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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】予混合装置およびこれを備えた燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/62 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
F23D14/62
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020128187
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025397
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100120514
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 雅人
(72)【発明者】
【氏名】船引 恒男
(72)【発明者】
【氏名】三浦 敬一
(72)【発明者】
【氏名】唐木 竜也
(72)【発明者】
【氏名】小川 恭平
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-132257(JP,A)
【文献】実公昭55-046827(JP,Y2)
【文献】実開昭49-037839(JP,U)
【文献】実開昭58-088528(JP,U)
【文献】実開昭50-054624(JP,U)
【文献】実公昭51-030667(JP,Y2)
【文献】実開昭53-061746(JP,U)
【文献】特開平09-170730(JP,A)
【文献】特開平10-227444(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0289615(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/00 - 14/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させるための予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、
前記燃料ガスを供給するガス管を接続するための管継手部と、
この管継手部が取付けられるベース部と、
終端部が前記予混合流路に開口する燃料ガス流出口として形成され、かつ前記管継手部に供給されてきた燃料ガスを前記燃料ガス流出口に導くための燃料ガス流路と、
を備えており、
前記管継手部および前記ベース部には、前記燃料ガス流路の一部を構成する孔部として、互いに対向させて連通させることが可能な継手側孔部およびベース側孔部が設けられている、予混合装置であって、
前記管継手部は、前記ベース部への取付け態様を変更可能とされており、かつこの取付け態様の変更により、前記継手側孔部と前記ベース側孔部との相互の対向位置および/または対向面積が変更され、前記燃料ガス流路の流路抵抗を変更することが可能とされていることを特徴とする、予混合装置。
【請求項2】
請求項1に記載の予混合装置であって、
前記予混合流路における空気流に起因して発生する負圧の作用により、前記燃料ガス流出口から前記予混合流路に前記燃料ガスが流出するように構成されている、予混合装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の予混合装置であって、
前記燃料ガスとして、種類が相違する所定の第1および第2の燃料ガスがあり、
前記管継手部の取付け態様として、前記対向面積を前記第1の燃料ガスに対応した面積とする第1の取付け態様と、前記対向面積を前記第2の燃料ガスに対応した面積とする第2の取付け態様と、のいずれか一方を選択的に設定可能とされている、予混合装置。
【請求項4】
請求項3に記載の予混合装置であって、
前記ベース部には、前記第1および第2の燃料ガスをそれぞれ示す第1および第2のガス種表示部が設けられており、
前記管継手部が前記第1の取付け態様に設定された場合には、前記第2のガス種表示部が前記管継手部によって覆い隠され、かつ前記第1のガス種表示部は露見した状態となる一方、前記管継手部が前記第2の取付け態様に設定された場合には、前記第1のガス種表示部が前記管継手部によって覆い隠され、かつ前記第2のガス種表示部は露見した状態となるように構成されている、予混合装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の予混合装置であって、
前記ベース側孔部として、内径が相違する少なくとも2つのベース側孔部が並んで設けられており、
前記第1の取付け態様は、前記2つのベース側孔部の一方が、前記継手側孔部と対向し、かつ他方が、前記管継手部によって塞がれた態様であり、
前記第2の取付け態様は、前記第1の取付け態様と比べて、前記管継手部の向きが反転しており、前記2つのベース側孔部の前記一方は、前記管継手部によって塞がれ、かつ前記他方が前記継手側孔部と対向する態様である、予混合装置。
【請求項6】
請求項3または4に記載の予混合装置であって、
前記継手側孔部として、内径が相違する少なくとも2つの継手側孔部が並んで設けられており、
前記第1の取付け態様は、前記2つの継手側孔部の一方が、前記ベース側孔部と対向し、かつ他方が、前記ベース部によって塞がれた態様であり、
前記第2の取付け態様は、前記第1の取付け態様と比べて、前記管継手部の向きが反転しており、前記2つの継手側孔部の前記一方は、前記ベース部によって塞がれ、かつ前記他方が前記ベース側孔部と対向する態様である、予混合装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の予混合装置を備えていることを特徴とする、燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予混合装置およびこれを備えた燃焼装置に関する。
ここで、「予混合」とは、予混合燃焼(Premixing combustion)を行なうことを目的として、空気と燃料ガスとを予め混合させ、可燃混合ガスを生成する処理である。
【背景技術】
【0002】
予混合装置の具体例として、特許文献1に記載のものがある。
同文献に記載の予混合装置は、ベンチュリ状の予混合流路を形成している管状部材(予混合流路形成部材)と、この管状部材内に取付けられた縦横2つのブレード部、とを備えている。予混合流路の下流側(終端側)には、ファンの吸気側が接続され、予混合流路には、その上流側(始端側)から空気が流入する。前記ブレード部には、燃料ガス流出口が設けられており、予混合流路に空気が流れて負圧が発生すると、この負圧の作用により、燃料ガス流出口から予混合流路に燃料ガスが流出し、空気と混合される。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、予混合装置で用いられる燃料ガスは、1種類ではなく、一般的に、ナチュラルガス、およびLPガスの2種類の燃料ガスのうちのいずれかが用いられる。ただし、これら2種類の燃料ガスは、成分、発熱量が相違するため、予混合装置を燃料ガスの種類に対応したものとする必要がある。
具体的には、予混合装置には、燃料ガスを予混合流路形成部材の外部から燃料ガス流出口まで導くための燃料ガス流路が設けられているが、この燃料ガス流路は、燃料ガスの種類に対応したものとする必要がある。予混合流路内において発生する負圧が同一である場合、発熱量が多い燃料ガスよりも発熱量が少ない燃料ガスの方が、燃料ガス流出口から予混合流路内への流出量が多くなるように設定されなければならず、予混合装置は、そのような仕様にされる必要がある。
【0005】
これに対し、従来においては、前記したようなことに対して、簡易かつ適切に対応する手段は提案されていない。従来においては、燃料ガスの種類に応じた部品を予め製作して準備しておき、予定されている燃料ガスとは異なる種類の燃料ガスが用いられる場合には、部品交換を行ない、または新たな部品を追加するなどの対応措置を採用しているのが実情である。
ところが、これでは交換用または追加用の部品が必要であり、これらの在庫数も多くなるため、そのコストは高価となる。また、部品管理も面倒なものとなる。さらに、部品を交換した場合、交換された元の部品が不用品とされる虞もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表平11-502278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、燃料ガスの種類に対応して部品の交換や新たな部品の追加を行なうことなく、複数種類の燃料ガスに対して適切に対応することが可能な予混合装置、およびこれを備えた燃焼装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明の第1の側面により提供される予混合装置は、一端側から他端側に向けて空気を流れさせ、かつこの空気に燃料ガスを混合させるための予混合流路を形成している予混合流路形成部材と、前記燃料ガスを供給するガス管を接続するための管継手部と、この管継手部が取付けられるベース部と、終端部が前記予混合流路に開口する燃料ガス流出口として形成され、かつ前記管継手部に供給されてきた燃料ガスを前記燃料ガス流出口に導くための燃料ガス流路と、を備えており、前記管継手部および前記ベース部には、前記燃料ガス流路の一部を構成する孔部として、互いに対向させて連通させることが可能な継手側孔部およびベース側孔部が設けられている、予混合装置であって、前記管継手部は、前記ベース部への取付け態様を変更可能とされており、かつこの取付け態様の変更により、前記継手側孔部と前記ベース側孔部との相互の対向位置および/または対向面積が変更され、前記燃料ガス流路の流路抵抗を変更することが可能とされていることを特徴としている。
ここで、「ベース部への取付け態様を変更可能」とは、管継手部のベース部への取付けの位置、向き、角度、または姿勢のうち、少なくともいずれか1つが変更可能である場合が該当する。
【0010】
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ベース部に対する管継手部の取付け態様を変更することにより、管継手部に設けられている継手側孔部と、ベース部に設けられているベース側孔部との対向位置および/または対向面積を変更し、燃料ガス流路の流路抵抗を変更することが可能である。このため、たとえば、発熱量が多い燃料ガスの場合には、燃料ガス流路の流路抵抗が大きめとなるように設定し、また発熱量が少ない燃料ガスの場合には、流路抵抗が小さめとなるように設定することにより、予混合流路における空気と燃料ガスとの混合比を適切な比率にすることが可能となる。
このようなことから、本発明によれば、燃料ガスの種類が、予定されていた燃料ガスの種類とは異なる場合に、管継手部を他の管継手部と交換する必要はなく、また新たな部品を別途追加して用いる必要もない。したがって、燃料ガスの種類に対応するための部品在庫数が多くなる不具合をなくし、部品在庫に要するコストを低減するとともに、部品管理を容易にすることができる。部品を交換する場合には、元の部品が不用品とされる場合があるが、本発明によれば、そのような無駄もない。
さらに、管継手部は、ガス管の接続を図るための手段として、予混合装置には元々具備される部位である。本発明は、そのような管継手部を利用して燃料ガスの種類に対応させるようにしているため、その構成は合理的であり、予混合装置全体の部品点数の増大を抑制し、低コストなどを図る上で、一層好ましい。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記予混合流路における空気流に起因して発生する負圧の作用により、前記燃料ガス流出口から前記予混合流路に前記燃料ガスが流出するように構成されている。
本発明は、このような構成の予混合装置に最適である。
【0012】
本発明において、好ましくは、前記燃料ガスとして、種類が相違する所定の第1および第2の燃料ガスがあり、前記管継手部の取付け態様として、前記対向面積を前記第1の燃料ガスに対応した面積とする第1の取付け態様と、前記対向面積を前記第2の燃料ガスに対応した面積とする第2の取付け態様と、のいずれか一方を選択的に設定可能とされている。
【0013】
このような構成によれば、予混合に用いられる燃料ガスが、所定の第1および第2の燃
料ガスのいずれであるかに応じて、管継手部の取付け態様を、第1および第2の取付け態様のうちのいずれか一方の対応する側に設定すればよいこととなる。したがって、燃料ガスの種類に対応させることが容易・的確に行なえる。
【0014】
本発明において、好ましくは、前記ベース部には、前記第1および第2の燃料ガスをそれぞれ示す第1および第2のガス種表示部が設けられており、前記管継手部が前記第1の取付け態様に設定された場合には、前記第2のガス種表示部が前記管継手部によって覆い隠され、かつ前記第1のガス種表示部は露見した状態となる一方、前記管継手部が前記第2の取付け態様に設定された場合には、前記第1のガス種表示部が前記管継手部によって覆い隠され、かつ前記第2のガス種表示部は露見した状態となるように構成されている。
【0015】
このような構成によれば、第1および第2のガス種表示部のうち、管継手部によって覆い隠されておらず、露見している側のガス種表示部は、管継手部の取付け態様が対応する燃料ガスが、第1および第2の燃料ガスのいずれであるかを示すものとなる。したがって、実際に用いられる燃料ガスの種類と、管継手部の取付け態様とが対応しているか否かの確認を容易・迅速に行なうことが可能である。たとえば、管継手部が、第1の燃料ガスに対応した取付け態様(第1の取付け態様)とされているにも拘わらず、これを第2の燃料ガスに対応した取付け態様(第2の取付け態様)であると過誤判断されることも適切に解消することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記ベース側孔部として、内径が相違する少なくとも2つのベース側孔部が並んで設けられており、前記第1の取付け態様は、前記2つのベース側孔部の一方が、前記継手側孔部と対向し、かつ他方が、前記管継手部によって塞がれた態様であり、前記第2の取付け態様は、前記第1の取付け態様と比べて、前記管継手部の向きが反転しており、前記2つのベース側孔部の前記一方は、前記管継手部によって塞がれ、かつ前記他方が前記継手側孔部と対向する態様である。
また、本発明においては、前記構成とは異なり、前記継手側孔部として、内径が相違する少なくとも2つの継手側孔部が並んで設けられており、前記第1の取付け態様は、前記2つの継手側孔部の一方が、前記ベース側孔部と対向し、かつ他方が、前記ベース部によって塞がれた態様であり、前記第2の取付け態様は、前記第1の取付け態様と比べて、前記管継手部の向きが反転しており、前記2つの継手側孔部の前記一方は、前記ベース部によって塞がれ、かつ前記他方が前記ベース側孔部と対向する態様である構成とすることもできる。
【0017】
このような構成によれば、管継手部を第1の取付け態様から第2の取付け態様に変更し、またこれとは逆に変更することにより、燃料ガス流路の流路抵抗を適切に変更し、2種類の燃料ガスに適切に対応することが可能である。管継手部の取付け態様の変更は、管継手部の取付けの向きを反転させるだけでよく、その作業性もよい。
【0018】
本発明の第2の側面により提供される燃焼装置は、本発明の第1の側面により提供される予混合装置を備えていることを特徴としている。
【0019】
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供される予混合装置について述べたのと同様な効果が得られる。
【0020】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る予混合装置を備えた燃焼装置、およびこれを利用した給湯装置の一例を示す説明図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3】(a)は、図1および図2に示す予混合装置の斜視図であり、(b)は、(a)の分解斜視図である。
図4図3に示す予混合装置の管継手部の内面側からの斜視図である。
図5】(a)は、図3(a)の正面図であり、(b)は、(a)のV-V断面図である。
図6図5(b)の分解断面図である。
図7】(a)は、管継手部を図5(a)とは異なる態様に設定した状態の正面図であり、(b)は、(a)のVII-VII断面図である。
図8】本発明に係る予混合装置の他の例を示す斜視図である。
図9図8に示す予混合流路の要部分解正面図である。
図10図8のX-X断面図である。
図11】管継手部を図10とは異なる態様に設定した状態の断面図である。
図12】本発明に係る予混合装置の他の例を示す断面図である。
図13】本発明に係る予混合流路の他の例を示す分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0023】
図1は、予混合装置A、この予混合装置Aにファン1および燃焼プレート2を組み合わせて構成された燃焼装置B(予混合燃焼装置)、およびこの燃焼装置Bに熱交換器11を組み合わせて構成された給湯装置WHを示している。
【0024】
予混合装置Aの詳細については、後述するが、この予混合装置Aを利用して空気と燃料ガスとの混合ガス(可燃混合ガス)が生成され、かつこの混合ガスが、ファン1を経由して燃焼プレート2に向けて吐出される。燃焼プレート2は、複数の通気孔20を有する多孔状プレートであって、ケース10内に収容されており、前記混合ガスは、燃焼プレート2を通過し、その下方において燃焼する。このことにより発生する燃焼ガスは、熱交換器11に作用し、熱交換器11内を通過する湯水は加熱される。このことにより、温水が生成され、この温水は所望の給湯先に供給される。
【0025】
予混合装置Aは、予混合流路40を形成する管状部41を有する予混合流路形成部材4、この予混合流路形成部材4を囲むハウジング部材5、燃料ガス流出口74が設けられている各ブレード部6、燃料ガスを供給するガス管9(ホースも含む)を接続するための管継手部8、この管継手部8が取付けられるベース部55、および燃料ガス流出口74を含む燃料ガス流路7を備えている。
【0026】
予混合流路40は、ファン1の吸気側に接続されており、ファン1が駆動されると、予混合流路40内には、その一端側開口部から外部の空気が流入する。予混合流路40は、気体流れ方向上流側領域が、気体流れ方向下流側ほど内径が漸次減少するテーパ状領域とされ、かつこのテーパ状領域よりも下流側領域が、下流側ほど内径が漸次拡大するテーパ状領域とされたベンチュリ状である。
【0027】
各ブレード部6は、燃料ガス流出口74から予混合流路40に燃料ガスを流出させるためのノズルとしての役割を果たす部位であり、図2に示すように、管状部41の周壁部に、両端部が繋がった橋渡し状とされ、予混合流路40内に位置している。一対のブレード部6は、これらの厚み方向(図1の左右方向)に適当な間隔を隔てて略平行に並んでいる。
【0028】
各ブレード部6の内部は、燃料ガス流路7の一部をなす空洞部73であり、この空洞部73に燃料ガス流出口74は連通している。一方、予混合流路40における空気流は、燃料ガス流出口74の付近に負圧を発生させる。この負圧の作用により、燃料ガス流出口74から予混合流路40に燃料ガスが流出し、空気と燃料ガスとの混合が図られる。
なお、ブレード部6の数は2つに限らず、1つのみ、あるいは3以上設けられた構成とすることもできる。
【0029】
ハウジング部材5は、筒状のハウジング本体部50、このハウジング本体部50とは別体で構成された管継手部8、およびボルト挿通用孔52を備えたフランジ部53を備えている。このフランジ部53は、予混合装置Aを所望の部位に簡易かつ適切に接続するのに役立つ。
【0030】
ハウジング本体部50は、予混合流路形成部材4の外周に設けられている段部42a,42bに外嵌し、シール用リング49によって気密シールが図られた状態で予混合流路形成部材4を囲んでいる。予混合流路形成部材4とハウジング本体部50との相互間の領域72は、燃料ガス流路7の一部をなしている。管継手部8は、燃料ガスを供給するガス管9が接続される部位であり、ガス管9から管継手部8に供給された燃料ガスは、前記した領域72に流入する。図2に示すように、予混合流路形成部材4には、各ブレード部6内の空洞部73に連通する開口部43が形成されている。前記した領域72に流入した燃料ガスは、開口部43を通過して各ブレード部6内に流入し、既述したように、燃料ガス流出口74から流出する。
【0031】
図3および図6によく表れているように、ベース部55は、管継手部8をハウジング部材5に取付けるための部位であり、ハウジング部材5の外面部に設けられている。このベース部55は、その前面部が管継手部8の取付けに適する平面状とされていることに加え、燃料ガス流路7の一部をなす2つの孔部71A,71B(ベース側孔部71A,71B)、左右一対のネジ孔59、シール用パッキン94が装着されるパッキン用溝部56、ならびに第1および第2のガス種表示部3a,3bを備えている。
第1のガス種表示部3aは、燃料ガスがLPガスある旨を示す表示部であり、たとえば「LP」の文字を表示している。第2のガス種表示部3bは、燃料ガスがナチュラルガスである旨を示す表示部であり、たとえば「NG」の文字を表示している。
【0032】
2つのベース側孔部71A,71Bは、図6に示すように、それらの内径Da,Dbは相違しており、Da<Dbの関係にある。内径Daは、燃料ガスとして、LPガスを用いる場合に適する流路内径である。内径Dbは、燃料ガスとして、ナチュラルガスを用いる場合に適する流路内径である。
ただし、管継手部8の後述するシール用の凸状部83が嵌入される部位70(ベース側孔部71A,71Bのうち、管継手部8寄りの部位70)の内径Dcは、前記した内径Da,Dbよりも大きい寸法であり、かつ同一の寸法に揃えられている。
【0033】
管継手部8は、先端開口状の筒状部80、この筒状部80の基端部に繋がったプレート部81、および筒状部80内の奥部に設けられた内側壁部85を備えている。内側壁部85には、燃料ガス流路7の一部をなす孔部77(継手側孔部77)が設けられ、またシール用の凸状部83が突設されている(図4も参照)。シール用の凸状部83には、シール用Oリング84が装着される。継手側孔部77およびシール用の凸状部83は、2つのベース側孔部71A,71Bに対応した配置である。
【0034】
管継手部8は、プレート部81がベース部55の前面部に対面接触するようにしてベース部55に取付けられる。この取付け手段としては、たとえばプレート部81に設けられた一対のネジ体挿通孔82に挿通するビスなどのネジ体98を、ベース部55のネジ孔5
9に螺合させて、プレート部81を締結する手段が用いられる。シール用パッキン94は、管継手部8とベース部55との相互間に挟まれて圧縮し、燃料ガスの漏れ防止に役立つ。シール用パッキン94およびパッキン用溝部56は、2つのベース側孔部71A,71Bを囲むループ状である。
【0035】
ベース部55に対する管継手部8の取付け態様は、次に述べる第1および第2の取付け態様のいずれか一方を選択的に設定可能とされている。
第1の取付け態様は、図3および図5に示すように、2つのベース側孔部71A,71Bのうち、一方のベース側孔部71Aは、継手側孔部77と対向して連通している。他方のベース側孔部71Bは、シール用の凸状部83が嵌入して塞がれた状態である。
【0036】
管継手部8のプレート部81の一端側には、この一端側を細幅状とする切欠き部81aが設けられており、第1の取付け態様においては、プレート部81の切欠き部81aが、第1のガス種表示部3aである「LP」の文字を露見させるようになっている。その一方、第2のガス種表示部3bである「NG」の文字は、プレート部81によって覆い隠されている。
【0037】
第2の取付け態様は、図7に示すように、管継手部8が、前記した第1の取付け態様とは左右反転した向きでベース部55に取付けられた態様である。この第2の取付け態様においては、ベース側孔部71Bが、継手側孔部77に対向して連通している。また、ベース側孔部71Aは、シール用の凸状部83が嵌入して塞がれた状態である。
プレート部81の切欠き部81aの位置は、第1の取付け態様の場合とは左右反転するため、第2のガス種表示部3bである「NG」の文字は露見し、かつ第1のガス種表示部3aである「LP」の文字は、プレート部81によって覆い隠された状態となる。
【0038】
次に、前記した予混合装置Aの作用について説明する。
【0039】
まず、予混合装置Aが使用される環境として、燃料ガスが、たとえばLPガスである場合、図3および図5に示したように、管継手部8を、第1の取付け態様としておく。この第1の取付け態様においては、図3および図5に示したように、ベース側孔部71Bが管継手部8によって塞がれ、ベース側孔部71Aが継手側孔部77に対向して連通するが、このベース側孔部71Aは、内径Daが小さめであるため、燃料ガス流路7の流路抵抗は大きくなる。ここで、LPガスは、ナチュラルガスよりも発熱量が多いため、ナチュラルガスが用いられる場合よりも、空気に対するガス量を少なくする必要があるが、第1の取付け態様によれば、燃料ガス流路7の流路抵抗が大きくなるため、LPガスに適した設定状態となる。
【0040】
一方、燃料ガスが、ナチュラルガスである場合、図7に示したような第2の取付け態様に変更すればよい。第1の取付け態様から第2の取付け態様の変更は、ネジ体98を緩め、管継手部8の向きを変更してベース部55に再度取付けるだけでよいため、その作業は容易かつ迅速に行なうことが可能である。
第2の取付け態様においては、第1の取付け態様とは反対に、ベース側孔部71Aが管継手部8によって閉塞され、ベース側孔部71Bが継手側孔部77と対向して連通する。このベース側孔部71Bの内径Dbは大きめであり、燃料ガス流路7の流路抵抗を小さくするができる。ナチュラルガスは、LPガスよりも発熱量が少ないため、流路抵抗を小さくし、空気に対するガス量を多くする必要があるが、第2の取付け態様によれば、そのようなことに適切に対応し得ることとなる。
【0041】
以上のように、本実施形態によれば、燃料ガスが、LPガスおよびナチュラルガスのいずれであっても、部品交換を行なったり、あるいは新たな部品を追加して取付ける必要は
なく、管継手部8の取付け態様を変更するだけで、前記2種類の燃料ガスに適切に対応することが可能である。したがって、燃料ガスが2種類存在することに対応するための部品の在庫数が多くなるなどの不具合はなく、部品の在庫に要するコストを低減することができる。また、部品管理も容易となる。
管継手部8は、予混合装置Aに元々具備されている部位であり、本実施形態においては、この管継手部8を用いて燃料ガスの種類に対応し得るように構成しているため、その構成は合理的であって、部品点数の増加や全体の大型化などを回避する上で、一層好ましい。
【0042】
また、本実施形態によれば、管継手部8を第1の取付け態様にすると、第2のガス種表示部3bが管継手部8によって覆い隠された上で、第1のガス種表示部3aである「LP」の文字が露見した状態となる。これとは逆に、管継手部8を第2の取付け態様にすると、第1のガス種表示部3aが覆い隠された上で、第2のガス種表示部3bである「NG」の文字が露見した状態となる。したがって、このような表示を確認することにより、管継手部8の取付け態様が、実際の燃料ガスの種類に対応した適切な取付け態様であるか否かを簡単に、かつ正確に判断することが可能である。
【0043】
図8図13は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
【0044】
図8図11に示す予混合装置Aaにおいては、管継手部8に、2つの継手側孔部77A,77Bが設けられ、かつベース部55には、ベース側孔部71が1つだけ設けられている。2つの継手側孔部77A,77Bの内径D1,D2は相違しており、たとえばD1<D2である。
【0045】
この予混合装置Aaにおいては、管継手部8の第1の取付け態様として、図8および図10に示すように、継手側孔部77Aをベース側孔部71に対向させて連通させ、かつ継手側孔部77Bをベース側孔部71に連通させない状態に設定することができる。継手側孔部77Aは、内径D1が小径であるため、この第1の取付け態様によれば、燃料ガス流路7の流路抵抗を大きくすることが可能であり、LPガスに適することとなる。
【0046】
一方、また、管継手部8の第2の取付け態様として、図11に示すように、前記とは反対に、継手側孔部77Bをベース側孔部71に対向させて連通させ、かつ継手側孔部77Aをベース側孔部71には連通させない状態に設定することもできる。この第2の取付け態様によれば、継手側孔部77Bの内径D2が大径であり、燃料ガス流路7の流路抵抗を小さくすることができるため、ナチュラルガスに適することとなる。
【0047】
本実施形態の予混合装置Aaにおいては、図1図7に示した先の実施形態の予混合装置Aと比較すると、ベース部55に設けられるベース側孔部71(71A,71B)と、管継手部8に設けられる継手側孔部77(77A,77B)との関係が、反対となっているが、先の実施形態の予混合装置Aと同様な作用を得ることが可能である。
【0048】
なお、図9図11には、ベース部55と管継手部8との相互間に介在するシール用のパッキン94Aとして、2つの継手側孔部77A,77Bの対向領域の全体を囲むループ状の部分94aに加え、2つの継手側孔部77A,77Bの相互間に配置させるための直線状部分94bを備えた構成のものが用いられている。このような構成によれば、2つの継手側孔部77A,77Bの相互間における燃料ガスの漏れ防止を適切に図ることが可能である。
【0049】
図12に示す予混合装置Abにおいては、管継手部8に継手側孔部77が、いわゆるテーパ孔状に形成されており、管継手部8の先端側から基端側に進むほど、継手側孔部77の内径または幅が狭くなっている。図12においては、継手側孔部77がベース側孔部71Bに対向して連通している状態に示されているが、管継手部8を左右反転させた取付け態様に設定すると、継手側孔部77は、ベース側孔部71Aに対向して連通するようになっている。
本実施形態によれば、ガス管9から管継手部8内に供給された燃料ガスを、継手側孔部77からベース側孔部71A,71Bに対して円滑に流れ込ませることが可能となる。これは、予混合流路40への燃料ガス供給を安定させる上で好ましい。
【0050】
図13に示す予混合装置Acにおいては、予混合流路形成部材4Cが、第1および第2の管状部4b,4cを利用して構成されている。第1の管状部4bの基端部には、空気流入用の開口部40aが設けられおり、第1および第2の管状部4b,4c内は、予混合流路40となっている。第1の管状部4bの先端部と、第2の管状部4cの基端部との相互間には、予混合流路40に開口する隙間としての燃料ガス流出口74aが設けられている。管継手部8に供給された燃料ガスは、第1および第2の管状部4b,4cと、ハウジング部材5Cとの相互間に設けられた領域72を通過して燃料ガス流出口74aに到達する。
ハウジング部材5Cには、たとえば図6に示したのと同様な、2つのベース側孔部71A,71Bを有するベース部55が設けられ、かつこのベース部55には、管継手部8が取付け可能とされている。
【0051】
本実施形態においては、ベンチュリ状の予混合流路40を空気が流れることに起因して、燃料ガス流出口74a付近に負圧が発生し、燃料ガス流出口74aから予混合流路40内に燃料ガスが流出する。先に述べた実施形態とは異なり、燃料ガス流出口74が設けられたブレード部6は用いられていないものの、空気と燃料ガスとの混合気を適切に生成することが可能である。本発明における予混合流路、および予混合流路形成部材は、本実施形態のような構成とすることも可能である。
【0052】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る予混合装置、および燃焼装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。
【0053】
上述の実施形態においては、予混合流路形成部材4,4Cに取付けられた取付け部材としてのハウジング部材5,5Cに、管継手部を取付けるためのベース部55が設けられているが、本発明はこれに限定さない。たとえば、予混合流路形成部材にベース部が設けられ、予混合流路形成部材に管継手部が直接取付けられている構成とすることも可能である。
燃料ガスは、ナチュラルガスおよびLPガスに限定されず、他の種類の燃料ガスを本発明の適用対象とすることもできる。
本発明に係る燃焼装置は、給湯装置用に限定されず、たとえば暖房用や焼却用などの他の用途の燃焼装置とすることもできる。また、燃焼ガスを下向きに進行させるタイプに限らず、燃料ガスをたとえば上向きに進行させるタイプとすることもできる。
【符号の説明】
【0054】
A,Aa~Ac 予混合装置
B 燃焼装置
3a,3b 第1および第2のガス種表示部
4,4C 予混合流路形成部材
40 予混合流路
5,5C ハウジング部材
55 ベース部
7 燃料ガス流路
71,71A,71B ベース側孔部
74,74a 燃料ガス流出口
77,77A,77B 継手側孔部
8 管継手部
80 筒状部(管継手部の)
81 プレート部(管継手部の)
9 ガス管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13