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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】冷蔵庫およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/06 20060101AFI20231116BHJP
   F25C 1/25 20180101ALI20231116BHJP
   F25D 23/08 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
F25D23/06 N
F25C1/25 305G
F25D23/08 V
F25D23/08 J
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019233999
(22)【出願日】2019-12-25
(65)【公開番号】P2021103030
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】岡部 裕一
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-512412(JP,A)
【文献】実開昭54-79055(JP,U)
【文献】特公昭60-22258(JP,B2)
【文献】特公昭60-49827(JP,B2)
【文献】実開昭56-163289(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0162356(US,A1)
【文献】国際公開第2018/066101(WO,A1)
【文献】特開2018-179407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25C 1/25
F25D 23/00-23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外箱と、
前記外箱と離間した内側に配設されて第1貯蔵室を形成する第1内箱と、
前記外箱と離間した内側に配設されると共に、前記第1貯蔵室の下方に配置されて第2貯蔵室を形成する第2内箱と、
前記外箱、前記第1内箱および前記第2内箱どうしの間に充填された断熱材と、
前記第1貯蔵室と前記第2貯蔵室とを区画する断熱仕切壁と、
前記断熱仕切壁を貫通して、前記第1内箱と前記第2内箱とを連通させる連通部と、を具備し、
前記連通部は、前記第1内箱の下面に形成した第1開口に取り付けられる第1嵌合部と、前記第2内箱の上面に形成した第2開口に取り付けられた第2嵌合部と、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間を埋める軟性材料から成るシール部材と、を有することを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記第1嵌合部には、下方に伸びる第1筒状部が形成され、
前記第2嵌合部には、上方に伸び、且つ、前記第1筒状部とは幅が異なる第2筒状部が形成され、
前記シール部材は、前記第1嵌合部の側面と、前記第2嵌合部の側面と、の間に配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第1貯蔵室に配置された給水タンクと、前記第2貯蔵室に配置された製氷機と、前記給水タンクから前記製氷機に供給される水が流通する導水路と、を更に具備し、
前記導水路は、前記連通部を経由して、前記給水タンクと前記製氷機とを接続することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
第1内箱の下面に形成した第1開口に第1嵌合部を取り付け、第2内箱の上面に形成した第2開口に第2嵌合部を取り付ける工程と、
前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間にシール部材を配置し、前記第1内箱の下方に前記第2内箱を配置することで、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを嵌合させる工程と、
前記第1内箱および前記第2内箱を外箱の内部に設置し、前記第1内箱と前記第2内箱と前記外箱との間に断熱材を充填し、前記第1内箱の下面と前記第2内箱の上面との間に前記断熱材を充填することで断熱仕切壁を形成し、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とからなる連通部により前記第1内箱と前記第2内箱とを連通させる工程と、を具備することを特徴とする冷蔵庫の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵室内に食品等を冷却保存する冷蔵庫およびその製造方法に関し、特に、貯蔵室同士を区切る断熱仕切壁を有する冷蔵庫およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な冷蔵庫は、庫内温度が異なる複数の貯蔵室を有しており、貯蔵室どうしの間には断熱材が充填された断熱仕切壁が配置されている。
【0003】
図8を参照して、特許文献1に記載された、背景技術に於いて各貯蔵室を区切る構造を説明する。図8は、背景技術に係る冷蔵庫1100を示す分解斜視図である。冷蔵庫1100は、断熱箱体1101を有し、断熱箱体1101の内部に貯蔵室が形成されている。
【0004】
断熱箱体1101は、外箱1102と、外箱1102の内部に配置された内箱1103と、外箱1102と内箱1103との間に発泡充填された断熱材1104と、を有している。断熱箱体1101の内部に形成される貯蔵室は、上方から、冷蔵室1105、冷凍室1106および野菜室1107を有している。
【0005】
冷蔵室1105と冷凍室1106とは、断熱構造を有する断熱仕切壁1108で仕切られている。また、冷凍室1106と野菜室1107とは、断熱構造を有する断熱仕切壁1109で仕切られている。
【0006】
冷蔵庫1100の製造工程では、外箱1102の内側に内箱1103を配置した後に、外箱1102と内箱1103との間に断熱材1104を発泡充填する。更に、別部品として用意した断熱仕切壁1108および断熱仕切壁1109を、内箱1103の内部に嵌め込む。これにより、冷蔵室1105と冷凍室1106とを断熱仕切壁1108で断熱区画し、冷凍室1106と野菜室1107とを断熱仕切壁1109で断熱区画する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-179407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した背景技術では、各貯蔵室の冷却効率の観点から改善の余地があった。
【0009】
具体的には、冷蔵室1105と冷凍室1106とは、断熱箱体1101とは別部品として用意される断熱仕切壁1108により断熱されるが、断熱仕切壁1108が別部品であるが故に、断熱仕切壁1108で高い断熱効果を得ることが簡単ではなかった。同様の課題は、冷凍室1106と野菜室1107とを断熱する断熱仕切壁1109に関しても言える。
【0010】
また、断熱箱体1101の製造工程に於いて、断熱仕切壁1108と断熱仕切壁1109とを別部品として用意することが製造コストを上昇させてしまう恐れもある。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、各貯蔵室を断熱区画する断熱仕切壁の断熱効果を向上することができる冷蔵庫およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の冷蔵庫は、外箱と、前記外箱と離間した内側に配設されて第1貯蔵室を形成する第1内箱と、前記外箱と離間した内側に配設されると共に、前記第1貯蔵室の下方に配置されて第2貯蔵室を形成する第2内箱と、前記外箱、前記第1内箱および前記第2内箱どうしの間に充填された断熱材と、前記第1貯蔵室と前記第2貯蔵室とを区画する断熱仕切壁と、前記断熱仕切壁を貫通して、前記第1内箱と前記第2内箱とを連通させる連通部と、を具備し、前記連通部は、前記第1内箱の下面に形成した第1開口に取り付けられる第1嵌合部と、前記第2内箱の上面に形成した第2開口に取り付けられた第2嵌合部と、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間を埋める軟性材料から成るシール部材と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の冷蔵庫では、前記第1嵌合部には、下方に伸びる第1筒状部が形成され、前記第2嵌合部には、上方に伸び、且つ、前記第1筒状部とは幅が異なる第2筒状部が形成され、前記シール部材は、前記第1嵌合部の側面と、前記第2嵌合部の側面と、の間に配置されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の冷蔵庫では、前記第1貯蔵室に配置された給水タンクと、前記第2貯蔵室に配置された製氷機と、前記給水タンクから前記製氷機に供給される水が流通する導水路と、を更に具備し、前記導水路は、前記連通部を経由して、前記給水タンクと前記製氷機とを接続することを特徴とする。
【0015】
本発明の冷蔵庫の製造方法は、第1内箱の下面に形成した第1開口に第1嵌合部を取り付け、第2内箱の上面に形成した第2開口に第2嵌合部を取り付ける工程と、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間にシール部材を配置し、前記第1内箱の下方に前記第2内箱を配置することで、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを嵌合させる工程と、前記第1内箱および前記第2内箱を外箱の内部に設置し、前記第1内箱と前記第2内箱と前記外箱との間に断熱材を充填し、前記第1内箱の下面と前記第2内箱の上面との間に前記断熱材を充填することで断熱仕切壁を形成し、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とからなる連通部により前記第1内箱と前記第2内箱とを連通させる工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の冷蔵庫は、外箱と、前記外箱と離間した内側に配設されて第1貯蔵室を形成する第1内箱と、前記外箱と離間した内側に配設されると共に、前記第1貯蔵室の下方に配置されて第2貯蔵室を形成する第2内箱と、前記外箱、前記第1内箱および前記第2内箱どうしの間に充填された断熱材と、前記第1貯蔵室と前記第2貯蔵室とを区画する断熱仕切壁と、前記断熱仕切壁を貫通して、前記第1内箱と前記第2内箱とを連通させる連通部と、を具備し、前記連通部は、前記第1内箱の下面に形成した第1開口に取り付けられる第1嵌合部と、前記第2内箱の上面に形成した第2開口に取り付けられた第2嵌合部と、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間を埋める軟性材料から成るシール部材と、を有することを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、第1内箱と第2内箱との相対位置に多少のズレが発生した場合でも、軟性材料から成るシール部材が、第1嵌合部と第2嵌合部との間に配置されて変形することで、第1嵌合部と第2嵌合部との間隙を封止することが出来る。
【0017】
また、本発明の冷蔵庫では、前記第1嵌合部には、下方に伸びる第1筒状部が形成され、前記第2嵌合部には、上方に伸び、且つ、前記第1筒状部とは幅が異なる第2筒状部が形成され、前記シール部材は、前記第1嵌合部の側面と、前記第2嵌合部の側面と、の間に配置されることを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、第1筒状部と第2筒状部との間を、シール部材により更に効果的に封止することができる。
【0018】
また、本発明の冷蔵庫では、前記第1貯蔵室に配置された給水タンクと、前記第2貯蔵室に配置された製氷機と、前記給水タンクから前記製氷機に供給される水が流通する導水路と、を更に具備し、前記導水路は、前記連通部を経由して、前記給水タンクと前記製氷機とを接続することを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫によれば、自動製氷機を有する冷蔵庫に於いて、導水路が挿通される連通部が有する第1嵌合部と第2嵌合部との間隙を封止することが出来る。
【0019】
本発明の冷蔵庫の製造方法は、第1内箱の下面に形成した第1開口に第1嵌合部を取り付け、第2内箱の上面に形成した第2開口に第2嵌合部を取り付ける工程と、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部との間にシール部材を配置し、前記第1内箱の下方に前記第2内箱を配置することで、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とを嵌合させる工程と、前記第1内箱および前記第2内箱を外箱の内部に設置し、前記第1内箱と前記第2内箱と前記外箱との間に断熱材を充填し、前記第1内箱の下面と前記第2内箱の上面との間に前記断熱材を充填することで断熱仕切壁を形成し、前記第1嵌合部と前記第2嵌合部とからなる連通部により前記第1内箱と前記第2内箱とを連通させる工程と、を具備することを特徴とする。これにより、本発明の冷蔵庫の製造方法によれば、第1嵌合部と第2嵌合部との間にシール部材を配置することで、断熱材を充填する工程に於いて第1嵌合部と第2嵌合部との間から、第1内箱または第2内箱の内部に発泡断熱材が進入することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫の断熱箱体を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す側方断面図である。
図4】本発明の実施形態を示す図であり、(A)は連通部を示す側方断面図であり、(B)は連通部の切開斜視図である。
図5】本発明の実施形態を示す図であり、(A)は冷蔵庫の製造方法に於いて第1内箱および第2内箱を組み立てる工程を示す斜視図であり、(B)はシール部材を示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態を示す図であり、冷蔵庫の製造方法に於いて、第1嵌合部と第2嵌合部とを組み付ける工程を示す分解側方断面図である。
図7】本発明の実施形態を示す図であり、冷蔵庫の製造方法に於いて、断熱材を発泡充填する工程を示す側方断面図である。
図8】背景技術に係る冷蔵庫を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。本実施形態の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では、上下前後左右の各方向を用いて説明するが、左右とは冷蔵庫10を前方から見た場合の左右である。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を、前方右側から見た斜視図である。冷蔵庫10は、断熱箱体11と、断熱箱体11の内部に形成された貯蔵室とを有している。貯蔵室として、上方側から、冷蔵室12および冷凍室13を有している。冷蔵室12の前方開口は、上段部分が断熱扉18で閉鎖され、下段部分が断熱扉19で閉鎖されている。冷凍室13の前方開口は、上段部分が断熱扉20で閉鎖され、下段部分が断熱扉21で閉鎖されている。断熱扉18は回転式の扉であり、断熱扉19、断熱扉20および断熱扉21は引出式の扉である。ここで、冷蔵室12が第1貯蔵室であり、冷凍室13が第2貯蔵室である。
【0023】
図2は、上記した断熱扉18、断熱扉19、断熱扉20および断熱扉21を取り外した断熱箱体11を示す斜視図である。
【0024】
冷蔵室12は、上段冷蔵室121および下段冷蔵室122から構成されている。また、冷凍室13は、上段冷凍室131および下段冷凍室132から構成されている。
【0025】
冷蔵室12と冷凍室13とは、断熱仕切壁28で仕切られている。断熱仕切壁28は、ウレタン等の断熱材が充填された断熱部材である。
【0026】
図3は、冷蔵庫10を全体的に示す側方断面図である。断熱箱体11は、所定形状に曲折加工された鋼板からなる外箱111と、外箱111と離間した内側に配置された合成樹脂板から成る内箱112と、外箱111と内箱112との間に充填された断熱材113とから構成されている。
【0027】
本実施形態では、内箱112は、第1内箱23と第2内箱24とから構成されており、第1内箱23の内部に冷蔵室12が形成され、第2内箱24の内部に冷凍室13が形成されている。第1内箱23と第2内箱24とは、別個に形成された樹脂成形体である。
【0028】
冷蔵室12と冷凍室13とは、断熱構造を有する断熱仕切壁28により区切られている。断熱仕切壁28は、第1内箱23の下面と第2内箱24の上面との間に形成された空間に充填された断熱材113から成る。よって、背景技術に係る仕切断熱構造と比較すると、断熱仕切壁28となる部材を内箱112と別途に用意する必要が無いので、冷蔵庫10に要する部品点数を減少させることができる。更に、冷蔵室12と冷凍室13との間に断熱材113の一部として断熱仕切壁28が形成されることから、冷蔵室12と冷凍室13とを断熱仕切壁28により効果的に断熱することができる。
【0029】
冷蔵庫10は自動製氷機能を備えており、給水タンク40と、製氷機41と、導水路42とを有している。給水タンク40は、冷蔵室12の最下段に配置されたタンクであり、製氷用の水が貯留される。製氷機41は、冷凍室13の最上段に配置され、給水タンク40から供給される水から自動的に氷を製造する自動製氷機である。給水タンク40から製氷機41に供給される水は、導水路42を経由する。導水路42は、上端側が給水タンク40に連通し、下端側が製氷機41に連通するアルミニウム管である。
【0030】
連通部30は、断熱仕切壁28を上下方向に貫通し、冷蔵室12と冷凍室13とを連通させる部位である。連通部30の具体的構成は、図4を参照して後述する。導水路42は、連通部30を貫通して、給水タンク40と導水路42とを連通させる。給水タンク40に貯留された水は、連通部30に挿通された導水路42を経由して、製氷機41に供給される。
【0031】
冷凍室13の奥側には、冷却室115が形成されており、冷凍室13と冷却室115とは仕切板27で区画されている。冷却室115の内部には、冷却器である蒸発器116が配設されている。また、冷蔵庫10の下端側後方には機械室14が区画形成され、機械室14には圧縮機22が配置されている。蒸発器116および圧縮機22は、ここでは図示しない凝縮器、乾燥器、毛細管と共に、冷媒圧縮式の冷凍サイクル16を形成している。冷凍サイクル16を運転することで蒸発器116により冷却室115の内部の冷気を冷却し、この冷気を各貯蔵室に送風することで、各貯蔵室の庫内温度が所定の冷却温度帯域とされる。
【0032】
冷却室115の内部に於いて、蒸発器116の上方側には送風機29が配置されている。送風機29は、軸流送風機または遠心送風機であり、蒸発器116が冷却した冷却室115の内部の冷気を、冷蔵室12および冷凍室13に向けて送風する。
【0033】
冷却室115の内部であって、蒸発器116の下方には、除霜ヒータ117が配置される。冷媒圧縮冷凍サイクルの運転に伴い、蒸発器116の表面に厚い着霜が生じる。このようになると、図示しない制御手段は、圧縮機22を停止して冷却室115を閉鎖し、除霜ヒータ117を通電して加熱することで、霜を溶融除去する除霜運転を行う。
【0034】
送風機29から送風された冷気は、図示しない送風路を経由して冷蔵室12および冷凍室13に送風される。また、冷蔵室12および冷凍室13を冷却した冷気は、図示しない帰還風路を経由して冷却室115に帰還する。係る構成により、冷蔵室12は冷蔵温度帯域に冷却され、冷凍室13は冷凍温度帯域に冷却される。
【0035】
図4を参照して、連通部30の構成を説明する。図4(A)は連通部30を示す側方断面図であり、図4(B)は連通部30を示す切開斜視図である。
【0036】
図4(A)および図4(B)を参照して、連通部30は、第1嵌合部31と、第2嵌合部32と、シール部材33とを有している。
【0037】
第1嵌合部31は、図3に示した第1内箱23の下面開口に取り付けられる部材であり、連通部30の上方部分を形成している。第1嵌合部31は、下方に向かって窪む凹状部分36を有し、凹状部分36の下端に第1筒状部34が形成されている。
【0038】
第2嵌合部32は、図3に示した第2内箱24の上面開口に取り付けられる部材であり、下方に向かって窪む凹状部分37を有している。凹状部分37の下底から上方に向かって円筒状に突出する第2筒状部35が形成されている。また、第2筒状部35の内部には、上方から見て略円環状の底部38が形成されており、底部38の中心部には貫通孔39が形成されている。
【0039】
図4(A)を参照して、第2筒状部35の内径L11は、第1筒状部34の外径L10よりも大きくされている。第2筒状部35の内径L11は、例えば、第1筒状部34の外径L10よりも6mm以上長くされる。換言すると、第1筒状部34の外側側面は、第2筒状部35の内側側面から離間している。これにより第1筒状部34と第2筒状部35との間にシール部材33を配置することができる。ここで、シール部材33は後述するように、中央に貫通孔が形成された扁平な円筒形状を呈している。また、第2筒状部35に形成される貫通孔39の幅L13は、連通部30の第1筒状部34の内径L12よりも短くされている。
【0040】
第1嵌合部31の第1筒状部34と、第2嵌合部32の第2筒状部35との間に配置されるシール部材33は、例えば軟性に優れた発泡樹脂から成り、第1筒状部34の外面と第2筒状部35の内面との間で圧縮されている。シール部材33を形成することで、上記した断熱材113を発泡充填する工程に於いて、断熱材113の材料が、第1嵌合部31と第2嵌合部32との間から、冷蔵室12または冷凍室13に漏れ出てしまうことを防止することができる。また、シール部材33は上下方向に圧縮された状態で、第1筒状部34と第2筒状部35との間に配置されることから、第1筒状部34と第2筒状部35との間隙を封止する効果を大きくすることができる。
【0041】
次に、図5から図7を参照して、上記した冷蔵庫10の製造方法を説明する。
【0042】
図5(A)は、第1内箱23と第2内箱24とを互いに組み付ける工程を示す分解斜視図であり、図5(B)はシール部材33を示す斜視図である。先ず、第1内箱23の下面に形成した第1開口25に第1嵌合部31を取り付け、第2内箱24の上面に形成した第2開口26に第2嵌合部32を取り付ける。
【0043】
第1開口25は、第1内箱23の下面部231の左側後方端部を開口することで形成されている。第1開口25が形成された部分を覆うように、第1嵌合部31は第1内箱23の下面に取り付けられる。また、第2開口26は、第2内箱24の上面部241の左側後方端部を開口することで形成されている。第2嵌合部32は、上面部241に上面から組み込まれている。
【0044】
第2嵌合部32の底部38には、シール部材33が載置される。シール部材33は、図5(B)に示すように、扁平円筒形状を呈する発泡樹脂などの軟性材料から成り、その中央を厚み方向に貫通する貫通孔331が形成されている。
【0045】
導水路42は、第1内箱23の第1開口25、第1嵌合部31の第1筒状部34、シール部材33の貫通孔331、第2嵌合部32の第2筒状部35、および、第2内箱24の第2開口26に挿通される。
【0046】
図6は第1内箱23の第1嵌合部31を、第2内箱24の第2嵌合部32に挿入する状況を示す側方断面図である。
【0047】
本工程では、第1内箱23の下面部231に取り付けられた第1嵌合部31の第1筒状部34を、第2内箱24の上面部241に取り付けられた第2嵌合部32の第2筒状部35に挿入する。このとき、図4(A)に示したように、第1筒状部34と第2筒状部35との間で、シール部材33が圧縮される。
【0048】
第1内箱23および第2内箱24の加工公差および歪等に起因して、第1内箱23側の第1筒状部34と、第2内箱24側の第2筒状部35との相対位置は、前後左右方向にずれる場合がある。第2筒状部35の内径L11は、第1筒状部34の外径L10よりも大きくされているので、両者の位置ずれが生じた場合でも、第1筒状部34を確実に第2筒状部35の内部に配置することができる。また、第2筒状部35と第1筒状部34との間では、シール部材33が圧縮されることで、第1筒状部34と第2筒状部35との間隙を封止することができる。よって、次工程に於いて、第1筒状部34と第2筒状部35との間から、第1内箱23または第2内箱24の内部に断熱材113が進入することを防止できる。
【0049】
上記工程により、図5を参照して、第1内箱23と第2内箱24との間に連通部30が配置され、第1内箱23の内部空間である冷蔵室12と、第2内箱24の内部空間である冷凍室13とが、連通部30を介して連通する。
【0050】
図7を参照して、次に、内箱112と外箱111との間に断熱材113を発泡充填する。図7は、発泡充填工程を示す側方断面図である。
【0051】
本工程では、先ず、連通部30を介して連通する第1内箱23および第2内箱24を、断熱箱体11の内部に配置する。次に、外箱111に形成した図示しない開口から、例えば発泡ポリウレタンである液状発泡材を注入する。注入された液状発泡材は、発泡しつつ、外箱111と内箱112との間に発泡充填される。また、注入された液状発泡材の一部は、第1内箱23の下面部231と、第2内箱24の上面部241との間にも発泡充填され、これにより断熱仕切壁28が形成される。
【0052】
本工程では、発泡樹脂の圧力が連通部30にも作用する。図4(A)に示したように、連通部30を構成する第1嵌合部31の第1筒状部34と、第2嵌合部32の第2筒状部35との間隙は、圧縮されたシール部材33により封止されている。よって、第1筒状部34と第2筒状部35との間隙から、冷蔵室12または冷凍室13の内部に発泡材料が進入することを防止できる。
【0053】
上記工程が終了した後は、図3を参照して、冷蔵室12に配置された給水タンク40と、冷凍室13に配置された製氷機41とを、連通部30を通過する導水路42を介して接続する。また、外箱111に、蒸発器116、除霜ヒータ117、等を組み付ける。更に、図1に示した断熱扉18ないし断熱扉21を、断熱箱体11に組み付ける。係る工程を経て冷蔵庫10が製造される。
【0054】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
111 外箱
112 内箱
113 断熱材
115 冷却室
116 蒸発器
117 除霜ヒータ
12 冷蔵室
121 上段冷蔵室
122 下段冷蔵室
13 冷凍室
131 上段冷凍室
132 下段冷凍室
14 機械室
16 冷凍サイクル
18 断熱扉
19 断熱扉
20 断熱扉
21 断熱扉
22 圧縮機
23 第1内箱
231 下面部
24 第2内箱
241 上面部
25 第1開口
26 第2開口
27 仕切板
28 断熱仕切壁
29 送風機
30 連通部
31 第1嵌合部
32 第2嵌合部
33 シール部材
331 貫通孔
34 第1筒状部
35 第2筒状部
36 凹状部分
37 凹状部分
38 底部
39 貫通孔
40 給水タンク
41 製氷機
42 導水路
1100 冷蔵庫
1101 断熱箱体
1102 外箱
1103 内箱
1104 断熱材
1105 冷蔵室
1106 冷凍室
1107 野菜室
1108 断熱仕切壁
1109 断熱仕切壁


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8