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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】車両構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/07 20060101AFI20231116BHJP
   B62D 25/06 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B62D25/07
B62D25/06 B
B62D25/06 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021191294
(22)【出願日】2021-11-25
(65)【公開番号】P2023077826
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏
(72)【発明者】
【氏名】岩下 孝太
(72)【発明者】
【氏名】塩山 隆
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-068119(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00-25/08
B62D 25/14-29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室と、
前記車室の後側に設けられた荷台と、
前記車室を構成するルーフパネルの側縁部に設けられたドリップレールと、
前記ドリップレールの後端部を覆うように配置されたルーフガーニッシュとを備え、
前記ルーフガーニッシュは、
前記ドリップレールの側方を覆うと共に車両後方に延設された側部と、
前記ドリップレールの後方を覆うと共に車幅方向に延設された後部とを備え、
前記側部は、前記ドリップレールの下方を覆うように前記側部の下縁部から車両内側に向かって延設された第一棚部を備え、
前記後部は、
前記第一棚部の後端に連続するように前記後部の下縁部から車両前方に向かって延設された第二棚部と、
前記ドリップレールの延長線上に位置する内面を備え、
前記内面は、前記ドリップレールの延設方向と交差する方向に延びている、
車両構造。
【請求項2】
前記車室の後方の左右両端に設けられたリアピラーを覆うように配置されたピラーガーニッシュをさらに備え、
前記リアピラーと前記ピラーガーニッシュとの間に構成された空間の上端は、前記第二棚部における車両前方に臨む前縁近傍に位置している、請求項1に記載の車両構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ドリップレールが設けられたキャブ構造を開示する。ドリップレールは、キャビン側面に設けられ、雨水等を排水するためのレール部材である。ドリップレールは、キャビンの前後方向に沿って設けられており、前端部又は後端部にて雨水を排水する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-88090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
キャビンの後側に荷台が設けられた車両構造では、ドリップレールの後端部から荷台側へ雨水が勢いよく流れ出ることがある。雨水の勢いによっては、荷台に載置された荷物、特に植物のような取り扱いに注意を要する荷物が損傷するおそれがある。
【0005】
本発明の目的の一つは、ドリップレールの後端部から流れ出る水の勢いを抑制できる車両構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る車両構造は、
車室と、
前記車室の後側に設けられた荷台と、
前記車室を構成するルーフパネルの側縁部に設けられたドリップレールと、
前記ドリップレールの後端部を覆うように配置されたガーニッシュとを備え、
前記ガーニッシュは、前記ドリップレールの延長線上に位置する内面を備え、
前記内面は、前記ドリップレールの延設方向と交差する方向に延びている。
【発明の効果】
【0007】
ドリップレールに溜まった水は、ドリップレールの後端部から車両後方に向かって流れ出る。本発明の車両構造では、ドリップレールの後端部から流れ出た水の流れは、ドリップレールの後端部に配置されたガーニッシュの内面に沿って車両側方に変えられる。水の流れが側方に変えられることで、水の勢いが落ちる。つまり、本発明の車両構造では、ドリップレールの後端部から流れ出る水の勢いを抑制できる。水の勢いを抑制できることで、荷台に載置された荷物に勢いのある水がかかることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の車両構造を示す概略斜視図である。
図2図2は、実施形態の車両構造におけるドリップレールの後端部及びガーニッシュを右後方から俯瞰した概略斜視図である。
図3図3は、実施形態の車両構造におけるガーニッシュを左前方から俯瞰した概略斜視図である。
図4図4は、実施形態の車両構造における水の流れの一部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1から図4を参照して、本発明の車両構造の実施形態を以下に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。図中、矢印FRは車長方向の前側、矢印RRは車長方向の後側、矢印RHは車幅方向の右側、矢印LHは車幅方向の左側、矢印UPは車両高さ方向の上側、矢印LWRは、車両高さ方向の下方を示す。車幅方向において、車両の中心側を内側、内側の反対側を外側とする。
【0010】
<概要>
車両構造1は、図1に示すように、車室2、荷台3、及びドリップレール4を備える。荷台3は、車室2の後側に設けられている。ドリップレール4は、図2に示すように、車室2(図1)を構成するルーフパネル21の側縁部211に設けられている。実施形態の車両構造1の特徴の一つは、ドリップレール4の後端部40を覆うように配置された特定構造のルーフガーニッシュ6を備える点にある。実施形態の車両構造1では、ドリップレール4からルーフガーニッシュ6内に一連の第一流路91が構成されている。本例の車両構造1は、図1に示すように、リアピラー8を覆うように配置されたピラーガーニッシュ80を備える。本例の車両構造1は、上記第一流路91に加えて、図3に示すように、ピラーガーニッシュ80の内部に通じる第二流路92が構成されている。
【0011】
図1は、車両構造1を右後方から俯瞰した図である。図2は、ドリップレール4の後端部40及びルーフガーニッシュ6を右後方から俯瞰した図である。図2では、ルーフガーニッシュ6における後述する第一棚部651及び第二棚部652を破線で示している。図2では、ルーフガーニッシュ6の内側に位置するドリップレール4の後端部40を二点鎖線で示している。図2では、ルーフガーニッシュ6に覆われている部材、例えばルーフパネル21の一部、及び後述するコーナーパネル5を点線で示している。図3は、ルーフガーニッシュ6及びその周辺を左前方から俯瞰した図である。図4は、車両構造1を左後方から俯瞰した図である。図2から図4に示す矢印は水の流れを示している。以下、各構成を詳しく説明する。
【0012】
<車室>
車室2は、運転手等の乗員が座る室内空間である。車室2は、図1に示すように、ルーフパネル21、バックパネル22、図示しないダッシュパネル、図示しないフロアパネル、及び左右のサイドドア23で構成されている。本例のサイドドア23は、フロントドア231とリアドア232を備える。フロントドア231は、車両外側に回動するヒンジドアである。本例のリアドア232は、車両後方にスライドするスライドドアである。
【0013】
ルーフパネル21の側縁部211には、図1及び図2に示すように、後述するドリップレール4が設けられている。
【0014】
ルーフパネル21の後縁部212には、図1及び図3に示すように、下方に延びるバックパネル22が取り付けられている。ルーフパネル21の後縁部212は、図示しないが、上下方向に階段状に曲げられている。後縁部212の先端側、つまり後端縁が下側に位置する。バックパネル22の上縁部221には、図3に示すように、水平部221aと立設部221bが設けられている。水平部221aは、ルーフパネル21の後縁部212の先端側に接合される。立設部221bは、水平部221aから上方に折り曲げられている。立設部221bの先端は、折り返すように曲げられるヘミング加工が施されている。ルーフパネル21の後縁部212には、バックパネル22における水平部221a及び立設部221bによって雨樋222が構成されている。雨樋222は、ルーフパネル21上部から伝う雨水等を車幅方向に流すために設けられている。
【0015】
ルーフパネル21における側縁部211(図1図2)と後縁部212(図1図3)との間には、湾曲部213(図3)が構成されている。本例の湾曲部213は、後縁部212の各端部から側縁部211(図2)に向かうに従って後方に膨らむように構成されている。本例の湾曲部213は、バックパネル22より後方に位置する。本例の湾曲部213は、上から見て、前方から後方に向かうに従って内側から外側に湾曲した円弧状に構成されている。また、本例の湾曲部213は、外側から見て、上方から下方に向かうに従って前方から後方に湾曲した円弧状に構成されている。また、本例の湾曲部213は、後方から見て、内側から外側に向かうに従って上方から下方に湾曲した円弧状に構成されている。湾曲部213は、車室2の後方の左右両端に設けられたリアピラー8(図1図4)につながっており、車室2の外側に位置する。
【0016】
本例の湾曲部213には、図2及び図3に示すコーナーパネル5が取り付けられている。コーナーパネル5は板金部材である。コーナーパネル5は、車両の左右にそれぞれ取り付けられている。左側のコーナーパネル5と右側のコーナーパネル5は左右対称である。本例では、右側のコーナーパネル5について説明する。コーナーパネル5は、湾曲部213の縁部からルーフパネル21の裏面におよぶ範囲を覆うように設けられている。コーナーパネル5は、図4に示すように、バックパネル22より後方で荷台3の内側に向かって露出した面を備える。コーナーパネル5は、ルーフパネル21、バックパネル22、及びリアピラー8の各々に接合されている。コーナーパネル5によって、湾曲部213の剛性が確保されている。コーナーパネル5は、湾曲部213の縁部に沿って湾曲するように構成されている。コーナーパネル5、及びルーフパネル21におけるコーナーパネル5が取り付けられている箇所は、湾曲が大きくヘミング加工等が施せずにエッジが立った状態の箇所である。コーナーパネル5における湾曲部213の縁部に沿った部分は、湾曲部213よりも後方に若干突出するように設けられている。この突出した部分には、図示しない複数の貫通孔が設けられている。この貫通孔については後述する。
【0017】
<荷台>
荷台3は、図1に示すように、積載物を載せる床部31、及び床部31の周縁部に設けられたあおり32を備える。図1では、あおり32のうち、荷台3の後部に設けられた後あおりは図示されていない。荷台3は、床部31、あおり32、及び車室2を構成するバックパネル22によって構成されている。荷台3は、上方に開放している。車室2と荷台3とは、バックパネル22によって隔てられている。
【0018】
<ドリップレール>
ドリップレール4は、図1及び図2に示すように、ルーフパネル21の側縁部211に沿って車両前後方向に延設されている。ドリップレール4は、サイドドア23の上方に設けられている。ドリップレール4は、ルーフパネル21上部から伝う雨水等がサイドドア23を開けたとき等に車室2内へ浸入することを抑制するために設けられている。ドリップレール4は樋状の部材である。ドリップレール4の前端部は前方に開口している。ドリップレール4の後端部40は後方に開口している。ドリップレール4に溜まった水は、ドリップレール4の前端部又は後端部40から流れ出る。例えば、雨天走行中では、ドリップレール4に溜まった水は、後端部40から荷台3側へ勢いよく流れ出る。
【0019】
<ルーフガーニッシュ>
ルーフガーニッシュ6は、図2に示すように、ドリップレール4の後端部40を覆うように配置されている。ルーフガーニッシュ6は、ドリップレール4の後端部40から流れ出た水の勢いを抑制する機能を有する。ルーフガーニッシュ6は、車両の左右にそれぞれ取り付けられている。左側のルーフガーニッシュ6と右側のルーフガーニッシュ6は左右対称である。本例では、右側のルーフガーニッシュ6について説明する。
【0020】
ルーフガーニッシュ6は、ドリップレール4の後端部40を覆うと共に、ルーフパネル21の湾曲部213(図3)を覆っている。ルーフガーニッシュ6は、ルーフパネル21の湾曲部213を覆うように、ルーフパネル21の上面から側面にわたる領域、及びルーフパネル21の後端面を覆っている。本例のルーフガーニッシュ6は、前端から概ね後方に向かって延び、次に内側から外側に曲がって外側に延び、さらに上方から下方に曲がって下方に延びて後端に至る。本例のルーフガーニッシュ6は、上から見て、前方から後方に向かうに従って内側から外側に湾曲した円弧状に構成されている。また、本例のルーフガーニッシュ6は、外側から見て、上方から下方に向かうに従って前方から後方に湾曲した円弧状に構成されている。また、本例のルーフガーニッシュ6は、後方から見て、内側から外側に向かうに従って上方から下方に湾曲する円弧状に構成されている。
【0021】
本例のルーフガーニッシュ6は、ルーフパネル21及びコーナーパネル5における湾曲が大きくヘミング加工等が施せずにエッジが立った状態となる箇所を覆っている。ルーフガーニッシュ6には、上述したコーナーパネル5に設けられた貫通孔に対応する箇所に図示しない貫通孔が設けられている。コーナーパネル5の貫通孔及びルーフガーニッシュ6の貫通孔には、固定部7(図2)が挿入されている。この固定部7によって、ルーフガーニッシュ6は、コーナーパネル5に固定されている。ルーフガーニッシュ6は、コーナーパネル5を介してルーフパネル21に固定されている。固定部7は、例えばネジ等の締結部材である。
【0022】
ルーフガーニッシュ6は、図2に示すように、側部61、上部62、及び後部63を備える。側部61は、ドリップレール4の側方を概ね覆う部分である。上部62は、ドリップレール4の上方を概ね覆う部分である。後部63は、ドリップレール4の後方を概ね覆う部分である。
【0023】
ルーフガーニッシュ6は、図3に示すように、ドリップレール4の後端部40(図2)から流れ出た水の流れ方向を変えるガイド面630sを備える。ガイド面630sは、ドリップレール4の延長線上に位置するルーフガーニッシュ6の内面である。ガイド面630sは、後部63の内面630の一部である。図3では、ガイド面630sの領域を二点鎖線で模式的に囲んで示している。ガイド面630sを含む内面630は、ドリップレール4(図2)の延設方向に交差する方向に延びている。ドリップレール4の延長線は、ドリップレール4の横断面の延長線である。ドリップレール4の横断面は、ドリップレール4の延設方向に直交する方向に切断した断面である。ガイド面630sは、ドリップレール4の横断面のうち、少なくとも下方領域に重なるように配置されている。雨水は、ドリップレール4の底面に沿って流れるからである。ガイド面630sは、好ましくはドリップレール4の横断面の全領域に重なるように配置されている。
【0024】
本例の側部61は、図2に示すように、更に車両後方に延びており、コーナーパネル5の側方も覆っている。側部61の下縁部には、第一棚部651が設けられている。第一棚部651は、側部61の下縁部から車両内側に向かって延設されている。第一棚部651の延設方向の先端は、コーナーパネル5の側面に近接又は接触している。第一棚部651は、側部61の下縁部に沿った全長にわたって設けられている。第一棚部651は、ドリップレール4の下方を覆うように配置されている。ドリップレール4の後端部40は、側部61、上部62、及び第一棚部651によって囲まれている。本例では、第一棚部651のドリップレール4側の端部には、上方に突出したリブ671が設けられている。本例では、ドリップレール4の後端部40は、リブ671上に配置されている。
【0025】
本例の上部62は、更に車両上方に延びており、ルーフパネル21の側方と上方、及びコーナーパネル5の側方と上方も覆っている。本例では、ルーフガーニッシュ6の内部に、側部61、上部62、第一棚部651、及びコーナーパネル5の側面によって、空間が構成されている。この空間は、ドリップレール4の後端部40から流れ出た水を第一棚部651に沿って後方に導く第一流路91として機能する。
【0026】
本例の後部63は、更に車両内側及び上方の双方に延びており、コーナーパネル5の後方も覆っている。後部63の下縁部には、第二棚部652が設けられている。第二棚部652は、後部63の下縁部から車両前方に向かって延設されている。第二棚部652は、後部63の下縁部に沿った全長にわたって設けられている。第二棚部652は、第一棚部651に連続して設けられている。第一棚部651の延設方向と第二棚部652の延設方向とは交差している。本例では、後部63、上部62、及び第二棚部652によって、空間が構成されている。この空間は、ガイド面630s(図3)によって流れ方向が変わった水を第二棚部652に沿って車幅方向の内側に導く第二流路92として機能する。第一流路91と第二流路92とは一連の流路である。第二流路92における端部は、車両内側に開口している。本例の第二棚部652の延設方向の先には空間が構成されている。よって、第二流路92は、ルーフガーニッシュ6の内側に開口している。
【0027】
<ピラーガーニッシュ>
ピラーガーニッシュ80は、図1に示すように、車室2の後方の左右両端に設けられたリアピラー8を覆っている。ピラーガーニッシュ80は、図3に示すように、コーナーパネル5の下方領域も覆っている。コーナーパネル5とピラーガーニッシュ80との間、及びリアピラー8とピラーガーニッシュ80との間には空間が構成されている。この空間の上端は、第二棚部652の上記延設方向の先端の下方に位置している。つまり、この空間の上端は、第二棚部652の延設方向の先の空間に連通している。この空間は、第二流路92から流れ出た水を下方に導く第三流路93として機能する。
【0028】
<実施形態の作用>
実施形態の車両構造1において、ドリップレール4の後端部40から流れ出た水は、図2に示すように、ルーフガーニッシュ6の内部において、第一棚部651上の第一流路91に向かう。本例では、ドリップレール4の後端部40がリブ671上に配置されていることから、ドリップレール4の後端部40と第一棚部651との間に段差が設けられている。この段差によって、ドリップレール4の後端部40から第一流路91に流れ込む際に水の流速が落ちる。
【0029】
第一流路91に流れ込んだ水は、第一棚部651上を後方に向かって流れる。第一棚部651の先にはガイド面630s(図3)が位置する。そのため、第一流路91を流れた水は、ガイド面630sに突き当たる。このガイド面630sによって、水の流れ方向が変わる。また、ガイド面630sに突き当たることで、水の流速が落ちる。
【0030】
ガイド面630sで流れ方向が変わった水は、第二棚部652上の第二流路92に向かう。本例では、第二流路92に流れ込んだ水は、車幅方向の内側に向かって流れる。
【0031】
第二流路92に流れ込んだ水の流速は、ドリップレール4の後端部40から流れ出た水の流速に比較してかなり小さい。第二流路92におけるルーフガーニッシュ6の内方が開口しており、その開口近傍にピラーガーニッシュ80の開口が位置している。そのため、勢いが小さくなった第二棚部652上の水の少なくとも一部は、例えば振動等によって、図3に示すように、第三流路93に流れ込み得る。第三流路93に流れ込んだ水は、ピラーガーニッシュ80内を下方に向かって流れ、荷台3上に排出される。勢いが小さくなった第二棚部652上の水の別の一部は、第二流路92における車両内側の開口から車両の内側に向かって荷台3側に排出されてもよい。
【0032】
<実施形態の効果>
実施形態の車両構造1では、ルーフガーニッシュ6によって、ドリップレール4の後端部40から流れ出た水の勢いを抑制でき、勢いのある水が荷台3側に排出されることを抑制できる。荷台3に載置された荷物、特に植物のような取り扱いに注意を要する荷物に水が勢いよくかかることを抑制でき、荷物に損傷を与えることを抑制できる。
【0033】
ルーフパネル21の湾曲部213にルーフガーニッシュ6が配置されていることで、荷台3に荷物を載置する際に、湾曲部213で荷物に損傷を与えることも抑制できる。
【0034】
ルーフパネル21の湾曲部213にルーフガーニッシュ6が配置されていることで、ルーフパネル21及びコーナーパネル5における湾曲が大きくヘミング加工等を施せずにエッジが立った状態となる箇所を隠すことができる。よって、ルーフパネル21及びコーナーパネル5におけるルーフガーニッシュ6に覆われる箇所は、エッジが立った状態を維持していても構わない。そのため、エッジが立った箇所にグラインダー研磨処理等を施す作業を省略できる。また、ルーフパネル21等の板金合わせ箇所のスポット打痕等を隠すこともできる。
【0035】
実施形態の車両構造1では、ルーフガーニッシュ6によって、車幅方向の内側に向かって水を排出している。よって、本例のように荷台3側までスライドするリアドア232が設けられている場合でも、リアドア232を開けたときにリアドア232のトリムに水が付着することを抑制できる。
【0036】
本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、上述した実施形態において、以下の変更が可能である。
【0037】
(1)上述した実施形態では、ルーフガーニッシュ6によって、車幅方向の内側に向かって水を排出する形態を説明した。ルーフガーニッシュ6は、車幅方向の外側に向かって水を排出するように構成されていてもよい。例えば、図2に示す第二流路92に通じる部分に図示しない壁部を設け、側部61のうちガイド面630s近傍の箇所に図示しない貫通孔を設けることができる。この場合、第二棚部652は省略できる。
【0038】
(2)上述した実施形態では、勢いが小さくなった第二棚部652上の水が振動等で自然に第三流路93に流れ込み得る形態を説明した。ピラーガーニッシュ80又はルーフガーニッシュ6は、勢いが小さくなった第二棚部652上の水を積極的に第三流路93にガイドするように構成されていてもよい。本例の図3に示すように、第二流路92における車両内側の開口端が第三流路93の上端よりも車両内側に位置する場合、第二棚部652上の水は第三流路93に流れ難い場合がある。そこで、ピラーガーニッシュ80の上面に図示しないリブを設けることができる。リブは、例えば、第二流路92の途中を遮り、第二棚部652から第三流路93につながるように傾斜している。
【符号の説明】
【0039】
1 車両構造
2 車室
21 ルーフパネル、211 側縁部、212 後縁部、213 湾曲部
22 バックパネル、221 上縁部、221a 水平部、221b 立設部
222 雨樋
23 サイドドア、231 フロントドア、232 リアドア
3 荷台、31 床部、32 あおり
4 ドリップレール、40 後端部
5 コーナーパネル
6 ルーフガーニッシュ
61 側部、62 上部
63 後部、630 内面、630s ガイド面
651 第一棚部、652 第二棚部
671 リブ
7 固定部
8 リアピラー、80 ピラーガーニッシュ
91 第一流路、92 第二流路、93 第三流路
図1
図2
図3
図4