(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】容器及び蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 47/28 20060101AFI20231116BHJP
A47G 19/12 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B65D47/28 120
A47G19/12 G
(21)【出願番号】P 2023071992
(22)【出願日】2023-04-26
【審査請求日】2023-04-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515043956
【氏名又は名称】株式会社アトラス
(74)【代理人】
【識別番号】100167184
【氏名又は名称】井上 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】伯耆 貴宏
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】実公昭47-036537(JP,Y1)
【文献】実公昭40-003982(JP,Y1)
【文献】実開昭53-126845(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/28
A47G 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の開口部を有する容器本体と、
前記第1の開口部より小さな第2の開口部と、スライド用孔部とを有する天板部を備え、前記第1の開口部を覆う本体部と、前記スライド用孔部に沿って移動する移動部を備え前記移動部の移動により前記天板部の表面側から前記第2の開口部を覆う第1の位置と前記第2の開口部を覆わない第2の位置とを取り得るスライド蓋と、弾性を有し前記天板部の裏面側から前記移動部に着脱可能に取り付けられ前記スライド蓋の移動に伴い前記天板部の裏面側を摺動する弾性体とを備える蓋部と、
を有することを特徴とする容器。
【請求項2】
前記弾性体を前記移動部から取り外したときに前記スライド蓋が前記本体部から離脱できる請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記移動部は、前記スライド用孔部の幅より若干小さく設けられ前記スライド用孔部の側部に配置されるガイド部を備える請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記蓋部は、前記スライド蓋の側部に配置され、前記スライド蓋の移動を支持するガイド溝を備える請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記スライド用孔部は、前記スライド蓋が前記第2の開口部に対して近接または離間できる形状をなしており、前記スライド蓋が前記
第1の位置に位置するとき、前記弾性体が前記第2の開口部に近い方の前記スライド用孔部と前記スライド蓋との間の隙間を塞ぐ請求項1に記載の容器。
【請求項6】
第1の開口部を有する容器本体に取り付ける蓋であって、
前記第1の開口部より小さな第2の開口部と、スライド用孔部とを有する天板部を備え、前記第1の開口部を覆う本体部と、前記スライド用孔部に沿って移動する移動部を備え前記移動部の移動により前記天板部の表面側から前記第2の開口部を覆う第1の位置と前記第2の開口部を覆わない第2の位置とを取り得るスライド蓋と、弾性を有し前記天板部の裏面側から前記移動部に着脱可能に取り付けられ前記スライド蓋の移動に伴い前記天板部の裏面側を摺動する弾性体と、
を有することを特徴とする蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器及び蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
容器の蓋に開口部を有し、開口部を開閉可能な飲料容器が知られている。例えば、中蓋本体にふりかけ式注ぎ口及びスライド板取手移動穴をつけ、中蓋本体の裏面に取手のついたスライド板をセットし、その上から溝つきスライド板受けをとりつけたものが知られている。
【0003】
また、上部が開口した飲料用容器本体と、飲料用容器本体の上部開口部に被着され、液通孔を有する蓋本体と、蓋本体とスライド嵌合により着脱自在に取り付けられ、液通孔をスライドさせて開閉するスライド蓋と、を有する飲料用容器の蓋体構造であって、スライド蓋の側面に弾性クリック部を設け、弾性クリック部が蓋本体に形成されたクリック受部に嵌合してスライド蓋が蓋本体に保持される飲料用容器の蓋体構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭53-126845号公報
【文献】特開2015-166258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2は、弾性クリック部がクリック受部に嵌合する際のクリック感をより確実に感じることができることを効果に謳っている。しかしながらクリック感をなくして蓋を開閉したいという需要も存在する。また、特許文献2に示した弾性クリック部はその構造上応力がかかりやすい部分であり、破損した場合に交換が難しいという問題がある。
【0006】
1つの側面では、本発明は、クリック感をなくしてスライド蓋を開閉することを目的とする。また、他の側面では、本発明は、部品を容易に分解できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、開示の容器が提供される。この容器は、第1の開口部を有する容器本体と、第1の開口部より小さな第2の開口部と、スライド用孔部とを有する天板部を備え、第1の開口部を覆う本体部と、スライド用孔部に沿って移動する移動部を備え移動部の移動により天板部の表面側から第2の開口部を覆う第1の位置と第2の開口部を覆わない第2の位置とを取り得るスライド蓋と、弾性を有し天板部の裏面側から移動部に着脱可能に取り付けられスライド蓋の移動に伴い天板部の裏面側を摺動する弾性体とを備える蓋部と、を有している。
【発明の効果】
【0008】
1態様では、クリック感をなくしてスライド蓋を開閉することができる。また、他の態様では、部品を容易に分解できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図5】実施の形態の容器の使用例を説明する図である。
【
図6】実施の形態の容器の使用例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態の容器を、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
以下の図面等において示す各構成の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、形状、範囲等に限定されない。
実施の形態において単数形で表される要素は、文面で明らかに示されている場合を除き、複数形を含むものとする。
<実施の形態>
図1は、実施の形態の容器を示す図である。
実施の形態の容器100は、容器本体1と蓋部2とを有している。
容器100の用途は特に限定されないが、例えば飲料等の液体を保存する容器が挙げられる。
【0012】
容器本体1は、飲料を貯留する貯留部である。容器本体1の上面には円形の第1の開口部11が設けられている。容器本体1の形状は図示のものに限定されない。
図2及び
図3は、実施の形態の蓋部を説明する図である。
図2は、蓋部の分解図であり、
図3は、
図1におけるA-A線で蓋部を切ったときの断面の分解図である。
蓋部2は、本体部21と、スライド蓋22と、弾性体23とを有している。
【0013】
本体部21とスライド蓋22の構成材料は特に限定されないが、例えば透明な樹脂である。弾性体23の構成材料は特に限定されないが、例えば、シリコーンゴム等が挙げられる。
スライド蓋22及び弾性体23は、それぞれ本体部21に対し着脱可能である。
【0014】
本体部21は、第1の開口部11の形状に対応する筒部211を有している。筒部211の側部の一部には段差部が形成されており、この段差にはパッキン212が埋め込まれている。パッキン212は、筒部211から取り外すことができる。
【0015】
また、本体部21は、天板部213を備えている。天板部213には、スライド蓋22の形状に対応した凹部213aが設けられている。凹部213aは、スライド蓋22の装着時にスライド蓋22の移動を支持するガイド溝としての役割を果たす。
凹部213aには、第1の開口部11より小さな第2の開口部213bと、スライド用孔部213cと、摩擦軽減部213dが設けられている。
【0016】
第2の開口部213bは、容器本体1に貯留されている飲料を外部に排出する目的で設けられている。すなわち、第2の開口部213bは、注ぎ口や飲み口としての役割を果たすことができる。
【0017】
スライド用孔部213cは、スライド蓋22の移動をガイドする。スライド用孔部213cは、スライド蓋22が第2の開口部213bに対して近接または離間できる形状をなしている。
摩擦軽減部213dは、スライド蓋22の移動に伴う摩擦を軽減する。
また、天板部213には通気孔213eが設けられている。
また、本体部21は、第1の開口部11が当接する段差部214を備えている。段差部214は天板部213を取り囲むように配置されている。
スライド蓋22は把持部221と、移動部222と、スライド本体223とを有している。
移動部222は、スライド用孔部213cに沿って移動する。移動部222の端部の形状は、凹部213aの端部の形状に対応している。
図4は、実施の形態の移動部を説明する図である。
移動部222は、ガイド部222aと、被装着部222bとを有している。
【0018】
ガイド部222aは、スライド用孔部213cの幅に対応する幅(スライド用孔部213cの幅より若干狭い幅)をなしている。移動部222が本体部21に取り付けられているとき、移動部222はスライド用孔部213cの側部に配置され、スライド蓋22がスムーズに移動できるようにガイドする。
被装着部222bには弾性体23が取り付けられる出っ張り部分を有している。
再び
図3に戻って説明する。
スライド本体223は、移動部222の移動により第2の開口部213bを覆う第1の位置と第2の開口部213bを覆わない第2の位置に移動可能である。
【0019】
弾性体23は、被装着部222bの出っ張り部分より狭い開口部231と、出っ張り部分が収容される収容部232とを有している。弾性体23を被装着部222bから取り外すことでスライド蓋22が本体部21から離脱できる。
以下、実施の形態の容器1の使用例を説明する。
図5は、実施の形態の容器の使用例を説明する図である。
図5(a)は、蓋部2の上面図であり、
図5(b)は、
図5(a)のB-B線での断面図である。
【0020】
利用者は、スライド蓋22を凹部213aに載置する。これによりスライド本体223の裏面は摩擦軽減部213dに当接する。また、被装着部222bの出っ張り部分が凹部213aを介してスライド本体223の反対側に位置する。スライド蓋22は、移動部222を中心に点対称であり、載置時に前後の向きを気にしなくてもよい。
【0021】
次に利用者は弾性体23の開口部231を裏面側(
図5中、紙面下側)から被装着部222bに押し当てる。これにより、開口部231が弾性変形して被装着部222bが開口部231を通り収容部232に収容される。これにより、弾性部23が移動部222に取り付けられる。この状態において、弾性体23の面233の一部が凹部213aの裏面に当接する。
【0022】
利用者が蓋部2を容器本体1に取り付ける場合は、筒部211の下部を第1の開口部11に押しつけ、ある程度の力を加えることで第1の開口部11が段差部214に当接する。パッキン212により筒部211と第1の開口部11との隙間が塞がれる。
図5において、スライド蓋22は第2の開口部213bを覆っていない。
図5に示すスライド蓋22の位置が第2の位置の一例である。
【0023】
利用者がスライド蓋22を移動させる場合は、把持部221を把持してスライド蓋22を
図5中左側に移動させる。このときスライド本体223は摩擦軽減部213dを摺動する。弾性体23は凹部213aの裏面を摺動する。
図6は、実施の形態の容器の使用例を説明する図である。
図6(a)は、蓋部2の上面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のC-C線での断面図である。
【0024】
図6に示すように、スライド蓋22を凹部213aの端部に当接させる位置まで移動させることでスライド蓋22により天板部213の表面側(
図6中、紙面上側)から第2の開口部213bを覆うことができる。このときのスライド蓋22の位置が第1の位置の一例である。本実施の形態では、スライド蓋22を凹部213aの端部に当接させたときに、移動部222はスライド用孔部213cの端部に当接せず隙間213c1(第2の開口部213bに近い方のスライド用孔部213cと移動部222との間の隙間)が形成されるようになっている。なお、
図6(b)では、第2の開口部213bに遠い方のスライド用孔部213cと移動部222との間に形成される隙間213c2を示している。
【0025】
図6(b)に示すように、その隙間213c1を弾性体23が塞ぐことで第2の開口部213bから液体が流出しているときにスライド用孔部213cから液体が流出することを抑制することができる。
【0026】
また、専ら弾性体23と凹部213aとの間に生じる摩擦によりスライド蓋22は任意の位置で停止し、容器本体1を傾けても停止した位置を保持できるので第2の開口部213bの開口量を細かく調整することができる。
【0027】
以上述べたように、実施の形態の容器100は、第1の開口部11を有する容器本体1と、第1の開口部11より小さな第2の開口部213bと、スライド用孔部213cとを有する天板部213を備え、第1の開口部11を覆う本体部21と、スライド用孔部213cに沿って移動する移動部222を備え移動部222の移動により天板部213の表面側から第2の開口部213bを覆う第1の位置と第2の開口部213bを覆わない第2の位置とを取り得るスライド蓋22と、弾性を有し天板部213の裏面側から移動部222に着脱可能に取り付けられスライド蓋22の移動に伴い天板部213の裏面側を摺動する弾性体23とを備える蓋部2と、を有する。
【0028】
第2の開口部213bを備える天板部213の上下をスライド蓋22と弾性体23で挟むことにより、スライド蓋22のよりスムーズな開閉ができる。また、スライドの始点や終点でスライド蓋22を他の部材に嵌め合わせるような構造ではないため、クリック感をなくしてスライド蓋22を開閉することができる。また、摩擦軽減部213dを配置することにより、把持部221を天板部213に押しつける力が加わっても摩擦軽減部213dが配置されていない場合に比べて小さな力でスライド蓋22を移動させることができる。
【0029】
また、弾性体23と天板部213との摩擦によりスライド蓋22は任意の位置で停止できるので、飲料を飲んでいるときのスライド蓋22がズレ落ちを抑制できる。また、スライド蓋22の開閉時の液の飛び散りを抑制できる。
【0030】
またスライド蓋22と弾性体23を簡単に分解でき、また、それぞれのパーツは奥まった部分が少ないので、簡単に洗うことができて、蓋部2を清潔に保つことができる。
【0031】
また、移動部222は、スライド用孔部213cの幅より若干小さく設けられスライド用孔部213cの側部に配置されるガイド部を備える。これにより、スムーズにスライド蓋22を移動させることができる。
【0032】
また、蓋部2は、スライド蓋22の側部に配置され、スライド蓋22の移動を支持する凹部213aを備える。これによりスムーズにスライド蓋22を移動させることができる。
【0033】
また、本実施の形態ではスライド蓋22を凹部213aの表面側に配置し、弾性体23を凹部213aの裏面側に配置した。しかしこれに限らず、スライド蓋22を凹部213aの裏面側に配置し、弾性体23を凹部213aの表面側に配置してもよい。その場合、弾性体23が把持部としての機能を果たしてもよい。
【0034】
また、本実施の形態では、天板部213には、スライド蓋22の形状に対応した凹部213aを設けた。しかし、これに限らず凹部213aを省略することもできる。
【0035】
以上、本発明の容器及び蓋を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 容器本体
11 第1の開口部
2 蓋部
21 本体部
211 筒部
212 パッキン
213 天板部
213a 凹部
213b 第2の開口部
213c スライド用孔部
213d 摩擦軽減部
213e 通気孔
214 段差部
22 スライド蓋
221 把持部
222 移動部
222a ガイド部
222b 被装着部
223 スライド本体
23 弾性体
231 開口部
232 収容部
233 面
【要約】
【課題】クリック感をなくしてスライド蓋を開閉すること。また、部品を容易に分解できること。
【解決手段】容器は、第1の開口部を有する容器本体と、第1の開口部11より小さな第2の開口部213bと、スライド用孔部213cとを有する天板部213を備え、第1の開口部11を覆う本体部21と、スライド用孔部213cに沿って移動する移動部を備え移動部の移動により天板部213の表面側から第2の開口部213bを覆う第1の位置と第2の開口部213bを覆わない第2の位置とを取り得るスライド蓋22と、弾性を有し天板部213の裏面側から移動部に着脱可能に取り付けられスライド蓋22の移動に伴い天板部213の裏面側を摺動する弾性体23とを備える蓋部2と、を有する。
【選択図】
図2