(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】生海苔裁断機
(51)【国際特許分類】
A23L 17/60 20160101AFI20231116BHJP
【FI】
A23L17/60 103C
(21)【出願番号】P 2019145977
(22)【出願日】2019-08-08
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】391008294
【氏名又は名称】フルタ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】古田 成広
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 幸政
(72)【発明者】
【氏名】加納 誠
【審査官】川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-262074(JP,A)
【文献】特開2007-274982(JP,A)
【文献】特開2009-017853(JP,A)
【文献】特開2007-252278(JP,A)
【文献】特開2005-224216(JP,A)
【文献】特開2002-034522(JP,A)
【文献】登録実用新案第3053035(JP,U)
【文献】特開平11-346733(JP,A)
【文献】特開昭57-039762(JP,A)
【文献】特開平08-140637(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103831248(CN,A)
【文献】特開2011-104464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の本体ケースに架承したミンチスクリュー、及びこのミンチスクリューを架承するナイフ鞘管と、このナイフ鞘管に片持ち式に架承したミンチスクリューと、このミンチスクリューと前記本体ケースに貫設したナイフシャフトと、このナイフシャフトの先端側に設けたミンチナイフと、このミンチナイフが摺接する前記本体ケースの他端に設けたミンチプレートと、前記ナイフ鞘管、及び前記ナイフシャフトにそれぞれ設けたプーリと、でなる生海苔裁断機において、
前記本体ケースに開設した生海苔投入口の一端側壁面
に凹部
を備え、前記凹部に前記ミンチスクリューの一端部が嵌め込まれ、前記凹部の周辺壁を切り欠いて空室を
形成することを特徴とする生海苔裁断機。
【請求項2】
筒状の本体ケースの一端方向に備えた軸受けと、この軸受けを架承するナイフ鞘管と、このナイフ鞘管に片持ち式に架承したミンチスクリューと、このミンチスクリューと前記本体ケースに貫設したナイフシャフトと、このナイフシャフトの先端側に設けたミンチナイフと、このミンチナイフが摺接する前記本体ケースの他端に設けたミンチプレートと、前記軸受け、及び前記ナイフシャフトにそれぞれ設けたプーリと、でなる生海苔裁断機において、
前記本体ケースに開設した生海苔投入口の一端側壁面
に凹部
を備え、前記凹部に前記ミンチスクリューの一端部が嵌め込まれ、前記凹部の周辺壁を切り欠いて空室を
形成することを特徴とする生海苔裁断機。
【請求項3】
前記凹部は、前記本体ケースの周壁と、前記本体ケースの周壁より内部に向かった
前記周辺壁で形成する構成とした請求項1、又は請求項2に記載の生海苔裁断機。
【請求項4】
前記空室は、前記生海苔投入口の前記一端側壁面の円周方向に凹設した前記凹部の
前記周辺壁を、切欠いて形成する構成とした請求項1、又は請求項2に記載の生海苔裁断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生海苔裁断機に関する。
【背景技術】
【0002】
生海苔裁断機は、海苔の原藻(生海苔)を、細かく細断しミンチとする海苔の機械である。この機械は、本体ケース、又は軸受けとミンチスクリューの嵌め合せ箇所に、生海苔とか、異物が侵入し、溜まることがある。この溜まりは、生海苔が塊状となって、そのままミンチプレートに送られることから、ミンチ状態とならず、屑(異物)の状態で、次の工程に送られることがある。また、この溜まり発生で、稀ではあるが、ミンチプレートに所定の生海苔が送られず、能率低下の一因とも考えられている。
【0003】
この生海苔裁断機に関しては、それぞれ下記のような問題解決を意図し、それぞれ提案されている。
【0004】
例えば、長い原藻が移送翼にからみつくことであった。そのために、移送翼にからみついた原藻を切断歯で切断する構成として、実開昭52-149193号公報が挙げられる。また、生海苔の枝片を、排出口付近の藻を攪拌、かつほぐしながらスクリュウコンベアに送出することを意図し、スクリュウコンベアを、中空状の旋回羽根構成とした、実開昭55-114593号公報が挙げられる。さらに、ハウジング内にチョッパを設置し、原料海苔に含まれる網糸、釣り糸等の異物を容易に除去する構成として、特開平10-004932号公報が挙げられる。
【0005】
【文献】実開昭52-149193号公報
【文献】実開昭55-114593号公報
【文献】特開平10-004932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、嵌め合せ箇所に、生海苔とか、異物(海苔以外のもの、例えば、小海老、塵、網糸等)が侵入し、溜ることに関しては、これまでは見過ごされており、又は気にしなかったのが現況である。また、前記特許文献1~特許文献3に関しても、提案されていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明の目的は、前記嵌め合せ箇所への生海苔等の溜りを無くし、乾海苔への異物の混入を無くすことである。
【0008】
その手段が、請求項1-4に記載した発明である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明は、筒状の本体ケースに架承したミンチスクリュー、及びミンチスクリューを架承するナイフ鞘管と、ナイフ鞘管に片持ち式に架承したミンチスクリューと、ミンチスクリューと本体ケースに貫設したナイフシャフトと、ナイフシャフトの先端側に設けたミンチナイフと、ミンチナイフが摺接する本体ケースの他端に設けたミンチプレートと、ナイフ鞘管、及びナイフシャフトにそれぞれ設けたプーリと、でなる生海苔裁断機において、
本体ケースに開設した生海苔投入口の一端側壁面(周壁より内部に突出した壁面)に凹部を備え、凹部にミンチスクリューの一端部が嵌め込まれ、凹部の周辺壁を切り欠いて空室を形成することを特徴とする生海苔裁断機とする。
【0010】
請求項2の発明は、筒状の本体ケースの一端方向に備えた軸受けと、軸受けを架承するナイフ鞘管と、ナイフ鞘管に片持ち式に架承したミンチスクリューと、ミンチスクリューと本体ケースに貫設したナイフシャフトと、ナイフシャフトの先端側に設けたミンチナイフと、ミンチナイフが摺接する本体ケースの他端に設けたミンチプレートと、軸受け、及びナイフシャフトにそれぞれ設けたプーリと、でなる生海苔裁断機において、
本体ケースに開設した生海苔投入口の一端側壁面(周壁より内部に突出した壁面)に凹部を備え、凹部にミンチスクリューの一端部が嵌め込まれ、凹部の周辺壁を切り欠いて空室を形成することを特徴とする生海苔裁断機とする。
【0011】
請求項3の発明は、凹部は、本体ケースの周壁と、本体ケースの周壁より内部に向かった周辺壁で形成する構成とした生海苔裁断機とする。
【0012】
請求項4の発明は、空室は、生海苔投入口の一端側壁面の円周方向に凹設した凹部の周辺壁を、切欠いて形成する構成とした生海苔裁断機とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の生海苔裁断機の要部であって、その断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、図面に基づいて説明する。以下の説明とそれぞれの図面は、本発明の好ましい一例であって、この説明と各図面に限定されない。従って、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【0015】
図中1は本体ケースであり、一端1aの開口には軸受け2を繋ぎ、他端1bには、ミンチプレート3を備えており、この本体ケース1に貫設したナイフシャフト4の先端側(他端4b)に設けたミンチナイフ5を、当該本体ケース1の他端1bに備えている。そして、前記ミンチプレート3には多数の孔300(図示しない)を備えるとともに、このミンチプレート3には前記ミンチナイフ5が摺接し、このミンチプレート3の孔300に押込まれた生海苔をカットする構造である。また、本体ケース1の上壁1cには、本体ケース1の内部1dに繋がる生海苔投入口100を備えており、かつ本体ケース1の生海苔投入口100の一端側壁面100a(周壁1eより内部1dに突出した壁面)には、ミンチスクリュー6の一端6aが、僅かな、クリアランスHを介して嵌め込まれる嵌め合せ(嵌め合せ箇所)用の凹部7を凹設、かつ周設して形成する。この凹部7には、クリアランスHに詰まった生海苔等を、内部1dに戻す空室9を備える。本体ケース1の壁面100aに形成した凹部7は、本体ケース1の周壁1eと、本体ケース1の周壁1eより内部1dに向かった周辺壁7aで形成される。この周辺壁7aの一部を切り欠いて空室9を形成する。尚、
図2の部分拡大図に示したように、クリアランスHは、凹部7の周辺壁7aと、ミンチスクリュー6の一端6aの外周壁6cの嵌め代でもある。この空室9は、クリアランスHに繋がり、かつ周辺壁7aに切欠き形成した空間である。空室9は、一端1a側から他端1b側に向かって広がる、テーパー形状としてもよい。
【0016】
そして、ミンチスクリュー6の一端6aは、本体ケース1の軸受け取付部位101、及び軸受け2に内設したナイフ鞘管8の他端8bに連結されている。このミンチスクリュー6とナイフ鞘管8は、ベアリング10を介して、軸受け取付部位101、及び軸受け2内に回転自在に内設されている。また、ナイフ鞘管8の一端8aにはプーリ11が設けられており、このプーリ11は、図示しないモータからの動力で回転する。このプーリ11の回転により、ミンチスクリュー6が回転する。
【0017】
前記ナイフシャフト4で、このナイフシャフト4は、前記本体ケース1、及び軸受け2内に回転自在に支持されており、かつナイフシャフト4の一端4aには、プーリ13が設けられており、このプーリ13は、図示しないモータからの動力で回転する。このプーリ13の回転により、ナイフシャフト4が回転するとともに、前記ミンチナイフ5が回転する。即ち、ミンチプレート3に押込まれ、かつ支持された生海苔をカットする。このカットで、裁断された生海苔(ミンチ海苔)ができ上る。
【0018】
前述の如く、クリアランスHに生海苔等が入り込むことがあると、この生海苔等は、ミンチスクリュー6の回転に引きつられていき(共回りし)、クリアランスHから離れることが無くなる。従って、生海苔投入口100より投入された生海苔が、残留することとなり、効率的でない。また、共回りする生海苔等が離れると、塊状となり易く、ミンチ生海苔とはいい難く、かつ乾海苔の異物となり、この乾海苔の品質劣化となる。
【0019】
このような状況に鑑み、本発明では、空室9を形成し、共回りを回避するとともに、塊状とならないことを目的とする。これによって、少なくとも、品質劣化を回避できる。
【符号の説明】
【0020】
1 本体ケース
1a 一端
1b 他端
1c 上壁
1d 内部
1e 周壁
100 生海苔投入口
100a 壁面
101 軸受け取付部位
2 軸受け
3 ミンチプレート
300 孔
4 ナイフシャフト
4a 一端
4b 他端
5 ミンチナイフ
6 ミンチスクリュー
6a 一端
6c 外周壁
7 凹部
7a 周辺壁
8 ナイフ鞘管
8a 一端
8b 他端
9 空室
10 ベアリング
11 プーリ
13 プーリ
H クリアランス