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  • 特許-締付工具 図1
  • 特許-締付工具 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】締付工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/14 20060101AFI20231116BHJP
   B25B 21/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B25B23/14 620J
B25B21/00 530Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019119736
(22)【出願日】2019-06-27
(65)【公開番号】P2021003785
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】591045323
【氏名又は名称】瓜生製作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】滝川 陽平
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-346771(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03117964(EP,A1)
【文献】特開2013-119149(JP,A)
【文献】特開2014-037033(JP,A)
【文献】特開2020-044627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/14
B25B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
締付工具による作業状態を確認できるようにするための報知用の発光機構のランプの発光によって、締付工具の本体部の周面において環状に発光する導光・発光部を備えた締付工具において、
前記導光・発光部が、本体部の周面において環状に配置され、端面から、発光機構のランプが発光する光を導入することで、線状発光体全体に光を行き渡らせることにより環状に発光するようにした、可撓性を有する、光の直進透過性エラストマと面発光性フッ素樹脂との2層構造からなる線状発光体からなり、
前記発光機構のランプが、締付工具の本体部の周面において環状に配置された線状発光体の端面から、LEDが発光する光を導入するように、1つのLED基板に2個のLEDを対向して配設するようにしてなり、
前記線状発光体は、締付工具の本体部の周面から突出した拡散レンズによって覆われてなる
ようにしたことを特徴とする締付工具。
【請求項2】
前記拡散レンズが、線状発光体と対向する面に、その長手方向に対して直交する方向にスリットを複数形成されてなるようにしたことを特徴とする請求項に記載の締付工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイルパルスインパクトレンチ等の締付工具に関し、特に、締付工具による締付状態等の作業状態を視覚を通して確認できるようにした締付工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オイルパルスインパクトレンチ等の締付工具では、作業者が、締付工具による締付状態等の作業状態を、例えば、ボルト等の設定されたトルクでの締付完了や不良があった時にこれを視覚を通して確認できるようにするために報知用のランプを設けるようにしている。
より具体的には、例えば、特許文献1に記載の締付工具においては、締付工具の本体部の後面に、報知用のランプとしてのLEDを設けるようにしている。
【0003】
しかしながら、報知用のランプを締付工具の本体部の後面に設けるようにすると、締付工具を前面に向けた作業姿勢や、本体部を傾け、締付工具を上から見下ろす作業姿勢等では、作業者はそのままの姿勢ではランプを視認しにくいため、作業者は、ランプを設けた締付工具の後面側に体を動かしてランプを視認する必要があり、作業者の肉体への負担増加と作業効率の低下が生じるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-5555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の締付工具の有する問題点に鑑み、作業者の作業姿勢にかかわらず、締付工具による締付状態等の作業状態を視覚を通して容易に確認できるようにした締付工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の締付工具は、締付工具による作業状態を確認できるようにするための報知用の発光機構を備えた締付工具において、前記発光機構のランプの発光によって、締付工具の本体部の周面において環状に発光する導光・発光部を備えてなるようにしたことを特徴とする。
【0007】
この場合において、前記発光機構のランプが、LEDからなり、導光・発光部が、線状発光体からなるようにすることができる。
【0008】
また、前記導光・発光部が、締付工具の本体部の周面から突出した拡散レンズによって覆われてなるようにすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の締付工具によれば、締付工具による作業状態を確認できるようにするための報知用の発光機構を備えた締付工具において、前記発光機構のランプの発光によって、締付工具の本体部の周面において環状に発光する導光・発光部を備えてなるようにすることにより、作業者の作業姿勢にかかわらず、締付工具による締付状態等の作業状態を視覚を通して容易に確認できるようにすることができる。
【0010】
また、前記発光機構のランプが、LEDからなり、導光・発光部が、線状発光体からなるようにすることにより、発光機構の構成を簡易にすることができる。
【0011】
また、前記導光・発光部が、締付工具の本体部の周面から突出した拡散レンズによって覆われてなるようにすることにより、導光・発光部の光を拡散し、視認性を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の締付工具の一実施例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は要部の拡大断面図である。
図2】発光機構の分解説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の締付工具の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1図2に、本発明の締付工具の一実施例を示す。
この締付工具は、締付工具1による作業状態を確認できるようにするための報知用の発光機構2を備えた締付工具において、発光機構2のランプ21の発光によって、締付工具の本体部の周面において環状に発光する導光・発光部22を備えてなるようにしている。
【0015】
発光機構2のランプ21には、LEDを、導光・発光部22には、線状発光体を、それぞれ用いるようにしている。
この場合において、発光機構2のランプ21であるLEDは、LED基板20aに2個を対向して配設するようにし、LEDカバー20bに端部を取り付けた、導光・発光部22を構成する線状発光体の端面から、LEDが発光する光を導入することで、線状発光体全体に光を行き渡らせるようにしている。
また、導光・発光部22である線状発光体は、例えば、断面円形又は矩形の棒状で、可撓性を有する、エラストマ(光の直進透過性)とフッ素樹脂(面発光性)との2層構造からなるものを好適に用いることができる。
これにより、発光機構2の構成を簡易にすることができる。
【0016】
また、導光・発光部22を構成する線状発光体は、締付工具1の本体部の周面から突出した拡散レンズ23によって覆われてなるようにしている。
拡散レンズ23は、透明又は半透明の透光性の合成樹脂からなり、強度が大きく、傷が付きにくい、ポリカーボネート等の合成樹脂を好適に用いることができる。
また、拡散レンズ23は、導光・発光部22を構成する線状発光体の光を拡散させるために、線状発光体と対向する面に、その長手方向に対して直交する方向に幅約0.5mm程度のスリットを複数形成するようにしている。そして、拡散レンズ23は、締付工具1の本体部の周面から、数mm程度(本実施例においては、3mm程度。)突出させるようにすることで、作業者の作業姿勢にかかわらず、締付工具1に対する全方位から、発光状態を視認できるようにしている。
これにより、導光・発光部22を構成する線状発光体の光を拡散し、視認性を一層向上させることができる。
【0017】
この締付工具によれば、作業者の作業姿勢にかかわらず、締付工具1による締付状態等の作業状態を視覚を通して容易に確認できるようにすることができる。
【0018】
この場合において、発光機構2のランプ21であるLEDは、締付工具1による締付状態等の作業状態に応じて、継続的に点灯したり、点滅したりするようにすることによって、締付工具1による締付状態等の作業状態を視覚を通して容易に確認できるようにすることができる。
【0019】
また、本実施例においては、LED基板20aに2個を対向して配設するようにし、導光・発光部22を構成する1本の線状発光体に光を行き渡らせるようにしたが、このセットを2組以上配設し、締付工具1による締付状態等の作業状態に応じて、異なる色で発光させることによって、締付工具1による締付状態等の作業状態を視覚を通して容易に確認できるようにすることができる。
【0020】
以上、本発明の締付工具について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の締付工具は、作業者の作業姿勢にかかわらず、締付工具による締付状態等の作業状態を視覚を通して容易に確認できる特性を有していることから、オイルパルスインパクトレンチ等の締付工具の用途に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0022】
1 締付工具
2 発光機構
20a LED基板
20b LEDカバー
21 ランプ(LED)
22 導光・発光部(線状発光体)
23 拡散レンズ
図1
図2