(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】火災避難用の顔面マスク
(51)【国際特許分類】
A62B 18/02 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A62B18/02 A
(21)【出願番号】P 2022561150
(86)(22)【出願日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 KR2021009085
(87)【国際公開番号】W WO2022019568
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2022-10-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0089532
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522393147
【氏名又は名称】エルエス イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】311ho,555,Byeolmang-ro Danwon-gu,Ansan-si Gyeonggi-do 15434,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ヒョ ジン
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-027697(JP,U)
【文献】実開昭60-052854(JP,U)
【文献】実公昭46-027620(JP,Y1)
【文献】米国特許第06543450(US,B1)
【文献】特表2011-512905(JP,A)
【文献】特開平09-108373(JP,A)
【文献】登録実用新案第3210690(JP,U)
【文献】韓国登録特許第10-1865298(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62B 7/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面視野を確保するように構成されたゴーグル部と、
着用者の吸気をフィルターリングするフィルター部と、
着用者の顎の位置に対応するように構成された顎締め部と、
を備え、
前記顎締め部は、
児童の顎の位置に対応するように構成された児童用の顎締め部と、成人の顎の位置に対応するように構成された成人用の顎締め部と、を有する二重構造に構成されたことを特徴とする火災避難用の顔面マスク。
【請求項2】
前記ゴーグル部は、
両側面部に前後方向に拡張または縮小される眼鏡着用空間確保用のしわ部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の火災避難用の顔面マスク。
【請求項3】
前記ゴーグル部は、
上部に左右方向に眼鏡着用空間確保用の弾性パッド部が形成されたことを特徴とする請求項2に記載の火災避難用の顔面マスク。
【請求項4】
前記ゴーグル部、フィルター部及び顎締め部を有する顔面部と、
前記顔面部の両側にそれぞれ構成された第1及び第2の側面部と、
を備え、
前記第1及び第2の側面部は、
着用者の後頭部において互いに締結されるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の火災避難用の顔面マスク。
【請求項5】
前記第1の側面部は、
少なくとも一部に第1の締結部が構成され、
前記第2の側面部は、
前記第1の締結部と対応する位置に第2の締結部が構成され、
前記第1の締結部及び第2の締結部は、
前記顎締め部とベンディングラインにより連結されることを特徴とする請求項4に記載の火災避難用の顔面マスク。
【請求項6】
前記ベンディングラインは、
前記成人用の顎締め部と連結されることを特徴とする請求項5に記載の火災避難用の顔面マスク。
【請求項7】
前記ゴーグル部とフィルター部との間に、形状変更可能なように構成されたワイヤーを有する鼻あて部をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の火災避難用の顔面マスク。
【請求項8】
前記鼻あて部は、
前記第1の側面部から始まって前記ワイヤーを隣接するように過ぎ通った後に第2の側面部まで延設されて、呼気が前記ゴーグル部に流れ込むことを遮断するように構成されたことを特徴とする請求項7に記載の火災避難用の顔面マスク。
【請求項9】
前記フィルター部は、
前記児童用の顎締め部を中心として上下部に、息を吐き出すときに開かれ、息を吸い込むときに閉じられるワンウェイフィルターがそれぞれ構成されたことを特徴とする請求項4に記載の火災避難用の顔面マスク。
【請求項10】
前記ゴーグル部は、
ポリイミドから作製され、
前記顔面部は、
弾性不織布及び活性炭フィルターのうちの少なくともどちらか一方から作製され、
前記ゴーグル部とは接着方式により結合され、前記顔面部とは熱融着方式により結合されて、前記ゴーグル部と顔面部とをつなぐ熱可塑性テープを備えることを特徴とする請求項4に記載の火災避難用の顔面マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災避難用の顔面マスクに係り、さらに詳しくは、火災時に生じる有毒ガスなどを遮断するための呼吸器用のマスクをゴーグルと一体に構成することにより、火災などによる有毒ガスの発生時に使用者の呼吸器を保護することはもとより、前方視野を確保できるようにしたものである。
【0002】
特に、本発明は、ゴーグル一体型の顔面マスクを後頭部結合方式により着用するに当たって、顎締め部を児童用と成人用の二重構造に構成して、すべての年齢層の使用者が好適に着用できるようにすることで、成人はもとより、子供にも向上した着用感及び安全性を提供することができ、フィルム状のゴーグルの両側にしわ部を形成してゴーグルが前後方向に拡張または縮小されるようにすることで、ゴーグルの内部に十分な空間を確保することができて、眼鏡をかけている使用者にも最大限の使い勝手の良さを提供することのできる火災避難用の顔面マスクに関する。
【背景技術】
【0003】
火災時に生じる有毒ガスは、たとえそれが少量であるとしても、使用者の呼吸器に悪影響を及ぼし、酷い場合には死亡にまで至らせる場合が生じる虞があるため、火災による避難の際に、避難者(使用者)は、呼吸器を保護するためにマスクを着用することになる。
【0004】
かようなマスクは、主として呼吸器を保護するためのマスク本体と、マスク本体の両側に構成された紐と、からなるが、使用者によっては、この紐の長さを調節してマスク本体が使用者の顔面に密着されるようにして着用することになる。
【0005】
しかしながら、火災などの緊急な状況下でマスクの紐を一々に調節して着用するには危険に晒される時間が長引き、紐の長さを調節せずにそのまま着用する場合には、使用者によってマスクが顔面に密着できず、その結果、手でマスクを押していなければならないという場合が生じてしまう。
【0006】
このように、片手でマスクを押した状態で避難をすると、使用者の両手が塞がっているが故に、行動に制約が生じてしまい、これにより、一刻も早く避難することができなくなったり、火災による破片や構造物など周りの環境による危険にも晒されてしまったりする虞がある。
【0007】
このような不都合は、下記の先行技術文献である大韓民国登録特許公報第10-1865298号の「火災避難用のライフマスク」(以下、「先行技術」と称する。)にも同様に見られている。
【0008】
また、先行技術などの既存のマスクは、その大きさや紐の長さが固定されているため、成人用の製品を児童が使うことになる場合、緊急な状況下でマスク紐の長さを調節することに見合う分だけの時間の無駄使いを招いてしまい、その結果、使用者を危険に陥らせる虞がある。
【0009】
さらに、公共場所や大勢の人々が往来する地域においては、すべての避難者にぴったり合うマスクをいずれも備え付けていることが不可能であるだけではなく、たとえ備え付けているとしても、各自の本人にぴったり合うマスクを見つける過程においてもかなりの時間がかからざるを得なかった。
【0010】
さらにまた、着用者が眼鏡をかけている場合、先行技術などのマスクは、着用者が眼鏡を外して当該マスクを着用することを余儀なくされるため、マスクの着用後に視力の低下が起きてしまうという不都合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】大韓民国登録特許公報第10-1865298号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記のような不都合を解決するために、本発明は、火災時に生じる有毒ガスなどを遮断するための呼吸器用のマスクをゴーグルと一体に構成することにより、火災などによる有毒ガスの発生時に使用者の呼吸器を保護することはもとより、前方視野を確保することのできる火災避難用の顔面マスクを提供するところにその目的がある。
【0013】
特に、本発明は、ゴーグル一体型の顔面マスクを後頭部結合方式により着用するに当たって、顎締め部を児童用と成人用の二重構造に構成して、すべての年齢層の使用者が好適に着用できるようにすることで、成人はもとより、子供にも向上した着用感及び安全性を提供することのできる火災避難用の顔面マスクを提供するところにその目的がある。
【0014】
また、本発明は、フィルム状のゴーグルの両側にしわ部を形成してゴーグルが前後方向に拡張または縮小されるようにすることで、ゴーグルの内部に十分な空間を確保することができて、眼鏡をかけている使用者にも最大限の使い勝手の良さを提供することのできる火災避難用の顔面マスクを提供するところにその目的がある。
【0015】
さらに、本発明は、マスクを着用するに当たって、面ファスナーを用いてマスクの両側を使用者の後頭部において結合することから、マスクの着用に際して紐の長さ調節などにかかる時間の無駄使いを極力抑えて速やかに着用可能なようにする火災避難用の顔面マスクを提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような目的を達成するために、本発明に係る火災避難用の顔面マスクは、前面視野を確保するように構成されたゴーグル部と、着用者の吸気をフィルターリングするフィルター部と、着用者の顎の位置に対応するように構成された顎締め部と、を備え、前記顎締め部は、児童の顎の位置に対応するように構成された児童用の顎締め部と、成人の顎の位置に対応するように構成された成人用の顎締め部と、を有する二重構造に構成されたことを特徴とする。
【0017】
また、前記ゴーグル部は、両側面部に前後方向に拡張または縮小される眼鏡着用空間確保用のしわ部が形成されてもよい。
【0018】
さらに、前記ゴーグル部は、上部に左右方向に眼鏡着用空間確保用の弾性パッド部が形成されてもよい。
【0019】
さらにまた、前記ゴーグル部、フィルター部及び顎締め部を有する顔面部と、前記顔面部の両側にそれぞれ構成された第1及び第2の側面部と、を備え、前記第1及び第2の側面部は、着用者の後頭部において互いに締結されるように構成されてもよい。
【0020】
さらにまた、前記第1の側面部は、少なくとも一部に第1の締結部が構成され、前記第2の側面部は、前記第1の締結部と対応する位置に第2の締結部が構成され、前記第1の締結部及び第2の締結部は、前記顎締め部とベンディングラインにより連結されてもよい。
【0021】
さらにまた、前記ベンディングラインは、前記成人用の顎締め部と連結されてもよい。
【0022】
さらにまた、前記ゴーグル部とフィルター部との間に、形状変更可能なように構成されたワイヤーを有する鼻あて部(ノーズパッド)をさらに備えていてもよい。
【0023】
さらにまた、前記鼻あて部は、前記第1の側面部から始まって前記ワイヤーを隣接するように過ぎ通った後に第2の側面部まで延設されて、呼気(吐き出した息)が前記ゴーグル部に流れ込むことを遮断するように構成されてもよい。
【0024】
さらにまた、前記フィルター部は、前記児童用の顎締め部を中心として上下部に、息を吐き出すときに開かれ、息を吸い込むときに閉じられるワンウェイフィルターがそれぞれ構成されてもよい。
【0025】
さらにまた、前記ゴーグル部は、ポリイミドから作製され、前記顔面部は、弾性不織布及び活性炭フィルターのうちの少なくともどちらか一方から作製され、前記ゴーグル部とは接着方式により結合され、前記顔面部とは熱融着方式により結合されて、前記ゴーグル部と顔面部とをつなぐ熱可塑性テープを備えていてもよい。
【発明の効果】
【0026】
上記のような解決手段により、本発明は、火災時に生じる有毒ガスなどを遮断するための呼吸器用のマスクをゴーグルと一体に構成することにより、火災などによる有毒ガスの発生時に使用者の呼吸器を保護することはもとより、前方視野を確保することのできるというメリットがある。
【0027】
特に、本発明は、ゴーグル一体型の顔面マスクを後頭部結合方式により着用するに当たって、顎締め部を児童用と成人用の二重構造に構成して、すべての年齢層の使用者が好適に着用できるようにすることで、成人はもとより、子供にも向上した着用感及び安全性を提供することのできるというメリットがある。
【0028】
また、本発明は、マスクを着用するに当たって、面ファスナーを用いてマスクの両側を使用者の後頭部において結合することから、マスクの着用に際して紐の長さ調節などにかかる時間の無駄使いを極力抑えて速やかに着用可能なようにするというメリットがある。
【0029】
さらに、本発明は、鼻あて部を鼻と目との間に横方向に延設して、呼吸時に生じる呼気が上部に移動できないようにすることで、呼気によってゴーグル部が曇ってしまうことを防いで、前方視野を十分に確保することができるというメリットがある。
【0030】
さらにまた、本発明は、フィルム状のゴーグルにしわ構造を適用することにより、保管に際しては嵩を最小化させることができ、眼鏡をかけている者が着用する場合にはしわ部が拡張されながら内部に十分な空間を確保できるようにするというメリットがある。。
【0031】
これを通じて、本発明は、眼鏡をかけている使用者が着用する場合、眼鏡を外さなくてもマスクを着用可能なようにすることで、マスクを着用してからも着用者の視力が低下してしまうことを防ぐことができるという効果がある。
【0032】
したがって、マスク分野、特に、火災避難用のマスク分野、防煙マスク分野及び顔面マスク分野はもとより、これと類似ないし関連する分野において信頼性及び競争力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明による火災避難用の顔面マスクの一実施形態を示す構成図である。
【
図3】
図1に示すゴーグル部を顔面部に取り付ける過程を説明する図である。
【
図4】
図1に示すゴーグル部を顔面部に取り付ける過程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明に係る火災避難用の顔面マスクについての例は種々に適用することができ、以下では、添付図面に基づいて、最適な実施形態について説明する。
【0035】
図1は、本発明による火災避難用の顔面マスクの一実施形態を示す構成図であり、
図2は、
図1を外側から眺めた図である。
【0036】
図1を参照すると、火災避難用の顔面マスクAは、ゴーグル部100と、フィルター部200及び顎締め部300を備える。
【0037】
ゴーグル部100は、着用者(使用者)の前面視野を確保するように構成されたものであって、シート状に作製された透明材質の合成樹脂材から形成してもよい。例えば、ゴーグル部100の材質としては、耐熱性、耐衝撃性、耐摩擦性、不燃性、寸法安定性などの性能に優れたポリイミド(Polyimide;PI)が挙げられる。
【0038】
フィルター部200は、着用者の吸気(着用者が吸い込んだ息)をフィルターリングするものであって、当業者の要求に応じて、ヘパフィルターなどの種々のものが使用可能であり、特定のものに限定しないということはいうまでもない。
【0039】
顎締め部300は、火災避難用の顔面マスクAの着用に際して、着用者の顎の位置に対応するように構成されたものであって、児童の顎の位置に対応するように構成された児童用の顎締め部310と、成人の顎の位置に対応するように構成された成人用の顎締め部320との二重構造に構成されてもよい。
【0040】
このとき、児童用の顎締め部310及び成人用の顎締め部320は、弾性材質の締め紐(図示せず)が内部に構成されてもよく、火災避難用の顔面マスクAの着用に際して顎締め部300の中央部が引っ張られる点を考慮して、鼻あて部430からの児童の平均的な顎の位置と成人の平均的な顎の位置に応じて構成可能である。
【0041】
一方、以上述べたように、防毒面などをはじめとするほとんどの顔面マスクは、眼鏡をかける使用者が着用する場合には、かけていた眼鏡を外さなければ着用することができず、これにより、着用後に使用者の視力の低下が起きてしまう結果、避難時に前方視野を十分に確保することができないという場合が生じる虞がある。
【0042】
このため、本発明においては、眼鏡をかけている使用者が本発明の火災避難用の顔面マスクAを着用する場合、眼鏡をかけているままでも火災避難用の顔面マスクAを着用できるようにする。
【0043】
このために、本発明は、
図1に示すように、ゴーグル部100の両側面部に前後方向に拡張または縮小される眼鏡着用空間確保用のしわ部110を形成してもよい。例えば、ゴーグル部100をポリイミドから作製する場合、
図3に示すように、ポリイミドのゴーグルシート120の両側を千鳥状に折り畳んでしわ部110を形成してもよい。
【0044】
このように、ゴーグル部100のゴーグルシート120の両側に蛇腹状のしわ部110を形成すると、眼鏡をかけている使用者が火災避難用の顔面マスクAを着用する過程において、ゴーグルシート120が眼鏡Gの前方に移動することができる。
【0045】
このとき、しわ部110及びゴーグルシート120の上下部の周縁部は、顔面部400とくっついている状態で、しわ部110の中央部のみが拡張しながら、ゴーグルシート120の中央部分のみが前方に移動することになる。
【0046】
また、本発明の火災避難用の顔面マスクAは、
図1に示すように、上述したゴーグル部100、フィルター部200及び顎締め部300が顔面部400に形成されてもよく、顔面部400の両側にそれぞれ第1及び第2の側面部410、420を構成してもよい。
【0047】
さらに、第1の側面部410の少なくとも一部には第1の締結部510が構成されてもよく、第2の側面部420の少なくとも一部には第1の締結部510と対応する位置に第2の締結部520が構成されてもよい。
【0048】
このため、第1及び第2の側面部410、420は、着用者の頭の側面において後頭部の側に包み込むように着用されてもよく、第1及び第2の側面部410、420に構成された第1の締結部510及び第2の締結部520が着用者の後頭部において互いに締結されることができる。
【0049】
例えば、第1の締結部510及び第2の締結部520は、面ファスナーのフック及びループから構成されてもよい。
【0050】
このように、第1の締結部510及び第2の締結部520は、面ファスナーから作製すると、着用者が児童である場合と成人である場合の両方とも別途の長さ調節をしなかった状態で、上部が頭と十分に密着された状態を保持しつつ、ワンタッチ方式により手軽にかつ速やかに着用することができる。
【0051】
併せて、第1の締結部510及び第2の締結部520は、顎締め部300とベンディングライン600により連結されてもよい。
【0052】
このため、着用者の後頭部において第1の締結部510及び第2の締結部520が結合されれば、ベンディングライン600が顎締め部300の両側を引っ張ることになるので、火災避難用の顔面マスクAの着用に際して着用者の顎の部分から耳元の部分を経て後頭部まで密着されることが可能になる。
【0053】
また、第1及び第2の側面部410、420を弾性不織布から作製することにより、着用者の頭に十分に密着されるようにすることができる。
【0054】
さらに、ゴーグル部100とフィルター部200との間に、形状変更可能なように構成されたワイヤーを有する鼻あて部430が構成されてもよい。
【0055】
このため、使用者は、本発明の火災避難用の顔面マスクAを着用する過程において、鼻あて部430のワイヤーの形状を自分の鼻筋に適するように変形することにより、鼻筋の横に有害ガスが流れ込むことを遮断することができる。
【0056】
併せて、鼻あて部430は、第1の側面部410から始まってワイヤーを隣接するように過ぎ通った後に第2の側面部420まで鼻筋用の締め部431を延設してもよい。ここで、鼻筋用の締め部431は、上述した児童用の顎締め部310及び成人用の顎締め部320と同様に、弾性材質の締め紐から作製されてもよい。
【0057】
このような鼻筋用の締め部431は、ワイヤーの両側を側後方に引っ張る役割を果たすので、ワイヤーとともに火災避難用の顔面マスクAの上部に有害ガスが流れ込むことを防ぐとともに、使用者が呼吸をする過程において呼気がゴーグル部100に流れ込んで、ゴーグル部100が曇ってしまうことを防ぐことができる。
【0058】
一方、ポリイミド材質のゴーグルシート120と弾性不織布製または活性炭フィルター材質の顔面部400は、その材質の特性によって直接的に結合するのに難点が生じる虞がある。
【0059】
このため、本発明においては、熱可塑性テープ440を用いてゴーグルシート120と顔面部400とを結合するようにしてもよい。ここで、熱可塑性テープ440としては、ガラス繊維テープが挙げられる。
【0060】
このようなゴーグルシート120と顔面部400との結合方法については、以下においてさらに詳しく説明する。
【0061】
図3から
図4は、
図1に示すゴーグル部を顔面部に取り付ける過程を説明する図であり、
図5は、
図1の斜視図である。
【0062】
図3を参照すると、顔面部400には、前面視野を確保するように開放部401が形成されており、開放部401の前面に透明材質のゴーグル部100が結合されてもよい。
【0063】
また、
図4に示すように、熱可塑性テープ440がゴーグル部100の周縁部と顔面部400の開放部401の周縁部に貼り付けられてもよい。
【0064】
このとき、熱可塑性テープ440は、ポリイミド材質のゴーグル部100と接着方式により結合されてもよく、弾性不織布または活性炭フィルター材質の顔面部400とは熱融着方式により結合されることにより、ゴーグルシート120と顔面部400とを結合することができる。
【0065】
併せて、
図3に示す呼吸用の貫通孔402には、
図5に示すように、ワンウェイフィルター210が構成されてもよい。
【0066】
ワンウェイフィルター210は、児童用の顎締め部310を中心として上下部にそれぞれ構成され、使用者が息を吐き出すときに開かれ、息を吸い込むときに閉じられるように構成されてもよい。このようなワンウェイフィルター210としては、当業者の要求によって種々のものが採用可能であるため、特定のものに何ら限定しない。
【0067】
【0068】
図6を参照すると、ゴーグル部100の内側方向の上部には、左右方向に形成された眼鏡着用空間確保用の弾性パッド部130が構成されてもよい。例えば、弾性パッド部130は、眼鏡をかけるための空間を確保するとともに、着用者の額に密着させるために、弾性材質の合成樹脂材から形成されてもよい。
【0069】
結果的に、ゴーグルシート120は、上部においては弾性パッド部130によって、かつ、両側においてはしわ部110によって、下部においては着用者の鼻によって支えられながら、十分な空間を確保できるように着用者の目から離れていてもよい。
【0070】
以上、本発明による火災避難用の顔面マスクについて説明した。このような本発明の技術的な構成は、本発明が属する技術分野における当業者が、本発明の技術的な思想や必須的な特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施可能であるということが理解できる筈である。
【0071】
よって、上述した実施形態は、あらゆる面において例示的なものに過ぎず、限定的ではないものと理解されるべきである。