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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
   B67D 1/08 20060101AFI20231116BHJP
   F25C 1/147 20180101ALI20231116BHJP
   F25C 5/20 20180101ALI20231116BHJP
【FI】
B67D1/08 Z
F25C1/147 J
F25C5/20 304
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019158790
(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公開番号】P2021037969
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】大谷 輝彦
(72)【発明者】
【氏名】水谷 保起
(72)【発明者】
【氏名】西尾 正行
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-032171(JP,A)
【文献】特開2009-097780(JP,A)
【文献】特開2011-230774(JP,A)
【文献】特開平09-091528(JP,A)
【文献】特開2008-108171(JP,A)
【文献】特開2009-151441(JP,A)
【文献】特開2019-015446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 1/08
F25C 1/147
F25C 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体(11)の前面上部に設けられて前方に突出するフロントパネル(12)と、該フロントパネル(12)内に設けられて少なくとも氷を下方に放出する放出部(18)と、前記本体(11)の前面下部に設けられて前方に突出し、前記放出部(18)から放出される氷を受容する容器(13)の載置部(14)とが設けられた製氷機付きのディスペンサにおいて、
前記フロントパネル(12)と載置部(14)との間に画成される容器載置領域(S)の少なくとも前側を覆うカバー(40)が、前記本体(11)に開閉自在に配設されると共に、前記カバー(40)は、前記本体(11)に対して着脱し得るように構成され、
前記載置部(14)に係合部(39b)が設けられると共に、上面に容器(13)を載置可能な補助台(60,81)に前記係合部(39b)に係脱可能な被係合部(62,83)が設けられ、
前記係合部(39b)に被係合部(62,83)を係合して前記載置部(14)の上に装着した前記補助台(60,81)に容器(13)を載置することで、該容器(13)から前記放出部(18)までの離間間隔を変更し得る
ことを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
前記被係合部(83)は、前記係合部(39b)に係止する係止爪(83a)が設けられると共に、係合部(39b)に対する係止爪(83a)の係脱方向に弾性変形可能に構成され、
前記被係合部(83)を弾性変形して係止爪(83a)の係合部(39b)に対する係止を解除することで、前記補助台(81)を前記載置部(14)から離脱し得る請求項記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記補助台(60,81)に、別の補助台(60,81)の被係合部(62,83)が係脱可能な係合部(61,82)が設けられ、
前記載置部(14)上に複数の補助台(60,81)を多段で装着することが可能な請求項または記載のディスペンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、製氷機を備えたディスペンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、製氷機を備え、氷、氷と水、あるいは水を選択して抽出し得るディスペンサでは、特許文献1に開示されるように、本体前部に、下向きに開口する氷や水の放出部が設けられると共に、該放出部の下方に、コップ等の容器を置くための載置部が設けられている。そして、載置部に容器を載置したもとで、抽出ボタンを押すことで放出部から放出される氷や水が容器に受容されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-195308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記ディスペンサでは、載置部に容器を載置するため、該載置部と放出部との間の領域は前方に開放している。このため、氷や水の放出時に、容器に受容されなかった氷や水が外部に飛散してしまい、ディスペンサの周辺を濡らしてしまう不都合があった。また、前記領域は常に開放しているため、放出中の氷や水に利用者の手指が触れるおそれがあり、衛生的でない。また、外部から領域内に侵入した塵埃等が放出部や載置部に付着して汚れ易かった。
【0005】
すなわち本発明は、前述した従来技術に内在する前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、氷等が外部に飛散するのを防止すると共に、衛生的に使用することができるディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
本体の前面上部に設けられて前方に突出するフロントパネルと、該フロントパネル内に設けられて氷を下方に放出する氷放出部および水を下方に放出する水放出部と、前記本体の前面下部に設けられて前方に突出し、前記氷放出部および水放出部から放出される氷および水を受容する容器の載置部とが設けられた製氷機付きのディスペンサにおいて、
前記フロントパネルと載置部との間に画成される容器載置領域の少なくとも前側を覆うカバーが、前記本体に開閉自在に配設されると共に、前記カバーは、前記本体に対して着脱し得るように構成され、
前記カバーの開閉を検知する検知手段を、前記本体に対してカバーを閉じた際に相互に当接する当たり面と異なる部位に配置し、
前記検知手段がカバーの開放を検知した場合は、氷および水の放出が禁止されるよう構成されると共に、
前記検知手段がカバーの開放を検知した場合に、氷および水の放出の禁止を報知する報知手段を備えたことを要旨とする。
この構成では、放出部と載置部との間に画成される容器載置領域の少なくとも前側を覆うカバーを設けたので、放出部から放出された氷および水が外部に飛散するのをカバーによって防ぐことができ、ディスペンサの周辺が濡れるのを防止することができる。また、カバーによって外部から塵埃等が容器載置領域に侵入するのを抑制し得るので、容器載置領域が汚れるのを抑えることができる。更に、カバーは本体に対して着脱し得るので、カバーを取り外すことで、領域内およびカバーの洗浄やメンテナンス等が容易で、衛生的に使用することができる。
また、開閉体の閉成時に発生する衝撃や振動が検知手段に与える影響を小さくすることができ、誤検知や故障の発生を抑えることができる。また、カバーが開放した場合に氷および水の放出を禁止するよう構成したので、カバーの開放状態で氷や水が放出されることはなく、容器外に氷や水が飛散して周辺が濡れる不都合を回避できる。更に、報知手段によって、氷および水の放出が禁止された状態であることを利用者に容易に理解させることができると共に、故障によって放出ができなくなったと誤って判断されるのを抑制することができる。
【0008】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記検知手段を、前記カバーの開閉支点と当たり面との中間点よりも開閉支点側に偏って配置したことを要旨とする。
この構成では、開閉体が歪んだり変形したり、あるいは長期使用によって開閉支点部が摩耗して開閉体が全体的に傾いたとしても、検知手段による検知に与える影響は小さく、誤検知を抑制することができる。
【0009】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記検知手段は、前記カバーの開閉を非接触で検知し得ることを要旨とする。
この構成では、開閉体の開閉に際して検知手段は接触しないので、検知手段の使用寿命を延ばすことができる。
【0012】
本願には、次のような技術的思想が含まれている。
前記カバーは、前記本体に対して着脱可能な固定手段で取り付けられる支持部と、該支持部に回動自在に支持されて、前記容器載置領域の前側を覆う閉位置および開放する開位置の間で開閉する開閉体と、前記支持部に対して開閉体を閉位置に向けた閉成方向に付勢する付勢手段とを備え、
前記カバーに、前記付勢手段の取付部が複数箇所に設けられていることを要旨とする。
この構成では、付勢手段の取付部を複数設け、各取付部に対して付勢手段を着脱自在に取り付け得るよう構成したので、付勢手段の取付数を増減するだけで、開閉体が閉成するときの強度を調節することができる。
【0013】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項の発明に係るディスペンサは、
本体の前面上部に設けられて前方に突出するフロントパネルと、該フロントパネル内に設けられて少なくとも氷を下方に放出する放出部と、前記本体の前面下部に設けられて前方に突出し、前記放出部から放出される氷を受容する容器の載置部とが設けられた製氷機付きのディスペンサにおいて、
前記フロントパネルと載置部との間に画成される容器載置領域の少なくとも前側を覆うカバーが、前記本体に開閉自在に配設されると共に、前記カバーは、前記本体に対して着脱し得るように構成され、
前記載置部に係合部が設けられると共に、上面に容器を載置可能な補助台に前記係合部に係脱可能な被係合部が設けられ、
前記係合部に被係合部を係合して前記載置部の上に装着した前記補助台に容器を載置することで、該容器から前記放出部までの離間間隔を変更し得ることを要旨とする。
請求項の発明では、放出部と載置部との間に画成される容器載置領域の少なくとも前側を覆うカバーを設けたので、放出部から放出された氷が外部に飛散するのをカバーによって防ぐことができ、ディスペンサの周辺が濡れるのを防止することができる。また、カバーによって外部から塵埃等が容器載置領域に侵入するのを抑制し得るので、容器載置領域が汚れるのを抑えることができる。更に、カバーは本体に対して着脱し得るので、カバーを取り外すことで、領域内およびカバーの洗浄やメンテナンス等が容易で、衛生的に使用することができる。
また、載置部に補助台を装着することで、高さ寸法が短い容器に氷を受容する場合であっても、氷が飛び跳ねて容器外に飛散するのを抑制することができる。
【0014】
請求項に係る発明は、
前記被係合部は、前記係合部に係止する係止爪が設けられると共に、係合部に対する係止爪の係脱方向に弾性変形可能に構成され、
前記被係合部を弾性変形して係止爪の係合部に対する係止を解除することで、前記補助台を前記載置部から離脱し得ることを要旨とする。
請求項の発明では、補助台に設けた係止爪を載置部の係合部に係止するよう構成したので、補助台を載置部により安定して装着することができる。
【0015】
請求項に係る発明は、
前記補助台に、別の補助台の被係合部が係脱可能な係合部が設けられ、
前記載置部上に複数の補助台を多段で装着することが可能なことを要旨とする。
請求項の発明では、補助台を多段で装着し得るよう構成したので、容器の高さ寸法に応じて容器と放出部との離間距離を適正にすることができ、氷が飛び跳ねて容器外に飛散するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るディスペンサによれば、放出部から放出された氷が外部に飛散して周辺が濡れるのを防止することができる。また、カバーによって外部から塵埃等が容器載置領域に侵入するのを抑制して汚れるのを抑えることができる。更に、カバーは本体に対して着脱し得るので、領域内やカバーの清掃やメンテナンス等が容易で衛生的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1に係るディスペンサを示す概略斜視図である。
図2】実施例1に係るディスペンサを示す概略斜視図であって、フロントパネルを取り外した状態を示している。
図3】実施例1に係るディスペンサが備える製氷機を示す概略図である。
図4】実施例1に係るディスペンサを示す要部概略斜視図であって、本体とカバーとを分離した状態を示している。
図5】実施例1に係るディスペンサを示す要部概略斜視図であって、本体とカバーとを分離して取付け構造を示している。
図6】実施例1に係るカバーを示す要部概略斜視図である。
図7】実施例1に係るディスペンサの本体とカバーとを分離して取付け構造を示す要部概略斜視図である。
図8】実施例1に係るディスペンサの本体にカバーを取り付けた状態を示す要部概略斜視図である。
図9】実施例1に係るディスペンサの要部正面図である。
図10】実施例1に係るディスペンサにおける検出手段の配設部分を縦断して示す要部概略斜視図である。
図11】実施例1に係るディスペンサの制御ブロック図である。
図12】カップスタンドを斜め上から見た状態で示す概略斜視図である。
図13図12に示すカップスタンドを斜め下から見た状態で示す概略斜視図である。
図14図12に示すカップスタンドとスノコとを分離した状態で示す概略斜視図である。
図15図12に示すカップスタンドをスノコに装着した状態でディスペンサを縦断して示す要部側面図である。
図16図12に示すカップスタンドをスノコに装着した状態で縦断して示す正面図である。
図17】実施例2に係るディスペンサを、カバーを開放した状態で示す要部概略斜視図である。
図18】実施例2に係るカバーを示す概略斜視図である。
図19】実施例3に係るディスペンサの本体からカバーを取り外した状態で示す要部概略斜視図である。
図20】実施例4に係るディスペンサを、カバーを取り外した状態で示す要部概略斜視図である。
図21】実施例4に係る本体とカバーとの取付け構造を示す概略図である。
図22】実施例4に係るカバーの要部を裏側から示す概略斜視図である。
図23】実施例4に係るカバーの要部を表側から示す概略斜視図である。
図24】実施例4に係るカバーの支持部を本体に取り付けた状態を示す要部概略斜視図である。
図25】実施例5に係るディスペンサを、カバーを取り外した状態で示す要部概略斜視図である。
図26】実施例5に係るカバーの要部を示す概略側面図である。
図27】カップスタンドの別実施例を示す概略斜視図である。
図28】カップスタンドの別実施例を示す概略正面図である。
図29】別実施例のカップスタンドをスノコに装着した状態で縦断して示す正面図である。
図30】手動モードに切替え可能なディスペンサのコントロールパネルを示す説明図である。
図31】手動モードに切替え可能なディスペンサの制御回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明に係るディスペンサにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例1】
【0019】
図1に示す如く、実施例1のディスペンサ10は、矩形箱状の本体11の前面上部に、前方に突出するフロントパネル12が着脱自在に取り付けられると共に、本体11の前面下部に、コップ等の容器13が載置される載置部14が前方へ突出するように設けられている。前記本体11の内部に、図2図3に示す如く、製氷機15と、該製氷機15で製造された氷を貯留するストッカ16と、製氷機15を冷却する冷凍装置17が配設される。また、ストッカ16の前面側に、ストッカ16からの氷を下方へ放出可能な氷放出部(放出部)18と、水(飲料水)を下方へ放出可能な水放出部(放出部)19とが位置しており、これら氷放出部18および水放出部19を前側から覆うように前記フロントパネル12が配設されて、該氷放出部18および水放出部19はフロントパネル12内に位置している。フロントパネル12は下方に開放し(図15参照)、氷放出部18および水放出部19の放出口は、前記載置部14の上方に臨んでおり、該氷放出部18および水放出部19から放出される氷や水は、載置部14に載置された容器13に受容される。
【0020】
図1に示す如く、前記フロントパネル12には、利用者が操作可能な各種のボタンを備えたコントロールパネル20が設けられている。コントロールパネル20には、氷のみの抽出を選択する氷選択ボタン21と、氷と水の両方の抽出を選択する氷水選択ボタン22と、水のみの抽出を選択する水選択ボタン23と、選択ボタン21,22,23で選択した種類の抽出物を抽出(放出)するための抽出ボタン24とが設けられている。図11に示す如く、コントロールパネル20は、ディスペンサ10を制御するための制御手段25に接続されており、抽出ボタン24を操作することで、制御手段25は、後述する抽出機構34,37を作動制御して、選択ボタン21,22,23で選択されている抽出物を放出部18,19から放出するよう構成される。なお、コントロールパネル20には、選択ボタン21,22,23および抽出ボタン24の夫々に対応してスイッチが設けられ、該スイッチによって操作されたボタン21,22,23,24の操作が検知される。また、コントロールパネル20には、選択ボタン21,22,23および抽出ボタン24の夫々に対応してLED等のランプ21a,22a,23a,24aが設けられ、選択ボタン21,22,23に対応する選択ランプ21a,22a,23aの点灯によって、選択されている抽出物の種類を報知するよう構成される。また、抽出ボタン24に対応する報知手段としての抽出ランプ24aは、点灯によって抽出可能な状態であることを報知するよう構成される。
【0021】
前記本体11の内部に配設される製氷機15として、実施例1ではオーガ式製氷機15が用いられている。オーガ式製氷機15は、図3に示す如く、冷却器26が外周に巻回された冷凍ケーシング27を備えた製氷部28と、この製氷部28の冷却器26と共に冷凍サイクルを構成するコンデンサ、コンプレッサ、膨張弁(何れも図示せず)等を冷媒配管にて順次接続した前記冷凍装置17とを備える。冷凍ケーシング27には製氷水タンク29から製氷水が所定レベルで供給され、冷凍装置17によって冷凍ケーシング27が強制冷却されることで、製氷水がケーシング内壁面から徐々に氷結を始め、層状の薄氷が形成されるようになっている。また、冷凍ケーシング27の内部にはメカニカルシール30を介してオーガ31が回転自在に支持され、該オーガ31を図示しないオーガモータにより回転駆動することにより、ケーシング内壁面に氷結する薄氷を、オーガ31で削り取りつつ上方に移送するよう構成される。
【0022】
前記オーガ31により削り取られつつ上方に移送されるフレーク状氷が、押圧頭32を通過する過程で圧縮されて水分が除去されることで圧縮された氷が製造され、この得られた氷が、前記冷凍ケーシング27の上部に配設された前記ストッカ16に放出貯氷される。ストッカ16内には、前記オーガ31に連結された撹拌手段としてのアジテータ33が回転可能に配設されており、該アジテータ33はオーガ31と共に回転して、ストッカ16内に貯氷されている氷を撹拌するよう構成される。また、ストッカ16と前記氷放出部18との間の氷誘導路に氷抽出機構としてのシャッタ装置34が配設されており、前記氷選択ボタン21または氷水選択ボタン22の何れかが選択されている場合に、前記抽出ボタン24の操作によって氷誘導路を開放するようにシャッタ装置34が作動して、ストッカ16に貯留されている氷は、氷誘導路を介して氷放出部18に誘導され、該氷放出部18から外部に放出される。なお、氷を放出する場合の抽出ボタン24の操作時には、前記オーガ31およびアジテータ33が回転するよう構成される。
【0023】
ここで、前記製氷水タンク29の内部にフロートスイッチが配設されると共に、製氷水タンク29に水(製氷水)を供給する外部水道源に接続する給水管に給水バルブが介挿されており、フロートスイッチおよび給水バルブは、前記制御手段25に接続されている。そして、制御手段25は、フロートスイッチが下限水位を検知すると給水バルブを開放して製氷水タンク29に給水すると共に、フロートスイッチが上限水位を検知すると給水バルブを閉成して製氷水タンク29への給水を停止して、製氷水タンク内の水量を制御するよう構成される。また、前記冷凍ケーシング27には、該ケーシング27や製氷水タンク29等からなる水回路に貯留されている製氷水を機外に排出する排水管が接続されると共に、該排水管には排水バルブが介挿されており、該排水バルブは制御手段25に接続されている。制御手段25は、製氷水の水質を維持するため、排水タイマに設定された排水時間が経過する毎に、排水バルブを開放して水回路に貯留されている製氷水を排水するよう構成される。
【0024】
図2に示す如く、前記本体11の内部に、水タンクまたは外部水道源に繋がる飲料管36が配設されると共に、該飲料管36に配設した給水弁37より下流側に前記水放出部19が接続されている。そして、前記氷水選択ボタン22または水選択ボタン23の何れかが選択されている場合に、前記抽出ボタン24の操作によって給水弁37を開放することで、水タンクまたは外部水道源からの水が水放出部19から外部に放出される。実施例1では、飲料管36と給水弁37とにより水抽出機構を構成している。水抽出機構の給水弁37および前記氷抽出機構としてシャッタ装置34は、前記制御手段25に接続されている。そして、制御手段25は、前記選択ボタン21,22,23での選択状態に応じてシャッタ装置34や給水弁37を作動制御することで、氷のみ、氷と水、水のみの何れかを抽出(放出)するよう構成される。
【0025】
図1図3に示す如く、前記載置部14は、前記本体11から前方に突出すると共に、上方に開放する凹部38aが形成されたドレンパン38と、該ドレンパン38に着脱自在に配設されるスノコ39とから構成され、スノコ39の上面に容器13が載置される。スノコ39には、上下方向に貫通する複数の通孔39aが複数の桟部材39bにより形成されており、該桟部材39bが、後述するカップスタンド60に設けた被係合部62が係脱自在な係合部として機能する(図16参照)。ここで、前記フロントパネル12および載置部14(スノコ39)の間のスペースが、前記放出部18,19からの氷や水を容器13に受容する際の容器載置領域Sとなる。また、実施例1では、フロントパネル12と載置部14との間に臨む本体11の前部は、左右方向に延在する前壁部44と、該前壁部44の左右端部において前方に延出する左側壁部49および右側壁部50とから後側に凹む形状に形成されている。
【0026】
前記本体11に、前記フロントパネル12と載置部14との間に画成される前記容器載置領域Sの少なくとも前側を覆うことが可能なカバー40が開閉自在に配設されている。実施例1では、本体11とカバー40とで、容器載置領域Sの略全体を囲繞可能に構成される。このカバー40は、図4図5に示す如く、本体11に取り付けられる支持部41と、該支持部41に対してヒンジ部42を介して回動自在に支持された開閉体43とを備える。支持部41には、厚み方向に貫通する複数(実施例1では2つ)の通孔41aが上下方向に離間して形成されると共に、容器載置領域Sの背面を画成する本体11の前壁部44に、各通孔41aに対応する位置にネジ孔44aが形成されている。そして、前壁部44の前面に支持部41の後面を当接した状態で、各通孔41aにツマミ付きボルト45のネジ部45aを前側から挿通し、該ネジ部45aを対応するネジ孔44aに螺挿することで、支持部41が本体11に固定される。ツマミ付きボルト45は、ネジ部45aの一端に手指で操作可能なツマミ45bが設けられた固定手段であって、工具を用いることなくツマミ45bを手指で把持して回転することでネジ孔44aにねじ込んだり取り外すことができる。すなわち、カバー40は、本体11に対して工具を用いることなく着脱可能な固定手段であるツマミ付きボルト45により取り付けられており、該カバー40は、本体11に対して工具を用いることなく着脱し得るよう構成される。なお、支持部41を本体11に取り付ける構成部(通孔41a、ネジ孔44a、ツマミ付きボルト45)は、1つ以上であればよいが、数が多いと取り付けや取り外しに際して時間が掛かるので、1~4つが適当である。
【0027】
図4図7に示す如く、前記支持部41の一側には、該支持部41の後面を本体11の前壁部44に向けた状態で、前記左側壁部49に向けて突出する差込み片46が上下方向に離間して複数(実施例1では2つ)設けられると共に、上側の差込み片46より上側および下側の差込み片46より下側に、左側壁部49に向けて突出する端部に側方に向けて突出する掛止め部47aを備えた掛止め片47が夫々設けられている。また、本体11における左側壁部49の内部に、支持部41の差込み片46および掛止め片47が挿通可能な挿通口48a,48bが形成された板金部材48が設けられると共に、本体11の左側壁部49に、板金部材48の各挿通口48a,48bに対応する開口部49a,49bが夫々形成されている(図4参照)。そして、支持部41は、差込み片46および掛止め片47を、左側壁部49の開口部49a,49bを通して板金部材48の挿通口48a,48bに挿通すると共に、掛止め片47の掛止め部47aを板金部材48に係止することで、本体11に対して支持部41が位置決めされるよう構成される(図8参照)。そして、差込み片46と掛止め片47とにより本体11に対して支持部41を位置決めしたもと、該支持部41がツマミ付きボルト45によって本体11に固定される。
【0028】
図6図7に示す如く、前記支持部41における前記差込み片46および掛止め片47が設けられる一側には、上下方向に離間して一対の支持片部51,51が設けられると共に、各支持片部51には上下に貫通する支持孔が形成されている。また、前記カバー40の前記開閉体43には、一側に、上下方向に貫通する軸孔が形成された筒状部52が設けられており、該筒状部52を支持片部51,51の間に配置したもとで、支持軸53を支持孔および軸孔に挿通することで、支持部41に対して開閉体43は、支持軸53を開閉支点として前後方向に回動可能に支持される。そして、開閉体43は、前記容器載置領域Sの前方および左右側方を覆う閉位置(本体11と共に容器載置領域Sを囲繞する位置)と、容器載置領域Sの前方を開放する開位置との間を開閉可能に構成される。なお、支持軸53は、Eリング等の抜止め部材によって支持孔および軸孔に対して抜け止めされている。実施例1では、支持部41の支持片部51と、開閉体43の筒状部52と、支持軸53とから、支持部41に対して開閉体43を開閉自在に支持するヒンジ部42が構成される。
【0029】
図6図7に示す如く、前記筒状部52には、上下方向に離間した複数箇所(実施例1では4箇所)に付勢手段としての捻りコイルバネ54を着脱可能な取付部52aが設けられている。捻りコイルバネ54は、円筒状のコイル部54aと、該コイル部54aの両端から夫々突出する係止部54b,54bを備え、各取付部52aに位置する支持軸53にコイル部54aが巻回された状態で、一方の係止部54bが筒状部52に係止されると共に他方の係止部54bが支持部41に係止される。そして、支持部41に対して開閉体43は、捻りコイルバネ54によって前記閉位置に向かう閉成方向に付勢される。なお、取付部52aは、支持軸53にコイル部54aを巻回した捻りコイルバネ54の両係止部54b,54bが、筒状部外に延出するのを許容する開口を設けた部分である。実施例1では、筒状部52に対する捻りコイルバネ54の取付数を変えることで、支持部41に対する開閉体43の閉成方向への付勢力を可変し得るよう構成される。
【0030】
前記開閉体43は、図1図4に示す如く、前記フロントパネル12と載置部14との間において前記前壁部44の前方に画成される前記容器載置領域Sの略全体を覆い得る形状および寸法に設定された部材である。実施例1の開閉体43は、前記本体11に対する閉位置において、容器載置領域Sの左右方向に延在する前板43aと、該前板43aの上下の端縁から前壁部44に向けて延出する上板43bおよび下板43cと、前板43aの左右の端部から前壁部側に向けて延出する左側板43dおよび右側板43eとから前壁側に向けて開放する略箱状に形成されている。そして、左側板43dの延出端に前記筒状部52が設けられている。また、開閉体43の開閉支点(支持軸53)とは反対の右側板43eには、延出端に緩衝材としてのクッションゴム55が設けられ、閉位置において該クッションゴム55が本体11における前記右側壁部50の前面に当接するよう構成される。更に、開閉体43には、操作者が開閉する際の便宜のため、右端部に把手56が設けられている。
【0031】
前記開閉体43の前板43aは、図1に示す如く、閉成置において、前記フロントパネル12の前面形状に合わせた形状に形成されており、閉位置においてフロントパネル12から略連続して出っ張りがなく、見栄えが良い形状とされている。また、開閉体43の材質として、透明またはスモークのかかった半透明の合成樹脂が採用されており、容器載置領域Sの前記スノコ39に置いた容器13へ氷や水が放出される状態を、開閉体43の外方から視認し得るようになっている。なお、開閉体43は、全体が透明や半透明である必要はなく、容器13へ氷や水が放出される状態を外方から視認し得る一部の領域のみを透明や半透明に形成してもよい。
【0032】
図9に示す如く、前記開閉体43の上下方向の長さは、容器載置領域Sの上下方向の寸法より短かく設定されて、該開閉体43の下端と前記載置部14(スノコ39)の上面との間に隙間Nを形成している。この隙間Nは、開閉体43の閉位置において、カバー40と本体11とで囲繞された容器載置領域Sの内部と外部との空気の流通を許容して、容器載置領域S内の温度や湿度が高くなるのを抑制するべく機能する。なお、前記隙間Nの高さ寸法は、氷が飛び出さない程度に設定される。
【0033】
図10に示す如く、前記フロントパネル12およびカバー40に、該カバー40の開閉を検知する検知手段57が設けられる。検知手段57は、フロントパネル12に設けられる検知部としてのリードスイッチ58と、前記開閉体43に設けられる被検知部としての磁石59とを備え、開閉体43の閉位置において、リードスイッチ58が非接触で磁石59を検知することで、カバー40(開閉体43)が閉成状態(閉位置)であることを検知するよう構成される。リードスイッチ58は、前記制御手段25に接続されており、該制御手段25は、リードスイッチ58が磁石59を検知する状態で、カバー40が閉成状態(閉位置)であると判定すると共に、リードスイッチ58が磁石59を検知していない状態で、カバー40が開放状態であると判定する。また、検知手段57は、開閉体43の閉位置において、該開閉体43の右側板43e(クッションゴム55)と本体11の右側壁部50とが当接する当たり面より開閉支点側に偏った位置(実施例1では開閉支点と当たり面との中間点(開閉体43の左右方向の中間)よりも開閉支点側に偏った位置)に配置される。すなわち、検知手段57は、本体11に対してカバー40の開閉体43を閉じた際に相互に当接して、衝撃や振動を直接受ける当たり面とは異なる部位に配置される。具体的に、開閉体43の上板43bに磁石59が配設されると共に、フロントパネル12の内部下端に、リードスイッチ58が配設される。フロントパネル12の下面と上板43bの上面との間は閉位置で接触しないよう構成されて、リードスイッチ58は、非接触で磁石59を検知し得るよう構成される。
【0034】
ここで、前記制御手段25は、前記カバー40(開閉体43)が閉成状態であることを検知手段57が検知している場合に、前記抽出ボタン24の操作を有効として、選択ボタン21,22,23で選択されている種類の抽出物を放出するよう前記シャッタ装置34や給水弁37を動作制御する一方で、カバー40(開閉体43)が閉成状態であることを検知手段57が検知していない場合、すなわちカバー40(開閉体43)が開放状態である場合は、抽出ボタン24の操作を無効として、抽出物の放出を禁止するよう構成される。具体的に、カバー40(開閉体43)が開放状態で、抽出ボタン24を操作しても抽出物の放出を行わないと共に、検知手段57が閉成状態を検知している状態で抽出ボタン24の操作により開始された抽出物の放出中に、検知手段57が閉成状態を検知しなくなった場合には抽出物の放出を停止する。また、制御手段25は、検知手段57がカバー40(開閉体43)の閉成状態を検知している場合は、抽出ボタン24に対応する抽出ランプ24aを点灯して抽出物の放出が可能であることを報知する一方で、検知手段57がカバー40(開閉体43)の閉成状態を検知していない場合は、抽出ランプ24aを点滅するように状態を切り替えることで、抽出物の放出が禁止されたことを報知するよう構成される。なお、抽出ランプ24aにより抽出物の放出が禁止されたことを報知する状態としては、点滅に限らず、消灯あるいは点灯色を異ならせる(例えば、緑から赤に切り替える)状態等を採用することができる。実施例1では、検知手段57が閉成状態を検知していない状態は、検知手段57がカバー40の開放を検知している状態と同意である。
【0035】
前記スノコ39には、前記放出部18,19から容器13までの高さを調節可能な補助台としてのカップスタンド60が着脱自在に装着可能に構成される。カップスタンド60は、図12図13に示す如く、円筒状の本体部61と、該本体部61の内周面から下方に突出する複数の被係合部62とを備え、複数の被係合部62をスノコ39の対応する通孔39aに、本体部61の下面(設置面)61aがスノコ39の上面に当接するまで挿通することで、スノコ39に対してカップスタンド60が装着される。複数の被係合部62は周方向に離間して設けられると共に、隣り合う被係合部62,62間に対応する本体部61には設置面61aから上方に所定長さで延在する切込み部61bが形成されて、各被係合部62を本体部61に対して径方向に弾性変形可能に構成される。複数の被係合部62は、スノコ39の対応する通孔39aに上方から挿通した際に、弾性変形することでスノコ39の通孔39aを画成する桟部材39bの側面に弾力的に当接して、スノコ39に対して安定して装着可能に構成される。なお、スノコ39にカップスタンド60を装着した状態で被係合部62が桟部材39bに当接する弾性力は、容器13をカップスタンド60に置いたり取ったりするときの多少の接触ではカップスタンド60がスノコ39から外れないが、それより強い力を加えることでカップスタンド60をスノコ39から取り外せる値に設定される。
【0036】
前記カップスタンド60には3つの被係合部62が設けられ、該3つの被係合部62をスノコ39の対応する通孔39aに挿通することで、当該カップスタンド60の前後および左右が規定されるよう構成される。そして、スノコ39に装着したカップスタンド60における本体部61の後側の壁に、図12図15に示す如く、所定範囲で上方に突出するガイド部61cが設けられ、カップスタンド60に載置された容器13が、前記氷放出部18や水放出部19から放出される氷や水が受容できなくなる奥側に置かれるのをガイド部61cで規制するよう構成される。また、カップスタンド60の本体部61には、スノコ39に装着した状態での後側に、後方に延出するリブ61dが設けられ、該リブ61dが前記前壁部44の前面に当接するよう構成される。
【0037】
図12図14図16に示す如く、前記カップスタンド60における本体部内の上部に、複数の桟部材63によって前記スノコ39における被係合部62が挿通される複数の通孔39aと同じ形態で通孔64が形成されており、同一形状のカップスタンド60を、被係合部62によってカップスタンド60の上側に装着し得るよう構成される。すなわち、容器13の高さ寸法の違いに応じて、スノコ39の上に複数のカップスタンド60を多段で重ねて装着し得るよう構成される。なお、カップスタンド60では、桟部材63との間で通孔64を形成する本体部61の内周面に、上側に装着されるカップスタンド60の被係合部62が弾力的に当接係合するものであって、該本体部61が係合部として機能する。
【0038】
〔実施例1の作用〕
次に、実施例1に係るディスペンサの作用について説明する。
【0039】
実施例1のディスペンサ10では、前記容器載置領域Sを本体11と共に囲繞するカバー40を配設したので、該カバー40を閉成しておけば、外部からの容器載置領域Sの載置部14や前記放出部18,19への人の接触を防止すると共に、外部からの塵埃等の容器載置領域Sへの侵入を抑制することができ、容器載置領域Sを衛生的に保って氷や水を抽出することができる。また、氷や水の飛び散りを防止し、利用者の衣服や周辺が濡れる不都合を回避することができる。更に、カバー40の開閉体43は、前記捻りコイルバネ54の付勢力によって自動で閉成するので、開閉体43が開放したままとならず、容器載置領域Sを衛生的に保つことができる。また、開閉体43は自動で閉じるので、利用者が容器13を持った状態で閉成する操作を省略でき、容器13に受容されている氷や水等をこぼすことを少なくすることができる。また、カバー40を閉成しても、図9に示す如く、前記開閉体3と載置部14との間に隙間Nを形成して容器載置領域Sの内部と外部との空気の流通を可能に構成したので、容器13に受容されることなく飛散した氷や水によって容器載置領域S内が濡れた状態や湿った状態のままになるのを防ぐことができると共に、製氷機15のオーガモータ等から発生して本体11の隙間から容器載置領域Sに入ってしまった温かい空気が容器載置領域S内にこもってしまうのを防ぐことができる。
【0040】
前記カバー40における開閉体43の前面形状を、図1に示す如く、前記フロントパネル12の前面形状に合わせたので出っ張りがなく、カバー40の上面に塵埃が溜り難いので汚れ難く、衛生的に保つことができる。また、開閉体43における本体11との当たり面となる部位にクッションゴム55を設けたので、該開閉体43が閉成したときの音を小さくできると共に、開閉体43に加わる衝撃も小さくして耐久性を向上することができる。
【0041】
実施例1のディスペンサ10では、前記カバー40を本体11から取り外すことで、前記容器載置領域Sの全体を開放することができるので、容器載置領域Sに位置する載置部14や放出部18,19および本体11(前壁部44、左右の側壁部49,50)を容易に洗浄することができる。また、取り外したカバー40も外部で洗浄し得るので、清潔にでき衛生的である。更に、カバー40は、工具を必要としないツマミ付きボルト45で本体11に取り付けられているので、カバー40を取り外す作業が容易であり、また取り付ける際の作業も容易である。従って、作業者がカバー40を取り外すことを煩わしいと感じることで、洗浄作業の間隔が長くなるのを抑えることができ、ディスペンサ10を衛生的に保つことができる。
【0042】
実施例1のディスペンサ10では、前記カバー40の開閉を検知する検知手段57を、前記開閉体43と本体11との当たり面と開閉支点との中間より開閉支点側に偏って配置したので、開閉体43が歪んだり変形したり、あるいは長期使用によってヒンジ部42が摩耗して開閉体43が全体的に傾いたとしても、検知手段57による検知に与える影響は小さく、誤検知を抑制することができる。また、検知手段57の配設位置は、本体11と開閉体43との当たり面から離間しているので、開閉体43の閉成時に発生する衝撃や振動が検知手段57に与える影響は小さく、誤検知や故障の発生を抑えることができる。また、検知手段57は、非接触でカバー40の開閉を検知するよう構成したので、使用寿命を延ばすことができる。更に、検知手段57のリードスイッチ58をフロントパネル12の内部に設けると共に、該リードスイッチ58により検知される磁石59を、開閉体43の閉位置においてフロントパネル12の下側に隠れる位置に設けたので、開閉体43の閉位置では検知手段57が外部から見えず、見栄えが損なわれることもない。また、本体11から取り外すことが可能なカバー40に電気部品ではない磁石59を設けているので、カバー40に磁石59を付けたまま全体を洗浄することができる。
【0043】
実施例1のディスペンサ10では、前記検知手段57がカバー40の閉成状態を検知しなくなった場合(検知手段57がカバー40の開放を検知した場合)には、抽出物の放出を禁止するよう構成したので、カバー40の開放状態で氷や水が放出されることはなく、容器外に氷や水が飛散して利用者の衣服や周辺が濡れる不都合を回避できる。また、カバー40の開放状態では氷や水を放出しないので、放氷中の氷や水に利用者の手指が触れるのを防ぐことができ、衛生的である。更に、氷や水の放出中であっても、カバー40の開放を検知手段57が検知すると氷や水の放出を停止するので、前記載置部14やカップスタンド60に対する容器13の載置位置がずれて、氷や水が容器13に入らない場合は、直ぐにカバー40を開放して氷や水の放出を停止することで、氷や水が無駄になるのを防ぐことができる。また、実施例1のディスペンサ10では、カバー40の開閉によって氷や水の放出を制御するものであって、ソレノイドなどを用いたロック機構を使用してカバー40を強制的に開放しない構成を採用するものではないので、コスト上昇を抑えることができると共に、故障の発生も抑制できる。
【0044】
また、前記カバー40の開放を検知手段57が検知して氷や水の放出が禁止された場合は、前記抽出ランプ24aの状態を点灯から点滅に切り替えるように構成したので、抽出ランプ24aの状態の変化によって、氷や水の放出が禁止された状態であることを利用者に容易に理解させることができると共に、故障によって放出ができなくなったと誤って判断されるのを抑制することができる。更に、氷や水の放出が禁止されたことを報知する報知手段として、既存の抽出ランプ24aを用いたので、別途専用のランプ等を追加するなどしてコストが上昇するのを抑えることができる。
【0045】
実施例1のディスペンサ10では、前記載置部14にカップスタンド60を着脱自在に装着し得るよう構成したので、載置部14に容器13を直に載置した場合に該容器13と前記放出部18,19との離間距離が大きく氷や水が飛び跳ねて容器外に飛散するおそれのある高さ寸法の容器13を用いる場合は、載置部14にカップスタンド60を装着して、該カップスタンド60に容器13を載置するようにすれば、放出部18,19と容器13との離間距離を小さくして氷や水の飛び跳ねを防ぐことができる。また、カップスタンド60は、同一形状のものを多段で装着し得るようにしたので、容器13の高さ寸法に応じて容器13と放出部18,19との離間距離が適正となる数だけカップスタンド60を装着して対応することができ、高さ寸法の異なるカップスタンド60を用意する必要もない。また、カップスタンド60の後側の壁にガイド部61cを設け、放出部18,19から放出される氷や水が受容できなくなる奥側に容器13が置かれるのを規制するようにしたので、氷や水が容器外に飛散するの防ぐことができる。また、カップスタンド60に、図15に示す如く、載置部14や別のカップスタンド60に装着した状態で前記前壁部44の前面に当接するリブ61dを設けたので、カップスタンド60を押したり接触したときに該カップスタンド60が傾いて載置部14や別のカップスタンド60から離脱してしまうことを抑制することができる。
【0046】
前記カップスタンド60は、載置部14におけるスノコ39の通孔39aや別のカップスタンド60の通孔64に、被係合部62を挿通して弾性によって装着状態に維持する簡単な構成としたので、該カップスタンド60の着脱が容易であり、カップスタンド60のみを取り外して単品で簡単に洗浄することができるので、衛生的である。また、カップスタンド60の本体部61に切込み部61bを形成して、被係合部62を弾性変形し易くしてあるので、被係合部62が塑性変形しない範囲で被係合部62がスノコ39や別のカップスタンド60の係合部(桟部材39bや本体部61)に対して強い力で当接させることができ、カップスタンド60の装着状態を維持することができる。
【0047】
実施例1のディスペンサ10では、前記支持部41に対して開閉体43を閉成方向に付勢する捻りコイルバネ54の取付部52aを複数設け、各取付部52aに対して捻りコイルバネ54を着脱自在に取り付け得るよう構成したので、捻りコイルバネ54の取付数を増減することで、開閉体43が閉成するときの強度を調節することができる。すなわち、カバー40の重量や形状が変更になる設計変更などが生じても、捻りコイルバネ54の取付数を変更することで対応できるので、捻りコイルバネ54や捻りコイルバネ54の取付け構造などを変更する必要がなく、設計変更に簡単に対応し得る。また、開閉体43を閉成する強度を変更する場合に、捻りコイルバネ54の強度変更やカバー40の設計変更を行うなどの必要がなく、試作などを行って捻りコイルバネ54の強度を確認し変更するなどの設計期間を省略することができる。また、開閉体43が閉成するときの強度の調節は、同じ捻りコイルバネ54の取付数のみを変更することで対応し得るので、強度の異なる捻りコイルバネを用意する必要はなく、コストを抑えることができる。なお、他の製品の捻りコイルバネを使用できるように設計すれば、部品の共通化で更にコストを抑えることができる。
【0048】
図17図26は、前記本体11に対するカバーの取付け構造が異なるディスペンサの別の実施例(実施例2~実施例5)を示すものであって、別の実施例については、実施例1と異なる構成部分につき説明し、同一および同種の部分には同じ符号を付して詳細説明は省略するものとする。また、別の実施例(実施例2~実施例5)においても、実施例1と同様の作用効果を奏するが、その記載については省略し、別の実施例(実施例2~実施例5)に特有の作用効果のみを記載する。
【実施例2】
【0049】
図17に示す実施例2のディスペンサ65は、カバー40における前記開閉体43を回動自在に支持する支持部66が、複数(実施例2では4つ)のツマミ付きボルト45によって前記本体11の前壁部44に固定される。実施例2の支持部66は、図18に示す如く、矩形状の背板66aと、該背板66aの周縁から前方に延出する上板66b、下板66c、左側板66dおよび右側板66eから構成されて、前方に向けて開放する略箱状に形成されており、背板66aに形成した通孔66fに挿通したツマミ付きボルト45のネジ部45aを前壁部44のネジ孔44aに螺挿することで、当該支持部66が前壁部44に固定される。実施例2の支持部66は、前記前壁部44より小さく設定されており、開閉体43を閉成した際に、該開閉体43の上板43b、下板43c、左側板43dおよび右側板43eにおける延出端が、支持部66の対応する上板66b、下板66c、左側板66dおよび右側板66eの延出端に当接して、支持部66と開閉体43とで容器載置領域Sを囲繞するよう構成される。また、支持部66における上板66bおよび下板66cには、開閉体43を閉成した際に対応する上板43bおよび下板43cに当接しない凹部が形成されており、前記載置部14またはカップスタンド60に載置した容器13に支持部66が接触することなく、前記放出部18,19から放出される氷や水が容器13へ入るのを許容するよう構成される。なお、実施例2のカバー40は、支持部66および本体11に、支持部66を位置決めするための構成(差込み片46、掛止め片47、板金部材48の挿通口48a,48b、左側壁部49の開口部49a,49b)は備えておらず、支持部66は、複数のツマミ付きボルト45によってのみ本体11に対して位置決め固定される。
【0050】
実施例2のディスペンサ65は、カバー40の支持部66を、複数のツマミ付きボルト45によってのみ本体11に対して位置決め固定しているので、支持部66を本体11に位置決めするための構成(差込み片46、掛止め片47、板金部材48の挿通口48a,48b、左側壁部49の開口部49a,49b)を省略することができ、構成を簡略化し得る。
【実施例3】
【0051】
図19に示す実施例3のディスペンサ67は、カバー40における前記開閉体43を回動自在に支持する支持部68が、複数(実施例3では2つ)のツマミ付きボルト45によって前記本体11の左側壁部49の内側(右側壁部50を向く側)に位置決め固定される。すなわち、支持部68に形成した通孔68aに内側から挿通したツマミ付きボルト45のネジ部45aを、左側壁部49に形成したネジ孔69に螺挿することで、支持部68が左側壁部49に位置決め固定される。実施例3のディスペンサ67は、前記実施例2のディスペンサ65と同様に、カバー40の支持部68を、複数のツマミ付きボルト45によってのみ本体11に対して位置決め固定しているので、支持部68を本体11に位置決めするための構成(差込み片46、掛止め片47、板金部材48の挿通口48a,48b、左側壁部49の開口部49a,49b)を省略することができ、構成を簡略化し得る。
【実施例4】
【0052】
図20図24は、実施例4に係るディスペンサ70およびカバー40を示している。実施例4のカバー40における支持部71は、図22図23に示す如く、上下方向に離間する一対の支持片部51,51を備えた平板状に形成されており、その上端部に弾性変形可能なロック爪72が設けられると共に、上下方向に離間して複数(実施例4では2つ)の引っ掛け片73が設けられている。引っ掛け片73は、支持部71を本体11の左側壁部49に向けた状態で、該左側壁部49に向けて延出する基部73aと、該基部73aの延出端から右側方に延出する引っ掛け部73bとから平面視において鉤状に形成されている。また、ディスペンサ70における左側壁部49に、支持部71の各引っ掛け片73に対応する引っ掛け孔74が上下方向に離間して設けられている。引っ掛け孔74の幅寸法は、引っ掛け片73における引っ掛け部73bが形成される部分の挿通を許容する寸法に設定される。また、引っ掛け孔74の下端左隅に、上方および右方に張り出す規制部74aが設けられ、該規制部74aと引っ掛け孔74の右側を画成する壁との間の離間寸法は、引っ掛け片73における基部73aの幅寸法と略同一に設定される。また、規制部74aと引っ掛け孔74の上側を画成する壁との間の離間寸法は、引っ掛け片73の高さ寸法より大きく設定される。すなわち、支持部71は、規制部74aより上側の引っ掛け孔74に対して引っ掛け片73を前側から挿通した後、支持部71を右側に移動すると共に下げて引っ掛け片73の基部73aを規制部74aと引っ掛け孔74の右側を画成する壁との間に臨ませることで、引っ掛け片73の左右方向の移動が規制された状態で、引っ掛け部73bが引っ掛け孔74の右側を画成する壁の裏側に係合して、当該支持部71は本体11(左側壁部49)に対して位置決めされる。
【0053】
前記左側壁部49には、上側の引っ掛け孔74より上側に、前記支持部71のロック爪72が係合可能なロック孔75が形成されており、前記引っ掛け片73が左側壁部49に係合した状態で、ロック孔75にロック爪72が係合して、支持部71の上方移動が規制されるようになっている(図24参照)。すなわち、実施例4のカバー40は、本体11に対してツマミ付きボルト等の固定手段を用いることなく、ロック爪72および引っ掛け片73の本体11に対する係合によってのみ位置決め固定される。そして、ロック爪72を弾性変形してロック孔75との係合を解除することで、支持部71の上方移動が許容されて、引っ掛け片73を引っ掛け孔74から離脱することができる。なお、実施例4のディスペンサ70において、左側壁部49の内部に設けた板金部材に、引っ掛け孔74やロック孔75に対応する挿通口を設け、該板金部材にロック爪72および引っ掛け片73を係合するよう構成してもよい。
【0054】
実施例4のディスペンサ70は、ツマミ付きボルト等の固定手段を用いることなく、カバー40を本体11に対して工具を用いることなく着脱し得るので、固定するための部品点数を少なくすることができる。また、別部品としてのツマミ付きボルトを用いないので、ツマミ付きボルトを紛失等することで固定できなくなることもない。
【実施例5】
【0055】
図25図26は、実施例5に係るディスペンサ76およびカバー40を示している。実施例5のカバー40における支持部77は、実施例4と同様に、上下方向に離間する一対の支持片部51,51を備えた平板状に形成されており、その上端部には、上方に延出する固定片78が設けられている。この固定片78には厚み方向(左右方向)に貫通する通孔78aが形成されている。前記支持部77には、該支持部77を本体11の左側壁部49に向けた状態で、該左側壁部49に向けて突出する差込み片46が上下方向に離間して複数(実施例5では2つ)設けられると共に、上側の差込み片46より上側および下側の差込み片46より下側に、左側壁部49に向けて突出する端部に下方に向けて突出する掛止め部79aを備えた掛止め片79が夫々設けられている。また、本体11における左側壁部49に、支持部77の差込み片46および掛止め片79が挿通可能な開口部49a,49bが形成されると共に、前記フロントパネル12の左側部に通孔80が設けられている。フロントパネル12における左側部の内側に、本体11を構成する板金部材が配置されると共に、該板金部材にネジ孔(何れも図示せず)が形成されている。支持部77は、差込み片46および掛止め片79を、左側壁部49の開口部49a,49bに挿通した後に下げることで、掛止め片79の掛止め部79aが左側壁部49の裏面に係合して、本体11に対して支持部77が位置決めされる。そして、差込み片46と掛止め片79とにより本体11に対して支持部77を位置決めしたもと、該固定片78の通孔78aに側方から挿通したツマミ付きボルト45のネジ部45aをフロントパネル12の通孔80に挿通すると共に板金部材のネジ孔に螺挿することで、支持部77が本体11に位置決め固定される。なお、実施例5のディスペンサ76において、左側壁部49の内部に設けた板金部材に、開口部49a,49bに対応する挿通口を設け、該板金部材に差込み片46および掛止め片79を係合するよう構成してもよい。
【0056】
実施例5のディスペンサ76は、1本のツマミ付きボルト45のみによって本体11に対してカバー40の支持部77を固定するよう構成したので、部品点数を低減し得ると共に、構成をより簡略化することができる。
【0057】
図27図29は、前記カップスタンド(補助台)60の別実施例を示すものであって、実施例1のカップスタンド60と異なる構成部分につき説明し、同一部分には同じ符号を付して詳細説明は省略する。
【0058】
別実施例のカップスタンド81は、図27図29に示す如く、前記本体部61の外側に、一回り大きな筒状の外筒部82が設けられ、該外筒部82の下端から下方に延出する複数の外側被係合部(被係合部)83の下端に、径方向の外側に突出する係止爪83aが設けられている。また、外筒部82には、径方向に貫通する係止孔82aが、各外側被係合部83と対応する上側位置に形成されている。そして、カップスタンド81は、本体部61の各被係合部62を前記スノコ39の対応する通孔39aに挿通すると共に、外筒部82の外側被係合部83をスノコ39の対応する通孔39aに挿通することで装着される。また、外側被係合部83は、通孔39aに挿通された際に係止爪83aが対応する桟部材39bの下面に係止されて抜け止めされる。外側被係合部83は、桟部材(係合部)39bに対する係止爪83aの係脱方向に弾性変形可能に構成されており、該外側被係合部83を弾性変形することで、桟部材39bに対する係止爪83aの係止を解除し得るようになっている。
【0059】
別実施例のカップスタンド81は、外側被係合部83を、係止爪83aと桟部材39bとの係止を解除する方向に弾性変形して桟部材39bに対する係止爪83aの係止を解除したもとで、各被係合部62,83を対応する通孔39a,39aから引き抜くことで、スノコ39から離脱することができる。また、別実施例のカップスタンド81の上に同一構造のカップスタンド81を装着する場合は、図29に示す如く、上側のカップスタンド81における本体部61と外筒部82との間に形成された通孔64に外側被係合部83が挿通されると共に、該外側被係合部83の係止爪83aが、下側のカップスタンド81における外筒部82に形成した係止孔82aに係止される。すなわち、別実施例のカップスタンド81では、係止孔82aを画成する外筒部82が、係止爪83aが係脱可能な係合部として機能し、別実施例のカップスタンド81においても、スノコ39の上に多段で重ねて装着することができるようになっている。なお、別実施例のカップスタンド81は、スノコ39に装着したカップスタンド81における外筒部82の後側の壁に、所定範囲で上方に延出するガイド部82bが設けられ、本体部61の後側の壁にガイド部は設けられていない。すなわち、別実施例のカップスタンド81は、より大型の容器13を載置するのに適しており、該カップスタンド81に載置した大型の容器13の口が、前記放出部18,19から放出される氷や水が受容できない奥側に置かれるのをガイド部82bで規制する。
【0060】
別実施例のカップスタンド81では、本体部61に設けた被係合部62とスノコ39や下側のカップスタンド81の係合部39b,82との係合に加えて、外筒部82に設けた外側被係合部83の係止爪83aが、スノコ39や下側のカップスタンド81の係合部39b,82に係止するよう構成したので、スノコ39に、より安定してカップスタンド81を装着することができる。また、係止爪83aは、外側被係合部83を弾性変形することで対応する係合部39b,82との係止を解除できるから、スノコ39からカップスタンド81を簡単に取り外すことができる。
【0061】
前記実施例1~5のディスペンサ10,65,67,70,76においては、以下に記載する構成を採用することができる。
【0062】
ディスペンサ10,65,67,70,76が備える製氷機15は、前記制御手段25によって、前記給水バルブや排水バルブが自動で開閉制御されるが、バルブを自動制御する通常モードから、手動で給水バルブおよび排水バルブを開閉制御する手動モードに切替え可能に構成する。例えば、前記コントロールパネル20に、図30に示す如く、切替ロックボタン84、定量ボタン85および排水ボタン86を設け、これらボタン84,85,86の操作によって、前記給水バルブや排水バルブを手動で開閉制御し得るようにする。
【0063】
前記制御手段25は、切替ロックボタン84が操作されると、通常モードから手動モードに切替える。この手動モードでは、定量ボタン85を所定秒数(例えば5秒)長押しすると、給水バルブを開放し、再度定量ボタン85を押すと給水バルブを閉成する。また、排水ボタン86を所定秒数(例えば5秒)長押しすると、排水バルブを開放し、再度排水ボタン86を押すと排水バルブを閉成する。また、定量ボタン85や排水ボタン86を長押しした後、該定量ボタン85や排水ボタン86が再度押されることなく一定時間(例えば5分)が経過した場合、制御手段25は、対応する給水バルブや排水バルブを閉成して、バルブの閉じ忘れを防止する。なお、手動モードでは、給水バルブおよび排水バルブを同時に開放し得るよう構成される。また、通常モードから手動モードに切替えられてから一定時間が経過すると、制御手段25は自動的に通常モードに切替えるよう構成される。
【0064】
前記給水バルブと排水バルブを手動で開閉制御可能な手動モードを備えることで、以下の作用効果を奏する。
1.手動で給水バルブや排水バルブを開放することができるので、サービスやメンテナンス時に給水バルブや排水バルブの故障がすぐに確認できる。
2.通常モードによる給排水の量では確認できない水回路のわずかな詰りも、給水しながら排水できるので、見つけることができる。
3.給水バルブを開放すると共に排水バルブを閉成すれば、通常モードではできないオーバーフローとその下流の水回路に水を流して確認することができる。
4.通常モードによる給排水制御のタイミングを待つ必要がないので、サービスやメンテナンス作業が早く、客先でのメンテナンスにかかる時間が少なくて済む。
5.薬液などで、水回路を洗浄した後のすすぎが製氷水タンク29の上限水位より高いオーバーフロー位置まで可能であり、薬品の付着した部分を残さず、すすぎができる。
【0065】
前記手動モードを備える場合に、給水スイッチ87や排水スイッチ88を追加して、図31(a),(b)に示す制御回路を構成し、給水スイッチ87や排水スイッチ88を閉成している間、給水バルブまたは排水バルブを開放するようにしてもよい。
【0066】
前記実施例1~5のディスペンサ10,65,67,70,76においては、以下に記載する構成を採用することができる。
【0067】
ディスペンサ10,65,67,70,76が備える製氷機15において、前記冷凍ケーシング27へのスケール付着や製氷水の衛生状態の悪化を抑えるための、制御手段25により実行される給排水制御について、以下のように行う。
前記スケール付着や製氷水の衛生状態の悪化を抑えるため、前記排水バルブを開放して水回路の製氷水を排水し、通常の排水時間(60秒)が経過して排水が完了したら、前記給水バルブを開放して前記製氷水タンク29に給水を開始し、前記フロートスイッチが上限水位を検知するまでの時間より短い時間(例えば3秒)だけ給水する。
前記給水を短い時間(3秒)した後の製氷開始時には、通常の排水時間(60秒)より短かい時間(10秒)で衛生状態が悪化した製氷水を排水した後、フロートスイッチが上限水位を検知するまで給水を行う。
そして、製氷水タンク29に上限水位まで製氷水が貯留されると、すぐに通常の排水時間(60秒)だけ排水を行う。
前記通常の排水時間(60秒)だけ排水を行った後、フロートスイッチが上限水位を検知するまで給水を行い、製氷を開始する。
【0068】
また、製氷機15の電源をOFFした後にONしたときは、通常の排水時間(60秒)の排水を行う。
そして、製氷開始時には、フロートスイッチが上限水位を検知するまで給水を行い、製氷を開始する。
なお、製氷を開始しない場合は、短い時間(3秒)だけ給水する。
【0069】
前記冷凍ケーシング27へのスケール付着や製氷水の衛生状態の悪化を抑えるための給排水制御を行うことで、以下の作用効果を奏する。
1.排水後、すぐに給水するので、オーガ31(アジテータ33)が回転してもメカニカルシール30の部位には製氷水があるので耐久性が劣化しなくなった。
2.排水後の給水量が少量のため、衛生状態が悪化した水の量が少なく、排水もするため、衛生的である。
3.製氷開始前に、衛生状態の悪化した水を排水し、新しく水を給水するので、衛生的である。
4.排水後の給水量が少ないため、製氷開始前の排水時間が少なくて済み、製氷を早く開始することができる。
5.排水後の給水量が少ないため、排水量が少なく、消費水量が少なくて済む。
【0070】
〔変更例〕
本願は、前述した各実施例の構成に限定されるものでなく、その他の構成を適宜に採用することができる。
(1) 検知手段は、カバーの開閉を非接触で検知可能な手段であれば、マイクロスイッチ、光電センサ、近接センサ等の各種の手段を採用することができる。
(2) 検知手段の配設位置は、本体とカバー(開閉体)との当たり面から離間する位置であれば、開閉体の下板と載置部とに配置する構成を採用することができる。
(3) 各実施例では、抽出物の放出が禁止されたことを報知する報知手段として抽出ボタンに対応する抽出ランプを点滅させるようにしたが、選択ボタンに対応する選択ランプを点滅させたり、別のランプを追加して点灯または点滅することで、抽出物の放出の禁止を報知する構成を採用することができる。また、報知手段は、光により報知を行うものに限らず、ブザーなどの音で報知するものであってもよく、光と音の両方で報知するようにしてもよい。
(4) 各実施例では、氷と水とを抽出可能な構成のディスペンサで説明したが、氷とジュースやコーラ等の飲料を抽出可能な冷却飲料ディスペンサであってもよい。また、製氷機を備えるものであれば、氷のみを抽出する専用機であってもよい。
(5) 各実施例では、載置部を、ドレンパンとスノコとを別体で構成したが、ドレンパンとスノコとを一体に構成したものであってもよい。
(6) 工具を用いることなく着脱可能な固定手段としてツマミ付きボルトを挙げたが、その他公知の各種手段を採用することができる。
【符号の説明】
【0071】
11 本体,12 フロントパネル,13 容器,14 載置部
18 氷放出部(放出部),19 水放出部(放出部),24a 抽出ランプ(報知手段)
39b 桟部材(係合部),40 カバー,41 支持部,43 開閉体
45 ツマミ付きボルト(固定手段),52a 取付部
54 捻りコイルバネ(付勢手段),57 検知手段,60 カップスタンド(補助台)
61 本体部(係合部),62 被係合部,66 支持部,68 支持部,77 支持部
81 カップスタンド(補助台),82 外筒部(係合部)
83 外側被係合部(被係合部),83a 係止爪,S 容器載置領域
図1
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