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特許7385757作業プロセスを監視するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】作業プロセスを監視するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
B25J19/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022537861
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2020086597
(87)【国際公開番号】W WO2021122864
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-08-03
(31)【優先権主張番号】19218133.7
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504380611
【氏名又は名称】フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】FRONIUS INTERNATIONAL GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】エンスブルンナー,ヘルムート
(72)【発明者】
【氏名】ヴィットマン,マンフレート
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-087785(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179257(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ー 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピース(2)が、協働ロボット(1)に配置された作業ツール(3)によって少なくとも1つの作業期間(ΔtBi)の間、ワークピース(2)における複数の既定の作業経路(xBi)のそれぞれに沿って連続的に作業され、ここでは、協働ロボット(1)の周囲が監視され、ワークピース(2)における既定の作業経路(xBi)の1つの周りの協働ロボット(1)の操作領域において物体(4)が検出される、作業プロセスを監視する方法であって、
ワークピース(2)における既定の作業経路(xBi)の1つの周りの協働ロボット(1)の操作領域において物体(4)が検出された場合には、指示段階(ΔtI)内に、指示信号(I)が送出され、作業プロセスは、ワークピース(2)における既定の作業経路(xBi)の1つに沿って中断することなく続行され、
コマンド信号(A)が、作業プロセスの再計画のために、指示信号(I)として協働ロボット(1)へ送出され、
協働ロボット(1)の既定の作業経路(xBi)の1つの周りの操作領域において物体(4)が検出された場合に、送出されたコマンド信号(A)に従い、作業プロセスは、好ましくは既定の作業経路(xBi)の順序を改めることによって変更される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
警報(W)が、好ましくは音響的、視覚的、及び/又は触覚的警報(W)の形態で、指示信号(I)として送出される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
協働ロボット(1)の既定の作業経路(xBi)の1つの周りの操作領域において物体(4)が検出された場合に送出されたコマンド信号(A)に従い、ワークピース(2)の作業は、既定の作業経路(xBi)の少なくとも1つに沿って減速された作業速度(vB’)で続行される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
送出される指示信号(I)は、検出された物体(4)のタイプ及び/又は位置及び/又は場所に適合される、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
協働ロボット(1)と検出された物体(4)との差し迫った衝突の直前に、ワークピース(2)の作業は、制御された方法で停止される、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ワークピース(2)が、協働ロボット(1)に配置された作業ツール(3)によって少なくとも1つの作業期間(ΔtBi)の間、ワークピース(2)における複数の既定の作業経路(xBi)のそれぞれに沿って連続的に作業されることができる、作業プロセスを監視するための装置(10)であって、該装置は、協働ロボット(1)の周囲を監視するためのセンサー装置(5)、及びワークピース(2)における既定の作業経路(xBi)の1つの周りの協働ロボット(1)の操作領域における物体(4)を検出するための検出装置(6)を備え、
検出装置(6)は、ワークピース(2)における既定の作業経路(xBi)の1つの周りの協働ロボット(1)の操作領域において物体(4)が検出された場合に指示段階(ΔtI)内に指示信号(I)を送出する装置(7)に接続され、その結果、作業プロセスは、ワークピース(2)における既定の作業経路(xBi)の1つに沿って中断することなく続行されることができ、
指示信号(I)を送出する装置(7)は、作業プロセスを再計画するため、協働ロボット(1)へコマンド信号(A)を送出するための装置(7’’)によって形成され、
協働ロボット(1)の既定の作業経路(xBi)の1つの周りの操作領域において物体(4)が検出された場合に送出されたコマンド信号(A)に従い、作業プロセスは、好ましくは既定の作業経路(xBi)の順序を改めることによって変更される、
ことを特徴とする、作業プロセスを監視するための装置。
【請求項7】
指示信号(I)を送出する装置(7)は、警報(W)を送出するための警報装置(7’)によって形成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
警報装置(7’)は、ラウドスピーカー(8)、視覚的ディスプレイ(9)、及び/又は振動装置(11)によって形成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
検出装置(6)は、指示信号(I)を送出する装置(7)に無線で接続されている、請求項6から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
検出装置(6)は、協働ロボット(1)に接続するために、インターフェース(12)に接続されている、請求項6から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
検出装置(6)は、データベース(13)に接続され、該データベース(13)は、検出された物体(4)のタイプ、及び/又は位置、及び/又は場所の機能としての様々な指示信号(I)を備える、請求項6から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
協働ロボット(1)を備え、少なくとも1つの作業期間(ΔtB)の間、複数の既定の作業経路(xB)に沿ってワークピース(2)の連続的作業を行うための作業機械(18)であって、特に溶接装置(19)であり、請求項6から11のいずれか1項に記載の監視装置(10)が設けられていることを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業プロセスを監視する方法に関し、その作業プロセスでは、少なくとも1つの作業期間中に少なくとも1つの作業経路のそれぞれに沿って、ワークピースが協働ロボットに配置された作業ツールによって連続的に作業され、ここで、協働ロボットの周囲は監視され、協働ロボットの各作業経路周りの操作領域において物体が検出される。
【0002】
本発明はさらに、作業プロセスを監視する装置に関し、その作業プロセスでは、少なくとも1つの作業期間中に少なくとも1つの作業経路のそれぞれに沿って、ワークピースが協働ロボットに配置された作業ツールによって連続的に作業されることができ、上記装置は、協働ロボットの周囲を監視するためのセンサー装置と、協働ロボットの各作業経路周りの操作領域における物体を検出するための検出装置とを備える。
【0003】
最後に、本発明はまた、少なくとも1つの作業経路に沿って少なくとも1つの作業期間中にワークピースの連続作業のための、協働ロボットを備えた作業機械、特に溶接装置に関する。
【背景技術】
【0004】
人間と一緒に動作し、作業プロセスにおいて保護設備によって人間から分離されない産業用ロボットは、協働ロボット又はいわゆるコボット(cobot)と呼ばれる。協働ロボット用の安全に関して必要なことは、対応の規格において定義されており、かつ、人間を保護するためにロボットと人間との衝突を防止する規定が設けられている。この目的のために、ロボットは、特定のセンサーが信号を送信した場合に、ロボットのスイッチオフが自動的に行われる、対応するセンサーを有する。例えば、US 5,952,796Aは、このような協働ロボットを記述している。
【0005】
協働ロボットが関与する作業プロセスを計画するための方法で、一方では最大の作業速度を達成可能にするため、他方では関与する人々の怪我のリスクを可能な限り低く維持するための方法が、従来技術、例えば、WO2015/049207A2に記載されている。
【0006】
US 2015/0112483A1、及びUS 2018/0297201A1は、ロボットによってパレットが積まれ、ロボット領域における特定ゾーンが監視される操作方法について記述している。この従来技術は、ワークピースの作業プロセスに興味がなく、安全上の予防措置なしに人間と協力可能な協働ロボットも使用されていない。
【0007】
協働ロボットの動作が作業プロセスの一部であるところの作業プロセスでは、上述した協働ロボットの保護対策は、問題の無い方法において適用されることができない。協働ロボットにおける標準的な保護対策は、動作の停止であり、これは、作業プロセスの中断に等しく、製造品質に悪影響を及ぼす。協働ロボットの動作が製造プロセスの一部であるそのような作業プロセスの例は、いくつか例を挙げると、溶接又ははんだ付け方法、塗装方法、接着方法、表面処理方法である。作業プロセスの間、協働ロボットに加えて又はその代わりに、ワークピースもまた、適切に制御された方法で移動することができ、必ずしも静止していなければならない必要はない。ワークピースの動作において、ワークピースの動作をもたらす装置は、協働ロボットと同じ規則に従う。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、少なくとも1つの作業期間にわたって、既定の複数の作業経路がそれぞれ連続的に作業され、可能な限り高い作業品質のために、それらの作業経路における作業が作業期間中に中断されないような作業プロセスに関する。このような作業プロセスの例として、ワークピースにおける1つ又は複数の溶接線の形成が挙げられる。もし、作業経路の連続的な作業、例えば溶接線の形成など、が協働ロボットの自動スイッチオフによって中断されたならば、作業は、中断した場所で再開されねばならないであろうし、これは、ワークピースにおける品質の低下、あるいはワークピースの廃棄につながる可能性がある。
【0009】
本発明の目的は、上述の方法、及び作業プロセスを監視するための上述の装置、並びにそのような監視装置を備えた作業機械の創作にあり、これによって、作業プロセスは、可能な限り中断することなく実行される。既知の方法における不利な点は、低減されあるいは防止されるものである。
【0010】
本発明によって、協働ロボットの作業経路の操作領域において物体が検出される場合に、指示段階内に指示信号が送出されて、作業プロセスが続行されるという方法に関して、問題は解決される。本発明は、操作領域から物体を除去するために、これが人間に関する限り、物体は操作領域から離れて移動することができ、又は、適切に作業を再計画するために、協働ロボットの作業経路の操作領域に物体が存在するか否かを迅速に検出し、その結果、協働ロボットの自動スイッチオフの前に迅速に措置を取ることができ、その結果、検出された物体は、協働ロボットに関する障害物をもはや構成しなくなり、よって作業プロセスが続行可能である、という対策を準備するものである。協働ロボットの一部が衝突する可能性のあるすべての物体又は人は、「物体」という用語に該当する。「操作領域」という用語は、その内側で作業プロセス中に衝突の可能性がある、協働ロボットの作業経路に関連する領域を意味すると理解される。協働ロボットのタイプに依存して、これは、ここでは作業経路の周りの小さな領域、並びに、ロボットの軸及びその動作可能性も考慮した大きな領域となる。作業経路の操作領域において物体が検出された場合、本発明による指示信号の送出により、物体が操作領域から外へ迅速に移動され、又は作業が適切に変えられる(改められる)ことが達成可能であり、その結果、作業プロセスを続行することが保証可能である。もし、物体の除去のための対策又は作業プロセスの再計画が失敗した場合には、対応する基準を満たし、人を危険にさらしたり又は作業機械あるいはワークピースに損傷を与えたりしないように、今までの、通常の保護対策、よって一般的にロボットの動作の停止がもちろん実行される。作業プロセスの変更又は再計画は、さまざまな方法において行うことができ、例えば、物体が検出された操作領域における同じ作業経路の作業により、ロボットの異なる動作と共に、又は作業プロセスがいくつかの作業経路を備える限り、作業経路の作業順序の変更によって、行うことができる。作業経路の操作領域における物体の検出は、協働ロボットに配置されている、又は適切な位置に設置されているさまざまなセンサー及び装置を介して行うことができる。
【0011】
作業経路の操作領域において物体が検出された場合、例えば指示信号として警報を送出することができる。関係者は、警報により、物体が作業経路の操作領域に存在することを気付かされ、これにより彼らは、物体の除去又は異なる対策の設定を促される。警報は、音響的、視覚的、及び/又は触覚的な警報の形で送出されるのが好ましい。様々なタイプの警報は、代替的又は累積的に行うことができ、好ましくは、作業プロセスの領域又は作業経路のそれぞれで送出され、その結果、検出された物体を除去するために対応する措置を取ることができる。しかしながら、それに加えて又はそれに代えて、警報はまた、例えば、処理ホールの監視センターなど作業プロセスから離れた場所で、又は情報管理(documentation)のために、伝えられることもできる。
【0012】
協働ロボットの作業経路の操作領域において物体が検出された場合、指示信号としての警報に代えて又はそれに加えて、作業プロセスを変更又は再計画するために、対応するコマンド信号を協働ロボットへ送出することもできる。これにより、協働ロボットは、物体が作業経路の操作領域に存在するときに、作業の再計画を実行するように自動的に促される。既に上で簡単に述べたように、作業プロセスの変更又は再計画は、さまざまな方法で行うことができる。
【0013】
作業プロセス中の幾つかの作業経路における作業の場合、再計画は、作業経路の順序を変更することによって実現することができる。これにより、検出された物体によってブロックされた作業経路は、物体がその間に除去された、又は物体がこの作業経路の操作領域からそれぞれ移動されたことを期待して、後で作業されることができる。検出された物体が、協働ロボットの対応する再計画によってバイパスされることができる操作領域の一部にある限り、これは、作業プロセスへの変更の別の可能性を表す。例えば、多軸ロボットは、本来計画されていた方向から変更された方向から、作業経路に作業することができる。
【0014】
協働ロボットの作業経路の操作領域において物体を検出した場合に送出されるコマンド信号に従い、ワークピースの作業は、少なくとも1つの作業経路に沿って作業速度を減じた状態で続けることもできる。このオプションは、作業プロセスの変更あるいは再計画、又は、操作領域からの物体の除去などの他の対策が失敗した場合に限り、単に、ロボットが物体と衝突する可能性を防ぐためのものである。作業プロセスによっては、作業速度の減少も、製造品質に悪影響を与える可能性がある。
【0015】
送出される指示信号は、検出された物体のタイプ(種類、型)に適合させることができる。この対策により、検出された物体のタイプに関する情報は、送出される指示信号において伝達することができる。例えば、指示信号としての、音響警報の音の強さ、又は視覚警報の光の強さ、又は触覚警報の強さは、物体のサイズに適合させることができる。例えば自動画像処理システムなどの対応する検出デバイスを仮定して、物体のタイプを説明する対応の情報もまた、音響的又は視覚的に送出されることもでき、その結果、対応する操作者は、物体に関する情報を受け取る(例えば、作業経路に存在するツール、又は作業経路の近くにいる人)。
【0016】
さらに、送出される指示信号は、検出された物体の位置及び/又は場所に適合させることができる。検出された物体の位置及び/又は場所は、作業プロセスの変更又は再計画の可能性に影響を与えるので、指示信号として送出されるコマンド信号における考慮もまた非常に重要である。物体が作業経路に直接位置する場合、作業プロセスの変更は、作業経路の順序を一時的に変更することによってのみ存在可能である一方で、作業経路の近くにおける物体の配置は、この作業経路の作業を後に実行する必要なしに、ロボットの攻撃の角度を変更することによって実行可能である。例えば、人が作業経路の他方側に物体として位置する限り、ロボットは、向かい側から作業経路を操作することができる。
【0017】
検出された物体との協働ロボットの差し迫った衝突の直前に、ワークピースの作業が制御された方法において停止されるのが好ましい。この方策により、作業機械又はその部品、及び作業されるワークピースへの損傷が防止され、作業プロセスのその後の続行が容易になる。例えば、検出された物体とのロボットの差し迫った衝突の前に、溶接プロセスは、適切な溶接パラメータによって、及び単に溶接電流源の突然のスイッチオフによらずに、終了されることができる。これによって、品質の損失なしに、又は品質の実質的損失なしに、溶接線における溶接の続行をなすことが可能になった。これは、他の作業プロセスの場合においても同様に考えられる。
【0018】
本発明により、問題はまた、協働ロボットの作業経路の操作領域において物体が検出された場合に、指示段階内に指示信号を送出する装置へ検出装置が接続されている作業プロセスを監視する、上述した装置によっても解決される。既に述べたように、監視装置は、協働ロボットに統合でき、又はそれから離れたある場所に、あるいはそれから離れた複数の場所にそれぞれ配置することもでき、それによって、作業経路の操作領域における物体の最適な検出が可能である。ここで重要なことは、物体の検出が、協働ロボットの作業経路の操作領域において適切な予測的な方法で、よって物体とのロボットの差し迫った衝突の前に可能な限り長く、認識されることである。センサー装置、検出装置、及び指示信号を送出するための装置などの、監視装置の部品もまた、異なる及び対応する適切な位置に配置されることができる。作業プロセスの監視装置によって達成可能な利点に関しては、作業プロセスを監視するための方法の説明を参照する必要がある。
【0019】
指示信号を送出する装置は、警報を送出する警報装置によって形成可能である。
【0020】
この代わりに又はこれに加えて、指示信号を送出するための装置は、作業プロセスの再計画のために、協働ロボットにコマンド信号を送出するための装置によっても形成することができる。
【0021】
警報装置は、ラウドスピーカー、視覚ディスプレイ、及び/又は振動装置によって形成可能である。作業プロセスに応じて、さまざまなタイプの警報及び警報装置が利点を有することができる。例えば、非常に音が大きい作業プロセスの場合、視覚的又は触覚的な警報は、音響的な警報と比較して利点を有する。警報装置は、対応する適切な位置に、例えば、ヘッドホン、リストバンド、溶接ヘルメット、スマートグラス、又は他の多くのもののような、操作者の体に着用される装置に直接に配置することもできる。
【0022】
検出装置が指示信号を送出する装置に無線で接続されている場合、警報は、煩わしい配線接続なしで、遠隔場所に送信されることができる。
【0023】
本発明のさらなる特徴によれば、検出装置は、協働ロボットに接続するためのインターフェースに接続される。監視装置と協働ロボットとの接続により、作業プロセスの変更及び再計画を特に最高限度にすることができ、それによって、作業プロセスを続けることが保証可能となり、これにより製造品質が損なわれることはない。例えばCANバス接続などのような、種々の標準化されたインターフェースがインターフェースとして考慮される。インターフェースは、有線又は無線接続に役立つことができる。
【0024】
検出装置がデータベースに接続されている場合、このデータベースは、検出された物体のタイプ及び/又は位置及び/又は場所に応じて様々な指示信号を備え、対象とされた指示信号(協働ロボットへの警報及び/又はコマンド信号)が送出可能である。例えば、物体としての特定のツール又は人など、異なる物体に関して、データベースにおける適切な情報を入れることができ、この情報は、それらの物体の検出における警報又はコマンド信号として再生される。例えば、プライヤーが作業経路に存在するという警報が音響的又は視覚的に送出されることができ、これにより操作者は、作業経路から迅速にこれを取り除くように誘導されることができ、その結果、作業プロセスは、中断することなく続行することができる。画像処理方法に加えて、例えば物体の材料を決定する、他の物理的方法も使用可能になる。
【0025】
センサー装置は、例えば、少なくとも1台のカメラによって形成することができる。これは、センサー装置の適切な実現を構成する。カメラとして、通常のカメラ、高速度カメラ、3次元空間において物体の位置を確証することもできる深度カメラが考えられる。さらに、超音波送信機及び受信機、レーダーシステム、LIDAR(Light Detection and Ranging)システムなどの他のセンサーも考えに入れられる。
【0026】
検出された物体を除去するための装置が設けられる場合、自動除去又は除去の試みも行うことができる。作業プロセスに依存して、及び検出された物体に依存して、そのような装置は、さまざまな手段、例えば、圧縮空気によって小さな物体を除去可能な圧縮空気装置、操作領域から外へ物体を押し出すプッシャー、物体を把持し操作領域から物体を除去するグリッパーシステム、において構成することができる。
【0027】
本発明により、問題はまた、協働ロボットを備えて、少なくとも1つの作業経路に沿って少なくとも1つの作業期間中にワークピースの連続作業を行うための、上述した監視装置を備えた作業機械、特に溶接装置、によっても解決される。本発明による監視装置を備えた作業機械により、協働ロボットの自動スイッチオフによる作業プロセスの中断は、防止されることができ、又はそれぞれその頻度は少なくとも低減されることができ、したがってワークピースの作業におけるサイクル時間を増すことができ、品質の劣るワークピースによる廃棄物を減らすことができる。さらなる利点に関して、監視方法及び監視装置の上述の説明の参照がなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、作業プロセスを実行するための作業機械の概略図である。
図2図2は、作業プロセスを監視するための、本発明による監視装置のブロック図である。
図3図3は、作業プロセスを監視するための監視装置の実施形態である。
図4図4は、溶接ロボットに一体化された監視装置のさらなる実施形態である。
図5図5は、いくつかの作業経路で構成される作業プロセスで、その間に、操作領域において物体が検出されなかった作業プロセスを示す。
図6図6は、図5による作業プロセスを示し、ここで、作業経路の操作領域において物体が検出され、対応する警報が指示信号として送出される。
図7図7は、図6による作業プロセスの変形を示し、ここで、作業経路の操作領域において物体が検出され、指示信号としてのコマンド信号に対応して、作業の再計画が行われる。
図8図8は、図6による作業プロセスのさらなる変形を示し、ここで、作業経路の操作領域において物体が検出され、指示信号としてのコマンド信号に対応して、作業プロセスが再計画される。
図9図9は、図6による作業プロセスのさらなる変形を示し、ここで、作業経路の操作領域において物体が検出され、指示信号としてのコマンド信号に対応して、作業経路の動作が、減じられた速度で続けられる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、添付の図面の助けによって、より詳細に説明される。
【0030】
図1は、作業プロセスを実行するための作業機械18の概略図を示し、該作業プロセスでは、協働ロボット1に配置された作業ツール3を用いて、少なくとも1つの作業経路xBiに沿って、少なくとも1つの作業期間ΔtBiの間、ワークピース2が作業される。最も単純なケースでは、作業経路xBは、作業期間ΔtBの間、作業され、例えば、溶接線が作業経路xBに沿って生成される。そのような単純な作業プロセスに加えて、従来の作業プロセスは、いくつかの作業期間ΔtBiでの、いくつかの作業経路xBiの作業を備えており、そこでは、個々の作業経路xBiの作業の間に、協働ロボット1が再位置決めされたり、ツールが変更されたり、又は作業パラメータが改められたりする、休止が挿入されている。本発明は、作業経路xBiの作業の中断が製造品質の変化の原因となり、また、ある特定の状況では、それによってツール3さえも受け入れられない、作業プロセスに関するものである。このような作業プロセスの例としては、溶接方法、はんだ付け方法、塗装方法、例えばプラズマジェットなどによる表面処理方法、及びさらに多くのものが挙げられる。既に上で述べたように、協働ロボット1に加えて、又は代替的に、ワークピース2は、対応する装置(図示せず)と共に移動することもできる。
【0031】
図2は、作業プロセスを監視するための、本発明による監視装置10のブロック図を示している。監視装置10は、協働ロボット1の周囲、又は協働ロボット1の作業経路xB周辺の少なくとも操作領域を個々に監視するためのセンサー装置5を含む。検出装置6は、センサー装置5に接続されており、その検出装置は、協働ロボット1の各作業経路xB周辺の操作領域における物体4を検出する。物体4は、例えば、作業経路xBにおける、作業経路xB近傍における、品物(アイテム)、又は操作領域における人に関することができる。検出装置6に接続されているのは、作業経路xBの操作領域において物体4が検出された場合に、指示信号Iを送出する装置7である。装置7の送出された指示信号Iは、警報Wであることができ、これにより、操作者は、物体4の検出を知ることができ、指示段階ΔtI内で物体4を取り除くように促されることができる。それに加えて又はそれに代えて、コマンド信号Aが作業プロセスの再計画用の指示信号Iとして協働ロボット1に送出されることもできる。コマンド信号Aは、協働ロボット1に様々な方法(無線又は有線)で到達することができ、ここでは、例えば、作業プロセスの変更又は個々に再計画が可能か否か、格納された代替の作業プロセスの助けにより決定をすることができる。物体4が操作領域からうまく除去できない、又は作業プロセスがこの指示段階ΔtI内にうまく変更又は再計画できない場合には、協働ロボット1の通常の標準的な保護対策が開始され、通常、ロボットの動作停止が起こり、よって、作業プロセスが終了する。しかしながら、作業経路xBの操作領域において物体4が検出されたときに装置7によって送出される指示信号Iにより、作業プロセス又は少なくとも個々の作業経路xBiを途切れることなく進めることができるための対策を取る可能性がある。それにより、作業プロセスの品質、結果として作業されたワークピース2の品質を向上することができ、廃棄を防止することができる。
【0032】
図3は、作業プロセスを監視するための監視装置10の実施形態を示している。監視装置10は、例えばカメラ14によって形成可能なセンサー装置5を含む。センサー装置5は、カメラ14で取り込まれた画像を処理するための例えば画像処理装置における検出装置6に接続されている。指示信号Iを送出するための装置7は、ここでは、警報Wを送出するための警報装置7’によって形成されている。例えば、ラウドスピーカー8、視覚ディスプレイ9、又は振動装置11は、警報装置7’として提供することができ、これらは、任意に又は累積的に使用することができる。直接接続された警報装置7’に加えて、様々な警報装置7’もまた、検出装置6(図示せず)に無線で接続することができる。監視装置10の検出装置6は、協働ロボット1に接続するためのインターフェース12を有することができ、それを介して、作業プロセスを再計画するために装置7’’のコマンド信号Aが協働ロボット1(図示せず)に送出されることができる。作業プロセスに必要とされる他の部品に接続するためのさらなるインターフェース(図示せず)もまた考えられる。
【0033】
検出された物体4のタイプ及び/又は位置及び/又は場所の機能(役割、効用、関数)としての様々な警報W又はコマンド信号Aを含むデータベース13は、検出装置6に接続することができる。それにより、検出された物体4のタイプ、位置、又は場所の機能として、装置7の異なる指示信号Iを送出することができる。データベース13はまた、ネットワーク15、特にインターネットを介して検出デバイス6に接続することができる。
【0034】
図4は、溶接ロボットに統合(一体化)された監視装置10のさらなる実施形態を示している。この例示的な実施形態では、溶接トーチは、協働ロボット1における作業ツール3として配置される、又は個々に溶接装置19が協働ロボット1に統合される。図示の例示的な実施形態では、監視装置10は、溶接装置19から離れて配置されているが、そこに一体化することもできる。ラウドスピーカー8の形態における警報装置7’は、監視装置10の一部として、又は外部に設けられ、この警報装置は、作業経路xBの操作領域における物体4の検出時に警報Wを送出する。警報Wはまた、溶接工Sへ、例えば、溶接ヘルメット16のヘッドアップディスプレイへ視覚警報Wの形態において送出することもできる。これにより、溶接工Sは、作業経路xBの操作領域から物体4を除去することを促され、その結果、作業プロセスは続行することができる。検出された物体4を除去するための装置17、この除去装置17は協働ロボット1の操作領域から外へ検出された物体4を自動的に除去する、の監視装置10との接続もまた考えられる。協働ロボット1へさらなる指示信号Iとしてのコマンド信号Aを送出するための装置7’’は、監視装置10のさらなる部分として設けられることができる。コマンド信号Aは、物体4を検出したときに作業プロセスを変更又は再計画することができるために、監視装置10のインターフェース12を介して協働ロボット1へ送信されることができる。作業プロセスの変更の際、作業経路xBに対する協働ロボット1のアクセスが変更された場合、TCP(ツールセンターポイント)が同じままであることが重要であり、その結果、作業経路xBの作業は、同じ品質で保証されることができる。
【0035】
図5は、いくつかの作業経路xB1からxB6で構成され、その間に、操作領域において物体4が検出されなかった作業プロセスを示している。交互に作業される6つの作業経路xB1からxB6がワークピース2に置かれている。したがって、作業Bは、時刻t0から始まり、第1の作業経路xB1の作業により行われる。これは、作業期間ΔtBiの間、作業速度vBにより、時刻t1まで行われる。一時中断後、作業経路xB2の作業が時刻t2で始められ、これは時刻t3で終了する。時刻t11での作業経路xB6の作業が終了した後、作業プロセスは完了する。作業経路xB1からxB6の操作領域において物体4は存在しないので、作業期間中、警報W又はコマンド信号Aの形態における指示信号Iも、送出されない。
【0036】
図6は、図5による作業プロセスを示しており、ここでは、物体4が作業経路、ここでは作業経路xB3、の操作領域において検出された。作業Bは、作業経路xB1の作業から開始され、作業経路xB2の作業により続けられる。作業経路xB3における作業の直前に、物体4が作業経路において、ここでは作業経路xB3において検出装置6によって検出され、警報Wが指示信号Iとして即座に送出される。警報Wは、時刻tWAで開始され、物体4が除去されるまで送出される。図示の例示的な実施形態では、警報Wの終了は、時刻tWEで起こり、その後、作業プロセスは、作業経路xB3の作業が続けられ、図5による作業の場合のように、計画に従って終了されることができる。
【0037】
図7は、図6による作業プロセスの変形を示しており、ここでは、物体4が作業経路xB3の操作領域において検出され、指示信号Iとしてのコマンド信号Aに従って、作業プロセスの再計画が行われる。この例示的な実施形態では、作業の再計画は、作業経路xBiの順序が変更されることによって行われる。図示の例示的な実施形態では、作業経路xB2の作業後、時刻t4で作業経路xB4の作業が続けられ、その後、作業経路xB5の作業及び作業経路xB6の作業が実行される。作業経路xB6における作業中、検出された物体4が時刻tIEで操作領域から除去され、それにより、指示信号I又は個々にコマンド信号Aの送出は、停止される。その後、変更された順序において作業経路xB3による作業が完了される。物体4が操作領域で検出されている限り、指示信号I又は個々にコマンド信号Aの送出が行われる(時刻tIAと時刻tIEとの間)。
【0038】
図8は、作業プロセスのさらなる変形を示しており、ここでは、作業経路xB3の操作領域において物体4が検出され、協働ロボット1へのコマンド信号Aに従い、作業プロセスの再計画が行われる。図7による例示的な実施形態とは対照的に、作業プロセスの再計画は、ここでは、作業経路xBiの順序の変更により行うのではなく、物体4が作業経路xB3又は個々にその操作領域から首尾よく除去されるまで、作業経路xB2の作業と作業経路xB3の作業との間の休止を長くすることによって行われる。図示の例示的な実施形態では、物体4は、時刻tIAと時刻tIEとの間で操作領域において検出される。時刻tIEで、作業経路xB3からの物体4の除去が行われ、よって、指示信号I又は個々にコマンド信号Aの送出は、終了する。その後、時刻t4において、作業経路xB3の作業は、続けられることができ、作業は、作業経路xB6の作業まで計画に従い完了されることができる。この変形例では、全体の作業期間は、実際に増加するが、作業期間ΔtBiの間、個々の作業経路xBiの作業の中断は起こらず、それにより作業の質は、悪影響を受けない。
【0039】
図9では、図6による作業プロセスのさらなる変形が示され、ここでは、物体4が作業経路xB3の操作領域において検出され、指示信号Iとしてのコマンド信号Aに従い、作業経路における作業は、減じられた速度で続けられる。ここで、物体4の検出後、現在行われている作業、ここでは作業経路xB2の作業、が完了され、その後、その領域において物体4が検出された、作業経路xB3における作業は、通常の作業速度vBに比べて減速された速度vB’で実行され、これにより、作業経路xB3における作業の作業期間ΔtB3が伸ばされ、よって、作業経路xB3からの物体4を除去するために又は協働ロボット1の動作を変更するために、より多くの時間が生成される。時刻tIEで物体4がもはや検出されないとき、通常の作業速度vBを有する作業経路xB3の作業によるワークピース2の作業は、終了することができ、さらに作業経路xB4及び作業経路xB5における作業によるワークピース2の作業は、続行することができ、作業経路xB6における作業により最終的に完了されることができる。また、作業方法のこの変形例では、図5による変形例と比較して、作業の合計時間は増加するが、それにもかかわらず、個々の作業経路xBiにおける作業は、作業期間ΔtBiの間、中断することなく連続的に実行可能であることが保証される。
【0040】
本発明は、作業されるワークピース2の品質を損なうことなく、作業経路又はそれぞれの作業経路における中断されない作業を有する作業プロセスの実行を保証する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9