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特許7385943自然の力で繰返す、(津波・高潮・河川)災害阻止する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】自然の力で繰返す、(津波・高潮・河川)災害阻止する方法
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/02 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
E02B3/02 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021569625
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(86)【国際出願番号】 JP2020000122
(87)【国際公開番号】W WO2021140559
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】513005822
【氏名又は名称】UTSURO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(74)【代理人】
【識別番号】100171941
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 忠行
(72)【発明者】
【氏名】赤井 一昭
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/090235(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/068872(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/013109(WO,A1)
【文献】特開2002-088750(JP,A)
【文献】特開昭63-200892(JP,A)
【文献】特開昭63-308106(JP,A)
【文献】特開2006-205000(JP,A)
【文献】国際公開第84/001591(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 1/00-3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
河口の海側に隣接する潮位変化のある水域に、不透過な堤体構造で囲い締め切った囲繞水域からなる「海洋のうつろ」を形成するとともに、当該「海洋のうつろ」から河川の上流側へ延出するとともに河床が海水面下となるよう設けた遡上水路の上端を河川に開放し、
前記囲繞水域に貯水された水が、引潮時に、前記遡上水路から流出して前記河川の水と合流して海域までの河床が洗堀され、
さらに、前記囲繞水域に対し流出入する潮流が発生させる渦流により前記遡上水路の上流側に隣接する河床を洗堀し、
前記遡上水路を構成する堤体を徐々に上流に向かって延伸させながら、前記渦流による河床の洗堀を繰り返し、
前記遡上水路の上流側に隣接する、重力による流れのエネルギーが支配する重力支配水域の河川のエネルギー勾配を高めて、重力支配水域の河床の洗堀を行い、潮汐エネルギーが支配する水域を上流側の重力支配領域に拡大し、潮汐エネルギーが支配する領域、及び重力支配領域の河床洗堀と洗堀された土砂排出により疎通断面を拡大して河川災害を防止する方法であって、
前記重力支配水域を、河床土を用いて形成された背割堤で複数の幅が狭い狭幅水みちに仕切るとともに、前記狭幅水みちの上流端と下流端にそれぞれ前記狭幅水みちを開閉する可動堰を設け、1つの前記狭幅水みちの前記上下流の両端の可動堰を開放するとともに、残りの前記狭幅水みちの前記上下流の両端の可動堰を閉じて前記上下流の両端の可動堰が開放された1つの狭幅水みちにのみ河川上流側から河川水を流すことにより、その河床を洗掘して、疎通断面が拡大された断面拡大狭幅水みちを形成したのち、この断面拡大狭幅水みちの前記上下流の両端の可動堰を閉じ、残りの前記狭幅水みちのいずれかの狭幅水みちの前記上下流の両端の可動堰を開放し、当該狭幅水みちの河川上流側から河川水を流すことにより、その河床を洗掘して、疎通断面が拡大された断面拡大狭幅水みちを形成する工程を繰り返し、すべての前記狭幅水みちを断面拡大狭幅水みちにする狭幅水みち疎通断面拡大工程を備えることを特徴とする河川災害を防止する方法。
【請求項2】
前記狭幅水みち疎通断面拡大工程完了後、1つの断面拡大狭幅水みちに水を湛えるとともに、この水を湛えた断面拡大狭幅水みちと、隣接する断面拡大狭幅水みちを仕切る前記背割堤の上流側の堤頂を掘り下げて、湛えられた水を、当該堤頂を下げた部分から前記隣接する断面拡大狭幅水みち側に越流させて、背割堤を洗堀させる工程を備える、請求項1に記載の河川災害を防止する方法。
【請求項3】
前記堤体構造を、津波や高潮を反射する防波堤として共有し、
前記堤体構造に、津波や高潮が流入する流入開口を設け、河口に流入する津波や高潮を制限することを特徴とする、請求項1に記載の河川災害を防止する方法。
【請求項4】
洪水発生時、前記遡上水路の堤体が河川両岸の護岸高以下であることで上流から流入する洪水のピークを前記水路から前記遡上水路へ越流させ、前記遡上水路を通じて前記「海洋のうつろ」の囲繞水域に水を貯水する貯水工程と、
洪水発生後の引潮時に、前記囲繞水域に貯水された水を前記遡上水路から前記河川へ流送し、上流からの河川の水の流れと合流させ、前記水路の河床の洗堀を行う引潮時洗掘工程とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の河川災害を防止する方法。
【請求項5】
高潮、津波発生時、前記遡上水路の堤体が河川両岸の護岸高以下であることで河口から侵入する高潮、津波のピークを回折し前記水路から前記遡上水路へ越流させ、ピークカットをし、前記遡上水路を通じて前記「海洋のうつろ」の囲繞水域に水を貯水する貯水工程と、
高潮、津波発生後の引潮時に、前記囲繞水域に貯水された水を前記遡上水路から前記河川へ流送し、上流からの河川の水の流れと合流させ、前記水路の河床の洗堀を行う引潮時洗掘工程とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の河川災害を防止する方法。
【請求項6】
前記水路を通じて河川の水が海に流出する水域に、多空隙の堤体構造に囲まれた第二の囲繞水域を形成し、河床が洗堀されて発生した土砂を含む水は、前記第二の囲繞水域で土砂が沈殿し引き潮時に浄化された水となることを特徴とする、請求項1に記載の河川災害を防止する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は自然の力で 繰返す、(津波・高潮・河川)災害の阻止法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の津波・高潮・河川災害の防止手法は河川の両岸や海岸の内陸部に高い堤防を構築し河川の洪水や津波や高潮等の災害を阻止してきた。
(河川)
本来河川は、重力による流れのエネルギーが支配する水域で、上流から流れてきた土砂が河口海域に堆積し、永い間には河川延長が伸び、河床勾配が緩くなり、河床の掃流力が低下し、この様な河川水域に、堤防を構築することにより、河道水位が上昇し、河川勾配がさらに緩くなり、河道に土砂が堆積し、洪水の疎通断面を縮小して、氾濫を繰返すのが現在の河川災害の根本原因である。
この様な中で、1987年(昭和62年)に特許第2726817号「「海洋のうつろ」を利用した潮流発生装置」や2003年(平成15年)に特許第3823998号「海洋の空(UTSURO)」による潮流発生装置を利用した治水及び利水システム」を発明し、河口問題につぃて提案したが、河川上流部の治水対策にまで十分対応できなかった。
このため、平成12年9月19日に発明した「接触酸化提を利用した魚道装置(特許第3534061号)を合目的に利用することにより繰返す、(津波・高潮・河川)災害の阻止しようとするものである、
(津波)(高潮)
津波や高潮の防御には、海岸の陸域に高い堤防を構築して、津波や高潮を阻止して来たが、用地問題やこれに伴う移転、さらに生活や都市利便制、陸水の利用上の大きな問題が支障となっている。
(河川の遡上津波)
河川の海域に向かう河床の縦断勾配が緩く津波は砕波し、上流まで遡上して河川沿線に甚大な被害をもたらしてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
(河川)
自然のエネルギー(洪水、高潮、津波等)を有効に利用して繰返す、(津波・高潮・河川)災害の阻止しようとするものである。
本来、河川は、上流から流れてきた土砂が河口に堆積し、永い間には河川延長が伸び、河床勾配が緩くなって、河川の掃流力が低下する。この様な河川の両岸に、堤防を構築することにより、河道水位が上昇し、さらに河川のエネルギ勾配が緩くなり、河道に土砂が堆積して、洪水の疎通断面を縮小し、氾濫を繰返すのが現在の河川災害の根本原因である。
このように、河道に自然に堆積した莫大な土砂をどの様に安全に掘削し、輸送し、処分するかが大きな課題である。
さらに、繰返す河川災害を阻止するためには、河川の洪水の疎通断面を
どの様に確保するかが本願発明の大きな課題である。

(津波、高潮)
さらに、津波は反射しやすい波である。津波や高潮を陸域の防波堤で阻止するのでなく、沿岸の海域内で阻止しようとするものである。
(河川の遡上津波の阻止)
河川の河床縦断勾配は海に向かって緩傾斜であるため、河川に侵入した津波は砕波し、河川の上流まで遡上し沿線に甚大な被害をもたらしてきた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(河川災害の防止)
繰返す河川災害を阻止する為に、河口の潮感水域に激しい潮流を発生させ、
従来の重力による流れのエネルギーが支配してきた河口流域を、下流部では潮汐のエネルギーを卓越させ、上流部では従来の重力による流れのエネルギーが支配する河川における流れのエネルギーを変換することにより、河川のエネルギー勾配を高め、河床を深く掘り、洪水の疎通能力を高め、繰返す河川災害を阻止しようとするものである。
河川における流れのエネルギーの変換をすることにより、河床に堆積した莫大な土砂を自然の力で安全に除去し、さらに河床を深く掘り、洪水の疎通能力を高め、莫大な洗掘土砂を安全に排除し、さらに有効に利用しようとするものである。
河川の土砂の掃流力は1式に示される。
τ=γRI・・・・・・・1式
但し(τ;掃流力、γ;水の比重、R;径深(水路の形状)、I;水面勾配、エネルギー勾配)
したがって、河川の掃流力τを高めるためには、 水面勾配(I)を大きくし、水道(みち)を絞り径深(R)を深くして、河川の掃流力を高める必要がある。
さらに 如何に激しい潮流であっても、潮流はすべて海水面下の流れで、陸域を流れる潮流は存在せず、洪水流量に匹敵する潮流河川には洪水はない。
この技術は、潮位変化のある水域を堤体構造で囲い締切る囲饒水域を「海洋
の空(UTSRO)」と言い、この水域を水路で開放することにより、潮汐の度水路に激しい潮流が発生する。
この水路口を河川の上流に向かって延伸させることにより、河口に激しい潮流を発生させることが可能である。この水路を遡上水路と言い。この技術は1987年(昭和62年)に発明した特許第2726817号「「海洋のうつろ」を利用した潮流発生装置」である。
一般に潮流発生装置の「海洋の空(UTSRO)」の面積Aは(1)式で示す。
Å=Q×T/H・・・・・・・・・・・・・・(1)
但し、河川の計画洪水流量:Q、潮汐の半長期;T、計画河口の潮位差:H、とする。
(但し地形や水深などの条件で十分な面積が取れない場合には、水みちを絞 り、自然の河川流量と合わせて掃流力を確保する。)
また、上流部の重力による流れのエネルギーが支配する水域では、水みちを絞り、掃流力を高め、河床を深く掘り、洪水の疎通断面を大きくし、洪水の疎通能力を高めることにより繰返す河川災害を阻止しようとするものである。
また、平成12年9月に出願した「接触酸化提を利用した魚道装置(特許第3534061号)の技術の利用が可能となる。
従来の重力による流れのエネルギーが支配してきた河川流域を、下流部では潮汐のエネルギーを卓越させ、河川における流れのエネルギーの再配分をすることにより、河川の床を低下し,洪水の疎通断面を大きくし、洪水の疎通能力を高めれば、大地はすべてスーパー堤防となる。

(津波、高潮の防御)
河川の潮流発生装置として、請求項1の「海洋の空(UTSURO)」の堤体を共有することにより、海域沿岸の津波や高潮を洋上で阻止することが可能である。
本来、津波は波長が長く、莫大なエネルギーを所持し、砕波させると巨大な破壊力となるが、一方、反射や回折のしやすい性質の波である。
このため、「海洋の空(UTSURO)」の堤体を反射構造とし、反射させることにより、津波を海域で阻止することが可能である。
(河川の遡上津波の阻止)
河川の遡上津波、高潮さらに、河口洪水の被害を阻止するために、請求項1及び請求項2の河川河口沿岸海域に設置した「海洋の空(UTSURO)」を構成した堤体を共有し、河口の上流向かって巻き込み、河川内では「海洋の空(UTSURO)」を構成した堤体の天端高を河川両岸の護岸高以下とすることにより、河口洪水、高潮、津波のピークカットが可能となる。
さらに、河口では洪水放出容量を確保すると共に、河口に流入する遡上津波を制限するため、津波の侵入する開口幅を必要最小幅とし、両岸を沖合に向かって津波、高潮の侵入防止堤を延伸する。
引潮時、これにより、洪水、高潮、津波それぞれのエネルギーが河口に集中し、河口洗掘に寄与する。

【発明の効果】
【0005】
当該発明は、上記に示す様に自然のエネルギーを有効に利用して河川における流れのエネルギーを変換し、繰返す河川災害をはじめ、津波や高潮の被害を阻止する技術である。
(河川災害の阻止)
如何に激しい潮流であっても、潮流はすべて海水面下の流れで、陸域を流れる潮流は存在せず、洪水流量に匹敵する潮流河川には洪水はない。
繰返す河川災害を阻止する為に、河口海域に「海洋の空(UTSURO)」を構成し、河口の潮感水域に激しい潮流を発生させ、従来の重力による流れのエネルギーが支配してきた河口流域を、下流部では潮汐のエネルギーを卓越させることにより、河川における流れのエネルギー勾配を高め、河床を深く掘り、洪水の疎通断面を大きくすれば大地がすべて自然のスーパ―堤防となり河川洪水を阻止する効果となる。
なお、重力の流れのエネルギーが支配する上流部では上記の効果に加えて豊水時には水みちを絞り河床の掃流力を高め、自然に堆積した莫大な土砂を排除し、河床を深く洗掘させ洪水の疎通断面を大きくし、治水効果を高める共に上流で洗堀された莫大な土砂を海域まで安全に送流する輸送効果が当該システムのカギとなるものである。
更に、渇水の平常時には河川の連続浄化システムとして河川の水質浄化や魚道としての効果や、時には、河川の貯水池としての効果、さらに、河道に水を貯留し内陸運河としての利用効果が期待できる。
また、潮汐のエネルギーが支配する河口水域では、河口に激しい潮流を発生させ、掃流力を高め、河道を深く掘り洪水の疎通能力を高めると共に、上流で掘削した莫大な河床の浚渫土砂の輸送路として、船舶や列車、自動車等輸送機器を使わず自然の力で河口海域まで何百キロメートル時には何千キロメトルを洪水の泥水として安全に輸送し、河口海域では「海洋の空(UTSURO)」の沈降浄化機能により、自然の力で泥と水に分離し、泥は計画的に広大な埋立地や干潟を造成し、時には「海洋の空(UTSURO)」の堤体の構築資材や補強材と利用すると共に、水はきれいにして海に放流する環境保全効果も期待できる。
河川水域に、大型の船舶の航行を可能にし、河川沿線には巨大な港を設け商業や工業を活発にする効果が期待できる。
更に、本願発明は河床を低くして河川洪水の疎通能力を高める技術で内水排除効果も期待できる。
また 、海域には 「海洋の空〈UTSURO〉」を構成し、津波や高潮・台風による波浪を洋上で阻止すると共に河口を遡上する津波や高潮、更には、河口の洪水のピークカットの効果を有する。
なお、洪水、高潮、津波其々のピークが過ぎた後の干潮時には河口に堆積した莫大な土砂を排出のする洗掘の効果が大きい。
更に、洋上に構成された「海洋の空〈UTSURO〉」の水域は巨大な静穏水域で、昭和61年(1986)出願した特許第2662516号「水域のうつろを利用した浮体構造」として巨大なホテル、レジャー施設、空港、太陽光や風力発電や石炭・ガス・原子力を含む発電所、エネルギー(石油・ガス・石炭)の備蓄、下水、倉庫等の立地が考えられる。
また、潮汐のエネルギーを利用した巨大な潮汐發電が可能となる。
さらに、洪水時、上流部から排出された莫大な土砂を河口まで輸送し、土と水に分離し、土砂は「海洋の空〈UTSURO〉」の提体を補強し、絵型の様に自然の沈降盛土により巨大な土地や干潟を造成し、空港や都市を創造する。時には「海洋の空〈UTSURO〉」の淡水化も可能である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
(河川災害の阻止)
本来河川の流れは、重力の流れのエネルギーが河川の全水域Lrを支配してきたが、図2
に示すように河口海域を堤体構造8で囲い締切る「海洋の空(UTSURO)」を構築し
、「海洋の空(UTSURO)」内水域26を遡上水路19により河口の潮感水域で開放す
ることにより河川の潮感水域Ltに激しい潮流を発生させることができる。
如何に激しい潮流であっても陸域を流れる潮流が存在せず、潮流はすべて海水面下の流れ
で、河川流量に匹敵する潮流河川には洪水がない。
「海洋の空(UTSURO)」の規模を大きくし、河川流量に匹敵する潮流を発生させる
ことにより、従来は重力の流れのエネルギーが支配してきた河川の河口水域では潮汐のエ
ネルギーが支配する河川水域となり、河川の河口水域Lt1の河床が洗堀される。
「海洋の空(UTSURO)」の規模は上記(1)式によるが地形や水深などの条件で十
分な面積が取れない場合には、水みちを絞り、自然の河川流量と合わせて掃流力を確保す
る。
さらに、地形によっては図4図のように潮感水域の旧河道や分水路、派川などの河口海域
を堤体構造8で囲い締切り分水路を遡上水路19として本川上流で開放することにより河川本川に激しい潮流を発生させることができる。
遡上水路口13の先端Lv1やLv2は水流の折り返し点として、常に激しい渦流により先端河床が洗堀される。
現在の河川の河床4が安定勾配であるとすれば、この技術によりにより、河床が徐々に洗
堀され、自然に図―1の12ラインに、河床が低下する。
更に、遡上水路口のLv1区間における潮流を保持しながら上流に向かって越流堤9を13の様に延伸することにより、先端のLv2が渦流により河床14が洗堀され、さらに、自然流の安定勾配により、河床15のラインに低下し、洪水の疎通断面がさらに大きくなる。
これにより、河川上流部の重力の流れのエネルギーが支配する水域延長Lnは(Ln=L
r―Lt)となり、河川における流れのエネルギーが支配する河川延長が短くなり、河川
におけるエネルギー勾配が高められ、河床洗掘が進み、洪水の疎通能力が高められる。
更に、将来、上記システムの延伸や「海洋の空(UTSURO)」内水域26に土砂の堆積
等により潮汐のエネルギーが不足する場合には「海洋の空(UTSURO)」33を拡大す
る。
またさらに、重力による流れのエネルギーが支配する上流部Ln区間の河床を深く掘り
、洪水の疎通能力を高めるためには 、上中流水域の水みちを絞り、掃流力を高め、河床
を下げ河川の上流部の、洪水の疎通断面を更に大きくするものである。
この技術は、図3に示すように主として河床土等により河川敷内に低い背割堤Bを縦断的に連続した背割堤を構築し狭幅水みちR1(、R2、R3、…)を形成し、幅員の広い河川ではB1,B2、B3・と2以上の背割堤を設ける。狭幅水みちR1(、R2、R3、…)の其々上下流の両端に可動堰GI,G2更に上流にむかってG3,・・を設置し、上下流の可動堰の操作により複数の狭幅水みちのうち河川の水が流れる水みち絞り、掃流力を高め、河床を深く洗掘させ、断面拡大狭幅水みちR2‘(狭幅水みちR2+洗掘部AR2)を形成する。この操作を繰返すことにより、それぞれの狭幅水みちR1(、R2、R3、…)を深くし、断面拡大狭幅水みちを形成することができる。
さらに、断面拡大狭幅水みちに水を湛え、断面拡大狭幅水みちのサイドの背割堤の上流部の堤頂を下げ背割堤を越流させ、全背割堤本体共々洗掘して、河道内の土砂を流出させる。
この操作を交互に繰返し、河川の洪水の疎通断面を大きくする。
上記の操作の事例として図3-3に下流部から洗掘し、洪水の疎通能力を高めれば、大地
はすべてスーパー堤防となり、繰返す河川災害を阻止する。
上記の河床低下に伴い地下水や伏流水の水位低下の懸念あり、河川の両岸には保全水路3
1の設置が必須である。
(津波、高潮の防御)
高潮は一般に砕波しないが、津波や高潮を砕波させると莫大なエネルギーを放出し、波高
が高くなり、陸域に浸水し被害が拡大する。
津波の沖波の最大波高は10m程度で、波長が長く、回折しやすく、反射しやすい波である

上記の請求項1に示す「海洋の空(UTSURO)」による潮流発生装置の堤体8を共有
することにより、囲われた沿岸陸域の津波や高潮を防御しようとするものである。
波は防波堤の前面水深が、波高の約2倍以上とすることにより砕波しないで重複波として
反射する。
「海洋の空(UTSURO)」を構成する堤体8の前面水深を津波の波高の約2倍以上を
保持することにより、津波を反射させる。
したがって、請求項1に示す沿岸海域に設置する「海洋の空(UTSURO)」の堤体を
連続した反射構造の津波防波堤とし、津波や高潮を沿岸海域で防止し、繰返す津波や高潮
を阻止しようとするものである。

(河川の遡上津波、高潮、河口洪水対策)、
河川の遡上津波や高潮さらに、河口洪水の被害を阻止するために、請求項1及び請求項
2の河川河口沿岸海域に設置した「海洋の空(UTSURO)」を構成した堤体を共有し
河口上流向かって巻き込み、さらに、河川の上流に向かって延伸し、河川の上流部で水路
口を開放する。
河川内では「海洋の空(UTSURO)」を構成した堤体の天端高を河川両岸の護岸高以
下とし、河口洪水、高潮、津波のピークを越流させ、河口洪水、高潮、津波のピークカッ
トを行う。
上記の洪水、高潮、津波の引潮時には[図2-4]、[図2-5]の其々の右図に示すように
、これらのエネルギーが河口洗掘に大きな役割を果たし、繰返す河口洪水、高潮、津波の
災害を阻止する。
さらに、河口での洪水排出容量を確保すると共に、河口に流入する遡上津波を限定し制限
するために津波や高潮の流入開口幅を必要最小限とし、両岸を沖合に向かって津波、高潮
侵入防止堤28を延伸する

(土砂の輸送及び処理)
上記請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項6の技術には想像を絶する莫大な
土砂の掘削、輸送が伴う。
この様な洗掘土砂をトラックや船舶、列車、などの輸送機器を使用しないで自然の力を利
用して請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項6の技術により、河川の掃流力
を高め自然の力を有効に利用して洪水時等の泥水として安全に何10キロメートル、何100
キロメートル、時には何千キロメートルを河口海域まで輸送し、26「海洋の空(UTSUR
O)」B(多空隙堤体28により囲われた29の水域は静穏水域である。)、多空隙の堤体
とは捨石堤、コンクリートブロク堤、スリットケイソン堤等、これらの混成堤である。
河口まで到達した泥水は、自然の潮汐の作用により、多空隙の堤体を透過し、「海洋の空
(UTSURO)」B内に入れば29水域は静穏水域であり、泥は潮汐6時間の間に沈殿し
、引き潮時には水はきれいになり海域に流出する。、
さらに有機物は堤体の入出時に微生物により接触酸化され更にきれいになる。
従って上記請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項6の技術を完結させるため
に必須のシステムとして、環境にやさしい繰返す河川災害を阻止する技術の方法である。
上記の自然の力で繰返す、(津波・高潮・河川)災害阻止する技術の実施に当たっては計
画的に必ず河口部から実施しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1 図は 、河川の流れのエネルギー区間を示した縦断図である。
図2】第2 図は 、河川河口部に激しい潮流を発生るシステムの河口の平面図である。
図2-1】は第2図のD-D断面図である。
図2-2】は第2図のE-E断図である。
図2-3】は第2図のF-F断図である。
図2-4】図の左側の図は洪水時の洪水の水の流れの方向を示し、右の図は洪水時の引潮時の水の流れの方向を表す図である。
図2-5】図の左側の図は津波・高潮の侵入時の水の流れの方向を表し、右の図は引潮時の水の流れの方向を表す図である。
図3】第3 図は、河川上流部の重力の流れのエネルギーが支配する水域の河床洗掘のシステム図である。
図3-1】は第3図のK-K断面図である。
図3-2】は第3図のJ―J断面図である。
図3-3】は第3図の下流から順次河床洗掘を行う平図面である。
図4】第4 図は、潮感水域の旧河道を遡上水路として、本川に激しい潮流を発生させる方法や分水路、派川などの河口海域を8で囲い締切り水路を19として本川上流で開放することにより河口に激しい潮流を発生させることができる平面図である。符号の説明1 河川堤防の高さ 2現状況の河川の河床の地盤高さ 3 平常時の水面水 4 現況の河川の河床 5 最大洪水レベル 6 潮汐のハイウオウターレベル 7潮汐のローウオウターレベル、8 津波防波堤 9遡上水路を構成する堤体、河川の遡上津波や高潮、河口洪水襲来時のピークカットの為の越流堤 10「海洋の空(UTSURO)」の潮流発生装置により洗掘された河口河床の縦断、11洗掘された河口の河床が河川の安定勾配により河床低下の方向、12洗掘された11の安定勾配の河床,13遡上水路を構成する堤体の延伸方向,14遡上水路口の折り返しの渦流による先端洗堀、15遡上水路を構成する堤体の上流に向かって延伸した場合の安定勾配の低下に伴う河床洗掘縦断,16遡上水路の延伸に伴い河川上流の安定勾配低下の方向,17上記15に伴って河床低下による洪水疎通断面の拡大に伴うHHWLの低下ライン,18河川の流れの方向,19遡上水路,20河川における遡上津波や高潮、河口洪水の越流によるピークカットの方向,21潮汐変化による上記20の戻り流,22津波の方向,23津波の反射,24津波、高潮の流れの方向,25前24の戻り流,26「海洋の空(UTSURO)」Bの内水域,27「海洋の空(UTSURO)」を構成する土砂溜外堤,28津波高潮侵入防止堤,29「海洋の空(UTSURO)」の土砂溜,30「海洋の空(UTSURO)」を構成する内堤、31津波波高,32津波波の静穏水位,33「海洋の空(UTSURO)」の拡張水域,34「海洋の空(UTSURO)」利用した高度浄化システム記号の説明LR河川延長、Lm標高、Lr河川の全長、Lt01初期の遡上水路の越流堤の延長,Lv1遡上水路の設置に伴い折り返し流(先端渦流)による深堀水域の延長,Lt02深堀水域を上流に向かって延伸した越流堤の延長,Lv2越流堤の先端の渦流長Lt潮汐のエネルギーが支配する河川水域の延長, Ln重力の流れのエネルギーが支配する水域の延長、B1,B2、B3は河川敷内に主として河床土砂を集め低い背割堤を縦断的に連続して構築した堤体,G1,G2,G3は縦断的に1~5m上下する度に上下流の左右に設置したに可動堰
図1
図2
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図2-5】
図3
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4