変化は40.11%である。6時間連続に浸けた後は15.1階調になり、階調変化は52.06%である。30%のポリウレタン-35、2%のリン酸水素カルシウム、1%の乳酸カルシウムを含有する着色防止ジェル配合D-3組は染色液に浸ける前の歯の階調は1階、2時間浸けた後は10.1階に上昇し、階調変化は34.82%である。6時間連続に浸けた後は13.1階調になり、階調変化は45.1%である。
【0078】
上述の結果から示すように、ポリウレタン-35、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムを含有する着色防止ジェル配合D-3はポリウレタン-35含有の着色防止ジェル配合D-1、ポリウレタン-35とリン酸水素カルシウム含有の着色防止ジェル配合D-2よりも歯が長時間コーヒーの中における着色防止力を有効に向上できる。
【0079】
実施例5:上述実験から分かるように、異なった濃度、単独または組合せのポリウレタン-35、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウムは一定の着色防止力を有する。さらに以下の実施例で3種類の異なった原料が成分割合において、着色防止力作用の相乗作用を探る。
【0080】
表6に示すように、異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合C-1、E、FとGを調製し、そのほかの成分は表1Aに示す。
【0081】
【0082】
先にポリウレタン-35、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムを単独に含有する着色防止構成物によって着色防止効果をテストし、結果は
図6-1と6-2に示す。ポリウレタン-35とリン酸水素カルシウムによって相乗作用テストを行い、表6の配合C-1とEのように、詳細は着色防止結果は
図6-3に示す。
【0083】
前述実施例3のように調製した配合C-1は15%のポリウレタン-35、1%のリン酸水素カルシウムと0%の乳酸カルシウムを含む。コーヒーに浸けない時の歯の階調の平均は3階、1時間浸けた後は13.5階に上昇し、階調変化は45.5%である。2時間浸けた後は15.5階調に上昇し、階調変化は53.44%である。6時間連続に浸けた後は25階調になり、階調変化は86.2%である。同じ方法で配合Eを調製し、15%のポリウレタン-35、0%のリン酸水素カルシウムと0%の乳酸カルシウムを含有させる。コーヒーに浸けない時の歯の階調の平均は1.76階、1時間浸けた後は17.06階に上昇し、階調変化は58.85%である。2時間浸けた後は21.53階調に上昇し、階調変化は74.25%である。6時間連続に浸けた後は27.33階調になり、階調変化は94.25%である。上述の結果から示すように、ポリウレタン-35とリン酸水素カルシウムを合わせた配合はポリウレタン-35を単独に使用する時より歯着色防止力を延長できる。
【0084】
実施例6:上述の実施例5に類似した方法で実施例6を行い、表7に示すように、異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合B-1とEを調製し、そのほかの成分は表1Aに示し、詳細の着色防止結果は
図7に示す。
【0085】
【0086】
前述実施例3のように調製した配合B-1は15%のポリウレタン-35、0%のリン酸水素カルシウムと0.5%の乳酸カルシウムを含む。コーヒーに浸けない時の歯の階調の平均は2階、1時間浸けた後は14.8階に上昇し、階調変化は51.03%である。2時間浸けた後は18.3階調に上昇し、階調変化は53.44%である。6時間連続に浸けた後は25.7階調になり、階調変化は88.62%である。同じ方法で配合Eを調製し、15%のポリウレタン-35、0%のリン酸水素カルシウムと0%の乳酸カルシウムを含有させる。コーヒーに浸けない時の歯の階調の平均は1.76階、1時間浸けた後は17.06階に上昇し、階調変化は58.85%である。2時間浸けた後は21.53階調に上昇し、階調変化は74.25%である。6時間連続に浸けた後は27.33階調になり、階調変化は94.25%である。上述の結果から示すように、ポリウレタン-35と乳酸カルシウムを合わせた配合はポリウレタン-35を単独に使用する時より歯着色防止力を延長できる。
【0087】
実施例7:上述の実施例5に類似した方法で実施例7を行い、表8に示すように、異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合D-2とD-3を調製し、そのほかの成分は表1Aに示し、詳細の着色防止結果は
図8に示す。
【0088】
【0089】
前述実施例4のように配合D-2とD-3を調整し、配合D-2は30%のポリウレタン-35、2%のリン酸水素カルシウムと0%の乳酸カルシウムを含む。コーヒーに浸けない時の歯の階調は1階、2時間浸けた後は11.6階に上昇し、階調変化は40.11%である。6時間連続に浸けた後は15.1階調になり、階調変化は52.06%である。配合D-3は30%のポリウレタン-35、2%のリン酸水素カルシウムと1%の乳酸カルシウムを含む。コーヒーに浸けない時の歯の階調は1階、2時間浸けた後は10.1階に上昇し、階調変化は34.82%である。6時間連続に浸けた後は13.1階調になり、階調変化は45.1%である。上述の結果から示すように、着色防止構成物において、ポリウレタン-35とリン酸水素カルシウムが乳酸カルシウムとの組合せはポリウレタン-35とリン酸水素カルシウムの組合せより歯着色防止力を延長できる。
【0090】
実施例8:上述の実施例5に類似した方法で実施例8を行い、表9に示すように、異なった濃度のポリウレタン-35、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムの着色防止ジェル配合B-1とB-2を調製し、そのほかの成分は表1Aに示し、詳細の着色防止結果は
図9に示す。
【0091】
【0092】
前述実施例2のように、配合B-1とB-2を調整し、配合B-1は15%のポリウレタン-35、0%のリン酸水素カルシウムと0.5%の乳酸カルシウムを含む。コーヒーに浸けない時の歯の階調は2階、1時間浸けた後は14.8階に上昇し、階調変化は51.03%である。2時間浸けた後は18.3階に上昇し、階調変化は53.44%である。6時間連続に浸けた後は25.7階調になり、階調変化は88.62%である。配合B-2は15%のポリウレタン-35、1%のリン酸水素カルシウムと0.5%の乳酸カルシウムを含む。コーヒーに浸けない時の歯の階調は3階、2時間浸けた後は15.5階に上昇し、階調変化は53.44%である。6時間連続に浸けた後は25階調になり、階調変化は86.2%である。上述の結果から示すように、ポリウレタン-35とリン酸水素カルシウムが乳酸カルシウムとの組合せはポリウレタン-35と乳酸カルシウムの組合せより歯着色防止力を延長できる。
【0093】
3種類の成分の着色防止に対する関係性について、
{X}:ポリウレタン-35だけを含む配合の着色防止力(階調変化率%で表示)
{Y}:リン酸水素カルシウムだけを含む配合の着色防止力(階調変化率%で表示)
{Z}:乳酸カルシウムだけを含む配合の着色防止力(階調変化率%で表示)
{X+Y}:ポリウレタン-35とリン酸水素カルシウムを組み合わせた配合の着色防止力(階調変化率%で表示)
{X+Z}:ポリウレタン-35と乳酸カルシウムを組み合わせた配合の着色防止力(階調変化率%で表示)
{X+Y+Z}:ポリウレタン-35とリン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムを組み合わせた配合の着色防止力(階調変化率%で表示)
【0094】
図6-3の結果から分かるように、ポリウレタン-35とリン酸水素カルシウムの組合せは少なくとも相乗効果があり、4時間目の階調変化率はそれぞれ80.45%、67.24%であり、次の式{X+Y}≧1.23{X}が得られる。
図7の結果から分かるように、ポリウレタン-35と乳酸カルシウムの組合せは少なくとも相乗効果があり、4時間目の階調変化率はそれぞれ80.45%、
66.2%であり、次の式{X+Z}≧1.03{X}が得られる。
図8から分かるように、ポリウレタン-35、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムの組合せは少なくとも相乗効果があり、4時間目の階調変化率は46.66%、43.21%であり、次の式{X+Y+Z}≧1{X+Y}が得られる。
図9から分かるように、ポリウレタン-35、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムの組合せは少なくとも相乗効果があり、4時間目の階調変化率は82.75%、67.24%であり、次の式{X+Y+Z}≧1.37{X+Z}が得られる。上述から分かるように、この濃度範囲内の組合せ配合は歯に対する着色防止力は少なくとも相乗効果がある。
【0095】
3種類の成分が着色防止に対する相乗作用について、T.C.ChouとL.Zhao等が提出した二種の試剤の間の結合係数(Combination Index,CI)を参照して二種の試剤の間の相互作用を評価する。CI<1の場合は結合試剤が協同作用を有し、CI≒1の場合は結合試剤が相乗作用を有し、CI>1の場合は結合試剤が対抗作用を有し、CIの値が大きければ対抗作用の可能性も大きくなる。
【0096】
A.ポリウレタン-35とリン酸水素カルシウムの協同作用について、測定時間は6時間を実験の終了時間とし、異なった配合による色戻し率は70%に達する変化量は時間に対応して計算数値とし、各濃度の変化量が70%に達する時間はCI70%で定義し、式は以下のように、
【0097】
【数1】
計算結果のCI値は約0.81であることから、ポリウレタン-35とリン酸水素カルシウムの組合せは協同作用を有することを証明した。
【0098】
B.ポリウレタン-35と乳酸カルシウムの協同作用について、測定時間は6時間を実験の終了時間とし、異なった配合による色戻し率は70%に達する変化量は時間に対応して計算数値とし、各濃度の変化量が70%に達する時間はCI70%で定義し、式は以下のように、
【0099】
【数2】
計算結果のCI値は約0.812であることから、ポリウレタン-35と乳酸カルシウムの組合せは協同作用を有することを証明した。
【0100】
C.ポリウレタン-35、リン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムの協同作用について、測定時間は6時間を実験の終了時間とし、3種類の原料の協同効果が顕著なため、異なった配合による色戻し率は45%に達する変化量は時間に対応して計算数値とし、各濃度の変化量が45%に達する時間はCI45%で定義する。
【0101】
一、ポリウレタン-35がリン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムを組み合わせた協同作用について、
【0102】
【数3】
計算結果のCI値は約0.04であることから、ポリウレタン-35がリン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムの組合せは協同作用を有することを証明した。
【0103】
二、ポリウレタン-35が乳酸カルシウムとリン酸水素カルシウムの協同作用について、
【0104】
【数4】
計算結果のCI値は約0.04であることから、ポリウレタン-35が乳酸カルシウムとリン酸水素カルシウムの組合せは協同作用を有することを証明した。
【0105】
以上の実験結果から証明できることは、ポリウレタン-35とリン酸水素カルシウムの組合せ、及びポリウレタン-35と乳酸カルシウムの組合せは協同作用を有する。ポリウレタン-35、リン酸水素カルシウム、乳酸カルシウムが組み合わせた配合も同じく協同作用を有する。
【0106】
実施例9:集めた成人の奥歯を37%のリン酸と超純水に超音波によって汚れを振り落とした後、37±2.5℃の濃縮ブラックコーヒー染色液の中に48時間浸けて歯を染める。その後は、以下の方法によって異なった試剤に浸け、VITA評価用シェードガイドとカメラ(Canon M6 Mark ii)を合わせて歯の階調を記録する。
【0107】
上述の染色した歯を空白組、美白組と着色防止組に分け、各組はそれぞれ3本の歯(N=3)で測定し、統計上においてt検定を採用して分析を行い、組の平均数を基にt検定を計算する。各組はそれぞれ以下のステップを行う:
(1)空白組:毎日、歯を超純水に25分間浸け、取り出した後は超純水で洗浄し(模擬うがい)、PBS模擬培養液の中(模擬口腔環境)に入れ、37±2.5℃で24時間培養するように、この手順を連続7日間繰り返して行う。
(2)着色防止未処理組:毎日、歯を美白剤ジェルに25分間浸け(表1Bを参照)、取り出した後は超純水で洗浄してPBS模擬培養液に入れ、37±2.5℃で24時間培養するように、この手順を連続7日間繰り返して行う。
(3)着色防止処理組:毎日、歯を美白剤ジェルに25分間浸け(表1Bを参照)、取り出した後は超純水で洗浄してから、再び着色防止ジェル(表1Aを参照)に15分間浸け、取り出し後は超純水で洗浄してPBS模擬培養液に入れ、37±2.5℃で24時間培養するように、この手順を連続7日間繰り返して行う。
【0108】
その後、上述の着色防止未処理組と着色防止処理組の歯を37±2.5℃の濃縮ブラックコーヒー染色液に18時間浸け、VITA評価用シェードガイドとカメラ(Canon M6 Mark ii)を合わせて、15分ごとに歯の階調変化と色素の累積時間の相関値を観測する。
【0109】
上述のように、7日間の空白組、着色防止未処理組と着色防止処理組の美白テスト結果は
図10に示す。
図10から明らかに分かるように、空白組は歯美白効果がなく、着色防止未処理組と着色防止処理組は顕著な歯美白効果を有する。7日間のテスト期間では、着色防止未処理組と着色防止処理組はそれぞれ21階調と25.6階調を下がり、着色防止処理組の歯美白効果が最もよく、着色防止未処理組より4.5階調多い。
【0110】
7日間の美白テストをした後、着色防止未処理組と着色防止処理組はブラックコーヒー染色液に入れ、さらに着色防止ジェルの着色防止効果を分析した結果は
図11に示す。
図11から分かるように、15分ごとに観測した区間において、最初の2時間の間は着色防止未処理組の歯がコーヒー色素に対してあまり着色防止作用がないが、2時間後は9階調から29階調までに上昇し、色戻し率は100%に達する。着色防止処理組の歯はコーヒー色素に対して着色防止作用があり、2時間後は3階調から16階調までに上昇し、色戻し率は46.2%だけに達し、6時間後の色戻し率は80%に達する。比較すると、本発明の着色防止構成物により処理した後の歯はコーヒー色素に対する着色防止作用を有効に向上できる。言い換えれば、本発明の着色防止構成物は本発明の歯美白剤の美白効果を延長でき、歯の美白後の色素沈着を遅延できる。
【0111】
上述の実施例の結果に示すように、本発明の歯着色防止構成物を処理した歯の着色防止効果は、本発明の歯着色防止構成物を処理していない歯より優れ、歯の着色防止時間を延長できる。安全性と歯がコーヒーに対する着色防止力は安全な濃度内であるため、30%のポリウレタン-35を含有する歯着色防止構成物は、コーヒー色素に対する着色防止作用が6時間も持続でき最も有効に向上できる。3%のポリウレタン-35を含有する歯着色防止構成物は連続6時間をコーヒーに浸ける場合もコーヒー色素に対して着色防止作用を有する。
【0112】
着色防止効果の結果に示すように、ポリウレタン-35をリン酸水素カルシウムまたは乳酸カルシウムと組み合わせた配合はポリウレタン-35だけの配合より歯が長期にまたは頻繁にコーヒー環境での着色防止力を有効に向上できる。
図8と
図9の結果から示すように、ポリウレタン-35がリン酸水素カルシウムと乳酸カルシウムを組み合わせた配合は、ポリウレタン-35がリン酸水素カルシウムまたは乳酸カルシウムより歯が長期にまたは頻繁にコーヒー環境での着色防止力を有効に向上でき、例えば6時間連続にコーヒーに浸けてもコーヒー色素に対して着色防止作用を発揮できる。
【0113】
このほか、ポリウレタン-35を含有する着色防止構成物の中に一定の割合のリン酸水素カルシウム、乳酸カルシウムを添加すると、ポリウレタン-35を補助して歯の着色防止力を向上させ、歯の長期にわたる着色防止作用を顕著に向上できる。
【0114】
以下は例示性の実施方法を提供し、その番号は重要性の程度を指定するものと解釈されるべきでない。
【0115】
実施方法1は歯着色防止構成物を提供し、歯着色防止構成物の重量の3%~30%のポリウレタンと0.1%~25%のリン酸水素カルシウム、及びそのほかの口腔が許容できる担体及び/または賦形剤と、を備える。
【0116】
実施方法2は実施方法1のような歯着色防止構成物を提供し、さらに 歯着色防止構成物の重量の0.1%~25%の乳酸カルシウムを含む。
【0117】
実施方法3は実施方法1または2のような歯着色防止構成物を提供し、さらに歯着色防止構成物の重量の2.5%~30%のポリビニルピロリドン、0.2%~20%のアクリル酸共重合体及び/または0.1%~25%の二酸化チタンを含み、また該歯着色防止構成物の全ての成分の総重量は100%である。
【0118】
実施方法4は実施方法1から3のいずれかの歯着色防止構成物を提供し、さらに水を含む。
【0119】
実施方法5は実施方法1から3のいずれかの歯着色防止構成物を提供し、さらに少なくとも一種類の湿潤剤を含む。
【0120】
実施方法6は実施方法5のような歯着色防止構成物を提供し、該湿潤剤はソルビトール、グリセリン、キシリトール、プロピレングリコール、またはそれらを組み合わせたグループから選ばれる。
【0121】
実施方法7は実施方法1から3のいずれかの歯着色防止構成物を提供し、さらに少なくとも一種類の界面活性剤を含む。
【0122】
実施方法8は実施方法7のような歯着色防止構成物を提供し、該界面活性剤はポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、またはそれらを組み合わせたグループから選ばれる。
【0123】
実施方法9は実施方法1から3のいずれかの歯着色防止構成物を提供し、さらに少なくとも一種類の炭酸カリウムのアレルギー防止剤である。
【0124】
実施方法10は実施方法9のような歯着色防止構成物を提供し、該炭酸カリウムはクエン酸カリウム、硝酸カリウム、塩化カリウム、またはそれらを組み合わせたグループから選ばれる。
【0125】
実施方法11は実施方法1から3のいずれかの歯着色防止構成物を提供し、さらに少なくとも一種類の抗菌剤または防腐剤を含む。
【0126】
実施方法12は実施方法11のような歯着色防止構成物を提供し、該抗菌剤または防腐剤はフェノキシエタノール、安息香酸、サリチル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、メチルパラベン、クロルフェネシン(Chlorphenesin)、エチルヘキシルグルセリン、またはそれらを組み合わせたグループから選ばれる。
【0127】
実施方法13は実施方法1から3のいずれかの歯着色防止構成物を提供し、さらに少なくとも一種類の風味剤である。
【0128】
実施方法14は実施方法13のような歯着色防止構成物を提供し、該風味剤は精油や調味するための各種アルデヒド、エステル、アルコールなどの物質を含む。該精油の実例は、レモン、ダイダイ、グレープフルーツ、ミカン、ペパーミント、モチノキ、サッサフラス、チョウジ、セージ、スペアミント、マジョラム、シナモンなどのオイルエキスを含む。
【0129】
実施方法15は実施方法13のような歯着色防止構成物を提供し、該風味剤はアセスルファムカリウム、N-エチル-2-イソプロピル-5-メチルシクロヘキサンカルボキサミド、メントール、カルボン、またはアネトールを含む。
【0130】
実施方法16は実施方法1から3のいずれかの歯着色防止構成物を提供し、さらに少なくとも一種類の研磨剤を含む。
【0131】
実施方法17は実施方法16のような歯着色防止構成物を提供し、該研磨剤は水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸水素カルシウム、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、ベントナイト、またはそれらを組み合わせたグループから選ばれるものである。
【0132】
実施方法18は実施方法1から17のいずれかの歯着色防止構成物を提供し、それは溶液、ジェル、糊剤または軟膏剤型である。
【0133】
実施方法19は一種類の歯着色防止キットを提供し、それは実施方法1から17のいずれかの歯着色防止構成物と取扱説明書を備えるものである。
【0134】
実施方法20は一種類の歯美白着色防止キットを提供し、それは実施方法1から17のいずれかの歯着色防止構成物、歯美白構成物と取扱説明書を備えるものである。
【0135】
実施方法21は一種類の歯着色防止方法を提供し、それは実施方法1から17のいずれかの歯着色防止構成物を歯の表面に一時的に付けた後、水でうがいして歯の表面に付着していない該歯着色防止構成物を除去するものである。
【0136】
実施方法22は実施方法21のような歯着色防止方法を提供し、該歯は該歯着色防止構成物を使用する前にすでに歯美白剤によってホワイトニングするものである。
【0137】
実施方法23は実施方法21のような歯着色防止方法を提供し、該歯は該歯着色防止構成物を使用する前に歯磨剤によってきれいにするものである。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は着色防止特性がある歯着色防止構成物、歯着色防止キットと該着色防止キットの使用方法を提供し、該歯着色防止構成物は歯科と美容保健などの産業分野に活用でき、優れた効果を有する。
【要約】 (修正有)
【課題】歯のホワイトニングの後の歯の表面に色素が沈着し易い、或は歯が敏感になるという問題を解決する。
【解決手段】本発明は歯着色防止構成物に関し、ポリウレタンとリン酸水素カルシウム、及び選択可能なそのほかの口腔が許容できる担体及び/または賦形剤とを含む。本発明はまた歯着色防止キットと該歯着色防止構成物を用いた歯着色防止方法も提供する。
【選択図】
図2