(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】切削チップホルダー及び切削工具
(51)【国際特許分類】
B23B 27/10 20060101AFI20231115BHJP
B23Q 11/10 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
B23B27/10
B23Q11/10 A
(21)【出願番号】P 2022160250
(22)【出願日】2022-10-04
【審査請求日】2023-04-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 達也
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-025110(JP,A)
【文献】特開平10-094904(JP,A)
【文献】特表2012-517908(JP,A)
【文献】国際公開第2021/074979(WO,A1)
【文献】特開2011-088270(JP,A)
【文献】国際公開第2015/056496(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/10
B23C 5/28
B23Q 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各面が他の2面と隣接して配置される、第1チップ面、第2チップ面、及び第3チップ面を有する切削チップを保持する、切削チップホルダーであって、
前記切削チップが取り付けられるヘッドブロックと、
少なくとも1つの吐出口を含む第1クーラントノズルと、
少なくとも1つの吐出口を含む、少なくとも1つの第2クーラントノズルと、を備え、
前記ヘッドブロックは、
各面が他の2面と隣接して配置される、第1ブロック面、第2ブロック面、及び第3ブロック面と、
前記第1チップ面の法線方向から見て前記第1ブロック面が視認され、前記第2チップ面の法線方向から見て前記第2ブロック面が視認され、前記第3チップ面の法線方向から見て前記第3ブロック面が視認される姿勢で、前記切削チップが取り付けられる取付構造と、を有し、
且つ、
一方向から見て、前記第1ブロック面が視認され、前記第2ブロック面及び前記第3ブロック面が視認されない形状を有し、
前記第1クーラントノズルは、前記ヘッドブロックの前記第1ブロック面に取り付けられ、前記第2クーラントノズルは、前記ヘッドブロックの前記第2ブロック面又は前記第3ブロック面の少なくともいずれかに取り付けられ、
前記第1クーラントノズルの前記少なくとも1つの前記吐出口は、前記切削チップの前記第1チップ面に向けて配置され、前記第2クーラントノズルの前記少なくとも1つの前記吐出口は、前記切削チップの前記第2チップ面又は前記第3チップ面に向けて配置され
、
前記一方向から見て、前記少なくとも1つの第2クーラントノズルが視認されない位置に配置されている、切削チップホルダー。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第2クーラントノズルは、前記ヘッドブロックの前記第2ブロック面及び前記第3ブロック面に取り付けられた一対の第2クーラントノズルを含み、前記一対の第2クーラントノズルの前記少なくとも1つの前記吐出口は、前記切削チップの前記第2チップ面及び前記第3チップ面に向けて配置されている、請求項1に記載の切削チップホルダー。
【請求項3】
前記第1クーラントノズルの前記吐出口と、前記第2クーラントノズルの前記吐出口とのうち、少なくとも前記第2クーラントノズルの前記吐出口が、前記切削チップの前記第1チップ面、前記第2チップ面、及び前記第3チップ面の境界に位置する加工点に向けられている、請求項1又は2に記載の切削チップホルダー。
【請求項4】
前記第2クーラントノズルと、前記切削チップの前記第1チップ面、前記第2チップ面、及び前記第3チップ面の境界に位置する加工点との間の最短距離は、前記第1クーラントノズルと前記加工点との最短距離よりも長い、請求項1又は2に記載の切削チップホルダー。
【請求項5】
前記第1チップ面の前記法線方向から見て、前記第1クーラントノズルの前記少なくとも1つの吐出口は、複数の異なる位置に配置された複数の吐出口を含む、請求項1又は2に記載の切削チップホルダー。
【請求項6】
前記少なくとも1つの第2クーラントノズルは、前記ヘッドブロックの前記第2ブロック面と前記第3ブロック面とにそれぞれ取り付けられた一対の第2クーラントノズルを含み、
前記一方向から見て、前記切削チップの前記第1チップ面、前記第2チップ面、及び前記第3チップ面の境界に位置する加工点を交差点として通過し且つ前記第2ブロック面及び前記第3ブロック面の対称軸を基準として対称配置された一対の直交する直線に挟まれた前記第1ブロック面を包含する領域の内側に、前記一対の第2クーラントノズルの各々の全体が配置されている、請求項1又は2に記載の切削チップホルダー。
【請求項7】
前記一方向から見て、前記領域内で前記切削チップの前記第2チップ面と前記第3チップ面の前記対称軸を基準として対称配置された前記第2チップ面を含む平面と、前記第3チップ面を含む平面との間に、前記一対の第2クーラントノズルの各々の全体が配置されている、請求項
6に記載の切削チップホルダー。
【請求項8】
前記第1ブロック面と前記第2ブロック面との間の角度、及び、前記第1ブロック面と前記第3ブロック面との間の角度が、90°未満の範囲の値である、請求項1又は2に記載の切削チップホルダー。
【請求項9】
更に、前記第1ブロック面と前記第2ブロック面との間の角度、及び、前記第1ブロック面と前記第3ブロック面との間の角度が、45°以上80°未満の範囲の値である、請求項
8に記載の切削チップホルダー。
【請求項10】
クーラントが流通するクーラント流路を備え、
前記クーラント流路は、
外部から供給されたクーラントが流通する第1流路と、
前記第1流路から分岐して前記第1クーラントノズルに向けて延びる第2流路と、
前記第1流路から分岐して前記第2クーラントノズルに向けて延びる少なくとも1つの第3流路と、を含む、請求項1又は2に記載の切削チップホルダー。
【請求項11】
前記クーラント流路は、前記ヘッドブロックの内部に配置されている、請求項
10に記載の切削チップホルダー。
【請求項12】
前記第1クーラントノズル、及び、前記第2クーラントノズルの少なくともいずれか一方は、前記ヘッドブロックに対して着脱自在に取り付けられている、請求項1又は2に記載の切削チップホルダー。
【請求項13】
前記ヘッドブロックは、前記第2ブロック面及び前記第3ブロック面の少なくともいずれかのブロック面に配置されて、前記ブロック面に配置された前記第2クーラントノズルから前記切削チップに向けて延びるクーラント溝を有し、
前記第2クーラントノズルの前記吐出口の少なくとも一部が、前記クーラント溝の内部に位置している、請求項1又は2に記載の切削チップホルダー。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の切削チップホルダーと、
前記切削チップと、を備える、切削工具
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、切削チップホルダー及び切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
切削チップと、切削チップを保持する切削チップホルダーとを備え、被切削物を切削チップにより切削する切削工具が知られている。切削チップは、すくい面と逃げ面とを露出させた状態で、切削チップホルダーに保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切削工具では、被切削物の切削に伴って切削チップが昇温することにより、切削チップの寿命に影響が生じることがある。このため、例えば特許文献1に開示されるように、切削チップをクーラントにより冷却する対策が図られる。しかしながら、被切削物及び切屑等により、切削チップにクーラントが届きにくいため、切削チップが冷却されにくい問題がある。
【0005】
そこで本開示の一態様は、切削チップをクーラントにより効率的に冷却可能な切削チップホルダー、及び、切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る切削チップホルダーは、各面が他の2面と隣接して配置される、第1チップ面、第2チップ面、及び第3チップ面を有する切削チップを保持する、切削チップホルダーであって、前記切削チップが取り付けられるヘッドブロックと、少なくとも1つの吐出口を含む第1クーラントノズルと、少なくとも1つの吐出口を含む、少なくとも1つの第2クーラントノズルと、を備え、前記ヘッドブロックは、各面が他の2面と隣接して配置される、第1ブロック面、第2ブロック面、及び第3ブロック面と、前記第1チップ面の法線方向から見て前記第1ブロック面が視認され、前記第2チップ面の法線方向から見て前記第2ブロック面が視認され、前記第3チップ面の法線方向から見て前記第3ブロック面が視認される姿勢で、前記切削チップが取り付けられる取付構造と、を有し、前記第1クーラントノズルは、前記ヘッドブロックの前記第1ブロック面に取り付けられ、前記第2クーラントノズルは、前記ヘッドブロックの前記第2ブロック面又は前記第3ブロック面の少なくともいずれかに取り付けられ、前記第1クーラントノズルの前記少なくとも1つの前記吐出口は、前記切削チップの前記第1チップ面に向けて配置され、前記第2クーラントノズルの前記少なくとも1つの前記吐出口は、前記切削チップの前記第2チップ面又は前記第3チップ面に向けて配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、切削チップをクーラントにより効率的に冷却可能な切削チップホルダー、及び、切削工具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る切削工具の外観図である。
【
図2】
図2は、
図1の切削工具に取り付けられた切削チップと切削チップの周辺の構成を示す部分図である。
【
図3】
図3は、
図1の切削工具に取り付けられた切削チップと切削チップの周辺の構成を示す部分断面図である。
【
図4】
図4は、切削作業中の
図1の切削工具の第1チップ面側から見た部分図である。
【
図5】
図5は、切削作業中の
図1の切削工具の第2チップ面側から見た部分図である。
【
図6】
図6は、第1変形例に係る切削工具に取り付けられた切削チップと切削チップの周辺の構成を示す部分図である。
【
図7】
図7は、第2変形例に係る切削工具の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、図面を参照して実施形態を説明する。以下に言及する第1チップ面の法線方向、第2チップ面の法線方向、及び、第3チップ面の法線方向は、切削チップホルダー3に切削チップ2が取り付けられた状態での方向を示す。
【0010】
図1は、実施形態に係る切削工具1の外観図である。
図1に示すように、切削工具1は、切削チップ2と、切削チップ2を保持する切削チップホルダー3とを備える。切削工具1は、切削チップ2を着脱自在に保持する。切削工具1は、例えば、被切削物Wを回転させた状態で切削工具1を被切削物Wに接触させることにより被切削物Wを旋盤加工する切削装置に装着される。切削作業中に発生する切削チップ2の熱は、切削チップ2に供給されるクーラントにより冷却される。詳細を後述するように、切削工具1では、クーラントを切削チップ2の各チップ面C1~C3に向けて供給することで、切削チップ2の冷却効果が向上されている。
【0011】
切削チップ2は、超硬合金等の硬質材料を含む。切削チップ2は、各面が他の2面と隣接して配置される、第1チップ面C1、第2チップ面C2、及び、第3チップ面C3を有する。第1チップ面C1は、すくい面とも称される。第2チップ面C2及び第3チップ面C3は、逃げ面とも称される。本実施形態の切削チップ2は、第1チップ面C1、第2チップ面C2、及び第3チップ面C3が各法線方向から見て四角形である、直方体形状を有する。
【0012】
また切削チップ2は、第1チップ面C1、第2チップ面C2、及び第3チップ面C3の境界に位置する加工点C4を有する。加工点C4は、コーナー又は切れ刃とも称する。加工点C4は、被切削物Wと接触する。また切削チップ2は、第1チップ面C1の法線方向Zに延びる貫通孔2aを有する。貫通孔2aには、後述する切削チップホルダー3の固定部材31が挿入される。
【0013】
加工点C4は、厳密な点でなくてもよい。また、第1チップ面C1の法線方向Zから見て、加工点C4を含む切削チップ2の微小領域がカーブ(ノーズアール)を有していてもよい。
【0014】
切削チップ2の形状は、直方体形状に限定されず、例えば円柱体形状でもよい。円柱体形状の切削チップ2では、加工点C4を被切削物Wに接触させた状態において、第1チップ面C1の法線方向Zから見て、前記円柱体形状の周面領域のうち、加工点C4よりも一方側に位置する領域が第2チップ面C2として機能し、加工点C4よりも他方側に位置する領域が第3チップ面C3として機能する。即ち、円柱体形状の切削チップ2の周面は、第2チップ面C2と第3チップ面C3とを含む。
【0015】
切削チップホルダー3は、ヘッドブロック3aと取付ブロック3bとを有する。ヘッドブロック3aには、切削チップ2が取り付けられる。ヘッドブロック3aは、各面が他の2面と隣接して配置される、第1ブロック面B1、第2ブロック面B2、及び第3ブロック面B3を有する。本実施形態では、一例として、第1ブロック面B1と第1チップ面C1とは平行面である。また、第2ブロック面B2と第2チップ面C2とは平行面である。また、第3ブロック面B3と第3チップ面C3とは平行面である。ヘッドブロック3aの構成は、これに限定されない。例えばブロック面B1~B3の少なくともいずれかは、曲面状や球面状であってもよいし、複数の面を含んでいてもよい。
【0016】
ヘッドブロック3aは、切削チップ2が取り付けられる取付構造3cを有する。取付構造3cには、第1チップ面C1の法線方向Zから見て第1ブロック面B1が視認され、第2チップ面C2の法線方向Xから見て第2ブロック面B2が視認され、第3チップ面C3の法線方向Yから見て第3ブロック面B3が視認される姿勢で、切削チップ2が取り付けられる。チップ面の法線方向から見てブロック面が視認される姿勢とは、切削チップ2を取付ける際、平均的な作業者がチップ面の法線方向から見てブロック面を視認できる姿勢であって、切削チップで切削作業が可能となる姿勢であればよい。
【0017】
ヘッドブロック3aは、後述するシート部材30を介して、切削チップ2の第1チップ面C1とは反対側の面と対向するチップ座面3dを有する。チップ座面3dは、第1チップ面C1の法線方向Zから見て、第2ブロック面B2と第3ブロック面B3とが隣接するヘッドブロック3aの先端部分に配置されている。チップ座面3dには、固定部材31の先端部分が挿入される挿入孔3eが設けられている。本実施形態のチップ座面3dと第1チップ面C1とは平行面である。なお、チップ座面3dと第1チップ面C1は、これに限定されず、平行面でなくてもよい。
【0018】
本実施形態の取付構造3cは、一例として、シート部材30、固定部材31、及び係止部材32を有する。シート部材30は、板状体であり、チップ座面3d上に配置されている。シート部材30は、板厚方向に固定部材31が挿通される貫通孔30a(
図2参照)を有する。本実施形態のシート部材30の板面と第1チップ面C1とは平行面である。
【0019】
図2は、
図1の切削工具1に取り付けられた切削チップ2と切削チップ2の周辺の構成を示す部分図である。
図3は、
図1の切削工具1に取り付けられた切削チップ2と切削チップ2の周辺の構成を示す部分断面図である。
【0020】
図2に示すように、固定部材31は、軸部31aと、軸部31aの一端に配置された拡径部31bとを有する。拡径部31bは、切削チップ2の貫通孔2aの周縁と係合する。
図3に示すように、軸部31aは、軸部31aの一部に配置されて軸部31aの径方向内方に向けて窪む窪み部31cを有する。係止部材32は、軸部を有する部材である。係止部材32は、軸方向の一端面に配置されて締結工具と係合する係合溝32aと、周面に配置された第1ネジ32bとを有する。
【0021】
ヘッドブロック3aは、固定部材31の軸部31aが挿入されて案内される第1案内路R1と、係止部材32が挿入されて案内される第2案内路R2とを有する。案内路R1、R2は、交差する方向に延びて互いに連通している。また取付構造3cは、第2案内路R2を区画するヘッドブロック3aの内周面に配置されて第1ネジ32bと螺合する第2ネジ3fを有する。
【0022】
チップ座面3dにシート部材30が配置され、且つ、シート部材30のチップ座面3dとは反対側の面に切削チップ2が配置された状態で、軸部31aが、貫通孔2a、30a、及び、第1案内路R1に挿入される。また、係合溝32aに締結工具を係合させた状態で、第2ネジ3fに第1ネジ32bが螺合される。ネジ3f、32bの螺合の進行に伴い、係止部材32の挿入側の先端部分が窪み部31c内の表面を第2案内路R2の延びる方向に押圧する。これにより、固定部材31が第1案内路R1の内部に引き込まれる。このとき、固定部材31の拡径部31bにより、切削チップ2がシート部材30を介してチップ座面3dに押圧される。
【0023】
また切削チップ2は、チップ座面3dと第1ブロック面B1との間に配置されたヘッドブロック3aの壁面3gに押圧される。切削チップ2は、シート部材30のチップ座面3d側とは反対側の面と、ヘッドブロック3aの壁面3gとにより、ヘッドブロック3aに対して位置決めされる。以上で、取付構造3cにより切削チップ2が切削チップホルダー3に取り付けられる。なお、取付構造3cの構成は、これに限定されない。
【0024】
切削チップホルダー3は、複数のクーラントノズルを備える。この複数のクーラントノズルは、切削チップ2に生じる熱を冷却するクーラントを噴出する。クーラントは、例えば、液体、気体、及び、これらの混合物より、適宜選択可能である。本実施形態のクーラントは、水を含む。
【0025】
切削チップホルダー3は、少なくとも1つの吐出口を含む第1クーラントノズル33を備える。
図1に示すように、第1クーラントノズル33は、ヘッドブロック3aの第1ブロック面B1に取り付けられている。第1クーラントノズル33の前記少なくとも1つの吐出口は、切削チップ2の第1チップ面C1に向けて配置されている。
【0026】
切削チップホルダー3は、少なくとも1つの吐出口を含む、少なくとも1つの第2クーラントノズルを備える。前記少なくとも1つの第2クーラントノズルは、ヘッドブロック3aの第2ブロック面B2又は第3ブロック面B3の少なくともいずれかに取り付けられる。第2クーラントノズルの前記少なくとも1つの前記吐出口は、切削チップ2の第2チップ面C2又は第3チップ面C3に向けて配置されている。
【0027】
本実施形態の前記少なくとも1つの第2クーラントノズルは、ヘッドブロック3aの第2ブロック面B2と第3ブロック面B3とにそれぞれ取り付けられた一対の第2クーラントノズル34、35を含んでもよい。この場合、例えば、第2クーラントノズル34は、第2ブロック面B2に取り付けられる。また、第2クーラントノズル35は、第3ブロック面B3に取り付けられる。
【0028】
本実施形態の切削チップホルダー3では、第1クーラントノズル33の吐出口と、第2クーラントノズル34、35の吐出口とのうち、少なくとも第2クーラントノズル34、35の吐出口が、加工点C4に向けられている。本実施形態では一例として、第1クーラントノズル33の吐出口と、第2クーラントノズル34、35の吐出口の全てが、切削チップ2の加工点C4に向けられている。
【0029】
第1クーラントノズル33の前記少なくとも1つの吐出口は、例えば、複数の吐出口33a~33cを含む。
図2に示すように、第1チップ面C1の法線方向Zから見て、複数の吐出口33a~33cは、複数の異なる位置に配置されている。これにより、複数の吐出口33a~33cから、互いに異なる方向より、加工点C4に向けて豊富なクーラントが吐出される。本実施形態の第1クーラントノズル33は、第1ブロック面B1から外方へ向けて突出した位置に配置されている。これにより、吐出口33a~33cから第1チップ面C1に向けて噴出されたクーラントが、切削チップ2の加工点C4に届き易くなっている。
【0030】
一対の第2クーラントノズル34、35は、一例として、1つの吐出口34a、35aを有する。一対の第2クーラントノズル34、35の各吐出口34a、35aから、互いに異なる方向より、加工点C4に向けてクーラントが吐出される。本実施形態の第2クーラントノズル34は、第2ブロック面B2から外方に向けて突出した位置に配置されている。これにより、吐出口34aから第2チップ面C2に向けて噴出されたクーラントが、切削チップ2の加工点C4に届き易くなっている。また、本実施形態の第2クーラントノズル35は、第3ブロック面B3から外方に向けて突出した位置に配置されている。これにより、吐出口35aから第3チップ面C3に向けて噴出されたクーラントが、切削チップ2の加工点C4に届き易くなっている。
【0031】
本実施形態の吐出口33a~33cは、一例として、同一の内径を有する。また一例として、吐出口34a、35aは、同一の内径を有する。本実施形態の吐出口34a、35aの内径は、吐出口33a~33cの内径よりも大きい。なお、吐出口34a、35aの内径は、吐出口33a~33cの内径よりも小さくてもよいし、吐出口33a~33cの内径と同一でもよい。
【0032】
本実施形態の切削チップホルダー3では、一例として、第2クーラントノズル34、35と、加工点C4との間の最短距離が、第1クーラントノズル33と加工点C4との最短距離よりも長い。これにより、加工点C4が被切削物Wに接触した状態において、第2クーラントノズル34、35が、被切削物W及び切屑等と干渉するのが抑制されている。従って、第2クーラントノズル34、35からのクーラントを第2チップ面C2及び第3チップ面C3に向けて安定的に供給できる。一例として、吐出口34a、35aは、第1チップ面C1を水平面とするとき、吐出口34a、35aは、第1チップ面C1よりも下方の位置に配置されている(
図5参照)。
【0033】
図2に示すように、本実施形態のヘッドブロック3aは、一方向(こここでは第1チップ面C1の法線方向Z)から見て、第1ブロック面B1が視認され、第2ブロック面B2及び第3ブロック面B3が視認されない形状を有していてもよい。
【0034】
ヘッドブロック3aは、前記一方向から見て、後述する領域Aの内側に一対の第2クーラントノズル34、35の各々の全体が配置されていてもよい。一対の第2クーラントノズル34、35は、第2ブロック面B2及び第3ブロック面B3の対称軸Sを基準として、領域Aの内側に対称的に配置されている。
【0035】
本実施形態のヘッドブロック3aは、前記一方向から見て、第1ブロック面B1が視認され、第2ブロック面B2及び第3ブロック面B3が視認されない形状を有しつつ、前記領域Aの内側に一対の第2クーラントノズル34、35の各々の全体が配置されていてもよい。
【0036】
領域Aは、前記一方向から見て、直線L1、L2に挟まれた第1ブロック面B1を包含する領域である。直線L1、L2は、前記一方向から見て、一対の直交する直線であり(すなわち、直線L1と直線L2との間の角度は、90°の値)、切削チップ2の加工点C4を交差点として通過し且つ第2ブロック面B2及び第3ブロック面B3の対称軸Sを基準として対称配置された直線である。
【0037】
上記構成によれば、第2ブロック面B2、第3ブロック面B3及び第2クーラントノズル34、35が被切削物W及び切屑等に干渉することを抑制できる。従って、第2クーラントノズル34、35からのクーラントを第2チップ面C2及び第3チップ面C3に向けて安定的に供給できる。なお、一対の第2クーラントノズル34、35の配置はこれに限定されない。例えば、前記一方向から見て、一対の第2クーラントノズル34、35は、少なくとも一部が領域Aの外側に配置されていてもよい。また、一対の第2クーラントノズル34、35は、前記一方向から見て、対称軸Sを基準として、領域Aの内側に非対称的に配置されていてもよい。
【0038】
一例として、前記一方向から見て、領域A内で対称軸Sを基準として対称配置された第2チップ面C2を含む平面P1と、第3チップ面C3を含む平面P2との間に、一対の第2クーラントノズル34、35の各々の全体が配置されている。一対の第2クーラントノズル34、35は、前記一方向から見て、対称軸Sを基準として、平面P1と平面P2との間に対称的に配置されている。平面P1と平面P2との間の角度は、一例として90°未満の範囲の値である。
【0039】
上記構成によれば、第2クーラントノズル34、35がブロック面B2、B3から外方へ向けて突出する突出量が抑制されるので、一対の第2クーラントノズル34、35が被切削物W及び切屑等に干渉するのが抑制されている。従って、第2クーラントノズル34、35からのクーラントを第2チップ面C2及び第3チップ面C3に向けて安定的に供給できる。なお、一対の第2クーラントノズル34、35の配置はこれに限定されない。例えば、前記一方向から見て、一対の第2クーラントノズル34、35は、その少なくとも一部が平面P1、P2の間の外側に配置されていてもよい。また、一対の第2クーラントノズル34、35は、前記一方向から見て、対称軸Sを基準として、平面P1と平面P2との間に非対称的に配置されていてもよい。また、平面P1と平面P2との間の角度は、90°以上の範囲の値であってもよい。
【0040】
本実施形態の切削チップホルダー3は、第1クーラントノズル33、及び、第2クーラントノズル34、35の少なくともいずれか一方(本実施形態では両方)は、ヘッドブロック3aに対して着脱自在に取り付けられている。本実施形態の第1クーラントノズル33は、締結構造により、ヘッドブロック3aの第1ブロック面B1に対して取付けられている。また、本実施形態の第2クーラントノズル34、35は、締結構造により、第2ブロック面B2、及び、第3ブロック面B3に対して取り付けられている。これにより、各クーラントノズル33~35は、ヘッドブロック3aに対して個別に且つ容易に着脱される。
【0041】
本実施形態の切削チップホルダー3は、クーラントが流通するクーラント流路R3を備える。クーラント流路R3は、例えば、第1流路R31と、第2流路R32と、少なくとも1つの第3流路R33、R34とを含む。第1流路R31は、外部から供給されたクーラントが流通する。本実施形態の切削チップホルダー3には、取付ブロック3bが切削装置に取り付けられた状態で、切削装置から第1流路R31へ向けてクーラントが供給される。
【0042】
第2流路R32は、第1流路R31から分岐して第1クーラントノズル33に向けて延びている。本実施形態の前記少なくとも1つの第3流路は、一例として、一対の第3流路R33、R34を含む。第3流路R33は、第1流路R31から分岐して第2クーラントノズル35に向けて延びている。第3流路R34は、第1流路R31から分岐して第2クーラントノズル34に向けて延びている。本実施形態のクーラント流路R3は、一例として、ヘッドブロック3aの内部に配置されている。これにより、切削チップホルダー3をコンパクト化できる。なお、クーラント流路R3の全部又は一部は、ヘッドブロック3aの外部に設けられていてもよい。
【0043】
本実施形態のヘッドブロック3aは、一例として、第1ブロック面B1と第2ブロック面B2との間の角度、及び、第1ブロック面B1と第3ブロック面B3との間の角度が、90°未満の範囲の値である。前記角度は、例えば、45°以上80°以下の範囲の値である。
【0044】
上記構成によれば、第1チップ面C1の法線方向Zから見て、第2クーラントノズル34が第1ブロック面B1と第2ブロック面B2との境界位置よりも外方に突出する突出量を抑制できる。また、第1チップ面C1の法線方向Zから見て、第2クーラントノズル35が第1ブロック面B1と第3ブロック面B3との境界位置よりも外方に突出する突出量を抑制できる。これにより、一対の第2クーラントノズル34、35が被切削物W及び切屑等と干渉することを一層抑制できる。従って、一対の第2クーラントノズル34、35からのクーラントを第2チップ面C2及び第3チップ面C3に向けて安定的に供給できる。
【0045】
なお、このブロック面B1~B3の配置はこれに限定されない。例えば、ヘッドブロック3aは、第1ブロック面B1と第2ブロック面B2との間の角度、又は、第1ブロック面B1と第3ブロック面B3との間の角度が、90°以上の範囲の値であってもよい。この場合、第1ブロック面B1と第2ブロック面B2との間の角度、又は、第1ブロック面B1と第3ブロック面B3との間の角度は、例えば、90°以上120°以下の範囲の値であってもよい。
【0046】
図4は、切削作業中の
図1の切削工具1の第1チップ面C1側から見た部分図である。
図4では、一例として、円柱体状の被切削物Wが回転しながら、切削工具1が被切削物Wを外径加工により旋盤加工する様子を示している。
図5は、切削作業中の
図1の切削工具1の第2チップ面C2側から見た部分図である。切削工具1の使用時には、切削工具1の取付ブロック3bが切削装置に取り付けられる。
【0047】
図4に示すように、一例として、被切削物Wが回転軸線Q1の軸周りに回転させられる。また
図5に示すように、一例として、回転軸線Q1の軸方向から見て、回転軸線Q1と切削チップ2の第1チップ面C1とが同一平面上に位置するように設定される。ヘッドブロック3aの各ブロック面B1~B3は、被切削物Wから離隔した位置に保たれる。この状態で、切削チップホルダー3に保持された切削チップ2の加工点C4が被切削物Wの表面と接触させられる。一例として、切削工具1は、回転軸線Q1の軸方向である切削方向Q2に被切削物Wと接触しながら、移動させられる。これにより、被切削物Wの所定領域が切削工具1により切削される。
【0048】
切削工具1には、クーラント流路R3にクーラントが供給される。クーラントは、第1クーラントノズル33、及び、第2クーラントノズル34、35の各吐出口33a~33c、34a、35aから噴出される。クーラントは、切削チップ2の各チップ面C1~C3に向けて供給され、加工点C4を冷却する。
【0049】
切削工具1によれば、第1クーラントノズル33と第2クーラントノズル34、35とから噴出される豊富なクーラントが切削チップ2の各チップ面C1~C3に向けて供給される。第1クーラントノズル33は、第1チップ面C1に向けてクーラントを供給する。第2クーラントノズル34、35は、第2チップ面C2及び第3チップ面C3に向けてクーラントを供給する。
【0050】
上記構成によれば、第1クーラントノズル33から第1チップ面C1に向けて噴出されるクーラントのみでは切削チップを冷却しにくい場合でも、第2クーラントノズル34、35から第2チップ面C2及び第3チップ面C3に向けて噴出されるクーラントにより、異なる方向から切削チップ2の加工点C4を冷却できる。従って、切削チップ2の冷却効果を向上できる。
【0051】
切削チップ2の冷却効果が向上されることで、例えば、切削チップ2の母材の摩耗を抑制できる。また、切削チップ2が被膜を有する場合、被膜の剥離を防止できる。
【0052】
(第1変形例)
以下、本実施形態の変形例について説明する。
図6は、第1変形例に係る切削工具101に取り付けられた切削チップ2と切削チップ2の周辺の構成を示す部分図である。
【0053】
図6に示すように、第1変形例に係る切削ホルダー103のヘッドブロック103aは、一方向(一例として、第1チップ面C1の法線方向Z)から見て、第1ブロック面B1が視認され、第2ブロック面B2及び第3ブロック面B3が視認されない形状を有する。また前記一方向から見て、前記少なくとも1つの第2クーラントノズル(一例として一対の第2クーラントノズル34、35)が視認されない位置に配置されている。これにより、前記一方向から見て、前記少なくとも1つの第2クーラントノズルのうち、1又は複数の第2クーラントノズルの吐出口(一例として、吐出口34a、35a)も視認されない位置に配置されている。
【0054】
上記構成によれば、第2ブロック面B2及び第3ブロック面B3の少なくともいずれかのブロック面から第2クーラントノズルが外方に向けて突出する突出量を抑制できる。その結果、第2クーラントノズルが被切削物W及び切屑等に干渉することを抑制できる。従って、第2クーラントノズルからのクーラントを第2チップ面C2及び第3チップ面C3の少なくともいずれかに向けて安定的に供給できる。
【0055】
(第2変形例)
図7は、第2変形例に係る切削工具201の部分図である。
図7では、切削工具201(切削チップホルダー203)の第3ブロック面B3の一部を拡大して示している。第2変形例に係る切削チップホルダー203のヘッドブロック203aは、第2ブロック面B2及び第3ブロック面B3の少なくともいずれかのブロック面に配置されたクーラント溝203hを有する。
【0056】
図7に示すように、クーラント溝203hは、前記ブロック面に配置された第2クーラントノズル(
図7に示す例では第2クーラントノズル35)から切削チップ2に向けて延びている。また、第2クーラントノズルの吐出口(
図7に示す例では吐出口35a)の少なくとも一部が、クーラント溝203hの内部に位置している。
【0057】
上記構成によれば、例えば、第2クーラントノズルの吐出口からクーラント溝203hの内部にクーラントを噴出することで、クーラント溝203hを通過したクーラントを切削チップ2の第2チップ面C2又は第3チップ面C3に正確に接触させることができる。その結果、切削チップ2の冷却効果を一層向上できる。
【0058】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態及び前記変形例を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施形態にも適用可能である。また、前記実施形態及び前記変形例で説明した各構成要素を組み合わせて新たな実施形態とすることも可能である。例えば、1つの実施形態中の一部の構成を他の構成に適用してもよく、実施形態中の一部の構成は、その実施形態中の他の構成から分離して任意に抽出可能である。また、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれる。
【0059】
(開示項目)
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0060】
[項目1]
各面が他の2面と隣接して配置される、第1チップ面、第2チップ面、及び第3チップ面を有する切削チップを保持する、切削チップホルダーであって、
前記切削チップが取り付けられるヘッドブロックと、
少なくとも1つの吐出口を含む第1クーラントノズルと、
少なくとも1つの吐出口を含む、少なくとも1つの第2クーラントノズルと、を備え、
前記ヘッドブロックは、
各面が他の2面と隣接して配置される、第1ブロック面、第2ブロック面、及び第3ブロック面と、
前記第1チップ面の法線方向から見て前記第1ブロック面が視認され、前記第2チップ面の法線方向から見て前記第2ブロック面が視認され、前記第3チップ面の法線方向から見て前記第3ブロック面が視認される姿勢で、前記切削チップが取り付けられる取付構造と、を有し、
前記第1クーラントノズルは、前記ヘッドブロックの前記第1ブロック面に取り付けられ、前記第2クーラントノズルは、前記ヘッドブロックの前記第2ブロック面又は前記第3ブロック面の少なくともいずれかに取り付けられ、
前記第1クーラントノズルの前記少なくとも1つの前記吐出口は、前記切削チップの前記第1チップ面に向けて配置され、前記第2クーラントノズルの前記少なくとも1つの前記吐出口は、前記切削チップの前記第2チップ面又は前記第3チップ面に向けて配置されている、切削チップホルダー。
【0061】
上記構成によれば、切削チップホルダーに保持された切削チップを、第1クーラントノズルと第2クーラントノズルとから噴出される豊富なクーラントにより冷却できる。また、第1クーラントノズルから第1チップ面に向けて噴出されるクーラントのみでは切削チップを冷却しにくい場合でも、第2クーラントノズルから第2チップ面又は第3チップ面に向けて噴出されるクーラントにより切削チップを冷却できる。従って、切削チップの冷却効果を向上できる。
【0062】
[項目2]
前記少なくとも1つの第2クーラントノズルは、前記ヘッドブロックの前記第2ブロック面及び前記第3ブロック面に取り付けられた一対の第2クーラントノズルを含み、前記一対の第2クーラントノズルの前記少なくとも1つの前記吐出口は、前記切削チップの前記第2チップ面及び前記第3チップ面に向けて配置されている、項目1に記載の切削チップホルダー。
【0063】
上記構成によれば、一対の第2クーラントノズルを用いて、第2チップ面及び第3チップ面の両方に向けてクーラントを供給し、切削チップを冷却できる。従って、切削チップの冷却効果を更に向上できる。
【0064】
[項目3]
前記第1クーラントノズルの前記吐出口と、前記第2クーラントノズルの前記吐出口とのうち、少なくとも前記第2クーラントノズルの前記吐出口が、前記切削チップの前記第1チップ面、前記第2チップ面、及び前記第3チップ面の境界に位置する加工点に向けられている、項目1又は2に記載の切削チップホルダー。
【0065】
上記構成によれば、切削チップの被切削物との接触部分である加工点を、少なくとも第2クーラントノズルから噴出されるクーラントにより効率よく冷却できる。
【0066】
[項目4]
前記第2クーラントノズルと、前記切削チップの前記第1チップ面、前記第2チップ面、及び前記第3チップ面の境界に位置する加工点との間の最短距離は、前記第1クーラントノズルと前記加工点との最短距離よりも長い、項目1~3のいずれか1項に記載の切削チップホルダー。
【0067】
上記構成によれば、第2クーラントノズルは、切削チップの加工点に対して、第1クーラントノズルよりも遠い位置に離隔して配置されるので、第2クーラントノズルが被切削物及び切屑等と干渉することを抑制できる。従って、第2クーラントノズルからのクーラントを第2チップ面又は第3チップ面の少なくともいずれかに向けて安定的に供給できる。
【0068】
[項目5]
前記第1チップ面の前記法線方向から見て、前記第1クーラントノズルの前記少なくとも1つの吐出口は、複数の異なる位置に配置された複数の吐出口を含む、項目1~4のいずれか1項に記載の切削チップホルダー。
【0069】
上記構成によれば、第1クーラントノズルの複数の吐出口から、異なる方向に豊富なクーラントを吐出することにより、切削チップの冷却効果を向上できる。また、第1クーラントノズルの第1ブロック面からの突出量を抑制できる。従って、切削チップホルダーをコンパクト化できる。
【0070】
[項目6]
前記ヘッドブロックは、一方向から見て、前記第1ブロック面が視認され、前記第2ブロック面及び前記第3ブロック面が視認されない形状を有する、項目1~5のいずれか1項に記載の切削チップホルダー。
【0071】
上記構成によれば、ヘッドブロックの第2ブロック面及び第3ブロック面が外方に突出する突出量を抑制できるので、前記ヘッドブロックが被切削物及び切屑等に干渉することを抑制できる。従って、第2クーラントノズルからのクーラントを第2チップ面又は第3チップ面の少なくともいずれかに向けて安定的に供給できる。
【0072】
[項目7]
前記少なくとも1つの第2クーラントノズルは、前記ヘッドブロックの前記第2ブロック面と前記第3ブロック面とにそれぞれ取り付けられた一対の第2クーラントノズルを含み、
一方向から見て、前記切削チップの前記第1チップ面、前記第2チップ面、及び前記第3チップ面の境界に位置する加工点を交差点として通過し且つ前記第2ブロック面及び前記第3ブロック面の対称軸を基準として対称配置された一対の直交する直線に挟まれた前記第1ブロック面を包含する領域の内側に、前記一対の第2クーラントノズルの各々の全体が配置されている、項目1~6のいずれか1項に記載の切削チップホルダー。
【0073】
上記構成によれば、第2ブロック面及び第3ブロック面の両方から、一対の第2クーラントノズルが外方に突出する突出量を抑制できるので、一対の第2クーラントノズルが被切削物及び切屑等に干渉することを抑制できる。従って、一対の第2クーラントノズルからのクーラントを第2チップ面及び第3チップ面の両方に向けて安定的に供給できる。
【0074】
[項目8]
前記一方向から見て、前記領域内で前記切削チップの前記第2チップ面と前記第3チップ面の前記対称軸を基準として対称配置された前記第2チップ面を含む平面と、前記第3チップ面を含む平面との間に、前記一対の第2クーラントノズルの各々の全体が配置されている、項目7に記載の切削チップホルダー。
【0075】
上記構成によれば、第2ブロック面及び第3ブロック面の両方から、一対の第2クーラントノズルが外方に突出する突出量を更に抑制できるので、一対の第2クーラントノズルが被切削物及び切屑等に干渉することを一層抑制できる。従って、一対の第2クーラントノズルからのクーラントを第2チップ面及び第3チップ面の両方に向けて安定的に供給できる。
【0076】
[項目9]
前記第1ブロック面と前記第2ブロック面との間の角度、及び、前記第1ブロック面と前記第3ブロック面との間の角度が、90°未満の範囲の値である、項目1~87のいずれか1項に記載の切削チップホルダー。
【0077】
上記構成によれば、切削チップの第1チップ面の法線方向から見て、第2ブロック面及び第3ブロック面の両方から第2クーラントノズルが外方に突出する突出量を低減できるので、第2クーラントノズルが被切削物及び切屑等に干渉することを良好に抑制できる。従って、一対の第2クーラントノズルからのクーラントを第2チップ面又は第3チップ面の少なくともいずれかに向けて安定的に供給できる。
【0078】
[項目10]
前記ヘッドブロックは、一方向から見て、前記第1ブロック面が視認され、前記第2ブロック面及び前記第3ブロック面が視認されない形状を有し、
前記一方向から見て、前記少なくとも1つの第2クーラントノズルが視認されない位置に配置されている、項目1~9のいずれか1項に記載の切削チップホルダー。
【0079】
上記構成によれば、第2ブロック面及び第3ブロック面の少なくともいずれかのブロック面から第2クーラントノズルが外方に向けて突出する突出量を抑制でき、第2クーラントノズルが被切削物及び切屑等に干渉することを抑制できる。従って、第2クーラントノズルからのクーラントを第2チップ面及び第3チップ面の少なくともいずれかに向けて安定的に供給できる。
【0080】
[項目11]
クーラントが流通するクーラント流路を備え、
前記クーラント流路は、
外部から供給されたクーラントが流通する第1流路と、
前記第1流路から分岐して前記第1クーラントノズルに向けて延びる第2流路と、
前記第1流路から分岐して前記第2クーラントノズルに向けて延びる少なくとも1つの第3流路と、を含む、項目1~10のいずれか1項に記載の切削チップホルダー。
【0081】
上記構成によれば、第1クーラントノズル、及び、第2クーラントノズルの両方にクーラントを供給する流路の共通化を行える。従って、クーラント流路をコンパクト化且つ簡素化できる。
【0082】
[項目12]
前記クーラント流路は、前記ヘッドブロックの内部に配置されている、項目11に記載の切削チップホルダー。
【0083】
上記構成によれば、クーラント流路をヘッドブロックの外部に配置する場合に比べて、切削チップホルダーをコンパクト化できる。また、クーラント流路を外部から保護できるため、切削チップの表面にクーラントを安定して供給できる。
【0084】
[項目13]
前記第1クーラントノズル、及び、前記第2クーラントノズルの少なくともいずれか一方は、前記ヘッドブロックに対して着脱自在に取り付けられている、項目1~12のいずれか1項に記載の切削チップホルダー。
【0085】
上記構成によれば、切削チップに応じて、第1クーラントノズル、及び、第2クーラントノズルの少なくともいずれかをヘッドブロックから容易に脱離して交換できる。従って、切削チップに応じて、クーラントによる冷却効果が安定して得られる。
【0086】
[項目14]
前記ヘッドブロックは、前記第2ブロック面及び前記第3ブロック面の少なくともいずれかのブロック面に配置されて、前記ブロック面に配置された前記第2クーラントノズルから前記切削チップに向けて延びるクーラント溝を有し、前記第2クーラントノズルの前記吐出口の少なくとも一部が、前記クーラント溝の内部に位置している、項目1~13のいずれか1項に記載の切削チップホルダー。
【0087】
上記構成によれば、クーラント溝の内部にクーラントを噴出することにより、クーラントが前記ブロック面に干渉することを抑制しながら、クーラント溝を通過したクーラントを切削チップの第2チップ面、又は、第3チップ面に向けて供給できる。従って、切削チップの冷却効果を一層向上できる。
【0088】
[項目15]
項目1~14のいずれか1項に記載の切削チップホルダーと、
前記切削チップと、を備える、切削工具。
【0089】
上記構成によれば、切削チップの冷却効果を向上させ、切削に適した切削チップの状態を維持しながら、安定した切削作業を行える切削工具を構成できる。
【符号の説明】
【0090】
B1 第1ブロック面
B2 第2ブロック面
B3 第3ブロック面
C1 第1チップ面
C2 第2チップ面
C3 第3チップ面
C4 加工点
R3 クーラント流路
R31 第1クーラント流路
R32 第2クーラント流路
R33、R34 第3クーラント流路
S 対称軸
1、101、201 切削工具
2 切削チップ
3、103、203 切削チップホルダー
3a、103a、203a ヘッドブロック
3c 取付構造
33 第1クーラントノズル
33a、33b、33c、34a、35a 吐出口
34、35 第2クーラントノズル
203h クーラント溝
【要約】 (修正有)
【課題】切削チップをクーラントにより効率的に冷却可能な切削チップホルダー、及び、切削工具を提供する。
【解決手段】切削チップホルダーは、ヘッドブロックと、第1及び第2クーラントノズルとを備える。ヘッドブロックは、第1~第3ブロック面と、第1チップ面の法線方向から見て第1ブロック面が視認され、第2チップ面の法線方向から見て第2ブロック面が視認され、第3チップ面の法線方向から見て第3ブロック面が視認される姿勢で、切削チップが取り付けられる取付構造を有する。第1クーラントノズル33は、第1ブロック面B1に取り付けられる。第2クーラントノズル34,35は、第2又は第3ブロック面の少なくともいずれかに取り付けられる。第1クーラントノズルの吐出口は、第1チップ面C1に向けて配置され、第2クーラントノズルの吐出口は、第2チップ面C2又は第3チップ面C3に向けて配置されている。
【選択図】
図1