(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】マーキング装置
(51)【国際特許分類】
B05C 1/02 20060101AFI20231116BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20231116BHJP
B05C 13/02 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B05C1/02 101
B05C11/10
B05C13/02
(21)【出願番号】P 2022145562
(22)【出願日】2022-09-13
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】322009000
【氏名又は名称】有限会社加藤軽合金
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】浅野 潔盛
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-281167(JP,A)
【文献】特開2002-096010(JP,A)
【文献】実開昭61-140895(JP,U)
【文献】特開2003-039009(JP,A)
【文献】実開平02-102718(JP,U)
【文献】特開平06-246970(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-3/20
7/00-21/00
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーキング部品を位置決めしつつ載置する載置面が形成された載置台と、
前記載置台における前記載置面の近傍に配設され、前記載置面に載置されたマーキング部品の所定位置に押圧されて所定の塗料を塗布する塗布面が形成された塗布部材を有するとともに、前記塗布面に補充する塗料を含有した補充部材が取り付けられたマーキング本体部と、
を具備し、前記塗料を所定位置に塗布することにより前記マーキング部品に目印をマーキングするマーキング装置であって、
前記マーキング本体部は、
モータの駆動により回転する回転部材と、
前記載置台の載置面に対して近接又は離間する方向に変位可能とされるとともに、前記塗布部材と連結され、前記載置面に載置されたマーキング部品の所定位置に前記塗布面を押圧してマーキングするマーキング位置と前記補充部材にて前記塗布面に塗料を補充する補充位置との間で前記塗布部材を移動させるスライダと、
前記回転部材の回転を前記スライダの変位に変換するカム部と、
前記塗布部材を前記マーキング位置と前記補充位置との間で移動自在に収容したケース部と、
を備え、前記塗布部材は、所定寸法延設されたアーム部を有し、当該アーム部の両端に前記塗布面と前記スライダに連結しつつ反転時の回転軸となる連結部とがそれぞれ形成されるとともに、前記補充位置から前記マーキング位置に移動する過程で前記連結部を中心に回転して反転されることを特徴とするマーキング装置。
【請求項2】
前記ケース部は、下端が開口して前記載置面を臨ませるとともに、前記下端の開口縁部と前記載置台の載置面との間に前記アーム部の延設寸法に応じた間隙が形成されたことを特徴とする請求項1記載のマーキング装置。
【請求項3】
前記ケース部は、前記塗布部材の反転を許容するための膨出部が形成されたことを特徴とする請求項2記載のマーキング装置。
【請求項4】
前記マーキング部品は、長尺状部材から成るとともに、前記載置台は、前記長尺状部材の一端部及び他端部に応じた位置に前記載置面が形成され、それぞれの前記載置面の近傍に前記マーキング本体部が取り付けられたことを特徴とする請求項1記載のマーキング装置。
【請求項5】
前記マーキング本体部は、前記載置台における前記載置面の近傍に形成された取付面に対して脱着自在に取り付けられることを特徴とする請求項1記載のマーキング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキング部品の所定位置に所定の塗料を塗布することにより目印をマーキングするマーキング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば車両に取り付けられる部品に対し、取付方向や取付位置を示す目印をマーキングするため、従来、マーキング装置が用いられている。従来のマーキング装置として、例えば特許文献1にて開示されているように、ロータリーアクチュエータで回転するカムにてペンを上下動させ、マーキング対象物であるマーキング部品にペン先を当てて所定の塗料を塗布するものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のマーキング装置は、ペンにてマーキング部品にマーキングしているため、長期間に亘って繰り返し使用する場合、ペンを頻繁に交換する必要がある。このため、本出願人は、塗布部材の塗布面に塗料を補充するための塗料補充部を有し、塗布部材を反転させて移動することにより、塗料補充部にて塗布面に塗料を補充しつつマーキング部品の所定位置に塗料を塗布してマーキングするマーキング装置を検討するに至った。
【0005】
しかるに、押印部を反転移動させて塗料を補充しつつ押印可能な押印具の反転機構を利用することが考えられるが、その場合、マーキング装置全体を移動させてマーキング部品に当接させる必要があることから、比較的大きなモータの駆動力が必要とされるとともに、マーキング部品にマーキング装置との当接面を確保する必要があった。また、単に押印具を流用した場合、マーキング部品を位置決めして載置する際、マーキング装置と載置面との間の間隙が小さくなってしまい、作業性が悪くなってしまう虞があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、長期間に亘って繰り返しマーキングすることができるとともに、比較的小さな駆動力のモータにてマーキング可能とされ、且つ、マーキング部品を載置面に位置決め載置する際の作業性を向上させることができるマーキング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、マーキング部品を位置決めしつつ載置する載置面が形成された載置台と、前記載置台における前記載置面の近傍に配設され、前記載置面に載置されたマーキング部品の所定位置に押圧されて所定の塗料を塗布する塗布面が形成された塗布部材を有するとともに、前記塗布面に補充する塗料を含有した補充部材が取り付けられたマーキング本体部とを具備し、前記塗料を所定位置に塗布することにより前記マーキング部品に目印をマーキングするマーキング装置であって、前記マーキング本体部は、モータの駆動により回転する回転部材と、前記載置台の載置面に対して近接又は離間する方向に変位可能とされるとともに、前記塗布部材と連結され、前記載置面に載置されたマーキング部品の所定位置に前記塗布面を押圧してマーキングするマーキング位置と前記補充部材にて前記塗布面に塗料を補充する補充位置との間で前記塗布部材を移動させるスライダと、前記回転部材の回転を前記スライダの変位に変換するカム部と、前記塗布部材を前記マーキング位置と前記補充位置との間で移動自在に収容したケース部とを備え、前記塗布部材は、所定寸法延設されたアーム部を有し、当該アーム部の両端に前記塗布面と前記スライダに連結しつつ反転時の回転軸となる連結部とがそれぞれ形成されるとともに、前記補充位置から前記マーキング位置に移動する過程で前記連結部を中心に回転して反転されることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のマーキング装置において、前記ケース部は、下端が開口して前記載置面を臨ませるとともに、前記下端の開口縁部と前記載置台の載置面との間に前記アーム部の延設寸法に応じた間隙が形成されたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のマーキング装置において、前記ケース部は、前記塗布部材の反転を許容するための膨出部が形成されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載のマーキング装置において、前記マーキング部品は、長尺状部材から成るとともに、前記載置台は、前記長尺状部材の一端部及び他端部に応じた位置に前記載置面が形成され、それぞれの前記載置面の近傍に前記マーキング本体部が取り付けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1記載のマーキング装置において、前記マーキング本体部は、前記載置台における前記載置面の近傍に形成された取付面に対して脱着自在に取り付けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、塗布部材は、所定寸法延設されたアーム部を有し、当該アーム部の両端に塗布面とスライダに連結しつつ反転時の回転軸となる連結部とがそれぞれ形成されるとともに、補充位置からマーキング位置に移動する過程で連結部を中心に回転して反転されるので、長期間に亘って繰り返しマーキングすることができるとともに、比較的小さな駆動力のモータにてマーキング可能とされ、且つ、マーキング部品を載置面に位置決め載置する際の作業性を向上させることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、ケース部は、下端が開口して載置面を臨ませるとともに、下端の開口縁部と載置台の載置面との間にアーム部の延設寸法に応じた間隙が形成されたので、塗布部材の回転軸から塗布面までの寸法をアーム部の延設寸法だけオフセットすることができ、載置面に対してマーキング部品を容易に載置することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、ケース部は、塗布部材の反転を許容するための膨出部が形成されたので、塗布部材を円滑に反転させることができるとともに、反転位置を膨出部にて覆うことができ、塗布部材7の反転時に周囲の他の部品に干渉してしまうのを回避することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、マーキング部品は、長尺状部材から成るとともに、載置台は、長尺状部材の一端部及び他端部に応じた位置に載置面が形成され、それぞれの載置面の近傍にマーキング本体部が取り付けられたので、長尺状部材から成るマーキング部品の両端を支持しつつ当該両端にそれぞれマーキングすることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、マーキング本体部は、載置台における載置面の近傍に形成された取付面に対して脱着自在に取り付けられるので、マーキング本体部を容易に交換することができ、マーキング部品の形状や大きさ、マーキングの種類に応じた任意のマーキング本体部を取付面に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係るマーキング装置の外観を示す全体斜視図
【
図2】同マーキング装置にマーキング本体部及びマーキング部品を取り付ける前の状態を示す斜視図
【
図3】同マーキング装置のマーキング本体部を示す4面図
【
図6】同マーキング本体部の主要部を示す背面から見た分解斜視図
【
図7】同マーキング本体部の主要部を示す前面から見た分解斜視図
【
図10】同マーキング本体部の塗布部材を示す斜視図
【
図12】同マーキング本体部のスライダ、塗布部材及び回転部材が組付けられた状態を示す斜視図
【
図13】同マーキング装置によるマーキング動作を説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係るマーキング装置1は、マーキング部品Wの所定位置に所定の塗料を塗布することにより目印をマーキングするもので、
図1、2に示すように、載置台2と、マーキング本体部3とを有して構成されている。本実施形態に係るマーキング部品Wは、一端部Waから他端部Wbまで3次元的に屈曲された長尺状部材(チューブ状部材)から成り、車両に取り付けられるとともに、一端部Wa及び他端部Wbに対して取付方向や取付位置を示す目印がマーキングされることとなる。
【0019】
載置台2は、マーキング部品Wを位置決めしつつ載置する載置面2a(本実施形態においては、マーキング部品Wの一端部Wa及び他端部Wbに対応した2つの載置面2a)が形成されたもので、マーキング部品Wに対応した大きさ及び形状とされている。また、本実施形態に係る載置台2は、
図2に示すように、載置面2aの近傍にマーキング本体部3を取り付ける取付面2bがそれぞれ形成されるとともに、マーキング部品Wを保持するための保持部2cが形成されている。
【0020】
マーキング本体部3は、載置台2における載置面2aの近傍の取付面2bに配設されてマーキング部品Wの一端部Wa及び他端部Wbのそれぞれにマーキングするもので、
図3~7に示すように、モータMと、回転部材4と、従動回転部材5と、スライダ6と、塗布部材7と、ケース部8と、補充部材Gと、補充ケース9と、背面ケースC1と、本体ケースC2とを有して構成されている。
【0021】
背面ケースC1の内部には、リレーRが収容されており、当該リレーRが外部の電源と接続されて通電可能とされている。モータMは、本体ケースC2で覆われた基台部Fに取り付けられており、リレーRと接続されるとともに、減速機Nに駆動力を伝達可能とされている。かかる減速機Nは、モータMの駆動により出力軸Lを回転させるもので、この出力軸Lには、回転部材4が取り付けられている。
【0022】
また、基台部Fにはケース部材10が取り付けられており、当該ケース部材10の内部には回転部材4が回転自在に取り付けられるとともに、スライダ6が変位可能とされている。なお、ケース部材10の前面側にはケース部8が取り付けられており、ケース部8の摺動面8eと回転部材4との間のスペースにおいて、スライダ6が変位自在に組付けられるようになっている。
【0023】
回転部材4は、モータの駆動により回転するもので、円板状に形成されるとともに、表面の所定位置に凸状のカム部4aが突出形成されている。カム部4aは、
図7、12に示すように、スライダ6の長孔6a内に挿通して組付けられており、回転部材の回転を前記スライダの変位に変換し得るようになっている。また、回転部材4は、従動回転部材5と連結されており、回転部材4と共に従動回転部材5が回転し得るよう構成されている。なお、従動回転部材5には、所定位置にカム形状5a(
図6参照)が形成されており、従動回転部材5の回転に伴って例えばリミットスイッチ(不図示)を作動させてモータMの駆動を停止可能とされている。
【0024】
ケース部8は、ケース部材10の前面側に取り付けられたケースから成り、その上端に所定の塗料を収容した補充ケース9が取り付けられ、且つ、下端が開口して載置面2aを臨ませるとともに、下端の開口縁部8bと載置台2の載置面2aとの間に塗布部材7のアーム部7cの延設寸法(所定寸法t)(
図11参照)に応じた間隙α(
図4、13参照)が形成されるようになっている。また、ケース部8の上端側には所定の塗料を含有した補充部材Gが取り付けられるとともに、当該補充部材Gは補充ケース9から所定の塗料が逐次供給されるよう構成されている。
【0025】
本実施形態に係るケース部8は、塗布部材7が上下方向に移動自在に収容されており、塗布部材7の摺動軌跡における所定位置には、塗布部材7を反転させるための突起部8cが形成されている。かかる突起部8cは、塗布部材7の基端側に形成された肩部7eが当接すると、当接部7dを中心として塗布部材7を上下反転させるもので、
図4、7に示すように、ケース部8における反転位置P3に一体形成されている。
【0026】
さらに、本実施形態に係るケース部8は、両側方壁面において上下方向(スライダ6の変位方向及び塗布部材7の移動方向)にスリット8d(
図6、7参照)がそれぞれ形成されており、当該スリット8dから連結部7bを外部に臨ませつつスライダ6の組付け孔6bに挿通して組付けられている。すなわち、スライダ6は、ケース部8の外周面に形成された摺動面8eにて摺動して変位するとともに、塗布部材7は、ケース部8の内部にて移動するようになっている。
【0027】
スライダ6は、載置台2の載置面2aに対して近接又は離間する方向に変位可能とされたもので、
図8、9に示すように、幅方向に延設された長孔6aと、左右側壁面にそれぞれ形成された組付け孔6bとを有して構成されている。かかるスライダ6は、上記したように長孔6aにカム部4aが挿通されて組付けられるとともに、組付け孔6bに塗布部材7の連結部7bが挿通して組付けられるようになっている。これにより、モータMが駆動して回転部材4が回転すると、カム部4aが長孔6a内で移動しつつスライダ6を上下方向に変位させ得るよう構成されている。
【0028】
また、スライダ6は、
図12に示すように、組付け孔6bに塗布部材7の連結部7bを挿通することにより塗布部材7と連結されており、モータMの駆動による変位によって、
図13に示すように、載置面2aに載置されたマーキング部品Wの所定位置(本実施形態においては、一端部Wa及び他端部Wb)に塗布面7aを押圧してマーキングするマーキング位置P4と補充部材Gにて塗布面7aに塗料を補充する補充位置P1との間で塗布部材7を移動させるよう構成されている。
【0029】
塗布部材7は、ケース部8内に収容され、載置面2aに載置されたマーキング部品Wの所定位置(一端部Wa及び他端部Wb)に押圧されて所定の塗料を塗布する塗布面7aが形成されたもので、
図10、11に示すように、スライダ6に連結しつつ反転時の回転軸となる連結部7bと、連結部7bから塗布面7aに向かって所定寸法t延設(
図11参照)されたアーム部7cと、基端側に突出形成された当接部7dと、突起部8cと当接する肩部7eとを有している。すなわち、本実施形態に係る塗布部材7においては、アーム部7cの両端に塗布面7aと、スライダ6に連結しつつ反転時の回転軸となる連結部7bとがそれぞれ形成されている。
【0030】
そして、塗布部材7は、モータMが駆動してスライダ6が下方に変位すると、
図13に示すように、上端位置である補充位置P1から途中位置P2及び反転位置P3を介して下端位置であるマーキング位置P4まで移動し、マーキング位置P4において塗布面7aがマーキング部品Wの所定位置に押圧されて所定の塗料が塗布されることによりマーキングすることとなる。しかるに、反転位置P3においては、塗布部材7の当接部7d及び肩部7eがケース部8の突起部8cに当接して塗布面7aが上方を向いた姿勢から下方を向いた姿勢に反転することとなる。
【0031】
その後、さらにモータMが駆動してスライダ6が上方に変位すると、マーキング位置P4から反転位置P3及び途中位置P2を介して補充位置P1まで移動し、補充位置P1において塗布面7aが補充部材Gに押圧されて所定の塗料が補充されることとなる。しかるに、反転位置P3においては、塗布部材7の当接部7d及び肩部7eがケース部8の突起部8cに当接して塗布面7aが下方を向いた姿勢から上方を向いた姿勢に反転することとなる。
【0032】
ここで、本実施形態に係る塗布部材7は、所定寸法(t)延設されたアーム部7cを有し、当該アーム部7cの両端に塗布面7aと連結部7bとがそれぞれ形成されるとともに、補充位置P1からマーキング位置P4に移動する過程の反転位置P3において連結部7bを中心に回転して反転されるようになっている。すなわち、塗布部材7の連結部7bは、スライダ6との連結機能に加え、反転時の回転軸として機能するのである。
【0033】
また、本実施形態に係るケース部8は、下端が開口して載置面2aを臨ませるとともに、下端の開口縁部8bと載置台2の載置面2aとの間にアーム部7cの延設寸法tに応じた間隙αが形成されている。しかるに、アーム部7cに応じて間隙αを大きな寸法に設定することができ、マーキング部品Wを載置面2aに載置する際、大きな間隙αを介して一端部Wa及び他端部Wbを載置及び位置決めすることとなる。さらに、本実施形態に係るケース部8は、塗布部材7の反転を許容するための膨出部8aが形成されている。
【0034】
加えて、マーキング部品Wは、長尺状部材(パイプ状部材)から成るとともに、載置台2は、長尺状部材の一端部Wa及び他端部Wbに応じた位置に載置面2aが形成され、それぞれの載置面2aの近傍にマーキング本体部3が取り付けられている。さらに、本実施形態に係るマーキング本体部3は、載置台2における載置面2aの近傍に形成された取付面2bに対して脱着自在(本実施形態においては、高さ方向の調整は厚さ違いの部品を交換し、前後及び左右方向の調整はスライドさせることにより行われる)に取り付けられている。
【0035】
本実施形態によれば、塗布部材7は、所定寸法延設されたアーム部7cを有し、当該アーム部7cの両端に塗布面7aと連結部7bとがそれぞれ形成されるとともに、補充位置P1からマーキング位置P4に移動する過程で連結部7bを中心に回転して反転されるので、長期間に亘って繰り返しマーキングすることができるとともに、比較的小さな駆動力のモータMにてマーキング可能とされ、且つ、マーキング部品Wを載置面2aに位置決め載置する際の作業性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態に係るケース部8は、下端が開口して載置面2aを臨ませるとともに、下端の開口縁部8bと載置台2の載置面2aとの間にアーム部7cの延設寸法tに応じた間隙αが形成されたので、塗布部材7の回転軸(すなわち、連結部7b)から塗布面7aまでの寸法をアーム部7cの延設寸法tだけオフセットすることができ、載置面2aに対してマーキング部品Wを容易に載置することができる。
【0037】
さらに、ケース部8は、塗布部材7の反転を許容するための膨出部8aが形成されたので、塗布部材7を円滑に反転させることができるとともに、反転位置P3を膨出部8aにて覆うことができ、塗布部材7の反転時に周囲の他の部品に干渉してしまうのを回避することができる。
【0038】
またさらに、本実施形態に係るマーキング部品Wは、長尺状部材から成るとともに、載置台2は、長尺状部材の一端部Wa及び他端部Wbに応じた位置に載置面2aが形成され、それぞれの載置面2aの近傍にマーキング本体部3が取り付けられたので、長尺状部材から成るマーキング部品Wの両端(一端部Wa及び他端部Wb)を支持しつつ当該両端にそれぞれマーキングすることができる。
【0039】
加えて、本実施形態に係るマーキング本体部3は、載置台2における載置面2aの近傍に形成された取付面2bに対して脱着自在に取り付けられるので、マーキング本体部3を容易に交換することができ、マーキング部品Wの形状や大きさ、マーキングの種類に応じた任意のマーキング本体部3を取付面2bに取り付けることができる。任意のマーキング本体部3は、ペンにて点又は線をマーキングするものなど、種々形態のものとすることができる。
【0040】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えばマーキング部品Wの何れか一方の端部(一端部Wa又は他端部Wbの何れか一方)のみマーキングするものであってもよく、端部以外の位置(中央位置など)にマーキングするものであってもよい。さらに、マーキング部品Wが長尺状部材とは異なる部品(例えばブロック状の部品など)であってもよい。また、モータMによる回転を塗布部材7の上下移動に変換するカム部4aは、他の形態のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
塗布部材は、所定寸法延設されたアーム部を有し、当該アーム部の両端に塗布面とスライダに連結しつつ反転時の回転軸となる連結部とがそれぞれ形成されるとともに、補充位置からマーキング位置に移動する過程で連結部を中心に回転して反転されるマーキング装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 マーキング装置
2 載置台
2a 載置面
2b 取付面
2c 保持部
3 マーキング本体部
4 回転部材
4a カム部
5 従動回転部材
5a カム形状
6 スライダ
6a 長孔
6b 組付け孔
7 塗布部材
7a 塗布面
7b 連結部
7c アーム部
7d 当接部
7e 肩部
8 ケース部
8a 膨出部
8b 開口縁部
8c 突起部
8d スリット
8e 摺動面
9 補充ケース
10 ケース部材
W マーキング部品
Wa 一端部
Wb 他端部
G 補充部材
C1 背面ケース
C2 本体ケース
F 基台部
R リレー
M モータ
L 出力軸
N 減速機
【要約】
【課題】長期間に亘って繰り返しマーキングすることができるとともに、比較的小さな駆動力のモータにてマーキング可能とされ、且つ、マーキング部品を載置面に位置決め載置する際の作業性を向上させることができるマーキング装置を提供する。
【解決手段】載置面2aに載置されたマーキング部品Wに塗布部材7の塗布面7aを押圧してマーキングするマーキング位置P4と塗布面7aに塗料を補充する補充位置P1との間で塗布部材7を移動させるスライダ6と、塗布部材7をマーキング位置P4と補充位置P1との間で移動自在に収容したケース部8とを備え、塗布部材7は、所定寸法延設されたアーム部7cを有し、アーム部7cの両端に塗布面7aと連結部7bとがそれぞれ形成されるとともに、補充位置P1からマーキング位置P4に移動する過程で連結部7bを中心に回転して反転されるマーキング装置である。
【選択図】
図13