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特許7385768母材支持体の支持バーの実際の状態を特定するための方法及び装置、並びにこの種の装置を有する工作機械
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  • 特許-母材支持体の支持バーの実際の状態を特定するための方法及び装置、並びにこの種の装置を有する工作機械 図1
  • 特許-母材支持体の支持バーの実際の状態を特定するための方法及び装置、並びにこの種の装置を有する工作機械 図2
  • 特許-母材支持体の支持バーの実際の状態を特定するための方法及び装置、並びにこの種の装置を有する工作機械 図3
  • 特許-母材支持体の支持バーの実際の状態を特定するための方法及び装置、並びにこの種の装置を有する工作機械 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】母材支持体の支持バーの実際の状態を特定するための方法及び装置、並びにこの種の装置を有する工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/38 20140101AFI20231115BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20231115BHJP
【FI】
B23K26/38 A
B23K26/00 M
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022556063
(86)(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2021056805
(87)【国際公開番号】W WO2021185899
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】102020107256.2
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン エス・エー プルス コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Werkzeugmaschinen SE + Co. KG
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Str. 2, 71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マヌエル キーファー
(72)【発明者】
【氏名】イェンス オットナード
(72)【発明者】
【氏名】ヴィリ ペーニッツ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック シュトルックマイアー
(72)【発明者】
【氏名】マルク テシュナー
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/005145(WO,A1)
【文献】特開2014-48044(JP,A)
【文献】実開昭62-77688(JP,U)
【文献】独国特許出願公開第102017210182(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状母材、特に金属シート(15)を、切断ビームによって母材を切断加工するための工作機械(1)上に支持するための支持バー(18)の実際の状態を特定するための方法であって、前記支持バー(18)の意図する状態において、
・突出部間隙(22)が互いに隣接する支持突出部(20)の間に形成された状態で、前記支持バー(18)は、前記支持バー(18)の長手方向(21)において互いに隣接する複数の支持突出部(20)を備え、
・前記支持バー(18)の支持側(25)が、前記母材を支持するために設計された状態で、前記支持突出部(20)は、前記支持バー(18)の基体(24)から前記支持バー(18)の前記支持側(25)へ、前記支持バー(18)の高さの方向(23)において、前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に対して横方向に突出し、
・前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に通る前記支持バー(18)の長手側から見て、前記支持突出部(20)が前記支持突出部(20)に割り当てられた前記支持バー(18)の定義された高さ領域にわたって延在する状態で、前記支持突出部(20)は、突出部高さ(26)を有する定義された意図する寸法形状を有し、
前記支持突出部(20)の実際の寸法形状は、光切断法によって前記支持バー(18)上で特定され、
・前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に延在する光のライン(29)は、光源(28)から前記支持バー(18)の前記長手側に投影され、前記光のライン(29)は、前記支持バー(18)の前記長手側を、前記支持突出部(20)に割り当てられた前記支持バー(18)の高さ領域の少なくとも一部にわたって、前記支持バー(18)の前記高さの方向(23)に走査するために用いられ、
・前記光のライン(29)を用いて走査された前記支持バー(18)の前記長手方向側の走査範囲は、前記支持バー(18)の前記長手方向側の画像を生成するよう光学検出器(32)によって検出され、
・前記支持突出部(20)の前記実際の寸法形状は、前記支持バー(18)の前記長手方向側の前記生成された画像に基づいて、評価装置(33)によって特定され、
及び
前記支持突出部(20)の前記特定された実際の寸法形状は、比較装置(34)によって前記支持突出部(20)の前記定義された意図する寸法形状と比較される、
方法。
【請求項2】
光のライン(29)として、レーザ光のラインが前記支持バー(18)の前記長手方向側に投影される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記支持バー(18)の前記長手方向側は、前記光のライン(29)を用いて走査され、
・前記光のライン(29)は、前記支持バー(18)の前記高さの方向(23)において、前記支持バー(18)に対してそれ自体と平行に移動され、及び/又は、
・前記光のライン(29)は、前記光源(28)から前記支持バー(18)の長手方向側に、直角ではなく、投影方向(30)と前記支持バー(18)の前記高さの方向(23)との間に形成される角度で、投影され、前記支持バー(18)は、前記投影方向(30)とは反対に前記光源(28)に向かって、又は前記投影方向(30)において前記光源(28)から離れるよう移動される、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記工作機械(1)のエンクロージャ(6)の内部で、好ましくは母材を切断加工するための加工装置を備えるエンクロージャ(6)の内部で実行される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
板状母材、特に金属シート(15)を切断ビームによって切断加工するための工作機械(1)の母材支持体(17)の実際の状態を特定するための方法であって、
・前記母材支持体(17)は、前記母材を支持するために、複数の支持バー(18)を備え、その長手方向(21)が同じ方向に通り、それが横方向に互いに離間しており、
・前記支持バー(18)の意図する状態において、
-突出部間隙(22)が互いに隣接する支持突出部(20)の間に形成された状態で、前記支持バー(18)はそれぞれ、前記支持バー(18)の長手方向(21)において互いに隣接する複数の支持突出部(20)を備え、
-前記支持バー(18)の支持側(25)が、前記母材を支持するために設計された状態で、前記支持突出部(20)はそれぞれ、前記支持バー(18)の基体(24)から前記支持バー(18)の前記支持側(25)へ、前記支持バー(18)の高さの方向(23)において、前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に対して横方向に突出し、
-前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に通る前記支持バー(18)の長手側から見て、前記支持突出部(20)が前記支持突出部(20)に割り当てられた前記支持バー(18)の定義された高さ領域にわたって延在する状態で、前記支持突出部(20)はそれぞれ、突出部高さ(26)を有する定義された意図する寸法形状を有し、
前記母材支持体(17)の前記支持バー(18)のうちの少なくとも1つの前記実際の状態は、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法によって特定される、
方法。
【請求項6】
前記母材支持体(17)の前記支持バー(18)のそれぞれの前記実際の状態は、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法によって特定され、
・前記支持突出部(20)のそれぞれの前記実際の寸法形状が、光切断法によって前記支持バー(18)上で特定され、
-前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に延在する光のライン(29)は、光源(28)から前記支持バー(18)のそれぞれの前記長手側に投影され、前記光のライン(29)は、前記支持バー(18)の前記長手側を、前記支持突出部(20)に割り当てられた前記支持バー(18)の高さ領域の少なくとも一部にわたって、前記支持バー(18)の前記高さの方向(23)に走査するために用いられ、
-前記支持バー(18)のそれぞれに対して、前記光のライン(29)を用いて走査された前記支持バー(18)の前記長手方向側の前記走査範囲は、前記支持バー(18)の前記長手方向側の画像を生成するよう光学検出器(32)によって検出され、
-前記支持バー(18)のそれぞれに対して、前記支持突出部(20)の前記実際の寸法形状は、前記支持バー(18)の前記長手方向側の前記生成された画像に基づいて、評価装置(33)によって特定され、
及び
・前記支持バー(18)のそれぞれに対して、前記支持突出部(20)の前記特定された実際の寸法形状は、比較装置(34)によって前記支持突出部(20)の前記定義された意図する寸法形状と比較される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
切断ビームによって母材を切断加工するための工作機械(1)において、板状母材、特に金属シート(15)を切断加工するための方法であって、
・前記母材が前記加工中に前記工作機械(1)の母材支持体(17)上に支持された状態で、前記母材支持体は、前記母材を支持するために、複数の支持バー(18)を備え、その長手方向(21)が同じ方向に通り、それが横方向に互いに離間しており、
・前記支持バー(18)の意図する状態において、
-突出部間隙(22)が互いに隣接する支持突出部(20)の間に形成された状態で、前記支持バー(18)はそれぞれ、前記支持バー(18)の長手方向(21)において互いに隣接する複数の支持突出部(20)を備え、
-前記支持バー(18)の支持側(25)が、前記母材を支持するために設計された状態で、前記支持突出部(20)はそれぞれ、前記支持バー(18)の基体(24)から前記支持バー(18)の前記支持側(25)へ、前記支持バー(18)の高さの方向(23)において、前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に対して横方向に突出し、
-前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に通る前記支持バー(18)の長手側から見て、前記支持突出部(20)が前記支持突出部(20)に割り当てられた前記支持バー(18)の定義された高さ領域にわたって延在する状態で、前記支持突出部(20)はそれぞれ、突出部高さ(26)を有する定義された意図する寸法形状を有し、
前記母材支持体(17)の前記実際の状態は、請求項5又は6に記載の方法によって特定され、
前記母材の前記切断加工中に作成される母材部品による部品占有率は、前記母材支持体(17)の前記検出された実際の状態に応じて、前記母材に対して定義され、
前記母材及び前記母材に向けられる前記切断ビームは、前記母材の前記切断加工中に切断経路に沿って互いに対して移動され、前記切断経路の進路は、前記母材の前記定義された部品占有率に対応する、
方法。
【請求項8】
支持バー(18)の意図した状態において、板状母材、特に金属シート(15)を、切断ビームによって母材を切断加工するための工作機械(1)上に支持するための前記支持バー(18)の実際の状態を特定するための装置であって、
・突出部間隙(22)が互いに隣接する支持突出部(20)の間に形成された状態で、前記支持バー(18)は、前記支持バー(18)の長手方向(21)において互いに隣接する複数の支持突出部(20)を備え、
・前記支持バー(18)の支持側(25)が、前記母材を支持するために設計された状態で、前記支持突出部(20)は、前記支持バー(18)の基体(24)から前記支持バー(18)の前記支持側(25)へ、前記支持バー(18)の高さの方向(23)において、前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に対して横方向に突出し、
・前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に通る前記支持バー(18)の長手側から見て、前記支持突出部(20)が前記支持突出部(20)に割り当てられた前記支持バー(18)の定義された高さ領域にわたって延在する状態で、前記支持突出部(20)は、突出部高さ(26)を有する定義された意図する寸法形状を有し、
前記装置は、前記支持バー(18)の前記支持突出部(20)の実際の寸法形状を特定するための装置の形態であり、前記装置は、光切断法を実行するための装置(27)と、比較装置(34)とを備え、
・光切断法を実行するための前記装置(27)は、
-前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に延在する光のライン(29)を前記支持バー(18)の前記長手側に投影することができる光源(28)を備え、前記支持バー(18)の高さの方向(23)において前記支持突出部(20)に割り当てられた前記支持バー(18)の高さ領域の少なくとも一部にわたって前記支持バー(18)の前記長手側を前記光のライン(29)により走査するために用いることができる走査装置(31)と、
-前記光のライン(29)を用いて走査された前記支持バー(18)の前記長手方向側の走査範囲を検出して、前記支持バー(18)の前記長手方向側の画像を生成するために用いることができる光学検出器(32)と、
-前記支持バー(18)の前記長手方向側の前記生成された画像に基づいて前記支持突出部(20)の前記実際の寸法形状を特定するために用いることができる評価装置(33)と、を有し、
及び
・前記比較装置(34)は、前記支持突出部(20)の前記特定された実際の寸法形状を前記支持突出部(20)の前記定義された意図する寸法形状と比較するために用いることが可能である、
装置。
【請求項9】
板状母材、特に金属シート(15)を切断ビームによって切断加工するための工作機械(1)の母材支持体(17)の実際の状態を特定するための装置であって、
・前記母材支持体(17)は、前記母材を支持するために、複数の支持バー(18)を備え、その長手方向(21)が同じ方向に通り、それが横方向に互いに離間しており、
・前記支持バー(18)の意図する状態において、
-突出部間隙(22)が互いに隣接する支持突出部(20)の間に形成された状態で、前記支持バー(18)はそれぞれ、前記支持バー(18)の長手方向(21)において互いに隣接する複数の支持突出部(20)を備え、
-前記支持バー(18)の支持側(25)が、前記母材を支持するために設計された状態で、前記支持突出部(20)はそれぞれ、前記支持バー(18)の基体(24)から前記支持バー(18)の前記支持側(25)へ、前記支持バー(18)の高さの方向(23)において、前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に対して横方向に突出し、
-前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に通る前記支持バー(18)の長手側から見て、前記支持突出部(20)が前記支持突出部(20)に割り当てられた前記支持バー(18)の定義された高さ領域にわたって延在する状態で、前記支持突出部(20)はそれぞれ、突出部高さ(26)を有する定義された意図する寸法形状を有し、
及び
・前記装置が、前記支持バー(18)の少なくとも1つに対して、前記支持バー(18)の実際の状態を特定するための装置を有する状態で、
前記支持バー(18)の少なくとも1つに対して、請求項8に記載の装置は、前記支持バー(18)の実際の状態を特定するための装置として設けられる、
装置。
【請求項10】
前記母材支持体(17)の前記支持バー(18)に対して、請求項8に記載の装置は、前記支持バー(18)の実際の状態を特定するための共通の装置として設けられており、
・光切断法を実行するための前記装置(27)は、
-前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に延在する光のライン(29)を前記支持バー(18)のそれぞれの前記長手側に投影することができる光源(28)を備え、前記支持バー(18)の高さの方向(23)において前記支持突出部(20)に割り当てられた前記支持バー(18)の高さ領域の少なくとも一部にわたって前記支持バー(18)のそれぞれの前記長手側を前記光のライン(29)により走査するために用いることができる走査装置(31)と、
-前記支持バー(18)のそれぞれに対して、前記光のライン(29)を用いて走査された前記支持バー(18)の前記長手方向側の走査範囲を検出して、前記支持バー(18)の前記長手方向側の画像を生成するために用いることができる光学検出器(32)と、
-前記支持バー(18)のそれぞれに対して、前記支持バー(18)の前記長手方向側の前記生成された画像に基づいて前記支持突出部(20)の前記実際の寸法形状を特定するために用いることができる評価装置(33)と、を有し、
及び
・前記比較装置(34)は、前記支持バー(18)のそれぞれに対して、前記支持突出部(20)の前記特定された実際の寸法形状を前記支持突出部(20)の前記定義された意図する寸法形状と比較するために用いることが可能である、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前進装置が設けられており、それによって、前記母材支持体(17)は、前記支持バー(18)の前記長手方向側の横方向において、前記支持バー(18)の前記長手方向側が光切断法を実行するための前記装置(27)によって1つずつアクセスすることができる位置へと前進させることができる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
板状母材、特に金属シート(15)を切断ビームによって切断加工するための工作機械であって、
・前記母材を支持するために複数の支持バー(18)を備え、その長手方向(21)が同じ方向に通り、それが横方向に互いに離間する母材支持体(17)を有し、前記支持バー(18)の意図する状態において、
-突出部間隙(22)が互いに隣接する支持突出部(20)の間に形成された状態で、前記支持バー(18)はそれぞれ、前記支持バー(18)の長手方向(21)において互いに隣接する複数の支持突出部(20)を備え、
-前記支持バー(18)の支持側(25)が、前記母材を支持するために設計された状態で、前記支持突出部(20)はそれぞれ、前記支持バー(18)の基体(24)から前記支持バー(18)の前記支持側(25)へ、前記支持バー(18)の高さの方向(23)において、前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に対して横方向に突出し、
-前記支持バー(18)の前記長手方向(21)に通る前記支持バー(18)の長手側から見て、前記支持突出部(20)が前記支持突出部(20)に割り当てられた前記支持バー(18)の定義された高さ領域にわたって延在する状態で、前記支持突出部(20)はそれぞれ、突出部高さ(26)を有する定義された意図する寸法形状を有し、
・切断ビームを発生させ、それによって前記母材を切断することによって加工することができる、前記母材を切断加工するための加工装置を有し、
・前記母材支持体(17)の実際の状態を特定するための装置を有し、
請求項9~11のいずれか一項に記載の装置が、前記母材支持体(17)の実際の状態を特定するための装置として設けられる、
工作機械。
【請求項13】
・エンクロージャ(6)を備える作業空間(5)が設けられ、前記作業空間内に、前記母材を切断加工するための前記加工装置が、前記母材の切断加工中に配置され、
・前記母材支持体(17)は、前記母材支持体(17)の実際の状態を特定するために、前記エンクロージャ(6)の内部に配置することができる、
請求項12に記載の工作機械。
【請求項14】
請求項11に記載の装置が、前記母材支持体(17)の実際の状態を特定するための装置として設けられている状態で、
・前記母材を切断加工するために、前記加工装置は、前記母材支持体(17)によって支持される母材に、前記母材を切断加工するための前記加工装置の切断ビームによってアクセスすることができる作業領域を有し、
・母材移送装置が設けられ、それによって、前記母材支持体(17)によって支持される前記母材を移動させるために、前記母材支持体(17)を前記加工装置の前記作業領域内に前進させることができ、
・前記母材移送装置は、前記母材支持体(17)の実際の状態を特定するための前記装置の前進装置として設けられる、
請求項12又は請求項13に記載の工作機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状母材、特に金属シートを、切断ビームによって母材を切断加工するための工作機械上に支持するための支持バーの実際の状態を特定するための方法及び装置に関し、支持バーの意図する状態において、
・突出部間隙が互いに隣接する支持突出部の間に形成された状態で、支持バーは、支持バーの長手方向において互いに隣接する複数の支持突出部を備え、
・支持バーの支持側が、母材を支持するために設計された状態で、支持突出部は、支持バーの基体から支持バーの支持側へ、支持バーの高さの方向において、支持バーの長手方向に対して横方向に突出し、
・支持バーの長手方向に通る支持バーの長手側から見て、支持突出部が支持突出部に割り当てられた支持バーの定義された高さ領域にわたって延在する状態で、支持突出部は、突出部高さを有する定義された意図する寸法形状を有する。
【0002】
本発明は、その上、
・板状母材、特に金属シートを、切断ビームによって切断加工するための工作機械の母材支持体の実際の状態を特定するための方法及び装置であって、母材支持体は、母材を支持するために、上述した種類の複数の支持バーを備え、その長手方向が同じ方向に通り、それが横方向に互いに離間しており、
・板状母材、特に金属シートを、切断ビームによって母材を切断加工するための工作機械上で切断加工するための方法であって、母材は、加工中、上述した種類の母材支持体上に支持される、方法と、
・工作機械の母材支持体の実際の状態を特定するための上述した種類の装置を有する工作機械と、に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、レーザによる金属シートを切断加工するためのレーザフラットベッド機械では、それらが加工されている間、金属シートは、支持バーの支持突出部上に載置され、支持バーは、それらの長手方向と母材パレットのパレットフレーム上に互いに平行に取り付けられ、横方向に互いに離間する。加工の結果として、支持突出部は摩耗及び/又は損傷、例えば溶融する。この結果、支持バー及びそれによって形成される母材支持体の機能が損なわれる可能性があり、これはひいては、加工プロセスに悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
この種の従来技術は、(特許文献1)に開示されている。前記文献は、実際の状態を評価し、支持バー及び支持バーによって形成される母材支持体のメンテナンスを行うための方法及び装置に関し、この場合、支持ストリップの横方向範囲の実際の状態が検出され、意図する状態と比較される。横方向範囲を検出するため、支持バーは、支持ストリップの長手方向に延在する光ビームを用いて光バリアを通して移動されるか、又はラインスキャンカメラによって走査される。支持バーの検出された横方向範囲の、確立された意図する状態から相応に顕著な逸脱が生じた場合、当該支持バーは、保守又は交換の対象となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102017210182A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、支持バー及び支持バーによって形成される母材支持体の更なる機能関連特徴を監視することを可能にする方法及び装置を提供することにあり、支持バー及び母材支持体の実際の状態について得られた知見を、機能する加工プロセスを保証するために利用する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的は、本発明に従って、支持バー及び複数の支持バーによって形成される母材支持体の実際の状態を特定するための特許請求項1、5、8、及び9に記載の方法及び装置によって、板状母材を切断加工するための請求項7に記載の方法によって、及び板状母材を切断加工するための請求項12に記載の工作機械によって達成される。
【0008】
本発明の場合、切断ビームによる切断加工中に板状母材を支持するための、特にレーザによる切断加工中に金属シートを支持するための支持バー上の支持突出部の実際の寸法形状、好ましくは実際の高さが、光切断法によって支持突出部の高さにわたって特定され、対応する予め定義された意図する寸法形状と比較される。支持バーの検出された領域の位置は、当該支持バー又は当該母材支持体を備える工作機械の数値コントローラの座標系において定義される。支持突出部の特定された実際の寸法形状は、数値比較装置において、定義された意図する寸法形状と比較される。
【0009】
突出部高さにわたって支持突出部の実際の寸法形状を特定し、特定された実際の寸法形状を意図する寸法形状と比較することによって、支持バー及び/又は支持バーを備える母材支持体の状態、例えば、支持バーの支持突出部が、突出部高さの減少と共に溶融又は変形したかどうか、及び任意にどの程度まで溶融又は変形したかを確立することが可能である。本発明による加工方法及び本発明による工作機械の場合におけるこれらの知見から、後続の加工プロセスに対する結果が導き出される。特に、加工する母材の切断加工作業の前に、支持突出部の突出部高さにわたって特定される実際の寸法形状を考慮して、部品占有率が定義され、それに基づいて、後続の加工プロセスが実質的に中断なく進行すること、及び/又は、後続の加工プロセス中に、関連する品質要求を満たす加工結果が得られることが保証される。支持突出部の予め特定された実際の寸法形状に基づいて、及び、意図する寸法形状からの支持突出部の実際の寸法形状の逸脱に関して任意に、部品占有率が加工する母材に関して定義され、それに基づいて、後続の加工プロセス中に切り離される部品が、傾くことなく、支持バーの支持突出部によって支持される場合が好ましい。その上、本発明によれば、支持突出部の実際の寸法形状に依存する、加工する母材上の部品占有率が考えられ、その結果、母材上の切断ビームの穿刺部位又は切断ビームが辿る切断ラインは、無傷の支持突出部の上に位置せず、結果として、特に支持突出部へのスクラップの溶接が回避される。
【0010】
突出部高さにわたる支持突出部の実際の寸法形状は、本発明によれば、当該技術分野において公知の光切断法によって特定され、その過程では、支持バーの長手方向に延在する光のラインが光源から支持バーの長手方向側上に投影され、光のラインを用いて、支持バーの長手方向側を、支持突出部に割り当てられた支持バーの高さ領域の少なくとも一部にわたって支持バーの高さの方向に走査する。光のラインを用いて走査された支持バーの長手方向側の走査範囲は、支持バーの長手方向側の画像を生成するよう光学検出器によって、特にカメラによって検出され、支持突出部の実際の寸法形状は、支持バーの長手方向側の生成された画像に基づいて、従来の方法に従って数値評価装置によって特定される。
【0011】
本発明によれば、調整されたフィルタを有する1つ以上のカメラを用いて、支持バー上をそれに対して支持バーの高さ方向に移動する光のラインを撮像し、本発明による評価装置によって画像から3次元点群を生成する場合であることが好ましい。評価装置は、この点群から、支持バー上の支持突出部の状態、特に高さを導出することができる。
【0012】
本発明による画像化三角測量の代替又は追加として、突出部高さにわたる母材支持体の支持バー上の支持突出部の実際の寸法形状を、容量的に、誘導的に、超音波に基づいて、触覚的に、又は異なる画像化方法を用いて検出する選択肢がある。
【0013】
この点に関して、当該支持バーの上をその長手方向に通過する個々のセンサを用いることが可能であるか、又は、支持突出部は、当該支持バーの全長にわたって延在するセンサアレイによって検出される。センサアレイの場合、方法に応じて、冗長を乱すことなく可能な限り高い解像度を可能にするために、十分に高いが、過度に高くない個々のセンサの密度を保証する必要がある。
【0014】
支持突出部の触覚検出のために、歯車又は針を有する舌片等のアレイ状に接続されるセンサが考慮される。測定ボールも触覚センサとして考えられる。
【0015】
代替の画像化方法に関して、例えば、母材支持体全体を見ることができる画像を畳み込み人工ニューラルネットワークによって処理し、従って、母材支持体の一部として設けられる支持バーの支持突出部の状態を識別することが可能である。この点に関して、まず第1に、単純な形状(ある特定の向きのライン)が識別され、その後、単純な形状からなる複雑な形状(2つのラインの組み合わせとしての支持突出部)が、複数のステップ(ネットワークの層)で画像において識別される。ニューラルネットワークを教示するために可能な限り多くの支持バー及び損傷の程度を用いることによって、極めて高い識別率を達成することが可能である。
【0016】
また、加工する母材に切断ビームを向ける切断ヘッド上のカメラによって、支持突出部、従って支持バーの実際の状態を検出することも可能である。この目的のために、まず第1に、支持バーは、記録内で背景から分離される。次いで、焦点幅を固定し、オートフォーカスにより支持突出部に焦点を合わせた状態で、カメラを支持バーの高さ方向に移動させる。支持突出部の高さは、支持バーの高さ方向のカメラの動きの大きさから計算することができる。対応する画像化システムは、TRUMPF(Johann-Maus-Strasse 2,D-71254 Ditzingen)によって「DetectLine」の名称で提供されている。
【0017】
その上、レーザビーム経路上のカメラによって、投入されたレーザを、母材支持体の支持バー上を長手方向に通過させることができる。レーザ光の戻り反射の強度は、カメラが長手方向に通過する支持バー上の支持突出部の高さの測定値である。同様にTRUMPFによって「PierceLine」の名称で提供されている画像化システムも、例えば、この種の画像化方法を実行することに適している。
【0018】
最後に、本発明による光切断法とは異なり、当該支持バーのストライプ照明及び透過照明法が、支持バーの支持突出部の実際の寸法形状を突出部高さにわたって検出するために考慮される。
【0019】
支持バーのストライプ照明の場合、異なるストライプパターンがプロジェクタによって当該支持バー上に投影される。プロジェクタ及び支持バーに対する相対位置を知る必要がある1つ以上のカメラが、ストライプパターンを記録する。結果として得られる画像から、支持バーを表す3次元点群を生成することができる。このプロセスにおいて、ストライプパターンはわかっているので、サブピクセル精度を達成することが可能である。支持バー上の支持突出部の高さは、3次元点群から容易に算出することができる。例えば、シートメタルの製造において頻繁に遭遇するような複雑な曝露環境の場合には、カメラの前に調整されたフィルタを有する非可視赤外線スペクトルの投影が推奨される可能性がある。
【0020】
透過照明法は、母材が支持バー上に取り付けられる場合に支持バー上で実行される。光源は、支持ストリップの長手方向範囲にわたって支持バーの長手方向側において下から母材を曝露するために用いられる。支持バーの反対側に位置する長手方向側において、支持バーは、カメラによって母材の下側で撮像される。支持バーの支持突出部は、ここでは暗くなった部分として見え、突出部間隙は明るく見える。支持突出部の実際の状態は、そのシルエットから計算することができる。
【0021】
独立請求項1、5、7、8、9、及び12による方法及び装置の特定の実施形態は、従属請求項2~4、6、10、11、13、及び14から明らかとなろう。
【0022】
本発明の好ましい構成において、光のラインとして、レーザ光のラインが、検出される支持バーの長手方向側に投影される(請求項2)。従って、ラインレーザがプロジェクタとして設けられることが好ましい。
【0023】
本発明の別の構成において、支持バーを静止させ、光のラインを支持バーの高さ方向に移動させ、及び/又は、光のラインを静止させ、支持バーが光源に向かって又はそれから離れるよう移動される状態で、支持バーの高さ方向におけるその長手方向側が走査される(請求項3)。
【0024】
本発明の改良形態において、単一の支持バー上の支持突出部の実際の寸法形状を特定するための本発明による方法及び本発明による装置はまた、母材支持体の複数の、好ましくは全ての支持バー上の支持突出部の実際の寸法形状を特定するためにも用いられる(請求項6、10)。この場合、位置決め運動が支持バーの横方向において生じ、それによって、検出される支持バーは、走査装置の光源及び関連する光学検出器に向かって、走査動作が実行される位置に連続的に前進される。
【0025】
検出される複数の支持バーを有する母材支持体を、全ての支持バーのために設けられた光源及び関連する光学検出器に対して再配置するために、本発明の1つの改良形態において、前進装置が設けられ、それによって、母材支持体は、支持バーの長手方向側の横方向において、支持バーの長手方向側が光切断法を実行するための装置の光源及び光学検出器によって1つずつアクセスすることができる位置へと前進させることができる(請求項11)。
【0026】
検出される支持バーの長手方向側が走査されている場合に用いられ、支持バーの高さ方向における支持バーと光のラインとの相対移動を生じるよう意図される移動軸、及び任意に、個々の走査動作の間で支持バーを再位置決めするための移動軸は、高い位置決め精度を有していなければならない。
【0027】
本発明による工作機械の好ましい構成において、1つ以上の支持バーの長手方向側を走査する目的で実行される支持バーの移動及び/又は支持バーの前進移動は、母材移送装置によって生成され、母材移送装置は、他の全ての点において、支持バーを備える母材支持体を加工目的で工作機械の作業領域に移動させる役割を果たす(請求項14)。
【0028】
定義された曝露条件を保証するために、本発明の更なる好ましい構成において、支持突出部の実際の寸法形状の検出は、工作機械のエンクロージャの内部において当該支持バー上で実行される。特に、本発明による工作機械の作業領域の空間的な境界は、エンクロージャとして考慮される(請求項4、13)。
【0029】
本発明を、例示的な略図に基づいて、以下でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】レーザによる金属シートを切断加工するためのレーザフラットベッド機械を示す。
図2図1によるレーザフラットベッド機械の母材支持体の支持バーのうちの1つの部分図を示す。
図3図1によるレーザフラットベッド機械の母材支持体の実際の状態の検出を示す。
図4図3の矢印IVの方向から見た図3による検出動作の極めて略した図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1によれば、図1には図示していない金属シートをレーザ切断するためのレーザフラットベッド機械1の形態の工作機械は、加工ユニット2と、ハンドリング装置3と、パレット交換装置4とを備えている。
【0032】
加工ユニット2の作業空間5は、エンクロージャ6を備えている。作業空間5では、加工装置として設けられる従来のレーザ切断ヘッドによって、金属シートの切断加工が行われる。図において、レーザ切断ヘッドはエンクロージャ6によって覆われている。
【0033】
ハンドリング装置3は、水平アーム8と、両矢印10の方向にアーム8に沿って移動することができるサービスユニット9とを有する移動ユニット7を有している。両矢印10の方向への可能な移動に加えて、サービスユニット9は、垂直方向(両矢印11)に上昇及び下降することができる。
【0034】
サービスユニット9と共に、移動ユニット7は、ハンドリング装置3のガイド構造12に沿って両矢印13の方向に移動することができる。吸引フレーム14はサービスユニット9に設置されている。
【0035】
ハンドリング装置3のガイド構造12は、パレット交換装置4に沿って通っている。パレット交換装置4は、従来の設計を有し、通常通り、加工ユニット2の作業空間5に加工する金属シートを装填し、金属シートの切断加工の過程において作成される加工製品を加工ユニット2の作業空間5から取り出す働きをする。金属シート15を、図2において破線で示している。
【0036】
加工する金属シート15及び加工製品は、母材支持体17を備える従来の母材パレット16上に支持される。母材支持体17は、通常、複数の支持バー18によって形成され、その一部は、母材パレット16のパレットフレーム19に取り付けられ、そこで互いに間隔を空けて平行に通っている。支持バー18は共に、母材支持体17の水平支持面を定義している。
【0037】
ハンドリング装置3は、ローディング及び/又はアンローディング装置として用いられている。加工する金属シート15は、通常通り、サービスユニット9の吸引フレーム14を用いて未加工金属シートの積層体(図示せず)から持ち上げられ、パレット交換装置4の空の母材パレット16上に置かれる。次いで、加工する金属シート15を装填した母材パレット16は、パレット交換装置4のチェーン駆動形態の母材移送装置によって、水平移送運動で、エンクロージャ6内の図1で覆われている開口部を通って加工ユニット2の作業空間5内に押し込まれる。金属シートの切断加工は、加工ユニット2の作業空間5において行われ、その過程で、加工製品としての完成部品及び残りの切り取られたシートが、金属シート15から作製される。
【0038】
母材パレット16と共に、金属シートの切断加工の加工製品は、パレット交換装置4のチェーン駆動を用いてエンクロージャ6の開口部を通ってパレット交換装置4上の加工ユニット2の作業空間5から引き出される。パレット交換装置4上に配置された母材パレット16は、次いで、ハンドリング装置3によって取り出される。
【0039】
図1は、パレット交換装置4上に配置された母材パレット16が完全に取り出された時点における機械配置1を示している。
【0040】
母材支持体17の構造的に同一の支持バー18のうちの1つを、図2に示す。
【0041】
支持バー18は、支持バー18の長手方向21において互いに隣接する複数の支持突出部20を備えている。それぞれの突出部間隙22が、互いに隣接する支持突出部20の間に形成されている。支持突出部20は、支持バー18の長手方向21に対して横方向に支持バー18の基体24から支持バー18の支持側25に向かって支持バー18の高さ方向(矢印23)に突出している。支持側25において、支持突出部20は、切断加工中に金属シート15を支持するための先端を備えている。母材支持体17を形成するため、複数の支持バー18は、それらの長手方向21が同じ方向に通り、それに対して互いに横方向に離間されるように、パレットフレーム19に取り付けられている。
【0042】
支持バー18の長手方向21に通る支持バー18の長手側の図2に示す図の支持バー18の意図した状態において、支持突出部20は、支持突出部20が支持バー18の支持突出部20に割り当てられる定義された高さ領域にわたって延在する突出部高さ26を有する定義された意図した寸法形状を有している。
【0043】
金属シートの切断加工中、母材支持体17の支持バー18は悪影響を受ける。図2によれば、先の加工プロセス中に、支持突出部20のうちの複数が、金属シートの切断加工に用いられ、レーザ切断ヘッドによって金属シート15上に向けられたレーザ切断ビームによって、元の突出部高さ26の一部にわたって溶融した。
【0044】
1つ以上の支持バー18上の個々の支持突出部20の損傷により、母材支持体17の機能は損なわれる可能性がある。特に、支持突出部20の不均一な高さの結果として、金属シートの切断加工中に切り離された部品が母材支持体17上で傾き、その結果、母材支持体17を機械的に取り外す過程で破損が生じる危険性がある。
【0045】
レーザフラットベッド機械1におけるプロセスシーケンスの中断を防ぐために、母材支持体17の実際の状態は、母材支持体17が取り外された状態で一定間隔で特定され、母材支持体17の意図した状態と比較される。
【0046】
母材支持体17の実際の状態の特定を、図3及び4に示す。
【0047】
母材支持体17の実際の状態を特定するため、支持突出部20の実際の寸法形状は、母材支持体17の全ての支持バー18に関して、光切断法によって1つずつ特定される。光切断法を実行する場合の最適な光条件のために、支持突出部20の実際の寸法形状は、レーザフラットベッド機械1(図3)のエンクロージャ6によって囲まれる作業空間5の暗い内部で支持バー18上で特定される。
【0048】
光切断法を実行するための装置27は、光のラインとして、支持バー18の長手方向21に延在するレーザ光のライン29を、検出対象の支持バー18のラインレーザに面する長手方向側に投影するラインレーザ28を光源として有している。レーザ光のライン29は、図4において破線で示す投影方向30において、直角ではない角度で支持バー18の長手方向側に投影される。
【0049】
ラインレーザ28は走査装置31の一部であり、それによって支持バー18の長手方向側が、支持バー18の高さの方向23において支持バー18の支持突出部20に割り当てられる高さ領域の少なくとも一部にわたってレーザ光のライン29により走査される。方向23において支持バー18に対してレーザ光のライン29によって行われる移動を生成するため、走査装置31はパレット交換装置4の母材移送装置を利用し、それによってレーザ光のライン29に曝露される支持バー18は、投影方向30とは反対のラインレーザ28の方向に移動する。
【0050】
光切断法を実行するための装置27の光学検出器として設けられるカメラ32は、レーザ光のライン29によって走査された支持バー18の長手方向側の全範囲を検出して、支持バー18の長手方向側の画像を生成する。光切断法を実行するための装置27の数値評価装置33は、従来の三角測量法を用いて、カメラ32によって生成された画像に基づいて、支持バー18上の支持突出部20の実際の寸法形状、特に支持突出部の実際の高さを特定する。光切断法を実行するための装置27の数値評価装置33を、図1に極めて略した図で示す。
【0051】
光切断法を実行するための装置27によって特定する支持突出部20の実際の寸法形状は、数値比較装置34において、そこに格納された支持突出部20の意図する寸法形状と比較される。プロセスにおいて、図2に示す支持バー18上で、個々の支持突出部20が溶融したことが識別される。
【0052】
上述したように、母材支持体17の全ての支持バー18に対して1つずつ手順が続けられる。支持バー18の実際の状態の特定が終了した後、母材支持体17は、パレット交換装置4の母材移送装置によって、図3の矢印35によって示す前進方向に再位置決めされ、その結果、1つの検出された支持バー18は、前進方向35とは反対に、図3による検出位置に通過し、更なる支持バー18の実際の状態又はこの支持バー18上に設けられる支持突出部20の実際の高さは、支持バー18をその高さの方向23に走査することによって特定することができる。前進方向35における母材支持体17の再位置決め運動に追加して、又はその代替として、ラインレーザ28及びカメラ32は、隣接する支持バー18の前進方向35とは反対に調整されて、1つの検出された支持バー18を検出することができる。
【0053】
母材支持体17の実際の状態は、数値評価ユニット36によって個々の支持バー18の実際の状態から特定される。具体的には、プロセスにおいて、母材支持体17が損傷した支持突出部20を有する位置が確認される。
【0054】
この情報は、後続の加工プロセスのためにレーザフラットベッド機械1の数値機械コントローラ37のプログラミングにおいて考慮される。この例示的な場合において、その後加工される金属シート15に対して、部品占有率が定義され、それに基づいて、金属シート15から切り取られた部品は、損傷した支持突出部20に関わらず、傾くことなく母材支持体上に支持される。その上、その後加工される金属シート15の対応する部品占有率は、加工ユニット2のレーザ切断ヘッドによって金属シート15上に向けられるレーザ切断ビームの穿孔点が、母材支持体17の無傷の支持突出部20の上に位置せず、金属シート15上でレーザ切断ビームが辿る切断経路が、突出部間隙22及び/又は溶融した支持突出部20の上を通ることを保証する。
【符号の説明】
【0055】
1 工作機械
2 加工ユニット
3 ハンドリング装置
4 パレット交換装置
5 作業空間
6 エンクロージャ
7 移動ユニット
8 水平アーム
9 サービスユニット
10、11、13 両矢印
12 ガイド構造
14 吸引フレーム
15 金属シート
16 母材パレット
17 母材支持体
18 支持バー
19 パレットフレーム
20 支持突出部
21 長手方向
22 突出部間隙
23 高さの方向
24 基体
25 支持側
26 突出部高さ
27 光切断法を実行するための装置
28 光源
29 光のライン
30 投影方向
31 走査装置
32 光学検出器
33 評価装置
34 比較装置
35 前進方向
36 評価ユニット
37 機械コントローラ
IV 矢印
図1
図2
図3
図4