(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】仮設足場
(51)【国際特許分類】
E04G 7/20 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
E04G7/20 J
(21)【出願番号】P 2020205083
(22)【出願日】2020-12-10
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】395002098
【氏名又は名称】平和技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】内橋 幹雄
【審査官】吉村 庄太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-111888(JP,A)
【文献】特開2019-194425(JP,A)
【文献】特開2018-062754(JP,A)
【文献】特表2004-519568(JP,A)
【文献】特開2017-053094(JP,A)
【文献】特開2006-016856(JP,A)
【文献】特開平11-002023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 7/20
E04G 7/22
E04G 7/30
E04G 7/32
E04G 7/34
F16B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向の両側端に掛止鉤部が設けられた複数の長尺の足場部材と、
前記掛止鉤部が係合可能で、両端に角筒材が設けられた複数の水平パイプと、
前記角筒材の切欠きが側部から嵌入可能な第1~第4の掛止金具が、断面円形のパイプ材の円周部の0度、90度、180度、及び、270度位置にそれぞれ固定され、かつ、前記第1、第3の掛止金具が前記第2、第4の掛止金具よりも下位置に配置された複数の支柱パイプと、
前記水平パイプの両端に設けられた前記角筒材の前記切欠きが嵌入した前記第1、第3の掛止金具又は前記第2、第4の掛止金具に嵌入して前記水平パイプと前記支柱パイプとを連結する楔材とを有する仮設足場において、
前記複数の足場部材のうち、平面視して、隣り合う足場部材A、BがL字状に配置される領域では、
前記足場部材Aが、対向する前記支柱パイプの下位置にある前記第1、第3の掛止金具に、両端に設けられた前記角筒材の前記切欠きを嵌入させた前記水平パイプに、前記掛止鉤部を係合させ、
前記足場部材Bが、対向する前記支柱パイプの上位置にある前記第2、第4の掛止金具に、両端に設けられた前記角筒材の前記切欠きを嵌入させた前記水平パイプに、前記掛止鉤部を係合させ、
前記領域の角部に配置される対向する前記支柱パイプの前記第1、第3の掛止金具に前記切欠きを嵌入させた前記角筒材に、該角筒材を有する前記水平パイプのパイプ本体の高さ位置を上昇させ、隣り合う足場部材A、Bの高さ位置を調整する高さ調整機構を設け
て、前記足場部材Aが、前記領域の角部に向けて上方に傾斜配置されることを特徴とする仮設足場。
【請求項2】
請求項1記載の仮設足場において、前記高さ調整機構は、
前記角筒材の前記パイプ本体側に設けられ、該角筒材の上方に向けて延設された延設部分を有し、該延設部分に前記パイプ本体の長手方向端部が固定された板材と、
前記板材に取付けられ、該板材に固定された前記パイプ本体を下方から支持するパイプ受け部とを有することを特徴とする仮設足場。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築や土木工事の現場に構築される仮設足場(組立足場)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築や土木工事の現場では、
図9(A)、(B)に示すように、例えば、建築途中の建物の周囲に作業者の作業床を形成する仮設足場80が構築される。
この仮設足場80には、連結機構81が設けられた支柱パイプ82が多数使用されている。具体的には、連結機構81は、断面コ字状の第1~第4の掛止金具83~86が断面円形のパイプ材87の円周部の0度、90度、180度、及び、270度位置に固定され、かつ、第1、第3の掛止金具83、85が第2、第4の掛止金具84、86よりも下位置に配置されている(例えば、特許文献1参照)。このように、第1~第4の掛止金具83~86を支柱パイプ82の異なる高さ位置に取付けることで、十分な強度が得られる。
【0003】
仮設足場80の組み立ては、対となる支柱パイプ82を間隔aを有して対向配置し、かつ、この対となる支柱パイプ82を構築する対象物に沿って間隔b(<a)を有して複数対配置する。このとき、間隔aを有して対となる支柱パイプ82間には短尺の水平パイプ88を配置して、該水平パイプ88の長手方向両端部に設けられた楔材を下位置にある第1、第3の掛止金具83、85に嵌入し、また、間隔bを有して隣り合う支柱パイプ82間には長尺の水平パイプ89を配置して、該水平パイプ89の長手方向両端部に設けられた楔材を上位置にある第2、第4の掛止金具84、86に嵌入し、各支柱パイプ82を連結する。
そして、対向配置された水平パイプ88に2枚の長尺の足場板(足場部材)90を掛け渡す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記は、2枚の足場板90を一組として、複数組の足場板90が長手方向に、平面視して直線状に配置される領域での組み立てであるが、隣り合う一組の足場板aと一組の足場板bとが、平面視してL字状に配置される領域では、以下のように組み立てられる。
足場板aのL字状領域の角部側端部は、間隔aを有して対向する支柱パイプ82の下位置にある第1、第3の掛止金具83、85に楔材を嵌入させた短尺の水平パイプ88に掛止される。一方、足場板bのL字状領域の角部側端部は、間隔b(>a)を有して対向する支柱パイプ82の中間位置に配置された補助用支柱パイプ91(支柱パイプ82と同様の構成)と、角部側にある支柱パイプ82の上位置にある第2、第4の掛止金具84、86に楔材を嵌入させた短尺の水平パイプ88に掛止される。
このため、隣り合う足場板aと足場板bとで高さ位置が異なり(段差が発生して)、作業者が歩き難いという問題があった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、簡単な構成で、隣り合う足場部材の高さ位置を調整可能な仮設足場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係る仮設足場は、長手方向の両側端に掛止鉤部が設けられた複数の長尺の足場部材と、
前記掛止鉤部が係合可能で、両端に角筒材が設けられた複数の水平パイプと、
前記角筒材の切欠きが側部から嵌入可能な第1~第4の掛止金具が、断面円形のパイプ材の円周部の0度、90度、180度、及び、270度位置にそれぞれ固定され、かつ、前記第1、第3の掛止金具が前記第2、第4の掛止金具よりも下位置に配置された複数の支柱パイプと、
前記水平パイプの両端に設けられた前記角筒材の前記切欠きが嵌入した前記第1、第3の掛止金具又は前記第2、第4の掛止金具に嵌入して前記水平パイプと前記支柱パイプとを連結する楔材とを有する仮設足場において、
前記複数の足場部材のうち、平面視して、隣り合う足場部材A、BがL字状に配置される領域では、
前記足場部材Aが、対向する前記支柱パイプの下位置にある前記第1、第3の掛止金具に、両端に設けられた前記角筒材の前記切欠きを嵌入させた前記水平パイプに、前記掛止鉤部を係合させ、
前記足場部材Bが、対向する前記支柱パイプの上位置にある前記第2、第4の掛止金具に、両端に設けられた前記角筒材の前記切欠きを嵌入させた前記水平パイプに、前記掛止鉤部を係合させ、
前記領域の角部に配置される対向する前記支柱パイプの前記第1、第3の掛止金具に前記切欠きを嵌入させた前記角筒材に、該角筒材を有する前記水平パイプのパイプ本体の高さ位置を上昇させ、隣り合う足場部材A、Bの高さ位置を調整する高さ調整機構を設けた。
【0008】
本発明に係る仮設足場において、前記高さ調整機構は、
前記角筒材の前記パイプ本体側に設けられ、該角筒材の上方に向けて延設された延設部分を有し、該延設部分に前記パイプ本体の長手方向端部が固定された板材と、
前記板材に取付けられ、該板材に固定された前記パイプ本体を下方から支持するパイプ受け部とを有することが好ましい。
【0009】
本発明に係る仮設足場用幅木装置において、前記足場部材Aは、前記領域の角部に向けて上方に傾斜配置することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る仮設足場は、複数の足場部材のうち、平面視して、隣り合う足場部材A、BがL字状に配置される領域で、領域の角部に配置される対向する支柱パイプの下位置に設けられた第1、第3の掛止金具に切欠きを嵌入させた角筒材に、高さ調整機構が設けられているので、角筒材を有する水平パイプのパイプ本体の高さ位置を上昇させて、隣り合う足場部材A、Bの高さ位置を調整する(合わせる)ことができる。
これにより、簡単な構成で、作業者が歩き易く、作業性を良好にすることが可能な仮設足場を構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る仮設足場の正面図、側面図である。
【
図3】同仮設足場に用いる水平パイプの使用状態の説明図である。
【
図4】同水平パイプに設けられた高さ調整機構の斜視図である。
【
図9】(A)、(B)はそれぞれ従来例に係る仮設足場の正面図、側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)、(B)、
図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る仮設足場10は、例えば、建築や土木工事の現場に構築されるものであり、地面に対して立設される複数の支柱パイプ11を使用して配置された複数の長尺の足場板(足場部材の一例)12のうち、平面視して、隣り合う足場板12(即ち、足場板A、B)がL字状に配置される領域で、この高さ位置を調整することが可能なものである。
以下、詳しく説明する。
【0013】
支柱パイプ11は、断面円形のパイプ材13を有し、その外側円周部には、断面コ字状(同一形状)の第1~第4の掛止金具14~17が0度、90度、180度、及び、270度位置(軸心を垂直に配置したパイプ材13の前後左右)にそれぞれ固定されている。なお、第1、第3の掛止金具14、16はパイプ材13を中心として対向して同じ高さ位置に、第2、第4の掛止金具15、17はパイプ材13を中心として対向して同じ高さ位置に、それぞれ配置され、更に、第1、第3の掛止金具14、16が第2、第4の掛止金具15、17よりもその高さ分程度だけ下位置に配置されている(段違いに設置されている)。
【0014】
複数の足場板12を長手方向に、平面視して直線状に配置(隣り合う一組の足場板12同士を平面視して直線状に配置)する場合、対となる支柱パイプ11を予め設定された間隔aで対抗配置し、かつ、この対となる支柱パイプ11を、例えば、構築する対象物に沿って予め設定された間隔bで複数対配置する。
短辺がa、長辺がbの長方形の各頂点位置に配置される支柱パイプ11において、間隔aで配置された対となる支柱パイプ11同士は、この支柱パイプ11間に配置される短尺のパイプ(水平パイプの一例)18により連結され、また、間隔bで配置された隣り合う支柱パイプ11同士は、この支柱パイプ11間に配置される長尺のパイプ(水平パイプの一例)19により連結される。このように、間隔aは間隔bよりも狭くなっており(例えば、b=2a)、この間隔bは、例えば、600mm以上1800mm以下(例えば、600mm、900mm、1200mm、1500mm、1800mm)である。
【0015】
具体的には、上記した短尺のパイプ18の長手方向両端に楔材20(後述する楔材27と同様の構成)と角筒材26が設けられ、この角筒材26の切欠き33が、下位置にある第1、第3の掛止金具14、16に側部から嵌入した状態で、楔材20を上方から嵌入させることで、短尺のパイプ18と支柱パイプ11とを連結できる。
また、長尺のパイプ19の長手方向両端にも楔材20(後述する楔材27と同様の構成)と角筒材26が設けられ、この角筒材26の切欠き33が、上位置にある第2、第4の掛止金具15、17に側部から嵌入した状態で、楔材20を上方から嵌入させることで、長尺のパイプ19と支柱パイプ11とを連結できる。
【0016】
そして、短尺のパイプ18に係合可能な掛止鉤部12aが長手方向の両側端に設けられた2枚(1枚でもよい)の足場板12を一組として、対向配置された短尺のパイプ18に掛け渡す。
一方、
図1(A)、(B)、
図2に示すように、隣り合う一組の足場板Aと一組の足場板Bとが、平面視してL字状に配置される領域では、以下のように構築する。
支柱パイプ11を予め設定された間隔aで対向配置し、かつ、この対となる支柱パイプ11を予め設定された間隔bで複数対(ここでは3対)配置する。更に、L字状の領域の角部側に間隔bで配置された一方(足場板Bを連結する側:
図1(A)の右の奥側、
図2の上側)の隣り合う支柱パイプ11の間(略中間位置)には、この支柱パイプ11と同様の構成の補助用支柱パイプ(支柱パイプの一例)21を配置する。
【0017】
ここで、足場板Aは、
図1~
図3に示すように、2対の対向する支柱パイプ11の下位置にある第1、第3の掛止金具14、16に、角筒材26の切欠き33を嵌入させた短尺のパイプ18と短尺のパイプ(水平パイプの一例:L字状の領域の角部側に配置)23に、掛止鉤部12aを係合させて掛け渡される。
また、足場板Bは、補助用支柱パイプ21と、これに対向する支柱パイプ11(領域の角部側に配置)のそれぞれの上位置にある第2、第4の掛止金具15、17に角筒材26の切欠き33を嵌入させた短尺のパイプ(水平パイプの一例)22と、対向する支柱パイプ11の上位置にある第2、第4の掛止金具15、17に角筒材26の切欠き33を嵌入させた(短尺のパイプ22に対向配置される)短尺のパイプ18に、掛止鉤部12aを係合させて掛け渡される。
【0018】
なお、足場板A側では、間隔bで配置された他方(
図1(A)の右の手前側、
図2の下側)の対向する支柱パイプ11は、上位置にある第2、第4の掛止金具15、17に角筒材26の切欠き33を嵌入させた長尺のパイプ19で連結される。また、補助用支柱パイプ21と、これに対向する上記した支柱パイプ11とは反対側に配置されたもう一つの支柱パイプ11は、上位置にある第2、第4の掛止金具15、17に角筒材26の切欠き33を嵌入させた短尺のパイプ22で連結される。
足場板B側では、L字状領域の角部側にある支柱パイプ11と、この支柱パイプ11と間隔bを有して対向配置される支柱パイプ11とが、また、補助用支柱パイプ21と、この補助用支柱パイプ21と間隔bを有して対向配置される支柱パイプ11とが、下位置にある第1、第3の掛止金具14、16に角筒材26の切欠き33を嵌入させた長尺のパイプ19で連結される。
【0019】
上記した角筒材26は、鋼材(ステンレス鋼も含む)で構成され、
図4~
図8に示すように、平面視して正四角形(即ち、角が丸みを有する長方形)となって、第1の掛止金具14(又は第2~第4の掛止金具15~16、以下同じ)の幅と同一の間隔で配置された側板部29、30と、側板部29、30を連接する前板部31及び後ろ板部32とを有している。この前板部31及び側板部29、30の前側中央には切欠き33が形成され、この切欠き33内に第1の掛止金具14が少しの隙間を有して嵌入し、その上に前板部31と側板部29、30の上部が載置される。なお、側面視してコ字状の切欠き33の溝底辺34の傾斜角度は、
図3に示すように、第1の掛止金具14の突出片14a(又は第3の掛止金具16の突出片16a、或いは第2、第4の掛止金具15、17の突出片)の傾斜角度と同一となっている。
【0020】
角筒材26の前側(即ち、切欠き33の前側上部)には、第1の掛止金具14の上部に一部嵌入する突出部35(1~3mmの突出長さが好ましい)が形成され、角筒材26の切欠き33に第1の掛止金具14を入れた場合、角筒材26が横移動しないようになっている。
角筒材26の後ろ板部32の中央には、当接部32a、32bが形成され、その先部は斜面となって第1の掛止金具14の突出片14aに当接可能となっているが、当接部を設けることなく、第1の掛止金具14の突出片14aが直接、角筒材26の後ろ板部32に接してもよい。
【0021】
L字状領域の角部側で、足場板Aが掛止される短尺のパイプ23と、支柱パイプ11とを連結する楔材27は、鋼材(ステンレス鋼も含む)で構成され、第1の掛止金具14(又は第3の掛止金具16、以下同じ)に装着された角筒材26(厳密には角筒材26の前板部31)と第1の掛止金具14との隙間に上から嵌入するものであり、中央には長尺の貫通孔36が設けられている。
この楔材27は、角筒材26に隙間を有して嵌入し、下方に薄くなって、しかも、下部が後ろ側に曲がった「く」字状部37を有している。そして、第1の掛止金具14と角筒材26の両方に挿通し、楔材27が下方に下がって第1の掛止金具14と角筒材26を締結するようになっている。
【0022】
角筒材26の上部を前後に跨がって設けられた保持金具28は、鋼材(ステンレス鋼も含む)で構成され、楔材27の貫通孔36に隙間を有して(遊嵌して)設けられている。これにより、楔材27の角筒材26からの脱落を防止できると共に、楔材27が未嵌入状態(傾斜状態又は水平状態)から嵌入状態(垂直状態:
図1、
図3~
図8参照)に、その角度及び位置を円滑に変えることができるようになっている。
この保持金具28は、L字状又はコ字状となってその両端が前板部31及び後ろ板部32の上端に溶接固定、又は、一体構造となっている。
【0023】
前記したL字状の領域の角部に配置される対向する支柱パイプ11の第1、第3の掛止金具14、16に切欠き33を嵌入させた角筒材26には、
図1、
図3~
図8に示す高さ調整機構24が設けられている。
高さ調整機構24は、鋼材(ステンレス鋼も含む)で構成され、角筒材26を有する短尺のパイプ23のパイプ本体25の高さ位置を上昇させ、隣り合う一組の足場板Aと一組の足場板Bとの高さ位置を調整するものである。なお、高さ位置を調整するとは、一組の足場板Aの長手方向端部(L字状の領域の角部側端部)と、一組の足場板Bの長手方向端部(足場板A側端部)との高さ位置を合わせる(同じにする)ことを意味するが、例えば、±20%(好ましくは±10%、更に好ましくは±5%)の範囲内でずれてもよい。
【0024】
高さ調整機構24は、角筒材26のパイプ本体25側に設けられた板材38を有している。
板材38は、隣り合う足場板A、Bの端部の高さ位置が合うように、後ろ板部32のパイプ本体25側で、上方に向けて延設された延設部分39に、パイプ本体25の長手方向端部が取付け固定されている。なお、角筒材26の上端位置より突出する延設部分39の突出長さは、例えば、第2、第4の掛止金具15、17の高さと同等、又は、長くしている。
この板材38の延設部分39の両側には、楔材27の側方に向けて突出したガイド部39a、39bが設けられ、未嵌入状態の楔材27の倒れを防止している。なお、対向するガイド部39a、39bの間隔は、前方に向けて徐々に狭く(テーパ状に)なっている。
【0025】
高さ調整機構24は、角筒材26のパイプ本体25側に設けられたパイプ受け部40を有している。
このパイプ受け部40は、側面視して直角三角形状となって、その斜辺部を除く一辺部が板材38に設けられ、他辺部がパイプ本体25の下端に取付けられて、板材38に取付け固定されたパイプ本体25を下方から支持している。
なお、前記した短尺のパイプ18、22と長尺のパイプ19は、角筒材26に、上記した板材38が取付け固定されることなく、パイプ本体の長手方向両端部が直接取付けられ、楔材20を介して支柱パイプ11と連結している。このパイプ本体の取付け高さ位置は、切欠き33の高さ位置と同程度である。
【0026】
以上に示した仮設足場10の組み立ては、
図1(A)、(B)に示すように、対となる支柱パイプ11を予め設定された間隔aで対向配置し、かつ、この対となる支柱パイプ11を、例えば、構築する対象物に沿って予め設定された間隔bで複数対配置する。このとき、間隔aで配置された対となる支柱パイプ11同士を短尺のパイプ18により連結し、また、間隔bで配置された隣り合う支柱パイプ11同士を長尺のパイプ19により連結する。
そして、隣り合う短尺のパイプ18に足場板12を掛け渡す。
【0027】
なお、複数の足場板12のうち、隣り合う一組の足場板Aと一組の足場板Bとが、平面視してL字状に配置される領域では、補助用支柱パイプ21を使用し、隣り合う支柱パイプ11と補助用支柱パイプ21とを水平パイプ22で連結する。また、L字状の領域の角部に配置される対向する支柱パイプ11は、前記した短尺のパイプ18ではなく、高さ調整機構24が設けられた短尺のパイプ23で連結する。
これにより、足場板Aは領域の角部に向けて上方に傾斜配置され、隣り合う足場板A、Bの端部の高さ位置を合わせる(調整する)ことができる。
【0028】
上記した支柱パイプ11や補助用支柱パイプ21の連結は、短尺のパイプ18、22、23と長尺のパイプ19を水平状態に保持し、角筒材26の切欠き33を第1~第4の掛止金具14~17のいずれか1に装着する。
この場合、切欠き33の奥側上部には係止溝41が設けられているので、第1~第4の掛止金具14~17が切欠き33に奥側まで嵌入するようになっている。このとき、楔材20、27は、角筒材26から抜けた状態であり、保持金具28が貫通孔36の一方にあって、傾斜状態(又は略水平状態)となっている。
【0029】
次に、傾斜状態となった楔材20、27を立てて、楔材20、27を第1~第4の掛止金具14~17と角筒材26の隙間に嵌入して、最後はハンマー等で楔材20、27の頭部を叩き、楔材20、27の下端を角筒材26の下端から突出させ、角筒材26を強固に第1~第4の掛止金具14~17に固定する。この状態では、楔材20、27の下部が後ろ側に「く」字状に曲がっているので、楔材20、27が容易に抜けない。
なお、角筒材26を第1~第4の掛止金具14~17から外す場合は、楔材20、27の下端をハンマー等で上方に叩くことになる。
【0030】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の仮設足場を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
前記実施の形態においては、平面視して、隣り合う足場部材A、BがL字状に配置される領域で、足場板Aを領域の角部に向けて上方に傾斜配置した場合について説明したが、足場板Aを水平配置した状態で、この足場板Aの高さ位置を足場板Bの高さ位置に合わせることもできる。具体的には、足場板Aが掛け渡される、上記した領域の角部とは反対側の水平パイプに、前記した高さ調整機構が設けられた水平パイプを使用する。
【符号の説明】
【0031】
10:仮設足場、11:支柱パイプ、12:足場板(足場部材)、12a:掛止鉤部、13:パイプ材、14:第1の掛止金具、14a:突出片、15:第2の掛止金具、16:第3の掛止金具、16a:突出片、17:第4の掛止金具、18:短尺のパイプ(水平パイプ)、19:長尺のパイプ(水平パイプ)、20:楔材、21:補助用支柱パイプ(支柱パイプ)、22、23:短尺のパイプ(水平パイプ)、24:高さ調整機構、25:パイプ本体、26:角筒材、27:楔材、28:保持金具、29、30:側板部、31:前板部、32:後ろ板部、32a、32b:当接部、33:切欠き、34:溝底辺、35:突出部、36:貫通孔、37:「く」字状部、38:板材、39:延設部分、39a、39b:ガイド部、40:パイプ受け部、41:係止溝