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特許7385921マッサージシステム及びマッサージ器の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】マッサージシステム及びマッサージ器の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61H 23/02 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A61H23/02 330
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020033898
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021133156
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2023-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】391010220
【氏名又は名称】レッキス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智之
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-094249(JP,A)
【文献】特開平03-202061(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0168914(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ器と、制御装置とを具備するマッサージシステムであって、
前記制御装置は、記憶部と、情報読み取り部とを備え、
前記記憶部は、前記マッサージ器の作動強度及び作動時間を含む複数の作動指示であって、前記マッサージ器に対して作動を指示するための複数の作動指示を記憶するように構成され、
前記情報読み取り部は、情報コード一覧表に記載された、前記複数の作動指示にそれぞれ対応した複数の情報コードのうちの1つの情報コード選択して読み取るように構成され、
前記制御装置は、読み取った前記情報コードに基づいて前記記憶部に記憶された作動指示を選択し、マッサージ器の作動を制御するように構成された、
マッサージシステム。
【請求項2】
前記情報コードはバーコードまたは2次元コードであり、前記情報読み取り部はバーコード読み取り部または2次元コード読み取り部である、請求項1に記載のマッサージシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、さらに判定部および/または表示部を備え、
前記判定部は、読み取った前記情報コードに基づいて選択された作動指示の適否を判定するように構成され、前記表示部は、前記マッサージ器の作動指示及び作動状況を表示するように構成された、請求項1または2に記載のマッサージシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、さらにICタグ読み取り部を備え、前記ICタグ読み取り部は、読み取ったICタグ情報に基づいて前記マッサージ器の使用者または使用対象を識別するように構成され、かつ、
前記記憶部は、使用者または使用対象毎の前記マッサージ器の使用履歴を蓄積するように構成された、請求項3に記載のマッサージシステム。
【請求項5】
前記制御装置は、さらにGPS受信機を備え、前記記憶部は、前記GPS受信機によって得られたGPS情報に基づいて前記使用履歴を蓄積するように構成された、請求項4に記載のマッサージシステム。
【請求項6】
前記マッサージ器は馬用のマッサージ器である、請求項1~5のいずれか一項に記載のマッサージシステム。
【請求項7】
記憶部に記憶された複数の作動指示であって、マッサージ器に対して作動を指示するための複数の作動指示にそれぞれ対応した複数の情報コードが記載された、情報コード一覧表を準備するステップと、
前記情報コード一覧表に記載された前記複数の情報コードのうちの1つを選択して、情報読み取り部に読み取らせるステップと、
前記複数の作動指示のうち、前記情報読み取り部が読み取った情報コードに対応する作動指示を選択するステップと、
選択された作動指示に基づいて前記マッサージ器の作動を制御するステップと含む、マッサージ器の制御方法。
【請求項8】
前記情報コードはバーコードまたは2次元コードであり、前記情報読み取り部はバーコード読み取り部または2次元コード読み取り部である、請求項7に記載のマッサージ器の制御方法。
【請求項9】
前記記憶部は、使用者または使用対象毎の前記マッサージ器の使用履歴を蓄積するように構成されており、前記マッサージ器の作動を制御するステップは、前記マッサージ器の使用履歴に基づいて作動内容の変更を行うことを含む、請求項7または8に記載のマッサージ器の制御方法。
【請求項10】
前記マッサージ器は馬用のマッサージ器である、請求項7~9のいずれか一項に記載のマッサージ器の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージシステム及びマッサージ器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マッサージシステムに関して、特許文献1に示されるように、脚部に振動を加えるマッサージ器(血液循環刺激装置100)が知られている(図7参照)。マッサージ器100は、プレート105と電動モータとを有している。マッサージ器100は、電動モータの回転をプレート105の振動に変換する。マッサージ器100は、プレート105に載った人及び馬などの動物を処置対象とし、脚部に振動刺激を加えることによって、脚部の筋肉の血行を改善し、疲労回復を促進することを目的とするものである。この振動処置を適切に行うためには、マッサージ器100の作動中に振動の強度及びその持続時間を調整する必要があり、制御装置135の強度調整ダイヤルを手動で変更しなければならなかった。また、処置を終了する際には手動で運転スイッチを切る必要があった。
【0003】
このように、上記のマッサージ器は、対象となる人や動物毎に必要とされる処置内容に応じて、処置を行う人が振動強度を調整しながら手動操作を行う必要があるので、マッサージ器の作動開始から作動終了まで付き添わなければならないという問題や、作動中に振動強度を変更することに労力を要するという問題があった。また、処置を行う人間が誤った操作を行った場合には、症状の改善が得られないばかりか、症状が悪化するおそれがあった。さらに、個々の処置内容の履歴を管理するためには、個別に書き留めるなど記録を取る必要があり、その記録作業が煩雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/102975号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来のマッサージ器の問題点に鑑みて、マッサージシステム及びマッサージ器の制御方法に関して、作動開始後自動的にマッサージ器の制御が行われ、作動中に人手を必要としない、システム及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るマッサージシステムは、マッサージ器と、制御装置とを具備し、前記制御装置は、記憶部と、情報読み取り部とを備え、前記記憶部は、前記マッサージ器の作動強度及び作動時間を含む複数の作動指示であって、前記マッサージ器に対して作動を指示するための複数の作動指示を記憶するように構成され、前記情報読み取り部は、前記複数の作動指示にそれぞれ対応した複数の情報コードが記載された、情報コード一覧表を読み取るように構成され、前記制御装置は、読み取った前記情報コードに基づいて前記記憶部に記憶された作動指示を選択し、マッサージ器の作動を制御するように構成される。
【0007】
本発明に係るマッサージシステムにおいて、情報コードはバーコードまたは2次元コードとすることができ、また、情報読み取り部はバーコード読み取り部または2次元コード読み取り部とすることができる。
【0008】
本発明に係るマッサージシステムにおいて、制御装置は、さらに判定部および/または表示部を備え、判定部は、読み取った情報コードに基づいて選択された作動指示の適否を判定するように構成され、表示部は、マッサージ器の作動指示及び作動状況を表示するように構成してもよい。
【0009】
本発明に係るマッサージシステムにおいて、制御装置は、さらにICタグ読み取り部を備え、ICタグ読み取り部は、読み取ったICタグ情報に基づいてマッサージ器の使用者または使用対象を識別するように構成され、かつ、記憶部は、使用者または使用対象毎の前記マッサージ器の使用履歴を蓄積するように構成してもよい。これにより、人手や手間をかけることなく、マッサージ器の使用履歴を管理することができ、かつ、蓄積された使用履歴に基づいて適切な処置を行うこともできる。また、マッサージ器の使用履歴に基づいて、判定部は、読み取った情報コードに基づいて選択された作動指示の適否を判定してもよい。
【0010】
本発明に係るマッサージシステムにおいて、制御装置は、さらにGPS受信機を備え、前記記憶部は、前記GPS受信機によって得られたGPS情報に基づいて前記使用履歴を蓄積するように構成してもよい。これにより、使用履歴のデータを充実させることができ、マッサージ器の使用環境を考慮したマッサージ器の効果的な使用も可能となる。
【0011】
本発明に係るマッサージシステムにおいて、マッサージ器は馬用のマッサージ器であってもよい。なお、馬には競走馬や、馬術競技用の馬なども含まれる。
【0012】
本発明に係るマッサージ器の制御方法は、記憶部に記憶された複数の作動指示であって、マッサージ器に対して作動を指示するための複数の作動指示にそれぞれ対応した複数の情報コードが記載された、情報コード一覧表を準備するステップと、前記情報コード一覧表に記載された前記複数の情報コードのうちの1つを選択して、情報読み取り部に読み取らせるステップと、前記複数の作動指示のうち、前記情報読み取り部が読み取った情報コードに対応する作動指示を選択するステップと、選択された作動指示に基づいて前記マッサージ器の作動を制御するステップと含む。
【0013】
本発明に係るマッサージ器の制御方法は、情報コードはバーコードまたは2次元コードとすることができ、また、情報読み取り部はバーコード読み取り部または2次元コード読み取り部とすることができる。
【0014】
本発明に係るマッサージ器の制御方法は、使用者または使用対象毎のマッサージ器の使用履歴を蓄積するように構成されており、マッサージ器の作動を制御するステップは、マッサージ器の使用履歴に基づいて作動内容の変更を行うことを含んでもよい。作動内容の変更によって、最適な処置内容を選択することができ、また、誤った処置や過剰な処置を防止することも可能となる。
【0015】
本発明に係るマッサージ器の制御方法において、マッサージ器は馬用のマッサージ器であってもよい。上記のとおり、馬には競走馬、馬術競技用の馬なども含まれる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るマッサージシステム及びマッサージ器の制御方法は、マッサージ器の作動開始後自動的にマッサージ器の制御が行われ、作動中に人手を必要とせずにマッサージを行うことができる。
【0017】
本発明に係るマッサージシステム及びマッサージ器の制御方法は、マッサージシステムの制御装置内に予め処置内容が設定されているので、人手や手間をかけることなく、様々な処置メニューを提供することができる。また、例えば、誤った処置内容を設定できないようにすることによって、誤操作を防止することもできる。
【0018】
さらに、本発明に係るマッサージシステム及びマッサージ器の制御方法は、マッサージ器の使用履歴を管理することができるので、処置対象毎に記帳する必要がなく、人手や労力を軽減することができる。また、使用履歴に基づいて、処置対象毎に今後の適切な処置を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係るマッサージシステムの全体構成を示す概略図である。
図2】本発明に係るマッサージ器の制御方法の動作手順を示す、例示的なフローチャートである。
図3】本発明の実施例に係る、マッサージメニュー表の一例である。
図4】本発明の実施例に係る、図3のメニュー表に対応した、振動強度の制御の例を示すグラフである。
図5】本発明の実施例に係る、マッサージの履歴管理のための記録の例である。
図6】本発明に実施例に係る、バーコード入力リストの例である。
図7】従来技術に係る、脚部に振動刺激を与えるマッサージ器とその制御装置である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明に係るマッサージシステム100の全体構成を示す概略図である。マッサージシステム100は、制御装置1と、制御装置1に接続されたマッサージ器2及び外部装置3とを有している。マッサージ器2については、ここでは詳述しないが、例示的なマッサージ器としては、脚部に振動による刺激を与えることができ、この振動によって疲労を回復させるものであってもよい。外部装置3は、データや情報を表示するともに、マッサージ器2の使用履歴を管理するための装置であって、PC等を用いることができる。4はマッサージ器の作動メニューを制御装置1に入力するためのマッサージメニュー表である。マッサージメニュー表4には、図3に関して以下で詳述するように、マッサージメニューに対応する複数のバーコードが掲載されている。なお、図1には、馬用のマッサージ器2が記載されており、以下の発明の実施形態の説明では、馬を対象に説明するが、本発明は馬用に限られるものではなく、人や馬以外の動物を対象としている。
【0021】
制御装置1は、制御部10、表示部11、操作部12、インターフェース13、記憶部14、電源部15、バッテリ16、ICタグ読み取り部17、バーコード読み取り部18、温度センサ19及びGPS受信機20を備える。制御装置1は、電源部15を介してマッサージ器2に接続され、インターフェース13を介して外部装置3に接続される。ICタグ読み取り部17は、処置対象である馬がICタグ5を備えている場合、ICタグ5を検出することによって、処置対象を識別することができる。バーコード読み取り部18は、マッサージメニュー表4のバーコードを読み取ることができる。制御部10は、予め設定されたマッサージメニューに基づいてマッサージ器2の振動強度及びその持続時間の制御を行う。表示部11は、選択されたマッサージメニューや、マッサージ器2の作動状況などの情報を操作者が確認できるように表示することができる。操作部12は、操作者が操作内容を入力するためのスイッチ、ボタン、キーボード等で構成される。記憶部14は、マッサージメニューの各々に対応した制御の内容を記憶することができ、また、実行したマッサージメニューをマッサージ器2の使用履歴として記憶することも可能である。バッテリ16は、内臓時計用の電源として、あるいは、制御装置1のための独立した電源または予備電源として備えてもよいし、省略してもよい。温度センサ19は、気温を検知することができ、例えば、マッサージ器2を使用した際の気温と、使用した日時とを記憶部14または外部装置3に記憶させてもよい。GPS受信機20は、マッサージシステム100が設置された場所を検知することができ、マッサージ器2の使用履歴として、マッサージメニュー、気温及び日時に加えて、使用した場所を記憶部14または外部装置3に記憶させてもよい。なお、上記の構成(制御部10、表示部11等)は例示であって、すべての構成を備える必要はない。例えば、ICタグ読み取り部17、温度センサ19、GPS受信機20など、適宜構成を省略することができるし、その他の構成を付加することも可能である。また、バーコードに代えて2次元コードなどの情報コードを採用した場合には、バーコード読み取り部18に代えて、2次元コード読み取り部等の情報コード読み取り部を用いることができる。
【0022】
制御装置1において、制御部10は、マッサージ器2の使用履歴に基づいて、あるいは、識別した処置対象の情報に基づいて、バーコードの読み取りによって選択されたマッサージメニューが適切であるか否か、すなわちマッサージ器への作動指示が適切であるか否かを判定してもよい。制御部10が、選択されたマッサージメニューが適切ではないと判定した場合には、表示部11に警告を表示するか、選択されるべきメニューや推奨されるメニューを表示することができる。
【0023】
図2は、本発明に係るマッサージ器2の制御方法の動作手順を示す、例示的なフローチャートである。このフローチャートに関連して、図3は、マッサージメニュー表4の一例を示し、図4は、図3のマッサージメニュー表4のメニュー(バーコードA1及びB1)に対応した、振動強度の制御の例(グラフA及びB)を示す。
【0024】
図2のフローチャートにおいて、ステップS1で、処置対象を識別するために、ICタグ読み取り部17によって対象となる馬のICタグ5を読み取る。ICタグ5の読み取りに代えて、適宜の手段にてIDを入力することもできる。ステップS2で、操作者は、図3に示されるマッサージメニュー表4に掲載された複数のバーコードの中から適宜のバーコードを選択して、バーコード読み取り部18に読み取らせる。そうすると、選択したバーコードに対応したマッサージメニューが制御装置1の表示部11に表示される。ステップS3で、操作者は、表示部11に表示されたメニューを確認した後に、スタートボタンを押してマッサージ器2を作動させる。ステップS4で、制御装置1は、マッサージ器2の運転を開始し、指定されたマッサージメニューに基づいて、マッサージ器2の振動強度とその持続時間を制御して、マッサージを実行する。ステップS5において、マッサージの終了後、処置対象毎に、処置内容、すなわち、実行したマッサージメニューを記憶部14または外部装置3に記憶させて、マッサージ器2の使用履歴を保存する。
【0025】
図2のフローチャートに関連して、本発明に係るマッサージ器の制御方法は以下のとおりである。この制御方法は、(1)マッサージ器2に対して作動を指示するための複数の作動指示にそれぞれ対応した複数の情報コードが記載された、情報コード一覧表、すなわち、マッサージメニュー表4を準備するステップと、(2)情報コード一覧表(マッサージメニュー表4)に記載された複数の情報コード(バーコード)のうちの1つを選択して、情報読み取り部(バーコード読み取り部18)に読み取らせるステップと、(3)複数の作動指示のうち、読み取った情報コード(バーコード)に対応する作動指示を選択し、選択された作動指示に基づいてマッサージ器2の作動を制御するステップを含む。なお、この制御方法において、記憶部が使用者または使用対象毎のマッサージ器2の使用履歴を蓄積するように構成されていてもよく、また、マッサージ器2の作動を制御するステップは、マッサージ器2の使用履歴に基づいて作動内容の変更を行うことを含んでいてもよい。
【0026】
なお、図2のフローチャートは、例示であって、すべての手順を実行する必要がないことは明らかである。また、例えば、その他のステップを追加したり、ステップの順序を入れ替えたりすることも、本発明の実施の妨げとならないかぎり適宜なし得ることである。
【0027】
図3のマッサージメニュー表4について説明する。マッサージメニュー表4は、馬を対象とした部位別、症状別の記載の上部に、この記載に対応するマッサージの処置に対応するバーコードが付加された、マッサージメニューの一覧表である。各バーコードには、マッサージ器2の振動強度及びその持続時間について、複数の組み合わせ及び順番の情報が含まれている。マッサージ器2が処置する症状に関して、部位別または症状別の記載は、例えば、関節炎、骨瘤、ソエ(管骨骨膜炎)、繋靭帯炎及び屈腱炎である。一覧表の左側に示されたバーコードA1~A5は、処置開始から数日間(5~7日間)のメニューであり、一覧表の右側に示されたバーコードB1~B5は、同じ数字のバーコードに対応する左側のメニューの次の段階(6~8日目以降)のメニューとなっている。メニュー毎に、例えば、振動強度6(10段階で7の強度)を3分間行ったのちに、振動強度4を5分間行い、その後振動強度を9に上げる(後記の図4「グラフA」参照)など、マッサージの処置内容が予め設定されている。このマッサージの処置内容は、馬等の処置対象に対してマッサージ処置を行ってきた専門家の経験と勘に基づいて決定されたものである。これらのメニューから1つのバーコードを選択することによって、制御装置1(例えば、記憶部14)に記憶されている処置内容(振動強度とその持続時間)を制御装置1(制御部10)に入力することができる。
【0028】
上述のとおり、マッサージ器2を個々の処置対象に対して適切に使用し、処置効果を最大限に発揮させるためには、処置対象毎に適切なメニューを選択するとともに、そのメニューに基づいてマッサージ器2の振動強度及びその持続時間を適切に制御することが重要である。マッサージ器2の振動強度及びその持続時間の具体的な制御について、図3及び図4を参照しつつ説明する。図3のマッサージメニュー表4には、関節炎を処置するためのメニューとして、初日から7日目までのメニューを制御装置1に指示するための「バーコードA1」と、8日目以降のメニューを制御装置1に指示するための「バーコードB1」が示されている。図4の「グラフA」は、図3の「バーコードA1」に対応する振動強度の制御を示し、図4の「グラフB」は、図3の「バーコードB1」に対応する振動強度の制御を示す。これら「グラフA」及び「グラフB」の振動強度の制御(マッサージメニュー)に加えて、図3のマッサージメニュー表4に掲載されたすべてのバーコードに対応したマッサージメニューがそれぞれ実行可能となるよう、各バーコードに対応した制御内容(振動強度及びその持続時間)が制御装置1(例えば、記憶部14)に予め設定されている。
【0029】
図5は、マッサージ器2の使用履歴を記録した実施例である。この使用履歴には、処置対象である「馬名」、「日時」、「マッサージメニュー」、「室温」及びマッサージ器2を使用した場所を示す「GPS情報」が記録されている。なお、この実施例も馬を対象としており、馬のICタグ5をICタグ読み取り部17に読み取らせるか、または、処置対象のIDを入力することによって、処置対象を識別することができる。使用対象が人間の場合は、使用者が自己のIDカードをICタグ読み取り部17に読み取らせるか、または、自己のID番号を入力することによって、マッサージシステム100は使用対象を識別することができる。
【0030】
この図5の例のように、識別した処置対象毎に、処置日時、マッサージメニュー(処置内容)等を制御装置1の記憶部14または外部装置3に記憶させることによって、マッサージ器2の使用履歴を蓄積し管理することができる。上述したように、操作者が誤ったメニューを選択した場合には、使用履歴に基づいて、あるいは記憶部14または外部装置3に保存された情報に基づいて適切なメニューを提示することも可能である。
【0031】
図5の使用履歴には、上記のとおり、マッサージ器2を使用した場所を示す「GPS情報」と、環境情報としての「気温」が含まれている。このような付加的な情報を使用履歴として蓄積していくことによって、使用者、あるいは処置を行う人が気温による影響など、環境による処置結果(症状の改善や疲労回復の結果)の変動を考慮して、マッサージの内容を調整し、マッサージメニュー表をカスタマイズすることも可能である。
【0032】
図6は、本発明の実施形態の一例として、マッサージメニューの表示形態の参考例を示す。この参考例では、マッサージメニューを選択するためのバーコードとマッサージメニューの名称に加えて、マッサージメニューの処置内容を視覚的に把握できるように、持続時間(分)をパイグラフ状に表した図形に振動強度(レベル100を最大とする、レベル20~レベル100)を付記している。この一例は、馬用であって、Cは輸送後の疲労軽減のメニューであり、D1及びD2は運動前後のウォーミングアップ、クーリングダウンのメニューである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係るマッサージシステム及びマッサージ器の制御方法は、馬に限定されるものではなく、人及び馬以外の動物に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 制御装置
2 マッサージ器
3 外部装置
4 マッサージメニュー表
5 ICタグ
11 表示部
12 操作部
13 インターフェース
14 記憶部
15 電源部
16 バッテリ
17 ICタグ読み取り部
18 バーコード読み取り部
19 温度センサ
20 GPS受信機
100 マッサージシステム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7