(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】情報提供装置及び情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231116BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018217891
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 祥司
(72)【発明者】
【氏名】繁友 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】猿田 誠
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-067509(JP,A)
【文献】特開2017-146813(JP,A)
【文献】特開2014-173861(JP,A)
【文献】特開2017-212003(JP,A)
【文献】特開2006-057298(JP,A)
【文献】特開2003-171969(JP,A)
【文献】特開2018-062776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を取得する使用状況情報取得部と、
前記使用状況情報取得部により取得された前記複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を提供する使用状況情報提供部と、
前記複数の便器装置のそれぞれの使用状況に基づいて、清掃者が前記複数の便器装置を清掃する順序を決定して提供する清掃順序提供部と、
を備え、
前記清掃順序提供部は、過去の前記複数の便器装置の使用実績に
更に基づいて、清掃者が前記複数の便器装置を清掃する順序を決定する
ことを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記使用状況情報提供部は、前記複数の便器装置の使用継続時間を示す情報を提供することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を保持する使用状況情報保持部と、
前記使用状況情報保持部に保持された過去の前記複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報に基づいて、使用中の便器装置の使用終了までの所要時間を推定する所要時間推定部と、
を更に備え、
前記使用状況情報提供部は、前記所要時間推定部により推定された使用終了までの所要時間を示す情報を提供することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記清掃順序提供部は、前記所要時間推定部により推定された使用終了までの所要時間に更に基づいて、前記清掃者が前記複数の便器装置を清掃する順序を決定することを特徴とする請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記清掃順序提供部は、便器装置が設置されたトイレ室にいて使用中の便器装置が空くまで待機している場合、便器装置の使用終了までの所要時間、別のトイレ室の便器装置の過去の所定期間における使用回数、現在の使用状況、将来の予想使用状況、別のトイレ室の便器装置の清掃の済否、及び別のトイレ室までの移動に要する時間のうち少なくともいずれかに基づいて、そのまま待機すべきか別のトイレ室に移動すべきかを判定する
請求項1から4のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記清掃者による前記複数の便器装置の清掃の状況を示す情報を取得する清掃状況情報取得部を更に備え、
前記使用状況情報提供部は、前記複数の便器装置のそれぞれの清掃の状況を示す情報を更に提供することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記使用状況情報提供部は、清掃が完了した便器装置の情報を識別可能に提供することを特徴とする請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項8】
前記複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を保持する使用状況情報保持部と、
前記使用状況情報保持部に保持された過去の前記複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報に基づいて、次回以降の前記複数の便器装置の清掃の実行計画を生成する清掃計画生成部と、
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記清掃者から前記複数の便器装置の状態を示す情報を取得する状態情報取得部を更に備え、
前記清掃計画生成部は、前記状態情報取得部により取得された前記複数の便器装置の状態を示す情報に更に基づいて、次回以降の前記複数の便器装置の清掃の実行計画を生成することを特徴とする請求項8に記載の情報提供装置。
【請求項10】
前記状態情報取得部は、複数の便器装置の汚れの度合いに基づいて、次回以降の前記複数の便器装置の清掃の実行計画を生成する
請求項9に記載の情報提供装置。
【請求項11】
前記清掃計画生成部により生成された清掃計画に基づいて、前記複数の便器装置の清掃を実行する清掃装置を制御する清掃装置制御部を更に備えることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項12】
コンピュータを、
複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を取得する使用状況情報取得部、
前記使用状況情報取得部により取得された前記複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を提供する使用状況情報提供部、
前記複数の便器装置のそれぞれの使用状況に基づいて、清掃者が前記複数の便器装置を清掃する順序を決定して提供する清掃順序提供部、
として機能させ、
前記清掃順序提供部は、過去の前記複数の便器装置の使用実績に
更に基づいて、清掃者が前記複数の便器装置を清掃する順序を決定する
情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレに関する情報を提供する情報提供装置及び情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレは、人が居住する住宅においても、人が利用する施設においても、必要不可欠な設備である。汚れや臭いが発生しがちな設備であるからこそ、トイレを清潔に維持管理することが、住宅や施設を快適な空間にするための重要な鍵となる。とくに、多数の人が利用する商業施設、娯楽施設、複合施設、旅客駅施設などに設置されたトイレは、公衆衛生的な観点からも、適切に維持管理される必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施設などに設置されたトイレを、施設の利用可能時間内に清掃業者などが清掃する場合、使用者がトイレを使用している間は、清掃業者はそのトイレを清掃することができず、清掃業者がトイレを清掃している間は、使用者はそのトイレを使用することができない。本発明者らは、清掃者や使用者の利便性を向上させるために、このような衝突を低減させるための技術が必要であることを課題として認識した。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的は、トイレの清掃者又は使用者の利便性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の情報提供装置は、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を取得する使用状況情報取得部と、使用状況情報取得部により取得された複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を提供する使用状況情報提供部と、複数の便器装置のそれぞれの使用状況に基づいて、清掃者が複数の便器装置を清掃する順序を決定して提供する清掃順序提供部と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様の情報提供プログラムは、コンピュータを、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を取得する使用状況情報取得部、使用状況情報取得部により取得された複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を提供する使用状況情報提供部、複数の便器装置のそれぞれの使用状況に基づいて、清掃者が複数の便器装置を清掃する順序を決定して提供する清掃順序提供部、として機能させる。
【0008】
本発明の更に別の態様の情報提供プログラムは、コンピュータを、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を提供する情報提供装置から、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を受信する使用状況情報受信部、清掃者が複数の便器装置を清掃する順序を示す情報を情報提供装置から取得する清掃順序受信部、使用状況情報受信部により受信された複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報と、清掃順序受信部により受信された複数の便器装置を清掃する順序を示す情報を表示装置に表示する表示部、として機能させる。
【0009】
本発明の更に別の態様の情報提供プログラムは、コンピュータを、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を提供する情報提供装置から、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を受信する使用状況情報受信部、清掃中又は所定時間以内に清掃予定の便器装置を示す情報を情報提供装置から受信する清掃状況情報受信部、使用状況情報受信部により受信された複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報と、清掃状況情報受信部により受信された清掃中又は所定時間以内に清掃予定の便器装置を示す情報を表示装置に表示する表示部、として機能させる。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、トイレの清掃者又は使用者の利便性を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】清掃者が複数の便器装置を清掃する様子を模式的に示す図である。
【
図2】実施の形態に係る情報提供システムの構成を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る情報提供装置の構成を示す図である。
【
図4】実施の形態に係る清掃者端末の構成を示す図である。
【
図5】清掃者端末の表示装置に表示される画面の例を示す図である。
【
図6】実施の形態に係る使用者端末の構成を示す図である。
【
図7】使用者端末の表示装置に表示される画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、清掃者が複数の便器装置を清掃する様子を模式的に示す。本図の例において、清掃者は、施設の地下階から3階までの各階に設置されたトイレ室を巡回して清掃した。12時に清掃業務を開始した清掃者は、まず、3階男子トイレ室の3個の大便器のうち1個を清掃した後、残りの2個の大便器が使用中であったため、3階女子トイレ室に移動して3個の大便器を清掃した。その後、3階男子トイレ室に戻り、小便器と洗面台を清掃し、未清掃の2個の大便器が空くのを待機していたが、依然として使用中であったため、2階女子トイレ室に移動して3個の大便器を清掃した。つづいて、2階男子トイレ室に移動し、小便器と洗面台を清掃したが、3個の大便器がいずれも使用中であったため、いずれかが空くのを待機していたところ、1個が空いたので清掃した。その後、残りの2個の大便器は使用中であったため、3階男子トイレ室に戻り、空いていた未清掃の大便器のうち1個を清掃した。つづいて、もう1個の大便器が空くのを待機していたが、依然として使用中であったため、2階男子トイレ室に移動して1個の大便器を清掃した。残りの2個の大便器は使用中であったため、1階の女子トイレ室に移動して3個の大便器を清掃した。その後、1階男子トイレ室に移動して小便器と洗面台を清掃したが、3個の大便器はいずれも使用中であったため、空くのを待たずに3階男子トイレ室に戻り、未清掃の大便器が空いているか確認した。空いていなかったのでしばらく待機したが、依然として使用中であったため、諦めて2階男子トイレ室に移動して、未清掃の大便器が空いているか確認した。ここも空いていなかったのでしばらく待機したが、依然として使用中であったため、1階男子トイレ室に移動した。
【0014】
このように、従来は、清掃者が清掃を担当する複数のトイレ室の便器装置のうちいずれが空いているのかを事前に把握することができなかったので、実際にトイレ室に入ったときに空いている便器装置を清掃するしかなく、便器装置の使用状況によっては無駄な待機時間や移動時間が発生することがあった。
【0015】
本実施の形態では、このような課題を解決するために、清掃者が清掃を担当する複数の便器装置の使用状況を示す情報を収集して清掃者に提供する。これにより、複数の便器装置を清掃する効率を向上させることができるので、清掃者の利便性を向上させることができる。また、清掃の効率を向上させることにより、清掃者がトイレ室を占拠する頻度や時間を低減させることができるので、使用者の利便性も向上させることができる。また、清掃業務に要する時間を短縮することができるので、便器装置の維持管理に要する費用を低減させることができる。さらに、使用者に複数の便器装置の使用状況を示す情報を提供することにより、使用者はトイレ室の使用状況を使用前に把握することができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0016】
図2は、実施の形態に係る情報提供システムの構成を示す。情報提供システム10は、施設20のトイレ室21に設置された複数の便器装置30と、複数の便器装置30の使用状況に関する情報を提供する情報提供装置50と、複数の便器装置30の使用状況に関する情報を情報提供装置50に送信する通信装置22と、トイレ室21が設置された施設20を管理する主体の管理主体端末40と、トイレ室21の清掃を担当する清掃者の清掃者端末42と、トイレ室21を使用する使用者の使用者端末44と、便器装置30又はトイレ室21の内部若しくは周辺に設置された設備若しくは機器の保守を担当する主体の保守主体端末46と、これらの装置の間で通信を行うための通信手段の一例であるインターネット12とを備える。
【0017】
施設20には、1以上のトイレ室21が設けられる。トイレ室21には、トイレ室21のドア23と、洗面台26と、1以上の個室24と、それぞれの個室24のドア25と、それぞれの個室24に設置された便器装置30と、便器装置30の使用者が便器装置30に操作指示を入力するためのコントローラ31と、男性用のトイレ室21に設置された小便器32と、トイレ室21に設けられた便器装置30の使用状況を提示するための提示装置27とが設けられる。便器装置30は、和式の便器装置であっても洋式の便器装置であってもよい。以下、小便器32も含めて「便器装置30」と総称する。
【0018】
情報提供装置50は、1以上の施設20の1以上のトイレ室21に設置された1以上の便器装置30の使用状況を示す情報を清掃者端末42及び使用者端末44に提供する。後述するように、情報提供装置50は、便器装置30の使用状況を示す情報として、使用継続時間や使用終了までの予想所要時間などを示す情報を提供する。情報提供装置50は、清掃者端末42には、更に、複数の便器装置30を清掃する順序を示す情報や、便器装置30の清掃の済否を示す情報などを提供する。情報提供装置50は、使用者端末44には、更に、清掃中又は所定時間以内に清掃予定の便器装置30を示す情報などを提供する。これにより、清掃者及び使用者の利便性を向上させることができる。情報提供装置50は、便器装置30の管理又は保守に関する情報を清掃者端末42又は使用者端末44から取得した場合、取得した情報を管理主体端末40又は保守主体端末46に提供する。情報提供装置50は、1つの施設20の複数のトイレ室21に設置された便器装置30の使用状況を示す情報を提供してもよいし、複数の施設20の複数のトイレ室21に設置された便器装置30の使用状況を示す情報を提供してもよい。例えば、清掃業者が施設20の管理者から施設20のトイレ室21の清掃を委託される場合、その施設20の複数のトイレ室21に設置された便器装置30の使用状況を示す情報を清掃者端末42に提供する。これにより、施設20の複数のトイレ室21を巡回して清掃する清掃者の利便性を向上させることができる。また、清掃業者が複数の店舗を有する小売店や飲食店などの管理者から複数の店舗のトイレ室21の清掃を委託される場合、複数の施設20において営業している複数の店舗のトイレ室21に設置された便器装置30の使用状況を示す情報を清掃者端末42に提供する。これにより、複数の施設20に設置された複数のトイレ室21を巡回して清掃する清掃者の利便性を向上させることができる。
【0019】
図3は、実施の形態に係る情報提供装置50の構成を示す。情報提供装置50は、通信装置51、表示装置52、入力装置53、記憶装置70、及び制御装置60を備える。情報提供装置50は、サーバ装置であってもよいし、パーソナルコンピュータなどの装置であってもよいし、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。
【0020】
通信装置51は、他の装置との間の通信を制御する。通信装置51は、有線又は無線の任意の通信方式により通信を行ってもよい。通信装置51は、インターネット12を介して通信装置22との間で通信を行い、便器装置30の使用状況情報を受信し、便器装置30などに対する指示や情報を送信する。また、インターネット12を介して、管理主体端末40、清掃者端末42、使用者端末44、及び保守主体端末46との間で通信を行う。
【0021】
表示装置52は、制御装置60により生成される画面を表示する。表示装置52は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置53は、情報提供装置50の使用者による指示入力を制御装置60に伝達する。入力装置53は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置52及び入力装置53は、タッチパネルとして実装されてもよい。
【0022】
記憶装置70は、制御装置60により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置70は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。記憶装置70には、トイレ情報データベース71、清掃状況情報保持部72、及び使用状況情報保持部73が格納される。
【0023】
トイレ情報データベース71は、施設20、トイレ室21、便器装置30などの情報を格納する。トイレ情報データベース71には、例えば、施設20に設置されたトイレ室21の数、位置、階、トイレ室21に設置された個室24の数、位置、状態、便器装置30の数、機種、製造番号、製造日、状態、トイレ室21の平面図、トイレ室21の内部又は外部に設置された機器又は設備などの種類、数、位置、状態などの情報が格納される。
【0024】
清掃状況情報保持部72は、清掃者による便器装置30の清掃の状況に関する情報を保持する。清掃状況情報保持部72は、便器装置30の清掃の状況を示すステータス情報を便器装置30ごとに保持する。ステータス情報は、例えば、未清掃、所定時間以内に清掃予定、清掃中、清掃完了などを示す情報である。清掃状況情報保持部72は、清掃開始予想時刻、清掃完了までの予想所要時間などを示す情報を更に保持してもよい。
【0025】
使用状況情報保持部73は、施設20のトイレ室21に設けられた通信装置22から受信した使用状況情報を格納する。使用状況情報保持部73には、それぞれの通信装置22から受信した使用状況情報と、受信日時とが対応付けて格納される。また、使用状況情報保持部73には、便器装置30の使用開始からの使用継続時間、使用終了までの予想所要時間などが便器装置30ごとに格納される。
【0026】
制御装置60は、使用状況情報取得部61、使用状況予測部62、所要時間推定部63、使用状況情報提供部64、清掃順序提供部65、清掃状況情報取得部66、状態情報取得部67、清掃計画生成部68、及び清掃装置制御部69を備える。これらの構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIなどにより実現され、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0027】
使用状況情報取得部61は、施設20のトイレ室21に設置された便器装置30の使用状況情報を通信装置22から取得して、使用状況情報保持部73に格納する。使用状況情報取得部61は、便器装置30の使用状態を示す情報、コントローラ31の操作状況を示す情報、トイレ室21のドア23又は個室24のドア25に設置された開閉センサにより検知されたドアの開閉状況を示す情報、トイレ室21の内部又は外部に設置された照明、換気扇、ペーパーホルダーなどの設備又は機器の使用状況又は状態を示す情報、トイレ室21の内部又は外部に設置された人感センサ、温度センサ、臭気センサなどのセンサにより検知された情報、便器装置30に設けられた着座センサ、温度センサ、水位センサなどのセンサにより検知された情報、トイレ室21の内部又は外部に設置された撮像装置により撮像された画像、トイレ室21の内部又は外部に設置されたマイクロフォンにより取得された音声などを、便器装置30の使用状況情報として取得する。使用状況情報取得部61は、取得された使用状況情報に基づいて、便器装置30が使用中であるか否かを判定するとともに、使用中であると判定された場合は、使用開始からの使用継続時間を算出する。
【0028】
使用状況予測部62は、便器装置30の将来の使用状況を予測する。使用状況予測部62は、便器装置30が設置された施設の種類(オフィスビル、商業施設、スタジアム、宿泊施設など)、規模、面積、床面積又は利用者数に対する便器装置30の密度、施設の利用者の男女比、年齢分布、トイレ室21の種類(男子用、女子用、多目的、局部洗浄装置の有無、ベビーシートやベビーベッドの有無など)、トイレ室21の周辺の施設や店舗の種類(飲食店、洋品店など)、数などに応じて、便器装置30の混雑状況の時間変化と、便器装置30の使用時間を予測する。使用状況予測部62は、過去の便器装置30の使用実績と、現在の便器装置30の使用状況や施設の利用状況などに基づいて、便器装置30の混雑状況の時間変化や使用時間を予測してもよい。例えば、過去の便器装置30の混雑度や使用時間の平均値、重み付き平均値、中間値、中央値などを算出することにより、便器装置30の混雑状況の時間変化や使用時間を予測してもよい。使用状況予測部62は、人工知能により過去の便器装置30の使用実績を学習してもよい。例えば、便器装置30の識別情報、時間帯、及び上記のパラメータを入力層とし、便器装置30の混雑度及び使用時間を出力層とするニューラルネットワークの中間層の重みを、過去の便器装置30の使用実績を用いて学習させてもよい。
【0029】
所要時間推定部63は、使用中の便器装置30の使用終了までの所要時間を推定する。所要時間推定部63は、使用状況予測部62により予測された便器装置30の予想使用時間から、現時点での便器装置30の使用継続時間を減じることにより、使用終了までの所要時間を推定してもよい。所要時間推定部63は、現在の便器装置30の使用状況に応じて、使用終了までの所要時間を推定してもよい。例えば、ベビーシートが使用されていることが検知された場合は、使用状況予測部62により予測された便器装置30の予想使用時間から算出される使用終了までの所要時間に所定時間を加算してもよい。
【0030】
使用状況情報提供部64は、使用状況情報取得部61により算出された複数の便器装置30のそれぞれの使用継続時間を示す情報を提供する。使用状況情報提供部64は、使用継続時間に加えて、又は、使用継続時間に代えて、所要時間推定部63により推定された使用終了までの所要時間を示す情報を提供してもよい。これにより、清掃者や使用者が便器装置30の使用状況を事前に把握することができるので、清掃者や使用者がトイレ室21に入ったときに便器装置30が使用中で清掃や使用ができない事態を低減させることができる。
【0031】
清掃順序提供部65は、複数の便器装置30のそれぞれの使用継続時間に基づいて、清掃者が複数の便器装置30を清掃する順序を決定して清掃者端末42に提供する。清掃順序提供部65は、複数の便器装置30のそれぞれの現在の使用継続時間のみに基づいて清掃順序を決定してもよいし、使用状況情報保持部73に格納された過去の便器装置30の使用回数などの使用実績に更に基づいて清掃順序を決定してもよい。清掃順序提供部65は、清掃者がトイレ室21にいて、使用中の便器装置30が空くまで待機している場合、そのまま待機すべきか別のトイレ室21に移動すべきかを判定する。清掃順序提供部65は、便器装置30の使用終了までの所要時間、別のトイレ室21の便器装置30の過去の所定期間における使用回数、現在の使用状況、将来の予想使用状況、別のトイレ室21の便器装置30の清掃の済否、別のトイレ室21までの移動に要する時間などに基づいて、そのまま待機すべきか別のトイレ室21に移動すべきかを判定してもよい。清掃順序提供部65は、清掃者がトイレ室21にいない場合、清掃者の現在位置を示す情報を清掃者端末42から取得し、清掃者の現在位置の周辺にある便器装置30のうち、現在空いている便器装置30、又は清掃者がトイレ室21に到着するときまでに使用が終了すると予想される便器装置30の情報を提供する。清掃順序提供部65は、現在空いている便器装置30と到着までに空くと予想される便器装置30の合計数が多いトイレ室21を優先してもよい。また、清掃順序提供部65は、設置された全ての便器装置30が現在空いている又は到着までに空くと予想されるトイレ室21を優先してもよい。これにより、清掃の効率を向上させることができる。
【0032】
清掃順序提供部65は、清掃者が次に清掃する予定の便器装置30が設置されたトイレ室21の提示装置27に、清掃予定である旨を提示させてもよい。清掃順序提供部65は、清掃者端末42に提供した次に清掃すべき便器装置30の提案を清掃者が受け入れることが確認された場合に、その便器装置30が設置されたトイレ室21の提示装置27に清掃予定である旨を提示させてもよい。清掃順序提供部65は、清掃開始予定時刻と予想所要時間を提示装置27に提示させてもよい。清掃順序提供部65は、所定時間以内に清掃予定の便器装置30を使用できないように指示してもよいし、所定時間以内に清掃予定の個室24のドア25又はトイレ室21のドア23を施錠してもよい。提示装置27には、周辺のトイレ室21の位置を示す情報や、周辺のトイレ室21の便器装置30の使用状況などが更に提示されてもよい。
【0033】
清掃状況情報取得部66は、清掃者による複数の便器装置30の清掃の状況を示す情報を取得して、清掃状況情報保持部72に格納する。使用状況情報提供部64は、複数の便器装置30のそれぞれの清掃の状況を示す情報を更に提供する。清掃の状況を示す情報は、例えば、清掃の済否、完了した清掃の内容などを示す情報であってもよい。
図1に示したように、便器装置30の使用状況によっては、トイレ室21に設置された全ての便器装置30の清掃を完了する前に、別のトイレ室21に移動する場合もあるので、清掃の済否を清掃者が記憶するのが困難な場合もある。また、複数の便器装置30を複数の清掃者により清掃する場合、他の清掃者により清掃済みか否かを把握するのが困難な場合もある。本実施の形態の情報提供装置50は、便器装置30の清掃の済否を清掃者に提供するので、清掃者の利便性を向上させることができるとともに、未清掃の便器装置30が残ったまま清掃者が清掃を終了してしまう事態を低減させることができる。清掃の状況を示す情報は、清掃者端末42から取得してもよいし、便器装置30やトイレ室21などに設置された入力装置などから通信装置22を介して取得してもよい。清掃状況情報取得部66は、清掃者端末42の位置情報を所定の時間間隔で取得し、清掃者の位置や滞在時間などを解析することにより、清掃の済否を自動的に判定して取得してもよい。例えば、清掃者が個室24内に所定時間以上滞在した場合に、その個室24に設置された便器装置30の清掃が完了したと判定してもよい。複数の便器装置30のそれぞれの清掃の状況を示す情報は、使用者端末44に提供されてもよい。これにより、使用者は、清掃により使用を邪魔されることのない便器装置30や、清掃済みの清潔な便器装置30を把握することができるので、使用者の利便性も向上させることができる。
【0034】
状態情報取得部67は、便器装置30の状態を示す情報を清掃者端末42又は使用者端末44から取得して、トイレ情報データベース71に格納する。状態情報取得部67は、便器装置30の汚れの程度や不具合の有無などの情報を取得してもよい。状態情報取得部67は、便器装置30の修理や交換などが必要とされる状態であることを示す情報を取得した場合、その便器装置30が設置された施設の管理者の管理主体端末40又は保守主体の保守主体端末46に通知してもよい。状態情報取得部67は、清掃者端末42の位置情報を所定の時間間隔で取得し、清掃者の位置や滞在時間などを解析することにより、便器装置30の状態を自動的に判定して取得してもよい。例えば、清掃者が個室24内に所定時間以上滞在した場合に、その個室24に設置された便器装置30の汚れの程度が高いと判定してもよい。
【0035】
清掃計画生成部68は、使用状況情報保持部73に保持された過去の複数の便器装置30のそれぞれの使用状況を示す情報に基づいて、次回以降の複数の便器装置30の清掃の実行計画を生成する。清掃計画生成部68は、トイレ室21の混雑が少ない時間帯に便器装置30を清掃することができるような清掃の実行計画を生成してもよい。清掃計画生成部68は、過去の複数の便器装置30のそれぞれの使用状況を示す情報を学習データとして人工知能を学習させてもよい。例えば、強化学習により最適な清掃の計画を生成するためのアルゴリズムを学習してもよい。この場合、待ち時間が少ないこと、全体の所要時間が短いこと、移動量が少ないことなどが加味された報酬値を使用して強化学習が実行されてもよい。清掃計画生成部68は、提供した清掃計画に基づいて清掃者により実行された清掃の状況を示す情報を取得し、待ち時間、全体の所要時間、移動量などに基づいて清掃計画の良否を評価し、評価された結果を更に使用して清掃計画を生成するためのアルゴリズムを学習してもよい。これにより、清掃の効率を向上させることができる。
【0036】
清掃計画生成部68は、前回の清掃時から現在までの便器装置30の使用状況を示す情報に基づいて、清掃を実行するタイミングや頻度などを決定してもよい。これにより、便器装置30を適切な状態に維持しつつ、清掃の効率を向上させることができる。清掃計画生成部68は、前回の清掃時から現在までの便器装置30の使用頻度(洗浄回数、着座回数・時間、温水洗浄便座の利用回数、トイレットペーパーの利用量、個室24のドア25開閉回数など)、前回の清掃時に清掃者から取得した便器装置30の状態を示す情報、前回の清掃時以降に使用者から取得した便器装置30の状態を示す情報などに応じて便器装置30の汚れの度合いを指標化し、指標化された汚れの度合いに基づいて清掃計画を生成してもよい。また、施設の種類、便器装置30の使用者の属性、便器装置30の種類、時間帯などの属性情報と、過去の便器装置30の汚れの度合いなどに基づいて、便器装置30の将来の汚れの度合いを予測し、予測された汚れの度合いに基づいて清掃計画を生成してもよい。清掃計画生成部68は、施設の種類、便器装置30の使用者の属性、便器装置30の種類、施設の管理者からの指示などに応じて、要求される清潔度が維持されるように、直近の便器装置30の使用状況や、将来の汚れの度合いの予測などに基づいて清掃計画を生成してもよい。清掃計画生成部68は、生成した清掃計画を清掃者に提供する。清掃計画生成部68は、清掃を実行している清掃者に清掃すべき便器装置30の情報を提供してもよいし、1回の清掃業務における清掃の順序を提案してもよいし、清掃の頻度を提案してもよい。これにより、清掃者は、使用状況に応じて適切な清掃を実施することができるので、便器装置30を清潔に保ちつつ、清掃の効率を向上させることができる。
【0037】
清掃装置制御部69は、清掃計画生成部68により生成された清掃計画に基づいて、複数の便器装置30の清掃を実行する清掃装置を制御する。清掃装置は、便器装置30又は温水洗浄装置に備えられた自動清掃装置であってもよいし、複数の便器装置30の間を自動走行して便器装置30を自動清掃する自走式の清掃装置であってもよい。これにより、適切なタイミングで清掃装置に清掃を実行させることができるので、清掃の効率を向上させることができる。清掃装置制御部69は、清掃装置による清掃が十分でないことを示す情報を清掃装置自体から、又は便器装置30又はその周辺機器などから取得した場合、清掃者に便器装置30を清掃するよう清掃者端末42に通知してもよい。
【0038】
図4は、実施の形態に係る清掃者端末42の構成を示す。清掃者端末42は、通信装置101、表示装置102、入力装置103、記憶装置120、及び制御装置110を備える。清掃者端末42は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。
【0039】
通信装置101は、他の装置との間の通信を制御する。通信装置101は、有線又は無線の任意の通信方式により通信を行ってもよい。通信装置101は、インターネット12を介して情報提供装置50との間で通信を行い、情報を送受信する。
【0040】
表示装置102は、制御装置110により生成される画面を表示する。表示装置102は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置103は、清掃者による指示入力を制御装置110に伝達する。入力装置103は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置102及び入力装置103は、タッチパネルとして実装されてもよい。
【0041】
記憶装置120は、制御装置110により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置120は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。
【0042】
制御装置110は、使用状況情報受信部111、清掃状況情報受信部112、表示部113、清掃状況情報受付部114、状態情報受付部115、及び清掃順序取得部116を備える。これらの機能ブロックも、ハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できる。
【0043】
使用状況情報受信部111は、複数の便器装置30の使用状況を示す情報を情報提供装置50から取得する。使用状況情報受信部111は、複数の便器装置30の使用継続時間や、使用中の便器装置30の使用終了までの所要時間を示す情報などを情報提供装置50から取得する。表示部113は、使用状況情報受信部111により取得された複数の便器装置30の使用継続時間を示す情報や、使用中の便器装置30の使用終了までの所要時間を示す情報などを表示装置102に表示する。
【0044】
清掃状況情報受付部114は、清掃者による複数の便器装置30の清掃の状況を示す情報を清掃者から受け付けて情報提供装置50に送信する。状態情報受付部115は、清掃者が清掃した便器装置30の汚れ具合などの状態情報を受け付けて情報提供装置50に送信する。清掃順序取得部116は、清掃者が複数の便器装置30を清掃する順序を示す情報を情報提供装置50から取得する。清掃状況情報受信部112は、複数の便器装置30の清掃の状況を示す情報を情報提供装置50から取得する。表示部113は、清掃順序取得部116により取得された清掃の順序を示す情報と、清掃状況情報取得部117により取得された複数の便器装置30の清掃の状況を示す情報を表示装置102に表示する。
【0045】
図5は、清掃者端末42の表示装置102に表示される画面の例を示す。表示装置102には、施設の地下階から3階までの各階のトイレ室21に設置された複数の便器装置30が一覧表示されるとともに、使用中である便器装置30には、使用開始からの使用継続時間を示す数字が表示される。使用継続時間を示す数字を囲う円の線幅により、使用終了までの予想所要時間が示される。すなわち、円の線幅が太いほど、使用終了までの予想所要時間が長いことが示される。清掃者又は他の清掃者により清掃が完了した便器装置30には、チェックマークが表示される。この清掃者端末42を使用する清掃者が現在3階男子トイレ室の便器装置30を清掃中であることが太線で示される。また、次に清掃すべき便器装置30が1階男子トイレ室の便器装置30であることが太点線で示される。
【0046】
図6は、実施の形態に係る使用者端末44の構成を示す。使用者端末44は、通信装置201、表示装置202、入力装置203、記憶装置220、及び制御装置210を備える。使用者端末44は、携帯電話端末、スマートフォン、タブレット端末などの携帯端末であってもよい。
【0047】
通信装置201は、他の装置との間の通信を制御する。通信装置201は、有線又は無線の任意の通信方式により通信を行ってもよい。通信装置201は、インターネット12を介して情報提供装置50との間で通信を行い、情報を送受信する。
【0048】
表示装置202は、制御装置210により生成される画面を表示する。表示装置202は、液晶表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。入力装置203は、使用者による指示入力を制御装置210に伝達する。入力装置203は、マウス、キーボード、タッチパッドなどであってもよい。表示装置202及び入力装置203は、タッチパネルとして実装されてもよい。
【0049】
記憶装置220は、制御装置210により使用されるプログラム、データなどを記憶する。記憶装置220は、半導体メモリ、ハードディスクなどであってもよい。
【0050】
制御装置210は、使用状況情報受信部211、清掃状況情報受信部212、及び表示部213を備える。これらの機能ブロックも、ハードウエアのみ、またはハードウエアとソフトウエアの組合せなど、いろいろな形で実現できる。
【0051】
使用状況情報受信部211は、複数の便器装置30の使用状況を示す情報を情報提供装置50から取得する。使用状況情報受信部211は、複数の便器装置30の使用継続時間や、使用中の便器装置30の使用終了までの所要時間を示す情報などを情報提供装置50から取得する。表示部213は、使用状況情報受信部211により取得された複数の便器装置30の使用継続時間を示す情報や、使用中の便器装置30の使用終了までの所要時間を示す情報などを表示装置202に表示する。
【0052】
清掃状況情報受信部212は、複数の便器装置30の清掃の状況を示す情報を情報提供装置50から取得する。表示部213は、清掃状況情報受信部212により取得された複数の便器装置30の清掃の状況を示す情報を表示装置202に表示する。
【0053】
図7は、使用者端末44の表示装置202に表示される画面の例を示す。表示装置202には、施設の地下階から3階までの各階のトイレ室21に設置された複数の便器装置30が一覧表示されるとともに、使用中である便器装置30には、使用開始からの使用継続時間を示す数字が表示される。使用継続時間を示す数字を囲う円の線幅により、使用終了までの予想所要時間が示される。すなわち、円の線幅が太いほど、使用終了までの予想所要時間が長いことが示される。清掃者により清掃済みの便器装置30が太線で示される。また、清掃中又は所定時間以内に清掃予定の便器装置30が太点線で示される。
【0054】
このような技術によれば、清掃者又は使用者が便器装置30の使用状況を事前に把握することができるので、清掃又は使用のためにトイレ室21に入ったときに、便器装置30が使用中であるために清掃又は使用ができない事態を低減させることができる。これにより、清掃者又は使用者の利便性を向上させることができる。また、清掃の効率を向上させることができるので、管理や保守に要する費用を低減させることができる。また、便器装置30を清潔に維持することができ、便器装置30の耐用期間を延ばすことができる。
【0055】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示すにすぎない。また、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【0056】
実施の形態においては、施設のトイレ室に設置された便器装置を管理する例について説明したが、本実施の形態の技術は、一般的な住宅のトイレや、公園や路上などに設置された公衆トイレなどを管理する場合にも適用可能である。
【0057】
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。
【0058】
本発明のある態様の情報提供装置は、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を取得する使用状況情報取得部と、使用状況情報取得部により取得された複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を提供する使用状況情報提供部と、複数の便器装置のそれぞれの使用状況に基づいて、清掃者が複数の便器装置を清掃する順序を決定して提供する清掃順序提供部と、を備える。この態様によると、清掃者や使用者が便器装置の使用状況と清掃順序を的確に把握することができるので、清掃者や使用者の利便性を向上させることができる。また、清掃者は適切な順序で便器装置を清掃することができるので、清掃の効率を向上させることができる。
【0059】
使用状況情報提供部は、複数の便器装置の使用継続時間を示す情報を提供してもよい。情報提供装置は、使用中の便器装置の使用終了までの所要時間を推定する所要時間推定部を更に備えてもよく、使用状況情報提供部は、所要時間推定部により推定された使用終了までの所要時間を示す情報を提供してもよい。この態様によると、清掃者や使用者がより的確に便器装置の使用状況を把握することができるので、清掃者や使用者の利便性を向上させることができる。
【0060】
情報提供装置は、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を保持する使用状況情報保持部を更に備えてもよく、所要時間推定部は、使用状況情報保持部に保持された過去の複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報に基づいて、使用中の便器装置の使用終了までの所要時間を推定してもよい。この態様によると、使用中の便器装置の使用終了までの所要時間をより精確に推定することができるので、清掃者や使用者の利便性を向上させることができる。
【0061】
清掃順序提供部は、所要時間推定部により推定された使用終了までの所要時間に更に基づいて、清掃者が複数の便器装置を清掃する順序を決定してもよい。この態様によると、より適切な清掃順序を決定することができるので、清掃の効率を更に向上させることができる。
【0062】
情報提供装置は、清掃者による複数の便器装置の清掃の状況を示す情報を取得する清掃状況情報取得部を更に備えてもよく、使用状況情報提供部は、複数の便器装置のそれぞれの清掃の状況を示す情報を更に提供してもよい。この態様によると、清掃者は清掃の済否を把握することができ、使用者は使用の可否を把握することができるので、清掃者や使用者の利便性を向上させることができる。
【0063】
使用状況情報提供部は、清掃が完了した便器装置の情報を識別可能に提供してもよい。この態様によると、清掃者は清掃が未済の便器装置を把握することができるので、清掃者の利便性を向上させることができる。また、使用者も清掃により使用を邪魔されることのない便器装置を把握することができるので、使用者の利便性も向上させることができる。
【0064】
使用状況情報提供部は、清掃中又は所定時間以内に清掃予定の便器装置の情報を識別可能に提供してもよい。この態様によると、使用者は清掃により使用できなかったり使用が邪魔されたりする可能性のある便器装置を把握することができるので、使用者の利便性を向上させることができる。
【0065】
情報提供装置は、使用状況情報保持部に保持された過去の複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報に基づいて、次回以降の複数の便器装置の清掃の実行計画を生成する清掃計画生成部を更に備えてもよい。この態様によると、使用状況に応じて適切な清掃を実施することができるので、便器装置を清潔に保ちつつ、清掃の効率を向上させることができる。
【0066】
情報提供装置は、清掃者から複数の便器装置の状態を示す情報を取得する状態情報取得部を更に備えてもよく、清掃計画生成部は、状態情報取得部により取得された複数の便器装置の状態を示す情報に更に基づいて、次回以降の複数の便器装置の清掃の実行計画を生成してもよい。この態様によると、便器装置の状態に応じて適切な清掃を実施することができるので、便器装置を清潔に保ちつつ、清掃の効率を向上させることができる。
【0067】
情報提供装置は、清掃計画生成部により生成された清掃計画に基づいて、複数の便器装置の清掃を実行する清掃装置を制御する清掃装置制御部を更に備えてもよい。この態様によると、適切なタイミングで清掃装置に清掃を実行させることができるので、清掃の効率を向上させることができる。
【0068】
本発明の別の態様の情報提供プログラムは、コンピュータを、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を取得する使用状況情報取得部、使用状況情報取得部により取得された複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を提供する使用状況情報提供部、複数の便器装置のそれぞれの使用状況に基づいて、清掃者が複数の便器装置を清掃する順序を決定して提供する清掃順序提供部、として機能させる。この態様によると、清掃者や使用者が便器装置の使用状況と清掃順序を的確に把握することができるので、清掃者や使用者の利便性を向上させることができる。また、清掃者は適切な順序で便器装置を清掃することができるので、清掃の効率を向上させることができる。
【0069】
本発明の更に別の態様の情報提供プログラムは、コンピュータを、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を提供する情報提供装置から、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を受信する使用状況情報受信部、清掃者が複数の便器装置を清掃する順序を示す情報を情報提供装置から取得する清掃順序受信部、使用状況情報受信部により受信された複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報と、清掃順序受信部により受信された複数の便器装置を清掃する順序を示す情報を表示装置に表示する表示部、として機能させる。この態様によると、清掃者が便器装置の使用状況と清掃順序を的確に把握することができるので、清掃者の利便性を向上させることができる。また、清掃者は適切な順序で便器装置を清掃することができるので、清掃の効率を向上させることができる。
【0070】
情報提供プログラムは、コンピュータを、清掃者による複数の便器装置の清掃の状況を示す情報を清掃者から受け付ける清掃状況情報受付部として更に機能させてもよく、表示部は、複数の便器装置のそれぞれの清掃の状況を示す情報を更に表示装置に表示してもよい。この態様によると、清掃者は清掃が未済の便器装置を把握することができるので、清掃者の利便性を向上させることができる。
【0071】
本発明の更に別の態様の情報提供プログラムは、コンピュータを、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を提供する情報提供装置から、複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報を受信する使用状況情報受信部、清掃中又は所定時間以内に清掃予定の便器装置を示す情報を情報提供装置から受信する清掃状況情報受信部、使用状況情報受信部により受信された複数の便器装置のそれぞれの使用状況を示す情報と、清掃状況情報受信部により受信された清掃中又は所定時間以内に清掃予定の便器装置を示す情報を表示装置に表示する表示部、として機能させる。この態様によると、清掃者や使用者がより的確に便器装置の使用状況を把握することができるので、清掃者や使用者の利便性を向上させることができる。
【0072】
表示部は、複数の便器装置のそれぞれの使用継続時間又は使用終了までの所要時間を示す情報を表示装置に表示してもよい。この態様によると、清掃者や使用者がより的確に便器装置の使用状況を把握することができるので、清掃者や使用者の利便性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0073】
10 情報提供システム、20 施設、21 トイレ室、22 通信装置、27 提示装置、30 便器装置、42 清掃者端末、44 使用者端末、50 情報提供装置、61 使用状況情報取得部、62 使用状況予測部、63 所要時間推定部、64 使用状況情報提供部、65 清掃順序提供部、66 清掃状況情報取得部、67 状態情報取得部、68 清掃計画生成部、69 清掃装置制御部、71 トイレ情報データベース、72 清掃状況情報保持部、73 使用状況情報保持部、111 使用状況情報受信部、112 清掃状況情報受信部、113 表示部、114 清掃状況情報受付部、115 状態情報受付部、116 清掃順序取得部、211 使用状況情報受信部、212 清掃状況情報受信部、213 表示部。