(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】表示装置及びその駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20231116BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231116BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231116BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20231116BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09G3/20 621A
G09G3/20 611J
G09G3/20 623X
G09G3/20 641D
G09F9/30 338
G09F9/30 365
H10K59/12
(21)【出願番号】P 2019135522
(22)【出願日】2019-07-23
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0111052
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】徐 榮 完
(72)【発明者】
【氏名】禹 ▲ミン▼ 圭
(72)【発明者】
【氏名】李 安 洙
(72)【発明者】
【氏名】李 哲 坤
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0204510(US,A1)
【文献】特開2014-115543(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0136775(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 5/42
G09F 9/00 - 9/46
H05B 33/00 - 33/28
H05B 44/00
H05B 45/60
H10K 50/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素を含み、
それぞれの画素は、
ゲート電極が第1ノードに接続され、一の入出力電極が第1電源電圧線に接続され、他の入出力電極が第2ノードに接続された第1トランジスタと、
ゲート電極が走査線に接続され、一の入出力電極が前記第1ノードに接続され、他の入出力電極が第3ノードに接続された第2トランジスタと、
一方の電極が前記第1ノードに接続され、他方の電極が第1制御線に接続された第1キャパシタと、
ゲート電極が第2制御線に接続され、一の入出力電極が前記第3ノードに接続され、他の入出力電極が前記第2ノードに接続された第3トランジスタと、
一方の電極が前記第3ノードに接続され、他方の電極がデータ線に接続された第2キャパシタと、
アノード電極が前記第2ノードに接続され、カソード電極が第2電源電圧線に接続される有機発光ダイオードと、を含み、
それぞれの映像フレームは、前記有機発光ダイオードについての、少なくとも2回の発光許容期間と、これらの発光許容期間同士の間の期間である、少なくとも1回の発光不許期間とを含
み、
前記発光許容期間において、前記第1電源電圧線に印加された第1電源電圧は、前記第2電源電圧線に印加された第2電源電圧より大きいのであり、
前記発光許容期間における前記第1制御線に印加された第1制御電圧は、前記発光不許期間における前記第1制御電圧より小さいことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
複数の画素を含み、
それぞれの画素は、
ゲート電極が第1ノードに接続され、一の入出力電極が第1電源電圧線に接続され、他の入出力電極が第2ノードに接続された第1トランジスタと、
ゲート電極が走査線に接続され、一の入出力電極が前記第1ノードに接続され、他の入出力電極が第3ノードに接続された第2トランジスタと、
一方の電極が前記第1ノードに接続され、他方の電極が第1制御線に接続された第1キャパシタと、
ゲート電極が第2制御線に接続され、一の入出力電極が前記第3ノードに接続され、他の入出力電極が前記第2ノードに接続された第3トランジスタと、
一方の電極が前記第3ノードに接続され、他方の電極がデータ線に接続された第2キャパシタと、
アノード電極が前記第2ノードに接続され、カソード電極が第2電源電圧線に接続される有機発光ダイオードと、を含み、
それぞれの映像フレームは、前記有機発光ダイオードについての、少なくとも2回の発光許容期間と、これらの発光許容期間同士の間の期間である、少なくとも1回の発光不許期間とを含み、
前記発光許容期間において、前記第1電源電圧線に印加された第1電源電圧は、前記第2電源電圧線に印加された第2電源電圧より大きいのであり、
第1初期化期間に前記第1制御線に印加された第1制御電圧は、前記発光許容期間における前記第1制御電圧より小さいのであり、
前記第1初期化期間の少なくとも一部において、前記第2制御線に印加された第2制御電圧はターンオンレベルであり、前記走査線に印加された走査信号はターンオンレベルであり、
補償期間において、前記第2制御電圧及び前記走査信号はそれぞれターンオンレベルであり、
前記補償期間の前記第1電源電圧は前記第1初期化期間の前記第1電源電圧より大きいことを特徴とす
る表示装置。
【請求項3】
データ書き込み期間の少なくとも一部において、前記第2制御電圧はターンオフレベルで、前記走査信号はターンオンレベルで、前記第1電源電圧は前記第2電源電圧より小さいかまたは同一であることを特徴とする請求項
2に記載の表示装置。
【請求項4】
第2初期化期間における前記第1制御電圧は前記発光許容期間における前記第1制御電
圧より小さく、
前記第2初期化期間における前記第1電源電圧は前記第2電源電圧より小さいかまたは同一であり、
それぞれの前記映像フレームは、前記第1初期化期間、前記補償期間、前記データ書き込み期間、前記第2初期化期間、及び前記発光許容期間を、この順に含むことを特徴とする請求項
3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記発光許容期間における前記第1電源電圧は、前記発光不許期間における前記第1電源電圧より大きいことを特徴とする請求項
1~4のいずれかに記載の表示装置。
【請求項6】
前記発光許容期間における前記第2電源電圧は、前記発光不許期間における前記第2電源電圧より小さいことを特徴とする請求項
1~4のいずれかに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報化技術が発達するにつれて、ユーザーと情報との連結媒体である表示装置の重要性が浮かび上がっている。これに応じて液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device)、有機発光表示装置(Organic Light Emitting Display Device)、プラズマ表示装置(Plasma Display Device)などの表示装置の使用が増加している。
【0003】
有機発光表示装置は、電子と正孔の再結合によって光を生成する有機発光ダイオードを利用して映像を表示するもので、速い応答速度を有するとともに低い消費電力で駆動されるというメリットがある。
【0004】
有機発光ダイオードを、目的とする階調で発光させるために、各画素は、対応する有機発光ダイオードに供給される駆動電流の電流量を調節することができる。
【0005】
しかし、表示装置の解像度が高くなるにつれて、それぞれの有機発光ダイオードに供給される駆動電流量が制限され、これにより、表示不良が発生しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国特許出願公開第10-2013-0112178号明細書
【文献】韓国特許出願公開第10-2012-0028426号明細書
【文献】韓国特許登録公報第10-1122894号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする技術的課題は、高解像度の表示装置でも駆動電流量を確保することができる表示装置及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による表示装置は、複数の画素を含み、各画素には、(1) ゲート電極が第1ノードに接続され、一の入出力電極が第1電源電圧線に接続され、他の入出力電極が第2ノードに接続された第1トランジスタと、(2) ゲート電極が走査線に接続され、一の入出力電極が上記第1ノードに接続され、他の入出力電極が第3ノードに接続された第2トランジスタと、(3) 一方の電極が上記第1ノードに接続され、他方の電極が第1制御線に接続された第1キャパシタと、(4) ゲート電極が第2制御線に接続され、一の入出力電極が上記第3ノードに接続され、他の入出力電極が上記第2ノードに接続された第3トランジスタと、(5) 一方の電極が上記第3ノードに接続され、他方の電極がデータ線に接続された第2キャパシタと、(6) アノード電極が上記第2ノードに接続され、カソード電極が第2電源電圧線に接続される有機発光ダイオードと、が含まれ、各映像フレームは、(i)上記有機発光ダイオードについての、少なくとも2回の発光許容期間と、(ii)これらの発光許容期間同士の間に挟まれた期間である、少なくとも1回の発光不許期間とを含む。
【0009】
上記発光許容期間において、上記第1電源電圧線に印加された第1電源電圧は、上記第2電源電圧線に印加された第2電源電圧より大きいのでありうる。
【0010】
上記発光許容期間における上記第1電源電圧は、上記発光不許期間における上記第1電源電圧より大きいのでありうる。
【0011】
上記発光許容期間における上記第2電源電圧は、上記発光不許期間における上記第2電源電圧より小さいのでありうる。
【0012】
上記発光許容期間における上記第1制御線に印加された第1制御電圧は、上記発光不許期間における上記第1制御電圧より小さいのでありうる。
【0013】
第1初期化期間に上記第1制御線に印加された第1制御電圧は、上記発光許容期間における上記第1制御電圧より小さいのでありうる。
【0014】
上記第1初期化期間の少なくとも一部において、上記第2制御線に印加された第2制御電圧はターンオンレベルであり、上記走査線に印加された走査信号はターンオンレベルでありうる。
【0015】
補償期間において、上記第2制御電圧及び上記走査信号は、いずれもターンオンレベルであり、上記補償期間の上記第1電源電圧は、上記第1初期化期間の上記第1電源電圧より大きいのでありうる。
【0016】
データ書き込み期間の少なくとも一部において、上記第2制御電圧はターンオフレベルで、上記走査信号はターンオンレベルで、上記第1電源電圧は上記第2電源電圧より小さいかまたは同一でありうる。
【0017】
第2初期化期間における上記第1制御電圧は上記発光許容期間における上記第1制御電圧より小さく、上記第2初期化期間における上記第1電源電圧は、上記第2電源電圧より小さいかまたは同一でありうる。
【0018】
それぞれの上記映像フレームは、上記第1初期化期間、上記補償期間、上記データ書き込み期間、上記第2初期化期間、及び上記発光許容期間を、この順に含むのでありうる。
【0019】
本発明の一実施形態による表示装置の駆動方法は、各画素の回路に含まれる駆動電流の経路が、第1電源電圧線、第1トランジスタの一の入出力電極及び他の入出力電極、有機発光ダイオードのアノード電極及びカソード電極、及び第2電源電圧線を含むものである表示装置の駆動方法において、(1) 上記第1トランジスタのゲート電極に接続された第1キャパシタの一方の電極に、データ電圧を書き込む段階であって、上記第1電源電圧線に印加された第1電源電圧が、上記第2電源電圧線に印加された第2電源電圧より小さいかまたは同一である、データ電圧書き込み段階と、(2) 上記有機発光ダイオードの発光を許可するように、上記第1電源電圧が上記第2電源電圧より大きい、第1発光許可段階と、(3) 上記有機発光ダイオードの発光を許可しないように、上記第1電源電圧が上記第2電源電圧より小さいかまたは同一である、発光不許段階と、(4) 上記有機発光ダイオードの発光を再び許可するように、上記第1電源電圧が上記第2電源電圧より大きい、第2発光許可段階と、を含み、各映像フレームにおいて、上記データ電圧書き込み段階、上記第1発光許可段階、上記発光不許段階、及び上記第2発光許可段階が、この順に行われうる。
【0020】
上記第1発光許可段階及び上記第2発光許可段階での上記第1電源電圧は、上記発光不許段階での上記第1電源電圧より大きいのでありうる。
【0021】
上記第1発光許可段階及び上記第2発光許可段階での上記第2電源電圧は、上記発光不許段階での上記第2電源電圧より小さいのでありうる。
【0022】
上記表示装置の駆動方法は、上記第1キャパシタの他方の電極に接続された第1制御線に、第1制御電圧が印加される第1初期化段階をさらに含み、上記第1初期化段階での上記第1制御電圧は、上記第1発光許可段階及び上記第2発光許可段階での上記第1制御電圧より小さいのでありうる。
【0023】
上記表示装置の駆動方法は、上記第1トランジスタがダイオード接続される補償段階をさらに含み、上記補償段階での上記第1電源電圧は、上記第1初期化段階での上記第1電源電圧より大きいのでありうる。
【0024】
上記表示装置の駆動方法は、上記第1制御電圧が、上記第1発光許可段階及び上記第2発光許可段階での上記第1制御電圧より小さい第2初期化段階をさらに含み、上記第2初期化段階での上記第1電源電圧は、上記第2電源電圧より小さいかまたは同一でありうる。
【0025】
それぞれの上記映像フレームにおいて、上記第1初期化段階、上記補償段階、上記データ電圧書き込み段階、上記第2初期化段階、上記第1発光許可段階、上記発光不許段階、及び上記第2発光許可段階が順に行われうる。
【0026】
本発明の一実施形態による表示装置の駆動方法は、各画素の回路に含まれる駆動電流の経路が第1電源電圧線、第1トランジスタの一の入出力電極及び他の入出力電極、有機発光ダイオードのアノード電極及びカソード電極、及び第2電源電圧線を含むものである表示装置の駆動方法において、(1) 上記第1トランジスタのゲート電極に接続された第1キャパシタの一方の電極にデータ電圧を書き込む段階であって、上記第1電源電圧線に印加された第1電源電圧が、上記第2電源電圧線に印加された第2電源電圧より小さいかまたは同一である、データ電圧書き込み段階と、(2) 上記有機発光ダイオードの発光を許可するように、上記第1キャパシタの他方の電極に接続された第1制御線に第1制御電圧が印加され、上記第1電源電圧が上記第2電源電圧より大きい、第1発光許可段階と、(3) 上記有機発光ダイオードの発光を許可しないように、上記第1制御電圧として、上記第1発光許可段階での電圧より大きい電圧が印加される、発光不許段階と、(4) 上記有機発光ダイオードの発光を再び許可するように、上記第1制御電圧として、上記発光不許段階での電圧より小さい電圧が印加され、上記第1電源電圧が上記第2電源電圧より大きい、第2発光許可段階と、を含み、各映像フレームにおいて、上記データ電圧書き込み段階、上記第1発光許可段階、上記発光不許段階、及び上記第2発光許可段階が、この順に行われうる。
【0027】
上記表示装置の駆動方法は、上記第1制御電圧として、上記第1発光許可段階及び上記第2発光許可段階での電圧より小さい上電圧を上記第1制御線に印加する第1初期化段階をさらに含むのでありうる。
【発明の効果】
【0028】
本発明による表示装置及びその駆動方法は、高解像度の表示装置でも駆動電流量を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の一実施例による表示装置を説明するためのブロック図である。
【
図2】本発明の一実施例による画素を説明するための回路図である。
【
図3】本発明の実施例の表示装置の駆動方法のうち共通する部分を説明するためのタイミング図である。
【
図4】本発明の実施例の表示装置の駆動方法のうち共通する部分を説明するための回路図である。第1初期化期間での導通状態を示す一点鎖線を、
図2の回路図に記入したものである。
【
図5】本発明の実施例の表示装置の駆動方法のうち共通する部分を説明するための回路図である。補償期間での導通状態を示す一点鎖線を、
図2の回路図に記入したものである。
【
図6】本発明の実施例の表示装置の駆動方法のうち共通する部分を説明するための回路図である。データ書き込み期間での導通状態を示す一点鎖線を、
図2の回路図に記入したものである。
【
図7】本発明の実施例の表示装置の駆動方法のうち共通する部分を説明するための回路図である。第2初期化期間での導通状態を示す一点鎖線を、
図2の回路図に記入したものである。
【
図8】本発明の実施例の表示装置の駆動方法のうち共通する部分を説明するための回路図である。発光期間での導通状態を示す一点鎖線を、
図2の回路図に記入したものである。
【
図9】本発明の一参考例による表示装置の駆動方法を説明するためのタイミング図である。
図3中に示されたデータ書き込み期間より後の状態を示す。
【
図10】本発明の第1実施例による表示装置の駆動方法を説明するための、
図9と同様のタイミング図である。
【
図11】本発明の第2実施例による表示装置の駆動方法を説明するための、
図9と同様のタイミング図である。
【
図12】本発明の第3実施例による表示装置の駆動方法を説明するための、
図9と同様のタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付した図面を参考して、本発明の様々な実施例について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現されてもよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【0031】
本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書の全体にわたって同一または類似する構成要素に対しては同じ参照符号を付する。従って、上述した参照符号は他の図面でも使用することができる。
【0032】
また、図面に示された各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意に示したものであるため、本発明は必ずしも図示されたものに限定されない。図面において、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを誇張して示すことができる。
【0033】
図1は、本発明の一実施例による表示装置を説明するためのブロック図である。
【0034】
図1を参照すると、本発明の一実施例による表示装置10は、タイミング制御部11、データ駆動部12、走査駆動部13、画素部14、及び共通電圧生成部15を含んでもよい。
【0035】
タイミング制御部11は、受信した制御信号に基づいて走査駆動部13の仕様(specification)に適するようにクロック信号、走査開始信号などを生成して走査駆動部13に提供することができる。また、タイミング制御部11は、受信した階調値及び制御信号に基づいてデータ駆動部12の仕様に適するよう変形または保持された階調値及び制御信号をデータ駆動部12に提供することができる。
【0036】
データ駆動部12は、タイミング制御部11から受信した階調値及び制御信号を利用してデータ線DL1、DL2、DL3、...、DLnに提供するデータ電圧を生成することができる。このとき、nは自然数であってもよい。例えば、画素行単位で生成されたデータ電圧はデータ線DL1~DLnに同時に印加されてもよい。
【0037】
走査駆動部13は、タイミング制御部11からクロック信号、走査開始信号などの制御信号を受信して走査線SL1、SL2、SL3、...、SLmに提供する走査信号を生成することができる。このとき、mは自然数であってもよい。走査駆動部13は、走査線SL1~SLmを介して走査信号を提供することで、データ電圧が書き込まれる画素を選択することができる。例えば、走査駆動部13は、走査線SL1~SLmに順にターンオンレベルの走査信号を提供することで、データ電圧が書き込まれる画素行を選択することができる。走査駆動部13は、シフトレジスタ(shift register)の形態で構成されてもよく、クロック信号の制御に応じて走査開始信号を次のステージ回路に順に伝達する方法で走査信号を生成することができる。また、走査駆動部13のステージ回路は、グローバル制御信号(global control signal)に応じて同時にターンオンレベルの走査信号を対応する走査線に提供することもできる。
【0038】
画素部14は画素を含む。それぞれの画素PXijは、対応するデータ線及び走査線と接続されてもよい。例えば、データ駆動部12から1つの画素行に対するデータ電圧がデータ線DL1~DLnに印加されると、走査駆動部13からターンオンレベルの走査信号の提供を受けた走査線に位置する画素行にデータ電圧が書き込まれうる。
【0039】
共通電圧生成部15は、画素部14の画素に共通して印加される共通電圧を生成する。共通電圧は、第1電源電圧、第2電源電圧、第1制御電圧、及び第2制御電圧を含んでもよい。第1電源電圧は第1電源電圧線ELVDDLに印加され、第2電源電圧は第2電源電圧線ELVSSLに印加され、第1制御電圧は第1制御線CALに印加され、第2制御電圧は第2制御線CBLに印加されうる。
【0040】
共通電圧生成部15は多様な形態で実現されてもよい。例えば、共通電圧生成部15は、データ駆動部12と一部または全部が統合されて実現されてもよい。例えば、第1電源電圧及び第2電源電圧はDC-DCコンバータの形態である共通電圧生成部15で生成され、第1制御電圧及び第2制御電圧はデータ駆動部12で生成されてもよい。
【0041】
他の例としては、共通電圧生成部15は、タイミング制御部11と一部または全部が統合されて実現されてもよい。例えば、第1電源電圧及び第2電源電圧はDC-DCコンバータの形態である共通電圧生成部15で生成され、第1制御電圧及び第2制御電圧はタイミング制御部11で生成されてもよい。
【0042】
さらに他の例としては、共通電圧生成部15は、タイミング制御部11及びデータ駆動部12と一部または全部が統合されて実現されてもよい。例えば、第1電源電圧及び第2電源電圧はDC-DCコンバータの形態である共通電圧生成部15で生成され、比較的負荷の大きい第1制御電圧はデータ駆動部12で生成され、比較的負荷の小さい第2制御電圧はタイミング制御部11で生成されてもよい。
【0043】
図2は、本発明の一実施例による画素を説明するための回路図である。
【0044】
図2を参照すると、本発明の一実施例による画素PXijは、第1~第3トランジスタT1、T2、T3と、第1及び第2キャパシタCst、Cprと、有機発光ダイオードOLEDと、を含んでもよい。
【0045】
画素PXijは、i番目の走査線SLi及びj番目のデータ線DLjに接続された画素であると仮定する。i及びjは、それぞれ自然数であってもよい。
【0046】
本実施例において、トランジスタT1、T2、T3は、P型トランジスタとして図示されている。従って、以下では、説明の便宜上、トランジスタのゲート電極に印加される電圧がローレベル(low level)である場合、ターンオンレベル(turn-on level)といい、ハイレベル(high level)である場合は、ターンオフレベル(turn-off level)という。
【0047】
当業者であれば、トランジスタT1、T2、T3のうち少なくとも一部をN型トランジスタに変更して本実施例を実現することができるであろう。P型トランジスタは、ゲートソース電圧がしきい値電圧(負)未満であるとき、ターンオンされるトランジスタでありうる。N型トランジスタは、ゲートソース電圧がしきい値電圧(正)を超えたとき、ターンオンされるトランジスタでありうる。
【0048】
第1トランジスタT1は、ゲート電極が第1ノードN1に接続され、一の入出力電極が第1電源電圧線ELVDDLに接続され、他の入出力電極が第2ノードN2に接続されてもよい。第1トランジスタT1は駆動トランジスタと名付けられてもよい。
【0049】
第2トランジスタT2は、ゲート電極が走査線SLiに接続され、一の入出力電極が第1ノードN1に接続され、他の入出力電極が第3ノードN3に接続されてもよい。第2トランジスタT2は、スイッチングトランジスタ、スキャントランジスタなどと名付けられてもよい。
【0050】
第3トランジスタT3は、ゲート電極が第2制御線CBLに接続され、一電極が第3ノードN3に接続され、他の電極が第2ノードN2に接続されてもよい。第3トランジスタT3は、初期化トランジスタと名付けられてもよい。
【0051】
第1キャパシタCstは、一方の電極が第1ノードN1に接続され、他方の電極が第1制御線CALに接続されてもよい。第1キャパシタCstは、ストレージキャパシタ(storage capacitor)と名付けられてもよい。
【0052】
第2キャパシタCprは、一方の電極が第3ノードN3に接続され、他方の電極がデータ線DLjに接続されてもよい。
【0053】
有機発光ダイオードOLEDは、アノード電極が第2ノードN2に接続され、カソード電極が第2電源電圧線ELVSSLに接続されてもよい。有機発光ダイオードOLEDは、アノード電極とカソード電極との間の電圧差が一定レベル以上にならなければ発光しない。ところが、アノード電極とカソード電極が一種のキャパシタのように作用するため、アノード電極の電圧はすぐには変わらない。従って、有機発光ダイオードOLEDの発光時点を、より具体的に説明するために、有機発光ダイオードOLEDのキャパシタンスColを示した。
【0054】
第1電源電圧ELVDDは第1電源電圧線ELVDDLに印加され、第2電源電圧ELVSSは第2電源電圧線ELVSSLに印加され、第1制御電圧CAは第1制御電圧線CALに印加され、第2制御電圧CBは第2制御電圧線CBLに印加され、走査信号Siは走査線SLiに印加され、データ電圧Djはデータ線DLjに印加されてもよい。
【0055】
駆動電流の経路は、後述の
図8に示すように、第1電源電圧線ELVDDLと、第1トランジスタT1の一の入出力電極及び他の入出力電極と、有機発光ダイオードOLEDのアノード電極及びカソード電極と、第2電源電圧線ELVSSLと、を含んでもよい。駆動電流の経路に一定レベル以上の駆動電流が流れることにより、有機発光ダイオードOLEDのキャパシタンスColが充電され、有機発光ダイオードOLEDが発光することができる。
【0056】
しかし、上述したように、高解像度の表示装置10では、有機発光ダイオードOLEDに供給される駆動電流量が制限されるため、表示不良が発生することがある。特に、駆動電流が非常に小さい低階調表示において、このような表示不良が、より頻繁に発生しうる。従って、駆動電流量を増加させることができる駆動方法が求められる。
【0057】
図3~8は、本発明の実施例の表示装置の駆動方法のうち共通する部分を説明するための図である。
【0058】
時点t1において、一つ前の映像フレーム(previous image frame)が終了し、第2電源電圧ELVSSが、ローレベルELVSSlからハイレベルELVSShに上昇する。この際、第1電源電圧ELVDDは、ハイレベルELVDDhを保持することができる。例えば、第1電源電圧ELVDDのハイレベルELVDDhと、第2電源電圧ELVSSのハイレベルELVSShとは、互いに同一であってもよい。従って、有機発光ダイオードOLEDにおけるアノード電極とカソード電極との間の電圧差が十分でなくなり、一つ前の映像フレームの階調による有機発光ダイオードOLEDの発光が終了する。
【0059】
時点t2において、第1電源電圧ELVDDがハイレベルELVDDhからローレベルELVDDlに下降する。従って、有機発光ダイオードOLEDにおけるアノード電極とカソード電極との間には逆転された電圧が印加されて、有機発光ダイオードOLEDの予期せぬ発光が防止される。また、第2制御電圧CBがターンオフレベルCBhからターンオンレベルCBlに変更されうる。
【0060】
時点t3において、第1制御電圧CAがハイレベルCAhからローレベルCAlに変更されてもよい。
図4を参照すると、第1制御電圧CAが下降するに伴い、第1キャパシタCstによって第1制御線CALと容量結合(容量性カップリング; capacitive coupling)された第1ノードN1の電圧も降下する。従って、第1トランジスタT1はターンオンされる。従って、期間t3~t4において、第1及び第3トランジスタT1、T3はターンオン状態であり、第2及び第3ノードN2、N3が第1電源電圧線ELVDDLと接続される。従って、有機発光ダイオードOLEDのキャパシタンスColと第2キャパシタCprが、ローレベルELVDDlの第1電源電圧ELVDDに初期化されうる。
【0061】
期間t3~t5を第1初期化期間とすることができる。第1初期化期間は、駆動方法の第1初期化段階に対応しうる。第1初期化期間において、第1制御線CALに印加された第1制御電圧CAの電圧レベルCAlは、発光許容期間における第1制御電圧CAの電圧レベルCAhより小さくてもよい。発光許容期間については、
図9~12を参照して後述する。
【0062】
時点t4において、互いに隣り合う複数の走査線に、特には全ての走査線に、ターンオンレベルVGLの走査信号...、S(i-1)、Si、S(i+1)、...が、同時に印加されうる。従って、第1~第3ノードN1、N2、N3が互いに接続されるため、第1キャパシタCstがさらに初期化されうる。また、この際、第1トランジスタT1は、第2及び第3トランジスタT2、T3によってダイオード接続されうる。即ち、第1初期化期間の少なくとも一部t4~t5において、第2制御線CBLに印加された第2制御電圧CBはターンオンレベルCBlであり、走査線SLiに印加された走査信号SiはターンオンレベルVGLであってもよい。
【0063】
時点t5において、第1制御電圧CAがローレベルCAlからハイレベルCAhに変更される。このように変更されると、第1ノードN1の電圧が一部上昇しうるが、第1ノードN1は第3ノードN3及び第2ノードN2を介して他の容量性素子Col、Cprとも接続されるため、第1ノードN1の電圧上昇量はローレベルCAlとハイレベルCAhの差よりは小さいのでありうる。
【0064】
時点t6において、第1電源電圧ELVDDがローレベルELVDDlからハイレベルELVDDhに上昇する。
図5を参照すると、第1トランジスタT1は、ダイオード接続された状態であるため、ハイレベルELVDDhの第1電源電圧ELVDDに、第1トランジスタT1のしきい値電圧Vthを足した電圧VN1が、第1ノードN1に印加されうる。ここで、しきい値電圧Vthは負の値であるため、第1ノード電圧VN1は、ハイレベルELVDDhの第1電源電圧ELVDDより低いのでありうる。従って、期間t6~t7の間、第1キャパシタCstには、第1ノード電圧VN1と、ハイレベルCAhの第1制御電圧CAとの差に該当する電圧が書き込まれうる。
【0065】
期間t6~t7を補償期間とすることができる。補償期間は、上記一実施形態の駆動方法における補償段階に対応するのでありうる。補償期間において、第2制御電圧CB及び走査信号SiはそれぞれターンオンレベルCBl、VGLであってもよい。補償期間の第1電源電圧ELVDDの電圧レベルELVDDhは、第1初期化期間の第1電源電圧ELVDDの電圧レベルELVDDlより大きいのでありうる。
【0066】
時点t7において、第1電源電圧ELVDDはハイレベルELVDDhからローレベルELVDDlに下降し、第2制御電圧CBはターンオンレベルCBlからターンオフレベルCBhに変更され、走査信号...、S(i-1)、Si、S(i+1)、...はターンオンレベルVGLからターンオフレベルVGHに変更されうる。従って、第2及び第3トランジスタT2、T3がターンオフされて、第1トランジスタT1のダイオード接続が解除されうる。
【0067】
期間t7~t10の間、一連の(consecutive)走査線SL1~SLmに、順にターンオンレベルVGLの走査信号...、S(i-1)、Si、S(i+1)、...が印加されうる。また、データ線DLjには、走査信号...、S(i-1)、Si、S(i+1)、...に同期したデータ電圧...、D(i-1)j、Dij、D(i+1)j、...が順に印加されうる。期間t7~t10をデータ書き込み期間とすることができる。データ書き込み期間は、上記一実施形態の駆動方法におけるデータ電圧書き込み段階に対応するのでありうる。
【0068】
例えば、期間t8~t9の間、
図1の注目画素PXij(i番目の行で、j番目の列にある画素)への書き込みのために、i番目の走査線SLiにターンオンレベルVGLの走査信号Siが印加され、j番目のデータ線DLjに、注目画素PXijのためのデータ電圧Dijが印加されるのでありうる。データ書き込み期間のうちの少なくとも一部t8~t9において、第2制御電圧CBはターンオフレベルCBhで、走査信号SiはターンオンレベルVGLであり、第1電源電圧ELVDDの電圧レベルELVDDlは、第2電源電圧ELVSSの電圧レベルELVSShより小さいかまたは同一であってもよい。
【0069】
図6を参照すると、第1ノードN1は、ターンオンされた第2トランジスタT2を介して第3ノードN3と接続され、第3ノードN3は、第2キャパシタCprを介してデータ線DLjと容量結合される。第1制御線CAL、第1キャパシタCst、第2トランジスタT2、第2キャパシタCpr、及びデータ線DLjの経路を基準として、すなわち、この経路に着目して、
図5の期間t6~t7での状態と比較するならば、
図6の期間t8~t9においては、データ線DLjでの電圧が、基準電圧Vsusからデータ電圧Dijに変更されている。ここでの基準電圧Vsusは、例えば、グランド電位と実質上同一でありうる。
【0070】
従って、第1ノード電圧VN1は、
図5の期間t6~t7での状態と比較するならば、第1キャパシタCstと第2キャパシタCprとの間の容量比aに基づいた、データ電圧Dijと基準電圧Vsusとの間の差電圧DDをも反映することができる(下の数式1~3を参照)。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
ここで、CstFは第1キャパシタCstの容量で、CprFは第2キャパシタCprの容量である。
【0075】
時点t10において、第1制御電圧CAはハイレベルCAhからローレベルCAlに変更されうる。
図7を参照すると、第1制御線CALに、第1キャパシタCstを介して容量結合された第1ノードN1の電圧が降下することで、第1トランジスタT1がターンオンされうる。この際、第1電源電圧ELVDDはローレベルELVDDlで、第2電源電圧ELVSSはハイレベルELVSShであってもよい。従って、有機発光ダイオードOLEDは発光せずに、有機発光ダイオードOLEDのキャパシタンスColが初期化されうる。
【0076】
期間t10~t11を第2初期化期間とすることができる。第2初期化期間は、上記一実施形態の駆動方法における第2初期化段階に対応するのでありうる。第2初期化期間における第1制御電圧CAの電圧レベルCAlは、発光許容期間における第1制御電圧CAの電圧レベルCAhより小さくてもよい。また、第2初期化期間において、第1電源電圧ELVDDの電圧レベルELVDDlは第2電源電圧ELVSSの電圧レベルELVSShより小さいかまたは同一であってもよい。
【0077】
時点t11において、第1制御電圧CAがローレベルCAlからハイレベルCAhに変更され、第2初期化期間が終了しうる。
【0078】
時点t12において、第1電源電圧ELVDDがローレベルELVDDlからハイレベルELVDDhに変更され、第2電源電圧ELVSSがハイレベルELVSShからローレベルELVSSlに変更されてもよい。従って、
図8を参照すると、有機発光ダイオードOLEDには正方向の電圧が印加されうるため、駆動電流の経路が活性化される。この際、第1キャパシタCstに保存された電圧に基づいて、第1トランジスタT1を介して流れる駆動電流量が決定されうる。駆動電流量に比例して、すなわち、駆動電流量に比例する光量にて、有機発光ダイオードOLEDが発光することができる。
【0079】
図9は、本発明の一参考例による表示装置の駆動方法を説明するための図である。
【0080】
図9を参照すると、映像フレーム期間において、時点t12以後、第1制御電圧CA、第1電源電圧ELVDD、及び第2電源電圧ELVSSの電圧レベルが保持される。
【0081】
従って、
図9の駆動方法によると、各映像フレームは、時点t12以降、発光不許期間を含まず、1つの発光許容期間だけを含む。
【0082】
後述する実施例では、駆動電流量を説明するに当たり、
図9の参考例の駆動電流量を基準とする。すなわち、
図10~12を用いて説明する後述の実施例では、
図9の参考例におけるレベルを基準として、駆動電流量のレベルを増大させることについて述べる。各映像フレーム中にて、ある画素PXijが、所定の階調値に対応するデータ電圧Dijbに応じた積算発光量を実現するためには、駆動電流の積算量が所定の値となるようにすべきである。したがって、
図10~12の各実施例では、発光期間中に、発光不許期間を挿入する分だけ、発光許容期間における駆動電流のレベルを、
図9の参考例の場合に比べて増大させることとなる。
【0083】
図10は、本発明の第1実施例による表示装置の駆動方法を説明するための図である。
【0084】
図10を参照すると、本発明の第1実施例による表示装置10のそれぞれの映像フレームは、有機発光ダイオードOLEDに対する少なくとも2回の発光許容期間t12~t13a、t14a~t15aと、発光許容期間t12~t13a、t14a~t15aの間の期間である少なくとも1回の発光不許期間t13a~t14aと、を含んでもよい。
【0085】
発光許容期間t12~t13aは、駆動方法の第1発光許可段階に対応することができる。また、発光許容期間t14a~t15aは、駆動方法の第2発光許可段階に対応することができる。発光不許期間t13a~t14aは、駆動方法の発光不許段階に対応することができる。以下の実施例では、重複する説明は省略する。
【0086】
図10の実施例では、発光許容期間t12~t13a、t14a~t15aにおける第1電源電圧ELVDDの電圧レベルELVDDhは、発光不許期間t13a~t14aにおける第1電源電圧ELVDDの電圧レベルELVDDlより大きくてもよい。
【0087】
発光許容期間t12~t13a、t14a~t15aにおいて、第1電源電圧ELVDDの電圧レベルELVDDhは、第2電源電圧ELVSSの電圧レベルELVSSlより大きいのでありうる。従って、有機発光ダイオードOLEDには正方向の電圧が印加されうるのであり、有機発光ダイオードOLEDは、第1キャパシタCstに保存された電圧量に応じた量の駆動電流量に応じて発光することができる。
【0088】
発光不許期間t13a~t14aにおいて、第1電源電圧ELVDDの電圧レベルELVDDlは、第2電源電圧ELVSSの電圧レベルELVSSlと同一であるか、またはこれより小さくてもよい。従って、有機発光ダイオードOLEDには逆方向の電圧が印加されうるのであり、有機発光ダイオードOLEDは、第1キャパシタCstに保存された電圧量に関わらず発光しない。
【0089】
図10の実施例によると、
図9の実施例とは異なり、それぞれの映像フレームは発光不許期間t13a~t14aを含むため、
図9の実施例に比べて有機発光ダイオードOLEDが発光する期間が、より短くなる。しかし、
図9の実施例と
図10の実施例とにおいて、ユーザーに視認される、映像フレームにおける階調は、等しく保持されなければならない。従って、同じ階調に対して、
図10の実施例では、期間t8~t9の間にデータ線DLjに印加されるデータ電圧Dijの大きさを、
図9の実施例に比べて、より小さくすることで、発光許容期間t12~t13a、t14a~t15aにおける駆動電流量を増加させることができる。
【0090】
即ち、同じ階調に対して、
図10の実施例の発光許容期間t12~t13a、t14a~t15aにおける平均駆動電流量は、
図9の実施例の発光許容期間t12~における平均駆動電流量より大きいのでありうる。
【0091】
従って、
図10の駆動方法において、有機発光ダイオードOLEDのキャパシタンスColは、
図9の駆動方法に比べてより速く充電できるため、発光遅延などの表示不良の発生率が減少しうる。
【0092】
図11は、本発明の第2実施例による表示装置の駆動方法を説明するための図である。
【0093】
図11を参照すると、本発明の第2実施例による表示装置10における各映像フレームは、有機発光ダイオードOLEDに対する少なくとも2回の発光許容期間t12~t13b、t14b~t15bと、これら発光許容期間t12~t13b、t14b~t15bの間の期間である、少なくとも1回の発光不許期間t13b~t14bと、を含んでもよい。
【0094】
図11の実施例では、発光許容期間t12~t13b、t14b~t15bにおける第2電源電圧ELVSSの電圧レベルELVSSlは、発光不許期間t13b~t14bにおける第2電源電圧ELVSSの電圧レベルELVSShより小さくてもよい。
【0095】
発光許容期間t12~t13b、t14b~t15bにおいて、第1電源電圧ELVDDの電圧レベルELVDDhは第2電源電圧ELVSSの電圧レベルELVSSlより大きくてもよい。従って、有機発光ダイオードOLEDには正方向の電圧が印加されうるのであり、有機発光ダイオードOLEDは第1キャパシタCstに保存された電圧量に応じた量の駆動電流量に応じて発光することができる。
【0096】
発光不許期間t13b~t14bにおいて、第2電源電圧ELVSSの電圧レベルELVSShは、第1電源電圧ELVDDの電圧レベルELVDDhと同一であるか、または、より大きくてもよい。従って、有機発光ダイオードOLEDには逆方向の電圧が印加されうるのであり、有機発光ダイオードOLEDは、第1キャパシタCstに保存された電圧量に関わらず発光しない。
【0097】
図11の実施例によると、
図9の実施例とは異なり、それぞれの映像フレームは発光不許期間t13b~t14bを含むため、
図9の実施例に比べて有機発光ダイオードOLEDが発光する期間がさらに短くなる。
【0098】
従って、
図10の実施例において既に説明したように、
図11の駆動方法によると、同じ階調に対して、より大きい駆動電流量が流れるようにすることができる。従って、
図11の駆動方法において、有機発光ダイオードOLEDのキャパシタンスColは、
図9の駆動方法に比べて、より速く充電できるため、発光遅延などの表示不良の発生率が減少しうる。
【0099】
図12は、本発明の第3実施例による表示装置の駆動方法を説明するための図である。
【0100】
図12を参照すると、本発明の第3実施例による表示装置10における各映像フレームは、有機発光ダイオードOLEDに対する少なくとも2回の発光許容期間t12~t13c、t14c~t15cと、これら発光許容期間t12~t13c、t14c~t15cの間の期間である少なくとも1回の発光不許期間t13c~t14cと、を含んでもよい。
【0101】
図12の発光許容期間t12~t13c、t14c~t15c及び発光不許期間t13c~t14cにおいて、第1電源電圧ELVDDの電圧レベルELVDDhは、第2電源電圧ELVSSの電圧レベルELVSSlより大きいのでありうる。従って、第1トランジスタT1がターンオンされる場合、有機発光ダイオードOLEDには正方向の電圧が印加されうる。
【0102】
図12の実施例では、発光許容期間t12~t13c、t14c~t15cにおける第1制御電圧CAの電圧レベルCAhは、発光不許期間t13c~t14cにおける第1制御電圧CAの電圧レベルCAvhより小さいのでありうる。
【0103】
発光許容期間t12~t13c、t14c~t15cにおいて、上記のような第1制御電圧CAの電圧レベルCAhによるならば、第1ノードN1の電圧が上述した数式3の電圧を保持するため、第1トランジスタT1はターンオンされうる。従って、有機発光ダイオードOLEDは、第1キャパシタCstに保存された電圧量に依存する駆動電流量に応じて発光することができる。
【0104】
発光不許期間t13c~t14cにおいて、第1制御電圧CAの電圧レベルCAvhは、発光許容期間t12~t13c、t14c~t15cに比べて上昇したものでありうる。従って、第1ノードN1の電圧が容量結合によって上昇し、第1トランジスタT1はターンオフされうる。従って、有機発光ダイオードOLEDは第1キャパシタCstに保存された電圧量に関わらず発光しないのでありうる。
【0105】
図12の実施例によると、第1制御電圧CAは、少なくとも3つの電圧レベルCAl、CAh、CAvhを有することができる。第1初期化段階においては、第1発光許可段階及び第2発光許容段階の第1制御電圧CAの電圧レベルCAhより小さい電圧レベルCAlを有する第1制御電圧CAを、第1制御線CALに印加することができる。
【0106】
図12の実施例によると、
図9の実施例とは異なり、それぞれの映像フレームは発光不許期間t13c~t14cを含むため、
図9の実施例に比べて有機発光ダイオードOLEDが発光する期間が、より短くなる。
【0107】
従って、
図10の実施例において既に説明したように、
図12の駆動方法によると、同じ階調に対して、より大きい駆動電流量が流れるようにすることができる。従って、
図12の駆動方法において、有機発光ダイオードOLEDのキャパシタンスColは、
図9の駆動方法に比べてより速く充電できるため、発光遅延などの表示不良の発生率が減少しうる。
【0108】
図3~12を参照すると、それぞれの映像フレームは、第1初期化期間、補償期間、データ書き込み期間、第2初期化期間、発光許容期間を順に含んでもよい。また、上述の一実施形態による駆動方法の表現によると、各映像フレームで、データ電圧書き込み段階、第1発光許可段階、発光不許段階、及び第2発光許容段階が順に行われてもよい。
【0109】
以上、参照した図面と記載された発明の詳細な説明は、単に本発明の例示的なもので、本発明を説明するための目的で使用されたものに過ぎず、意味限定や特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を制限するために使用されたものではない。従って、本技術分野の通常の知識を有する者であれば、そこから様々な変形及び均等な他の実施例が可能であるというが理解できるだろう。従って、本発明の本当の技術的保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって定まるべきである。
【0110】
好ましい一実施形態では、下記のとおりである。
【0111】
有機発光表示装置において、高精細化(解像度の向上)が進むにつれて、各有機発光ダイオードに供給される駆動電流のレベルが小さくなっている。このことは、低い階調値の表示を行う場合に、特に顕著である。
【0112】
一方、各有機発光ダイオードは、画素電極と、共通電極(対向電極)とによりキャパシタをなしており、駆動電流が加えられ始めてから、最小限の充電が行なわれた時点で、発光が開始される。そのため、駆動電流のレベルが小さくなると、場合によっては、発光開始の遅延が問題になりうる。
【0113】
他方、一般に、有機発光表示装置は、高速応答性が、液晶ディスプレイに比べた場合の利点の一つであり、「高い動画応答性能を持つため、動きの速いアクション映画やスポーツなどでも、残像の少ない映像を再現」するとされている。また、自発光方式であるために漆黒を表現しやすいのであり、各基本色のガンマ曲線を適切にチューニングする場合、低輝度領域も含めて、原信号(入力される各基本色の階調信号)に忠実に、色を再現できるとされている。
【0114】
なお、電圧制御方式である液晶ディスプレイでは、動画がぼやけるといった問題に対処すべく、データパルスの工夫や最適化が行なわれている。すなわち、電圧パルスの最初の部分に補償パルスを追加する「輝度補償型オーバドライブ駆動」や、映像フレームの間に黒色の期間を導入する「擬似インパルス化」といった方式が行なわれている。ところが、有機発光表示装置では、全く異なる解決方式が必要である。
【0115】
本願の実施形態では、各画素に備えられる画素回路について、下記A1~A3(
図2)とすることにより、効率的なリセット及び書き込みと、データ電圧に応じた発光量の制御とを実現可能にしつつ、下記Bのとおりに、各画素に対する駆動入力を行なう。下記Bの実現のために、具体的には、下記B1~B3のいずれかとすることができる。
【0116】
A1 駆動電源線(「第1電源電圧線ELVDDL」)から、各画素の有機発光素子の画素電極への駆動電流の入力を直接オンオフ可能な駆動トランジスタT1は、ゲート電極が、第1キャパシタCstを介して、第1制御線CALに接続されている。
【0117】
A1-1 これにより、駆動トランジスタT1のゲート電極から、第1キャパシタCstまでの間に蓄積された電荷、及び、第1制御線CALに印加する第1制御電圧CAに応じて、駆動トランジスタT1が駆動される(
図8、発光期間)。
【0118】
A2 駆動トランジスタT1のゲート電極と、第1キャパシタCstとの間の配線部分(第1ノードN1)は、駆動トランジスタT1の入出力端子と、有機発光素子の画素電極との間の配線部分(第2ノードN2)に、第2トランジスタT2及び第3トランジスタT3の直列接続を介して、接続されている。第2トランジスタT2のゲート電極は、走査線SLiに接続され、第3トランジスタT3のゲート電極は、第2制御線CBLに接続されている。
【0119】
A2-1 第2トランジスタT2及び第3トランジスタT3を共にオン状態とすることにより、駆動トランジスタT1のゲート電極と、入出力電極とをダイオード接続させることで、「第1ノードN1」に、駆動電源線(「第1電源電圧線ELVDDL」)から電圧を印加することができる(
図5、「補償期間」)。
【0120】
A2-2 詳しくは、第1ノードN1の電圧VN1について、駆動電源線のハイレベル(ELVDDh)の電圧に、駆動トランジスタT1のしきい値電圧Vthを足した値とすることができる。
VN1=ELVDDh+Vth
【0121】
A2-3
図5の補償期間、及び
図6のデータ書き込み期間には、第1制御線CALから第1キャパシタCstへと、ハイレベルの制御電圧CAhが加えられるようする。これにより、安定した書き込みが行なわれるようにする。
【0122】
A3 第2トランジスタT2と第3トランジスタT3との間の配線部分(第3ノードN3)は、第2キャパシタCprを介して、データ線DLjに接続されている。
【0123】
A3-1 これにより、
図5の「補償期間」にて、第2キャパシタCprまでにわたって、上記の第1ノードN1の電圧VN1(ELVDDh+Vth)が保持されるようにすることができる。
【0124】
A3-2 また、第1制御線CAL及び第2制御線CBLを通じて、第1トランジスタT1及び第3トランジスタT3をオフ状態にした後、データ線DLjからの電圧DDを、第1ノードN1の電圧VN1及び第3ノードN3を含む部分に書き込むことができる(
図6、書き込み期間)。
【0125】
A3-3 この書き込みの結果、第1ノードN1の電圧VN1は、下記のとおりとなる。ここで、「a」は、第1キャパシタCstと第2キャパシタCprとの間の容量比(数式2)であり、DDは、データ駆動部より印加されるデータ電圧Dijから、基準電圧Vsusを引いた値(数式1)である。
VN1=ELVDDh+Vth+a×DD (数式3)
【0126】
A3-4
図5の「補償期間」より前に、第2トランジスタT2のみオフにし、第2ノードN2及び第3ノードN3について、駆動電源線のローレベル(ELVDDl)の電圧にする(
図4、第1初期化期間)ことができる。この際には、第1制御線CALから第1キャパシタCstへと、ローレベルの制御電圧CAlが加えられるようすることで、駆動トランジスタT1をオン状態にしておく。
【0127】
A3-5
図6のデータ書き込みの後、発光期間より前に、有機発光素子の画素電極を、駆動電源線のハイレベル(ELVDDh)の電圧としておく(
図7、第2初期化期間)。この際も、第1初期化期間と同様にして、駆動トランジスタT1をオン状態にしておく。
【0128】
B データ書き込みの後の「発光期間」中に、発光不許期間を挿入する。そして、画素ごとに、各映像フレーム中、積算の駆動電流量(accumulated or integrated driving current)が変わらないようにして、発光許可期間における駆動電流のレベルを上げる。
【0129】
発光不許期間を実現するためには、下記B1~B3のいずれかとする。
【0130】
B1 駆動電源線(「第1電源電圧線ELVDDL」)からの電圧を、ローレベルにする(
図10)。
【0131】
B2 発光表示素子の共通電極(対向電極)に印加される電圧(第2電源電圧ELVSS)をハイレベルにする(
図11)。
【0132】
B3 第1制御線CALに、発光許可期間での制御電圧CAhよりも高いレベルの制御電圧CAvhを加えることにより、駆動トランジスタT1をオフ状態にする(
図12)。
【符号の説明】
【0133】
10 表示装置
11 タイミング制御部
12 データ駆動部
13 走査駆動部
14 画素部
15 共通電圧生成部