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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】情報端末機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/34 20130101AFI20231116BHJP
   G06F 21/45 20130101ALI20231116BHJP
【FI】
G06F21/34
G06F21/45
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021131468
(22)【出願日】2021-07-02
(65)【公開番号】P2021176112
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2023-04-12
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302005640
【氏名又は名称】藤波 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤波 誠
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08707452(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0074069(US,A1)
【文献】特開2021-083050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0130957(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0204256(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/34
G06F 3/02
G06F 21/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面を有するコンピュータ機器に文字情報または位置情報を送信する情報端末機器であって、複数の入力項目と複数の文字列とを対応付けて記録した書換え可能メモリが着脱可能であり、前記情報端末機器に備えられたモード切替え手段によって第1モードと第2モードを切替えることができ、第1モードにおいては手動により文字情報または位置情報を前記コンピュータ機器に送信し、第2モードにおいては、前記複数の入力項目の一覧表示を前記表示画面上にポップアップ表示し、ユーザーが前記情報端末機器に備えられた文字情報入力手段または位置情報入力手段を用いて1つの入力項目を選択することにより、該1つの入力項目に対応付けられた文字列を自動的に前記コンピュータ機器に送信することを特徴とする情報端末機器。
【請求項2】
前記複数の入力項目と複数の文字列とを対応付けた一覧表を生成し、前記情報端末機器のモードが第1モードから第2モードに切替わったことを検知すると前記複数の入力項目 の一覧表を前記表示画面上にポップアップ表示し、さらに前記の選択された入力項目を強調表示することを特徴とする請求項1のコンピュータ機器。
【請求項4】
前記コンピュータ機器はタブレット型コンピュータまたはスマートフォンであることを特徴とする請求項1の情報端末機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常は文字をコンピュータに入力するためのキーボード、あるいは位置情報を入力するマウス等の情報端末機器であって、ユーザーがモードを切替えることにより所定の文字列を安全で正確に自動的にコンピュータに入力することができる情報端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からコンピュータを使用する場合に、パスワードやクレジットカード番号等の色々な機密情報の入力を要求されることが多い。特に最近はセキュリティの観点から、使い回しをしない様に様々なパスワードを使い分けており、必然的にパスワードの種類が増えて来ている。単純に考えれば、使用するコンピュータ内にこれらをリストにして管理するのが便利であり、現にパスワードをインターネット内のシステムに保存することを促すサイトもある。しかし、コンピュータシステム内に機密情報を入力しておくと、スパイウェア等によってハッキングされ外部に漏れる危険性があり、一般には避けるべきものとされている。現在はクラウド上に暗号化したパスワードを保管するインターネットのサービスもあるが、これらのサービスにおいてもパスワードが外部から見えてしまった事故の例もあり、やはりコンピュータシステム上にあることは危険を伴っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
増える一方のパスワード等のすべてを人が頭に記憶することは無理なので、普通は紙にメモしたものを準備して、これを見ながらコンピュータに文字入力をするか、USBメモリ等の着脱可能な書換え可能メモリにパスワードを書き込んでおき、必要な場合だけコンピュータに接続して使う工夫をしているのが現状である。
しかし、いずれにしてもパスワード等は手入力で入力しており、パスワードが次第に長く複雑になり、数字だけでなく英文字の大文字、小文字を混ぜることが求められ、キーボードのシフトキーを頻繁に使うと入力ミスが多くなって、最悪の場合には入力エラーが連続してサイトがロックされてしまうおそれもあった。
【0004】
本発明は、これらの問題を解決するために発明されたもので、その目的は、パスワードやクレジット番号等の重要な文字列を、高いセキュリティを保ちながら自動的にコンピュータに入力できる情報機器端末を提供することにある。また、本発明は、これらの重要な文字列が記録されたメモリが紛失や盗難によって他人の手に渡ったとしても、その機密情報が読み取られない様に暗号化する方法も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる情報端末機器は、パスワードやクレジット番号等の重要な文字列を記録した市販のUSBメモリやSDメモリカード(登録商標)等の書換え可能メモリを利用するが、これらの書換え可能メモリをコンピュータシステムのメモリマップの外に置いて情報機器端末のローカルメモリとすることで、パスワード等を自動的に誤りなくコンピュータに入力することができる。また、本発明は、これらのメモリが紛失や盗難によって他人の手に渡ったとしても、暗号化された秘密情報を復号化する復号キーを本発明にかかる情報端末機器の内部の不揮発性メモリに記録することで、暗号化された機密情報が読み取られない様にする方法も提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明のコンピュータシステムの図である。
図2】本発明にかかるキーボードの回路構成図である。
図3】コンピュータの画面に現れる入力窓の図である。
図4】入力項目表の一例である。(Gmail、Amazon、楽天は登録商標である。)
図5】全体表の一例である。
図6】文字列を自動送信した後の入力窓の図である。
図7A】ホルダがある入力項目表の一例である。
図7B】階層表示された入力項目表の一例である。(VISA、JCBは登録商標である。)
図8】階層表示された全体表の一例である。
図9】本発明にかかるマウスの図である。
図10】本発明にかかるマウスの回路構成図である。
図11】複数のモード切替えボタンを備えたマウスの図である。
図12】暗号化全体表である。
図13】USBメモリをキーボードに装着した場合のフローチャートである。
図14】コンピュータ、USBメモリ、キーボードに記録されるデータである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は本発明の利用環境を説明する実施例の図であり、これは通常のコンピュータシステムと同様で、コンピュータ1、キーボード2、マウス3から構成されている。なお、第1図においては、コンピュータ機器は一般のデスクトップ型コンピュータであるが、本発明でのコンピュータ機器はデスクトップ型コンピュータに限らず、携帯型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等のコンピュータ機能を有する装置全般を意味している。
【0008】
以下、まず本発明をキーボード2に適用した場合を説明するが、キーボード2は有線方式、無線方式を問わず、どのタイプであってもよく、コンピュータに通常の文字情報を送信できるものであれば、タッチパネルやデジタイザを利用したものでもよい。なお、以下の説明ではコンピュータ1はCPU、ROM、RAMおよびHDD等の大容量記憶装置によって構成される一般的なものとして詳細説明は省略するが、キーボード2と共通の書換え可能メモリが装着できる様に、例えばUSBポート14が設けられている。
【0009】
図2は本発明にかかるキーボード2の回路構成図を示すもので、ほぼ普通のキーボードと同様であるが、書換え可能メモリを着脱するためのUSBポート24が付いている。なお、本実施例ではこの書換え可能メモリはUSBメモリ5にしているが、着脱できる書換え可能メモリであればよく、例えばSDメモリカード等を使用してもよい。また、USBポート付きのキーボードは、一種のハブの機能を持つものとして市販されているが、そのUSBポートはコンピュータのシステムバスに繋がっていて、コンピュータはUSBポートに装着された書換え可能メモリにアクセスできる様になっている。これに対して本発明においては、USBメモリ5は図2で示す様にキーボード2のローカルメモリとなり、コンピュータ1のメモリマップの外にあることが特徴である
【0010】
本発明はこのローカルメモリとしてのUSBメモリ5に、複数の入力項目とそれらに対応する複数のパスワード等の文字列を記録して、ユーザーが選択手段によってその中から入力項目を選択すると、それに対応する文字列をコンピュータ1に自動的に送信する。
【0011】
図2において、本発明にかかるキーボード2は、CPU20、ユーザーがキーを打って文字を入力するためのキー入力手段270、このキー入力を検知するキー入力検出手段260、コンピュータ1からデータを受信するデータ受信手段250、コンピュータ1にデータを送信するデータ送信手段251、さらに内部バス280によって接続されているROM27、RAM28、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ29を有しているが、USBメモリ5は、それがUSBポート24に装着されている場合には、これらと共通に内部バス280で繋がる。なお、データ受信手段250がコンピュータ1から受信するデータは、主にキーボード2の起動時の初期化信号であり、コンピュータ1との接続設定後はデータ送信手段251がコンピュータへ送信するデータは、キーボード2からの各種の文字コードを含んだパケット信号が主要なものとなる。
【0012】
本発明においては、キーボード2は有線方式でも無線方式のいずれでも構わない。なお、図2で図示しない構成要素として電力制御部があり、無線方式の場合には更に電池や半導体を駆動するための昇圧回路、無線通信のための高周波回路が加わることになる。
CPU20は、ROM27に格納されている制御プログラムをRAM28のプログラム領域に展開してキーボード2の各部を制御する処理を実行するが、後述する様にUSBメモリ5から読取った複数の入力項目と複数の文字列とを対応付けた記録からこれらの一覧表を生成し、第2モードにおいてユーザーの選択に従って所望の文字列を自動的にコンピュータ1に送信する制御も実行する。
【0013】
なお、コンピュータ1がUSBメモリ5の内容を知るためには、キーボード2のCPU20を介して読み出す必要があるが、キーボード2のCPU20は第1モードにおいても第2モードにおいてもROM27のプログラムによってルーティーンな処理を実行するだけなので、任意のアドレスのメモリ内容をコンピュータ1へ送信することはない。したがって、コンピュータ1がインターネットに接続されていても、ハッキングによりUSBポート24に装着されたUSBメモリ5の内容が外部に漏洩しまう危険性はない。
【0014】
以下、本発明による情報端末機器の原理を理解するために、まずその使い方を説明する。ユーザーがキーボード2やマウス3を使ってコンピュータ1を利用しているときに、図3に示す様な画面が出てきて入力窓6にパスワード等の入力を促されたとする。その場合、従来はカーソルをマウス等で入力窓6に設定したあと、手入力でパスワード等の文字列をキー入力手段270で入力していた。これに対して本発明のキーボード2を用いる場合は、カーソル位置を入力位置に指定するところまでは従来と同様で、以後これを通常のキーボードの使い方として第1モードと呼ぶことにする。
【0015】
その後、ユーザーがモード切替え手段としてキーボード2の中で予め割当ててある図1のファンクションキー21を押すと、CPU20はキーボード2の制御を、文字列を自動的にコンピュータ1に送信する第2モードに切替える。一方、コンピュータ1はこの切替え信号を検知すると、予めコンピュータ1の不揮発性メモリに保存していた図4の様な複数の入力項目の一覧表をコンピュータ1の表示画面11にポップアップ表示する。この一覧表はユーザーがバスワード等の重要文字列を入力する先の入力項目の一覧表であって、そのユーザー専用に作成されたものであり、以後この一覧表を入力項目表と呼ぶことにする。なお、入力項目表の作成方法は後述する。
【0016】
一方、キーボード2のRAM28内には図5の様な複数の入力項目とそれに対応付けられている複数のパスワード等の文字列からなる表が生成されている。図5の一覧表を以後、全体表と呼ぶが、全体表の作成方法は後述する。全体表は概念的なものであるが、図4のコンピュータ1の表示画面11にポップアップ表示された入力項目表と横方向の行番号で完全に対応しており、入力項目の右隣欄にそこに入力したいパスワード等の文字列が記録されている。ただし、図5の一覧表は図4の一覧表とは異なり、キーボード2のRAM28内に生成されたもので、人が外部から見るものではない。したがって、RAM28内の実際の全体表では入力項目の名称や罫線は不要であるが、以下では理解しやすい様にそのまま残して説明する。
【0017】
ここで、ユーザーは前記のコンピュータ1の表示画面11にポップアップされた入力項目表を見ながら、入力項目を選択する手段として図1のキーボード2の上下方向のカーソル移動キー22を操作する。ユーザーがカーソル移動キー22を押すと、キーボード2のCPU20は図5の全体表の中で現在キーボード2が保持している行番号をコンピュータ1に送信し、コンピュータ1はこれを受信して、ポップアップ表示された図4の同じ行番号の行を強調表示する。強調表示の例としては、行の色を変更することや、網点を重畳したりすることが考えられるが、矢印が行を指し示す様にしてもよい。この強調表示により、ユーザーは自分がどこの入力項目を選択しているのかが識別できるので、ユーザーはカーソル移動キー22を押して図5の全体表の行番号を変化させながら、ポップアップされた画面の中で所望の入力項目が強調表示された時に、モード切替えのためのファンクションキー21を再び押す。
【0018】
すると、キーボード2のCPU20は入力項目に対応付けられている表の右側にあるパスワード等の文字列を読み込んで、あたかもユーザーがキーボードを打った様にコンピュータ1にその文字列のコード信号を順番にコンピュータ1が過負荷にならない程度のレポートレートで送信する。すなわち、もし送信するパスワード等の文字列が8文字である場合には、8文字分を連続して送信し、文字列が20文字であれば20文字分を連続して送信する。なお、この場合、後述する様に文字列には通常の文字だけでなく、TABキー等の制御信号が含まれていてもよい。
【0019】
そして文字列を送信し終わるとキーボード2のモードは自動的に通常の第1モードに戻り、コンピュータ1はモード切替え信号を再度受信すると表示画面11のポップアップ表示を消すように設定してある。したがって、この時にコンピュータ1の表示画面11は図6に示す様に、ユーザー自身がキーボード2を打ってパスワード入力を終了した場合と同じ状態になっているので、ユーザーはキーボード2のエンターキーを押すかマウス3で表示画面11上にある送信ボタン7を押すことにより、パスワード等の送信を実行させればよい。なお、もし間違えてモード切替えのファンクションキー21を押した場合や、途中でパスワード入力作業をキャンセルしたい場合には、図4の最終行にあるキャンセル行を選択してからモード切替えファンクションー21を押すと、モードは単純に第1モードに戻り、何も実行しなかったことに設定しておく。なお、キーボード2が初期に持つ行番号は適当なデフォールト値を定めておけばよい。また、上記では入力項目を選択するのにカーソル移動キー22を操作したが、図1のテンキーで直接に行番号を打ち込んで、入力項目を選択できる様にしてもよい。
【0020】
次に第4図の入力項目表と第5図の全体表の作成方法を説明する。これらはコンピュータ1に既存の表計算ソフトやワープロソフトをアドイン(プラグイン)したユーザーインターフェースで作成する。まず、ユーザーはコンピュータ1のUSBポート14にUSBメモリ5を挿入する。次に、ユーザーは複数の入力項目とそれらに対応付けられた複数の文字列を入力し、図5の全体表を作成する。この一覧表は機密情報そのものであるが、コンピュータ1にあるのは全体表が作成されている一時的な時間であり問題はない。図5の全体表が完成したあと、ユーザーは前記ユーザーインターフェースに図5の全体表をUSBメモリ5の所定アドレスに書き込む指示を行う。ただし、図5の一覧表はユーザーが見て分かる体裁になっているので、これをキーボード2のCPU20が処理しやすいように再構成してUSBメモリ5に書き込む。
【0021】
一方、コンピュータ1は図5の全体表のうち、入力項目の部分だけの入力項目表、すなわち図4だけをコンピュータ1の不揮発性メモリに保存し、図5のパスワード等の文字列はその後の漏洩を防ぐために全て消去する。
【0022】
次にユーザーは上記の様にして図5に対応する一覧表が書き込まれたUSBメモリ5をコンピュータ1のUSBポート14から外して、キーボード2のUSBポート24に装着する。キーボード2のCPU20はUSBメモリ5の装着を検知すると、前記の所定のメモリ位置にある図5の全体表をキーボード2のRAM28に書き込む。
【0023】
この場合、USBメモリ5は図5の一覧表を変更、修正する場合に再使用するが、内容は機密情報そのものであり、これが紛失したり盗難されたりして他人の手にわたると解読されてしまうおそれがあるので、しっかりした保管管理が必要である。なお、これに対する対策として、USBメモリ5の内容を暗号化することができるが、これについては後述する。
【0024】
次に、入力項目の一覧表を階層表示する実施例について図7Aで説明する。図4では入力項目がすべて表示される様にしていたが、入力項目が多くなるとユーザーはその中から必要な入力項目を見つけにくくなる。それで図7Aに示す様に、使う頻度の高い入力項目はそのまま直接見られる様に上位位置に配し、その他の入力項目はカテゴリ別にホルダを作り、2段階の階層表示とする。ホルダの表示はそれがホルダであることが分かる様に、その行の色や罫線枠等のデザインを変更しておく。この場合、ユーザーがモード切替えのためのファンクションキー21を最初に押すと、まず図7Aの一覧表が表示画面11にポップアップ表示される。もしユーザーが行番号1~4の入力項目を選択した場合は、前述した説明の通りであるが、行番号7のクレジットカードのホルダを選択して再度ファンクションキー21を押した場合には、キーボード2のCPU20は文字列をコンピュータ1に送信せずに、ポップアップ表示を図7Bに切替える。たとえば図7Bはクレジットカード用の入力項目の一覧表示であり、ユーザーはこの中から所望の入力項目を上下方向のカーソル移動キー22によって選択し、あとは前述した操作と同様な操作を行う。
【0025】
階層表示をするために、複数の入力項目とそれに対応付けられている全体表(図5)の方も図7A図7Bと同様な階層表示の構成になっているが、図8はこの場合のキーボード2のRAM28内に展開された全体表の概念図である。ユーザーが選択したクレジットカードのカード番号がコンピュータ1に送信すべき文字列であり、それをキーボード2のCPU20が送信するのは前述の説明と同様である。ただし、クレジットカード番号は通常16桁の数字であり、インターネットのサイトが要求する入力窓は4桁ずつの場合が多いが、16桁連続入力するものもあるので、これらに対応するために同じクレジットカード番号でもTABキー(図8では便宜的に●で表す)ありの文字列とTABキーなしの文字列を二通り用意しておくことが便利である。この様に、よく利用するインターネットのサイトの入力パターンは決まっているので、制御キーも含めた文字列を記憶させることによって使い勝手をよくすることができる。
なお、上記の例では階層表示を2段階としたが3段階以上にすることも可能である。
【0026】
以上は本発明の情報端末機器をキーボードとした実施例であったが、本発明を位置入力の情報端末機器であるマウスにも適用できる。むしろ最近ではコンピュータのユーザーインターフェースはマウスが多用される様になっている。特に本発明をマウスに適用した場合には、腕を動かすことなく片手だけで操作できるのでより便利である。
図9は本発明にかかるマウス3の例であり、図10はその回路構成図である。マウス3には右スイッチ33、左スイッチ34、SDメモリカード36等が備えられている。マウス3においては、小型化のために着脱できる書換え可能メモリとしてSDメモリカード36を用いているが、USBメモリを使用することもできる。なお、SDメモリカードにする場合は、コンピュータ1にもSDメモリカードのポートがあることが必要である。インジケータ35はモードの切替えを示すが、マウス3でも前述のポップアップ表示がその役目を果たすので省略することもできる。マウス3の場合は、キーボード2のファンクションキー21の代わりにマウス側面の操作しやすい適当な位置にモード切替えボタン31を備えてある。また、通常のマウスにも備えられているホイール32からホイール回転の位置情報がマウスのCPU30に伝えられる。本発明のマウス3の基本動作原理は前述のキーボード2の場合と同様であり、キーボード2のファンクションキー21と上下方向のカーソル移動キー22をそれぞれマウス3のモード切替えボタン31とホイール32に置き換えたと考えればよい。
【0027】
すなわち、ユーザーが所望のパスワード等をコンピュータ1に入力する場合、まずユーザーはモード切替えボタン31を押してモードを第1モードから第2モードに切り替える。するとこのモード切替え信号を受けてコンピュータ1は、その表示画面11に図4の入力項目表をポップアップ表示するので、ユーザーはホイール32を前後に回すことにより、図4の所望の位置が強調表示される様にし、次に再びモード切替えボタン31を押して、入力項目に対応付けられた文字列を自動的にコンピュータ1に送信する。ただし、この場合、文字列の送信データはキーボードのキーの送信データに変換する必要があるが、これはマウス3が送信するパケット信号の機種別ID信号やボーレートをキーボード2のものに変換することにより実現可能であり、これはゲーム機器用のハードマクロ・マウスで実現している技術と同様である。
【0028】
図11は異なるマウス3の仕様を示すものである。この場合、ユーザーが送信すべき文字列の入力項目表(図4)の行番号を記憶している前提で、入力項目表をポップアップ表示せず、複数のモード切替えボタン311を備えて、それらに行番号を対応させて直接に送信すべき文字を選択し送信させるものである。これによって、ユーザーは文字列を選択する操作と二回目のモード切替え操作を省略でき、より迅速に処理を行うことができる。これはゲーム機用のハードマクロ・マウスに近いが、本発明によるマウスでは、SDメモリカード36を入れ替えるだけで、簡単に仕様が異なるマウスに変えることができる利点がある。なお、ユーザーが入力項目表の表示を見ないでモード切替えボタン311を押すと間違いやすいので、複数のモード切替えボタン311のうちの1つは入力項目表をポップアップ表示させてその中から文字列をホイールで選択する様にし、残りのモード切替えボタンで直接文字列を選択して送信させる様にしてもよい。
【0029】
次に、本発明にかかる情報端末機器を、複数のユーザーが図1に示すコンピュータシステムの環境下で共同利用する方法、及び着脱できる書換え可能メモリに記録する全体表(図5)を暗号化する方法を説明する。以下はキーボード2を情報端末機器とし、着脱できる書換え可能メモリはUSBメモリ5として説明するが、もちろん情報端末機器をマウス3、着脱できる書換え可能メモリをSDメモリカード36としてもよい。
【0030】
まず、ユーザーが初めて全体表(図5)を作成する場合、ユーザーはユーザーインターフェースを立ち上げ、ID識別子を決めたあとアドインソフトの表計算機能を用いて全体表(図5)を作成する。ここで、ID識別子はユニークであればよく、例えば6桁の数字、英文字の組み合わせであり、コンピュータ1側がユーザーに与えたものでもよい。次にユーザーインターフェースは、ユーザーのパスワードとして6桁の数字、英文字の大文字、小文字を組み合わせたパスワードを入力させる。このパスワードは1文字8ビット×6の48ビットの0と1のパターンと考えることができ、後述する様に排他論理和を利用した復号キー、復号キーとして利用するものである。
【0031】
全体表が完成した後、ユーザーがユーザーインターフェースのコマンドに指示することにより、コンピュータ1は全体表から入力項目の表の部分だけを切り離した入力項目表(図4)を作成し、コンピュータ1の不揮発性メモリの所定のアドレスに前記のID識別子と対応付けて記憶し登録する。その後、コンピュータ1は、全体表(図5)の少なくとも文字列部分について前記の48ビットの暗号キー(複合キー)で文字列コードと排他論理和をとり、その結果で文字列の全てを順番に置き換える。図12はこうして作成された表で、以後これを暗号化全体表と言うことにする。なお、この表で#のマークは便宜的に暗号化された文字列を示し、実際には同じ文字ではなくランダムな文字である。コンピュータ1は、この暗号化全体表(図12)を前記のID識別子および前記の復号キー(暗号キー)とともにUSBメモリ5の所定のアドレスに記録する。この後、コンピュータ1はコンピュータ1のメモリ内に残っている全体表、暗号化全体表および復号キー(暗号キー)を完全に消去する。
【0032】
その後、ユーザーはID識別子、暗号化全体表(図12)およびID識別子が記録されたUSBメモリ5をコンピュータ1のUSBポート14から外して、キーボード2のUSBポート24に装着する。以下、図13のフローチャートと共に説明していく。キーボード2のCPU20はUSBメモリ5の装着を検知して、その中にID識別子あるかどうかを調べる(S101)。もし、ID識別子がなければCPU20はコンピュータ1にエラー信号を送信し、コンピュータ1はそれに応じた警告等の処理を行う。もし、ID識別子があり復号キーもある場合には、CPU20は記録されている暗号化全体表(図12)を新規なものとして認識する。
【0033】
そして、ID識別子と復号キーをキーボード2の不揮発性メモリ29に記録し(S103)、その後、CPU20は、USBメモリ5に記録されていた復号キーの方を消去してしまう(S104)。すなわち、CPU20はUSBメモリ5から復号キーを奪い取って不揮発性メモリ29に移転させる。その後、該復号キーで暗号化全体表の文字部分の排他的論理和をとることによって復号し、全体表(図5)をキーボード2のRAM28の中に再構成して展開する(S105)。
【0034】
上記を整理すると、本発明にかかるキーボード2の共同利用ユーザーがN人いるとすると、この状態でコンピュータ1、USBメモリ5、キーボード2のそれぞれに記録されているデータは図14の様になる。
ここで重要なことは、コンピュータ1もキーボード2も、それら単独では全体表(図5)を再生できず、再生するためには必ずUSBメモリ5が必要となることである。また、USBメモリ5にある暗号化全体表は文字列部分が暗号化されており、他人がこれを取得したとしてもユーザーのパスワードを知らなければコンピュータ1に接続しても文字列部分のある全体表の再生はできない。もし、ユーザーがパスワードを忘れてしまうと、誰にも全体表は再構成できなくなるので要注意であり、紙に記録しておくなどの対策が必要である。なお、キーボード2のRAM28の中に展開されていた全体表は外部からは見えず、またそこに電源が供給されなければ消滅している。
【0035】
ユーザーが自分の全体表を修正あるいは更新したい場合は、ユーザーは既に使用しているUSBメモリ5をコンピュータ1のUSBポート14に装着するとコンピュータ1はこれを検知して、その中に登録済みのID識別子が含まれているか否かを調べ、なければ新規作成の場合であり前述の処理を行う。登録済みのID識別子があれば全体表の修正あるいは更新と認識して、コンピュータ1はユーザーにパスワード(復号キー)の入力を促す。そしてユーザーがそのパスワードを入力すると、コンピュータ1は排他論理和をとることによって全体表(図5)を再構成してユーザーインターフェースでそれを編集できる様にする。ユーザーが修正、更新の編集をし終わったあとは、新規作成時と同じ手順でコンピュータ1はUSBメモリ5に更新された暗号化全体表(図12)を上書きし、復号キーも再度USBメモリ5に書き込む。
【0036】
もしユーザーが一度使ったUSBメモリ5を再度キーボード2のUSBポート24に装着すると、CPU20はID識別子を認識しても復号キーは消去されているので、これを見つけることができず(図13のS102)、CPU20はUSBメモリ5の再使用と認識し、USBメモリ5のID識別子と対応付けて記録された復号キーを不揮発性メモリ29から読み出し、排他論理和をとって暗号化全体表(図12)から全体表(図5)をRAM28の中に再構成する(図13のS105)。これによってユーザーはキーボード2の第2モードの機能を、パスワードを入力することなく簡便に使用することができる。
なお、コンピュータ1の方は、ユーザーがコンピュータ1にログインするときに、そのユーザーのID識別子と対応付けた入力項目表(図4)を事前に生成することができるので、コンピュータ1で使用する入力項目表(図4)とキーボード2で使用する全体表(図5)は同じID識別子に対応付けられている。
【0037】
USBメモリのセキュリティ対策として、パスワード付きUSBメモリが市販されているが、これを本発明に用いる場合には、本発明にかかるキーボード2やマウス3に装着したあとに、そのパスワードを入力するプロセスが必要となる問題が生じる。本発明においては、コンピュータ1にログインする場合のパスワードを別にすれば、USBメモリ5のパスワード(復号キー)を必要とするのは新規作成時と修正、更新時だけであり、事前の手続きは不要である。なお、上記の実施例では暗号の方式は排他論理和を用いたが、複合キーによる複合ができるのであれば、他の暗号の方式を採用しても構わない。
また、上記の実施例では暗号を文字列だけに施したが、入力項目部分を含めた全体を暗号化することも可能である。
【発明の効果】
【0038】
本発明にかかる情報端末機器で使用するUSBメモリ等の記録内容は、ユーザー個人のインターネットの利用サイトとそのパスワード等が結びつけられた言わば機密情報の集大成であるが、これをコンピュータで安全に管理してそのまま使用することができる。
ワード(復号キー)を相続人が受け取ることにより、不明になりがちなデジタル資産を確実に引き継ぐことができる。
【0039】
上記の説明では、主にパスワードやクレジットカード番号等の機密性が高い文字列の送信と、それを記憶するUSBメモリやSDメモリカードの暗号化と複合化について説明した。インターネットのサイトでは、機密性の低いID番号等はオートフィル機能が付いていることが多いが、そうでないID番号や電話番号等を本発明の文字列に選ぶこともできる。例えば、前述したゲーム機用のマウスの例では、SDメモリカードに記録する文字列は普通の意味の文字列ではないが、これも本発明の範囲に属している。
【0040】
本発明にかかる情報端末機器は、文字列を自動で送信できる新しい機能を持っているが特殊な部品は必要とせず、部品数も市販されているキーボードやマウスと比較して殆ど増えないのでハードウェアでの大きなコストアップはない。
【符号の説明】
【0041】
1 コンピュータ
11 表示画面
14 USBポート
2 キーボード
3 マウス
31 マウスのモード切替えボタン
32 ホイール
311 ノウスの複数のモード切替えボタン
36 SDメモリカード
5 USBメモリ
20 CPU
21 ファンクションキー
22 カーソル移動キー
24 USBポート
25 テンキー
27 ROM
28 RAM
29 不揮発性メモリ
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