(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】コンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
B65D88/12 N
(21)【出願番号】P 2023539107
(86)(22)【出願日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 JP2023010720
【審査請求日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2022053986
(32)【優先日】2022-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022123011
(32)【優先日】2022-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523390563
【氏名又は名称】加藤 守孝
(73)【特許権者】
【識別番号】521175104
【氏名又は名称】西山 太郎
(73)【特許権者】
【識別番号】000171665
【氏名又は名称】佐々木 洋
(73)【特許権者】
【識別番号】503041063
【氏名又は名称】沖本 成正
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】太田 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】西山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 洋
(72)【発明者】
【氏名】沖本 成正
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-74449(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0266666(US,A1)
【文献】特開平7-76343(JP,A)
【文献】国際公開第2020/059697(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/036544(WO,A1)
【文献】特開2021-172441(JP,A)
【文献】実開昭53-9948(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さが通常高さと前記通常高さよりも低い縮小高さとの間で変更可能なコンテナであって、
コンテナの天面を覆う天井構造体と、
コンテナの一方の側面に設けられ、上端が前記天井構造体に枢着され、水平線に沿って折り畳み可能な複数枚の板部材から成る第1の側壁と、
コンテナの他方の側面に、前記第1の側壁とは平行に設けられ、上端が前記天井構造体に枢着され、水平線に沿って相互に折り畳み可能な複数枚の板部材から成る第2の側壁と、
コンテナの床面に設けられる床面構造体と、
コンテナの前面に設けられ、上端が前記前面よりもコンテナの内側において、前記天井構造体に回動可能に連結された前壁と、
コンテナの背面に設けられ、上端が前記背面よりもコンテナの内側において、前記天井構造体に回動可能に連結された後壁とを備え
、
前記第1および第2の側壁において、最下位置に設けられる第1の板部材は、中央位置に設けられる第2の板部材に対してコンテナの外方に折曲可能であり、前記第1の板部材の内面に、フォークリフトのフォークが係合可能なフックが設けられ
ることを特徴とするコンテナ。
【請求項2】
前記フックが前記第1の板部材に対して回動可能であり、前記第1の板部材に、回動した前記フックが嵌入するフック収納凹部が形成されることを特徴とする請求項
1に記載のコンテナ。
【請求項3】
高さが通常高さと前記通常高さよりも低い縮小高さとの間で変更可能なコンテナであって、
コンテナの天面を覆う天井構造体と、
コンテナの一方の側面に設けられ、上端が前記天井構造体に枢着され、水平線に沿って折り畳み可能な複数枚の板部材から成る第1の側壁と、
コンテナの他方の側面に、前記第1の側壁とは平行に設けられ、上端が前記天井構造体に枢着され、水平線に沿って相互に折り畳み可能な複数枚の板部材から成る第2の側壁と、
コンテナの床面に設けられる床面構造体と、
コンテナの前面に設けられ、上端が前記前面よりもコンテナの内側において、前記天井構造体に回動可能に連結された前壁と、
コンテナの背面に設けられ、上端が前記背面よりもコンテナの内側において、前記天井構造体に回動可能に連結された後壁とを備え
、
前記第1および第2の側壁において、最下位置に設けられる第1の板部材は、中央位置に設けられる第2の板部材に対してコンテナの外方に折曲可能であり、最上位置に設けられ、前記天井構造体の側方フレームに枢着される第3の板部材には、前記第3の板部材を外方に回転可能な側壁駆動機構が設けられる
ことを特徴とするコンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨物輸送等に用いられるコンテナに関し、特に、空荷時に高さを縮小することができるコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなコンテナとして特許文献1に開示されたものが知られている。このコンテナは略半分の高さ位置で上下に二分され、コンテナ上部がコンテナ下部に対して嵌合し、コンテナ上部の最下端がコンテナ下部の最下端に接近するまで相対的に下降するように構成されている。また、コンテナ内へ荷物を出し入れするため、コンテナの一部の壁は天井部材に回動自在に支持され、開放可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンテナ上部を昇降駆動するための機構の一つとして、特許文献1ではフォークリフトを利用することが提案されている。すなわち、例えばコンテナ上部の天井フレームにフォークリフトのフォークが挿入される孔を形成し、フォークによりコンテナ上部を昇降させるものである。しかし、フォークリフトを利用する構成によると、フォークリフトを操作する作業員以外に、コンテナの周囲に待機して、コンテナの一部の壁を傾斜させる、あるいは折り畳む等の操作を行う作業員が必要であり、これらの操作は簡単ではない。
【0005】
本発明は、一人の作業員だけで、積荷時の通常高さと空荷時の縮小高さとの間で切り替えることができるコンテナを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は高さが通常高さと通常高さよりも低い縮小高さとの間で変更可能なコンテナであって、コンテナの天面を覆う天井構造体と、コンテナの一方の側面に設けられ、上端が天井構造体に枢着され、水平線に沿って折り畳み可能な複数枚の板部材から成る第1の側壁と、コンテナの他方の側面に、第1の側壁とは平行に設けられ、上端が天井構造体に枢着され、水平線に沿って相互に折り畳み可能な複数枚の板部材から成る第2の側壁と、コンテナの床面に設けられる床面構造体と、コンテナの前面に設けられ、上端が前面よりもコンテナの内側において、天井構造体に回動可能に連結された前壁と、コンテナの背面に設けられ、上端が背面よりもコンテナの内側において、天井構造体に回動可能に連結された後壁とを備えることを特徴としている。
【0007】
天井構造体には、折り畳まれた第1および第2の側壁が嵌め込まれる側壁収納凹部が形成されることが好ましい。
【0008】
またコンテナは、天井構造体から前面または背面に沿って垂直下方に延びる上側予備柱と、床面構造体から前面または背面に沿って垂直上方に延びる下側予備柱とを備え、第1および第2の側壁が折り畳まれ、かつ前壁と後壁が傾斜した状態において、上側予備柱と下側予備柱の先端同士が当接するように構成されることが好ましい。
【0009】
好ましくは、第1および第2の側壁において、最下位置に設けられる第1の板部材は、中央位置に設けられる第2の板部材に対してコンテナの外方に折曲可能であり、第1の板部材の内面に、フォークリフトのフォークが係合可能なフックが設けられる。この場合、フックが第1の板部材に対して回動可能であり、第1の板部材に、回動したフックが嵌入するフック収納凹部が形成されていてもよい。
【0010】
前壁が水平線においてコンテナの内側に折れ曲がるように2分割された上側前壁と下側前壁を有し、後壁が水平線においてコンテナの内側に折れ曲がるように2分割された上側後壁と下側後壁を有するように構成されていてもよく、この場合、上側前壁と上側後壁は天井構造体に回動可能に連結され、下側前壁と下側後壁が床面構造体に回動可能に連結される。この構成において、好ましくは、前面および背面にはそれぞれ第1のロック機構が設けられ、第1のロック機構は、上側前壁と下側前壁、または上側後壁と下側後壁を固定するための第1のロック部材と、上側前壁または上側後壁と天井構造体を固定するための第2のロック部材と、下側前壁または下側後壁と床面構造体を固定するための第3のロック部材とを有する。
【0011】
前壁および後壁の下端にそれぞれローラが設けられ、床面構造体に、ローラが係合可能なガイドレールが設けられていてもよい。この場合、前面および背面に、それぞれ第2のロック機構が設けられてもよく、第2のロック機構は、前壁または後壁と天井構造体を固定するための第4のロック部材と、前壁または後壁と床面構造体を固定するための第5のロック部材とを有する。
【0012】
また、好ましくは、前壁および後壁の上端に、天井構造体を吊り上げるときに使用されるワイヤを連結するためのワイヤ留め具が設けられる。
【0013】
また、第1および第2の側壁において、最下位置に設けられる第1の板部材が、中央位置に設けられる第2の板部材に対してコンテナの外方に折曲可能であり、最上位置に設けられ、前記天井構造体の側方フレームに枢着される第3の板部材には、第3の板部材を外方に回転可能な側壁駆動機構が設けられる。
【0014】
また、コンテナは、前壁および後壁をコンテナの内側に向けて傾倒させる駆動機構を備えてもよい。更に、前壁および後壁は、扉とこの扉の周囲を取り囲むフレームとから構成されてもよい。このときフレームは扉の上半分を取り囲む上側フレームと、下半分を取り囲む下側フレームとに分離され、上側フレームが天井構造体に枢着されるとともに下側フレームが床面構造体に枢着され、上側フレームの下端部と下側フレームの上端部とが枢着され、扉が上側フレームまたは下側フレームの一方に軸支され、駆動機構が上側フレームまたは下側フレームの少なくとも一方をコンテナの内側に向けて傾倒させることで、フレームがコンテナの内側に向けてV字状に屈曲可能とされてもよい。
【0015】
また、天井構造体の側方フレームと床面構造体の側方フレームとの間に、着脱可能な可動支柱を設けてもよい。また、上側前壁および上側後壁の天井構造体に回動可能に連結されるヒンジは、それぞれ直立した状態の上側前壁、上側後壁の重心よりもコンテナ長手方向内側に位置することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、一人の作業員だけで、積荷時の通常高さと空荷時の縮小高さとの間で切り替えることができるコンテナを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るコンテナの外観を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態のコンテナの側壁を開放した状態を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態のコンテナの側壁を開放する動作を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態のコンテナの前壁と後壁が屈曲した状態を示す断面図である。
【
図6】第1のロック部材が外れている状態を示す斜視図である。
【
図7】第1のロック部材がロックしている状態を示す斜視図である。
【
図8】コンテナの第1および第2の側壁が開放された状態を示す斜視図である。
【
図9】折り畳まれて縮小高さの状態にあるコンテナを示す斜視図である。
【
図10】縮小高さの状態にあるコンテナにおいて、ワイヤと天井構造体の間にフォークが挿入された状態を示す斜視図である。
【
図11】コンテナが縮小高さの状態から通常高さの状態に引き上げられる動作を示す側面図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係るコンテナの外観を示す斜視図である。
【
図14】第2実施形態のコンテナの側壁を開放した状態を示す斜視図である。
【
図17】コンテナを折り畳む動作を示す側面図である。
【
図18】折り畳まれたコンテナを示す斜視図である。
【
図19】第3実施形態のコンテナの外観を示す斜視図である。
【
図21】第1板部材がロック部材とフックの係合により側方フレームに固定された状態が示される。
【
図22】キー機構の構成を示す部分拡大斜視図である。
【
図23】側壁駆動機構の内部構造を示す拡大斜視図である。
【
図24】側壁駆動機構の第3板部材への取り付け構造を示す斜視図である。
【
図26】コンテナ折り畳み作業の様子を時系列で示す斜視図である。
【
図27】コンテナ折り畳み作業の様子を時系列で示す斜視図である。
【
図28】コンテナ折り畳み作業の様子を時系列で示す斜視図である。
【
図29】コンテナ折り畳み作業の様子を時系列で示す斜視図である。
【
図30】上側フレームと下側フレームが直立した状態と、フレーム駆動機構が駆動され、「V」字状に折り曲げられた状態を比較して示す側面図である。
【
図31】コンテナ折り畳み作業の様子を時系列で示す斜視図である。
【
図32】折り畳んだ第1板部材を第2板部材に固定するための構成を示す拡大斜視図である。
【
図33】第3実施形態の構成を40ftコンテナに適用したときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1実施形態のコンテナの外観を示し、
図2はコンテナを分解して示している。
図3はコンテナの側壁を開放した状態を示している。これらの図示された状態は、コンテナが積荷時の通常高さの状態にあり、空荷時には所定の高さまで縮小することができる。なお、本明細書および特許請求の範囲で用いられるコンテナには、海上コンテナやインターモーダルコンテナは勿論のこと、トラックや貨物列車など輸送機器の荷台に着脱自在または固定された状態で用いられる荷箱(コンテナ)も含まれ、更にコンテナ型の倉庫や住居、店舗なども含まれる。
【0019】
コンテナの天面には天井構造体10が設けられ、コンテナの床面には床面構造体20が設けられる。コンテナの一方の側面には第1の側壁30が設けられ、他方の側面には第2の側壁40が設けられる。コンテナの前面には前壁50が設けられ、背面には後壁60が設けられる。
【0020】
第1の側壁30は、最下位置に設けられる第1の板部材31と、中央位置に設けられる第2の板部材32と、最上位置に設けられる第3の板部材33とを有する。これら3枚の板部材31、32、33は水平線に沿って折り畳み可能である。より詳しくは、第3の板部材33は、その上端が天井構造体10に枢着されており、
図1に示された状態から外方へ回動自在で、天井構造体10の上面に密着可能である。第3の板部材33の下端には第2の板部材32の上端が枢着され、板部材32はコンテナの内側方向に回動し、第3の板部材33の内面に密着可能である。第2の板部材32の下端には第1の板部材31の上端が枢着され、第1の板部材31はコンテナの外側方向に回動し、第2の板部材32の外面に密着可能である。第1の側壁30は折り畳まれた状態で、天井構造体10の上面に形成された側壁収納凹部11内に嵌め込まれる。
【0021】
第2の側壁40は第1の側壁30とは平行に設けられ、第1の側壁30と同様な構成を有する。すなわち第1、第2および第3の板部材41、42、43から成り、これらの板部材41、42、43は水平線に沿って折り畳み可能である。第3の板部材43は、その上端が天井構造体10に枢着され、天井構造体10の上面に密着可能である。第3の板部材43の下端には第2の板部材42の上端が枢着され、第2の板部材42は第3の板部材43の内面に密着可能である。第2の板部材42の下端には第1の板部材41の上端が枢着され、第1の板部材41は第2の板部材42の外面に密着可能である。第2の側壁40は折り畳まれた状態で、天井構造体10の上面において、側壁収納凹部11とは対称位置に形成された側壁収納凹部12内に嵌め込まれる。
【0022】
第1の側壁30において、第1の板部材31の内面には一対のフック34が設けられる。フック34は、通常高さの状態にあるコンテナにおいて第1の側壁30を開放するときに用いられる。具体的には、
図4に示すように、第1の板部材31が第2の板部材32に折り畳まれた状態で、フォークリフト100のフォーク101が係合可能であり、フォーク101を操作することにより、第1の側壁30は側壁収納凹部11に収納される。フック34は第1の板部材31に対して、水平軸周りに回動可能であり、第1の板部材31には、回動したフック34が嵌入するフック収納凹部35が形成され、フック34は第1の板部材31の内部に収納可能である。
【0023】
第2の側壁40も同様に、第1の板部材41の内面に一対のフック44が設けられる。フック44には、第1の板部材41が第2の板部材42に対してコンテナの外方に折曲された状態で、フォークリフト100のフォーク101が係合可能であり、フォーク101を操作することにより、第2の側壁40は側壁収納凹部12に収納される。フック44は第1の板部材41に対して、水平軸周りに回動可能であり、第1の板部材41には、回動したフック44が嵌入するフック収納凹部45が形成され、フック44は第1の板部材41の内部に収納される。
【0024】
前壁50は水平線においてコンテナの内側に折れ曲がるように2分割された上側前壁51と下側前壁52とを有する。上側前壁51の背面の上端には、コンテナの内側(後方)に突出する突片53が設けられる。突片53は天井構造体10の前端に位置する前側フレーム13に回動可能に連結される。すなわち
図5に示すように、前側フレーム13には、後方に突出する上側支持板14が設けられ、突片53は上側支持板14に枢着される。下側前壁52も同様に、その背面の下端には、コンテナの内側に突出する突片54が設けられ、突片54は、床面構造体20の前端に位置する前側フレーム21に設けられた下側支持板22に回動可能に連結される。下側支持板22は、前側フレーム21の後縁に設けられて上方に突出しており、下側前壁52との連結位置は、上側支持板14と上側前壁51の連結位置よりもコンテナの前面側(
図5において右側)にある。
【0025】
コンテナの前面には第1のロック機構が設けられる。第1のロック機構は、上側前壁51と下側前壁52を固定するための第1のロック部材55と、上側前壁51と天井構造体10を固定するための第2のロック部材56と、下側前壁52と床面構造体20を固定するための第3のロック部材57とを有する。第1のロック部材55は前壁50の側面に設けられ、第2および第3のロック部材56、57は前壁50の前面に設けられる。
【0026】
ロック部材55、56、57は共に同じ構造を有し、従来公知の構成を有する。第1のロック部材55を例にとって構成を説明すると、
図6、7に示すように、第1のロック部材55は、上側前壁51に設けられたピン90に係合可能な係合部材91と、係合部材91に連結され、下側前壁52に枢支されたレバー92とを有する。係合部材91はレバー92を操作することによりピン90に係合し、その状態でレバー92を下側前壁52側に回動させると、ピン90が下側前壁52側に引っ張られ、上側前壁51と下側前壁52は、その端面同士が密着して平板状になり、一体的に固定される。
【0027】
なお上側前壁51と下側前壁52の連結部分には、細長い金属板を半円筒状(蒲鉾型)に加工して成るスプリング93が設けられる。スプリング93は
図7に示すように直線状にあるとき、その状態を維持しようとするバネ力を発揮し、上側前壁51と下側前壁52のロック状態が維持される。これに対し、
図6に示すように、ロック部材55によるロック状態が解除され、上側前壁51と下側前壁52が折れ曲がった状態では、スプリング93の蒲鉾型が崩れて、直線状に復元しようとするバネ力が減少し、曲がりやすくなる。
【0028】
第2のロック部材56は、天井構造体10から前面に沿って垂直下方に延びる上側予備柱15に上側前壁51を固定するもので、コンテナを前面から見て左右の縁部にそれぞれ設けられる。一方第3のロック部材57は、床面構造体20から前面に沿って垂直上方に延びる下側予備柱23に下側前壁52を固定するもので、下側前壁52の左右の縁部にそれぞれ設けられる。
【0029】
後壁60も前壁50と同様な構成を有する。すなわち後壁60は上側後壁61と下側後壁62とを有し、上側後壁61の前面の上端には、コンテナの内側(前方)に突出する突片63が設けられる。突片63は天井構造体10の後端に位置する後側フレーム16に回動可能に連結される。すなわち
図5に示すように、後側フレーム16には、前方に突出する上側支持板17が設けられ、突片63は上側支持板17に枢着される。下側後壁62も同様に、その下端には、コンテナの内側に突出する突片64が設けられ、突片64は、床面構造体20の後端に位置する後側フレーム24に設けられた下側支持板25に回動可能に連結される。下側支持板25は、後側フレーム24の前縁に設けられて上方に突出しており、下側後壁62との連結位置は、上側支持板17と上側後壁61の連結位置よりもコンテナの背面側(
図5において左側)にある。
【0030】
コンテナの背面にも前面と同様に第1のロック機構が設けられる。第1のロック機構は、上側後壁61と下側後壁62を固定するための第1のロック部材65と、上側後壁61と天井構造体10を固定するための第2のロック部材66と、下側後壁62と床面構造体20を固定するための第3のロック部材67とを有する。第1のロック部材65は後壁60の側面に設けられ、第2および第3のロック部材66、67は後壁60の背面に設けられる。ロック部材65、66、67はそれぞれロック部材55、56、57と同じ構造を有する。
【0031】
第2のロック部材66は、天井構造体10から背面に沿って垂直下方に延びる上側予備柱18に上側後壁61を固定するもので、コンテナを背面から見て左右の縁部にそれぞれ設けられる。同様に第3のロック部材67は、床面構造体20から背面に沿って垂直上方に延びる下側予備柱26に下側後壁62を固定するもので、下側後壁62の左右の縁部にそれぞれ設けられる。
【0032】
上側前壁51と上側後壁61の中央部上端には、それぞれワイヤ留め具70が設けられる。これらの留め具70は、後述するように、折り畳まれたコンテナの天井構造体10を吊り上げるときに、ワイヤを連結するために使用される。
【0033】
床面構造体20において、前側フレーム21と後側フレーム24を連結する側方フレーム27には、フォークリフト100のフォーク101を挿入するための孔28が形成される。これらの孔28はフォークリフト100によりコンテナを移送するときに利用される。
【0034】
次に本実施形態の作用を説明する。
初期状態として、コンテナは
図1に示すように、通常高さの状態にあり、第1および第2の側壁30、40が閉塞されているとする。まず作業員は、第1の側壁30の第1の板部材31を第2の板部材32に対して外側へ回転させて側面の下部を開放する。そして作業員は、フック34をフック収納凹部35から引き起こし(
図3参照)、フォークリフト100のフォーク101の先端を係合させるとともに、フォーク101を上昇させる(
図4参照)。フック34が天井構造体10よりも若干高くなった状態で、フォーク101をコンテナ側に前進させ、第1の側壁30を天井構造体10の上側へ移送すると、第1の側壁30は折り畳まれた状態で天井構造体10側へ回転し、側壁収納凹部11内へ収納される。
【0035】
第2の側壁40も、第1の側壁30と同様な操作により、天井構造体10の側壁収納凹部12内に収納され、
図8に示すように両側面が全開された状態になる。
【0036】
次に作業員は、前壁50と後壁60の全てのロック機構を解放し、前壁50と後壁60を折曲可能な状態に定める。そしてフォーク101がコンテナの内部へ挿入され、天井構造体10の下面に係合される。この状態で天井構造体10がフォーク101により少し(例えば約80mm)持ち上げられると、前壁50は、上側予備柱15および下側予備柱23から解放されているため、後述するようにヒンジA、B、Cが一直線上に整列するように内側に折れ曲がる(
図5参照)。後壁60についても同様に内側に折れ曲がる。
【0037】
天井構造体10を少し持ち上げることにより、前壁50、後壁60がコンテナの内側に折れ曲がるのは、ヒンジA(突片53、63と上側支持板14、17の連結部分)が、直立された状態の上側前壁51、上側後壁61の重心よりも後方(コンテナ長手方向内側)にあるため、上側前壁51、上側後壁61の下端部をコンテナの内側に回転変位させるモーメントが作用するからである。このとき、ヒンジB(上側前壁51と下側前壁52の連結部分および上側後壁61と下側後壁62の連結部分)が折曲するので、スプリング93も折れ曲がり(
図6参照)、さらに折れ曲がりやすくなる。したがって、この状態でフォーク101を下降させることにより、
図9に示すように前壁50と後壁60が折り畳まれ、天井構造体10と床面構造体20は、上側予備柱15、18と下側予備柱23、26の先端同士が当接した状態で停止する。
【0038】
折り畳まれて縮小高さの状態にあるコンテナを通常高さの状態にするための動作を説明する。
図10に示すように、折り畳まれたコンテナの一対のワイヤ留め具70にワイヤ102の両端が連結され、フォークリフト100のフォーク101が天井構造体10の上面とワイヤ102の間に挿入される。ここでフォーク101が上昇すると、
図11に示すように、天井構造体10が引き上げられ、前壁50と後壁60が直立して平板状になる。この状態で、前壁50の第1のロック部材55と、後壁60の第1のロック部材65が固定される。また前壁50において、第2および第3のロック部材56、57が上側予備柱15と下側予備柱23に固定され、後壁60において、第2および第3のロック部材66、67が上側予備柱18と下側予備柱26に固定される。
【0039】
次いでフォーク101が後退し、ワイヤ102はフォーク101から解放されるとともにワイヤ留め具70から外される。その後、側壁収納凹部11に収納された第1の側壁30のフック34にフォーク101が係合され、第1の側壁30が側壁収納凹部11から取り出される。そして、フォーク101が下降して第3の板部材33と第2の板部材32が垂直状態になると、フォーク101がフック34から解放され、作業員は第1の板部材31を下方へ回転させ、これにより、コンテナの一方の側面が閉鎖される。他方の側面についても同様に、側壁収納凹部12に収納された第2の側壁40が取り出されて、他方の側面が閉鎖される。
【0040】
以上のように第1実施形態では、コンテナを、積荷時の通常高さと空荷時の縮小高さとの間で切り替えるとき、その切り替えは一人の作業員だけで実施可能であり、容易である。
【0041】
次に本発明の第2実施形態を説明する。第1実施形態との基本的な違いは前壁110と後壁120の構成である。すなわち
図12~14に示すように、前壁110と後壁120は第1実施形態のように2分割されておらず、それぞれ1枚の板状構造物である。前壁110は、その背面の上端に、コンテナの内側に突出する突片115が設けられ、突片115は天井構造体10の前側フレーム13に設けられた上側支持板(図示せず)に枢着される。後壁120も同様に、その背面の上端に、コンテナの内側に突出する突片125が設けられ、突片125は天井構造体10の後側フレーム(図示せず)に設けられた上側支持板(図示せず)に枢着される。また前壁110と後壁120において、下端には床面構造体20の上面を転動するローラ130が設けられる。
【0042】
上側予備柱15、18は天井構造体10の角部に設けられ、下側予備柱23、26は床面構造体20の角部に設けられる。前壁110の両端には、上側予備柱15と下側予備柱23に挟まれる支持柱111が設けられる。支持柱111と上側予備柱15と下側予備柱23の断面は同じ寸法の矩形であり、通常高さの状態において、これらはそれぞれ1本の角柱を構成する(
図12、14参照)。後壁120も前壁110と同様な構成を有し、その両端には、上側予備柱18と下側予備柱26に挟まれる支持柱121が設けられる。
【0043】
コンテナの前面と背面には、前壁110または後壁120を床面構造体20または天井構造体10に連結するための第2のロック機構が設けられる。前面の第2のロック機構は、前壁110と天井構造体10を固定するための第4のロック部材112と、前壁110床面構造体20を固定するための第5のロック部材113とを有する。背面においても同様に、第2のロック機構は、後壁120と天井構造体10を固定するための第4のロック部材122と、後壁120と床面構造体20を固定するための第5のロック部材123とを有する。
【0044】
ローラ130は、
図15に示すように前壁110または後壁120から下方に突出して、床面構造体20に設けられたガイドレール131に係合する。ガイドレール131は床面構造体20において、コンテナの長手方向に沿って一対設けられ、前側フレーム21から後側フレーム24まで延びる。前壁110と後壁120は床面構造体20に対して傾斜可能であり、後述するように、ローラ130はその傾斜角に応じて、前壁110または後壁120からの突出量が変化するように構成されている。
【0045】
図16はローラ130を支持する構成を示している。ローラ130は、円筒状部材132の内面に摺動自在に支持されロッド133の先端に取付けられ、円筒状部材132にはロッド133を外方(
図16において下方)へ付勢するバネ134が設けられる。円筒状部材132は、前壁110または後壁120に嵌め込まれ、円筒状部材132の下端面は前壁110または後壁120の下端面に一致している。前壁110が床面構造体20に対して垂直であるとき、符号(b)に示すように、ローラ130の円筒状部材132からの突出量は最小である。また前壁110が床面構造体20に対して傾斜すると、符号(a)に示すように、ローラ130の円筒状部材132からの突出量は傾斜角に応じて大きくなる。
【0046】
本実施形態の作用は基本的に第1実施形態と同じであり、前壁110と後壁120が天井構造体10に回動自在に支持され、ローラ130が床面構造体20のガイドレール131に沿って移動することに基づく作用が異なる。その作用を
図17に基づいて説明すると、通常高さの状態にあるコンテナにおいて、フォークリフト100のフォーク101により天井構造体10を少し持ち上げると、前壁110と後壁120がヒンジAの周りに回動して傾斜し、ローラ130はガイドレール131に沿って、コンテナの内方へ移動する。
【0047】
その後、天井構造体10は降下され、これによりローラ130はさらにコンテナの内側に移動して、前壁110と後壁120は、
図18に示すように、ローラ130同士が接近した位置まで傾斜する。この状態において、上側予備柱15、18と下側予備柱23、26の先端同士が当接する。なお、この状態では、下側予備柱23、26に設けられた第5のロック部材113の係合部材91(
図6、7参照)が、上側予備柱15、18に設けられたピン90(
図6参照)に係合して、コンテナは縮小高さの状態に固定される。
【0048】
折り畳まれて縮小高さにあるコンテナを通常高さにするための動作は第1実施形態と同様である。
【0049】
このように第2実施形態においても、コンテナを、積荷時の通常高さと空荷時の縮小高さとの間で切り替える動作は一人の作業員だけで実施可能である。
【0050】
次に本発明の第3実施形態について
図19~
図33を参照して説明する。
図19は、第3実施形態のコンテナの斜視図であり、
図20は分解斜視図である。
【0051】
第1、2実施形態では、フォークリフト100を用いてコンテナの折り畳み作業を行ったが、第3実施形態では、コンテナに搭載された動力源(電池および制御ユニットを備える動力ユニット201)を用いて折り畳み作業を行う。以下の説明において第1、第2実施形態と同様の構成に関しては同一参照符号を用いその説明を一部省略する。
【0052】
第3実施形態のコンテナの天井構造体10および床面構造体20の構成は、略第2実施形態と同様である。しかし、後述するように上側予備柱15、18および下側予備柱23、26の構成が若干異なる。また、第3実施形態のコンテナでは、後述するようにコンテナ長手方向の略中央に取り外し可能な可動支柱200が取り付けられ、天井構造体10には、可動柱200を取り付ける位置に、幅方向に架け渡される構造支持体としての桁部材202が設けられる。なお、第3実施形態のコンテナは、フォークリフト100が折り畳み作業に用いられないため、同作業に用いられる各構成は備えていなくてもよい。
【0053】
第3実施形態の前壁204および後壁206は、フレームによって四方を取り囲まれる扉208を備える。扉208は例えば観音開きの扉であり、フレームは上側フレーム210と下側フレーム212に略等分に分割される。上側フレーム210は扉208の上辺に沿って配置される横部材210Aと、横部材210Aの両端から扉208の側辺に沿って配置される縦部材210Bを備える。下側フレーム212は扉208の下辺に沿って配置される横部材212Aと、横部材212Aの両端から扉208の側辺に沿って配置される縦部材212Bを備える。
【0054】
縦部材210Bの下端部は下側フレーム212の縦部材212Bの上端部とヒンジ機構により連結される。前壁204、後壁206の上側の横部材210Aには、それぞれ突片53、63が設けられ、第1実施形態と同様に前側フレーム13に設けられた上側支持板(図示せず)に枢着される。また、前壁204、後壁206の下側の横部材212Aにはそれぞれ突片54、64が設けられ、第1実施形態と同様に床面構造体20の前端に位置する前側フレーム21に設けられた下側支持板22に回動可能に連結される。前壁204および後壁206の扉208は、それぞれヒンジを介して上側フレーム210の左右の縦部材210Bにのみ枢着され、下側フレーム212の左右の縦部材212Bには取り付けられていない。
【0055】
また、上側フレーム210の縦部材210Bの上端部と上側予備柱15、18は相欠き継形状とされ、上側フレーム210と下側フレーム212が直立するとき、縦部材210Bの上端部は、上側予備柱15、18の内側に位置する。同様に、下側フレーム212の縦部材212Bの下端部と下側予備柱23、26は相欠き継形状とされ、上側フレーム210と下側フレーム212が直立するとき、縦部材212Bの下端部は、下側予備柱23、26の内側に位置する。
【0056】
以上の構成により、上側フレーム210と下側フレーム212は、ヒンジ機構によりコンテナ内側に向けてV字形に折り曲げ可能であり、このとき扉208は、上側フレーム210と一体的にコンテナ内側へと倒される(
図28~
図30参照)。
【0057】
上側フレーム210と下側フレーム212の連結部の側壁には、直立する上側フレーム210と下側フレーム212を固定するための第6ロック部材255、265がそれぞれ設けられる。また、縦部材210Bと上側予備柱15、18の正面には、直立する上側フレーム210を天井構造体10に固定するための第7ロック部材256、266が設けられ、縦部材212Bと下側予備柱23、26の正面には、直立する下側フレーム212を床面構造体20に固定するための第8ロック部材257、267が設けられる。
【0058】
可動支柱200の上端および下端は、桁部材202の両端に設けられる係合部202A(
図26参照)と、各側方フレーム27に設けられる係合部27A(
図26参照)にそれぞれ側方から嵌合される。一方、可動支柱200の上端部および下端部は、係合部200A、200Bとして形成される。係合部200A、200Bは、可動支柱200本体に連接する幅が狭い基部と、その先端に接続され可動支柱200本体と略同じ幅を有する先端部とから構成されるT字形状を呈する。係合部202A、27Aは、係合部200A、200Bに適合した形状に形成され、可動支柱200の係合部200A、200Bが嵌め込まれると、可動支柱200は、天井構造体10と床面構造体20を上下方向に規制する。また、可動支柱200の下端部には、側方フレーム27に可動支柱200を固定するための第9ロック部材200Cが設けられる。
【0059】
第3実施形態のコンテナでは可動支柱200をコンテナ長手方向中央に設けたことから、第1および第2側壁30、40(すなわち第1、第2、第3板部材31、32、33、41、42、43)は、可動支柱200を挟んで左右に二分されている。第1板部材31、41の下端部には、床面構造体20の側方フレーム27に設けられた複数の第10ロック部材27Bと係合可能な複数のフック217が設けられる。第1、第2側壁30、40が展開され、コンテナ側面が閉じられているとき、第1板部材31、41はロック部材27Bにより側方フレーム27に固定可能である。第10ロック部材27Bがロックされると、第1板部材31、41の下端は、側方フレーム27に設けられたシール部材に押し当てられる。なお、シール部材は第1板部材31、41の下端面に設けられてもよい。また、
図21には、第1板部材31(41)がロック部材27Bとフック217の係合により側方フレーム27に固定された状態が示される。
【0060】
また、
図22に示されるように、第1、第2側壁30、40によりコンテナ側面が閉じられているとき、第1、第2、第3板部材31、32、33、41、42、43は、キー機構205を用いて上側フレーム210の縦部材210Bと下側フレーム212の縦部材212Bに固定することが可能である。キー機構205は、第1、第2、第3板部材31、32、33、41、42、43の各々の側辺部中央から縦部材210B、212Bに向けて進退可能なキー部材205Aと、各キー部材205Aの先端が嵌合する縦部材210B、212Bに設けられたキー孔205Bと、キー部材205Aの進退を行うためのキー操作部205Cとを備える。なお、
図22は、キー機構205の構成を示す部分拡大斜視図である。なお、
図22においてシール部材207は、閉じられた第1、第2、第3板部材31、32、33、41、42、43の各側辺と縦部材210B、212Bとの間にあって、両者の間を密閉する。上記キー機構205およびシール部材207の構成は、第1、第2、第3板部材31、32、33、41、42、43と可動支柱200の間にも設けられる。
【0061】
本実施形態のコンテナは、折り畳み作業において第1および第2側壁30、40を天井構造体10の天面に設けられた側壁収納凹部11、12に収容するための側壁駆動機構214を備える。側壁駆動機構214は、第3板部材33、43が枢着される天井構造体10の側方フレーム203(
図20参照)に設けられる。側壁駆動機構214は第1、第2側壁30、40の各々に対して例えば複数設けられ、図示例では各第1、第2側壁30、40に対して2台ずつ設けられる。側壁駆動機構214は、作業員により折り畳まれた第1、第2側壁30、40を側壁収納凹部11、12に収容するまで側方フレーム203に対して回転させることが可能である。また、折り畳まれたコンテナを元に戻す場合には、側壁収納凹部11、12に収容された第1、第2側壁30、40を逆向きに回転させて元の位置にまで戻すことが可能である。
【0062】
図23は、側壁駆動機構214の内部構造を示す拡大斜視図であり、
図24は側壁駆動機構214の第3板部材33、43への取り付け構造を示す斜視図である。
【0063】
図23に示されるように、側壁駆動機構214は、ケーシング214A内にモータ214Bと減速ギヤ214Cを備える。減速ギヤ214Cの出力軸214Dには、ケーシング214Aの外側にレバー部材214Eが一体的に取り付けられる。減速ギヤ214Cには、遊星歯車などを含む従来周知のギヤの組み合わせが用いられる。ケーシング214Aは、出力軸214Dが第3板部材33、43の上辺に設けられた回転軸と同軸となるように配置され、天面構造体10の側方フレーム203に取り付けられる。また、レバー部材214Eは、第3板部材33、43の内側面に取り付けられる。これにより第1、第2板部材31、32、41、42が折り重ねられた第3板部材33、43は、モータ214Bの回転により側方フレーム203の上辺に沿って回転可能とされ、側壁収納凹部11、12内に収容可能とされる。
【0064】
また、本実施形態のコンテナは、折り畳み作業において上側フレーム210と下側フレーム212を「V」字状に内側に折り曲げるためのフレーム駆動機構216を備える。フレーム駆動機構216は、天井構造体10の前側フレーム13と後側フレーム16、および床面構造体20の前側フレーム21と後側フレーム24に取り付けられる。すなわち、フレーム駆動機構216を駆動することにより前側フレーム13、21、後側フレーム16、24に枢着される上側フレーム210および下側フレーム212をコンテナ内側へと回転可能である。本実施形態では例えば一対のフレーム駆動機構216がそれぞれ前側フレーム13、21、後側フレーム16、24の各々に設けられる。コンテナの折り畳み作業において、フレーム駆動機構216は、上側フレーム210および下側フレーム212をそれぞれコンテナ内側に向けて傾ける。これにより上側フレーム210および下側フレーム212は「V」の字状に内側に屈曲される。一方、コンテナを元の高さに戻す際には、上側フレーム210および下側フレーム212がフレーム駆動機構216により直立するまで逆向きに回転される。
【0065】
図25は、フレーム駆動機構216の斜視図である。
図25に示されるように、フレーム駆動機構216は、モータ216Aと減速ギヤ216Bを備える。減速ギヤ216Bの出力軸は、下側フレーム212を前側フレーム21、後側フレーム24に軸支する回転軸に連結され、下側フレーム212を回転軸周りに回転可能とする。なお、側壁駆動機構214およびフレーム駆動機構216は、動力ユニット201からの電力および制御信号によって駆動される。
【0066】
次に
図26~
図32を参照して第3実施形態のコンテナの折り畳み作業について説明する。なお、
図26~
図31は、コンテナ折り畳み作業の様子を時系列で示す斜視図であり、
図32は、折り畳んだ第1板部材31、41を第2板部材32、42に固定するための構成を示す拡大斜視図である。
【0067】
まず、作業者により第10ロック部材27Bおよび第1板部材31、41のキー機構205が解除され、
図26に示されるように、第1板部材31、41が外側に回転されて第2板部材32、42の外側面に折り重ねられる。第2板部材32、42の外側面には、折り重ねられた第1板部材31、41のフック217を収容可能な凹部218が設けられ、凹部218内には収容されたフック217を固定するための第11ロック部材220が設けられる。
図32に凹部218内に設けられるロック部材220の一例が示される。図示例のロック部材220は、例えば横向きに延在するフック217のロッド部に係合する半円弧状のバネ部材からなり、フック217が凹部218内に押し込まれると円弧部がロッド部に係合され第1板部材31、41が第2板部材32、42に保持される。なお、第1板部材31、41が一定の力で引っ張られるとロック部材220のバネ部材が曲げられてロッド部が円弧部から外れ、ロックが解除される。
【0068】
次に第9ロック部材200Cが解除され、可動支柱200が天面構造体10および床面構造体20から取り外され、側壁駆動機構214が駆動される。側壁駆動機構214により第3板部材33、43が外向きに回転されると、ロック部材220により折り畳まれた状態に維持される第1、第2板部材31、32、41、42が第3板部材33、43とともに持ち上げられる。第3板部材33、43が上向に垂直に立ち上げられると、折り重ねられた第1板部材31、41の第2板部材32、42の内側面が第3板部材33、43の内側面に折り重ねられる。更に第3板部材33、43が側壁収納凹部11、12に向けて回転されると、第1、第2、第3板部材31、32、33、41、42、43が折り重ねられた状態で側壁収納凹部11、12に収容される。
【0069】
次に作業者によりロック部材255、256、257、265、266、267が解除され、フレーム駆動機構216が駆動される。各フレーム駆動機構216は同期して駆動され、
図28、29、30に示されるように、前側および後側の上側フレーム210、下側フレーム212は、同期してコンテナ内側に向けて「V」字状に折り曲げられる。天面構造体10は折り曲げ開始時、上側フレーム210と下側フレーム212の回転により各フレームの奥行き分、一時的に僅かに持ち上げられるが、その後、水平の状態を維持したまま下降される。このとき扉208は、上側フレーム210と一体的にコンテナの内側に向けて傾けられる。なお、可動支柱200は、フレーム駆動機構216作動前に
図29に示されるようにコンテナの床面の所定位置に固定される。
図30は、フレーム駆動機構216が駆動される前の上側フレーム210と下側フレーム212が直立した状態と、フレーム駆動機構216が駆動され、「V」字状に折り曲げられた状態を比較して示す側面図である。
【0070】
フレーム駆動機構216により上側フレーム210と下側フレーム212が完全に折り曲げられるとフレーム駆動機構216の駆動は停止され、
図31に示されるように各上側予備柱15、18は、対応する下側予備柱23、26に係合する。その後、作業者がロック257、267を用いて、上側予備柱15、18と下側予備柱23、26を固定し、本実施形態のコンテナの折り畳み作業は終了する。なお、コンテナを貨物が積載される元の状態に戻すときには、上記作業手順を逆に行う。
【0071】
以上のように第3実施形態のコンテナにおいては、積荷時の通常高さと空荷時の縮小高さとの間で切り替える動作を、フォークリフトを用いることなく一人の作業員だけで実施可能である。
【0072】
なお、
図33に第3実施形態の構成を40ftコンテナに適用し、複数の可動支柱をコンテナ長手方向に略等間隔で配置した構成を示す。
【0073】
本実施形態の説明において、第1および第2の側壁30、40がそれぞれ3枚の板部材から構成されたが、板部材の枚数はこれに限定されない。また前壁50と後壁60を固定するロック機構についても同様に、従来公知の種々の構成を採用することができ、例えばスプリング93は金属板以外の構成であってもよい。
【0074】
なお、第3実施形態の側壁駆動機構や可動支柱の構成を第1、第2実施形態のコンテナに適用することもでき、フレーム駆動機構を第1実施形態のコンテナの前壁および後壁に直接適用することもできる。また、第3実施形態において、扉を上側フレーム換えて下側フレームに枢着してもよい。更に、第3実施形態において、フレーム駆動機構の出力が十分に大きい場合には、フレーム駆動機構を上側フレームまたは下側フレームの一方にのみ設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 天井構造体
20 床面構造体
30 第1の側壁
31 第1の板部材
32 第2の板部材
33 第3の板部材
40 第2の側壁
50、110 前壁
60、120 後壁
【要約】
天井構造体10でコンテナの天面を覆う。第1の側壁30は、コンテナの一方の側面に設けられ、上端が天井構造体10に枢着され、水平線に沿って折り畳み可能な3枚の板部材31、32、33から成る。第2の側壁40は、コンテナの他方の側面に、第1の側壁30とは平行に設けられ、上端が天井構造体10に枢着され、水平線に沿って相互に折り畳み可能な3枚の板部材41、42、43から成る。床面構造体20は、コンテナの床面に設けられる。前壁50は、コンテナの前面に設けられ、上端が前面よりもコンテナの内側において、天井構造体10に回動可能に連結される。後壁60は、コンテナの背面に設けられ、上端が背面よりもコンテナの内側において、天井構造体10に回動可能に連結される。