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特許7385826動作分析装置、動作分析方法及び動作分析プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】動作分析装置、動作分析方法及び動作分析プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0639 20230101AFI20231116BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20231116BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20231116BHJP
【FI】
G06Q10/0639
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019203039
(22)【出願日】2019-11-08
(65)【公開番号】P2021077070
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139066
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 雅
(72)【発明者】
【氏名】和田 洋貴
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-197847(JP,A)
【文献】特開2003-006286(JP,A)
【文献】特開2019-101919(JP,A)
【文献】特開2018-045512(JP,A)
【文献】特開2019-114285(JP,A)
【文献】再公表特許第2012/073407(JP,A1)
【文献】特開2013-116676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者が行った作業に関し、前記作業者の複数の部位の動作に関する時系列データを取得する取得部と、
前記時系列データを解析し、要素動作の種類及び前記要素動作の開始時から終了時までの実行時間を表す動作データを生成する解析部と、
前記要素動作の実行タイミングに基づいて、前記複数の部位により行われた前記要素動作を評価する評価部と、
異なる要素動作に対応する期間を区別して、前記評価を前記動作データと併せて表示部に表示するよう制御する表示制御部と、
を備え
前記表示制御部は、前記評価を表すコメントを前記動作データと併せて前記表示部に表示するよう制御する、
動作分析装置。
【請求項2】
前記複数の部位に関する時系列データは、左手及び右手に関する時系列データを含み、
前記評価部は、前記要素動作が前記左手及び前記右手によって並行して実行されている場合に、高評価する、
請求項1に記載の動作分析装置。
【請求項3】
前記評価部は、前記複数の部位がいずれも前記作業に関する動作をしてない場合に、低評価する、
請求項1又は2に記載の動作分析装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記評価を表すアイコンを前記動作データに沿って前記表示部に表示するよう制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の動作分析装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記評価に応じた異なる表示態様で前記動作データを前記表示部に表示するよう制御する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の動作分析装置。
【請求項6】
一又は複数のコンピュータが、
作業者が行った作業に関し、前記作業者の複数の部位に関する時系列データを取得することと、
前記時系列データを解析し、要素動作の種類及び実行時間を表す動作データを生成することと、
前記要素動作の実行タイミングに基づいて、前記複数の部位により行われた前記要素動作を評価することと、
異なる要素動作に対応する期間を区別可能に、前記評価を前記動作データと併せて表示部に表示するよう制御することと、
を含み、
前記制御することは、前記評価を表すコメントを前記動作データと併せて前記表示部に表示するよう制御する、
動作分析方法。
【請求項7】
動作分析装置が備える演算部を、
作業者が行った作業に関し、前記作業者の複数の部位に関する時系列データを取得する取得部、
前記時系列データを解析し、要素動作の種類及び実行時間を表す動作データを生成する解析部、
前記要素動作の実行タイミングに基づいて、前記複数の部位により行われた前記要素動作を評価する評価部、及び
異なる要素動作に対応する期間を区別可能に、前記評価を前記動作データと併せて表示部に表示するよう制御する表示制御部、
として機能させ
前記表示制御部は、前記評価を表すコメントを前記動作データと併せて前記表示部に表示するよう制御する、
動作分析プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作分析装置、動作分析方法及び動作分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者の動作データを測定するモーションセンサや、作業者が動作する様子を撮影した動画を解析して動作データを生成する技術が用いられている。動作データは、作業者が適切な動作をしているか否かを評価するために用いられることがある。
【0003】
例えば下記特許文献1には、被験者の日常生活の身体動作時における身体部位の位置および/または角度を計測し、計測結果に基づいて、被験者の身体部位の運動能力を時系列的に算出し、算出された被験者の身体部位の運動能力に基づいて、上半身、左側の下半身、および右側の下半身の少なくとも3つの身体部位の運動能力の特定値を算出して、運動能力の特定値を、被験者の日常生活の身体動作時における運動能力と評価して、上半身、左側の下半身、右側の下半身に分けて出力する運動能力評価システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6535778号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、複数の身体部位に分けて運動能力を評価しているが、どのような動作がどのような評価に結び付いたのかについてフィードバックが与えられていない。そのため、作業者は、自らの動作のうちどのような点が良く、どのような点が悪いのか把握しづらく、動作の改善が行いづらい。
【0006】
そこで、本発明は、作業者がより円滑に動作を改善することができる動作分析装置、動作分析方法及び動作分析プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る動作分析装置は、作業者が行った作業に関し、作業者の複数の部位の動作に関する時系列データを取得する取得部と、時系列データを解析し、要素動作の種類及び要素動作の開始時から終了時までの実行時間を表す動作データを生成する解析部と、要素動作の実行タイミングに基づいて、複数の部位により行われた要素動作を評価する評価部と、異なる要素動作に対応する期間を区別して、評価を動作データと併せて表示部に表示するよう制御する表示制御部と、を備える。
【0008】
この態様によれば、要素動作に関する評価を動作データと併せて表示することで、どのような要素動作がどのような評価に結び付いたのかについて作業者にフィードバックを与えることができ、作業者がより円滑に動作を改善することができるようになる。
【0009】
上記態様において、複数の部位に関する時系列データは、左手及び右手に関する時系列データを含み、評価部は、要素動作が左手及び右手によって並行して実行されている場合に、高評価してもよい。
【0010】
この態様によれば、左手及び右手を使って要素動作を並行して実行できている場合に高評価を与えることで、作業者がより短時間で作業を行えるように動機付けることができる。
【0011】
上記態様において、評価部は、複数の部位がいずれも作業に関する動作をしてない場合に、低評価してもよい。
【0012】
この態様によれば、作業者が作業に関する動作をしてない場合に低評価を与えることで、作業における無駄時間を減らすように動機付けることができる。
【0013】
上記態様において、表示制御部は、評価を表すアイコンを動作データに沿って表示部に表示するよう制御してもよい。
【0014】
この態様によれば、アイコンによって要素動作に関する評価が一目で把握できるようにすることができる。
【0015】
上記態様において、表示制御部は、評価に応じた異なる表示態様で動作データを表示部に表示するよう制御してもよい。
【0016】
この態様によれば、評価に応じた異なる表示態様で動作データを表示することで、要素動作に関する評価が一目で把握できるようにすることができる。
【0017】
上記態様において、表示制御部は、評価を表すコメントを動作データと併せて表示部に表示するよう制御してもよい。
【0018】
この態様によれば、評価を表すコメントを表示することで、要素動作に関する評価の詳細が把握できるようになる。
【0019】
本開示の他の態様に係る動作分析方法は、作業者が行った作業に関し、作業者の複数の部位に関する時系列データを取得することと、時系列データを解析し、要素動作の種類及び実行時間を表す動作データを生成することと、要素動作の実行タイミングに基づいて、複数の部位により行われた要素動作を評価することと、異なる要素動作に対応する期間を区別可能に、評価を動作データと併せて表示部に表示するよう制御することと、を含む。
【0020】
この態様によれば、どのような要素動作がどのような評価に結び付いたのかについて作業者にフィードバックを与えることができ、作業者がより円滑に動作を改善することができるようになる。
【0021】
本開示の他の態様に係る動作分析プログラムは、動作分析装置が備える演算部を、作業者が行った作業に関し、作業者の複数の部位に関する時系列データを取得する取得部、時系列データを解析し、要素動作の種類及び実行時間を表す動作データを生成する解析部、要素動作の実行タイミングに基づいて、複数の部位により行われた要素動作を評価する評価部、及び異なる要素動作に対応する期間を区別可能に、評価を動作データと併せて表示部に表示するよう制御する表示制御部、として機能させる。
【0022】
この態様によれば、どのような要素動作がどのような評価に結び付いたのかについて作業者にフィードバックを与えることができ、作業者がより円滑に動作を改善することができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、作業者がより円滑に動作を改善することができる動作分析装置、動作分析方法及び動作分析プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る動作分析システムの概要を示す図である。
図2】本実施形態に係る動作分析装置の機能ブロックを示す図である。
図3】本実施形態に係る動作分析装置の物理的構成を示す図である。
図4】本実施形態に係る動作分析装置により生成される動作データを示す図である。
図5】本実施形態に係る動作分析装置により表示制御される画面例を示す図である。
図6】本実施形態に係る動作分析装置により実行される表示制御処理の第1例のフローチャートである。
図7】本実施形態に係る動作分析装置により実行される表示制御処理の第2例のフローチャートである。
図8】本実施形態に係る動作分析装置により実行される表示制御処理の第3例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0026】
§1 適用例
まず、図1を用いて、本発明が適用される場面の一例について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る動作分析システム100の概要を示す図である。本実施形態に係る動作分析システム100は、作業領域Rにおいて実行される作業者の動作に関する動画を撮影するカメラ20と、作業者の手が所定の領域に出入りしたことを検出する光電センサ21と、所定の領域に加えられた圧力を測定する圧力センサ22とを備える。ここで、カメラ20により撮影される動画、光電センサ21により測定される信号及び圧力センサ22により測定される信号は、それぞれ本発明の時系列データの例である。本例の作業領域Rは、製造ライン全体を含む領域であるが、作業領域Rは、任意の領域であってよく、例えば所定の工程が行われる領域であったり、所定の要素動作が行われる領域であったりしてよい。ここで、要素動作とは、作業者により実行される一単位の動作であり、例えば、部品の把持、部品の運搬、部品の組み立て及び調整、組み立てた製品の収納といった動作を含む。
【0027】
本例では、第1作業者A1及び第2作業者A2が、作業領域Rにおいて、予め定められた作業を行う場合について説明する。以下では、第1作業者A1及び第2作業者A2を総称して作業者Aと記載する。
【0028】
動作分析システム100は、動作分析装置10を含む。動作分析装置10は、動画等の作業者Aの複数の部位の動作に関する時系列データを取得し、時系列データを解析して、要素動作の種類及び要素動作の開始時から終了時までの実行時間を表す動作データを生成する。そして、動作分析装置10は、要素動作の実行タイミングに基づいて、複数の部位により行われた要素動作を評価し、異なる要素動作に対応する期間を区別して、評価を動作データと併せて表示部10fに表示するよう制御する。
【0029】
表示部10fは、異なる要素動作に対応する期間を区別して、評価を動作データと併せて表示する。また、表示部10fは、評価を表すコメントを表示してもよい。さらに、表示部10fは、作業者Aの動作に関する動画を、複数の要素動作毎に再生してもよい。
【0030】
本実施形態に係る動作分析装置10によれば、要素動作に関する評価を動作データと併せて表示することで、どのような要素動作がどのような評価に結び付いたのかについて作業者にフィードバックを与えることができ、作業者がより円滑に動作を改善することができるようになる。
【0031】
§2 構成例
[機能構成]
図2は、本実施形態に係る動作分析装置10の機能ブロックを示す図である。動作分析装置10は、取得部11、解析部12、記憶部13、評価部14及び表示制御部15を備える。
【0032】
<取得部>
取得部11は、作業者Aが行った作業に関し、作業者Aの複数の部位の動作に関する時系列データを取得する。時系列データは、カメラ20で撮影した動画、光電センサ21で測定した信号及び圧力センサ22で測定した信号を含む。
【0033】
<解析部>
解析部12は、時系列データを解析し、要素動作の種類及び要素動作の開始時から終了時までの実行時間を表す動作データを生成する。要素動作の種類は、例えば、部品の把持、運搬、調整及び収納であるが、これら以外の種類の動作を含んでもよい。また、要素動作は、任意に設定されてよい。要素動作の開始時及び終了時は、時刻によって表されてもよいし、時系列データの開始時点からの経過時間で表されてもよい。
【0034】
<記憶部>
記憶部13は、解析部12により生成された動作データ13aを記憶する。記憶部13は、時系列データを記憶してもよい。
【0035】
<評価部>
評価部14は、要素動作の実行タイミングに基づいて、複数の部位により行われた要素動作を評価する。複数の部位に関する時系列データが、左手及び右手に関する時系列データを含む場合、評価部14は、要素動作が左手及び右手によって並行して実行されている場合に、高評価してよい。このように、左手及び右手を使って要素動作を並行して実行できている場合に高評価を与えることで、作業者がより短時間で作業を行えるように動機付けることができる。
【0036】
評価部14は、複数の部位がいずれも作業に関する動作をしてない場合に、低評価してよい。このように、作業者が作業に関する動作をしてない場合に低評価を与えることで、作業における無駄時間を減らすように動機付けることができる。
【0037】
<表示制御部>
表示制御部15は、異なる要素動作に対応する期間を区別して、評価を動作データと併せて表示部10fに表示するよう制御する。異なる要素動作に対応する期間を区別することは、異なる要素動作に対応する期間を異なる表示態様で表示させることを含む。評価を動作データと併せて表示することは、動作データを時系列順に表示し、その動作データが表す要素動作の実行タイミングに対応するように評価を表示することを含む。
【0038】
表示制御部15は、評価を表すアイコンを動作データに沿って表示部10fに表示するよう制御してもよい。アイコンは、高評価であるか、低評価であるかを視覚的に示すものであってよく、高評価を表す丸印及び低評価を表すバツ印を含んでよい。このように、アイコンによって要素動作に関する評価が一目で把握できるようにすることができる。
【0039】
表示制御部15は、評価に応じた異なる表示態様で動作データを表示部10fに表示するよう制御してもよい。表示制御部15は、例えば、高評価の要素動作に対応する動作データを青色で表示させ、低評価の要素動作に対応する動作データを赤色で表示させてよい。このように、評価に応じた異なる表示態様で動作データを表示することで、要素動作に関する評価が一目で把握できるようにすることができる。
【0040】
表示制御部15は、評価を表すコメントを動作データと併せて表示部10fに表示するよう制御してもよい。コメントは、高評価であること、低評価であること、評価の理由及び評価を改善するためのアドバイスを含んでよい。このように、評価を表すコメントを表示することで、要素動作に関する評価の詳細が把握できるようになる。
【0041】
[ハードウェア構成]
図3は、本実施形態に係る動作分析装置10の物理的構成を示す図である。動作分析装置10は、演算部に相当するCPU(Central Processing Unit)10aと、記憶部に相当するRAM(Random Access Memory)10bと、記憶部に相当するROM(Read only Memory)10cと、通信部10dと、入力部10eと、表示部10fと、を有する。これらの各構成は、バスを介して相互にデータ送受信可能に接続される。なお、本例では動作分析装置10が一台のコンピュータで構成される場合について説明するが、動作分析装置10は、複数のコンピュータが組み合わされて実現されてもよい。また、図3で示す構成は一例であり、動作分析装置10はこれら以外の構成を有してもよいし、これらの構成のうち一部を有さなくてもよい。
【0042】
CPU10aは、RAM10b又はROM10cに記憶されたプログラムの実行に関する制御やデータの演算、加工を行う制御部である。CPU10aは、作業者が行った作業に関する時系列データを解析して動作データを生成し、動作データとその評価を表示部に表示するように制御するプログラム(動作分析プログラム)を実行する演算部である。CPU10aは、入力部10eや通信部10dから種々のデータを受け取り、データの演算結果を表示部10fに表示したり、RAM10bに格納したりする。
【0043】
RAM10bは、記憶部のうちデータの書き換えが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。RAM10bは、CPU10aが実行するプログラム、動作データといったデータを記憶してよい。なお、これらは例示であって、RAM10bには、これら以外のデータが記憶されていてもよいし、これらの一部が記憶されていなくてもよい。
【0044】
ROM10cは、記憶部のうちデータの読み出しが可能なものであり、例えば半導体記憶素子で構成されてよい。ROM10cは、例えば動作分析プログラムや、書き換えが行われないデータを記憶してよい。
【0045】
通信部10dは、動作分析装置10を他の機器に接続するインターフェースである。通信部10dは、インターネット等の通信ネットワークに接続されてよい。
【0046】
入力部10eは、ユーザからデータの入力を受け付けるものであり、例えば、キーボード及びタッチパネルを含んでよい。
【0047】
表示部10fは、CPU10aによる演算結果を視覚的に表示するものであり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されてよい。表示部10fは、動作データ及びその評価を表示してよい。
【0048】
動作分析プログラムは、RAM10bやROM10c等のコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供されてもよいし、通信部10dにより接続される通信ネットワークを介して提供されてもよい。動作分析装置10では、CPU10aが動作分析プログラムを実行することにより、図2を用いて説明した様々な動作が実現される。なお、これらの物理的な構成は例示であって、必ずしも独立した構成でなくてもよい。例えば、動作分析装置10は、CPU10aとRAM10bやROM10cが一体化したLSI(Large-Scale Integration)を備えていてもよい。
【0049】
§3 動作例
図4は、本実施形態に係る動作分析装置10により生成される動作データを示す図である。同図では、左手の動作データD1及び右手の動作データD2の一例を示している。同図に記載したt1~t12という文字は、時系列順に並んだ時刻を示している。
【0050】
左手の動作データD1及び右手の動作データD2は、要素動作の種類を示す「要素動作」の列と、要素動作の開始時を示す「開始時」の列と、要素動作の終了時を示す「終了時」の列とを含む。
【0051】
例えば、左手の動作データD1について、開始時が「t2」であり、終了時が「t4」である「要素動作」は、「把持」である。また、右手の動作データD2について、開始時が「t1」であり、終了時が「t3」である「要素動作」は、「把持」である。この場合、右手で把持の動作が開始され、その後、左手で把持の動作が開始されて、右手の把持が終了し、左手の把持が終了したことを表している。
【0052】
また、右手の動作データD2について、開始時が「t7」であり、終了時が「t8」である「要素動作」は、「NA」であり、作業に関する動作が行われていないことを示している。なお、「要素動作」が「NA」であることは、作業者Aが停止していることや所定の要素動作と関係しない動作を行っていることを含む。
【0053】
図5は、本実施形態に係る動作分析装置10により表示制御される画面例を示す図である。本例は、図4に示す左手の動作データD1及び右手の動作データD2を動作分析装置10によって評価し、評価及び動作データを併せて表示させている例である。
【0054】
例えば、時刻t1からt3まで右手で把持の動作が行われ、時刻t2からt4まで左手で把持の動作が行われていることが、把持を示すグラフによって表示されている。ここで、時刻t2からt3まで、右手及び左手で把持を並行して実行している。動作分析装置10は、把持の要素動作が右手及び左手によって並行して実行されていることを検出し、その動作について高評価を与える。そのような高評価に対応して、「両手作業」というコメント、丸印のアイコン及び両手作業を表すアイコンが表示されている。このようなアイコンは、時刻t4からt5までに関しても表示されている。時刻t4からt5までは、運搬の要素動作が右手及び左手によって並行して実行されている。
【0055】
一方、時刻t7からt8まで、右手及び左手がいずれも作業に関する動作をしていない。換言すると、時刻t7からt8までの動作データは、右手及び左手がいずれもNAである。動作分析装置10は、右手及び左手がいずれも作業に関する動作をしていない場合、低評価を与える。そのような低評価に対応して、「無駄」というコメント、バツ印のアイコン及び手が彷徨う様子を示すアイコンが表示されている。
【0056】
図6は、本実施形態に係る動作分析装置10により実行される表示制御処理の第1例のフローチャートである。表示制御処理の第1例は、動作データを表示部10fに表示するよう制御する処理の例である。
【0057】
はじめに、動作分析装置10は、手順データを記憶部13から読み込む(S10)。ここで、手順データは、作業者Aの作業に関する理想的な手順を示した動作データである。手順データは、記憶部13から読み込まれてよいが、外部記憶装置から読み込まれてもよい。
【0058】
次に、動作分析装置10は、手順データの終端まで、以下の処理S111及びS112を繰り返し実行する(S11)。動作分析装置10は、要素動作の開始時から終了時までの実行時間に応じて、表示幅を設定し(S111)、異なる要素動作に対応する期間を区別して、左詰めでデータを表示する(S112)。
【0059】
表示制御処理の第1例が実行されることで、手順データが、時系列順に、実行時間に応じた幅で表示部10fに表示される。
【0060】
図7は、本実施形態に係る動作分析装置10により実行される表示制御処理の第2例のフローチャートである。表示制御処理の第2例は、表示制御処理の第1例の後に実行される処理であり、要素動作の評価を動作データと併せて表示するよう制御する処理の例である。
【0061】
動作分析装置10は、右手の動作データを読み込み(S12)、左手の動作データを読み込む(S13)。なお、当然ながら、右手の動作データ及び左手の動作データを読み込む順序は、どちらが先でもよい。
【0062】
次に、動作分析装置10は、動作データの終端まで、以下の処理S141~S145を繰り返し実行する(S14)。動作分析装置10は、要素動作の開始時から終了時までの実行時間に応じて、表示幅を設定し(S141)、異なる要素動作に対応する期間を区別して、左詰めでデータを表示する(S142)。
【0063】
そして、動作分析装置10は、両手により行われた要素動作を評価し(S143)、その要素動作に関する評価が高評価又は低評価である場合(S144:YES)、評価を表すアイコンをデータに沿って表示する(S145)。一方、要素動作に関する評価が高評価又は低評価でない場合(S144:NO)、動作分析装置10は、アイコンを表示せずに次の処理を実行する。
【0064】
表示制御処理の第2例が実行されることで、右手及び左手の動作データが、時系列順に、実行時間に応じた幅で表示部10fに表示され、動作データと併せて評価を表すアイコンが表示部10fに表示される。
【0065】
図8は、本実施形態に係る動作分析装置10により実行される表示制御処理の第3例のフローチャートである。表示制御処理の第3例は、表示制御処理の第1例の後に実行される処理であり、要素動作の評価に応じて動作データの表示態様を変更するよう制御する処理の例である。
【0066】
動作分析装置10は、右手の動作データを読み込み(S12)、左手の動作データを読み込む(S13)。なお、当然ながら、右手の動作データ及び左手の動作データを読み込む順序は、どちらが先でもよい。
【0067】
次に、動作分析装置10は、動作データの終端まで、以下の処理S141~S145を繰り返し実行する(S14)。動作分析装置10は、要素動作の開始時から終了時までの実行時間に応じて、表示幅を設定し(S141)、異なる要素動作に対応する期間を区別して、左詰めでデータを表示する(S142)。
【0068】
そして、動作分析装置10は、両手により行われた要素動作を評価し(S143)、その要素動作に関する評価が高評価又は低評価である場合(S144:YES)、動作データの表示態様を、評価に応じて変更する(S145)。動作分析装置10は、例えば、高評価の要素動作に対応する動作データを青色で表示し、低評価の要素動作に対応する動作データを赤色で表示してよい。一方、要素動作に関する評価が高評価又は低評価でない場合(S144:NO)、動作分析装置10は、動作データの表示態様を変更せず、例えば黒色で表示させて次の処理を実行する。
【0069】
表示制御処理の第3例が実行されることで、右手及び左手の動作データが、時系列順に、実行時間に応じた幅で表示部10fに表示され、要素動作の評価に応じた表示態様で動作データが表示部10fに表示される。
【0070】
本発明の実施形態は、以下の付記のようにも記載され得る。ただし、本発明の実施形態
は、以下の付記に記載した形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、付記間の記
載を置換したり、組み合わせたりした形態であってもよい。
【0071】
[付記1]
作業者が行った作業に関し、前記作業者の複数の部位の動作に関する時系列データを取得する取得部(11)と、
前記時系列データを解析し、要素動作の種類及び前記要素動作の開始時から終了時までの実行時間を表す動作データを生成する解析部(12)と、
前記要素動作の実行タイミングに基づいて、前記複数の部位により行われた前記要素動作を評価する評価部(14)と、
異なる要素動作に対応する期間を区別して、前記評価を前記動作データと併せて表示部に表示するよう制御する表示制御部(15)と、
を備える動作分析装置(10)。
【0072】
[付記2]
前記複数の部位に関する時系列データは、左手及び右手に関する時系列データを含み、
前記評価部(14)は、前記要素動作が前記左手及び前記右手によって並行して実行されている場合に、高評価する、
付記1に記載の動作分析装置(10)。
【0073】
[付記3]
前記評価部(14)は、前記複数の部位がいずれも前記作業に関する動作をしてない場合に、低評価する、
付記1又は2に記載の動作分析装置(10)。
【0074】
[付記4]
前記表示制御部(15)は、前記評価を表すアイコンを前記動作データに沿って前記表示部に表示するよう制御する、
付記1から3のいずれか一項に記載の動作分析装置(10)。
【0075】
[付記5]
前記表示制御部(15)は、前記評価に応じた異なる表示態様で前記動作データを前記表示部に表示するよう制御する、
付記1から3のいずれか一項に記載の動作分析装置(10)。
【0076】
[付記6]
前記表示制御部(15)は、前記評価を表すコメントを前記動作データと併せて前記表示部に表示するよう制御する、
付記1から5のいずれか一項に記載の動作分析装置(10)。
【0077】
[付記7]
作業者が行った作業に関し、前記作業者の複数の部位に関する時系列データを取得することと、
前記時系列データを解析し、要素動作の種類及び実行時間を表す動作データを生成することと、
前記要素動作の実行タイミングに基づいて、前記複数の部位により行われた前記要素動作を評価することと、
異なる要素動作に対応する期間を区別可能に、前記評価を前記動作データと併せて表示部に表示するよう制御することと、
を含む動作分析方法。
【0078】
[付記8]
動作分析装置(10)が備える演算部を、
作業者が行った作業に関し、前記作業者の複数の部位に関する時系列データを取得する取得部(11)、
前記時系列データを解析し、要素動作の種類及び実行時間を表す動作データを生成する解析部(12)、
前記要素動作の実行タイミングに基づいて、前記複数の部位により行われた前記要素動作を評価する評価部(14)、及び
異なる要素動作に対応する期間を区別可能に、前記評価を前記動作データと併せて表示部に表示するよう制御する表示制御部(15)、
として機能させる動作分析プログラム。
【符号の説明】
【0079】
10…動作分析装置、10a…CPU、10b…RAM、10c…ROM、10d…通信部、10e…入力部、10f…表示部、11…取得部、12…解析部、13…記憶部、13a…動作データ、14…評価部、15…表示制御部、20…カメラ、21…光電センサ、22…圧力センサ、100…動作分析システム
図1
図2
図3
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図7
図8