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特許7385803研磨部材固定用両面粘着テープ、トップパッドを定盤に固定する方法、および複層タイプの研磨パッドを定盤に固定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】研磨部材固定用両面粘着テープ、トップパッドを定盤に固定する方法、および複層タイプの研磨パッドを定盤に固定する方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20231116BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20231116BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20231116BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20231116BHJP
   C09J 121/00 20060101ALI20231116BHJP
   B24B 37/20 20120101ALI20231116BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/06
C09J11/06
C09J11/08
C09J121/00
B24B37/20
H01L21/304 622F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022179331
(22)【出願日】2022-11-09
【審査請求日】2023-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】711004506
【氏名又は名称】トーヨーケム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】阿部 忠士
【審査官】本多 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-309760(JP,A)
【文献】特開2013-213192(JP,A)
【文献】特開2019-145689(JP,A)
【文献】特開2006-022185(JP,A)
【文献】特開2000-071170(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0089207(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に位置する第1粘着層と、前記フィルム基材の他方の面に位置する第2粘着層とを具備する研磨部材固定用両面粘着テープであって、
第1粘着層と第2粘着層との厚みの差が25μm以下であり、
フィルム基材の厚みが20μm以上、75μm未満であり、
前記第1粘着層は、(メタ)アクリル酸ブチルを60重量%上含むアクリル系モノマーから形成されるアクリル系共重合体と硬化剤とを含み、前記アクリル系共重合体100質量部に対して0~40質量部未満の粘着付与樹脂を含み得るアクリル系粘着剤から形成されるアクリル系粘着層であり、
前記第2粘着層は、スチレン-イソプレンブロック共重合体と粘着付与樹脂とを含む合成ゴム系粘着剤から形成される合成ゴム系粘着層であり、
下記(A)または(B)のいずれかの研磨部材固定用両面粘着テープであり、
(A)トップパッドを定盤に固定するための研磨部材固定用両面粘着テープ
(B)トップパッドとクッション層とを有する複層タイプの研磨パッドのクッション層
を定盤に固定するための研磨部材固定用両面粘着テープ
前記(A)の場合、第2粘着層がトップパッドに接し、前記第1粘着層が定盤に接し、
前記(B)の場合、第2粘着層がクッション層に接し、前記第1粘着層が定盤に接する、
研磨部材固定用両面粘着テープ。
【請求項2】
第2粘着層の厚みよりも第1粘着層の厚みの方が薄い、請求項1記載の研磨部材固定用両面粘着テープ。
【請求項3】
第1粘着層および第2粘着層の厚みがいずれも30~70μmである、請求項1または2記載の研磨部材固定用両面粘着テープ。
【請求項4】
合成ゴム系粘着剤は、合成ゴム100質量部に対して、粘着付与樹脂を30~180質量部含む、請求項3記載の研磨部材固定用両面粘着テープ。
【請求項5】
合成ゴム系粘着剤は、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂を含む、請求項4記載の研磨部材固定用両面粘着テープ。
【請求項6】
請求項1記載の研磨部材固定用両面粘着テープで、トップパッドを定盤に固定する方法。
【請求項7】
請求項1記載の研磨部材固定用両面粘着テープで、トップパッドとクッション層を有する複層タイプの研磨パッドを定盤に固定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウエハ、ガラス(液晶用、強化)、ハードディスク等の研磨対象を研磨する際に用いられる研磨部材固定用両面粘着テープに関する。詳しくは、本発明は、トップパッドを定盤に固定したり、トップパッドとクッション層とを有する複層タイプの研磨パッドのクッション層を定盤に固定したりするための両面粘着テープに関する。
また、本発明は、トップパッドを定盤に固定する方法、複層タイプの研磨パッドのクッション層を定盤に固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
研磨対象の表面を研磨する際に、両面粘着テープを用いてトップパッドや複層の研磨パッドを研磨機定盤に貼り合せる研磨方法・装置が知られている。
特許文献1には、基材である150μm~300μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの一方の面の接着層が合成ゴム系粘着剤で形成され、基材の他方の面の接着層がアクリル溶剤型粘着剤で形成されている両面粘着テープが記載されている。
特許文献2には、基材の一方の面に熱可塑性エラストマーを40~100質量%含有する熱接着剤層を、基材の他方の面にアクリル系粘着剤層またはゴム系粘着剤層を備える両面粘着テープが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2007/132881
【文献】特開2013-213192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
研磨中にトップパッド、複層タイプの研磨パッド、貼付に使用される両面粘着テープ、定盤が高温となることがある。近年では、コストダウンや高効率化の観点から、研磨パッドを交換する時間を削減するため、従来よりも研磨パッドを長時間使用することも増えている。また、研磨中の温度や圧力を高くする等の所作で研磨時間の短縮をおこなうこともある。
貼付に使用されている両面粘着テープには、研磨の際、剪断力がかかる。両面粘着テープには、研磨の際、貼付位置がズレたり、剥がれたりしない性能が求められる。
一方、研磨終了後には、トップパッドや複層タイプの研磨パッドを両面粘着テープごと定盤から剥がす際、粘着層が定盤表面に残らないことが求められる。即ち、両面粘着テープには、ズレたり剥がれたりしにくい性能と剥がしやすい性能とが求められる。
【0005】
本発明は、研磨の際は高温になってもズレたり剥がれたりしにくく、研磨後には剥がしやすい性能を併せ持つ両面粘着テープの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記諸問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下の本発明に至った。
[1] フィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に位置する第1粘着層と、前記フィルム基材の他方の面に位置する第2粘着層とを具備する研磨部材固定用両面粘着テープであって、
第1粘着層と第2粘着層との厚みの差が25μm以下であり、
フィルム基材の厚みが20μm以上、75μm未満であり、
前記第1粘着層は、(メタ)アクリル酸ブチルを60重量%上含むアクリル系モノマーから形成されるアクリル系共重合体と硬化剤とを含み、前記アクリル系共重合体100質量部に対して0~40質量部未満の粘着付与樹脂を含み得るアクリル系粘着剤から形成されるアクリル系粘着層であり、
前記第2粘着層は、合成ゴムと粘着付与樹脂とを含む合成ゴム系粘着剤から形成される合成ゴム系粘着層であり、
下記(A)または(B)のいずれかの研磨部材固定用両面粘着テープであり、
(A)トップパッドを定盤に固定するための研磨部材固定用両面粘着テープ
(B)トップパッドとクッション層とを有する複層タイプの研磨パッドのクッション層を定盤に固定するための研磨部材固定用両面粘着テープ
前記(A)の場合、第2粘着層がトップパッドに接し、前記第1粘着層が定盤に接し、
前記(B)の場合、第2粘着層がクッション層に接し、前記第1粘着層が定盤に接する、
研磨部材固定用両面粘着テープ。
【0007】
[2] 第2粘着層の厚みよりも第1粘着層の厚みの方が薄い、前記[1]記載の研磨部材固定用両面粘着テープ。
【0008】
[3] 第1粘着層および第2粘着層の厚みがいずれも30~70μmである、前記[1]または[2]記載の研磨部材固定用両面粘着テープ。
【0009】
[4] 合成ゴム系粘着剤は、合成ゴム100質量部に対して、粘着付与樹脂を30~180質量部含む、前記[3]記載の研磨部材固定用両面粘着テープ。
【0010】
[5] 合成ゴム系粘着剤は、粘着付与樹脂としてテルペンフェノール樹脂を含む、前記[4]記載の研磨部材固定用両面粘着テープ。
【0011】
[6] 前記[1]記載の研磨部材固定用両面粘着テープで、トップパッドを定盤に固定する方法。
【0012】
[7] 前記[1]記載の研磨部材固定用両面粘着テープで、トップパッドとクッション層を有する複層タイプの研磨パッドを定盤に固定する方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の研磨部材固定用両面粘着テープは、トップパッドを定盤に固定するための両面粘着テープ、トップパッドとクッション層とを有する複層タイプの研磨パッドのクッション層を定盤に固定するための両面粘着テープとして用いた場合、研磨の際にかかる剪断力が凝集力の弱い粘着層側へ一方的に偏らないので、ズレたり剥がれたりすることなく、また研磨終了後は定盤に粘着層を残すことなくトップパッドや複層タイプの研磨パッドを剥がすことができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の研磨部材固定用両面粘着テープは、フィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に位置する第1粘着層と、前記フィルム基材の他方の面に位置する第2粘着層とを具備する。
なお、本発明の研磨部材固定用両面粘着テープは、研磨用両面粘着シート、研磨用両面粘着フィルムともいう。
【0015】
[第1粘着層(アクリル系粘着層)]
第1粘着層について説明する。
第1粘着層は、(メタ)アクリル酸ブチルを60重量部以上含むアクリル系モノマーから形成されるアクリル系共重合体と粘着付与樹脂とを含むアクリル系粘着剤から形成されるアクリル系粘着層である。
【0016】
<アクリル系モノマー>
アクリル系モノマーは、いわゆる「官能基を有しない」アクリル系モノマーとして(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含む。ここでいう「官能基を有しない」とは(メタ)アクリロイル基以外の官能基を有しない、という意である。アクリル系モノマーは、「官能基を有しない」アクリル系モノマーであるアクリル酸ブチルを60重量%以上含み、「官能基を有しない」(メタ)アクリル酸ブチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、カルボキシ基やヒドロキシ基等の官能基を有する他のモノマーをさらに含み得る。
本発明では、アクリル系共重合体を形成するためのアクリル系モノマー100重量%中、(メタ)アクリル酸ブチルの割合は60重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。前記範囲であることで、研磨部材固定用両面粘着テープに適した粘着力と凝集力をバランスよく併せ持つことが可能となる。
(メタ)アクリル酸ブチルとしては、アクリル酸ブチルが好ましく、アクリル酸n-ブチルがより好ましい。
【0017】
<「官能基を有しない」(メタ)アクリル酸アルキルエステル((メタ)アクリル酸ブチル以外)>
「官能基を有しない」(メタ)アクリル酸ブチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、
例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。
【0018】
<カルボキシ基を有するモノマー>
また、本発明におけるアクリル系共重合体は、カルボキシ基を有することが好ましい。カルボキシ基を有するアクリル系共重合体を用い、後述する硬化剤を配合することで、アクリル系粘着層に架橋密度をコントロールし易い構造を導入し易いくなり、粘着力と凝集力のバランスを取り易い。
前記の観点から、アクリル系モノマー100重量%中に、カルボキシ基を有するモノマーは、1~9重量%を用いることが好ましく、2~8重量%がより好ましい。カルボキシル基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられるが、(メタ)アクリル酸が好ましく、アクリル酸が好ましい。これらのモノマーに限定される事なく、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
<ヒドロキシ基を有するモノマー>
また、本発明では要求性能を満たす範囲において、アクリル系共重合体は、ヒドロキシ基を有していてもよい。ヒドロキシ基を有するアクリル系共重合体は、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を共重合することによって形成することができる。ヒドロキシ基を有するモノマーは、これらのモノマーに限定される事なく、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
なお、ヒドロキシ基を有するモノマーを(メタ)アクリル酸ブチルとは共重合しないことによって、ポリマー同士の密な架橋を低減し、トップパッド等の被着体に対する粘着力を高くすることが可能となる。
【0020】
<他のモノマー>
また、本発明では要求性能を満たす範囲において、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル、アクリルニトリル等を共重合したアクリル系共重合体を用いることもできる。
【0021】
<アクリル系共重合体>
本発明において用いられるアクリル系共重合体は、溶液重合、乳化重合、塊状重合または紫外線照射による重合等の重合方法をとることができるが、本発明では、反応制御や物性コントロールが容易な溶液重合を用いることが好ましい。
【0022】
本発明において共重合には、過酸化物系の重合開始剤やアゾビス系の重合開始剤等、従来公知の重合開始剤を使用することができる。
有機過酸化物の重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート等が挙げられる。
アゾビス系の重合開始剤としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)等が挙げられる。
これら重合開始剤は単独で使用しても、2種類以上の併用で使用してもよい。
【0023】
本発明において用いられるアクリル系共重合体の重合平均分子量は、30万~150万が好ましく、40万~120万がより好ましい。前記範囲とする事で、研磨用両面粘着シートに適した粘着力と凝集力をバランスよく併せ持つことが可能となる。
なお、本発明において重量平均分子量とはGPC測定で求めたポリスチレン換算の重量平均分子量であり、GPC測定条件は以下のとおりである。装置:SHIMADZUProminence((株)島津製作所製)カラム:TOSOHTSK-GELGMHXL(東ソー(株)製)を使用。溶媒:テトラヒドロフラン、流速:0.5ml/min、温度:40℃、試料濃度:0.1wt%、試料注入量:100μl
【0024】
第1粘着層を形成するためのアクリル系粘着剤は、アクリル系共重合体の有する官能基と反応し得る硬化剤を含む。アクリル系共重合体と硬化剤との反応により、第1粘着層に架橋構造を導入することが第1粘着層の凝集力向上の点から重要である。
硬化剤としては、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジニル系化合物等の他、金属の有機化合物等が挙げられ、イソシアネート系化合物が好ましい。
硬化剤は、アクリル系共重合体100重量部に対して、1重量部以上、5重量部以下であることが好ましく、1重量部以上、3重量部以下であることがより好ましい。
【0025】
<第1粘着層に含まれ得る粘着付与樹脂>
第1粘着層は上述の通り、アクリル系共重合体と硬化剤とを含むアクリル系粘着剤から形成される。形成されるアクリル系粘着層の凝集力向上の点からアクリル系粘着剤は、アクリル系共重合体100質量部に対して粘着付与樹脂を0~40質量部未満含み得る。研磨後の定盤からの剥離性の点からは、粘着付与樹脂は0~25質量部であることが好ましく、0~15質量部であることがより好ましく、剥離性を特に重視する場合には粘着付与樹脂は含まないことが好ましい。
本発明の研磨部材固定用両面粘着テープを、トップパッドを定盤に固定するために、または複層タイプの研磨パッドを定盤に固定するために用いる場合、凝集力に富み、剥離性にも優れるアクリル系粘着層は定盤側に用いることが大事である。
なお、粘着層の凝集力は一般に保持力として測定し評価される。
【0026】
粘着付与樹脂として、例えば、ロジンエステル、重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、ロジンフェノール樹脂などのロジン系樹脂;、
α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、ジペンテン樹脂、ポリテルペン樹脂、芳香族系テルペン樹脂(テルペンフェノール樹脂、スチレン化テルペン樹脂)、水添テルペン樹脂、、酸変性テルペン樹脂などのテルペン系樹脂;、
C5脂肪族炭化水素樹脂、C9系芳香族炭化水素樹脂、水添C9炭化水素樹脂、C5-C9系共重合樹脂、ジシクロペンタジエン炭化水素樹脂などの石油系炭化水素樹脂、
クマロン-インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
【0027】
更に、本発明において、第1粘着層を形成するためのアクリル系粘着剤は、必要に応じて公知の粘着剤に配合される充填剤、顔料、染料、希釈剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、カップリング剤等、各種添加剤を含んでもよく、また、2種類以上を用いてもよい。また、添加剤の添加量は、必要な物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
【0028】
[第2粘着層(合成ゴム系粘着層)]
第2粘着層について説明する。
第2粘着層は、合成ゴムと粘着付与樹脂とを含む合成ゴム系粘着剤から形成される合成ゴム系粘着層である。本発明における合成ゴム系粘着剤には、求められる性能を損なわない範囲で必要に応じて、合成ゴムの他に天然ゴムを併用することができる。
【0029】
<合成ゴム>
合成ゴムとしては、例えば、スチレン-イソプレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレン(PIB)、ブチルゴム(IIR)などが挙げられ、スチレン-イソプレンブロック共重合体が好ましい。
スチレン-イソプレン共重合体としては、スチレン含有量5~40重量%、ジブロック含有量5~70重量%であるスチレンイソプレンブロック共重合体が好ましい。
前記スチレンイソプレンブロック共重合体としては、例えば、
日本ゼオン社製のQuintac3280(スチレン量25重量%、ジブロック量17重量%)、Quintac3270(スチレン量24重量%、ジブロック量67重量%)、Quintac3450(スチレン量19重量%、ジブロック量30重量%)、Quintac3520(スチレン量15重量%、ジブロック量78重量%)、Quintac3433N(スチレン量16重量%、ジブロック量56重量%)、Quintac3421(スチレン量14重量%、ジブロック量26重量%)、Quintac3620(スチレン量14重量%、ジブロック量12重量%)、
クレイトン社製のKraton D1119(スチレン量22重量%、ジブロック量66重量%)、Kraton D1126(スチレン量21重量%、ジブロック量30重量%)、Kraton D1193(スチレン量24重量%、ジブロック量20重量%)、Kraton D1117(スチレン量17重量%、ジブロック量33重量%)、Kraton D1163(スチレン量15重量%、ジブロック量38重量%)、Kraton D1161(スチレン量15重量%、ジブロック量19重量%)などが挙げられるが、合成ゴムはこれらに限定されるものではなく、求められる性能を損なわない範囲で必要に応じて使用することができ、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
<第2粘着層に含まれる粘着付与樹脂>
第2粘着層は上述の通り、合成ゴムと粘着付与樹脂とを含む合成ゴム系粘着剤から形成される。形成される合成ゴム系粘着層の凝集力向上の点から合成ゴム系粘着剤は、合成ゴム100質量部に対して粘着付与樹脂を30~180質量部含むことが好ましく、50~150質量部含むことがより好ましい。
粘着付与樹脂として、例えば、ロジンエステル、重合ロジン、水添ロジン、不均化ロジン、マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、ロジンフェノール樹脂などのロジン系樹脂;、
α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、ジペンテン樹脂、ポリテルペン樹脂、芳香族系テルペン樹脂(テルペンフェノール樹脂、スチレン化テルペン樹脂)、水添テルペン樹脂、、酸変性テルペン樹脂などのテルペン系樹脂;、
C5脂肪族炭化水素樹脂、C9系芳香族炭化水素樹脂、水添C9炭化水素樹脂、C5-C9系共重合樹脂、ジシクロペンタジエン炭化水素樹脂などの石油系炭化水素樹脂、
クマロン-インデン樹脂、スチレン系樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
粘着付与樹脂であれば、これらに限定するものではなく、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよいが、粘着性と耐熱性とのバランスの観点から、テルペン系樹脂が好ましく、テルペンフェノール樹脂がより好ましい。
テルペンフェノール樹脂は、粘着付与樹脂100質量%中、40~100質量%含むことが好ましく、60~100質量%含むことがより好ましく、80~100質量%含むことがさらに好ましい。
【0031】
テルペンフェノール樹脂としては、例えば、
クレイトン社製のSylVaresシリーズのTP95(軟化点95±5℃、以下同様)、TP105(105±5℃)、TP115(115±5℃)、
ヤスハラケミカル社製のYSポリスターシリーズのU115(軟化点115±5℃、以下同様)、T80(80±5℃)、T100(100±5℃)、T115(115±5℃)、T130(130±5℃)、T145(145±5℃)などを例示することができる。
【0032】
本発明において、第2粘着層を形成するための合成ゴム系粘着剤は、必要に応じて公知の粘着剤に配合される硬化剤、充填剤、顔料、染料、希釈剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、カップリング剤等、各種添加剤を含んでもよく、また、2種類以上を用いてもよい。また、添加剤の添加量は、必要な物性が得られる量とすればよく、特に限定されるものではない。
【0033】
合成ゴムは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基等の官能基を有しないことが多いので、第2粘着層を形成するための合成ゴム系粘着剤は、前記官能基と反応し得る硬化剤を含まなくてもよいが、含むこともできる。被着体表面の官能基と硬化剤との反応により、第2粘着層と被着体との剥離力を大きくすることが期待できる。
硬化剤としては、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジニル系化合物等の他、金属の有機化合物等が挙げられ、イソシアネート系化合物が好ましい。
硬化剤は、合成ゴム100質量部に対して、1重量部以上、30重量部以下であることが好ましく、5重量部以上、25重量部以下であることがより好ましい。
【0034】
本発明の研磨部材固定用両面粘着テープを、トップパッドを定盤に固定するために用いる場合や複層タイプの研磨パッドを定盤に固定するために用いる場合、トップパッド側や複層タイプの研磨パッド側に合成ゴム系粘着層を用いることによって、様々な被着体に対し高い粘着力を発現する事が可能な合成ゴムを用いる事で様々な材質の研磨パッドに適用することができる。
【0035】
[研磨部材固定用両面粘着テープ]
本発明の研磨部材固定用両面粘着テープは、前記したようにフィルム基材と、前記フィルム基材の一方の面に位置する第1粘着層と、前記フィルム基材の他方の面に位置する第2粘着層とを具備する両面粘着テープであって、第1粘着層と第2粘着層との厚みの差が25μm以下であり、20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。第1粘着層と第2粘着層の厚みの差を前記範囲にする事で、研磨用として優れた凝集力(保持力)を得ることが出来る。
また、第1粘着層と第2粘着層の厚みは、それぞれ10~100μmが好ましく、20~80μmがより好ましく、30~70μmがさらに好ましく、特に第2粘着層よりも第1粘着層の方が薄いことが好ましい。第1粘着層の方が第2粘着層よりも薄いことによって、第1粘着層の凝集力(保持力)をより大きくすることができる。
【0036】
<フィルム基材>
第1粘着層および第2粘着層の間に位置し、両粘着層の支持体として使用されるフィルム基材としてはプラスチックフィルムが挙げられる。
前記プラスチックフィルムは、例えばポリエチレンおよびポロプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ナイロン、トリアセチルセルロース、シクロオレフィン、ポリイミドおよびポリアミド等をフィルムにしたものが挙げられる。
また、フィルム基材の表面は、粘着層との密着性を高めるため易接着処理を施しても良い。前記易接着処理は、コロナ放電を行う乾式法およびアンカーコート剤と塗工する湿式法等の公知の方法を使用できる。前記フィルム基材の中で、両面に易接着処理面の施されたフィルムを用いる事がより好ましい。易接着処理面の施されたフィルムを用いる事で、粘着層との密着性が向上し、定盤に糊残りし難い両面粘着テープを得ることが出来る。
また、フィルム基材には、帯電防止層を形成することができる。帯電防止層は、導電性カーボン粒子、導電性金属粒子および導電性ポリマー等を含む組成物をフィルム基材の表面に塗工したり、フィルム基材の表面に金属蒸着または金属メッキを施したりすることで形成できる。
【0037】
フィルム基材が薄くなるとクッション層に対する粘着力が(剥離力)が大きくなる。
フィルム基材の薄い研磨部材固定用両面粘着テープを用いて、トップパッドとクッション層とを有する複層タイプの研磨パッドのクッション層を定盤に固定すると、複層タイプの研磨パッドのクッション性に活かすことが期待できる。
一方、フィルム基材が厚くなると定盤に対する粘着力が(剥離力)が大きくなるが、その反面、研磨終了後、トップパッドや複層タイプの研磨パッドを定盤から剥がす際、定盤に粘着層(以下、糊と省略する場合がある)が残り易くなるので、糊残りし難いという点からはフィルム基材は薄い方が好ましい。
そこで、本発明において、フィルム基材の厚さは、20μm以上、75μm未満であることが重要であり、20μm以上、50μm以下あることが好ましい。
【0038】
本発明の研磨部材固定用両面粘着テープは、例えば、下記(1)、(2)のような方法で製造することができる。
(1)アクリル系粘着剤、および合成ゴム系粘着剤をそれぞれ剥離ライナーに塗工して、第1粘着層および第2粘着層を形成した後、フィルム基材の各面にそれぞれ第1粘着層および第2粘着層を貼り合わせる。
(2)フィルム基材の一方の面にアクリル系粘着剤または合成ゴム系粘着剤のいずれか一方を塗工し、第1粘着層または第2粘着層を形成する。別途剥離ライナーにアクリル系粘着剤または合成ゴム系粘着剤のいずれか他方の粘着剤を塗工して他方の粘着層を形成し、粘着層の形成されていない側のフィルム基材の面に、剥離ライナー上に形成された他方の粘着層を貼る。
なお、粘着層は、粘着テープを使用する直前まで剥離ライナーで保護されていることが通常である。
【0039】
前記剥離ライナーは、紙、プラスチックフィルム、合成紙等の基材に、剥離剤を塗工して形成した剥離層を有する。剥離剤は、例えばシリコーン、アルキド樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。本発明の再剥離型粘着剤は、剥離力が剥離剤の種類に依存し難い効果が得られる。なお、剥離ライナーの厚さは特に制限はないが10~200μm程度である。
【0040】
粘着剤の塗工は、例えばロールコーター法、コンマコーター法、リップコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、グラビアコーター法等の公知の方法が使用できる。塗工後は、熱風オーブン、赤外線ヒーター等で乾燥することができる。
【0041】
本発明の研磨部材固定用両面粘着テープには、前記したように大きく2通りの使い方がある。
即ち、
(A)トップパッドを定盤に固定するために使う、
(B)トップパッドとクッション層とを有する複層タイプの研磨パッドのクッション層を定盤に固定するために使う、の2通りである。
【0042】
トップパッドとは、研磨布とも呼ばれ、研磨の際、研磨対象と直に接し研磨するための部材であり、硬質ポリウレタンシート、合成皮革、スェード、ベロア等が挙げられる。トップパッドは、前記(A)の場合のように単層で定盤に固定され使用されることもあれば、前記(B)の場合のようにクッション層と貼り合されて複層タイプの研磨パッドの最表面を構成することもある。
クッション層としては、発泡体や不織布が挙げられる。発泡体としては、ウレタン系発泡体、ポリエチレン系発泡体、ポリプロピレン系発泡体等が挙げられる。不織布としては、ポリエステル等から製造されるものや、羊毛等の天然物から製造されるもの等が挙げられる。
【実施例
【0043】
以下に、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお例中、「部」は「重量部」を、「%」は「重量%」を意味するものとする。
【0044】
<合成例1:アクリル系共重合体(A-1)>
攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置、窒素導入管を備えた4口フラスコに、窒素雰囲気下で、ブチルアクリレート47.5重量部、アクリル酸2.5重量部、溶剤として酢酸エチル、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを適量仕込んだ。
別途、滴下管に、ブチルアクリレート47.5重量部、アクリル酸2.5重量部、溶剤として酢酸エチル、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルを適量仕込んだ。
次いでフラスコを徐々に加熱し、反応開始を確認後、滴下管から溶液を1時間かけて滴下した。さらに内温約80℃で8時間反応を継続した。反応終了後、冷却し、酢酸エチルを適量仕込み、重量平均分子量=600000のアクリル系共重合体(A-1)を得た。
【0045】
<合成例2~3:アクリル系共重合体(A-2)、(A-3)>
モノマーの組成を表1に示す組成とした以外は、合成例1と同様にしてアクリル系共重合体(A-2)、(A-3)を得た。なお、表1に示すモノマーの組成はフラスコに入れた分と滴下管に入れた分との合計である。
【0046】
<配合例1:アクリル系粘着剤>
アクリル系共重合体(A-1)100質量部に対し、硬化剤としてイソシアネート化合物であるTDI-TMPアダクト体(トリレンジイソシアネ-ト3モルにトリメチロールプロパン1モルが付加)を1.5質量部配合し、アクリル系粘着剤を得た。
【0047】
<配合例2~5:アクリル系粘着剤>
表2に示す処方に従って、配合例1と同様にしてアクリル系粘着剤を得た。
【0048】
<配合例11:合成ゴム系粘着剤>
クレイトン社製のKraton D1161(スチレン量15重量%、ジブロック量19重量%)100質量部を、メチルエチルケトン、トルエン、およびゴムキGを含む混合溶媒に80℃で溶解した後、約40℃以下になったら、粘着付与樹脂としてYSポリスターT130(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点130℃)を20質量部、老化防止剤としてイルガホス168(BASFジャパン社製)を1質量部加え、合成ゴム系粘着剤を得た。
【0049】
<配合例12~16:合成ゴム系粘着剤>
表3に示す処方に従って、配合例11と同様にして合成ゴム系粘着剤を得た。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
表1~3中の略号は下記の通りである。
BA:n-ブチルアクリレート
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
AA:アクリル酸

YSポリスターT130(ヤスハラケミカル社製、テルペンフェノール系樹脂、軟化点130℃)
ペンセルD125(荒川化学工業社製、重合ロジンエステル、軟化点120~130℃)

TDI-TMPアダクト体:トルエンジイソシアネートにトリメチロールプロパンが付加したイソシアネート化合物
【0054】
<粘着シートの作成>
フィルム基材である25μのポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)フィルム基材に、配合例1のアクリル系粘着剤を、乾燥後の厚みが40μmになるよう塗工し、100℃で2分間乾燥した後、剥離ライナーを貼り合わせた。
別途、他の剥離ライナーに、配合例13の合成ゴム系粘着剤を、乾燥後の厚さが50μmになるよう塗工し、100℃で2分間乾燥した。
次いで、得られた合成ゴム系粘着層を、前記PETフィルムのアクリル系粘着層が設けられていない面に貼り合わせ、23℃-50%で1週間放置し、実施例1の両面粘着シートを得、後述する方法にて粘着力、保持力、浸水試験後の糊残りを評価した。結果を表4に示す。
【0055】
[実施例2~3]、[比較例1~2]
配合例1のアクリル系粘着剤の代わりに、表4に示すように配合例2~5のアクリル系粘着剤を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着シートを得、同様に評価した。
【0056】
[実施例4~8]
配合例13の合成ゴム系粘着剤の代わりに、表5に示すように配合例11、12、14、15のアクリル系粘着剤を用いた以外は実施例1と同様にして両面粘着シートを得、同様に評価した。なお、表5には配合例13の合成ゴム系粘着剤を用いた実施例1も合わせて示す。
【0057】
[実施例9~10]、[比較例3]
アクリル系粘着層および合成ゴム系粘着層の厚みを、表6に示すように変更した以外は実施例4と同様にして両面粘着シートを得、同様に評価した。なお、表6には実施例4も合わせて示す。
【0058】
[実施例11]、[比較例4]
フィルム基材の厚みを、表7に示すように変更した以外は実施例1と同様にして両面粘着シートを得、同様に評価した。なお、表7には実施例1も合わせて示す。
【0059】
[評価方法]
【0060】
<ステンレス板に対する第1粘着層の粘着力>
得られた粘着シートの第2粘着層側の剥離ライナーを剥がし、裏打ち用の25μmの厚みのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに切り、試料とした。
次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から、裏打ち用のPETフィルムを貼り合せた面と逆の面、即ち第1粘着層を覆っている剥離ライナーを剥がし、露出した第1粘着層をステンレス板に載置し、2kgのローラーを1往復し圧着した後、同環境下にて24時間放置し、試験片とした。前記試験片について同環境下にて引張試験機を使用し、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で粘着力を測定した。
【0061】
<トップパッド、またはクッション層に対する第2粘着層の粘着力>
得られた粘着シートの第1粘着層側の剥離ライナーを剥がし、裏打ち用の25μmの厚みのPETフィルムを貼り合せた後、幅25mm・長さ100mmの大きさに切り、試料とした。
次いで23℃-50%RH雰囲気下にて、得られた試料から、裏打ち用のPETフィルムを貼り合せた面と逆の面、即ち第2粘着層を覆っている剥離ライナーを剥がし、露出した第2粘着層を、トップパッド、またはクッション層に載置し、2kgのローラーを1往復し仮圧着した後、圧着ローラにて温度90℃、速度3.0M/min、圧力0.3MPaの条件で貼り合わせを行い、23℃-50%RH雰囲気下にて24時間放置し、試験片とした。前記試験片について同環境下にて引張試験機を使用し、剥離角度180度、剥離速度300mm/分の条件で粘着力を測定した。なお、トップパッドとしては硬質ポリウレタンシートを、クッション層としてはウレタン系発泡シートを、それぞれ用いた。
【0062】
なお、第2粘着層の粘着力は、トップパッドやクッション層に対し、少なくとも20N以上であることが実用上求められる。
また、表4~7では、被着体であるステンレス板、トップパッド、クッション層は、それぞれSUS、PAD、クッションと記載した。
【0063】
<保持力>
前記粘着力測定の場合と同様の試料を用意し、剥離ライナーを長さ100mmの端から25mm剥がし、長さ25mm×幅25mmの領域をトップパッド、クッション層、およびステンレス板にそれぞれ載置し、2kgのローラーを1往復し圧着した後、23℃-50%の雰囲気下で20分間放置した。
その後、80℃の雰囲気下で、試料の長さ100mmの下端に1kgの重りを付け180度の方向に力が加わるようセットし、24時間後に貼着位置が被着体から何ミリずれているか、もしくは完全にずれ落ちた落下秒数を、第1粘着層、第2粘着層それぞれについて測定し、以下の基準で評価した。
・第1粘着層 対ステンレス板
〇:1.0mm未満
×:1.0mm以下
・第2粘着層 対(トップパッドまたはクッション層)
◎:2万秒以上
〇:1万秒以上、2万秒未満
△:5千秒以上、1万秒未満
×:5千秒未満
【0064】
<浸水試験後の糊残り>
前記粘着力測定の場合と同様に試料を用意し、第1粘着層をステンレス板に圧着した直後に、ステンレス板ごと試験片を80℃の温水中に浸漬し、24時間後に温水より試験片を取り出し、水洗浄後、粘着力測定の場合と同様の条件にて第1粘着層をステンレス板から剥離した後、ステンレス板表面を観察し、粘着層の残渣の有無を確認した。
〇:残渣がまったく無かった(良好)
△:わずかに残渣があった(実用上問題無し
×:残渣が残った(使用不可
【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
【表6】

【0068】
【表7】

【0069】
表4~7に示すように各実施例の両面粘着テープにおける第1粘着層はステンレス板に対し優れた粘着力を示し、第2粘着層はトップパッド、クッション層に対し優れた粘着力を示す。また、各実施例の両面粘着テープにおける第1粘着層はステンレス板に対し高温下で優れた保持力を示し、第2粘着層はトップパッド、クッション層に対し高温下で優れた保持力を示す。さらに各実施例の両面粘着テープにおける第1粘着層は、浸水試験後、粘着層の残渣をステンレス板に残さずに剥離できる。
一方、各比較例の両面粘着テープは、第1粘着層のステンレス板に対する性能、第2粘着層のトップパッド、クッション層に対する性能のいずれかが劣る。
【要約】
【課題】 研磨の際は高温になってもズレたり剥がれたりしにくく、研磨後には剥がしやすい性能を併せ持つ両面粘着テープの提供。
【解決手段】 フィルム基材とアクリル系の第1粘着層と合成ゴム系の第2粘着層とを具備する、(A)トップパッドを定盤に固定するための、または(B)複層タイプの研磨パッドのクッション層を定盤に固定するための研磨部材固定用両面粘着テープであって、
第1粘着層と第2粘着層との厚みの差が25μm以下であり、
フィルム基材の厚みが20μm以上、75μm未満であり、
前記(A)の場合、第2粘着層がトップパッドに接し、前記第1粘着層が定盤に接し、
前記(B)の場合、第2粘着層がクッション層に接し、前記第1粘着層が定盤に接する。
【選択図】 なし