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▶ ウィズメムズ カンパニー リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】トレンチキャパシタ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/33 20060101AFI20231116BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20231116BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20231116BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20231116BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01G4/33 102
H01G4/30 541
H01G4/30 544
H01G4/30 547
H01L21/88 S
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022083131
(22)【出願日】2022-05-20
(65)【公開番号】P2023070011
(43)【公開日】2023-05-18
【審査請求日】2022-05-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0152342
(32)【優先日】2021-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518249580
【氏名又は名称】ウィズメムズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】グ ファン ソブ
(72)【発明者】
【氏名】ユン ギ サン
(72)【発明者】
【氏名】バン ホ ソブ
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョン ハン
(72)【発明者】
【氏名】ガン ビョン グ
(72)【発明者】
【氏名】グム チャン ミン
【審査官】木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-251972(JP,A)
【文献】特開2009-267376(JP,A)
【文献】特開2017-175104(JP,A)
【文献】特開2016-046454(JP,A)
【文献】特開2021-114597(JP,A)
【文献】特開2008-270573(JP,A)
【文献】特開2010-45297(JP,A)
【文献】特開2007-180425(JP,A)
【文献】特開2019-21898(JP,A)
【文献】特表2000-514243(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0221483(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0211868(US,A1)
【文献】中国実用新案第207303087(CN,U)
【文献】欧州特許出願公開第2963695(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/33
H01G 4/30
H01L 21/3205
H01L 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレンチキャパシタを製造する方法において、
基板のトレンチ領域に複数個のトレンチを形成するステップと、
前記基板上に、複数個の電極層及び前記各電極層の間の誘電体層を含む多層構造の薄膜を形成するステップと、
前記多層構造の薄膜において前記各電極層の一部領域が露出するように前記多層構造の薄膜を順次にエッチングするステップと、
前記基板の全面にパッシベーション層を形成するステップと、
前記各電極層が露出するように前記パッシベーション層の一部領域を除去するステップと、
少なくとも2つの前記電極層を並列連結するバンプを形成するステップと
を含
前記多層構造の薄膜を形成する前記ステップは、
第1の電極層を蒸着するステップと、
前記第1の電極層上に第1の誘電体層を蒸着するステップと、
前記第1の誘電体層上に第2の電極層を蒸着するステップと、
前記第2の電極層上に第2の誘電体層を蒸着するステップと、
前記第2の誘電体層上に第3の電極層を蒸着するステップとを含み、
前記多層構造の薄膜を順次にエッチングする前記ステップは、
前記多層構造の薄膜において前記第2の電極層の第1の領域が露出するように前記第3の電極層及び前記第2の誘電体層の一部領域をエッチングするステップと、
前記第1の電極層の第2の領域が露出するように前記第1の領域において前記第2の電極層及び前記第1の誘電体層の一部領域をエッチングするステップとを含み、
前記トレンチ領域は、前記基板に十字状に形成された領域であり、
前記第1の領域は、前記基板において前記トレンチ領域を除いた領域であり、
前記第2の領域は、前記第1の領域において、十字状の前記トレンチ領域のうちの1つの凸領域を挟む位置に形成され、前記第2の電極層を電極として使用する2つの領域を除いた領域であるトレンチキャパシタの製造方法。
【請求項2】
前記パッシベーション層を形成する前記ステップは、
液状ポリイミド系列の感光性溶液を塗布するステップと、
塗布された前記感光性溶液を熱処理するステップとを含む、請求項1に記載のトレンチキャパシタの製造方法。
【請求項3】
前記パッシベーション層の一部領域を除去する前記ステップは、
前記各電極層を露出させる予め設定された領域に露光及び現像工程によって前記パッシベーション層の当該領域を除去する、請求項に記載のトレンチキャパシタの製造方法。
【請求項4】
前記パッシベーション層の一部領域を除去する前記ステップでは、
前記バンプを介して前記第1の電極層及び前記第3の電極層を並列連結させるために、十字状の前記トレンチ領域のうち、前記凸領域とは反対側に位置する他の凸領域を挟む位置において、前記第第1の電極層を露出させるとともに、前記他の凸領域内において、前記第3の電極層を露出させることを特徴とする請求項1に記載のトレンチキャパシタの製造方法。
【請求項5】
複数個のトレンチが形成されたトレンチ領域を有する基板と、
前記基板上の複数個の電極層及び前記各電極層の間の誘電体層を含む多層構造の薄膜と、
前記多層構造の薄膜上に形成され、前記各電極層の一部領域が露出するように開口された開口領域を含むパッシベーション層と、
少なくとも2つの前記開口領域上に形成され、前記開口領域を連結するバンプとを含
前記多層構造の薄膜は、
第1の電極層と、
前記第1の電極層において第2の領域を除いた領域上に形成された第1の誘電体層と、
前記第1の誘電体層上の全面に形成された第2の電極層と、
前記第2の電極層において第1の領域を除いた領域上に形成された第2の誘電体層と、
前記第2の誘電体層上の全面に形成された第3の電極層とを含み、
前記トレンチ領域は、前記基板に十字状に形成された領域であり、
前記第1の領域は、前記基板において前記トレンチ領域を除いた領域であり、
前記第2の領域は、前記第1の領域において、十字状の前記トレンチ領域のうちの1つの凸領域を挟む位置に形成され、前記第2の電極層を電極として使用する2つの領域を除いた領域であるトレンチキャパシタ。
【請求項6】
前記パッシベーション層は、
ポリイミド系列の感光性物質を含む、請求項に記載のトレンチキャパシタ。
【請求項7】
前記複数個のトレンチは、
前記トレンチの内面に沿って形成された前記多層構造の薄膜と、
前記トレンチの内部空間に形成されたパッシベーション層とを含む、請求項に記載のトレンチキャパシタ。
【請求項8】
前記複数個の電極層は、
前記基板から遠くなる方向へ前記電極層の面積が狭くなることを特徴とする、請求項に記載のトレンチキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレンチキャパシタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の半導体素子の小型化及び高集積化の傾向に伴い、供給された電力を消費、蓄積又は放出する素子である受動素子を集積化するための研究が持続されている。
【0003】
例えば、高集積受動素子の1つであるトレンチキャパシタ(trench capacitor)は、基板内に深い溝を掘り、それにより追加で確保される側壁の面積を活用して静電容量を増大させることで、高密度及び高容量を達成する構造のキャパシタである。係るトレンチキャパシタは、MLCC(multilayer ceramic condenser、積層セラミックキャパシタ)、SLC(single layer capacitor)と共に高集積キャパシタとしてその需要が増大しており、高集積化のための研究開発が持続的に行われている。
【0004】
係るトレンチキャパシタは、トレンチの内部空間が空いていれば小さい衝撃にも亀裂が生じ、素子の堅固性が低下してしまう。
【0005】
そこで、従来は、トレンチの空いている内部空間を埋めるためにポリシリコンを蒸着する別途の工程を行っていたが、ポリシリコンの蒸着を行う場合、高価な装備が必要となり、工程ステップが複雑になるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの目的は、別途の工程を付け加えることなく、トレンチの内部空間が埋められたトレンチキャパシタ及びその製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、電極層を損傷させることなく工程を短縮することができるトレンチキャパシタの製造方法を提供することである。
【0008】
但し、本実施例が解決しようとする技術的課題は、上記したような技術的課題に限定されるものではなく、また他の技術的課題が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法は、基板に複数個のトレンチを形成するステップと、当該基板上に複数個の電極層及び各電極層の間の誘電体層を含む多層構造の薄膜を形成するステップと、当該多層構造の薄膜において各電極層の一部領域が露出するように当該多層構造の薄膜を順次にエッチングするステップと、基板の全面にパッシベーション層を形成するステップと、当該各電極層が露出するように当該パッシベーション層の一部領域を除去するステップと、少なくとも2つの電極層を並列連結するバンプを形成するステップとを含んでいても良い。
【0010】
当該パッシベーション層を形成する前述のステップは、液状ポリイミド系列の感光性溶液を塗布するステップと、塗布された当該感光性溶液を熱処理するステップとを含んでいても良い。
【0011】
当該パッシベーション層の一部領域を除去する前述のステップは、各電極層を露出させる予め設定された領域に露光及び現像工程によって当該パッシベーション層の当該領域を除去しても良い。
【0012】
当該多層構造の薄膜を形成する前述のステップは、第1の電極層を蒸着するステップと、当該第1の電極層上に第1の誘電体層を蒸着するステップと、当該第1の誘電体層上に第2の電極層を蒸着するステップと、当該第2の電極層上に第2の誘電体層を蒸着するステップと、当該第2の誘電体層上に第3の電極層を蒸着するステップとを含んでいても良い。
【0013】
当該多層構造の薄膜を順次にエッチングする前述のステップは、当該多層構造の薄膜において当該第2の電極層の第1の領域が露出するように当該第3の電極層及び当該第2の誘電体層の一部領域をエッチングするステップと、当該第1の電極層の第2の領域が露出するように当該第1の領域において当該第2の電極層及び当該第1の誘電体層の一部領域をエッチングするステップとを含んでいても良い。
【0014】
本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタは、複数個のトレンチを有する基板と、当該基板上の複数個の電極層及び各電極層の間の誘電体層を含む多層構造の薄膜と、当該多層構造の薄膜上に形成され、各電極層の一部領域が露出するように開口された開口領域を含むパッシベーション層と、少なくとも2つの当該開口領域上に形成され、当該開口領域を連結するバンプとを含んでいても良い。
【0015】
当該パッシベーション層は、ポリイミド系列の感光性物質を含んでいても良い。
【0016】
当該複数個のトレンチは、当該トレンチの内面に沿って形成された当該多層構造の薄膜と、当該トレンチの内部空間に形成されたパッシベーション層とを含んでいても良い。
【0017】
当該多層構造の薄膜は、第1の電極層と、当該第1の電極層の一部領域上の第1の誘電体層と、当該第1の誘電体層上の第2の電極層と、当該第2の電極層の一部領域上の第2の誘電体層と、当該第2の誘電体層上の第3の電極層とを含んでいても良い。
【0018】
当該複数個の電極層は、当該基板から遠くなる方向へ電極層の面積が狭くなることを特徴としても良い。
【発明の効果】
【0019】
上述した課題を解決するための手段によって構成される本発明によれば、次のような効果がある。
【0020】
本発明に係るトレンチキャパシタの製造方法によれば、パッシベーション層を、感光性溶液を利用した溶液工程によって形成することにより、工程を短縮しながらも、トレンチキャパシタの構造的な安定性を高くすることができる。
【0021】
本発明に係るトレンチキャパシタは、電極層上に電極層を保護するための別途の構成なしでも電極層が損傷しないので、素子の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を示すフローチャートである。
図2a】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための平面図である。
図2b】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための平面図である。
図2c】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための平面図である。
図2d】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための平面図である。
図2e】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための平面図である。
図2f】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための平面図である。
図2g】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための平面図である。
図3a】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための断面図である。
図3b】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための断面図である。
図3c】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための断面図である。
図3d】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための断面図である。
図3e】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための断面図である。
図3f】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための断面図である。
図3g】本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を説明するための断面図である。
図4a図2fのB-Bに沿って切断した断面図である。
図4b図2fのC-Cに沿って切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、添付した図面を参照しながら、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施例を詳しく説明する。本発明は様々な異なる形態に具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されるものではない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために、説明とは関係ない部分は省略しており、明細書全体に亘って類似した部分に対しては類似した図面符号を付けている。
【0024】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているという場合、これは、直接的に連結されている場合だけでなく、その中間に他の部材を挟んで連結されている場合と、その中間に他の素子を挟んで電気的に連結されている場合も含む。さらに、本願の明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているという場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0025】
本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法は、基板に複数個のトレンチを形成するステップと、基板上に複数個の電極層及び各電極層の間の誘電体層を含む多層構造の薄膜を形成するステップと、多層構造の薄膜において各電極層の一部領域が露出するように多層構造の薄膜を順次にエッチングするステップと、基板全面にパッシベーション層を形成するステップと、各電極層が露出するようにパッシベーション層の一部領域を除去するステップと、少なくとも2つの電極層を並列連結するバンプを形成するステップとを含んでいても良い。
【0026】
以下の実施例においては、3つの電極層を含む多層構造の薄膜を有するトレンチキャパシタを例に挙げて説明することとする。
【0027】
図1は、本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法を示すフローチャートである。
【0028】
図1の各ステップは、図2a乃至図2gの平面図及び図3a乃至図3gの断面図に対応する。図4a及び図4bは、図3a乃至図3gと切断面の位置が異なる位置で切断した断面図を示す。つまり、図4aは、図2fのB-B線に沿って切断した断面図であり、図4bは、図2fのC-C線に沿って切断した断面図である。以下では、トレンチキャパシタの製造方法の各ステップ別に図面を参照しながら説明することとする。
【0029】
以下では、図1に示された各ステップを図2a乃至図2g及び図3a乃至図3gを参照しながら説明する。
【0030】
図1に示すように、本発明の一実施例に係るトレンチキャパシタの製造方法は、基板にトレンチを形成するステップS110と、第1の電極層乃至第3の電極層及び各電極層の間の誘電体層を含む多層構造の薄膜を形成するステップS120と、第2の電極層が露出するように一部領域をエッチングするステップS130と、第1の電極層が露出するように一部領域をエッチングするステップS140と、全面にパッシベーション層を形成するステップS150と、第1の電極層乃至第3の電極層が露出するようにパッシベーション層の一部領域を除去するステップS160と、第1の電極層と第3の電極層とを並列連結するバンプを形成するステップS170とを含んでいても良い。
【0031】
基板にトレンチを形成するステップS110は、基板10の厚さ方向に予め設定された深さの複数個のトレンチ(又は溝)111を形成しても良い。この場合、複数個のトレンチ111は、基板10上の予め設定されたトレンチ領域110に形成されても良い。例えば、トレンチ領域110は、図2aに示すように十字状に設定されても良い。
【0032】
第1の電極層乃至第3の電極層及び各電極層の間の誘電体層を含む多層構造の薄膜を形成するステップS120は、トレンチが形成された基板上に第1の電極層を蒸着するステップと、第1の電極層上に第1の誘電体層を蒸着するステップと、第1の誘電体層上に第2の電極層を蒸着するステップと、第2の電極層上に第2の誘電体層を蒸着するステップと、第2の誘電体層上に第3の電極層を蒸着するステップとを順次に進行することで、基板10全面に多層構造の薄膜120を形成しても良い(図2b)。一実施例において、電極層と誘電体層は原子層蒸着法(ALD)により蒸着されても良い。例えば、第1乃至第3の電極層は、チタンナイトライド(TiN)薄膜であっても良く、第1及び第2の誘電体層は、ハフニウムオキサイド(HfO)薄膜であっても良い。つまり、多層構造の薄膜120は、TiN/HfO/TiN/HfO/TiN構造の薄膜であっても良い。
【0033】
多層構造の薄膜120は、図3bに示すように、トレンチ領域110に形成された複数個のトレンチ111の内面を囲むように形成されても良い。また、多層構造の薄膜120の厚さはトレンチ111の幅よりも遥かに薄く形成されるので、多層構造の薄膜120がトレンチ111の内面を囲むように形成されても、トレンチ111の内部空間が全部埋められるものではない。つまり、基板10のトレンチ領域110において、多層構造の薄膜は、蒸着された後もトレンチ111が依然として存在する形態で蒸着される。
【0034】
第2の電極層が露出するように一部領域をエッチングするステップS130は、図2c及び図3cに示すように、多層構造の薄膜120において第2の電極層122の予め設定された一部領域である第1の領域が露出するように第3の電極層及び第2の誘電体層の一部領域をエッチングしても良い。この場合、第1の領域は、トレンチ領域110に対応する領域に予め設定されても良い。
【0035】
第1の電極層が露出するように一部領域をエッチングするステップS140は、図2d及び図3dに示すように、第1の電極層121の第2の領域が露出するように第2の電極層122の第1の領域において第2の電極層及び第1の誘電体層の一部領域をエッチングしても良い。この場合、第2の領域は、第1の領域において第2の電極層を電極として使用する領域を除いた領域であっても良い。
【0036】
一実施例において、ステップS130、S140において、電極層及び誘電体層は、乾式エッチング(dry etching)工程により選択的にエッチングされても良く、エッチングのための反応ガスとして塩素ガスが使用されても良い。このように選択的にエッチングされた多層構造の薄膜は、電極層が基板から遠くなる方向へ面積が狭くなる構造に形成されても良い。
【0037】
全面にパッシベーション層を形成するステップS150は、液状ポリイミド系列の感光性溶液を塗布するステップと、塗布された感光性溶液を熱処理するステップとを含んでいても良い。つまり、パッシベーション層150は、溶液工程により形成されても良い。
【0038】
液状ポリイミド(PI)感光性溶液を塗布するステップは、スピンコーティング(spin coating)により行われても良い。これにより、ポリイミド感光性溶液は、基板10の複数個のトレンチに残っている内部空間を満たし、基板全面に亘って均一に塗布されることができる(図2e及び図3e)。その後、熱処理するステップにおいて、塗布されたポリイミド感光性溶液の残っている溶剤を蒸発させても良い。
【0039】
第1の電極層乃至第3の電極層が露出するようにパッシベーション層の一部領域を除去するステップS160は、各電極層を露出させる予め設定された領域に露光及び現像工程を行うことでパッシベーション層150の当該領域を除去しても良い。つまり、図2fに示すように、各電極層が露出するように一部領域が除去されたパッシベーション層150は、第1の電極層121が露出する第1の開口領域210と、第2の電極層121が露出する第2の開口領域220と、第3の電極層123が露出する第3の開口領域230とを含んでいても良い。この場合、電極層間の並列構造の配線連結が容易なように少なくとも第1の開口領域210と第3の開口領域230とは同一線上に形成されても良い。
【0040】
具体的に、パッシベーション層の一部領域を除去するステップS160は、各電極層を露出させる領域を除いた残りの領域上にマスクを形成するステップと、マスクを利用して選択的に光源から照射するステップと、熱処理ステップと、現像液を利用して光源から照射された領域又は照射されていない領域を除去するステップとを含んでいても良い。
【0041】
つまり、パッシベーション層がフォトレジスト(PR)の役割をするため、別途のPR形成工程及びエッチング工程なしでもパッシベーション層の一部領域を除去することができる。それだけでなく、パッシベーション層にエッチング工程が行われず、電極層に損傷が与えられないので、電極層の損傷を防止するための別途の構成や工程を付け加えることなく素子の信頼性を向上させることができる。
【0042】
第1の電極層と第3の電極層とを並列連結するバンプを形成するステップS170は、図2f、図2g、および図3gに示すように、第1の開口領域210及び第3の開口領域230を連結するバンプ171と、両第2の開口領域220を連結するバンプ172を形成しても良い。係るバンプ形成工程により、各開口領域に露出した電極層に配線連結が可能となる。この場合、第1の開口領域210に露出した第1の電極層121と第3の開口領域230に露出した第3の電極層123とが1つのバンプ171で連結され、並列構造の配線連結をすることができる。
【0043】
一例において、バンプは、各開口領域に露出した電極層の上面と接触するCu層を含み、Cu層上に開口領域を連結するSnAg層が形成された構造であっても良い。例えば、Cu層は、めっき用シード(seed)電極を使用し、スパッタリング(sputtering)により蒸着されても良い。SnAg層は、電気めっき方式により各開口領域の深さよりも厚い厚さに形成されても良い。
【0044】
上述したキャパシタ製造方法により製造されたトレンチキャパシタは、複数個のトレンチを有する基板10と、基板10上の複数個の電極層及び各電極層の間の誘電体層を含む多層構造の薄膜120と、多層構造の薄膜上に形成され、各電極層の一部領域が露出するように開口された開口領域を含むパッシベーション層150と、少なくとも2つの開口領域上に形成され、開口領域を連結するバンプ170とを含んでいても良い。一実施例において、パッシベーション層150は、ポリイミド系列の感光性物質を含むポリイミド感光性薄膜であっても良い。
【0045】
複数個のトレンチの内部空間は、多層構造の薄膜120と、パッシベーション層150とを含んでいても良い。つまり、トレンチの内面に沿って多層構造の薄膜120が形成され、残っている内部空間にはパッシベーション層が形成されても良い。例えば、トレンチの内部空間は、トレンチの内面に接触する多層構造の薄膜120と、多層構造の薄膜120の上面と接触するパッシベーション層とを含んでいても良い。
【0046】
一実施例において、多層構造の薄膜120は、第1の電極層121と、第1の電極層121の一部領域上の第1の誘電体層(未図示)と、第1の誘電体層上の第2の電極層122と、第2の電極層の一部領域上の第2の誘電体層(未図示)と、第2の誘電体層上の第3の電極層123とを含んでいても良い。つまり、第1乃至第3の電極層は、基板から遠くなる方向へ電極層の面積が狭くなる構造に形成されても良い。
【0047】
一実施例において、パッシベーション層150は、複数の電極層が露出するように貫通形成された開口領域を含んでいても良い。例えば、開口領域は、第1の電極層121の予め設定された一部領域が露出するように開口された第1の開口領域210と、第2の電極層122の予め設定された一部領域が露出するように開口された第2の開口領域220と、第3の電極層123の予め設定された一部領域が露出するように開口された第3の開口領域230とを含んでいても良い。
【0048】
一実施例において、パッシベーション層150に形成された開口領域は、複数の電極層を並列構造で配線連結することが容易なように、並列連結される電極層が露出する開口領域が同一線上にあるように形成されても良い。例えば、第1の電極層121が露出する開口領域210と第3の電極層123が露出する開口領域230とは同一線上に形成されても良い。
【0049】
以上のように本発明に係るトレンチキャパシタの製造方法によれば、パッシベーション層をポリイミド感光性溶液を使用して形成することにより、製造工程を短縮しながらも、集積度を高め、構造的な安定性を有するトレンチキャパシタを製造することができる。
【0050】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素は分散して実施されても良く、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されても良い。
【0051】
また、本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0052】
10:基板
110:トレンチ領域
111:トレンチ
120:多層構造の薄膜
121:第1の電極層
122:第2の電極層
123:第3の電極層
150:パッシベーション層
170:バンプ
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図3g
図4a
図4b