(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-14
(45)【発行日】2023-11-22
(54)【発明の名称】部品保管庫、及び、部品保管庫の管理方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
B65G1/137 B
(21)【出願番号】P 2022576898
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(86)【国際出願番号】 JP2021002229
(87)【国際公開番号】W WO2022157924
(87)【国際公開日】2022-07-28
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松下 洋一
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6554673(JP,B2)
【文献】特開平04-085201(JP,A)
【文献】特許第3405268(JP,B2)
【文献】特開2019-026463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に搭載される部品が収容されている部品収容体を保管する部品保管庫であって、
並列に設けられている2つの保管棚と、
各前記保管棚に設けられている複数の保管場所であって、それぞれ1つの前記部品収容体が保管される複数の保管場所と、
一方の前記保管棚に設けられており、入出庫される前記部品収容体が載置される入出庫場所と、
当該部品保管庫内で前記部品収容体を移動させる移動部と、
前記部品の出庫の指示を受け付ける受け付け部と、
制御部と、
を備え、
前記一方の保管棚には前記入出庫場所までの移動時間が短い前記保管場所の順に所定数の前記保管場所が出庫待機場所として確保されており、
他方の前記保管棚には、前記入出庫場所までの移動時間が短い前記保管場所の順に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類の数以上の数の前記保管場所が優先保管場所として確保されており、
前記制御部は、
前記部品の出庫の指示を受け付ける前に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類毎に少なくとも1つの前記部品収容体を前記移動部によって前記優先保管場所に移動させる第1の移動処理と、
前記優先保管場所に保管されている前記部品収容体のうち出庫する順番が相対的に早い前記部品収容体を前記移動部によって前記出庫待機場所に移動させる第3の移動処理と、
いずれかの種類の前記部品の出庫の指示を受け付けると、当該種類の前記部品が収容されている前記部品収容体を前記移動部によって前記出庫待機場所から前記入出庫場所に移動させる第4の移動処理と、
を実行する、部品保管庫。
【請求項2】
請求項1に記載の部品保管庫であって、
前記制御部は、当該部品保管庫に保管されていない種類の前記部品が収容されている前記部品収容体が入庫された場合に前記優先保管場所を新たに確保する確保処理を実行する、部品保管庫。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載の部品保管庫であって、
各前記部品収容体は出庫の優先度が設定されており、
前記制御部は、前記第1の移動処理において、前記部品収容体の種類毎に最も優先度が高い前記部品収容体を前記優先保管場所に移動させる、部品保管庫。
【請求項4】
基板に搭載される部品が収容されている部品収容体を保管する部品保管庫であって、
それぞれ1つの前記部品収容体が保管される複数の保管場所と、
入出庫される前記部品収容体が載置される入出庫場所と、
当該部品保管庫内で前記部品収容体を移動させる移動部と、
前記部品の出庫の指示を受け付ける受け付け部と、
制御部と、
を備え、
前記入出庫場所までの移動時間が短い前記保管場所の順に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類の数以上の数の前記保管場所が優先保管場所として確保されており、
前記制御部は、
前記部品の出庫の指示を受け付ける前に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類毎に少なくとも1つの前記部品収容体を前記移動部によって前記優先保管場所に移動させる第1の移動処理と、
いずれかの種類の前記部品の出庫の指示を受け付けると、当該種類の前記部品が収容されている前記部品収容体を前記移動部によって前記優先保管場所から前記入出庫場所に移動させる第2の移動処理と、
を実行し、
当該部品保管庫は、当該部品保管庫の内部を除湿する除湿器を備え、
湿度の高い空気に触れることが好ましくない種類の前記部品が収容されている前記部品収容体については、例外として、前記除湿器の吹出口との距離が近い前記保管場所の順に前記優先保管場所が確保されている、部品保管庫。
【請求項5】
基板に搭載される部品が収容されている部品収容体を保管する部品保管庫の管理方法であって、
前記部品保管庫は、
並列に設けられている2つの保管棚と、
各前記保管棚に設けられている複数の保管場所であって、それぞれ1つの前記部品収容体が保管される複数の保管場所と、
一方の前記保管棚に設けられており、入出庫される前記部品収容体が載置される入出庫場所と、
当該部品保管庫内で前記部品収容体を移動させる移動部と、
前記部品の出庫の指示を受け付ける受け付け部と、
を備え、
前記一方の保管棚には前記入出庫場所までの移動時間が短い前記保管場所の順に所定数の前記保管場所が出庫待機場所として確保されており、
他方の前記保管棚には、前記入出庫場所までの移動時間が短い前記保管場所の順に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類の数以上の数の前記保管場所が優先保管場所として確保されており、
当該管理方法は、
前記部品の出庫の指示を受け付ける前に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類毎に少なくとも1つの前記部品収容体を前記移動部によって前記優先保管場所に移動させる第1の移動工程と、
前記優先保管場所に保管されている前記部品収容体のうち出庫する順番が相対的に早い前記部品収容体を前記移動部によって前記出庫待機場所に移動させる第3の移動工程と、
いずれかの種類の前記部品の出庫の指示を受け付けると、当該種類の前記部品が収容されている前記部品収容体を前記移動部によって前記出庫待機場所から前記入出庫場所に移動させる第4の移動工程と、
を含む、部品保管庫の管理方法。
【請求項6】
基板に搭載される部品が収容されている部品収容体を保管する部品保管庫であって、
それぞれ1つの前記部品収容体が保管される複数の保管場所と、
入出庫される前記部品収容体が載置される入出庫場所と、
当該部品保管庫内で前記部品収容体を移動させる移動部と、
前記部品の出庫の指示を受け付ける受け付け部と、
制御部と、
を備え、
前記入出庫場所までの移動時間が短い前記保管場所の順に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類の数以上の数の前記保管場所が優先保管場所として確保されており、
前記制御部は、
前記部品の出庫の指示を受け付ける前に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類毎に少なくとも1つの前記部品収容体を前記移動部によって前記優先保管場所に移動させる第1の移動処理と、
いずれかの種類の前記部品の出庫の指示を受け付けると、当該種類の前記部品が収容されている前記部品収容体を前記移動部によって前記優先保管場所から前記入出庫場所に移動させる第2の移動処理と、
を実行し、
前記制御部は、当該部品保管庫に保管されていない種類の前記部品が収容されている前記部品収容体が入庫された場合に前記優先保管場所を新たに確保する確保処理を実行し、
前記制御部は、前記第2の移動処理によって前記入出庫場所に移動された前記部品収容体に収容されている前記部品と同じ種類の前記部品が収容されている前記部品収容体が前記保管場所に保管されていない場合に、前記優先保管場所として確保されている前記保管場所のうち前記入出庫場所までの移動時間が最も長い前記保管場所を前記優先保管場所から除外する除外処理を実行する、部品保管庫。
【請求項7】
請求項4又は請求項6に記載の部品保管庫であって、
それぞれ複数の前記保管場所を有する2つの保管棚が並列に設けられており、
前記入出庫場所はいずれか一方の前記保管棚に設けられており、
前記優先保管場所は他方の前記保管棚に確保されている、部品保管庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、部品保管庫、及び、部品保管庫の管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を実装する表面実装機が知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の部品実装装置(表面実装機)は、基板に部品を実装する実装部と、実装部に部品を供給する部品供給装置とを備えている。実装部は、電子部品を吸着及び解放する複数の実装ヘッドを有するヘッドユニットと、ヘッドユニットを基板の板面に平行な方向に移動させるヘッド駆動機構とを備えている。部品供給装置はテープ(部品テープ)に収容されている部品を供給するものであり、テープが捲き回されているリールが複数セットされる。部品供給装置はテープを送り出すことにより、テープに収容されている部品を1つずつ順に実装部に供給する。
【0003】
また、従来、基板に搭載される部品が収容されている部品収容体(部品テープが捲き回されているリールや、複数の部品が載置されている部品トレイなど)を保管する部品保管庫が知られている(例えば、特許文献2参照)。具体的には、特許文献2に記載の部品収容体保管庫は、部品収容体が保管される複数の保管棚(保管場所に相当)と、部品収容体を出入庫させる出入口と、保管する部品収容体を出入口まで移送する移送手段と、移送手段を制御する制御部とを備えており、管理コンピュータ(部品収容体管理装置)から準備指示を取得すると、部品収容体を出入口に移送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6603616号公報
【文献】特開2018-164018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献2に記載の部品収容体保管庫は、部品収容体の出庫に要する時間を短縮する上で改善の余地があった。
本明細書では、いずれの種類の部品収容体であっても出庫に要する時間を短縮できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一局面によれば、部品保管庫は、基板に搭載される部品が収容されている部品収容体を保管する部品保管庫であって、それぞれ1つの前記部品収容体が保管される複数の保管場所と、入出庫される前記部品収容体が載置される入出庫場所と、当該部品保管庫内で前記部品収容体を移動させる移動部と、前記部品の出庫の指示を受け付ける受け付け部と、制御部と、を備え、前記入出庫場所までの移動時間が短い前記保管場所の順に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類の数以上の数の前記保管場所が優先保管場所として確保されており、前記制御部は、前記部品の出庫の指示を受け付ける前に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類毎に少なくとも1つの前記部品収容体を前記移動部によって前記優先保管場所に移動させる第1の移動処理と、いずれかの種類の前記部品の出庫の指示を受け付けると、当該種類の前記部品が収容されている前記部品収容体を前記移動部によって前記優先保管場所から前記入出庫場所に移動させる第2の移動処理と、を実行する。
【0007】
前述した特許文献2に記載の部品収容体保管庫の場合、出入口から遠い保管棚(言い換えると出入口までの移動時間が長い保管棚)に保管されている部品収容体を出庫する場合は、保管棚から出入口までの移動時間が長いことから、準備指示を取得してから部品収容体が出入口に移送されるまでに時間を要する。
これに対し、本発明に係る部品保管庫は、入出庫場所までの移動時間が短い保管場所の順に、当該部品保管庫に保管されている部品の種類の数以上の数の保管場所が優先保管場所として確保されている。そして、部品保管庫は、部品の出庫の指示を受け付ける前に、当該部品保管庫に収容されている部品の種類毎に少なくとも1つの部品収容体を優先保管場所に移動させる。そして、部品保管庫は、いずれかの種類の部品の出庫の指示を受け付けると、当該種類の部品が収容されている部品収容体を優先保管場所から入出庫場所に移動させる。優先保管場所は優先保管場所ではない保管場所(以下、非優先保管場所という)に比べて入出庫場所までの移動時間が短いことから、いずれの種類の部品収容体の出庫が指示された場合であっても部品収容体を短時間で入出庫場所に移動させることができる。このため本発明に係る部品保管庫によると、特許文献2に記載の部品収容体保管庫に比べ、いずれの種類の部品収容体であっても出庫に要する時間を短縮できる。
【0008】
(2)本発明の一局面によれば、それぞれ複数の前記保管場所を有する2つの保管棚が並列に設けられており、前記入出庫場所はいずれか一方の前記保管棚に設けられており、前記優先保管場所は他方の前記保管棚に確保されていてもよい。
【0009】
上記の部品保管庫によると、2つの保管棚が並列に設けられている場合に、他方の保管棚に優先保管場所を確保した方が部品収容体の出庫に要する時間を短縮できる場合は、他方の保管棚に優先保管場所を確保することにより、いずれの種類の部品収容体であっても出庫に要する時間を短縮できる。
【0010】
(3)本発明の一局面によれば、部品保管庫は、基板に搭載される部品が収容されている部品収容体を保管する部品保管庫であって、並列に設けられている2つの保管棚と、各前記保管棚に設けられている複数の保管場所であって、それぞれ1つの前記部品収容体が保管される複数の保管場所と、一方の前記保管棚に設けられており、入出庫される前記部品収容体が載置される入出庫場所と、当該部品保管庫内で前記部品収容体を移動させる移動部と、前記部品の出庫の指示を受け付ける受け付け部と、制御部と、を備え、前記一方の保管棚には前記入出庫場所までの移動時間が短い前記保管場所の順に所定数の前記保管場所が出庫待機場所として確保されており、他方の前記保管棚には、前記入出庫場所までの移動時間が短い前記保管場所の順に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類の数以上の数の前記保管場所が優先保管場所として確保されており、前記制御部は、前記部品の出庫の指示を受け付ける前に、当該部品保管庫に保管されている前記部品の種類毎に少なくとも1つの前記部品収容体を前記移動部によって前記優先保管場所に移動させる第1の移動処理と、前記優先保管場所に保管されている前記部品収容体のうち出庫する順番が相対的に早い前記部品収容体を前記移動部によって前記出庫待機場所に移動させる第3の移動処理と、いずれかの種類の前記部品の出庫の指示を受け付けると、当該種類の前記部品が収容されている前記部品収容体を前記移動部によって前記出庫待機場所から前記入出庫場所に移動させる第4の移動処理と、を実行する。
【0011】
上記の部品保管庫によると、部品収容体の出庫が指示される前に、出庫する順番が相対的に早い部品収容体を優先保管場所から出庫待機場所に移動させるので、部品収容体の出庫の指示を受け付けたときに、出庫する部品収容体を入出庫場所に移動させるまでの時間を短縮できる。このため上記の部品保管庫によると、いずれの種類の部品収容体であっても出庫に要する時間を短縮できる。
【0012】
(4)本発明の一局面によれば、前記制御部は、当該部品保管庫に保管されていない種類の前記部品が収容されている前記部品収容体が入庫された場合に前記優先保管場所を新たに確保する確保処理を実行してもよい。
【0013】
上記の部品保管庫によると、新たな種類の部品収容体が入庫されても、新たに入庫された種類の部品収容体を優先保管場所に保管できる。
【0014】
(5)本発明の一局面によれば、各前記部品収容体は出庫の優先度が設定されており、前記制御部は、前記第1の移動処理において、前記部品収容体の種類毎に最も優先度が高い前記部品収容体を前記優先保管場所に移動させてもよい。
【0015】
上記の部品保管庫によると、部品の種類毎に出庫の優先度が高い部品収容体から先に出庫できる。
【0016】
(6)本発明の一局面によれば、当該部品保管庫の内部を除湿する除湿器を備え、湿度の高い空気に触れることが好ましくない種類の前記部品が収容されている前記部品収容体については、例外として、前記除湿器の吹出口との距離が近い前記保管場所の順に前記優先保管場所が確保されていてもよい。
【0017】
除湿器の吹出口の近傍には除湿器によって除湿された乾燥した空気が吹き出される。上記の部品保管庫によると、湿度の高い空気に触れることが好ましくない種類の部品が収容されている部品収容体については除湿器の吹出口との距離が近い保管場所の順に優先保管場所が確保されるので、湿度の高い空気に触れることが好ましくない種類の部品が湿度の高い空気に触れる可能性を低減できる。
【0018】
本明細書によって開示される発明は、装置、方法、これらの装置または方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の種々の態様で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図6】パーツタワーの内部の斜視図(前側の保管棚を省略)
【
図13】実施形態2に係る出庫待機場所を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図12に基づいて説明する。以降の説明では同一の構成部材には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0021】
(1)基板生産設備
図1を参照して、基板に部品を実装する基板生産設備1について説明する。基板生産設備1は、基板に部品を実装する生産ライン2、パーツタワー3(部品保管庫の一例)、及び、管理コンピュータ4を備えており、これらがLAN(Local Area Network)などの通信ネットワーク5によって通信可能に接続されている。
【0022】
生産ライン2はローダー10、スクリーン印刷機11、印刷検査機12、ディスペンサ13、複数台の表面実装機14、実装後外観検査機15、リフロー装置16、硬化後外観検査機17及びアンローダー18を備えており、これらが複数のコンベア19を介して直列に接続されている。
【0023】
表面実装機14は、基板に部品を実装する実装部と、実装部に部品を供給する部品供給装置とを備えている。部品供給装置には部品テープ25(
図2参照)が捲き回されているリール26(
図3参照)が複数セットされる。リール26は部品収容体の一例である。部品供給装置は部品テープ25を送り出す電動式の送出装置を複数備えており、送出装置によって部品テープ25を送り出すことによって実装部に部品を供給する。
【0024】
管理コンピュータ4は基板生産設備1に関する各種の情報が登録されているコンピュータである。各種の情報には基板の生産計画情報、部品供給装置にセットされている各リール26の部品残数を示す部品残数情報、リール26に関する各種の情報などが含まれる。
【0025】
リール26に関する各種の情報には、リール26を一意に識別するためのリールID、リール26に収容されている部品の種類を示す情報、開封日時、湿気日数、酸化日数、保証期限などが含まれる。
開封日時はリール26が収容されているビニール袋が開封された日時である。リール26はビニール袋に収容されて部品メーカから提供される。ビニール袋はリール26を使用するときに開封され、オペレータによって開封日時が管理コンピュータ4に登録される。
【0026】
湿気日数はリール26に収容されている部品が湿気によって使用できなくなる日数である。開封日時を起点に湿気日数が経過した場合は、そのリール26に収容されている部品は使用できなくなる。
酸化日数はリール26に収容されている部品が酸化によって使用できなくなる日数である。開封日時を起点に酸化日数が経過した場合は、そのリール26に収容されている部品は使用できなくなる。
【0027】
保証期限は、リール26を提供する部品メーカが部品の品質を保証する期限である。
上述した情報はリール26に関する情報の一例である。リール26に関する情報はこれらに限られない。
【0028】
(2)部品テープ及びリール
図2に示すように、部品テープ25は複数の部品Eが収容されているテープである。部品テープ25は複数の収容凹部25Aが長手方向に等間隔に設けられているキャリアテープ25B、各収容凹部25Aに収容されている部品E、及び、キャリアテープ25Bの上面に張り付けられている剥離テープ25Cを有している。部品テープ25の幅方向の一方の側には部品供給装置の送出装置が備えているスプロケットの歯が挿入される送り穴25Dが長さ方向に沿って等間隔で設けられている。部品Eには複数の種類があり、1つの部品テープ25には同一種類の部品Eが収容されている。
【0029】
図3に示すように、部品テープ25はリール26に捲き回されている。リール26にはそのリール26のリールIDを示すバーコード27が表記されている。なお、リールIDはバーコード27ではなく二次元コードによって示されてもよい。
【0030】
表面実装機14のオペレータは現在使用中の部品テープ25の部品残数が少なくなると現在使用中の部品テープ25が捲き回されているリール26を外して新しいリール26をセットし、現在使用中の部品テープ25の後端部に新しい部品テープ25の先端部を接続する。現在使用中の部品テープ25の後端部に新しい部品テープ25の先端部を接続する作業は一般にスプライシングと称される。送出装置によっては2つの部品テープ25をセットすることができ、一方の部品テープ25が部品切れになると他方の部品テープ25を自動で送り出すオートローディング機能を備えるものもある。
【0031】
以降の説明ではリール26に捲き回されている部品テープ25に収容されている部品Eのことを単に「リール26に収容されている部品E」という。
【0032】
(3)パーツタワー
図4を参照して、パーツタワー3の外観について説明する。パーツタワー3はリール26が保管される保管庫である。パーツタワー3は横(W)2600cm、奥行き(L)1350cm、高さ(H)2500cm程度の略箱状の庫本体30を有している。庫本体30の前面において後述する入出庫棚33(
図5参照)の前側となる位置には図示しない矩形状の開口が形成されている。庫本体30にはその開口を開閉する開閉扉31が回動可能に連結されている。庫本体30の前面において開閉扉31の右側には操作部41が設けられている。
【0033】
図5及び
図6を参照して、パーツタワー3の内部について説明する。パーツタワー3は、リール26が保管される保管棚32、入出庫されるリール26が載置される入出庫棚33、保管棚32に保管されているリール26や入出庫棚33に載置されているリール26を移動させる移動部34(
図6参照)、及び、スキャナ42(
図7参照)を備えている。
【0034】
図5及び
図6に示すように、保管棚32は前側の保管棚32A(一方の保管棚の一例)と後側の保管棚32B(他方の保管棚の一例)とで構成されている。後側の保管棚32Bは縦に34段、横に7列であり、各列の格段にそれぞれ1つのリール26が保管される。以降の説明では1つのリール26が保管される場所を保管場所38という。前側の保管棚32Aは、全体的な構成は後側の保管棚32Bと同じであるが、中央部分に入出庫棚33が設けられている。入出庫棚33は縦に14段、横に2列であり、各段にそれぞれ1つのリール26が載置される。以降の説明では入出庫棚33において1つのリール26が載置される場所を入出庫場所39という。
【0035】
図6を参照して、移動部34について説明する。移動部34は入出庫場所39と保管場所38との間でリール26を移動させる機構である。詳しくは後述するが、移動部34は保管場所38間でもリール26を移動させる。移動部34はリール26を挟持する移動ヘッド34A、及び、移動ヘッド34Aを上下左右に二次元移動させるヘッド移動部34Bを備えている。
【0036】
移動ヘッド34Aはリール26を上下から挟んで挟持するものであり、ヘッド本体部35、リール26を挟持する挟持部36、図示しない前後移動機構、及び、図示しない昇降機構を備えている。挟持部36は前後方向に移動可能にヘッド本体部35に支持されている。挟持部36は、リール26の上側において前側に延出している2つの上側延出部37と、
図6では見えていないが、リール26の下側において前側に延出している下側延出部とを備えている。図示しない前後移動機構はヘッド本体部35に設けられており、挟持部36を前後に移動させる。図示しない昇降機構は挟持部36に設けられており、上側延出部37を昇降させる。
ヘッド移動部34Bは、移動ヘッド34Aを上下左右に移動させる移動機構、及び、移動ヘッド34Aを鉛直線周りに180℃回転させる回転機構を備えている。
【0037】
パーツタワー3は、保管場所38に保管されているリール26を移動ヘッド34Aによって取り出すときは、ヘッド移動部34Bによって移動ヘッド34Aを目的の保管場所38に移動させる。そして、パーツタワー3は上側延出部37を上昇させた状態で前後移動機構によって挟持部36を前側に移動させる。挟持部36を前側に移動させると上側延出部37がリール26の上側に位置し、下側延出部がリール26の下に位置する。
【0038】
パーツタワー3はその状態で昇降機構によって上側延出部37を下降させる。上側延出部37を下降させると、上側延出部37と下側延出部とによってリール26が挟持される。パーツタワー3はその状態で前後移動機構によって挟持部36を後側に移動させる。これによりリール26が取り出される。保管場所38にリール26を保管する場合は逆の動作となる。
後側の保管棚32Bに保管されているリール26を取り出すときは、パーツタワー3は回転機構によって移動ヘッド34Aを鉛直線周りに180℃回転させる。移動ヘッド34Aを180℃回転させた後の動作は同じであるので説明は省略する。
【0039】
スキャナ42(
図7参照)は移動ヘッド34Aに設けられている。リール26に表記されているバーコード27は移動ヘッド34Aがリール26を挟持するときにスキャナ42によって読み取られる。スキャナ42はパーツタワー3内の所定の位置に設けられていてもよい。その場合は移動ヘッド34Aに挟持されたリール26がスキャナ42の読み取り位置に移動されてバーコード27が読み取られる。
【0040】
(4)パーツタワーの電気的構成
図7を参照して、パーツタワー3の電気的構成について説明する。パーツタワー3は制御部40、移動ヘッド34A、ヘッド移動部34B、操作部41、及び、スキャナ42を備えている。
【0041】
制御部40は、CPUやRAMなどがワンチップ化されたマイクロコンピュータ40A、記憶部40B、及び、通信部40C(受け付け部の一例)を備えている。記憶部40Bには各種の制御プログラムや、パーツタワー3に保管されているリール26を管理するための管理テーブルなどが記憶されている。マイクロコンピュータ40Aは記憶部40Bに記憶されている制御プログラムを実行することによってパーツタワー3の各部を制御する。通信部40Cはマイクロコンピュータ40Aが通信ネットワーク5を介して他の装置と通信するための通信回路である。
【0042】
制御部40はマイクロコンピュータ40Aに替えてASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などを備えていてもよい。
操作部41は液晶ディスプレイなどの表示装置、及び、キーボード、マウス、タッチパネルなどの入力装置を備えている。オペレータは操作部41を操作してリール26の入庫や出庫を指示できる。
【0043】
(5)管理テーブル
図8を参照して、前述した管理テーブルについて説明する。オペレータがパーツタワー3にリール26を入庫するとスキャナ42によってリールIDが読み取られる。制御部40は読み取られたリールIDによって示されるリール26に関する各種の情報を管理コンピュータ4から取得し、リールIDと対応付けて管理テーブルに登録する。
【0044】
図8に示すように、実施形態1に係る管理テーブルはリールID欄、保管場所欄、部品種欄、入庫日時欄、開封日時欄、湿気日数欄、酸化日数欄、保証期限欄などのデータ項目を有している。保管場所欄はリール26が保管されている保管場所38を示す情報が登録されるデータ項目である。リールIDが読み取られた時点では保管場所欄は未だ空欄であり、リール26が保管場所38に移動されるとその保管場所38を示す情報が保管場所欄に登録される。部品種欄は部品の種類を示す情報が登録されるデータ項目である。入庫日時欄はリール26がパーツタワー3に入庫された日時が登録されるデータ項目である。開封日時欄、湿気日数欄、酸化日数欄及び保証期限欄はそれぞれ前述した開封日時、湿気日数、酸化日数、保証期限が登録されるデータ項目である。
制御部40は、パーツタワー3に保管されているリール26が出庫されると、出庫したリール26の情報を管理テーブルから削除する。
【0045】
(6)リールを出庫する優先度
前述したようにリール26には湿気日数、酸化日数、保証期限などが設定されている。本実施形態では、湿気によって部品Eが使用できなくなる期限(開封日時を起点に湿気日数が経過した日時)、酸化によって部品Eが使用できなくなる期限(開封日時を起点に酸化日数が経過した日時)、及び、保証期限のうちいずれか最も早く到来する期限をそのリール26の消費期限とし、消費期限が早いリール26ほど出庫の優先度が高いとする。
【0046】
(7)優先保管場所
図9を参照して、後側の保管棚32Bに確保される優先保管場所80について説明する。
図9において太線50で示す枠は前側の保管棚32Aに設けられている入出庫場所39の位置を示している。実施形態1では、後側の保管棚32Bに優先保管場所80を確保した方が、前側の保管棚32Aに優先保管場所80を確保するよりも、優先保管場所80から入出庫場所39までの移動時間が短いものとする。このため、実施形態1では後側の保管棚32Bに優先保管場所80が確保される。移動時間は入出庫場所39までの距離によって決まる場合もあるし、距離だけでは決まらない場合もある。入出庫場所39までの距離が同じであっても移動ヘッド34Aの移動時間に違いが生じることもあるからである。
【0047】
具体的には、後側の保管棚32Bにおいて、入出庫場所39までの移動時間が短い保管場所38の順に、パーツタワー3に保管されているリール26の種類の数と同じ数の保管場所38が優先保管場所80として確保される。例えばパーツタワー3に保管されているリール26の種類の数が8であるとする。この場合、
図9に示すように入出庫場所39までの移動時間が短い8の保管場所38(点線51で示す矩形枠によって囲まれている保管場所38、言い換えるとハッチングされている保管場所38)が優先保管場所80として確保される(確保処理の一例)。便宜上、以降の説明では優先保管場所80ではない保管場所38のことを非優先保管場所という。
【0048】
入出庫場所39までの移動時間が同じ保管場所38が複数ある場合は、それら複数の保管場所38のうちいずれの保管場所38を「入出庫場所39までの移動時間が短い保管場所38」としてもよい。具体的には、
図9において太線50で示す枠内の保管場所38はいずれも入出庫場所39までの移動時間が同じであり、いずれも入出庫場所39までの移動時間が最も短い保管場所38である。この場合、これらの保管場所38のうちいずれの保管場所38を優先保管場所80として確保してもよい。また、優先保管場所80は必ずしも連続していなくてもよい。
本実施形態では各優先保管場所80は特定の種類のリール26と対応付けられない。このためリール26はどの優先保管場所80に保管されてもよい。
【0049】
優先保管場所80は新たな種類のリール26がパーツタワー3に入庫された時に動的に確保される。例えば
図9に示す例において新たな種類のリール26が入庫されたとすると、パーツタワー3に保管されているリール26の種類の数は9となる。この場合、
図10に示すように、入出庫場所39までの移動時間が短い保管場所38のうちいずれか1つの保管場所38が9番目の優先保管場所80として新たに確保される。
新たに確保する優先保管場所80に既に別の種類のリール26が保管されている場合は、そのリール26が非優先保管場所に移動され、新たに入庫されたリール26がその保管場所38(新たに確保された優先保管場所80)に保管される。
【0050】
(8)リールの移動
制御部40は、リール26の出庫の指示を受け付ける前に、パーツタワー3に保管されている部品Eの種類毎に少なくとも1つのリール26を優先保管場所80に移動させる(第1の移動処理の一例)。そして、制御部40は、いずれかの種類のリール26の出庫の指示を受け付けると、当該種類の部品Eが収容されているリール26を移動部34によって優先保管場所80から入出庫場所39に移動させる(第2の移動処理の一例)。以下、具体的に説明する。
【0051】
(8-1)第1の移動処理
図11を参照して、第1の移動処理について説明する。前述したように、オペレータがパーツタワー3にリール26を入庫するとスキャナ42によってリールIDが読み取られる。本処理はスキャナ42によってリールIDが読み取られると開始される。
【0052】
ここで、前述したように新たな種類のリール26が入庫された場合は優先保管場所80が新たに確保されるが、以降の説明では既に保管されているリール26と同じ種類のリール26が入庫された場合を例に説明する。このため、新たな種類のリール26が入庫されて新たに優先保管場所80が確保されるステップについては省略している。
【0053】
S101では、制御部40は読み取ったリールIDによって示されるリール26に関する情報を管理コンピュータ4から取得して管理テーブルに登録する。
S102では、制御部40は入庫されたリール26と同じ種類のリール26に関する情報を管理テーブルから読み出す。
S103では、制御部40は入庫されたリール26と同じ種類のリール26が優先保管場所80に保管されているか否かを判断し、保管されている場合はS104に進み、保管されていない場合はS107に進む。
【0054】
ここで、入庫されたリール26と同じ種類のリール26が優先保管場所80に保管されていない場合は、入庫されたリール26と同じ種類のリール26がパーツタワー3に保管されていないということであるので、パーツタワー3には新しい種類のリール26が入庫されたことになる。すなわち、パーツタワー3に保管されているリール26の種類が増えたことになる。このため、制御部40は優先保管場所80を新たに確保する。
【0055】
S104では、制御部40は、入庫されたリール26と、パーツタワー3に保管されている同じ種類のリール26との優先度を比較する。制御部40は、入庫されたリール26の優先度の方が高い場合はS105に進み、低い場合はS108に進む。
S105では、制御部40は入庫されたリール26を一時的に非優先保管場所に移動させる。
【0056】
S106では、制御部40は優先保管場所80にある同じ種類のリール26を非優先保管場所に移動させる。
S107では、制御部40は入庫されたリール26を優先保管場所80に移動させる。
S108では、制御部40は入庫されたリール26を非優先保管場所に保管する。
【0057】
(8-2)第2の移動処理
図12を参照して、第2の移動処理について説明する。表面実装機14はいずれかのリール26の部品残数が所定数以下になるとそのリール26に収容されている部品Eの種類と同じ種類の部品Eの出庫をパーツタワー3の制御部40に指示する。第2の移動処理はパーツタワー3が表面実装機14からリール26の出庫を指示されると開始される。なお、出庫の指示はオペレータが操作部41を操作して行ってもよい。
【0058】
S201では、制御部40は出庫が指示された種類の部品Eが収容されているリール26を優先保管場所80から入出庫場所39に移動させる。
S202では、制御部40は非優先保管場所に同じ種類の部品Eが保管されているか否かを判断し、保管されている場合はS203に進み、保管されていない場合はS204に進む。
【0059】
S203では、制御部40は非優先保管場所に保管されているリール26であって出庫が指示されたリール26と同じ種類のリール26を優先保管場所80に移動させる。具体的には、制御部40は、非優先保管場所に保管されている同じ種類のリール26の数が1つだけである場合はそのリール26を優先保管場所80に移動させ、同じ種類のリール26が複数ある場合はそれら複数のリール26のうち最も優先度が高いリール26を優先保管場所80に移動させる。
【0060】
S204では、制御部40は優先保管場所80として確保されている保管場所38のうち入出庫場所39までの移動時間が最も長い保管場所38を優先保管場所80から除外する。制御部40は、入出庫場所39までの移動時間が最も長い優先保管場所80にリール26が保管されている場合は、空いている他の優先保管場所80(例えば出庫されたリール26が保管されていた優先保管場所80)にそのリール26を移動させ、そのリール26が保管されていた優先保管場所80を優先保管場所80から除外する。
【0061】
(10)実施形態の効果
パーツタワー3によると、リール26の出庫の指示を受け付ける前に、パーツタワー3に収容されている部品Eの種類毎に少なくとも1つのリール26を優先保管場所80に移動させる。優先保管場所80は非優先保管場所に比べて入出庫場所39までの移動時間が短いことから、いずれの種類のリール26の出庫が指示された場合であっても短時間でリール26を入出庫場所39に移動させることができる。このためパーツタワー3によると、いずれの種類のリール26であってもリール26の出庫に要する時間を短縮できる。
【0062】
パーツタワー3によると、2つの保管棚32A,32Bが並列に設けられており、後側の保管棚32Bに優先保管場所80を確保した方がリール26の出庫に要する時間を短縮できる。このためパーツタワー3は後側の保管棚32Bに優先保管場所80が確保される。このため、いずれの種類のリール26であっても出庫に要する時間を短縮できる。
【0063】
パーツタワー3によると、パーツタワー3に収容されていない種類の部品Eが収容されているリール26が入庫された場合は優先保管場所80を新たに確保するので、新たな種類のリール26が入庫されても、新たに入庫された種類のリール26を優先保管場所80に保管できる。
【0064】
パーツタワー3によると、各リール26は出庫の優先度が設定されており、リール26の種類毎に最も優先度が高いリール26を優先保管場所80に移動させるので、部品Eの種類毎に優先度の高いリール26から先に出庫できる。
【0065】
<実施形態2>
実施形態2を
図13によって説明する。
【0066】
(1)出庫待機場所
図13を参照して、前側の保管棚32Aに確保されている出庫待機場所について説明する。実施形態2では、実施形態1と同様に、後側の保管棚32Bに優先保管場所80が確保されている。そして、実施形態2では、前側の保管棚32Aの複数の保管場所38のうち入出庫場所39の周囲の保管場所38が出庫待機場所81として設定されている。具体的には、前側の保管棚32Aにおいて入出庫場所39までの移動時間が短い保管場所38の順に所定数(
図13に示す例では52)の保管場所38(太線61で示す矩形枠によって囲まれている保管場所38、言い換えるとハッチングされている保管場所38)が出庫待機場所81として設定されている。
【0067】
実施形態2では、後側の保管棚32Bに確保されている優先保管場所80から入出庫場所39までの移動時間よりも、出庫待機場所81から入出庫場所39までの移動時間の方が短いものとする。出庫待機場所81は他の保管場所38に比べて入出庫場所39に近いことから、出庫が指示されたときに他の保管場所38に比べて短時間でリール26を入出庫場所39まで移動できる。
【0068】
(2)リールの移動
制御部40は、実施形態1と同様に、部品Eの出庫の指示を受け付ける前に、パーツタワー3に保管されている部品Eの種類毎に少なくとも1つのリール26を優先保管場所80に移動させる(第1の移動処理の一例)。
【0069】
次に、制御部40は各リール26の部品残数情報を、通信ネットワーク5を介して表面実装機14から受信する。部品残数情報には部品供給装置にセットされている各リール26の部品残数が含まれる。また、制御部40は、基板の生産が開始されたときなどに、表面実装機14から基板の生産計画情報を受信するものとする。基板の生産計画情報には生産する基板の種類、各種類の基板を生産する順序、各種類の基板を生産する枚数、各種類の基板に実装される部品Eの種類及び種類ごとの数などが含まれる。制御部40はこれらの情報を管理コンピュータ4から受信してもよい。
【0070】
制御部40は、受信した生産計画情報や部品残数情報などから、パーツタワー3に保管されているリール26を出庫する順番を判断する。そして、制御部40は、優先保管場所80に保管されている複数のリール26のうち出庫する順番が相対的に早いリール26を、出庫が指示される前に予め優先保管場所80から出庫待機場所81に移動させる(第3の移動処理の一例)。
【0071】
制御部40は、いずれかの種類のリール26の出庫の指示を受け付けると、出庫待機場所81に保管されているリール26を移動部34によって入出庫場所39に移動させる(第4の移動処理の一例)。
以下、第3の移動処理及び第4の移動処理について具体的に説明する。
【0072】
(2-1)第3の移動処理
制御部40は、例えば基板の生産が開始されると、部品供給装置にセットされている各リール26について、当該リール26に収容されている部品Eが基板1枚当たり何個使用されるかを判断する。そして、制御部40は各リール26について、当該リール26の部品残数を基板1枚当たりに使用される部品Eの数で除算することにより、リール26毎に残りの生産可能な基板の枚数を計算する。
【0073】
残りの生産可能な基板の枚数が少ないリール26ほど先に交換する必要があることから、残りの生産可能な基板の枚数が少ないリール26に収容されている部品Eの種類と同じ種類の部品Eが収容されているリール26ほど先に出庫する必要がある。このため、制御部40は、部品供給装置にセットされている各リール26について残りの生産可能な基板の枚数が少ない順を判断し、各リール26の部品Eの種類から、各種類の部品Eを出庫する順番を判断する。そして、制御部40は各種類の部品Eを出庫する順番から、リール26を出庫する順番を判断する。
【0074】
例えば、部品供給装置にセットされているリール26のうち残りの生産可能な基板の枚数が最も少ないリール26に収容されている部品Eの種類がAであり、2番目に少ないリール26に収容されている部品Eの種類がBであり、3番目に少ないリール26に収容されている部品Eの種類がCであるとする。この場合、制御部40は、Aの部品Eが収容されているリール26、Bの部品Eが収容されているリール26、Cの部品Eが収容されているリール26の順で出庫すると判断する。
【0075】
制御部40は、出庫する順番が早いリール26(言い換えると出庫する順番が早い部品Eが収容されているリール26)を優先保管場所80から出庫待機場所81に移動させる。以下、具体的に説明する。理解を容易にするため、以下の説明では、最初は出庫待機場所81が全て空であるとする。
【0076】
制御部40は、移動ヘッド34A及びヘッド移動部34Bを制御して、優先保管場所80に保管されているリール26を、出庫する順番が早い順に出庫待機場所81に移動させる。
制御部40は、出庫待機場所81が一杯になると、優先保管場所80から出庫待機場所81に移動させた各リール26について、そのリール26と同じ種類のリール26がパーツタワー3に保管されているか否かを判断し、保管されている場合は、同じ種類のリール26を1つ非優先保管場所から優先保管場所80に移動させる。優先保管場所80から出庫待機場所81に移動させたリール26と同じ種類のリール26がパーツタワー3に保管されていない場合は、優先保管場所80として設定されている保管場所38のうち入出庫場所39までの移動時間が最も長い保管場所38が優先保管場所80から除外される。上述した最も長い保管場所38にリール26が保管されている場合は、上述した最も長い保管場所38に保管されているリール26が、空いている優先保管場所80に移動される。
【0077】
(2-2)第4の移動処理
表面実装機14はいずれかのリール26の部品残数が所定数以下になるとそのリール26に収容されている部品Eの種類と同じ種類の部品Eの出庫をパーツタワー3の制御部40に指示する。制御部40は出庫が指示されると、指示された種類の部品Eが収容されているリール26を出庫待機場所81から入出庫場所39に移動させる。
【0078】
制御部40は、出庫待機場所81に保管されているリール26を入出庫場所39に移動させることによって出庫待機場所81に空きが生じると、優先保管場所80に保管されているリール26のうち出庫する順番が早いリール26から順に出庫待機場所81に移動させる。制御部40は、優先保管場所80から出庫待機場所81に移動させたリール26と同じ種類のリール26がパーツタワー3に保管されている場合は、同じ種類のリール26を1つ優先保管場所80に移動させる。
【0079】
(3)実施形態の効果
実施形態2に係るパーツタワー3によると、出庫する順番が相対的に早いリール26を、リール26の出庫が指示される前に優先保管場所80から出庫待機場所81に移動させる。このため、優先保管場所80から出庫待機場所81に移動させない場合に比べ、リール26の出庫の指示を受け付けたときに、出庫するリール26を入出庫場所39に移動させるまでの時間を短縮できる。このためパーツタワー3によると、リール26の出庫に要する時間を短縮できる。
【0080】
<実施形態3>
実施形態3を
図14によって説明する。
図14に示すように、実施形態3に係るパーツタワー3は後側に2つの除湿器71を備えている。パーツタワー3には各除湿器71の近傍にそれぞれ図示しない吸気口と吐出口とが設けられており、吸気口と吐出口とがそれぞれ除湿器71に接続されている。パーツタワー3内の空気は吸気口から除湿器71に吸い込まれ、除湿器71によって除湿されて吐出口からパーツタワー3内に吐出される。
【0081】
入出庫場所39の近くは外気と触れ易いため、湿度の高い空気に触れることが好ましくない種類の部品E(以下、湿度管理が求められる部品Eという)は入出庫場所39の近くに保管されることは望ましくない。このため、実施形態3では、湿度管理が求められる種類の部品Eが収容されている部品テープ25が巻き回されているリール26については、例外として、吐出口の近傍に優先保管場所80が確保される。具体的には、吐出口に最も近い保管場所38から順に、湿度管理が求められるリール26の種類の数だけ優先保管場所80が確保される。
【0082】
実施形態3では、例えば管理コンピュータ4から取得するリール26の情報に湿度管理の要否を示す情報が含まれている。制御部40は、入庫されたリール26が、湿度管理が必要な種類のリール26であるか否かを管理コンピュータ4から取得した情報から判断し、湿度管理が必要な種類のリール26である場合は、吐出口の近傍に確保されている優先保管場所80に保管する。
【0083】
実施形態3に係るパーツタワー3によると、湿度の高い空気に触れることが好ましくない種類の部品Eが収容されているリール26については例外として除湿器71の吹出口の近傍の保管場所38を優先保管場所80として確保するので、湿度の高い空気に触れることが好ましくない種類の部品Eが湿度の高い空気に触れる可能性を低減できる。
【0084】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0085】
(1)上記実施形態1では保管棚(32A及び32B)が2つある場合を例に説明したが、保管棚は1つだけであってもよい。
【0086】
(2)上記実施形態1では後側の保管棚32Bに優先保管場所80を確保する場合を例に説明したが、前側の保管棚32Aに優先保管場所80を確保した方が入出庫場所39までの移動時間が短くなる場合は前側の保管棚32Aに優先保管場所80を確保してもよい。
【0087】
(3)上記実施形態では部品Eの種類毎に1つの優先保管場所80を確保する場合を例に説明したが、部品Eの種類によっては2つ以上の優先保管場所80を確保してもよい。例えば、ある種類の部品Eについては同時に2つのリール26が出庫させる可能性が高い場合は、当該種類については優先保管場所80を2つ確保してもよい。
【0088】
(4)上記実施形態では消費期限が早いリール26ほど出庫の優先度が高い場合を例に説明したが、優先度の基準はこれに限られるものではなく、適宜に決定可能である。
【0089】
(5)上記実施形態では出庫の優先度を判断する場合を例に説明したが、必ずしも優先度を判断しなくてもよい。その場合、パーツタワー3に同じ種類のリール26が複数保管されている場合は、同じ種類のリール26のうちいずれのリール26を優先保管場所80に保管してもよい。あるいは、先に入庫されたリール26ほど先に出庫する先入先出であってもよい。
【0090】
(6)上記実施形態2ではリール26を出庫する順番をパーツタワー3の制御部40が生産計画情報や部品残数情報などに基づいて判断する場合を例に説明した。これに対し、リール26を出庫する順番を表面実装機14あるいは外部の管理コンピュータ4が判断して制御部40に通知してもよい。
【0091】
(7)上記実施形態では部品収容体としてリール26を例に説明したが、部品収容体は部品Eが載置されている部品トレイであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
3:パーツタワー(部品保管庫の一例)
26:リール(部品収容体の一例)
32:保管棚
32A:保管棚
32B:保管棚
34:移動部
38:保管場所
39:入出庫場所
40:制御部
40C:通信部(受け付け部の一例)
71:除湿器
80:優先保管場所
81:出庫待機場所