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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】飲料等の非加熱殺菌不活化システム
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20231116BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20231116BHJP
   C02F 1/36 20230101ALI20231116BHJP
   B01F 25/42 20220101ALI20231116BHJP
   B01F 31/80 20220101ALI20231116BHJP
   A23L 3/28 20060101ALN20231116BHJP
   A23L 3/30 20060101ALN20231116BHJP
【FI】
A61L2/10
C02F1/32
C02F1/36
B01F25/42
B01F31/80
A23L3/28
A23L3/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019011805
(22)【出願日】2019-01-28
(65)【公開番号】P2020116294
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】504280724
【氏名又は名称】トスレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】中尾 順次
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-106831(JP,A)
【文献】特開2018-008230(JP,A)
【文献】特開2018-122294(JP,A)
【文献】特開2017-047419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00 - 2/28
A61L 11/00 - 12/14
C02F 1/20 - 1/26
C02F 1/30 - 1/38
A23L 3/00 - 3/3598
B01F 21/00 - 25/90
B01F 29/00 - 33/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細気泡を含む液体に対して、前記微細気泡を、さらに直径の小さい超微細気泡に変換する超微細気泡変換部と、
前記超微細気泡変換部の後段に設けられ、前記超微細気泡を含む前記液体に紫外線を照射する紫外線照射部と、
前記紫外線照射部の後段に設けられ、かつ、前記液体を貯留する貯留部とを備え、
前記超微細気泡は、前記紫外線が前記液体を通過する妨げとならない直径を有し、
前記超微細気泡変換部の前段に設けられ、微細気泡を生成する微細気泡生成部は、液体に微細気泡を生成するとともに、液体をスクリュー状の回転流として流出し、液体が回転流を維持したまま紫外線照射部まで流入し、
前記紫外線照射部は、回転流の中心軸方向に向けて外周から紫外線が照射される、殺菌不活化システム。
【請求項2】
前記超微細気泡変換部は、超音波により前記微細気泡を圧壊して前記微細気泡を超微細気泡に変換する、請求項1に記載の殺菌不活化システム。
【請求項3】
前記超微細気泡変換部が前記貯留部の後段に設けられることにより、前記超微細気泡変換部と前記紫外線照射部と前記貯留部とで液体が循環するループを形成する、請求項1または請求項2に記載の殺菌不活化システム。
【請求項4】
前記貯留部は、前記液体または物質を貯留するための貯留槽を備え、貯留した前記液体に超音波を照射する超音波照射部を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の殺菌不活化システム。
【請求項5】
さらに、前記超微細気泡変換部の前段に設けられ、微細気泡を生成する微細気泡生成部を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の殺菌不活化システム。
【請求項6】
前記貯留部に貯留された液体は固形物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の殺菌不活化システム。
【請求項7】
液体の中に微細気泡を生成する微細気泡生成部と、
前記微細気泡を含有した前記液体を貯留するとともに、貯留した液体に超音波を照射し、
微細気泡を超微細気泡に変換する貯留部と、
前記超微細気泡を含有する前記液体に紫外線を照射する紫外線照射部とを備え、
前記超微細気泡は、前記紫外線が前記液体を通過する妨げとならない直径を有し、
前記液体は固形物を含む、殺菌不活化システム。
【請求項8】
微細気泡を含み、前記微細気泡を、さらに直径の小さい超微細気泡に変換する超微細気泡変換部と、
前記超微細気泡を含む前記液体に紫外線を照射する紫外線照射部とを備え、
前記超微細気泡は、前記紫外線が前記液体を通過する妨げとならない直径を有し、
前記液体は固形物を含む、殺菌不活化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等を非加熱で、細菌を殺菌またはウイルスを不活化する非加熱殺菌不活化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来知られるように、水、牛乳、果汁等に代表されるような液体のみの飲料または果肉入りジュース、野菜スープ等に代表されるような固形物を含む飲料(以下、総称して「飲料等」とも称する。)は、経口により人体に取り込まれる。このとき、飲料等の中に細菌やウイルスが存在していると、人体に悪影響を及ぼすため、飲料等は、その製造過程において殺菌や不活化(以下、「殺菌等」とも称する。)がなされる。
【0003】
例えば、殺菌には、薬液を混ぜる薬剤処理もあるが、経口される飲料等においては、他の液体を混ぜることは敬遠され、例えば、牛乳では他の液体を混ぜることは法律で禁止されている。そのため、飲料等の殺菌方法としては、加熱処理が一般的となっており、そのような加熱処理として超高温殺菌法(UHT法)などが知られている(例えば、特許文献1を参照)。しかし、飲料等において、加熱処理を行うと、風味を損なったり、味が変化してしまうなどの熱劣化が起こってしまうこともある。
【0004】
薬剤を混ぜる方法や熱処理方法以外には、例えば、液体等に紫外線を照射し、紫外線の有する高い光エネルギーにより殺菌等する紫外線処理がある(例えば、特許文献2を参照)。しかし、紫外線処理は、光を通過させる対象物の殺菌においては非加熱で高い殺菌効果を有するものの、光が通らない対象物においては殺菌効果をほとんど有しない。すなわち、飲料等で光を通さない不透明の液体や固形物等には十分な殺菌効果を期待できない。
【0005】
さらに、近年、上記の方法以外に、微細気泡または超微細気泡を液体等に含有させることによる殺菌等の方法も検討されている。これら微細気泡または超微細気泡の中には、オゾンの微細気泡または超微細気泡のように、強力な殺菌力を有する場合もある(例えば、特許文献3を参照)。
【0006】
しかし、それら殺菌効果は、あくまでもオゾンガスのように殺菌力を有するガスの特徴であり、微細気泡または超微細気泡、それ自体の殺菌力は、薬剤処理、熱処理および紫外線処理ほど強力ではなかった。そして、オゾンガスを飲料等に適用させると、風味を損なったり、味が変化してしまうなどの劣化が起こるため、オゾンの微細気泡または超微細気泡を適用することは安易にはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-183311号公報
【文献】特開2016-123930号公報
【文献】国際公開第2017/199827号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の発明者が鋭意検討したところ、飲料等の殺菌等においては、紫外線処理と、飲料等に劣化を生じさせない気体による微細気泡または超微細気泡処理との両処理方法の併用が効果的であるとの知見を得た。すなわち、紫外線の届く範囲は紫外線により、紫外線の届かない範囲は微細気泡または超微細気泡により殺菌等することで、飲料等のあらゆる対象物を殺菌等することができる。
【0009】
本発明は、この知見に基づき、紫外線処理と微細気泡または超微細気泡処理を併用した非加熱殺菌不活化システムを提供することを目的とした。しかし、両処理を併用しようとした場合に、微細気泡は光の透過を妨げる程度の直径を有し、紫外線処理を行う場合は、液体が微細気泡を含有しない状態(本明細書において、「微細気泡を含有しない」とは「微細気泡の数量が極めて少ない状態」をいう)とする必要があることが分かった。
【0010】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、紫外線処理と超微細気泡処理とが効率よく行われる非加熱殺菌不活化システムを提供することを目的とする。
【0011】
(1)本発明に係る殺菌不活化システムは、微細気泡を含む液体に対して、前記微細気泡を、さらに直径の小さい超微細気泡に変換する超微細気泡変換部と、前記超微細気泡変換部の後段に設けられ、前記超微細気泡を含む前記液体に紫外線を照射する紫外線照射部と、前記紫外線照射部の後段に設けられ、かつ、前記液体を貯留する貯留部とを備え、前記超微細気泡は、前記紫外線が前記液体を通過する妨げとならない直径を有することを特徴とする。
【0012】
この殺菌不活化システムでは、紫外線照射部の前段に超微細気泡変換部が設けられており、紫外線照射部に流入する液体は、紫外線が液体を通過する妨げとならない超微細気泡であるため、紫外線は液体に深く侵入しやすく、広範囲に渡って液体を殺菌等することができる。また、紫外線処理された液体は、貯留部に貯留され、超微細気泡を含有した状態で貯留されるため、紫外線処理による殺菌等の効果を維持することができる。
【0013】
(2)前記した殺菌不活化システムにおいて、前記超微細気泡変換部は、超音波により前記微細気泡を圧壊して前記微細気泡を超微細気泡に変換するようにしてもよい。そのようにすれば、均一に分布する高濃度の超微細気泡を生成できるため、紫外線が深く進行しやすい。また、超音波の有する殺菌作用または不活化作用も相まって、強力な殺菌または不活化効果を得ることができる。
【0014】
(3)前記した殺菌不活化システムにおいて、前記超微細気泡変換部が前記貯留部の後段に設けられることにより、前記超微細気泡変換部と前記紫外線照射部と前記貯留部とで液体が循環するループを形成するようにしてもよい。そのようにすれば、液体を循環させながら超微細気泡処理および紫外線処理を継続的に行える。
【0015】
(4)前記した殺菌不活化システムにおいて、前記貯留部は、前記液体または物質を貯留するための貯留槽を備え、貯留した前記液体に超音波を照射する超音波照射部を備えていてもよい。そのようにすれば、紫外線処理により殺菌等された液体に対して、さらに超音波圧壊により超微細気泡を生成することができる。また、貯留部に貯留された液体を超音波殺菌することができる。
【0016】
(5)前記した殺菌不活化システムにおいて、さらに、前記超微細気泡変換部の前段に設けられ、微細気泡を生成する微細気泡生成部を備えていてもよい。そのようにすれば、超微細気泡変換部に流入する液体が大量の微細気泡を含有することになるため、超微細気泡変換部の変換効率が高まり、高濃度に超微細気泡を含有した液体を得ることができる。
【0017】
(6)前記した殺菌不活化システムにおいて、前記微細気泡生成部は、液体に微細気泡を生成するとともに、液体をスクリュー状の回転流として流出し、液体が回転流を維持したまま紫外線照射装置まで流入し、回転流の中心軸方向に向けて紫外線が照射されてもよい。そのよういすれば、紫外線照射部に流入する液体において、遠心力により細菌またはウイルスが外側に寄せられ、回転流の中心軸方向に向けて照射される紫外線により確実に殺菌または不活化される。
【0018】
(7)前記した殺菌不活化システムにおいて、前記貯留部に貯留された液体は固形物を含んでいてもよい。そのようにすれば、固形物に対して、超微細気泡が内部に侵入し、固形物内の細菌やウイルスを脱離して排出させる。排出された細菌やウイルスは、紫外線処理により殺菌または不活化され、安全な液体および固形物を供給することができる。
【0019】
(8)本発明に係る他の殺菌不活化システムは、液体の中に微細気泡を生成する微細気泡生成部と、前記微細気泡を含有した前記液体を貯留するとともに、貯留した液体に超音波を照射し、微細気泡を超微細気泡に変換する貯留部と、前記超微細気泡を含有する前記液体に紫外線を照射する紫外線照射部とを備え、前記超微細気泡は、前記紫外線が前記液体を通過する妨げとならない直径を有する。
【0020】
この殺菌不活化システムでは、貯留部が超音波照射部を有するため、超微細気泡変換部を別途設けなくとも、紫外線照射部に流入する液体は、紫外線が液体を通過する妨げとならない超微細気泡とすることができる。したがって、紫外線は液体に深く侵入しやすく、広範囲に渡って液体を殺菌等することができる。また、紫外線処理された液体は、貯留部に貯留され、超微細気泡を含有した状態で貯留されるため、紫外線処理による殺菌等の効果を維持することができる。
【0021】
(9)本発明に係る他の殺菌不活化システムは、微細気泡を含み、前記微細気泡を、さらに直径の小さい超微細気泡に変換する超微細気泡変換部と、前記超微細気泡を含む前記液体に紫外線を照射する紫外線照射部とを備え、前記超微細気泡は、前記紫外線が前記液体を通過する妨げとならない直径を有する。
【0022】
この殺菌不活化システムでは、紫外線照射部に流入する液体は、超微細気泡変換部により紫外線が液体を通過する妨げとならない超微細気泡とすることができる。したがって、紫外線は液体に深く侵入しやすく、広範囲に渡って液体を殺菌等することができる。
【0023】
(10)前記した(8)または(9)の殺菌不活化しすてむにおいて、前記液体は固形物を含んでいてもよい。そのようにすれば、固形物に対して、超微細気泡が内部に侵入し、固形物内の細菌やウイルスを脱離して排出させる。排出された細菌やウイルスは、紫外線処理により殺菌または不活化され、安全な液体および固形物を供給することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、紫外線処理と超微細気泡処理とが効率よく行われる非加熱殺菌不活化システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る殺菌不活化システムの機能ブロックを示す図である。
図2図1に示す微細気泡生成部の側断面図である。
図3図1に示す超微細気泡変換部を示し、(A)は側面図であり、(B)は正面図である。
図4】超微細気泡変換部を図3(B)の矢印a-aで切断した側断面図を示す。
図5図1に示す紫外線照射部の側断面図である。
図6図1に示す貯留部を示し、(A)は平面図であり、(B)は(A)の矢印b-bで切断した側断面図である。
図7図6に示す再帰流路導入路のパイプを示し、(A)は側面図であり、(B)は正面図である。
図8】殺菌不活化システム内の微細気泡または超微細気泡のフィルタ効果を説明する概念図である。
図9】殺菌不活化システム内の超微細気泡が細菌を除去する選択吸着脱離を説明する概念図である。
図10】殺菌不活化システム内の超微細気泡がウイルスを除去する選択吸着脱離を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る殺菌不活化システムSについて図1図10を参照して説明する。殺菌不活化システムSは、主に、液体のみの飲料または野菜スープ等に代表されるような固形物を含む飲料(以下、総称して「飲料等」とも称する。)に対して、殺菌および不活化を行う。
【0027】
図1に示すように、殺菌不活化システムSは、液体を貯留する貯留部1と、貯留部1から液体を吸引するポンプ2と、ポンプ2にガスを供給するガス供給部3と、ポンプ2が吸引した液体に微細気泡を生成する微細気泡生成部4と、液体が含有する微細気泡を超微細気泡に変換する超微細気泡変換部5と、液体に紫外線を照射する紫外線照射部6とを備える。
【0028】
本実施形態において、貯留部1の後段にポンプ2が設けられ、ポンプ2の後段に微細気泡生成部4が設けられ、微細気泡生成部4の後段に超微細気泡変換部5が設けられ、超微細気泡変換部5の後段に紫外線照射部6が設けられ、紫外線照射部6の後段に貯留部1が設けられて、ループ(循環路)が形成されている。なお、貯留部1は、飲料等を導入するための導入路7と殺菌不活化した飲料等を導出する導出路8と、廃液等を排出する排出路9とを備え、貯留部1に導入路7から導入された飲料等の液体がループを循環し、導出路8から導出される。
【0029】
ポンプ2は、従来よく知られたエア駆動型容積式ポンプが適用されているが、マグネットポンプや軸流ポンプ等の非容積式ポンプが適用されてもよく、その他のポンプが適用されてもよい。また、ガス供給部3は、従来知られるガスボンベやガス製造装置が適用される。ガス供給部3が供給するガスを交換することで、後述する微細気泡および超微細気泡のガス種を変更することができる。ガス種として、酸素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、オゾンガス等や、これらの混合ガスを供給することができる。また、ガス供給部3は、人工的に製造されたガスに限らず、空気を供給するようにしてもよい。ガス種は殺菌不活化の対象に応じて適宜変更できる。
【0030】
微細気泡生成部4は、従来よく知られるスタティックミキサーが適用されている。図2に示すように、スタティックミキサーは、矩形の長板を捩じって形成した螺旋板部41と、螺旋板部41が挿入される筒状部42とを備える。微細気泡生成部4は、ポンプ2からガスを含有した気泡含有液を導入され、内部で気泡含有液を旋回しながら加速および撹拌して気泡を剪断圧壊するとともに、スタティックミキサーからの液体取出口に微小貫通孔を設け、微小貫通孔を通過する際の加圧減圧作用により、微細気泡を生成する。
【0031】
スタティックミキサーは、筒状部42の内部で螺旋板部41に沿って液体が流れることで液体をスクリュー状の回転流として排出し、後述する超音波変換部の通路51を通って、液体が回転流を維持したまま紫外線照射装置まで流入する。回転流においては、遠心力により細菌またはウイルスが外側に寄せられる。
【0032】
なお、微細気泡生成部4は、スタティックミキサーに代えて、液体に微細気泡を生成できれば、加圧溶解式や旋回液流式、エゼクター式、ベンチュリ―式、微細孔式の微細気泡生成装置であってもよい。しかし、スタティックミキサー型以外の微細気泡生成装置は、大型のものが多く、後述する超微細気泡変換部5と共同で用いる場合は、スタティックミキサー型であることが望ましい。
【0033】
微細気泡生成部4は、主に、直径が1μm~100μmの、いわゆるマイクロバブルを生成する。そのような微細気泡は、光を散乱する程度の直径となるため、液体が透明な場合に、微細気泡を含有する液体は、白濁して観察される。すなわち、微細気泡を含有する液体は、光の透過性が低い。
【0034】
超微細気泡変換部5は、従来知られるバブル圧壊型の超微細気泡生成装置が適用されている。図3に示すように、超微細気泡変換部5は、微細気泡生成部4に接続され、微細気泡生成部4で生成された微細気泡を含む液体を通過させる通路51と、通路51の周囲を覆う外装体52と、外装体52に取り付けられた超音波振動子53とを備える。通路51と外装体52とから形成される中間空間5sは、伝搬液を充填される。これにより、超音波振動子53からの超音波が伝搬液を伝って通路51を通過する液体に照射される。
【0035】
通路51は、円形の断面を有し同一径で円柱状に延び、均一な流路を形成している。通路51は微細気泡生成部4と紫外線照射部6とに介在するように接続されており、微細気泡生成部4から供給された液体は、通路51を通り、紫外線照射部6を経て貯留部1まで流される。なお、通路51は、水平方向に沿って配置されており、衛生面に優れた樹脂材料のパイプが適用されている。本実施形態において、超微細気泡変換部4の通路51には、スタティックミキサーからスクリュー状の回転流として液体が流入する。回転流においては、遠心力により細菌またはウイルスが外側に寄せられる。
【0036】
外装体52は、ステンレスを材料とし、正六角形の断面を有する六角柱状に延びる側周部材52aと、側周部材52aを延在方向の両側から挟む円板状の一対の平面部材52bとからなる。両平面部材52bは、中央に通路51をはめ込まれて、側周部材52aの六角形の中央を通路51が延びるように通路51を固定している。これにより、通路51の外側と外装体52の側周部材52aには中間空間5sが形成され、通路51の外周と、六角形の側周部材52aの各面は、それぞれ同様の中間空間5sを形成している。
【0037】
図4は超微細気泡変換部5を図3(B)の矢印a-a’で切断した側断面図を示す。図5に示すように、超微細気泡変換部5は、通路51と外装体52から形成される中間空間5sに超音波を伝搬可能な伝搬液を充填される。本実施の形態において、伝搬液として冷却部(図示しない)から供給される冷却水が充填される。
【0038】
伝搬液は、通路51が水平方向に向く状態に配置された超微細気泡変換部5において、外装体52の平面部材52bの下側に設けられた伝搬液導入口52cから導入され、外装体52の平面部材52bの上側に設けられた伝搬液導出口52ddから導出される。これにより、中間空間5sでは、伝搬液は、図面の左側から供給され、下側から上側に充填されていき、上側から排出される。したがって、伝搬液は、中間空間5s内に空気を残さず充填される。
【0039】
外装体52に取り付けられた超音波振動子53から照射される超音波は、伝搬液を介して通路51に伝搬される。このとき、中間空間5sに空気が残ると、伝搬液と空気の伝搬率が異なるため、超音波が均等に伝搬しない。したがって、中間空間5s内に空気を残さないことにより、効率的かつ均一に超音波を通路51の内部に伝搬できる。
【0040】
伝搬液は、中間空間5sを定常的に流されているため、超音波圧壊による超微細気泡変換部5の熱を排出することができる。さらに、伝搬液は、通路51を流れる液体と同一方向に流れているため、効率的に熱を排出することができる。また、伝搬液の流速を上げることにより、より熱の排出効率を高めることができる。
【0041】
再び図3を参照するに、外装体52は、六角柱の各面に超音波振動子53を取り付けられている。超音波振動子53は、通路51の延在方向に2段に分けて設けられており、微細気泡生成部4側を前段の超音波振動子53群、貯留部1側を後段の超音波振動子53群としている。各段の超音波振動子53群は、通路51の中心軸から放射状に設けられた6つの超音波振動子53からなる。
【0042】
対向する2つの超音波振動子53が一対の発振子対となり、6つの超音波振動子53は3対の発振子対となっている。各超音波振動子53は、周波数および出力を制御部により調整可能とされている。本実施の形態において、12個の超音波振動子53は、それぞれ、同一周波数、同一出力で超音波を照射している。
【0043】
各発振子対は、通路51の延在方向の同一の位置であって外装体52の六角柱の一対の対向する側面に設けられている。ここで、外装体52は、ステンレスを材料に形成されているため、超音波を反射する。したがって、側周部材52aの一の面に設けられた超音波振動子53から発振された超音波は、側周部材52aの対向する他の一の面で反射する。この反射した超音波は、他の一の面(その反射面)に設けられた超音波振動子53から照射された超音波と重ね合わされる。これらにより、通路51の径方向の中央には超音波の集中する、いわゆる圧壊場が形成され、微細気泡が圧壊されて超微細気泡に変換される。
【0044】
本実施の形態において、超微細気泡変換部5は、超微細気泡として、直径が1μm未満の、いわゆるウルトラファインバブルを生成する。ウルトラファインバブルは、光の透過に対してほとんど干渉しない。すなわち、微細気泡を超微細気泡に変換された液体は、微細気泡生成部4を通過した直後の液体に比較して光の透過性が高い。
【0045】
紫外線照射部6は、図5に示すように、従来知られる流体殺菌装置を適用することができる。流体殺菌装置として、流路を区画する流路管61と、流路管61の周囲に設けられ、流路を流れる流体に向けて流路管61の中心に向けて紫外光を照射する光源62と流路管と光源とを覆うカバー63とを備える。流路管61は、透明材料で円筒状に形成されており、光源62からの紫外線を通過させる。
【0046】
光源62は、その中心波長またはピーク波長が約200nm~350nmの範囲に含まれる紫外光を出力し、好ましくは、殺菌効率の高い波長である260nm~290nm付近の紫外光を出力する。このような紫外光を照射する光源として、例えば、窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)を用いたLEDや、紫外線蛍光灯等が知られている。
【0047】
本実施形態に係る殺菌不活化システムSにおいて、超微細気泡変換部5の後段に紫外線照射部6が設けられている。したがって、超微細気泡変換部5において、直径が1μm~100μmの、いわゆるマイクロバブルが、直径が1μm未満の、いわゆるウルトラファインバブルに変換されており、この超微細気泡は光の透過性にほとんど影響しないため、紫外線照射部6から照射される紫外線は、液体に深く進行し、広範囲に殺菌または不活化することができる。
【0048】
また、紫外線照射部6では、超微細気泡変換部5の通路51から液体が回転流となって円筒状の流路管61に流入する。これにより、流路を流れる液体は回転による遠心力で外側に細菌やウイルスを寄せているため、液体は外側からの紫外線が照射され、効率よく殺菌または不活化が行われる。本実施形態のおいては、このように、スタティックミキサーから回転流となって流出した液体が、超微細気泡変換部5の通路51を通って回転を維持したまま紫外線照射装置まで流入し、回転流の中心軸方向に向けて紫外線が照射されて外側ほど強力に殺菌または不活化が行われる。
【0049】
次に、貯留部1について図6および図7を用いて説明する。図6(A)は貯留部1の平面図を示し、図6(B)は図6(A)のb-bの断面図を示す。
【0050】
図6(A)に示すように、貯留部1は、概略円柱状の貯留槽11と、貯留槽11を覆う外装容器12とからなる。貯留槽11は、液体を貯留するための所定量の容積を有する貯留空間1sを形成する。また、貯留槽11と外装容器12との間には、冷却空間1tが形成されており、外装容器12に設けられた冷却水導入口12aを介して冷却水が供給され、冷却水導出口(図示なし)より冷却水が導出される。
【0051】
貯留槽11および外装容器12は、ステンレスを材料に形成され、貯留槽11は密閉構造にされている。これにより、超音波圧壊時に発生する微量ガスは、大気と接触することなく、貯留槽11内に留まる。さらに、貯留槽11が密閉構造とされているため、貯留部1内の圧力制御が可能となる。
【0052】
貯留部1は、また、貯留槽11に、側周面の外側から取り付けられる複数の超音波振動子13を備える。本実施形態において、貯留部1は、側周面に同一の角度で同一の高さ位置に配置された8つの超音波振動子13を備える。各超音波振動子13は、貯留槽11の中央に向けて超音波を照射する。超音波振動子13は、貯留槽11に設けられており、直接貯留槽11に貯留された液体に超音波を照射する。
【0053】
ここで、対向する2つの超音波振動子13が一対の発振子対となり、8つの超音波振動子13は4対の発振子対となり、貯留槽11の中央に超音波圧壊場を形成する。各超音波振動子13は、周波数および出力を制御部により調整可能とされている。本実施の形態において、4つの超音波振動子13は、それぞれ、同一周波数、同一出力で超音波を照射している。
【0054】
図6(A)および図6(B)に示すように、貯留部1は、さらに、導入路7に接続される飲料導入口14と、微細気泡生成部4に接続される再帰流路導出口15と、紫外線照射部6の流路61に接続される再帰流路導入口16と、流出路8に接続される飲料導出口17と、排出路9に接続される排出口17と、加圧部に接続される加圧口18とを備え、これらが貯留槽11に設けられている。
【0055】
なお、図6においては、定置洗浄(IP:leaning In Plae)に利用する洗浄液導入口19を示すが、通常時は閉鎖され、装置の停止時にタンク内の洗浄に利用される。洗浄液導入口19は、シャワーボール19aを介して貯留槽11に洗浄液を導入することができる。
【0056】
飲料導入口14は、円筒のパイプからなり、後述する再帰流路導入口16のパイプと同様に、くの字形状に30°程度の角度に折り曲げられており、さらに、先端が鉛直方向に切断されている。これにより、原液を吐出する吐出口(図示なし)を貯留空間1sの側面に沿わせながら、水平方向に向けて原液を吐出し、当該側面に向けて原液が吐出される。導入路7から供給される飲料が貯留空間1sの側面に沿って吐出されることにより、液体は貯留空間1sの側面に沿って導入されることになり、飲料が泡立つことを抑制される。
【0057】
また、加圧口18は、主に、円筒のパイプからなり、貯留槽11の上面から貯留槽11内の頂面まで連通し、加圧部から二酸化炭素ガス、窒素ガス等の所望の気体を貯留槽11の貯留空間1s内に供給して、加圧する。貯留部1は、加圧部により加圧された状態で液体を貯留することができる。
【0058】
再帰流路導入口16は、主に円筒のパイプからなり、貯留槽11の上面から、貯留槽11内の底面部より2/3の高さ位置まで延在し、紫外線照射部6から液体を貯留槽11の上側から供給する。
【0059】
図7に示すように、再帰流路導入口16のパイプは、くの字形状に30°程度の角度に折り曲げられており、さらに、先端が鉛直方向に切断されている。これにより、液体を吐出する吐出口16aを貯留空間1sの側面に沿わせながら、水平方向に向けて液体を吐出し、当該側面に向けて液体が吐出される。液体が貯留空間1sの側面に沿って吐出されることにより、液体は貯留空間1sの側面に沿って導入されることになり、泡立つことを抑制される。
【0060】
再帰流路導出口15は、主に、円筒のパイプからなり、貯留槽11内の底部から1/3の高さ位置において貯留槽11の側部から水平方向に延在して貯留槽11内に連通し、貯留槽11の底部から1/3の高さ位置の液体を循環経路に導出し、液体を微細気泡生成部4に再帰させる。
【0061】
再帰流路導出口15のパイプは、水平方向に液体を吸引する。これにより、液体は、水平方向に吸引圧を受け、貯留空間1s内で撹拌される。しかし、液体は上下方向に吸引圧を受けることがないため、直径の小さいバブルが貯留空間1sの下方で高濃度化することを妨げない。
【0062】
飲料導出口17は、貯留部1と同様に、主に、円筒のパイプからなり、貯留槽11の底部から貯留槽11外まで延在し、液体を貯留槽11の底から取り出す。排出口は、主に、円筒のパイプからなり、貯留槽11内の底面から貯留槽11外まで延在し、貯留槽11の底から液体を排出する。
【0063】
貯留部1が密閉構造となることにより、貯留空間1sは大気から隔離され、貯留空間1sを加圧部により加圧することが可能になる。本実施の形態において、加圧部は、0.6MPa程度まで貯留空間1sを加圧することができる。また、貯留部1は、加圧部を作動しない場合であっても、微細気泡生成部4から圧送される液体により、大気圧から0.01MPа~0.05MPa程度加圧される。
【0064】
貯留部1は、貯留槽11の上面に設けられた減圧口をさらに備え、ベントフィルターを介して外部に連通して、貯留空間1sからの通気路を確保する。ベントフィルターと減圧口との間には、開閉バルブ(図示なし)が設けられており、制御部が開閉バルブの開度を調整することにより貯留空間1s内の圧力調整を可能とする。貯留空間1sの圧力は、制御部が、圧力トランスミッターにより貯留空間1s内の圧力を測定し、加圧部とベントフィルターにより、所定の値に調整される。
【0065】
さらに、貯留部1は、貯留槽11内に貯留された液体を撹拌する撹拌機19を備える。撹拌機19は、貯留槽11の上方に設けられたモータ19mと、モータ19mに接続するシャフト19lと、シャフト19lに取り付けられた撹拌羽19fとを備える。モータ19mは制御部に接続しており、駆動するタイミングを制御される。
【0066】
ここで、微細気泡または超微細気泡を含有する液体は、含有しない液体に比較して泡立ちやすい特性を有し、その特性は、牛乳等のコロイド成分を有する液体で顕著となる。したがって、液体の導入および貯留において、液体は、貯留部1に導入される際に、泡立ってしまうと、バブル濃度の低下、および安定的に取出し困難となる。
【0067】
貯留部1では、再帰流路導入口16の吐出口が貯留空間1sの側面に沿わせて形成され、再帰流路導入口16が水平方向に液体を貯留槽11の側面に向けて吐出する。これにより、液体が貯留槽11の側周面に沿って貯留空間1sに導入されることにより、泡立つことを抑制して貯留することができる。
【0068】
以上のような本実施形態に係る殺菌不活化システムSによれば、超微細気泡変換部5で微細気泡が超微細気泡に変換され、透過率を高められた液体に対して、紫外線照射部6から紫外線を照射する。したがって、紫外線が液体に進行し、液体中に存在する細菌やウイルスを広範囲に殺菌または不活化することができる。
【0069】
さらに、本実施形態に係る殺菌不活化システムSによれば、貯留部1において飲料等が固形物を含む場合に、固形物の内部に超微細気泡が侵入し、固形物の内部の細菌やウイルスを脱離して液体に排出させる。この排出された液体が紫外線照射部6を通過する際に、細菌やウイルスが殺菌または不活化される。
【0070】
また、液中に排出される細菌は、超微細気泡変換部5において照射される超音波により殺菌される。すなわち、超微細気泡変換部5では、超音波圧壊場が形成され、液体の含有する微細気泡を圧壊して超微細気泡に変換する。超音波圧壊場は、連続的に超音波を照射されて形成されており、超音波圧壊場には、いわゆるソノルミネセンス現象により紫外線が発生する。そのため、超音波圧壊場を通過する液体に対して紫外線による殺菌効果が得られる。
【0071】
さらに、超微細気泡変換部5では、超音波圧壊場を形成する超音波が液体に照射されることにより、液中でキャビテーションにより無数の真空気泡が生じる。この真空気泡が圧縮と膨張を繰り返して崩壊する際に、反応場が形成される。この反応場では、真空気泡が破裂することにより細菌の細胞壁を破壊し、一般生菌やレジオネラ菌、大腸菌、芽胞菌等に加えノロウイルスのようなウイルスを死滅させる効果を得られる。特に、芽胞菌は、耐熱性菌のため加熱殺菌では殺菌できないが、超音波による殺菌が効果的であることがわかった。
【0072】
上記の効果に加え、本実施形態に係る微細気泡生成部4または、従来の微細気泡生成装置等では、主にマイクロバブルが生成され、図8(A)に示すように複数のバブルが凝集した状態となる。これに対して、本実施形態に係る超微細気泡変換部5では、図8(B)に示すように均一な微細気泡が生成される。
【0073】
例えば、超微細気泡変換部5の通路51を通過する液体の流速や、超音波の強度を調整することにより、パターンA:直径250nm、濃度1500万個/ml、パターンB:直径98nm、濃度2.8億個/ml、パターンC:直径126nm、濃度31.4億個/mlのように、超微細気泡の直径および濃度を制御することができた。
【0074】
したがって、本実施形態に係る超微細気泡変換部5によれば、凝集することなく均一に分布する多数の超微細気泡が形成されるため、飲料等に液体中に含まれる固形物がある場合に、微細気泡では蓋をしてしまい侵入することが困難な固形物の孔内にも、超微細気泡が侵入することができる。
【0075】
さらに、図9に示すように固形物の内部に侵入した超微細気泡は、固形物の孔内に入り込み、孔内に細菌のような超微細気泡の直径より大きな対象物に対しては、対象物を包むように固形物から脱離し、固形物の外に排出させる。すなわち、細菌類の表面は両極性電解質の性質を有しマイナス電荷を持つ超微細気泡が選択的に吸着し対象物から脱離する。なお、バブル周辺は水酸基(OH-)と水素基(H+)が誘電分極し、界面活性状態での洗浄作用もある。
【0076】
また、図10に示すように、固形物の内部に侵入した超微細気泡は、固形物の孔内に入り込み(図10(A)を参照)、孔内にウイルスのような超微細気泡の直径とほぼ同等の大きさの対象物に対しては、対象物と1対1程度の関係で固形物から脱離し(図10(B)を参照)、固形物の外に排出させる。すなわち、ウイルスの表面は、細菌と同様に、両極性電解質の性質を有しマイナス電荷を持つ超微細気泡が選択的に吸着し対象物から脱離する。
【0077】
このように、固形物から細菌またはウイルスが貯留部1の液体に排出される。貯留部1の液体は、殺菌不活化システムSのループを循環する際に、紫外線照射部6を通過するため、液体中の細菌またはウイルスは、紫外線により殺菌または不活化される。すなわち、殺菌不活化システムSによれば、固形物から液体中に排出された細菌またはウイルスが殺菌不活化システムSのループを循環することにより殺菌または不活化される。
【0078】
さらに、固形物が細菌よりも寸法の大きい寄生虫等の場合であっても、寄生虫を包むように固形物から脱離し、固形物の外に排出させる。また、寄生虫に対しては、貯留部1に設けられた超音波振動子13から照射される超音波により、微細気泡または超微細気泡が崩壊することによる破壊エネルギーの作用も相まって、寄生虫を弱らせて脱離する。
【0079】
本実施形態において、ポンプ2、微細気泡生成部4、超微細気泡変換部5、紫外線照射部6、貯留部1の順に各手段が設けられ、ループが形成される形態について説明した。しかし、超微細気泡を生成した後に、紫外線を照射される構成であれば、各手段を設ける順序は異なってもよく。また、超微細気泡を生成した後に、紫外線を照射される構成であれば、不要な手段を除いてもよい。
【0080】
微細気泡生成部4と超微細気泡変換部5とは、超微細気泡が生成できれば、他の手段であってもよい。例えば、微細気泡生成部4と超微細気泡変換部5は、液体に超微細気泡を生成する、加圧溶解式や旋回液流式、エゼクター式、ベンチュリ―式、超微細孔式の超微細気泡変換部5であってもよい。
【0081】
本発明に係る実施の形態において、超微細気泡変換部5の伝搬液は、定常的に流されているが、中間空間5sに一度充満させておいて伝搬液の供給を止め、超微細気泡変換部5の温度が上昇したときだけ伝搬液を再度流すようにしてもよい。
【0082】
本実施形態において、超微細気泡変換部5は、通路51が水平方向に沿う状態に設けられている。しかし、超微細気泡変換部5は、通路51が鉛直方向に沿う状態に設けられてもよい。そのようにすれば、通路51の入口側(微細気泡生成部4側)を上側、通路51の出口側(紫外線照射部6側)を下側として配置することで、超音波圧壊されずに凝集して生じた大型の気泡を微細気泡生成部4に戻すことができる。これにより、超微細気泡変換部5から流出する液体は、大型の気泡を含まず、均一に超微細気泡が分布する。
【0083】
本実施の形態において、各超音波振動子53群に6つ、すなわち偶数の超音波振動子53が超微細気泡変換部5の外装体52に設けられている。しかし、超音波振動子53は、奇数の超音波振動子53が設けられていてもよく、その場合は、複数対の発振子対と、1の超音波振動子53となる。
【0084】
以上、本発明に具体的な態様を、上記の実施形態により説明したが、本発明は、当該実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0085】
S 殺菌不活化システム
1 貯留部
4 微細気泡生成部
5 超微細気泡変換部
6 紫外線照射部
11 貯留槽
13 超音波振動子
53 超音波振動子

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10