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▶ ネオゲン フード セイフティ ユーエス ホルドコ コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】微生物検出デバイス、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20231116BHJP
   C12Q 1/06 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12M1/34 D
C12Q1/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019535264
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 US2017068233
(87)【国際公開番号】W WO2018125811
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-21
(31)【優先権主張番号】62/439,676
(32)【優先日】2016-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522464159
【氏名又は名称】ネオゲン フード セイフティ ユーエス ホルドコ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルティネル,エヴァン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤング,アレクシ ジェイ.
【審査官】幸田 俊希
(56)【参考文献】
【文献】特表平07-501943(JP,A)
【文献】特表2013-532980(JP,A)
【文献】国際公開第2016/028839(WO,A1)
【文献】特表2015-524280(JP,A)
【文献】特表平11-513248(JP,A)
【文献】特開平03-015379(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00
C12Q 1/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物検出デバイスであって、
第1主面及び第2主面を有する基材を備える本体部材と、
前記第1主面の一部に接着されている第1接着剤組成物と、
前記第1接着剤組成物中に分布した乾燥した第1微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子と、
前記第1接着剤組成物に接着されている冷水溶解性第1ヒドロゲル形成組成物と、
前記本体部材に取り付けられたカバーシートと、を備え、
前記カバーシートが、前記本体部材に面する第1主面を有
前記第1微生物増殖栄養素組成物の前記複数の粒子が、前記第1微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子クラスターを含み、及び
前記第1微生物増殖栄養素組成物の前記複数の粒子クラスターの平均長さが、250マイクロメートル以下であり、かつ10マイクロメートル以上である、
デバイス。
【請求項2】
前記カバーシートの前記第1主面の一部に接着されている第2接着剤組成物を更に含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2接着剤組成物中に分布した乾燥した第2微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子を更に含む、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第2微生物増殖栄養組成物の前記複数の粒子が、前記第2微生物増殖栄養組成物の複数の粒子クラスターを含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第1接着剤組成物が、溶剤型接着剤を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1接着剤組成物が、アルキルアクリレートコポリマーを含む、請求項1~のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
微生物検出デバイスであって、
防水性パウチであって、
内面及び外面を有する第1の壁部、
内面及び外面を有する第2の壁部、
前記第1の壁部の前記内面と前記第2の壁部の前記内面との間で前記パウチ内に配置されており、第1主面及び前記第1主面の反対側の第2主面を有する多孔質膜フィルター、
前記第1の壁部の前記内面及び前記膜フィルターの前記第1主面によって画定されている第1のコンパートメント、
前記第1のコンパートメント内に液体を注入するためのアクセスを提供する、密封可能な試料ポート、
前記第2の壁部の前記内面及び前記膜フィルターの前記第2主面によって画定されている第2のコンパートメント、を備え、
前記膜フィルターが、前記第1のコンパートメントから前記第2のコンパートメントへの水性液体の移動を可能にし、前記第1のコンパートメントから前記第2のコンパートメントへの、所定のサイズの粒子の移動を防止する、防水性パウチと、
前記第1のコンパートメント内で前記パウチの一部に接着されている接着剤組成物と、
前記接着剤組成物中に分布した乾燥した第1微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子と、
前記接着剤組成物に接着されている冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物と、
前記第2のコンパートメント内に配置されている吸収パッドと、を備え、
前記第1微生物増殖栄養素組成物の前記複数の粒子が、前記第1微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子クラスターを含み、及び
前記第1微生物増殖栄養素組成物の前記複数の粒子クラスターの平均長さが、250マイクロメートル以下であり、かつ10マイクロメートル以上である、
微生物検出デバイス。
【請求項8】
前記デバイスが、25mL~150mL(両端の値を含む)の体積を有する液体試料を収容するように寸法決めされている、請求項に記載のデバイス。
【請求項9】
試料中の少なくとも1種の微生物を検出及び計数する方法であって、
請求項1~のいずれか一項に記載のデバイスを準備することと、
前記基材を前記カバーシートから分離することと、
少なくとも1種の微生物を含有する所定の体積の試料を前記第1ヒドロゲル形成組成物上に添加して接種されたデバイスを形成することと、
基材を戻してカバーシートに接触させることと、
前記接種されたデバイスをインキュベートすることと、
前記デバイスにおける標的微生物のコロニーの存在又は非存在を検出することと、を含む、方法。
【請求項10】
試料中の少なくとも1種の微生物を検出及び計数する方法であって、
請求項又はに記載のデバイスを準備することと、
所定の体積の水性試料を、前記デバイスの前記第1のコンパートメント内に入れることと、
前記試料ポートを密封することと、
前記デバイスをインキュベートすることと、
前記デバイスにおける標的微生物のコロニーの存在又は非存在を検出することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、微生物増殖栄養素を含む、微生物の増殖及び検出に有用なデバイスに関する。本開示はまた、デバイスを使用して微生物を検出又は計数する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多種多様な培養デバイスが開発されてきた。一例として、培養デバイスは、3M Company(以下、「3M」)(St.Paul,Minnesota)によって開発されてきた。特に、培養デバイスは、商品名PETRIFILMプレートで3Mにより販売されている。培養デバイスは、例えば、好気性細菌、大腸菌(E. coli.)、大腸菌(coliforms)、腸内細菌、酵母、カビ、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、リステリア(Listeria)、カンピロバクター(Campylobacter)などを含む、食品汚染に一般的に関連する微生物の迅速な増殖及び検出を促進するために利用することができる。PETRIFILMプレート又は他の増殖培地の使用により、例えば、食品試料の細菌試験を簡便化することができる。
【0003】
(食品試験の場合に)是正措置を実施することができるように、又は(医療用使用の場合に)適切な診断を行うことができるように、培養デバイスを使用して細菌の存在を計数するか又は特定することができる。他の用途では、培養デバイスは、例えば実験目的のために、実験室試料中の微生物を迅速に増殖させるために使用され得る。
【発明の概要】
【0004】
微生物の増殖又は貯蔵のためのデバイス及び方法が提供される。第1の態様において、デバイスが提供される。より詳細には、第1主面及び第2主面を有する基材を備える本体部材を備えるデバイスが提供される。デバイスは、第1主面の一部に接着されている第1接着剤組成物を更に含む。実質的に乾燥した第1微生物増殖栄養素組成物の多数の粒子は、第1接着剤組成物中に分布し、冷水溶解性第1ヒドロゲル形成組成物は、第1接着剤組成物に接着されている。デバイスはまた、本体部材に取り付けられたカバーシートを備え、カバーシートは、本体部材に面する第1主面を有する。
【0005】
第2の態様において、別の微生物検出デバイスが提供される。微生物検出デバイスは、防水性パウチであって、内面及び外面を有する第1の壁部と、内面及び外面を有する第2の壁部と、第1の壁部の内面と第2の壁部の内面との間でパウチ内に配置されている多孔質膜フィルターと、を備える、防水性パウチを備える。膜フィルターは、第1主面及び第1主面の反対側の第2主面を有する。防水性パウチは、第1の壁部の内面によって部分的に画定されていると共に膜フィルターの第1主面によって部分的に画定されている第1のコンパートメントと、第1のコンパートメント内に液体を注入するためのアクセスを提供する、密封可能な試料ポートと、を更に備える。加えて、防水性パウチは、第2の壁部の内面によって部分的に画定されていると共に膜フィルターの第2主面によって部分的に画定されている第2のコンパートメントと、第2のコンパートメント内に配置されている吸収パッドと、を備える。膜フィルターが、第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへの水性液体の移動を可能にし、第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへの、所定のサイズの粒子の移動を防止する。防水性パウチはまた、第1のコンパートメント内でパウチの一部に接着されている接着剤組成物と、接着剤組成物中に分布した実質的に乾燥した第1微生物増殖栄養素組成物の多数の粒子と、接着剤組成物に接着されている冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物と、を含む。
【0006】
第3の態様において、試料中の少なくとも1種の微生物を検出及び計数する方法が提供される。本方法は、第1の態様によるデバイスを提供することと、第1層を第2層から分離することと、少なくとも1種の微生物を含有する所定の体積の試料を第1ヒドロゲル形成組成物上に添加して接種されたデバイスを形成することと、を含む。本方法は、第1層を戻して第2層に接触させることと、接種されたデバイスをインキュベートすることと、デバイスにおける標的微生物のコロニーの存在又は非存在を検出することと、を更に含む。
【0007】
第4の態様において、試料中の少なくとも1種の微生物を検出及び計数するための別の方法が提供される。本方法は、第2の態様によるデバイスを準備することと、所定の体積の水性試料をデバイスの第1のコンパートメント内に入れることと、試料ポートを密封することと、デバイスをインキュベートすることと、デバイスにおける標的微生物のコロニーの存在又は非存在を検出することと、を含む。
【0008】
デバイス及び方法は、微生物の簡便かつ迅速な検出を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】微生物増殖デバイスの例示的な実施形態の上面斜視図、部分的に断面図である。
図1B】微生物増殖デバイスの別の例示的な実施形態の上面斜視図、部分的に断面図である。
図2】任意選択的なスペーサーを備える図1Aのデバイスの断面図である。
図3A】本開示の例示的な実施形態による、接着剤組成物層の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図3B】本開示の例示的な実施形態による、別の接着剤組成物層の表面のSEM画像である。
図3C】本開示の例示的な実施形態による、接着剤組成物層の断面のSEM画像である。
図3D】本開示の例示的な実施形態による、別の組成接着剤組成物層の断面のSEM画像である。
図4】基材層上に印刷された格子パターンを示す図2のデバイスの平面図である。
図5】本開示によるデバイスの一実施形態の斜視図である。
図6図5のデバイスの、部分的に断面となった、別の斜視図である。
図7図6のデバイスの線7-7に沿った断面図である。
図8図6のデバイスの分解断面図である。
図9図5のデバイスの代替実施形態の、部分的に断面となった平面図であり、密封可能な試料ポートを形成する、接着ストリップと、それに対して取り外し可能に接着されている剥離ライナーとを示している。
図10】ねじ口を有する密封可能な試料ポートを備える、本開示によるデバイスの代替実施形態の平面図である。
図11】本開示によるデバイスの別の代替実施形態の分解図である。
図12A図11のデバイスの第1のサブアセンブリである。
図12B図11のデバイスの第2のサブアセンブリである。
図13】組み立てられた図11のデバイスの平面図である。
図14図13のデバイスの線14-14に沿った断面図である。
【0010】
一定の縮尺で描かれないことがある、上記で特定された図面は、本開示の様々な実施形態を明らかにしているが、発明を実施するための形態で指摘されるように、他の実施形態も予想される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
微生物を増殖又は貯蔵するデバイス及び方法が提供される。
【0012】
端点によるいずれの数値範囲の列挙も、その範囲の端点、その範囲内の全ての数、及び述べられた範囲内のいずれのより狭い範囲をも含むことが意図される(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5を含む)。特に指示がない限り、本明細書及び実施形態で使用する量又は成分、特性の測定値などを表す全ての数は、全ての場合、「約」という用語によって修飾されていると解するものとする。したがって、特に指示がない限り、前述の明細書及び添付の実施形態の列挙において示す数値パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に依存して変化し得る。最低でも、各数値パラメータは少なくとも、報告される有効桁の数に照らして通常の丸め技法を適用することにより解釈されるべきであるが、このことは請求項記載の実施形態の範囲への均等論の適用を制限しようとするものではない。
【0013】
以下の定義された用語の用語解説に関して、これらの定義は、特許請求の範囲又は本明細書の他の箇所において異なる定義が提供されていない限り、本出願全体について適用されるものとする。
【0014】
用語解説
ある特定の用語が、本明細書及び特許請求の範囲の全体を通して使用されており、これらの大部分については周知であるが、何らかの説明が必要とされる場合もある。本明細書において使用する場合、以下のようであると理解されたい。
「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語は、「少なくとも1つの」と交換可能に使用され、記載されている要素のうちの1つ又は複数を意味する。
用語「及び/又は(and/or)」は、いずれか一方又は両方を意味する。例えば、表現「A及び/又はB」は、A、B、又はAとBとの組み合わせを意味する。
「クラスター」は、集塊した粒子及び/又は凝集した粒子の群を指す。
「集塊した」とは、通常、電荷又は極性により互いに保持し合っている一次粒子又は凝集粒子の弱い結び付きを指す。集塊粒子は、通常、例えば、液体中の集塊粒子の分散中に遭遇したせん断力によって、より小さな存在物に分解され得る。用語「凝集した」及び「凝集体」とは、例えば、化学的残基処理、化学的共有結合、又は化学的イオン結合によって共に結合し合うことの多い、一次粒子の強い結び付きを指す。凝集体をより小さな単位に更に分解することは、達成するのが非常に困難である。
「冷水溶解性」とは、室温(すなわち、約25℃)で水溶液を形成する物質である。
「疎水性」は、その表面上において、90°以上の水接触角を示す材料を指す。
「不透明」とは、最大10%の光透過率を有する基材を指す。
「粉末」は、0.1マイクロメートルから最大400マイクロメートルの範囲の平均直径を有する超微粒子状物質を指す。
「再構成培地」とは、冷水溶解性粉末と水性液体との再構成によって形成される溶液又はゲルを指す。
「微生物及び水蒸気に対して実質的に非浸透性である」とは、本明細書において使用される場合、輸送、貯蔵、及び薄膜培養デバイスの使用中における、冷水溶解性粉末の下地層の望ましくない汚染及び水和を防止する、並びに再構成培地がインキュベーション期間中に微生物の増殖を支援するのに好適であるように、再構成培地の乾燥を回避する、カバーシートを指す。
「実質的に水を含まない」とは、本明細書において使用される場合、含水量が、ほぼ周囲環境の含水量以下であることを示す。
「試験試料」とは、本明細書において使用される場合、食品製品、ヒト若しくは動物試験対象、医薬若しくは化粧品、土壌、水、空気若しくは他の環境源、又は好気性及び/若しくは耐気性細菌の存在及び/若しくは、任意選択的に、計数が測定される任意の他の供給源から採取される成分又は部分を指す。試験試料は、例えば、注ぎ入れ、ピペット分注、拭き取り、濾過、及び接触を含む、当業者に既知の技術を使用して、供給源から採取され得る。加えて、試験試料は、例えば、ブレンド、消化、均質化、増菌、選択増菌、又は希釈を含む、当該技術分野において既知の様々な試料調製方法に供されてもよい。
「透明」とは、少なくとも90%の光透過率を有する基材を指す。
【0015】
デバイスに含まれる栄養素の量を制御するなどの有利な特徴を有する、微生物の増殖及び/又は貯蔵のためのデバイスが提供される。更に、栄養素は、使用中に試料に直接曝露されず、したがって、流体試料がデバイス内に導入される場合に、洗い流しから保護され得る。
【0016】
第1の態様において、デバイスが提供される。より詳細には、第1主面及び第2主面を有する基材を備える本体部材を備えるデバイスが提供される。デバイスは、第1主面の一部に接着されている第1接着剤組成物を更に含む。実質的に乾燥した第1微生物増殖栄養素組成物の多数の粒子は、第1接着剤組成物中に分布し、冷水溶解性第1ヒドロゲル形成組成物は、第1接着剤組成物に接着されている。デバイスはまた、本体部材に取り付けられたカバーシートを備え、カバーシートは、本体部材に面する第1主面を有する。
【0017】
図1Aは、微生物の増殖デバイスの例示的な実施形態を示す。デバイス10は、第1主面12a(例えば、上面)及び第2主面12b(例えば、下面)を有する基材12を備える本体部材11を備える。更に、デバイス10はまた、本体部材11に取り付けられたカバーシート22を備える。カバーシート22は、本体部材11に面する第1主面22aを有する。
【0018】
基材12は防水性であり、任意選択的に自己支持型防水性基材である。いくつかの実施形態において、基材12は、水を吸着しないか又はそうでなくとも水による影響を受けない、ポリエステル、ポリプロピレン、シリコーン、又はポリスチレンなどの材料のフィルムである。約20マイクロメートル~約250マイクロメートルの厚さを有するポリエステルフィルム及びポリプロピレンフィルム、並びに約380マイクロメートルの厚さを有するポリスチレンフィルムが、各々、基材12に好適であることが見出されている。他の好適な基材には、ポリエチレン又は他の耐水性コーティングを有する紙が挙げられる。好適なポリエチレンコーティング紙基材の例は、「Schoeller Type MIL」写真印画紙(Schoeller Pulaski(New York)から市販)である。基材12は、使用者が細菌のコロニーを、基材を介して見ることを望むか否かにより、透明又は不透明のいずれかであり得る。図4に示す例示的な実施形態において、基材12は、細菌コロニーのカウントを容易にするために、第2主面12b上に印刷された正方形格子パターンを有する。
【0019】
第1主面12aは、第1主面12aの一部に接着されている第1接着剤組成物14を含む。実質的に乾燥した第1微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子が、第1接着剤組成物14中に分布している。これは、水性エマルションを使用して、接着剤中に実質的に水溶性の微生物増殖栄養素を含有させる前とは対照的である。例えば、共有の国際公開第96/38533号(Nelson)では、「接着剤組成物は、非水溶性接着剤、非阻害性乳化剤、並びに微生物を増殖させるための栄養素、選択剤、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの親水性剤を含む」(国際公開第96/38533号の2ページ目、8~11頁)。栄養素はまた、接着剤組成物中に分散及び/又は分布した粒子として提供されない、実施例2の水性エマルション懸濁液に溶解されるものとしても記載される。本開示のいくつかの実施形態において、対照的に、接着剤組成物は、溶剤型接着剤を含む。典型的には、接着剤組成物は乳化剤を含まない。
【0020】
第1接着剤組成物14は、(実質的に)非水溶性であり、微生物の増殖を阻害しない。いくつかの実施形態において、第1接着剤組成物14は、接着剤でコーティングされたフィルムを通して細菌コロニーを見ることができるように濡れたとき十分に透明である。いくつかの実施形態において、第1接着剤組成物14は感圧接着剤である。いくつかの他の実施形態において、より融点の低い物質がより融点の高い基材上にコーティングされている熱活性化接着剤を用いてもよい。ゴム糊等の水活性化接着剤も有用である場合がある。冷水溶解性第1ヒドロゲル形成組成物16は、第1接着剤組成物14に接着されている。多くの実施形態において、冷水溶解性第1ヒドロゲル形成組成物は、粉末の形態で提供される。
【0021】
図2を参照すると、冷水溶解性第1ヒドロゲル形成組成物16上に配置されている任意選択的なスペーサー18を追加で更に備える図1Aのデバイス10の断面図が提供される。一般に、スペーサー18は、開口20を画定する非水溶性基材を備え、スペーサー18は、基材シート12とカバーシート22との間に位置決めされている。典型的には、開口20は、試料受け入れゾーンの周辺境界を画定する。開口20は、任意の形状であり得る。開口20に有用な形状の非限定的な例としては、正方形、矩形、円形、楕円形、多角形、六角形、及び八角形が挙げられる。試料受け入れゾーン(及び開口20)の面積は、例えば、ゾーン内に注入される試料(例えば、水性液体)の体積に基づいて選択され得る。任意の実施形態において、0.5~3ミリリットルの試料に関して、試料受け入れゾーンの面積は、約10cm又は約15cmである。任意の実施形態において、1~5ミリリットルの体積の試料に関して、試料受け入れゾーンの面積は、約20cm、約25cm、約30cm、約31cm、又は約25~35cmである。
【0022】
図3A図3Dを参照すると、いくつかの実施形態において、接着剤組成物14中に分布した実質的に乾燥した微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子4は、第1微生物増殖組成物の1つ以上の一次粒子、複数の粒子クラスター、又はその両方を含む。図3Aは、本開示の実施形態によって調製された接着剤組成物14の層を示すSEM画像である。粒子4のクラスター(すなわち、集塊した粒子及び/又は凝集した粒子)は、微生物増殖栄養素組成物が接着剤組成物と不適合であることに起因して起こり得、典型的には、微生物増殖栄養素組成物は水溶性であり、接着剤組成物は非水溶性である。微生物増殖栄養素組成物は、2つの材料を容器内で合わせ、容器を回転させることなどによって、接着剤組成物全体に分布(例えば、分散)され得るが、多くの場合、微生物増殖栄養素組成物は分離性凝集塊中に分布する。再び図3Aを参照すると、微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子4のクラスターは、接着剤組成物14の層の上面5の平面の上方に突出する。図3Bを参照すると、本開示によって調製された接着剤組成物14の層の近接図が提供される。更に、図3C及び図3Dの各々は、接着剤組成物14中に分布した実質的に乾燥した微生物増殖栄養素組成物の粒子4を有する接着剤組成物14の断面のSEM画像である。各画像は、微生物増殖栄養素組成物の粒子4の少なくとも1つのクラスターの断面を示す。特定の実施形態において、第1微生物増殖組成物の複数の粒子クラスターの平均長さは、250マイクロメートル以下、200マイクロメートル以下、150マイクロメートル以下、又は100マイクロメートル以下であり、かつ10マイクロメートル以上、25マイクロメートル以上、50マイクロメートル以上、又は75マイクロメートル以上である。いくつかの実施形態において、第1微生物増殖組成物の複数のクラスターの平均長さは、10マイクロメートル~100マイクロメートル(両端の値を含む)の範囲である。
【0023】
予想外にも、微生物増殖栄養素組成物(例えば、水溶性である)の材料と接着剤組成物(例えば、非水溶性である)の材料との間の相溶性の欠如にもかかわらず、十分な量の栄養素が接着剤組成物全体にわたって行き渡り、デバイス内の微生物による摂取のために利用可能であり得ることが見出された。
【0024】
有利には、微生物増殖栄養素組成物の量は、所望の量を接着剤組成物中に組み込むことによって制御することができる。これは、接着剤組成物の表面上に微生物増殖栄養素組成物粉末の層をコーティングすることとは対照的である。特定の実施形態において、微生物増殖栄養素組成物(第1、第2、又は両方)は、接着剤組成物と微生物増殖栄養素組成物とを合わせたものの1重量パーセント(重量%)以上、2重量%以上、5重量%以上、7重量%以上、10重量%以上、又は12.5重量%以上の量で接着剤組成物中に存在し、接着剤組成物と微生物増殖栄養素組成物とを合わせたものの20重量%以下、17重量%以下、15重量%以下の量で接着剤組成物中に存在する。更に、第1接着剤組成物中に分布することにより、栄養素がフィルムの表面に露出せず、したがって、流体試料がデバイス内に導入される場合に洗い流しから保護される。これは、試料が粉末層に接触し、次いでフィルターを通過しなければならない用途(本開示の第2の態様によるデバイスなど)に特に関連する。
【0025】
再び図1Aを参照すると、デバイスは、第1接着剤組成物14に接着されている冷水溶解性第1ヒドロゲル形成組成物16を更に含む。ヒドロゲル形成組成物16の粉末の均一層は、水和のために十分な、露出した表面積を有することが望ましい。典型的には、約5マイクロメートル~約150マイクロメートルの範囲の厚さの接着剤組成物14層が好適である。
【0026】
好適な接着剤は、水で濡らしたとき透明である。上記のように、接着剤組成物は、多くの場合、非水溶性である。特定の実施形態において、接着剤組成物は、溶剤型接着剤を含む。第1接着剤組成物、及び存在する場合、第2接着剤組成物は、感圧接着剤であることが多い。例えば、接着剤は、アルキルアクリレートモノマーとアルキルアミドモノマーとのコポリマーを含む非水溶性接着剤などの感圧接着剤であり得る。好ましくは、これらのコポリマーにおけるアルキルアクリレートモノマーのアルキルアミドモノマーに対する重量比は、約90:10~99:1、より好ましくは94:6~98:2である。アルキルアクリレートモノマーとしては、例えば、イソオクチルアクリレート(IOA)、2-エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート、イソアミルアクリレート、及びこれらの混合物を含む、アクリル酸の低級アルキル(C2~C10)モノマーが挙げられ、アルキルアミドモノマーとしては、限定するものではないが、アクリルアミド(ACM)、メタクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルカプロラクタム(NVCL)、N-ビニル-2-ピペリジン、N-(モノ-又はジ-低級アルキル(C2~C5))(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、又はこれらの混合物を挙げることができる。好適な接着剤には、米国特許第4,565,783号、同第5,089,413号、同第5,681,712号、及び同第5,232,838号に記載のものが挙げられる。いくつかの実施形態において、例えば、米国特許第7,695,818号及び同第7,371,464号に記載のものなどのシリコーン感圧接着剤を用いてもよい。
【0027】
本開示において、カバーシート22は、通常、微生物コロニーのカウントを容易にするために透明であるように選択され、典型的にはまた、細菌に対して非浸透性で、低い水蒸気透過速度を有するように選択される(すなわち、カバーシート22は、デバイスの輸送、保管及び使用中の脱水培地の望ましくない汚染を防ぎ、インキュベーション期間中の微生物の増殖を支援する環境を提供する)。いくつかの実施形態において、カバーシート22は、基材12と同じ特性(例えば、防水性)を有する。カバーシート22は、増殖することが望まれる微生物の種類に必要な酸素透過量を提供するように、選択することができる。例えば、いくつかのポリエステルフィルムは、低い酸素透過性を有し(厚さ25マイクロメートル当たり5g/645cm/24時間未満)、嫌気性細菌を増殖させるのに好適である。他方、いくつかのポリエチレンは、高い酸素透過性を有し(例えば、厚さ25マイクロメートル当たり約500g/645cm/24時間)、好気性生物に好適である。カバーシート22に好適な材料としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリスチレン、又はシリコーンが挙げられる。特定の実施形態において、カバーシート22は、2軸配向ポリプロピレンなどの配向ポリプロピレンを含み、これはいくつかの例示的な実施形態において、約40マイクロメートルの厚さを有する。
【0028】
図1Aを再び参照すると、特定の実施形態において、デバイスは、カバーシート22の第1主面22aの一部に接着されている第2接着剤組成物24を更に含む。基材12及びカバーシート22の各々について、冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物16、26の層は、典型的には、それぞれ接着剤層14、24に均一に接着されている。接着剤24の層は、非水溶性であり、微生物の増殖を阻害せず、濡れたときに、接着剤でコーティングされたフィルムを通して気泡又は微生物コロニーを見ることができるように十分に透明である。いくつかの実施形態において、接着剤24の層は、感圧接着剤を含む。コーティング組成物26の均一層は、水和のために十分な、露出した表面積を有することが望ましい。
【0029】
図1Bを参照すると、任意の実施形態において、カバーシート22は、コーティングを全く含まなくてもよい。あるいは、カバーシート22は、例えば、脱水培地に面する表面上に感圧接着剤の層でコーティングすることができ、これにより培地上を覆う手段の封止を容易にすることができる。更に、カバーシート22は、第1冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物16に面する表面上に、接着剤組成物24の層及び第2冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物26の層で任意選択的にコーティングすることができ、これは第1接着剤組成物14及び第1冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物16とそれぞれ同じであるか又は異なっている。カバーシート22上のコーティングは、表面全体を覆うことができるが、好ましくは、培養デバイスの増殖領域を覆うことが意図される表面の少なくとも一部を覆う。第1冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物のみに組み込むことができるよりも多くのゲル化剤を有するデバイスを提供することが望ましい場合に、このようなコーティングしたカバーシートは特に好ましい。
【0030】
多くの実施形態において、デバイス10は、第2接着剤組成物中に分布した実質的に乾燥した第2微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子4を更に含む。第2微生物増殖栄養素組成物は、第1微生物増殖栄養素組成物と同じであっても異なっていてもよい。特定の実施形態において、第2微生物増殖組成物の複数の粒子4は、第1微生物増殖組成物の粒子に関して上述したように、第2微生物増殖組成物の複数の粒子クラスターを含む。更に、いくつかの実施形態において、第2接着剤組成物はまた、少なくとも1種の指示薬を含有する。
【0031】
特定の実施形態において、冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物(例えば、16、26)は、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、タラガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレンオキシドなどの1種以上の有機冷水溶解性剤を含有する。天然及び/又は合成ゲル化剤の組み合わせが考えられる。好ましいゲル化剤としては、グアーガム、キサンタンガム、及びローカストビーンガムが挙げられ、これらのゲル化剤は、個々に、又は任意の実施形態において、お互いに組み合わせて有用である。冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物の均一な単層は、水和のために十分な、露出した表面積を有することが望ましい。任意の実施形態において、第1及び/又は第2冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物は、ゲル化剤の混合物を含む。任意選択的に、第1及び/又は第2冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物は、誘導物質、指示薬、又はこれらの組み合わせを更に含んでもよい。
【0032】
好適な微生物増殖栄養素組成物としては、典型的には、例えば、及び限定されないが、肉ペプトン、カゼインペプトン、ゼラチンペプトン、大豆ペプトン、牛肉抽出物、酵母エキス、ラクトース、グルコース、デキストロース、トリプトース、ガラクトース、トリプトン、脂肪、ミネラル、又はビタミンを含む1種以上の栄養素が挙げられる。更に、本開示のデバイスにおける微生物の増殖を支援するための栄養素、追加のゲル化剤、及びこれらの混合物の非限定的な例としては、米国特許第4,565,783号、同第5,089,413号、同第5,232,838号、同第5,364,766号、同第5,443,963号、同第5,462,860号、同第5,601,998号、同第5,635,367号及び同第5,681,712号に記載のものが挙げられ、これらの参考文献にはまた、指示薬(例えば、検出試薬)及び誘導物質の非限定的な例も挙げられている。
【0033】
好適な指示薬としては、アルキルエステラーゼ活性、ホスファターゼ酵素活性、グリコシダーゼ酵素活性、ペプチダーゼ酵素活性、pH変化、又は酸化還元変化を検出するための1種以上の指示薬を挙げることができる。任意の実施形態において、1種以上の指示薬は、組成物を基材シート12及び/又はカバーシート22に適用する前に、有機溶媒(例えば、メタノール)中に溶解され、接着剤組成物(例えば、第1接着剤組成物14及び/又は第2接着剤組成物24)とブレンドされてもよい。任意の実施形態において、第1冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物及び/又は第2冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物は、同一の又は異なるいずれかの1種以上の指示薬を含んでもよい。
【0034】
任意選択的に、好気性又は耐気性細菌の存在を検出するために、複数の指示薬が使用され得る。任意の実施形態において、好適な指示薬は、例えば酵素基質を含む。任意の実施形態において、各指示薬は、指示薬と生物活性(すなわち、好気性又は耐気性細菌に関連する酵素活性)との間の反応の検出を可能にするレポーター基(例えば、蛍光性基又は発色性基)、及び指示薬を含むことができる。1つの好適な指示薬は、トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)である。好適な酸化還元指示薬(例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロリド)は、酸化又は還元されて検出可能なシグナル(例えば、検出可能な色変化又は蛍光変化)を生成するレポーター基(例えば、発色性基及び/又は蛍光性基)を含む。例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロリドは、細菌によって還元され、検出可能な色を有するホルマザン生成物を生成する。本開示の培養デバイスにおいて検出可能なレポーター基(例えば、ホルマザン)を検出することは、好気性又は耐気性細菌の存在の可能性を示す。
【0035】
更に、培養培地がpH指示薬としてブロムクレゾールパープルを含む方法では、培養培地はほぼ中性のpH時には紫色又は灰色の外観を示す。微生物が増殖して、培養培地内の炭水化物(例えば、グルコース)を発酵させるにつれ、ブロムクレゾールパープル指示薬は、増殖している細菌コロニー近傍で黄変する。例えば、培養培地がpH指示薬としてクロロフェノールレッドを含む方法では、培養培地はほぼ中性のpH時には赤色又は紫色の外観を示す。微生物が培養培地内の炭水化物を発酵させるにつれ、クロロフェノールレッド指示薬は、増殖している微生物コロニー近傍で黄変する。増殖区画において及び微生物コロニー近傍に気泡が存在する場合(例えば、コロニーに触れているか、又はコロニーから約1mm以内の距離のいずれか)、肉眼により、及び/又はイメージングシステムを使用することにより検出できる。目視可能なコロニー及び/又は微生物コロニー近傍の領域内でpH指示薬の色変化により検出可能である酸性域に、気泡を伴う場合がある。気泡は、例えば、炭水化物の嫌気発酵により生成される二酸化炭素を含む場合がある。
【0036】
第2の態様において、別の微生物検出デバイスが提供される。微生物検出デバイスは、防水性パウチであって、内面及び外面を有する第1の壁部と、内面及び外面を有する第2の壁部と、第1の壁部の内面と第2の壁部の内面との間でパウチ内に配置されている多孔質膜フィルターと、を備える、防水性パウチを備える。膜フィルターは、第1主面及び第1主面の反対側の第2主面を有する。防水性パウチは、第1の壁部の内面によって部分的に画定されていると共に膜フィルターの第1主面によって部分的に画定されている第1のコンパートメントと、第1のコンパートメント内に液体を注入するためのアクセスを提供する、密封可能な試料ポートと、を更に備える。加えて、防水性パウチは、第2の壁部の内面によって部分的に画定されていると共に膜フィルターの第2主面によって部分的に画定されている第2のコンパートメントと、第2のコンパートメント内に配置されている吸収パッドと、を備える。膜フィルターは、第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへの水性液体の移動を可能にし、第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへの、所定のサイズの粒子の移動を防止する。防水性パウチはまた、第1のコンパートメント内でパウチの一部に接着されている接着剤組成物と、接着剤組成物中に分布した実質的に乾燥した第1微生物増殖栄養素組成物の多数の粒子と、接着剤組成物に接着されている冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物と、を含む。
【0037】
例えば、微生物検出デバイスは、
防水性パウチであって、
内面及び外面を有する第1の壁部、
内面及び外面を有する第2の壁部、
第1の壁部の内面と第2の壁部の内面との間でパウチ内に配置されており、第1主面及び第1主面の反対側の第2主面を有する多孔質膜フィルター、
第1の壁部の内面によって部分的に画定されていると共に膜フィルターの第1主面によって部分的に画定されている第1のコンパートメント、
第1のコンパートメント内に液体を注入するためのアクセスを提供する、密封可能な試料ポート、
第2の壁部の内面によって部分的に画定されていると共に膜フィルターの第2主面によって部分的に画定されている第2のコンパートメント、を備え、
膜フィルターが、第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへの水性液体の移動を可能にし、第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへの、所定のサイズの粒子の移動を防止する、防水性パウチと、
第1のコンパートメント内でパウチの一部に接着されている接着剤組成物と、
接着剤組成物中に分布した実質的に乾燥した第1微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子と、
接着剤組成物に接着されている冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物と、
第2のコンパートメント内に配置されている吸収パッドと、を備え得る、微生物検出デバイスである。
【0038】
第2の態様の微生物検出デバイスに関して、図5図8は、本開示の少なくとも1つの実施形態によるデバイス500の一実施形態の様々な図を示す。デバイス500は、少なくとも1つの壁によって画定されている防水性パウチ55を備える。この少なくとも1つの壁は、第1の壁部510及び第2の壁部520を備える。第1の壁部510は、内面512及び外面514を有する。第2の壁部520は、内面522及び外面524を有する。膜フィルター540が、第1の壁部510の内面512と第2の壁部520の内面522との間でパウチ55内に配置されている。膜フィルターは、第1主面542及び第1主面の反対側の第2主面544を有する。
【0039】
第1の壁部510及び第2の壁部520は、単一のパウチ又はバッグの別々の部分であってもよいが、あるいは、任意の実施形態において、第1の壁部及び第2の壁部は、一緒に結合され(例えば、縁部に沿って熱融着され、かつ/あるいは接着封止され)て、例えば図9に示され、本明細書に記載されているようなパウチを形成するような、ポリマーフィルムの別個のシートからなってもよい。
【0040】
パウチ55は、少なくとも2つのコンパートメント(それぞれ、第1のコンパートメント550及び第2のコンパートメント552)に分割される。第1のコンパートメント550は、第1の壁部510の内面512によって部分的に画定されていると共にまた、膜フィルター540の第1主面542によっても部分的に画定されている。第1のコンパートメント550は、密封可能な試料ポート560を有する。図示される図5図7の実施形態において、密封可能な試料ポート560は単に、パウチ55の周囲の一部に沿った開口部561である。開口部561を閉鎖するための非限定的な例示的手段については、本明細書において考察する。第2のコンパートメント552は、第2の壁部520の内面522によって部分的に画定されていると共に膜フィルター540の第2主面544によって部分的に画定されている。
【0041】
第1のコンパートメント550は、標的微生物の存在について試験される、ある体積の液体試料を収容するように構成されている。第1のコンパートメント550が収容できる液体の体積は、例えば第1のコンパートメントの寸法(例えば、図7に示される長さ「L」及び幅「W」)、並びに第1のコンパートメントを画定する材料(例えば、第1の壁部510及び膜フィルター540)の可撓性を含む、本デバイスのいくつかの特徴によって影響されることになる。第2のコンパートメント552は、試験される液体試料の体積にほぼ等しい体積の液体を収容するように構成されている。したがって、本開示のデバイスのパウチは、試験される試料の体積の最大約2倍までを保持するように寸法決めされ得る。
【0042】
任意の実施形態において、本開示のデバイスは、少なくとも約25mLの液体試料を試験するように構成されている(すなわち、収容するように構成されている)。任意の実施形態において、本開示のデバイスは、少なくとも約50mLの液体試料を試験するように構成されている。任意の実施形態において、本開示のデバイスは、少なくとも約75mLの液体試料を試験するように構成されている。任意の実施形態において、本開示のデバイスは、少なくとも約100mLの液体試料を試験するように構成されている。任意の実施形態において、本開示のデバイスは、少なくとも約125mLの液体試料を試験するように構成されている。任意の実施形態において、本開示のデバイスは、少なくとも約150mLの液体試料を試験するように構成されている。したがって、任意の実施形態において、本開示によるデバイスは、少なくとも約25mL、少なくとも約50mL、少なくとも約75mL、少なくとも約100mL、少なくとも約125mL、少なくとも約150mLの液体試料(例えば、水性液体試料)を収容するように構成されている。したがって、任意の実施形態において、本デバイスの第1のコンパートメントは、少なくとも約25mL、少なくとも約50mL、少なくとも約75mL、少なくとも約100mL、少なくとも約125mL、少なくとも約150mLの液体試料(例えば、水性液体試料)を収容するように構成されている。
【0043】
パウチ55は、第1のコンパートメント550内でパウチの一部(例えば、パウチの第1の壁部510)に、層530として接着されている接着剤組成物を更に含む。任意の実施形態において、接着剤組成物は感圧接着剤を含む。第1の実施形態に関して上述したように、接着剤組成物は、多くの場合、非水溶性である。特定の実施形態において、接着剤組成物は、溶剤型接着剤を含む。例えば、接着剤は、アルキルアクリレートモノマーとアルキルアミドモノマーとのコポリマーを含む非水溶性接着剤などの感圧接着剤であり得る。
【0044】
実質的に乾燥した第1微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子535が、接着剤組成物中に分布している。任意の実施形態において、本開示のデバイスは、有効量の1種以上の乾燥栄養素(例えば、標的微生物の増殖を支援するために選択された栄養培地)を含む。微生物増殖栄養素組成物は、典型的には、肉ペプトン、カゼインペプトン、ゼラチンペプトン、大豆ペプトン、牛肉抽出物、酵母エキス、ラクトース、グルコース、デキストロース、トリプトース、ガラクトース、トリプトン、脂肪、ミネラル、又はビタミンからなる群から選択される少なくとも1種の栄養素を含む。第1の態様のデバイスに関して上で詳述したように、いくつかの実施形態において、接着剤組成物中に分布した実質的に乾燥した微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子は、第1微生物増殖組成物の1つ以上の一次粒子、複数の粒子クラスター、又はその両方を含む。同様に、特定の実施形態において、第1微生物増殖組成物の複数の粒子クラスターの平均長さは、250マイクロメートル以下、200マイクロメートル以下、150マイクロメートル以下、又は100マイクロメートル以下であり、かつ10マイクロメートル以上、25マイクロメートル以上、50マイクロメートル以上、又は75マイクロメートル以上である。いくつかの実施形態において、第1微生物増殖組成物の複数のクラスターの平均長さは、10マイクロメートル~100マイクロメートル(両端の値を含む)の範囲である。
【0045】
第1の態様によるデバイスと同様に、予想外にも、微生物増殖栄養素組成物(例えば、水溶性である)の材料と接着剤組成物(例えば、非水溶性である)の材料との間の相溶性の欠如にもかかわらず、十分な量の栄養素が接着剤組成物全体にわたって行き渡り、第3の態様によるデバイス内の微生物による摂取のために利用可能であり得ることが見出された。
【0046】
多くの実施形態において、微生物増殖栄養素組成物は、接着剤組成物と微生物増殖栄養素組成物とを合わせたものの1重量パーセント(重量%)以上、2重量%以上、5重量%以上、7重量%以上、10重量%以上、又は12.5重量%以上の量で接着剤組成物中に存在し、接着剤組成物と微生物増殖栄養素組成物とを合わせたものの20重量%以下、17重量%以下、15重量%以下の量で接着剤組成物中に存在する。更に、第1接着剤組成物中に分布することにより、栄養素がフィルムの表面に露出せず、したがって、流体試料がデバイス内に導入される場合に洗い流しから保護される。これは、試料が粉末層に接触し、次いでフィルターを通過しなければならない用途(この第2の態様のデバイスにおいてなど)に特に関連する。
【0047】
更に、乾燥(すなわち、実質的に水を含まない)冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物が接着剤組成物に接着されている。例えば、図7は、第1の壁部510の内面512上に配置されている乾燥コーティング532としての冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物を示す。乾燥コーティング532は、接着剤層530を介して、第1の壁部510に接着されている。加えて、パウチ55は、第2のコンパートメント552内に配置されている吸収パッド580を有する。任意の実施形態において、乾燥コーティング532は、パウチ55の第1の壁部510に接着されている第1の基材に接着されてもよい(例えば、基材上にコーティングされた接着剤層に接着されてもよい)。この任意選択的な構成については図11に示されており、本明細書において以下に説明される。
【0048】
冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物がパウチの第1の壁部に接着されているか、第1の壁部に接着されている第1の基材に接着されているかに関わらず、冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物を含むコーティングによって画定される領域は、試料が第1のコンパートメント内に注入された後に、試料由来の微生物が増殖し計数される領域も画定する。本デバイスは、試料からの液体の大部分を吸収する吸収パッド(以下に説明される)を備えるため、冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物は、液体試料のほんの一部によってしか水和されない。有利なことに、これらのデバイスは、従来報告されてきた薄膜培養デバイスよりも驚くほど小さい、増殖領域:試料体積の比を使用している。例えば、本開示の第2の態様によるデバイスは、100~150mLの液体試料を収容するように構成されており、約80cmの増殖領域(冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物を含む)を有する。したがって、150mLの試料体積に由来する微生物は、試料1mL当たり1cm未満に等しい増殖領域に広げられる。
【0049】
パウチ55(すなわち、少なくとも1つの壁及びその壁部)は、防水性の変形可能な材料で作製されている。任意の実施形態において、変形可能な材料は、例えばポリマーフィルムなどの可撓性のシート様材料を含んでもよい。少なくとも1つの壁を作製する際の使用にとって好適な材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルクロライド、ポリアクリレート、ポリウレア、及びこれらの組み合わせが挙げられる。パウチの少なくとも1つの壁は、比較的薄くてもよく(例えば、およそ25マイクロメートルの厚さ)、又は比較的厚くてもよく(例えば、およそ125マイクロメートルの厚さ)、但し、少なくとも1つの壁の少なくとも一部(例えば、第1のコンパートメント550内で膜フィルター540の反対側にある第1の壁部510)が、パウチ55が液体試料(図示せず)を収容する際に変形でき、かつ/又は少なくとも1つの壁の少なくとも一部(例えば、本明細書に記載される吸収パッドに近接する第2の壁部520)が、試料の少なくとも一部が第1のコンパートメントから第2のコンパートメント内に移動するときに変形できることを条件とする。
【0050】
膜フィルター540は、第1のコンパートメント550から第2のコンパートメント552への液体(水性液体、図示せず)の移動を可能にし、第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへの、所定のサイズの粒子の移動を防止する。したがって、標的微生物を含む疑いのある水性液体試料が第1のコンパートメント550に入れられた場合、水性液体の第1の部分が、膜フィルター540を通って第2のコンパートメント552内に移動し(例えば、重力流動によって)、ここで、水性液体は吸収パッド580によって吸収される。標的微生物は、フィルター膜540上若しくはその中に捕捉されるか、又は第1のコンパートメント550内に残る、水性液体の第2の部分中に保持される。
【0051】
微生物を捕捉及び保持するための膜フィルターの使用については、当該技術分野において公知である。したがって、本開示によるデバイスにおいて使用することができる好適な膜フィルターが多数存在する。好適な膜フィルターの非限定的例としては、ナイロン、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、又はセルロース系材料(例えば、混合セルロースエステル)で作製された繊維膜フィルター、微孔性プラスチックフィルム(例えば、レーザーエッチングされたポリカーボネートフィルム)、及びセラミック膜フィルターが挙げられる。
【0052】
膜フィルターの多孔度は、概して、標的微生物が、膜フィルターの一方の側から反対側まで細孔を完全に通過するということがなく、それにより、試料中の実質的に全ての標的微生物がフィルターによって保持されることが保証されるように選択される。典型的な細菌は、長さが約0.5~5.0μmである。マイコプラズマ(Mycoplasma spp.)などの、特定のより小さい細菌は、直径がおよそ0.3μmである。酵母細胞は、概して、細菌よりも大きい。典型的な酵母細胞は、直径がおよそ3~4μmであるが、直径が約40μmもの大きさのものもある。かびは、単一細胞、胞子、又は糸状菌糸として存在し得る。典型的には細菌よりも大きいが、かび細胞の平均サイズは、種によって異なる。したがって、好適な孔径を有する膜フィルターの選択は、標的微生物に左右され得る。例えば、1.0μm以下、0.8μm以下、0.6μm以下、0.4μm以下、0.2μm以下、0.1μm以下、0.05μm以下、0.03μm以下、0.02μm以下、又は0.01μm以下の名目上の孔径を有する膜フィルターは、標的細菌を捕捉及び検出するのに好適であり得る。標的酵母又はかび微生物を捕捉及び検出するには、12μm以下、8μm以下、5μm以下、3μm以下、2μm以下、1μm以下、0.8μm以下、0.6μm以下、0.4μm以下、0.2μm以下、又は0.1μm以下の名目上の孔径を有する膜フィルターが好適であり得る。
【0053】
膜フィルターは、好適な濾過媒体から手作業で準備されてもよく、あるいは、予め切断されたサイズ及び形状で購入してもよい。膜フィルターのサイズ及び形状は、試料体積、及び試料内の微粒子物質の予期される負荷に基づいて選択することができる。一般的に、より大きい表面積を有する膜フィルターは、より小さい表面積を有する膜フィルターより高い濾過速度を可能にする。膜フィルターは、他の濾過媒体(例えば、試料内のより大きいくずを捕捉するための前置フィルター)又は他の膜フィルターと組み合わせて使用することもできる。
【0054】
任意の実施形態において、膜フィルターは、使用中に膜に対して物理的な安定性をもたらすために、(例えばスクリムによって、図示せず)支持されてもよい。任意の実施形態において、この支持体は、膜フィルターに取り付けられてもよい(例えば、第2主面上に)。任意の実施形態において、膜フィルターは、液体試料が膜フィルター全体に迅速かつ完全に浸透するのを促進するために、湿潤剤(例えば、ノニオン性界面活性剤)を含んでもよい。湿潤剤の量は、膜を水性液体で湿らせるのを促進するには十分であるが、本デバイスを使用する際に、標的微生物の増殖を実質的に阻害しない量であることが好ましい。
【0055】
水性試料がパウチ55の第1のコンパートメント550に入れられた場合、乾燥した冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物は水和され、ヒドロゲルを形成する。水性液体の第1の部分が膜フィルター540を通って第1のコンパートメント550から第2のコンパートメント552へ移動すると、ヒドロゲルが膜フィルター540の第1の表面と接触し、それにより、膜フィルター上又はその中に保持された任意の微生物を固定する。
【0056】
薄膜培養デバイスにおける使用にとって好適である冷水溶解性ゲル化剤については、当該技術分野において既知であり、例えば冷水溶解性の天然及び合成ゲル化剤が挙げられる。アルギネート、カルボキシメチルセルロース、タラガム、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガムなどの天然ゲル化剤、及びポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレンオキシドなどの合成ゲル化剤、並びにこれらの混合物が、概して好適である。適切なゲル化剤は、本開示並びに米国特許第4,565,783号、同第5,089,413号、及び同第5,232,838号の開示で教示される内容によって選択することができる。他の好ましいゲル化剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。これらのゲル化剤は、個別でも有用であり、又は前述のゲル化剤のうちの1つなどの別のゲル化剤と組み合わせることも好ましい。
【0057】
任意の実施形態において、乾燥した冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物は、本明細書において記載されるように、接着剤層に接着されている乾燥粉末として、パウチ内に配置されてもよい。薄膜培養デバイスにおいて使用するための可撓性フィルム上に乾燥粉末をコーティングするための方法及び接着剤については、例えば、米国特許第4,565,783号、同第5,089,413号、及び同第5,232,838号に記載されている。任意の実施形態において、接着剤層は、存在する場合、微生物の増殖を指示するための指示薬を含んでもよい。例えば、接着剤は、米国特許第5,409,838号に記載されているようなトリフェニルテトラゾリウムクロリドを含んでもよく、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0058】
任意の実施形態において、乾燥した冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物は、米国特許第4,565,783号、同第5,089,413号、及び同第5,232,838号に記載されているように、水性組成物としてパウチの第1の壁部上に堆積させた後に、乾燥させてもよい。任意選択的に、任意の実施形態において、乾燥コーティングは、パウチの第1の壁部上にコーティングされた接着剤層に接着されてもよい。任意の実施形態において、接着剤層は、上記のように、微生物の増殖を指示するための指示薬を更に含んでもよい。
【0059】
液体試料がパウチ内に注入される前には、吸収パッド580は、比較的薄いこと(例えば、厚さ5mm以下、厚さ4mm以下、厚さ3mm以下、厚さ2mm以下、厚さ約1mm以下)が好ましく、それ自体の重量の何倍にも等しい量の脱イオン水(例えば、それ自体の重量の少なくとも100倍、それ自体の重量の少なくとも150倍、それ自体の重量の少なくとも200倍、それ自体の重量の少なくとも250倍、それ自体の重量の少なくとも300倍、それ自体の重量の少なくとも350倍、それ自体の重量の少なくとも400倍、それ自体の重量の少なくとも500倍の脱イオン水)を吸収するように構成されている。任意の実施形態において、吸収パッドは、例えば、超吸収性材料(例えば、超吸収性ポリマー(superabsorbent polymer)、本明細書においては「SAP」)、及び低吸収性又は非吸収性担体(例えば、セルロース繊維)などの複数の材料を備えてもよい。好適な吸収パッドの非限定的例は、2枚のセルロースシートの間に配置されている超吸収性ポリマー顆粒ベースを備える、複合ポリアクリレート積層構造である。吸収パッドの任意の実施形態において、パッドは、エアレイド不織材料中に配置されているSAP顆粒、又は担体繊維とともに不織材料にブレンドされたSAP繊維を備えてもよい。
【0060】
任意選択的に、任意の実施形態(図示せず)において、吸収パッドは、第2のコンパートメント内で、パウチのある構成要素(例えば、第2の壁部)に連結されていてもよい。有利なことに、これにより、パッドが膜フィルターの相当な部分との接触を失う程度にまで変形する(例えば、パッドが第1のコンパートメントから移動してきた液体によって膨張するため)ことを防止できる。パッドは、接着剤(例えば、感圧接着剤)、熱融着点、又は当該技術分野において既知である他の好適な取り付け手段を介してパウチに連結することができる。任意の実施形態において、吸収パッドは、パウチに対して取り外し可能に連結されてもよい(例えば、水溶性ガムによって)。この実施形態は、膜フィルターを通過する液体を収容するのに適正な位置にパッドを保持するが、パッドが大量の液体を吸収することによって膨張するにつれ、パッドの側方移動は許容してしまう。
【0061】
図を再び参照すると、図9は、本開示によるデバイス501の密封可能な試料ポート560の一実施形態を示している。デバイス501は、第1の壁部510と、第2の壁部520と、開口部からなる密封可能な試料ポート560とを有するパウチ55を備えており、各々については本明細書において説明されている。第1の壁部510の内面512は、開口部に近接する内面の縁部に沿ってその上にコーティングされた接着ストリップ516を備える。剥離ライナー518が、接着ストリップ516に接着されている。開口部(試料ポート560)を通じて第1のコンパートメント(図9においては図示せず)内に試料を注入(例えば、注ぎ入れ又はピペット分注によって)した後、作業者は、開口部を密封するために、剥離ライナーを取り外し、接着ストリップ516を、開口部に近接する第2の壁部520の内面522と接触させる。任意選択的に、作業者は、密封工程を完了させる際に、第1のコンパートメント550から空気の一部又は全てを(開口部から)排出してもよい。
【0062】
図10は、開口部561を有する密封可能な試料ポート560を備えるパウチ56を備えるデバイス502の代替実施形態を示している。この実施形態において、密封可能な試料ポート560は、例えば液体試験試料を注ぎ入れることができるか又はピペット分注することができる、ねじ口開口部である。あるいは、任意の実施形態において、密封可能な試料ポート560は、ニードル又はピペットの先端を導入して試料を第1のコンパートメント内に送達することができる、貫通可能であり弾性変形が可能な隔壁であることができる。隔壁からニードル又はピペットが抜き取られた後、弾性変形可能な隔壁は、ポートを再び密封する。有利なことに、これらの実施形態において、第1のコンパートメント内への空気の導入は最小限に抑えることができる。
【0063】
別の代替実施形態(図示せず)において、密封可能な試料ポートは、第1の壁部及び第2の壁部の各々における咬合ジッパー構成要素(例えば、ZIPLOKプラスチック収納袋に類似するもの)と、これらの咬合構成要素と協同して使用されて、第1のコンパートメントを開放又は密封するジッパー構成要素とを備えてもよい。
【0064】
別の態様において、本開示は、大体積薄膜培養デバイスを組み立てる方法を提供する。本開示のデバイスは、シート様材料から完全に組み立てることができる。有利なことに、これにより、複数のデバイスを組み立てる際に、ロールツーロール法を使用することが可能となる。図11~14は、本開示によるデバイス503の代替実施形態の様々な図を示している。
【0065】
図11は、本開示によるデバイスの一実施形態を組み立てるために使用されるシート様材料を示している。本デバイスの各部分は、適切なサイズのシートに切断された後、デバイスに組み立てられてもよく、あるいは、当該技術分野において既知であるロールツーロール法を用いる深さ制御ダイカッティングを使用して、適切なサイズに切断されてもよい。
【0066】
任意の実施形態において、本開示のデバイスは、1つ以上のサブアセンブリに部分的に組み立てられ、このサブアセンブリが後で他の構成要素と合わされて、本デバイスが作製されてもよい。図11を参照すると、デバイス503は、第1の部分A、第2の部分B、及び第3の部分Cを備える、第1のサブアセンブリIを含む。組み立てられた第1のサブアセンブリIの別の図が、図12Aに示されている。第1の部分Aは、第1の壁部510と、本明細書に記載されるように、その上にコーティングされている接着剤層574とからなる。第2の部分Bは、本明細書に記載されるように、剥離ライナー518からなる。第3の部分Cは、一方の側をコーティングされた第1の基材590と、接着剤層582とからなる。本明細書に記載される、乾燥した冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物を含むコーティング584が、接着剤層582上に配置されている。コーティング584は、接着剤層582上に、乾燥粉末として堆積させてもよく、又は本明細書において上で説明されたように、液体組成物として堆積させた後、実質的に水を含まない状態に乾燥させてもよい。第1の基材590は、上記のように、パウチの壁用に使用されたものに類似する、シート様材料を含んでもよい。あるいは、第1の基材は、不織布又はセルロース系材料(例えば、紙)を含んでもよい。任意の実施形態において、セルロース系材料は、微生物の増殖に対して実質的に非阻害性である、防水性コーティングでコーティングされてもよい。第3の部分Cにおいてコーティング584によって画定された領域は、組み立てられたデバイスにおける増殖領域及びコロニー計数領域も画定する。
【0067】
サブアセンブリIを組み立てる際、剥離ライナー518は、組み立てられたデバイスの開口部を形成する第1の壁部510の縁部(縁部511)に沿って、接着剤層574に対して取り外し可能に接着されている。加えて、第3の部分Cは、コーティング584を接着剤層574とは反対に向けて、部分A上の中心に位置決めされる。次いで、図12Aに示されているように、部分Cを接着剤574と接触させて、コーティング584を露出させた状態で、部分Cを部分Aに貼り付ける。
【0068】
図11を再び参照すると、第2のサブアセンブリIIは、第4の部分D及び第5の部分Eを備える。第4の部分Dは、第2の基材591を備える。第2の基材591は、開口592を備えるフレームを形成する。第2の基材591は、接着剤層593で一方の側をコーティングされている。第2の基材591は、上記のように、パウチの壁用に使用されたものに類似する、シート様材料(例えば、可撓性フィルム)を備えてもよい。あるいは、第2の基材は、不織布又はセルロース系材料(例えば、紙)を含んでもよい。任意の実施形態において、セルロース系材料は、微生物の増殖に対して実質的に非阻害性である、防水性コーティングでコーティングされてもよい。任意選択的に、吸収パッドが、第2のコンパートメント内で第2の基材に連結されていてもよい。
【0069】
また、第2のサブアセンブリIIは、第5の部分E(すなわち、本明細書に記載されるような膜フィルター540)も含む。膜フィルター540は、開口592によって画定された領域を完全に覆うように寸法決めされる。サブアセンブリIIを組み立てる際、図12Bに示されるように、膜フィルター540は、第2の基材591の開口592を完全に覆うように、接着剤層593に接着されている。使用中、液体が膜フィルターを通過する際、液体は本デバイスの第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへ開口を通って移動する。任意の実施形態において、開口592は第1の領域を画定し、コーティング584が第2の領域を画定する。第2の領域は、第1の領域以上の大きさであることが好ましい。第2の領域が、開口の領域と完全に重なり合うように成形及び寸法決めされることがより好ましい。
【0070】
任意選択的に、図11のデバイス503を組み立てる際、サブアセンブリIは、サブアセンブリIIに連結されて、サブアセンブリIIIを形成してもよい。これは、サブアセンブリIIの裏面(すなわち、接着剤層593を含まない側)が、サブアセンブリIの接着剤がコーティングされた側の上になって接触するように位置付けることで行うことができる。加えて、サブアセンブリIIの開口592は、サブアセンブリIの第3の部分Cと重なり合うように、サブアセンブリIと位置合わせされる。
【0071】
デバイス503の作製を完了するには、第6の部分F(すなわち、本明細書に記載されるような吸収パッド580)が、サブアセンブリIIIの膜フィルター540の上になって接触するように位置付け、第7の部分(すなわち、本明細書に記載されるような第2の壁部520)が、第7の部分Gが第1の部分Aの周囲において接着剤層574の一部に接着連結されるように、第1の部分Aの上になって接触するように位置付ける。図13は、組み立てられた図11のデバイス503の平面図を示しており、図14は、その断面図を示している。
【0072】
任意の実施形態において、本開示のデバイスは、生存可能微生物の存在を指示するための指示試薬を更に備える。この指示試薬は、パウチ内に配置されている。任意の実施形態において、指示試薬は、パウチの第1のコンパートメント及び/又は第2のコンパートメント内に、乾燥粉末又は乾燥コーティングとして配置することができる。任意の実施形態において、指示試薬は、本明細書に記載されるように、接着剤層中に配置することができる。あるいは又は更に、指示試薬は、(例えば、本明細書に記載されるように、冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物とともに)接着剤層上にコーティングされた乾燥試薬であってもよい。
【0073】
任意の実施形態において、指示試薬は、生存可能微生物の一般指示薬(例えば、トリフェニルテトラゾリウムクロリドなどの酸化還元指示薬)であってもよく、又は標的微生物の大きいクラス(例えば、好気性微生物全体)の指示薬であってもよい。あるいは、指示試薬は、標的微生物のより小さい群と反応する指示薬(例えば、発色性又は発蛍光性酵素基質)であってもよい。当業者であれば、特定の標的微生物にとって適切な指示試薬を認識するであろう。
【0074】
本開示によるデバイスの任意の実施形態において、本デバイスは、膜フィルターと吸収パッドとの間で第2のコンパートメント内に配置されているスタンドオフ層(stand-off layer)(図示せず)を更に備える。スタンドオフ層は、比較的薄い(例えば、厚さ約0.1mm~2mm)シート様材料である。任意の実施形態において、スタンドオフ層は、少なくとも膜フィルターと同じ広がりを持つように成形及び寸法決めされる。任意の実施形態において、スタンドオフ層は、吸収パッドよりも実質的に吸収性が低い。任意の実施形態において、スタンドオフ層の吸収性は、膜フィルターの吸収性以下である。スタンドオフ層は、疎水性材料(例えば、未変性ポリプロピレン)を含むか、又はそれから本質的になってもよい。
【0075】
スタンドオフ層は、第1のコンパートメント内に注入された水性液体の半分超が第2のコンパートメント内に移動する初期期間中に、膜フィルターから吸収層への水性液体の移動を許容しつつ、一方で本デバイスが微生物コロニーの増殖を促進するためにインキュベートされている間は、第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへの栄養素の拡散を制限するように機能する。
【0076】
スタンドオフ層としての使用にとって好適な材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートとセルロースとのブレンド、ポリエチレンテレフタレートとレーヨンとのブレンド、及びこれらの混合物を含む不織布が挙げられる。有利なことに、スタンドオフ層を備えるデバイスは、パウチの第1の壁部上にコーティングされた乾燥栄養素を含むことができ、水和された栄養素ゲルにおける標的微生物の増殖を支援するのに十分な栄養素を、水和された冷水溶解性ゲル化剤中に保持することができる。
【0077】
第3の態様において、試料中の少なくとも1種の微生物を検出及び計数する方法が提供される。本方法は、第1の態様によるデバイスを準備することと、第1層を第2層から分離することと、少なくとも1種の微生物を含有する所定の体積の試料を第1ヒドロゲル形成組成物上に添加して接種されたデバイスを形成することと、第1層を戻して第2層に接触させることと、接種されたデバイスをインキュベートすることと、デバイスにおける標的微生物のコロニーの存在又は非存在を検出することと、を含む。第1の態様に関して上に詳細に記載されたデバイスのいずれも、第3の態様の方法における使用に好適である。
【0078】
例えば、微生物の検出及び計数のための本発明のデバイスの使用を、図1及び図3のデバイスを具体的に参照して論じることができる。特定の実施形態において、第2層22はカバーシートとして機能し、引き剥がされ、その後、所定の量の水又は水性試験試料を本体部材11の第1層12上に置く。接着剤14によって第1層12に接着されているゲル化剤16の粒子は、速やかに水和又は溶解されて、ゲルが形成される。次いで、第2層22を、気泡の封入を最小限に抑えるため、慎重に第1層12上に再配置する。次いで、所定の時間デバイスをインキュベートする。接種されたデバイスは、典型的には、最長約48時間、又は最長約24時間、又は更には最長約14時間、インキュベートすること、を含む。培地中で増殖する任意の細菌コロニーを、透明なカバーフィルムを通して検出し、任意選択的に計数(例えば、カウント)することができる。いくつかの実施形態において、自動コロニーカウンターなどの、自動化システムを用いて微生物をカウントすることができる。
【0079】
第4の態様において、試料中の少なくとも1種の微生物を検出及び計数する別の方法が提供される。本方法は、第2の態様によるデバイスを準備することと、所定の体積の水性試料をデバイスの第1のコンパートメント内に入れることと、試料ポートを密封することと、デバイスをインキュベートすることと、デバイスにおける標的微生物のコロニーの存在又は非存在を検出することと、を含む。第2の態様に関して上に詳細に記載されたデバイスのいずれも、第4の態様の方法における使用に好適である。
【0080】
第4の態様の方法は、所定の体積の水性試料を、本開示の実施形態のうちのいずれか1つのデバイスの第1のコンパートメント内に入れる工程を含む。水性試料は、標的微生物の存在について試験される、任意の濾過可能な液体試料であり得る。本方法は特に、比較的低い濃度の標的微生物(例えば、1mL当たり10以下の微生物、1mL当たり1以下の微生物、1mL当たり0.1以下の微生物、1mL当たり0.01以下の微生物)を含む疑いのある水試料に関して有用である。所定の体積の水性試料を、本デバイスの第1のコンパートメント内に入れることは、密封可能な試料ポートを通じて、本デバイス内に所定の体積を入れること(例えば、ピペット分注、注ぎ入れ、又は注射などによって)、を含む。
【0081】
本方法は、試料ポートを密封する工程を更に含む。試料ポートを密封するための手順は、本方法において使用されるデバイスに存在する特定の密封可能な試料ポートに左右されることになる。例えば、図11図13のデバイス503が本方法において使用される場合、試料ポートを密封することは、剥離ライナー518を取り外して、第1の壁部510上に配置されている接着剤を露出させた後、第1の壁部上の接着剤を第2の壁部と接触させて、パウチの開口部を閉鎖する防水性シールを形成すること、を含む。
【0082】
例えば、図10のデバイス502が方法において使用される場合、試料ポートを密封することは、試料ポートにおいてキャップを閉めることによって、防水性シールを形成すること、を含む。
【0083】
例えば、弾性変形が可能であり貫通可能な隔壁(図示せず)を備えるデバイスが方法において使用される場合、試料ポートを密封することは、試料をデバイス内に導入するために使用されるピペット又はニードルが隔壁から抜き取られる際に、自然に発生することになる。
【0084】
本方法の任意の実施形態において、防水性シールを形成する工程の前及び/又はその工程中に、密封可能な試料ポートを介して、パウチから空気を排出してもよい(例えば、手作業で、圧搾することによって)。
【0085】
本方法は、デバイスを、標的微生物の増殖及び検出を促進する温度で、ある時間インキュベートする工程を更に含む。当業者であれば、インキュベーションの温度及び期間は、多数の因子(例えば、標的微生物、試料中に存在する栄養素、デバイス内に存在する栄養素、試料及び/又はデバイス内に存在する阻害剤)に左右されることを認識し、インキュベーションの時間及び温度を適宜調整するであろう。
【0086】
本方法は、デバイスにおける標的微生物のコロニーの存在又は非存在を検出する工程を更に含む。任意の実施形態において、デバイスにおける標的微生物のコロニーの存在又は非存在を検出することは、デバイスの第1のコンパートメントにおいてコロニーを検出すること(例えば、目視で、又は機械の視覚力を用いて)、を含み得る。任意の実施形態において、デバイスにおける標的微生物のコロニーの存在又は非存在を検出することは、指示試薬と関連する変化を検出すること、を含み得る。指示試薬は、標的微生物のコロニーにおいて、及び/又はその周囲で、第1の状態(例えば、実質的に無色又は無蛍光)から第2の状態(例えば、着色された又は蛍光性)まで変化し得る。任意の実施形態において、コロニーを計数することができ、任意選択的に、標的微生物のコロニーの数を記録することができる。いくつかの実施形態において、自動コロニーカウンターのような、自動化システムを用いて微生物をカウントすることができる。
【0087】
任意の実施形態において、試料ポートを密封した後、本方法は、デバイスの第1の壁部の外面又はデバイスの第2の壁部の外面を、重力に対して実質的に垂直である表面上に置くこと、を更に含む。有利なことに、デバイスの第2の壁部の外面を、重力に対して実質的に垂直である表面上に置くことにより、試料液体が重力によって膜フィルターを通って流動するのが促進される。加えて、デバイスの第2の壁部の外面を、重力に対して実質的に垂直である表面上に置くことにより、液体が膜フィルターを通って第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへ移動するときの、第1の壁部に接着されている水和された冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物と、膜フィルターとの間の接触が促進される。
【0088】
任意の実施形態において、本方法は、所定の体積の少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも97%、又は少なくとも98%を、第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへ移動させること、を更に含む。第1のコンパートメント内に残る所定の体積のうちの一部は、実質的に、冷水溶解性第1ヒドロゲル形成組成物を水和させることによって形成されたゲルの一部として存在する。
【0089】
デバイス、キット、デバイスの製造方法、又は微生物を検出及び計数する方法である、種々の実施形態を記載する。
【0090】
実施形態1は、微生物検出デバイスである。デバイスは、第1主面及び第2主面を有する基材を備える本体部材を備える。デバイスは、第1主面の一部に接着されている第1接着剤組成物を更に含む。実質的に乾燥した第1微生物増殖栄養素組成物の多数の粒子は、第1接着剤組成物中に分布し、冷水溶解性第1ヒドロゲル形成組成物は、第1接着剤組成物に接着されている。デバイスはまた、本体部材に取り付けられたカバーシートを備え、カバーシートは、本体部材に面する第1主面を有する。
【0091】
実施形態2は、カバーシートの第1主面の一部に接着されている第2接着剤組成物を更に含む、実施形態1に記載のデバイスである。
【0092】
実施形態3は、第2接着剤組成物中に分布した実質的に乾燥した第2微生物増殖栄養素組成物の複数の粒子を更に含む、実施形態2に記載のデバイスである。
【0093】
実施形態4は、第2微生物増殖栄養素組成物が、第2接着剤組成物全体の1重量パーセント以上の量で第2接着剤組成物中に存在する、実施形態3に記載のデバイスである。
【0094】
実施形態5は、第2微生物増殖組成物の複数の粒子が、第2微生物増殖組成物の複数の粒子クラスターを含む、実施形態3又は4に記載のデバイスである。
【0095】
実施形態6は、第2微生物増殖組成物の複数の粒子クラスターの平均長さが、250マイクロメートル以下である、実施形態5に記載のデバイスである。
【0096】
実施形態7は、第2微生物増殖組成物の複数の粒子クラスターの平均長さが、10マイクロメートル~100マイクロメートル(両端の値を含む)の範囲である、実施形態5又は6に記載のデバイスである。
【0097】
実施形態8は、第2接着剤組成物が、少なくとも1種の指示薬を含む、実施形態2~7のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0098】
実施形態9は、第2接着剤組成物が、感圧接着剤を含む、実施形態2~8のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0099】
実施形態10は、第2接着剤組成物が、溶剤型接着剤を含む、実施形態2~9のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0100】
実施形態11は、第2接着剤組成物が、アルキルアクリレートコポリマーを含む、実施形態2~10のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0101】
実施形態12は、第1微生物増殖栄養素組成物が、第1接着剤組成物と第1微生物増殖栄養素組成物とを合わせたものの1重量パーセント以上の量で第1接着剤組成物中に存在する、実施形態1~11のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0102】
実施形態13は、第1微生物増殖組成物の複数の粒子が、第1微生物増殖組成物の複数の粒子クラスターを含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0103】
実施形態14は、第1微生物増殖組成物の複数の粒子クラスターの平均長さが、250マイクロメートル以下である、実施形態13に記載のデバイスである。
【0104】
実施形態15は、第1微生物増殖組成物の複数のクラスターの平均長さが、10マイクロメートル~100マイクロメートル(両端の値を含む)の範囲である、実施形態13又は14に記載のデバイスである。
【0105】
実施形態16は、第1接着剤組成物が、少なくとも1種の指示薬を含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0106】
実施形態17は、第1接着剤組成物が、感圧接着剤を含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0107】
実施形態18は、第1接着剤組成物が、溶剤型接着剤を含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0108】
実施形態19は、第1接着剤組成物が、アルキルアクリレートコポリマーを含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0109】
実施形態20は、第1微生物増殖栄養素組成物が、第1接着剤組成物全体の1重量パーセント以上の量で第1接着剤組成物中に存在する、実施形態1~17のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0110】
実施形態21は、第1微生物増殖栄養素組成物が、肉ペプトン、カゼインペプトン、ゼラチンペプトン、大豆ペプトン、牛肉抽出物、酵母エキス、ラクトース、グルコース、デキストロース、トリプトース、ガラクトース、トリプトン、脂肪、ミネラル、又はビタミンからなる群から選択される少なくとも1種の栄養素を含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0111】
実施形態22は、冷水溶解性第1ヒドロゲル形成組成物が、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、タラガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される冷水溶解性ゲル化剤を含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0112】
実施形態23は、微生物検出デバイスである。微生物検出デバイスは、防水性パウチであって、内面及び外面を有する第1の壁部と、内面及び外面を有する第2の壁部と、第1の壁部の内面と第2の壁部の内面との間でパウチ内に配置されている多孔質膜フィルターと、を備える、防水性パウチを備える。膜フィルターは、第1主面及び第1主面の反対側の第2主面を有する。防水性パウチは、第1の壁部の内面によって部分的に画定されていると共に膜フィルターの第1主面によって部分的に画定されている第1のコンパートメントと、第1のコンパートメント内に液体を注入するためのアクセスを提供する、密封可能な試料ポートと、を更に備える。加えて、防水性パウチは、第2の壁部の内面によって部分的に画定されていると共に膜フィルターの第2主面によって部分的に画定されている第2のコンパートメントと、第2のコンパートメント内に配置されている吸収パッドと、を備える。膜フィルターは、第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへの水性液体の移動を可能にし、第1のコンパートメントから第2のコンパートメントへの、所定のサイズの粒子の移動を防止する。防水性パウチはまた、第1のコンパートメント内でパウチの一部に接着されている接着剤組成物と、接着剤組成物中に分布した実質的に乾燥した第1微生物増殖栄養素組成物の多数の粒子と、接着剤組成物に接着されている冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物と、を含む。
【0113】
実施形態24は、パウチが、第1のコンパートメント内で膜フィルターの反対側に配置されている変形可能な第1の壁部を備え、接着剤組成物が第1の壁部上に配置されている、実施形態23に記載のデバイスである。
【0114】
実施形態25は、膜フィルターがフレームに連結され、フレームは液体が第1のコンパートメントから膜フィルター内に移動する開口を備え、開口が第1の領域を画定し、パウチ上に配置されている接着剤組成物が第1の領域以上の第2の領域を画定する、実施形態23に記載のデバイスである。
【0115】
実施形態26は、デバイスが、25mL~150mL(両端の値を含む)の体積を有する液体試料を収容するように寸法決めされている、実施形態23~25のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0116】
実施形態27は、接着剤組成物が、少なくとも1種の指示薬を含む、実施形態23~26のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0117】
実施形態28は、接着剤組成物が、感圧接着剤を含む、実施形態23~27のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0118】
実施形態29は、接着剤組成物が、溶剤型接着剤を含む、実施形態23~28のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0119】
実施形態30は、接着剤組成物が、アルキルアクリレートコポリマーを含む、実施形態23~29のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0120】
実施形態31は、第1微生物増殖組成物の複数の粒子が、第1微生物増殖組成物の複数の粒子クラスターを含む、実施形態23~30のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0121】
実施形態32は、微生物増殖組成物の複数の粒子クラスターの平均長さが、250マイクロメートル以下である、実施形態31に記載のデバイスである。
【0122】
実施形態33は、微生物増殖組成物の複数のクラスターの平均長さが、10マイクロメートル~100マイクロメートル(両端の値を含む)の範囲である、請求項31又は32に記載のデバイスである。
【0123】
実施形態34は、微生物増殖栄養素組成物が、接着剤組成物全体の1重量パーセント以上の量で接着剤組成物中に存在する、実施形態23~33のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0124】
実施形態35は、微生物増殖栄養素組成物が、肉ペプトン、カゼインペプトン、ゼラチンペプトン、大豆ペプトン、牛肉抽出物、酵母エキス、ラクトース、グルコース、デキストロース、トリプトース、ガラクトース、トリプトン、脂肪、ミネラル、又はビタミンからなる群から選択される少なくとも1種の栄養素を含む、実施形態23~34のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0125】
実施形態36は、冷水溶解性ヒドロゲル形成組成物が、アルギネート、カルボキシメチルセルロース、タラガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリエチレンオキシド、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される冷水溶解性ゲル化剤を含む、実施形態23~35のいずれか1つに記載のデバイスである。
【0126】
実施形態37は、試料中の少なくとも1種の微生物を検出及び計数する方法である。本方法は、実施形態1~22のいずれか1つに記載のデバイスを準備することと、第1層を第2層から分離することと、少なくとも1種の微生物を含有する所定の体積の試料を第1ヒドロゲル形成組成物上に添加して接種されたデバイスを形成することと、を含む。本方法は、第1層を戻して第2層に接触して配置させることと、接種されたデバイスをインキュベートすることと、デバイスにおける標的微生物のコロニーの存在又は非存在を検出することと、を更に含む。
【0127】
実施形態38は、試料中の少なくとも1種の微生物を検出及び計数する方法である。本方法は、実施形態23~36のいずれか1つに記載のデバイスを準備することと、所定の体積の水性試料をデバイスの第1のコンパートメント内に入れることと、試料ポートを密封することと、デバイスをインキュベートすることと、デバイスにおける標的微生物のコロニーの存在又は非存在を検出することと、を含む。
【実施例
【0128】
本発明の目的及び利点を、以下の実施例により更に例示するが、これらの実施例で記載する特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定するものと解釈してはならない。これらの実施例は説明目的のためのものにすぎず、添付の「特許請求の範囲」の範囲を限定することを意図するものではない。
【0129】
材料
特に記載のない限り、実施例及び本明細書の残りの部分における全ての部、百分率、及び比率などは、重量による。
【0130】
R2aブロス粉末は、HIMEDIA Laboratories(Mumbai,India)から入手した。製造元は、R2aブロス粉末の組成を、カゼイン酸ヒドロキシラーゼ(16重量%)、酵母エキス(16重量%)、プロテオースペプトン(16重量%)、デキストロース(16重量%)、可溶性デンプン(16重量%)、リン酸二カリウム(9.6重量%)、硫酸マグネシウム(0.8重量%)、ピルビン酸ナトリウム(9.6重量%)であると報告した。
【0131】
グアーガム(Meyprogat 150)は、Danisco(Copenhagen,Denmerk)から入手した。
【0132】
BACTOトリプシン大豆ブロス(TSB)は、BACTON,Dickinson Company(Franklin Lakes,NJ)から入手した。
【0133】
2,3,5-トリフェニルテトラゾリウムクロリド(TTC)は、Sigma-Aldrich Corporation(St.Louis,MO)から入手した。
【0134】
Butterfieldの緩衝液は、3M Corporation(St.Paul,MN)から入手した。
【0135】
MELINEX 454 PETフィルム(厚さ3mil(0.076mm))は、Tekra(EISの部門)Incorporated(New Berlin,WI)から入手した。
【0136】
インキュベーション及び接種
表1に列挙した細菌株は、MICROBIOLOGICS,Incorporated(St.Cloud,MN)から入手した。実施例1で使用した細菌株を、振盪せずに30℃でトリプシン大豆ブロス(TSB)中で一晩インキュベートすることによって、個別に培養した。実施例2~6について、大腸菌(Escherichia coli)(ATCC 25922)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC15442)の試料を、250rpmで振盪しながら37℃にてトリプシン大豆ブロス(TSB)中で一晩インキュベートすることにより個別に培養した(New Brunswick(商標) INNOVA 44 Incubator Shaker(Eppendorf AG,Germany)。全ての実施例について、接種材料を、Butterfieldの緩衝液(10倍希釈)中の各培養試料を連続希釈することにより調製して、接種材料1mL当たり約10~300cfuのコロニー形成単位(cfu)数をもたらす最終濃度を得た(これは典型的には10-7希釈であった)。
【表1】
【0137】
実施例1.
図1Aのデバイスによる微生物検出デバイスを作製した。R2aブロス粉末を、10.28重量%の粉末濃度で、イソオクチルアクリレート/アクリルアミド(96/4の重量比)の感圧接着剤配合物(ヘプタン及びエチルアセテート溶液中、約22~25%固形分)に添加することによって、栄養素コーティング配合物を調製した。コーティング配合物を入れたボトルを、ボトルローラーを用いて40rpmで4時間混合した。次いで、6mil(0.15mm)の間隙設定を使用して、PETフィルム基材(厚さ3mil(0.076mm))の一方の側に、配合物を手でノッチバーコーティングした。コーティングしたフィルムを68℃のオーブン内で10分間乾燥させた。次いで、基材の接着剤コーティングした側をグアーガムで粉末コーティングした。粉末は均等に適用され、過剰な粉末は、手で振盪することによって接着剤層から取り除かれた。次に、得られた粉末コーティングした基材を、デバイスの本体部材として使用される幅76mm×長さ102mmの切片に切断した。
【0138】
デバイスのカバーシートは、米国特許第5,409,838号の実施例4に記載されているようなTTCを含有するイソオクチルアクリレート/アクリル酸(98/2の重量比)の感圧接着剤コーティング配合物で一方の側にコーティングされた、透明な2軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルム(1.6mil(0.04mm)の厚さ及び両面にコロナ処理)であった。続いて、接着剤層をグアーガムで粉末コーティングした。粉末は均等に適用され、過剰な粉末は、接着剤層から取り除かれた。カバーシートを切断して、本体部材の寸法と一致させた後、両面接着テープを使用して一方の縁部(76mmの縁部)に沿ってヒンジ様式で本体部材に取り付けた。各デバイスについて、カバーシート及び本体部材は、カバーシートのコーティングされた表面が本体部材のコーティングされた表面に面するように配向された。
【0139】
検出デバイスに、表1から選択された単一の微生物試料を接種した。デバイスのカバーシートを持ち上げ、1mLの接種材料(すなわち、上記の最終希釈物)をピペットで本体部材の露出したコーティング表面に添加した。カバーシートを交換し、3M PETRIFILM Flat Spreader(3M Corporation(St.Paul,MN))を用いて下向きの圧力を加えることにより、試料を均一に広げた。接種されたデバイスを30℃で40時間インキュベートした。インキュベーション期間の最後に、赤色のコロニーを目視検査によってカウントした。比較例として、市販のPETRIFILM Aerobic Count(AC)Plate(3M Corporation)を個別に接種し、インキュベートし、検出デバイスでと同様にカウントした。結果を表2に示す。
【表2】
【0140】
実施例2.
図1Aのデバイスによる微生物検出デバイスを作製した。トリプシン大豆ブロス(TSB)粉末を、5.14重量%の粉末濃度で、イソオクチルアクリレート/アクリルアミド(96/4の重量比)の感圧接着剤配合物(ヘプタン及びエチルアセテート溶液中、約22~25%固形分)に添加することによって、栄養素コーティング配合物を調製した。コーティング配合物を入れたボトルを、ボトルローラーを用いて40rpmで4時間混合した。次いで、12mil(0.30mm)の間隙設定を使用して、PETフィルム基材(厚さ3mil(0.076mm))の一方の側に、配合物を手でノッチバーコーティングした。コーティングしたフィルムを68℃のオーブン内で10分間乾燥させた。次いで、基材の接着剤コーティングした側をグアーガムで粉末コーティングした。粉末は均等に適用され、過剰な粉末は、手で振盪することによって接着剤層から取り除かれた。次に、得られた粉末コーティングした基材を、デバイスの本体部材として使用される幅76mm×長さ102mmの切片に切断した。
【0141】
デバイスのカバーシートは、米国特許第5,409,838号の実施例4に記載されているようなTTCを含有するイソオクチルアクリレート/アクリル酸(98/2の重量比)の感圧接着剤コーティング配合物で一方の側にコーティングされた、透明な2軸配向ポリプロピレン(BOPP)フィルム(1.6mil(0.04mm)の厚さ及び両面にコロナ処理)であった。続いて、接着剤層をグアーガムで粉末コーティングした。粉末は均等に適用され、過剰な粉末は、接着剤層から取り除かれた。カバーシートを切断して、本体部材の寸法と一致させた後、両面接着テープを使用して一方の縁部(76mmの縁部)に沿ってヒンジ様式で本体部材に取り付けた。各デバイスについて、カバーシート及び本体部材は、カバーシートのコーティングされた表面が本体部材のコーティングされた表面に面するように配向された。
【0142】
仕上げた検出デバイスに大腸菌(Escherichia coli)(ATCC 25922)(表1)を接種した。デバイスのカバーシートを持ち上げ、1mLの接種材料(すなわち、上記の最終希釈物)をピペットで本体部材の露出したコーティング表面に添加した。カバーシートを交換し、3M PETRIFILM Flat Spreader(3M Corporation(St.Paul,MN))を用いて下向きの圧力を加えることにより、試料を均一に広げた。接種されたデバイスを37℃で18時間インキュベートした。インキュベーション期間の最後に、赤色のコロニーを目視検査によってカウントした。比較例として、市販のPETRIFILM Aerobic Count(AC)Plateを個別に接種し、インキュベートし、検出デバイスでと同様にカウントした。結果を表3に示す。
【0143】
実施例3.
コーティング工程の間隙設定を12mil(0.30mm)の代わりに6mil(0.15mm)としたこと以外は、実施例2に記載の手順によって微生物検出デバイスを作製した。実施例2に記載の手順によって、デバイスに大腸菌(Escherichia coli)(ATCC 25922)を接種し、インキュベートし、カウントした。結果を表3に報告する。
【0144】
実施例4.
栄養素コーティング配合物中のTSBを5.14重量%の代わりに10.28重量%としたこと以外は、実施例2に記載の手順によって微生物検出デバイスを作製した。実施例2に記載の手順によって、デバイスに大腸菌(Escherichia coli)(ATCC 25922)を接種し、インキュベートし、カウントした。結果を表3に報告する。
【0145】
実施例5.
1)栄養素コーティング配合物中のTSBを5.14重量%の代わりに10.28重量%としたこと、及び2)コーティング工程の間隙設定を12mil(0.30mm)の代わりに6mil(0.15mm)としたこと以外は、実施例2に記載の手順によって微生物検出デバイスを作製した。実施例2に記載の手順によって、デバイスに大腸菌(Escherichia coli)(ATCC 25922)を接種し、インキュベートし、カウントした。結果を表3に報告する。
【表3】
【0146】
実施例6.
コーティング配合物を入れたボトルを、ボトルローラーを用いて40rpmで18時間混合したこと以外は、実施例2に記載の手順によって微生物検出デバイスを作製した。
【0147】
仕上げた検出デバイスに緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(ATCC 15442)(表1)を接種した。デバイスのカバーシートを持ち上げ、1mLの接種材料(すなわち、上記の最終希釈物)をピペットで本体部材の露出したコーティング表面に添加した。カバーシートを交換し、3M PETRIFILM Flat Spreader(3M Corporation(St.Paul,MN))を用いて下向きの圧力を加えることにより、試料を均一に広げた。接種されたデバイスを37℃で40時間インキュベートした。インキュベーション期間の最後に、赤色のコロニーを目視検査によってカウントした。比較例として、市販のPETRIFILM Aerobic Count(AC)Plateに接種し、インキュベートし、検出デバイスでと同様にカウントした。結果を表4に報告する。
【表4】
【0148】
本明細書では特定の例示的な実施形態について詳細に説明してきたが、当業者には上述の説明を理解した上で、これらの実施形態の修正形態、変形形態、及び均等物を容易に想起できることが、諒解されるであろう。更には、本明細書で参照される全ての刊行物及び特許は、個々の刊行物又は特許を参照により組み込むことが詳細かつ個別に指示されている場合と同じ程度に、それらの全容が参照により組み込まれる。様々な例示的な実施形態について説明してきた。これらの実施形態及び他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に含まれる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14