(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/04 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
F25D21/04 E
(21)【出願番号】P 2019138483
(22)【出願日】2019-07-29
【審査請求日】2022-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日井 正樹
【審査官】庭月野 恭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-156111(JP,A)
【文献】実開昭51-124269(JP,U)
【文献】特開平11-201620(JP,A)
【文献】特開2001-041637(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0187947(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵物を収容することが可能な少なくとも一つの貯蔵室と、
前記貯蔵室の一つである第1貯蔵室の前方に開口する開口部と、
前記開口部を加熱する開口部ヒータと、を備える冷却貯蔵庫であって、
前記開口部の開口縁の内側には、前記開口縁の左縁から右縁に亘って延びる横枠部が設けられ、
前記開口部ヒータは、
前記開口部のうち相対的に上側に位置する上側部分を加熱する第1加熱部と、
前記開口部のうち前記上側部分よりも相対的に下側に位置する下側部分を加熱する第2加熱部と、を備え、
前記第1加熱部は、前記開口縁の前記左縁及び前記右縁において上下方向に延び、
前記第1加熱部の発熱量は、前記第2加熱部の発熱量よりも低い発熱量であ
り、
前記第2加熱部は、前記横枠部の側方を上下方向に通る形で延び、
前記第1加熱部と前記第2加熱部との境界は、前記横枠部よりも上側に位置している冷却貯蔵庫。
【請求項2】
前記開口部の開口縁は、上側に位置する上側縁部分と、前記上側縁部分よりも相対的に下側に位置する下側縁部分と、を備え、
前記上側部分は、前記上側縁部分とされ、
前記下側部分は、前記下側縁部分とされる請求項1に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項3】
前記開口縁の内側には、前記開口縁の上縁から下縁に亘って延びる柱状の中枠部が設けられており、
前記中枠部は、
上側に位置する上側中枠部分と、
前記上側中枠部分よりも相対的に下側に位置する下側中枠部分と、を備え、
前記開口部ヒータは、
前記上側中枠部分を加熱する第1中枠加熱部と、
前記下側中枠部分を加熱する第2中枠加熱部と、を備え、
前記第1中枠加熱部の発熱量は、前記第2中枠加熱部の発熱量よりも低い発熱量である請求項2に記載の冷却貯蔵庫。
【請求項4】
貯蔵物を収容することが可能な少なくとも一つの貯蔵室と、
前記貯蔵室の一つである第1貯蔵室の前方に開口する開口部と、
前記開口部を加熱する開口部ヒータと、を備える冷却貯蔵庫であって、
前記開口部における開口縁の内側には前記開口部を複数に仕切る柱状の中枠部が設けられており、
前記中枠部は、前記開口縁の左縁から右縁に亘って延びる横枠部を備え、
前記開口部ヒータは、
前記開口縁を加熱する開口縁加熱部と、
前記中枠部を加熱する中枠加熱部と、を備え、
前記開口縁加熱部は、
前記開口部のうち相対的に上側に位置する上側部分を加熱する第1加熱部と、
前記開口部のうち前記上側部分よりも相対的に下側に位置する下側部分を加熱する第2加熱部と、を備え、
前記開口縁加熱部の発熱量は、前記中枠加熱部の発熱量よりも低い発熱量であ
り、
前記第1加熱部は、前記開口縁の前記左縁及び前記右縁において上下方向に延び、
前記第1加熱部の発熱量は、前記第2加熱部の発熱量よりも低い発熱量であり、
前記第2加熱部は、前記横枠部の側方を上下方向に通る形で延び、
前記第1加熱部と前記第2加熱部との境界は、前記横枠部よりも上側に位置している冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の冷却貯蔵庫として、例えば、下記特許文献1に記載の冷却貯蔵庫が知られている。この冷却貯蔵庫は、貯蔵庫本体と、機械室と、断熱扉と、結露防止ヒータと、を備えて構成されている。
【0003】
貯蔵庫本体は、前面開口の断熱箱体とされる。貯蔵庫本体の内部は貯蔵室とされ、機械室内には、貯蔵室内を冷却する冷凍ユニットが設けられている。断熱扉は貯蔵庫本体の前面開口に取り付けられ、結露防止ヒータは、貯蔵庫本体の前面開口の周縁部に埋設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、熱は下方側から上方側に向かう性質があることから、貯蔵庫本体の上部は周囲温度が高く、貯蔵庫本体の下部は周囲温度が低くなる温度勾配が生じる。この温度勾配により前面開口の周縁部における上部側の温度は、周縁部の下部側の温度よりも高くなる。これにより、結露防止ヒータを単純に作動させると、周縁部の上部側に位置する結露防止ヒータの温度は、結露防止のために必要な温度以上となり、結露防止ヒータの消費電力が増加する。また、周縁部の上部側が必要以上に加熱されることにより、周縁部の上部側の熱が庫内に伝わり易くなる。これに伴い、庫内の温度を一定に保つため、冷却貯蔵庫の運転率が増加し、消費電力がさらに増加することとなる。また、庫内における周縁部の上部側付近の温度が高くなり、庫内に温度ムラが発生することとなる。また、周縁部の上部側にユーザの手が接触すると、ユーザが熱いと感じて不快になるおそれがある。
【0006】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、消費電力の増加を抑制することが可能な冷却貯蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の冷却貯蔵庫は、貯蔵物を収容することが可能な少なくとも一つの貯蔵室と、前記貯蔵室の一つである第1貯蔵室の前方に開口する開口部と、前記開口部を加熱する開口部ヒータと、を備える冷却貯蔵庫であって、前記開口部ヒータは、前記開口部のうち相対的に上側に位置する上側部分を加熱する第1加熱部と、前記開口部のうち前記上側部分よりも相対的に下側に位置する下側部分を加熱する第2加熱部と、を備え、前記第1加熱部の発熱量は、前記第2加熱部の発熱量よりも低い発熱量である。
【0008】
一般的に、熱は下方側から上方側に向かう性質があることから、冷却貯蔵庫の上部は周囲温度が高く、冷却貯蔵庫の下部は周囲温度が低くなる温度勾配が生じる。この温度勾配により、開口部における相対的に上側に位置する上側部分の温度は、相対的に下側に位置する下側部分の温度よりも高くなる傾向にある。そこで、第1加熱部の発熱量を、第2加熱部の発熱量よりも低い発熱量とすることで、開口部における上側部分が必要以上に加熱されることを抑制できる。したがって、第1加熱部で消費される消費電力を低減でき、開口部ヒータの消費電力が増加することを抑制できる。また、開口部における上側部分の熱が庫内に伝わることを抑制できる。このため、冷却貯蔵庫の冷却運転率を低下でき、消費電力量の増加をさらに抑制できる。また、庫内における、開口部の上側部分付近の温度の上昇が抑えられるため、庫内の温度ムラを低減できる。また、ユーザの手が、開口部の上側部分に接触しても、熱いと感じて不快になることはない。
【0009】
また、前記開口部の開口縁は、上側に位置する上側縁部分と、前記上側縁部分よりも相対的に下側に位置する下側縁部分と、を備え、前記上側部分は、前記上側縁部分とされ、前記下側部分は、前記下側縁部分とされる構成としても良い。
【0010】
上述の温度勾配によって、開口縁における上側縁部分の温度は、下側縁部分の温度よりも高くなる。したがって、発熱量の低い第1加熱部が上側縁部分(上側部分)を加熱し、発熱量の高い第2加熱部が下側縁部分(下側部分)を加熱する構成とすることで、上側縁部分が必要以上に加熱されることを抑制できるとともに、開口部ヒータの消費電力が増加することを抑制できる。
【0011】
また、前記開口縁の内側には、前記開口縁の上縁から下縁に亘って延びる柱状の中枠部が設けられており、前記中枠部は、上側に位置する上側中枠部分と、前記上側中枠部分よりも相対的に下側に位置する下側中枠部分と、を備え、前記開口部ヒータは、前記上側中枠部分を加熱する第1中枠加熱部と、前記下側中枠部分を加熱する第2中枠加熱部と、を備え、前記第1中枠加熱部の発熱量は、前記第2中枠加熱部の発熱量よりも低い発熱量である構成としても良い。
【0012】
上述の温度勾配によって、上側中枠部分の温度は、下側中枠部分の温度よりも高くなる。したがって、発熱量の低い第1中枠加熱部が上側中枠部分を加熱し、発熱量の高い第2中枠加熱部が下側中枠部分を加熱する構成とすることで、上側中枠部分が必要以上に加熱されることを抑制できるとともに、開口部ヒータの消費電力が増加することを抑制できる。
【0013】
また上記課題を解決するために、本開示の冷却貯蔵庫は、他の構成として、貯蔵物を収容することが可能な少なくとも一つの貯蔵室と、前記貯蔵室の一つである第1貯蔵室の前方に開口する開口部と、前記開口部を加熱する開口部ヒータと、を備える冷却貯蔵庫であって、前記開口部における開口縁の内側には前記開口部を複数に仕切る柱状の中枠部が設けられており、前記開口部ヒータは、前記開口縁を加熱する開口縁加熱部と、前記中枠部を加熱する中枠加熱部と、を備え、前記開口縁加熱部の発熱量は、前記中枠加熱部の発熱量よりも低い発熱量であるものとすることができる。
【0014】
第1貯蔵室の開口部が扉等により閉じられ、庫内が冷却されると、開口縁の内側にある中枠部は、中枠部の後面に冷気が直に当たることから、開口縁よりも温度が低下する。このため、中枠加熱部の発熱量が中枠部の表面に発生しようとする結露を防止するのに必要な熱量となっている場合において、開口縁加熱部の発熱量が中枠加熱部の発熱量と同じ発熱量であると、開口縁が必要以上に加熱されることとなる。そこで、開口縁加熱部の発熱量を中枠加熱部の発熱量よりも、低い発熱量とすることで、開口縁が必要以上に加熱されることを抑制でき、開口部ヒータの消費電力が増加することを抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、消費電力の増加を抑制することが可能な冷却貯蔵庫を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
図1から
図3を参照して、実施形態1の冷却貯蔵庫10を説明する。
図1、
図2に示すように、冷却貯蔵庫10は、4ドア式の冷蔵庫であって、貯蔵庫本体12と、扉14と、機械室16と、開口部ヒータ20と、冷却装置18(
図2参照)と、を備えて構成されている。冷却装置18は、貯蔵庫本体12の内部を冷却する装置であって、圧縮機22と、凝縮器26と、冷却器28と、を備えて構成されている。以降の説明では、上下方向、左右方向、および前後方向は、
図1から
図3に図示される方向とする。
【0018】
図3に示すように、貯蔵庫本体12は、前方に開口する開口部12Aを有する断熱箱体であって、外箱30と内箱32とを備えて構成されている。
図2に示すように、外箱30と内箱32との間には、断熱材Mが発泡充填されている。貯蔵庫本体12の内部(すなわち、内箱32の内部)には、貯蔵物が収容される一つの貯蔵室(第1貯蔵室)34と、冷却器28が収容される冷却器室36と、が形成されている。貯蔵室34と冷却器室36とは、冷却ダクト40によって仕切られている。貯蔵室34には、貯蔵物が載置される複数の棚38が設けられている。
【0019】
冷却ダクト40の底壁には、吸込口42Aおよび吹出口42Bが設けられている。冷却器室36内における、吸込口42Aの上方には、循環ファン44が設けられている。冷却器28は、循環ファン44の後方側に配されている。
【0020】
図1、
図2に示すように、機械室16は、貯蔵庫本体12の上方に設けられている。
図2に示すように、冷却装置18を構成する圧縮機22および凝縮器26は、機械室16に収容されている。また、
図1に示すように、機械室16には電装箱50、および、オペレーションボックス52が収容されている。
【0021】
図1に示すように、機械室16の前面の一部には開口が設けられており、その開口から、オペレーションボックス52の前面が外部に露出している。オペレーションボックス52の前面には、表示画面54および複数の操作ボタン56が設けられている。表示画面54には、貯蔵室34の内部温度等の情報が表示される。各操作ボタン56は、ユーザの操作により、冷却貯蔵庫10の設定(例えば、貯蔵庫本体12の内部の温度設定)等を変更するためのボタンである。
【0022】
電装箱50およびオペレーションボックス52には、図示しない制御基板が収容されており、各制御基板は、通信回線により接続されている。各制御基板によって、冷却貯蔵庫10の各装置を電気的に制御する制御部(図示せず)が構成されている。
【0023】
冷却装置18を構成する各機器(圧縮機22、凝縮器26、および冷却器28)は、冷媒管によって循環接続されている。これによって、冷凍回路が構成されている。圧縮機22および凝縮器26は、冷媒の圧縮および凝縮を行う。圧縮および凝縮された冷媒は、減圧された状態で冷却器28内を通過する。このとき、冷却器28内を通過する冷媒と、冷却器28の周囲の空気とが熱交換され、冷気が生成される。
【0024】
貯蔵室34の庫内空気は、循環ファン44によって吸込口42Aから冷却器室36内に吸い込まれる。循環ファン44によって吸い込まれた庫内空気は、冷却器28によって冷却され、吹出口42Bから貯蔵室34内に吹き出される。これにより、貯蔵室34に収容された貯蔵物が冷却される。
【0025】
図3に示すように、開口部12Aにおける開口縁12Bの内側には、十字状をなし、開口部12Aを4つに仕切る中枠部58が設けられている。中枠部58は、角柱状をなし、開口縁12Bの上縁12E1から下縁12E2に亘って延びる縦枠部(中枠部)60と、角柱状をなし、開口縁12Bの左縁から右縁に亘って延びる横枠部62と、を備えて構成されている。開口縁12Bには、中枠部58の各端部と開口縁12Bの接合部を覆うための複数のL字部品64が設けられている。
【0026】
図1に示すように、扉14は、貯蔵庫本体12の開口部12Aに開閉可能に取り付けられており、左右一対の上扉14Aと、左右一対の下扉14Bと、を備えて構成されている。
図2に示すように、各扉14A、14Bの後面には、ドアパッキン66が取り付けられている。各扉14A、14Bが閉じられた際に、各扉14A、14Bのドアパッキン66が開口縁12Bの前面および中枠部58の前面に接することで、各扉14A、14Bと開口部12Aとの間はシールされる。
【0027】
図1に示すように、開口縁12Bにおける左右両縁には、各扉14A、14Bを軸支するヒンジ68がそれぞれ取り付けられている。ヒンジ68は、開口縁12Bの上部側に位置する上段ヒンジ68Aと、開口縁12Bの下部側に位置する下段ヒンジ68Cと、上段ヒンジ68Aと下段ヒンジ68Cとの間に位置する中段ヒンジ68Bと、を備えて構成されている。
【0028】
左右一対の上扉14Aは、上段ヒンジ68Aおよび中段ヒンジ68Bによってそれぞれ軸支されており、上段ヒンジ68Aおよび中段ヒンジ68Bの各軸を中心に回動することが可能となっている。同様に、左右一対の下扉14Bは、中段ヒンジ68Bおよび下段ヒンジ68Cによってそれぞれ軸支されており、中段ヒンジ68Bおよび下段ヒンジ68Cの各軸を中心に回動することが可能となっている。
【0029】
冷却装置18によって貯蔵庫本体12の内部が冷却されると、貯蔵庫本体12の庫内空気が固体化されることにより、開口縁12Bおよび中枠部58の表面に結露が発生することとなる。開口縁12Bおよび中枠部58の表面に発生しようとする結露は、開口部ヒータ20によって防止される。
【0030】
開口部ヒータ20は、部分的に巻き密度を変化させて発熱量を調整できる可変コードヒータとされ、
図1、
図3に示すように、開口縁12Bを加熱する開口縁加熱部70と、中枠部58を加熱する中枠加熱部72と、を備えて構成されている。
【0031】
開口部ヒータ20は、図示しない電源から電力が供給され、通電されることにより発熱する。開口部ヒータ20への通電のオン/オフ制御は、図示しない制御部によって行われる。例えば、冷却貯蔵庫10が冷却運転を行う際に、制御部によって開口部ヒータ20への通電がオンにされ、開口縁12Bおよび中枠部58が加熱される。
【0032】
開口縁加熱部70は、開口縁12Bの後面に貼り付け固定されており、貯蔵庫本体12における外箱30と内箱32との間に埋設されている。中枠加熱部72は、中枠部58の内面に貼り付け固定されている。
【0033】
図1、
図3に示すように、開口縁加熱部70は、単位メートルあたりの発熱量が1.0[W/m]である第1加熱部70Aと、単位メートルあたりの発熱量が1.5[W/m]である第2加熱部70Bと、を備えて構成されている。第1加熱部70Aは、開口縁12Bにおける相対的に上側に位置する上側縁部分(上側部分)12USを加熱する。第2加熱部70Bは、開口縁12Bにおける相対的に下側に位置する下側縁部分(下側部分)12LSを加熱する。
図1に示すように、上側縁部分12USと下側縁部分12LSとの境界位置BD1は、中段ヒンジ68Bよりもやや上側に位置している。
【0034】
中枠加熱部72は、単位メートルあたりの発熱量が2.5[W/m]である第1中枠加熱部72Aと、単位メートルあたりの発熱量が3.5[W/m]である第2中枠加熱部72Bと、を備えて構成されている。開口縁12Bの内側にある中枠部58の後面は、冷気が直に当たることから、中枠部58は開口縁12Bよりも温度が低下する。このため、中枠加熱部72の各部位(第1中枠加熱部72A、第2中枠加熱部72B)の発熱量(2.5[W/m]、3.5[W/m])は、開口縁加熱部70の各部位(第1加熱部70A、第2加熱部70B)の発熱量(1.0[W/m]、1.5[W/m])よりも全体的に高く設定されている。
【0035】
第1中枠加熱部72Aは、中枠部58における相対的に上側に位置する上側中枠部分58USを加熱する。第2中枠加熱部72Bは、中枠部58における相対的に下側に位置する下側中枠部分58LSを加熱する。ここで、上側中枠部分58USと下側中枠部分58LSとの境界位置BD2は、縦枠部60における、横枠部62よりもやや上側の位置に設けられており、境界位置BD1とほぼ同じ高さに設けられている。
【0036】
一般的に熱は下側から上側に向かう性質があることから、
図1に示すように、冷却貯蔵庫10の上部は周囲温度が高く、冷却貯蔵庫10の下部は周囲温度が低くなる温度勾配Sが生じる。開口縁12Bおよび中枠部58の温度は、冷却貯蔵庫10の外部の温度が伝わることにより変動することから、温度勾配Sによって、開口縁12Bにおける上側縁部分12USの温度は、下側縁部分12LSの温度よりも高くなる。同様に、中枠部58における上側中枠部分58USの温度は下側中枠部分58LSの温度よりも高くなる。
【0037】
ここで、上側縁部分12USを加熱する第1加熱部70Aの発熱量(1.0[W/m])は、下側縁部分12LSを加熱する第2加熱部70Bの発熱量(1.5[W/m])よりも低い発熱量であることから、第1加熱部の発熱量が第2加熱部の発熱量と同じ発熱量(1.5[W/m])である場合と比較して、上側縁部分12USが過度に加熱されることを抑制できる。
【0038】
同様に、上側中枠部分58USを加熱する第1中枠加熱部72Aの発熱量(2.5[W/m])は、下側中枠部分58LSを加熱する第2中枠加熱部72Bの発熱量(3.5[W/m])よりも低い発熱量であることから、第1中枠加熱部72Aの発熱量が第2中枠加熱部72Bの発熱量と同じ発熱量(3.5[W/m])である場合と比較して、上側中枠部分58USが過度に加熱されることを抑制できる。
【0039】
貯蔵庫本体12には、図示しないものの、中段ヒンジ68Bをネジで固定するためのネジ板が設けられている。開口縁12Bの中段ヒンジ68B付近は、このネジ板の影響により温度が低下し易く、結露し易い傾向にある。しかしながら、上述の通り、上側縁部分12USと下側縁部分12LSとの境界位置BD1は、中段ヒンジ68Bよりもやや上側に位置していることから、開口縁12Bの中段ヒンジ68B付近は、第1加熱部70Aよりも高い発熱量である第2加熱部70Bによって加熱されることとなる。これにより、中段ヒンジ68B付近が結露することが抑制される。
【0040】
次に実施形態1の効果について説明する。実施形態1によれば、一般的に、熱は下方側から上方側に向かう性質があることから、冷却貯蔵庫10の上部は周囲温度が高く、冷却貯蔵庫10の下部は周囲温度が低くなる温度勾配Sが生じる。この温度勾配Sにより、開口部12Aにおける相対的に上側に位置する上側部分(上側縁部分12US)の温度は、相対的に下側に位置する下側部分(下側縁部分12LS)の温度よりも高くなる傾向にある。そこで、第1加熱部70Aの発熱量を、第2加熱部70Bの発熱量よりも低い発熱量とすることで、開口部12Aにおける上側縁部分12USが必要以上に加熱されることを抑制できる。したがって、第1加熱部70Aで消費される消費電力を低減でき、開口部ヒータ20の消費電力が増加することを抑制できる。また、開口部12Aにおける上側縁部分12USの熱が庫内に伝わることを抑制できる。このため、冷却貯蔵庫10の冷却運転率を低下でき、消費電力量の増加をさらに抑制できる。また、庫内における、開口部12Aの上側縁部分12US付近の温度の上昇が抑えられるため、庫内の温度ムラを低減できる。また、ユーザの手が、開口部12Aの上側縁部分12USに接触しても、熱いと感じて不快になることはない。
【0041】
また、上述の温度勾配Sによって、開口縁12Bにおける上側縁部分12USの温度は、下側縁部分12LSの温度よりも高くなる。したがって、発熱量の低い第1加熱部70Aが上側縁部分(上側部分)12USを加熱し、発熱量の高い第2加熱部70Bが下側縁部分(下側部分)12LSを加熱する構成とすることで、上側縁部分12USが必要以上に加熱されることを抑制できるとともに、開口部ヒータ20の消費電力が増加することを抑制できる。
【0042】
上述の温度勾配Sによって、上側中枠部分58USの温度は、下側中枠部分58LSの温度よりも高くなる。したがって、発熱量の低い第1中枠加熱部72Aが上側中枠部分58USを加熱し、発熱量の高い第2中枠加熱部72Bが下側中枠部分58LSを加熱する構成とすることで、上側中枠部分58USが必要以上に加熱されることを抑制できるとともに、開口部ヒータ20の消費電力が増加することを抑制できる。
【0043】
<実施形態2>
図4から
図6を参照して、実施形態2の冷却貯蔵庫100を説明する。
図4、
図5に示すように、冷却貯蔵庫100は2ドア式の冷蔵庫であって、前方に開口部112Aを有する箱状の貯蔵庫本体112と、開口部112Aを加熱する開口部ヒータ120と、を備えて構成されている。
図5に示すように、貯蔵庫本体112の開口部112Aの内部は、貯蔵物を収容することが可能な一つの貯蔵室(第1貯蔵室)134が設けられている。
【0044】
図4、
図5に示すように、開口部112Aには、上下一対の扉114が開閉可能に取り付けられている。
図6に示すように、開口部112Aにおける開口縁112Bの内側には、左右方向に長い角筒状をなしており、開口部112Aを複数(2つ)に仕切る中枠部158が設けられている。
【0045】
開口部ヒータ120は、開口部112Aにおける開口縁112Bを加熱する開口縁加熱部170と、中枠部158を加熱する中枠加熱部172と、を備えて構成されている。
【0046】
開口縁加熱部170の単位メートルあたりの発熱量は1.5[W/m]とされ、中枠加熱部172の単位メートルあたりの発熱量は、3.5[W/m]とされる。開口縁加熱部170の発熱量は、中枠加熱部172の発熱量よりも低い発熱量となっている。
【0047】
次に実施形態2の効果について説明する。実施形態2によれば、貯蔵室(第1貯蔵室)134の開口部112Aが扉114等により閉じられ、庫内が冷却されると、開口縁112Bの内側にある中枠部158は、中枠部158の後面に冷気が直に当たることから、開口縁112Bよりも温度が低下する。このため、中枠加熱部172の発熱量(3.5[W/m])が中枠部158の表面に発生しようとする結露を防止するのに必要な熱量となっている場合において、開口縁加熱部170の発熱量が中枠加熱部172の発熱量と同じ発熱量であると、開口縁112Bが必要以上に加熱されることとなる。そこで、開口縁加熱部170の発熱量を中枠加熱部172の発熱量よりも、低い発熱量(1.5W/m)とすることで、開口縁112Bが必要以上に加熱されることを抑制でき、開口部ヒータ120の消費電力が増加することを抑制できる。
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0048】
(1)実施形態1、2の冷却貯蔵庫10、100は、冷蔵庫である構成としたが、例えば、冷却貯蔵庫は冷凍庫である構成としても良い。この際、開口部ヒータの発熱量は、実施形態1、2における開口部ヒータ20、120よりも高い発熱量に設定する。
【0049】
(2)実施形態1、2の冷却貯蔵庫10、100は、貯蔵室34、134が1つである構成としたが、貯蔵室34、134は少なくとも一つ設けられていれば良く、例えば、貯蔵室は2つ設けられる構成としても良い。この際、一方の貯蔵室は冷蔵庫とし、他方の貯蔵室は冷凍庫として用いても良い。
【0050】
(3)実施形態1の冷却貯蔵庫10は、中枠部58が設けられている構成としたが、例えば、中枠部を有さない冷却貯蔵庫である構成としても良い。
【0051】
(4)実施形態1、2の冷却貯蔵庫10、100における開口部ヒータ20、120は、開口縁12B、112Bおよび中枠部58、158をそれぞれ加熱する構成としたが、例えば、開口部ヒータは、開口縁を加熱せず、中枠部のみ加熱する構成としても良い。
【符号の説明】
【0052】
10、100: 冷却貯蔵庫
12、112: 貯蔵庫本体
12A、112A: 開口部
12B、112B: 開口縁
12US: 上側縁部分(上側部分)
12LS: 下側縁部分(下側部分)
12E1: 上縁
12E2: 下縁
14、114: 扉
14A: 上扉
14B: 下扉
16: 機械室
18: 冷却装置
20、120: 開口部ヒータ
22: 圧縮機
26: 凝縮器
28: 冷却器
30: 外箱
32: 内箱
34、134: 貯蔵室(第1貯蔵室)
36: 冷却器室
38: 棚
40: 冷却ダクト
42A: 吸込口
42B: 吹出口
44: 循環ファン
50: 電装箱
52: オペレーションボックス
54: 表示画面
56: 操作ボタン
58、158: 中枠部
58US: 上側中枠部分
58LS: 下側中枠部分
60: 縦枠部
62: 横枠部
64: L字部品
66: ドアパッキン
68: ヒンジ
68A: 上段ヒンジ
68B: 中段ヒンジ
68C: 下段ヒンジ
70、170: 開口縁加熱部
70A: 第1加熱部
70B: 第2加熱部
72、172: 中枠加熱部
72A: 第1中枠加熱部
72B: 第2中枠加熱部
BD1、BD2: 境界位置
S: 温度勾配