(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】血流量測定システム
(51)【国際特許分類】
A61M 60/523 20210101AFI20231116BHJP
A61M 60/237 20210101ALI20231116BHJP
A61M 60/13 20210101ALI20231116BHJP
A61M 60/546 20210101ALI20231116BHJP
A61M 60/174 20210101ALI20231116BHJP
A61M 60/808 20210101ALI20231116BHJP
【FI】
A61M60/523
A61M60/237
A61M60/13
A61M60/546
A61M60/174
A61M60/808
(21)【出願番号】P 2021555176
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(86)【国際出願番号】 US2019062764
(87)【国際公開番号】W WO2020185265
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-11-17
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510121444
【氏名又は名称】アビオメド インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドヴァッサー ドヴ
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-503369(JP,A)
【文献】特表2003-525561(JP,A)
【文献】国際公開第2017/021146(WO,A1)
【文献】実開昭60-150420(JP,U)
【文献】特開2003-121215(JP,A)
【文献】特表2008-519624(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0269840(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0000983(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0099989(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0185216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 60/523
A61M 60/237
A61M 60/13
A61M 60/546
A61M 60/174
A61M 60/808
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある長さを有し、かつ生物の血管内に挿入されるよう構成されている、カテーテル(202)と;
該カテーテル(202)の遠位端の近傍にありかつ少なくとも1つのブレード(204)を具備するタービン(200)であって、該血管を通る流体の流れに応答して、かつ該血管を通る該流体の流れの速度に少なくとも部分的に依存する回転速度で、該カテーテルに対して回転するよう、該少なくとも1つのブレード(204)が構成されている、該タービン(200)と;
該タービン(200)に機械的に連結され、かつ、該少なくとも1つのブレード(204)の該回転速度の指標となる信号(404)を発生させるよう構成された、信号発生器(400)と;
該少なくとも1つのブレード(204)の該回転速度の指標となる該信号(404)を搬送するよう構成された信号リード(406)であって、該信号発生器(400)に接続されかつ該カテーテル(202)に沿って延在している、該信号リード(406)と
を具備する血流量測定システム。
【請求項2】
信号発生器(400)が発電機を具備する、請求項1記載の血流量測定システム。
【請求項3】
信号発生器が磁石(500)を具備する、前記請求項のいずれか記載の血流量測定システム。
【請求項4】
コイル(504)をさらに具備し、磁石(500)が、前記少なくとも1つのブレード(204)の回転に応答して該コイル(504)に対して回転するよう構成されている、請求項3記載の血流量測定システム。
【請求項5】
ホール効果センサー(600)をさらに具備し、磁石(500)が、前記少なくとも1つのブレード(204)の回転に応答して該ホール効果センサー(600)に対して回転するよう構成されている、請求項3記載の血流量測定システム。
【請求項6】
信号リード(406)が第一および第二の導電性リード(408, 410)を含む、前記請求項のいずれか記載の血流量測定システム。
【請求項7】
信号リード(406)が光ファイバー(702)を含む、前記請求項のいずれか記載の血流量測定システム。
【請求項8】
信号リード(406)に連結され、かつ、前記少なくとも1つのブレード(204)の回転速度の指標となる信号(404)に基づいて、血管を通る流体の流れの速度を測定するよう構成された、血流速度計(412)
をさらに具備する、前記請求項のいずれか記載の血流量測定システム。
【請求項9】
前記少なくとも1つのブレード(204)が放射方向に折りたたみ可能である、前記請求項のいずれか記載の血流量測定システム。
【請求項10】
信号リード(406)が、生物の体外の位置までカテーテル(202)に沿って延在するよう構成されている、前記請求項のいずれか記載の血流量測定システム。
【請求項11】
血管を通る流体の流れの少なくとも一部分を前記少なくとも1つのブレード(204)に向かって方向付けるよう構成されたダクト(210)をさらに具備し;該少なくとも1つのブレード(204)が、該ダクト(210)の形状とサイズとに少なくとも部分的に依存する回転速度でカテーテル(202)に対して回転するよう構成されている、前記請求項のいずれか記載の血流量測定システム。
【請求項12】
ダクト(210)が放射方向に折りたたみ可能である、請求項11記載の血流量測定システム。
【請求項13】
ダクト(210)が先細である、請求項11または12記載の血流量測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、すべての目的について参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる、2019年3月14日に提出された米国特許出願第16/353,132号「Blood Flow Rate Measurement System」の恩典を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は血流測定システムに関し、より具体的には、カテーテルマウント式、タービン駆動式の血流測定システムに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術
冠動脈疾患(CAD)を伴う多くの患者が、ステント経皮的冠動脈インターベンション(CPI)または冠動脈バイパスグラフト手術により利益を受ける。しかし、これら患者の一部は、これらの手技中に生じうる合併症についてリスクが高すぎると考えられる。リスクファクターには、高齢;腎臓疾患、脳卒中、もしくは糖尿病などの疾患歴;左主幹部病変もしくは2枝病変など、CADの位置;石灰化した病変もしくは長い病変など、困難なプラークタイプ;冠動脈の慢性完全閉塞;開胸心臓手術の既往;および、進行した心不全が含まれる。
【0004】
インターベンショナル心臓専門医は、これらハイリスク患者の一部を、完全または複雑性高リスク症例の経皮的冠動脈インターベンション(CHIP)と呼ばれる高度なカテーテル手技で処置する。しかし、進行した心不全または重度の心臓弁膜症もあると診断されている高リスクCAD患者は、心筋が弱っているゆえに血圧が損なわれて血液を全身に効率的にポンプ送りできないため、CHIP手技中の脆弱性が特に高い。
【0005】
高リスクCAD患者に対して、患者の心血管系を通る血液循環を補助することによって患者の心臓に一時的な支援を提供するため、CHIP中に心室補助デバイスが用いられることがある。例えば、1つの端部に心臓ポンプを備えたカテーテルが、標準的なカテーテル手技によって、大腿動脈を通り、上行大動脈に入り、大動脈弁をまたいで、左心室内まで挿入されることがある。所定の位置になると、心臓ポンプは、左心室から、先端部に近いインレットポートとカニューレとを通ってアウトレットポートへ、そして上行大動脈内に入る、血液の動きを支援する。
【0006】
約6時間未満など、一時的に、CHIP中に心室補助デバイスで心臓を支援することは、プロテクテッドPCI(protected PCI)と呼ばれる。例示的な心室補助デバイスとして、Abiomed, Inc., Danvers, MAから入手可能であるImpella 2.5(登録商標)およびImpella CP(登録商標)心臓ポンプなどがある。Impella 2.5心臓ポンプは、カテーテル直径がわずか9 Fr、ポンプモーター直径がわずか12 Fr(Impella CP心臓ポンプでは14 Fr)であるが、カテーテル直径およびモーター直径がより小さいことは非常に望ましい。
【発明の概要】
【0007】
諸態様の概要
本発明の1つの態様において血流量測定システムが提供される。同システムは、カテーテルと、タービンと、信号発生器と、信号リードとを含む。カテーテルはある長さを有する。カテーテルは、ヒトなど、生物の血管内に挿入されるよう構成される。タービンはカテーテルの遠位端の近傍に配される。
【0008】
タービンは少なくとも1つのブレードを含む。前記少なくとも1つのブレードは回転するよう構成される。前記少なくとも1つのブレードは、カテーテルに対して回転するよう構成される。前記少なくとも1つのブレードは、血管を通る流体の流れに応答して回転するよう構成される。前記少なくとも1つのブレードは、血管を通る流体の流れの速度に少なくとも部分的に依存する回転速度で回転するよう構成される。
【0009】
信号発生器はタービンに機械的に連結される。信号発生器は、前記少なくとも1つのブレードの回転速度の指標となる信号を発生させるよう構成される。信号リードは、前記少なくとも1つのブレードの回転速度の指標となる信号を搬送するよう構成される。信号リードは信号発生器に接続される。信号リードはカテーテルに沿って延在する。
【0010】
任意の態様において、信号発生器が発電機を含んでもよい。
【0011】
任意の態様において、信号発生器が磁石を含んでもよい。
【0012】
信号発生器が磁石を含む任意の態様において、血流量測定システムはコイルもまた含んでもよい。磁石は、前記少なくとも1つのブレードの回転に応答してコイルに対して回転するよう構成されてもよい。
【0013】
信号発生器が磁石を含む任意の態様において、血流量測定システムはホール効果センサーもまた含んでもよい。磁石は、前記少なくとも1つのブレードの回転に応答してホール効果センサーに対して回転するよう構成されてもよい。
【0014】
任意の態様において、信号リードが、第一および第二の導電性リード、ならびに/または光ファイバーを含んでもよい。
【0015】
任意の態様において血流速度計が含まれてもよい。血流速度計は信号リードに連結されてもよい。血流速度計は、前記少なくとも1つのブレードの回転速度の指標となる信号に基づいて、血管を通る流体の流れの速度を測定するよう構成されてもよい。
【0016】
任意の態様において、前記少なくとも1つのブレードが放射方向に折りたたみ可能であってもよい。
【0017】
任意の態様において、信号リードが、生物の体外の位置までカテーテルに沿って延在するよう構成されてもよい。
【0018】
任意の態様において、血管を通る流体の流れの少なくとも一部分を前記少なくとも1つのブレードに向かって方向付けるよう構成されたダクトが含まれてもよい。前記少なくとも1つのブレードは、ダクトの形状とサイズとに少なくとも部分的に依存する回転速度でカテーテルに対して回転するよう構成されてもよい。
【0019】
ダクトを有する任意の態様において、ダクトが放射方向に折りたたみ可能であってもよい。
【0020】
ダクトを有する任意の態様において、ダクトは先細でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明は、後段の具体的態様の詳細な説明を、以下の添付の図面と併せて参照することによって、より理解されるであろう。
【0022】
【
図1】先行技術に基づく、患者の血管内に挿入された経皮的左心ポンプを図示する。
【
図2】本発明の1つの態様に基づく、血流を測定するためにカテーテルの端部に位置するタービンと任意的なダクトとを備えた、心臓ポンプカテーテルの遠位端の等角図である。
【
図3】本発明の別の態様に基づく、血流を測定するためにカテーテルの端部近くに位置するタービンを備えた、心臓ポンプカテーテルの遠位端の等角図である。
【
図4】本発明の1つの態様に基づく、
図2または
図3のタービンに機械的に連結された信号発生器の模式図である。
【
図5】本発明の1つの態様に基づく、
図4の信号発生器の詳細模式図である。
【
図6】本発明の別の態様に基づく、
図4の信号発生器の詳細模式図である。
【
図7】本発明の第三の態様に基づく、
図4の信号発生器の詳細模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
具体的態様の詳細な説明
本発明の諸態様は、カテーテル式心臓ポンプが患者の血管内に挿入された時に、心臓ポンプを駆動するモーターによって引かれる電流の測定に頼ることなく、その血管内における血流、例えば自然な心臓の作用と心臓ポンプの作用とを足した総血流などを測定するための、装置および方法を提供する。本発明の諸態様は、心臓ポンプカテーテルの遠位端またはその近くに配されたタービンを含む。血管を通って流れる血液または他の流体によってタービンブレードの回転が誘発される。タービンは、タービンの回転速度の指標となる信号を発生させる信号発生器に、機械的に連結される;タービンの回転速度は、血管を通って流れる流体の速度に少なくとも部分的に依存する。信号は、リードによって、患者の体外にあるカテーテルの近位端まで搬送され、そこで血流速度計がタービンの回転速度から血流量を計算する。有利な点として、リードは直径が小さい。
【0024】
定義
本明細書において用いる以下の用語は、別段の提示がない限り以下の定義を有する。
【0025】
タービンは、流体の流れからエネルギーを取り出してそのエネルギーを有用な仕事に変換する、回転式の機械的なデバイスである。タービンによって生じた仕事は、発電機と組み合わせられると、電力の発生に用いることができる。タービンは、ローターアセンブリと呼ばれる少なくとも1つの可動部を備えたターボ機械であり、ローターアセンブリはブレードが取り付けられたシャフトまたはドラムを含む。動いている流体がブレードに作用し、それによりブレードが動いて、ローターに回転エネルギーを与える(Wikipedia, turbine)。本明細書において用いるタービンには、非限定的に、Peltonタービン、Francisタービン、およびKaplanタービンが含まれる。
【0026】
先行技術による心臓ポンプの直径の低減
図1に、その遠位部分104が患者の血管106を通って心臓108内まで挿入される細長のカテーテル102を含む、例示的な先行技術の心臓ポンプ100を示す。カテーテル102の近位端110は、Abiomed, Inc., Danvers, MAから入手可能であるAutomated Impella(登録商標)Controllerなどの、外部制御ユニット112に接続される。Impella 2.5(登録商標)およびImpella CP(登録商標)など従来の心臓ポンプは、インペラーブレードを駆動する電気モーターを含む。血液はインレットポート114を通って引き入れられ、そしてアウトレットポート116を通って吐出される。ポンプ送りされる血液が矢印118、120、および122で示されている。モーター124の速度は、そしてゆえにポンプ100の速度およびポンプ送りされる血液の量も、モーター124によって引かれる電流を測定することにより制御ユニット112によって自動的に確かめることができる。しかし、先に言及したように、モーター124は直径が比較的大きい。
【0027】
モーター124をカテーテル102の遠位部分104から患者体外の位置に移すこと、および、カテーテル102を通って延在する可撓性のドライブシャフト(図示せず)でインペラーブレードを駆動することによって、心臓ポンプ100の直径は小さくなる。しかし、そうした長い可撓性のドライブシャフトは、その長さに沿って著しい摩擦および他の損失を受ける。したがって、外部モーターによって引かれる電流は、インペラーブレードの回転速度の、または心臓ポンプによってポンプ送りされる血液の量の、信頼できる指標とならない。
【0028】
タービン式の血流量測定システム
この問題を克服するため、そして、血管を通る流体の流量の信頼できる測定を提供するため、本発明の1つの態様は、
図2および
図3に図示するように、心臓ポンプ(図示せず)もまた含むカテーテル202の遠位端またはその近くにタービン200を含む。
【0029】
タービン200の1つまたは複数のブレード204が、タービン200を通り越して流れそしてブレード204に当たる血液などの流体によって駆動されて、軸206の周りで回転する。軸206は、カテーテル202の縦軸208とアライメントしてもよいが、必ずしもそうでなくてもよい。任意で、タービン200の挿入中および除去中に血管壁を保護するため、かつ、タービン200が所定のポジションになった後にブレード204が血管壁に係合しそれによりブレード204の回転が妨げられることを防ぐため、ダクト210(透視図で示す)が含まれてもよい。任意で、タービン200を通る流体の流れ212の流量を増大させるため、ダクト210は先細でもよい。ダクト210は、例えば、フィン214によって表された剛性または折りたたみ可能なフィンによってカテーテル200に取り付けられてもよい。明瞭さのため、任意的なダクト210は
図3では省略されている。
【0030】
図4に模式的に示すように、タービン200は信号発生器400を駆動する。信号発生器400は、タービンブレード204の回転速度の指標となる信号404を発生させる。ブレード204は、血管を通って流れる流体402の速度と、ダクト210(存在するならば)の構成、例えばダクト210のテーパーなどとに、少なくとも部分的に依存する回転速度で、カテーテル202に対して回転するよう構成される(
図2)。
【0031】
信号発生器400は、ブレード204の回転速度の指標となる信号404を発生させるよう構成される。2つの電線408および410によって例示されている信号リード406が、信号404を血流速度計412まで搬送するよう構成される。血流速度計412は、信号404に基づき、血管を通る流体402のフローの速度(流量)を測定するよう構成される。1つの態様において、血流速度計412は、ブレード204の回転速度を係数で乗算することによって流量を計算する。係数は、ブレード204の回転速度と流体402の流量との間の直線的または非直線的な関係を表してもよい。この関係は、経験的に決定されてもよく、または、ブレード204、流体402、血管の幾何学形状、摩擦などをモデル化することによって決定されてもよい。
【0032】
図5に模式的に図示する1つの態様において、タービンブレード204の回転速度の指標となる信号404は、信号404の周波数がブレード204(明瞭さのため
図5には示していない)の回転速度に比例する、AC信号である。そうした1つの態様において、ブレード204は磁石500に機械的に連結されており、したがって矢印502で示すように磁石500はブレード204とともに回転する。磁石500の近傍にコイル504が配される。磁石500の回転ごとに信号404のパルス(この実施例において正弦波の1つのサイクル506)が誘発される。血流速度計412は、信号404の周波数を測定するため、あらかじめ定められた時間間隔中に受け取ったパルス(サイクル)を計数してもよい。コイル504はコアとともに示されているが、鉄芯または空芯など任意の好適なコアが用いられてもよい。加えて、コイル504は2つの部分に分かれて示されているが、コイルが分かれていなくてもよい。
【0033】
代替的に、血流速度計404が、タービンブレード204の回転速度に比例する、信号404の電圧を測定してもよい。
【0034】
図6に模式的に図示する別の態様において、コイル504(
図5)はホール効果センサー600によって置換される。タービンブレード204(明瞭さのため
図6には示していない)の回転速度の指標となる信号404を発生させるため、ホール効果センサー600からの出力信号が(必要であれば)閾値検出器602によって処理されてもよい。この態様において、信号404は矩形のパルス604からなる。
図5に関して説明した第一の態様と同様に、パルス604の周波数はブレード204の回転速度に比例する。
【0035】
図7に模式的に図示するさらに別の態様において、
図5に関して説明したコイル504からのリード408および410は発光ダイオード(LED)700に接続される。LED 700は光ファイバー702の遠位端に光学的に連結される。コイル504からの信号の各パルス(サイクル)はLEDの閃光を生じさせ、それにより光ファイバー702に沿って光パルスが送られる。これら一連の光パルスは、ブレード204の回転速度の指標となる信号404を集合的に形成する。ゆえに、この態様において、光ファイバー702は信号404を血流速度計412まで搬送するよう構成されたリード406であり、そして血流速度計412は光パルスを検出するための光センサー(図示せず)を含む。
【0036】
いずれの態様においても、信号404を搬送するよう構成されたリード406は、ディスクリートであってもよく、かつカテーテル202の管腔に沿って延在してもよい。代替的に、リード406はカテーテル202と一体であってもよい。例えば、いくつかの態様において、ワイヤ408および410がカテーテル202の外面上および/もしくは内面上にプリントされるか、またはカテーテル202の壁内に埋め込まれる。同様に、1つの態様において、光ファイバー702がカテーテル202の壁内に埋め込まれる。
【0037】
1つのタービンにつき1つの磁石を伴う態様を説明したが、各タービンが1つより多い磁石を含んでもよく、その場合、信号404は、ブレード204の1回転につき1つより多いパルスを含んでもよい。
【0038】
心臓ポンプが血液をポンプ送りするが、患者の心臓の作用もまたいくらかの血液をポンプ送りする。血管を通って流れる血液の総量は患者の健康にとって重要である。「上流(upstream)」は、血液または他の流体のフローの方向と反対方向にあることを意味し、そして「下流(downstream)」は、血液または他の流体のフローと同じ方向にあることを意味する。有利な点として、タービンが、心臓ポンプのインレットポート114(
図1)から上流方向のある距離に配されているか、または、心臓ポンプのアウトレットポート116から下流方向のある距離に配されているならば、本明細書に説明する血流量測定システムの諸態様は、心臓ポンプによってポンプ送りされる血液の量だけでなく、血管内の合計の流体の流れを測定する。しかし、タービンが心臓ポンプのインレットポート114と心臓ポンプのアウトレットポート116との間に配されているならば、血流量測定システムは、心臓の作用によって生じる血流と、心臓ポンプのアウトレットポート116から排出された血液によって駆動されるジェットポンピングによって生じる、心臓ポンプの周りの追加的な血流とを足したものを測定する。
【0039】
折りたたみ可能なタービンブレード
いくつかの態様において、ブレード204は、放射方向に、すなわち軸206に向かう方向に折りたたみ可能である。そうしたいくつかの態様において、ブレード204は、少なくともカテーテルが血管内に挿入されている間はブレード204の外径216(
図2)を低減させるために、折り重ね、収縮、または圧縮できる可撓性材料で作られる。いくつかの態様において、ブレード204は弾力性である。いくつかの態様において、ブレード204は、人体内を循環している血液の温度に等しいかまたはそれよりやや低い温度まで加温されると記憶形状に戻る、形状記憶材料で作られる。いくつかの態様において、各ブレード204は、ブレード204のモード(折りたたみモードまたは伸展モード)に応じて折りたたみまたは伸展する複数のストラットを含む。その結果として、カテーテルが所定のポジションになると、ブレード204は、開くかまたはその他元に戻って、血管内を流れる流体によって駆動されるための効率的な形状になる。
【0040】
最初にブレード204をコンパクトに作り、タービン200が所定の位置になったらブレード204を伸展させ、そしてタービン200を除去する準備においてブレード204を折りたたむために、任意の好適な構造および/または方法が用いられてよい。例示的な構造および方法は、それぞれその全内容がすべての目的について参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第9,611,743号、同第9,416,783号、同第8,944,748号、同第9,416,791号、同第9,314,558号、同第9,339,596号、同第9,067,006号、同第9,642,984号、同第8,932,141号、同第8,814,933号、同第8,814,933号、および同第9,750,860号、ならびに、米国特許公報第2018/0080326号、同第2014/0039465号、および同第2018/0296742号に説明されている。前述の文書に説明されている構造および/または方法のいくつかは、インペラーブレードおよび/またはポンプを伸展または圧縮させるためのコンポーネントを前進、後退、および/または回転させるために、ワイヤまたはドライブシャフトを含む。同じワイヤまたはドライブシャフトが、タービン200のブレード204を伸展および/または圧縮させるよう構成された構造を作動させるために、同様の方式で用いられてもよい。任意でまたは代替的に、異なるかもしくは追加的なワイヤまたはドライブシャフトが、タービン200のブレード204を伸展および/または圧縮させるよう構成された構造を作動させるために用いられてもよい。任意でまたは代替的に、リード406、またはリード406の一部が、タービン200のブレード204を伸展および/または圧縮させるよう構成された構造を作動させるために用いられてもよい。
【0041】
上述の例示的態様を通じて本発明を説明するが、本明細書に開示する本発明の概念から逸脱することなく、例証する諸態様に対する修正およびバリエーションが可能である。例えば、寸法および材料など固有のパラメータ値が開示態様との関連において具陳される可能性があるが、本発明の範囲内において、すべてのパラメータの値が、異なる用途に適するよう広範囲にわたって変動しうる。文脈中に別段の提示がない限り、または当業者により別段に理解されるのでない限り、「約(about)」などの用語は±20%以内を意味する。
【0042】
本明細書および特許請求の範囲において、項目のリストに関連して用いる「および(ならびに)/もしくは(または)(and/or)」という用語は、リスト内の項目のうち1つまたは複数、すなわち、リスト内の項目のうち少なくとも1つを意味するが、必ずしもリスト内の全項目を意味するわけではない。本明細書および特許請求の範囲において、項目のリストに関連して用いる「または(もしくは)(or)」という用語は、リスト内の項目のうち1つまたは複数、すなわち、リスト内の項目のうち少なくとも1つを意味するが、必ずしもリスト内の全項目を意味するわけではない。「または(もしくは)」は排他的な「または(もしくは)」(exclusive or)を意味しない。
【0043】
諸態様の諸局面を、フローチャートおよび/またはブロック図を参照しながら説明する場合があるが、各ブロックまたはブロックの組み合わせの全部もしくは一部分の、関数、演算、決定などが、組み合わされるか、別個の演算に分離されるか、または他の順序で行われてもよい。「モジュール(module)」への言及は便宜上のものであり、その実施形態を限定する意図はない。各ブロック、モジュール、またはそれらの組み合わせの全部もしくは一部分が、コンピュータプログラム命令(ソフトウェアなど)、ハードウェア(組み合わせ論理、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、もしくは他のハードウェアなど)、ファームウェア、またはそれらの組み合わせとして実施されてもよい。
【0044】
血流速度計、心臓ポンプ制御ユニット、またはその一部分が、メモリ内に保存された命令を実行するかまたはそれによって制御される1つまたは複数のプロセッサによって実施されてもよい。各プロセッサは、適宜、中央処理装置(CPU)などの汎用プロセッサ、グラフィック処理装置(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、専用プロセッサなどであってもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。ただし、これらの命令でプログラミングされると、プロセッサおよびメモリの組み合わせは集合的に専用プロセッサを形成する。
【0045】
メモリは、制御ソフトウェアまたは他の命令およびデータを保存するのに好適である、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、もしくは他の任意のメモリ、またはそれらの組み合わせであってもよい。本発明の機能を定義する命令は、多くの形式でプロセッサに送達されてもよく、そうした形式には、非一時的かつ書き込み不能な有形保存媒体上に永久的に保存された情報(例えば、ROMなど、コンピュータ内の読出し専用メモリデバイス、または、CD-ROMディスクもしくはDVDディスクなど、コンピュータのI/O付属装置によって読み取り可能なデバイス)、非一時的かつ書き込み可能な有形保存媒体上に変更可能的に保存された情報(例えば、フロッピーディスク、取り外し可能なフラッシュメモリおよびハードドライブ)、または、有線もしくは無線のコンピュータネットワークを含む通信媒体を通じてコンピュータに伝達される情報が含まれるが、それに限定されるわけではない。さらに、諸態様をさまざまな例示的データ構造との関連において説明する場合があるが、システムはさまざまなデータ構造を用いて具体化されてもよい。
【0046】
本開示の諸局面、またはその一部分が、以上に列挙していない方式および/または明示的に特許請求されていない方式で組み合わせられてもよい。加えて、本明細書に開示する諸態様が、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素を欠いた状態で、好適に実施されてもよい。したがって、本発明は、開示態様に限定されるものと見られるべきではない。
【0047】
本明細書において、例えばそれぞれのワイヤ408および410を互いに区別するためなどに用いる、「第一」、「第二」、および「第三」などの数に関する用語は、いかなる特定の態様においても、アイテムの特定の順序または総数を示すことを意図したものではない。ゆえに、例えば、所与の態様が第二のワイヤおよび第三のワイヤのみを含んでいてもよい。