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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】冷却流路構造、バーナー及び熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/78 20060101AFI20231116BHJP
   F28D 7/10 20060101ALI20231116BHJP
   F28F 1/40 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
F23D14/78 A
F23D14/78 B
F28D7/10 A
F28F1/40 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019166731
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021042925
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】亀山 達也
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 雄太
(72)【発明者】
【氏名】中山 嘉貴
(72)【発明者】
【氏名】山下 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】中馬 康晴
(72)【発明者】
【氏名】谷川 秀次
(72)【発明者】
【氏名】篠木 貴文
(72)【発明者】
【氏名】高島 竜平
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-353957(JP,A)
【文献】特開2008-032317(JP,A)
【文献】実開昭59-108022(JP,U)
【文献】特開2010-175217(JP,A)
【文献】特開平06-213451(JP,A)
【文献】実開平04-100621(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/78
F28D 7/10
F28F 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温流体に晒される第1壁面と、前記第1壁面と反対側を向く第2壁面とを含み、第1方向に沿って延在する第1壁部と、
前記第2壁面に対向する第3壁面と、前記第3壁面と反対側を向く第4壁面とを含み、前記第1方向と直交する第2方向において前記第1壁部と間隔を空けて配置された第2壁部と、
高温流体に晒される第5壁面と、前記第4壁面に対向する第6壁面とを含み、前記第2壁部を挟んで前記第1壁部と反対側に配置された第3壁部と、
前記第1方向に間隔を空けて配置される複数の流路断面を有する少なくとも1つの第1冷却流路であって、前記第1壁部と前記第2壁部との間に形成され、前記第1壁部の前記第1壁面が晒される前記高温流体及び前記第3壁部の前記第5壁面が晒される前記高温流体よりも低温の冷却媒体が流れる第1冷却流路と、
前記第1冷却流路に設けられ、前記第1壁部と前記第2壁部とを接続し、前記第1冷却流路の壁面を形成する複数の第1仕切壁部と、
前記第1方向に間隔を空けて配置される複数の流路断面を有する少なくとも1つの第2冷却流路を前記第2壁部と前記第3壁部との間に形成するように、前記第2壁部と前記第3壁部とを接続する複数の第2仕切壁部と、
を備え、
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、前記第1仕切壁部の少なくとも一部は、前記第2方向と交差する方向に沿って延在し、
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、前記第1仕切壁部は、
前記第1壁部から前記第2方向と交差する第3方向に延在する第1傾斜壁部と、
前記第2壁部から前記第2方向及び前記第3方向の各々と交差する第4方向に延在して前記第1傾斜壁部に接続する第2傾斜壁部と、
を含み、
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、前記第2壁部と前記第3壁部とを接続する前記第2仕切壁部の少なくとも一部は、前記第2方向と交差する方向に沿って延在する、冷却流路構造。
【請求項2】
前記第1仕切壁部の各々は、前記第1傾斜壁部及び前記第2傾斜壁部を備え、
前記第3方向は、前記第1壁部から離れるにつれて前記第1方向における一方側に向かう方向であり、前記第4方向は、前記第2壁部から離れるにつれて前記第1方向における上記一方側に向かう方向である、請求項1に記載の冷却流路構造。
【請求項3】
前記第1壁部前記第2壁部及び前記第3壁部の各々は、筒状に形成され、
前記第2壁部は前記第1壁部の内周側に配置され、
前記第3壁部は前記第2壁部の内周側に配置された、
請求項1又は2に記載の冷却流路構造。
【請求項4】
前記第1壁部及び前記第2壁部の各々は、平面に沿って形成された、請求項1又は2に記載の冷却流路構造。
【請求項5】
前記第1冷却流路及び前記第2冷却流路を流れる冷却媒体は液体である、請求項1乃至4の何れか1項に記載の冷却流路構造。
【請求項6】
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、前記第2壁部の少なくとも一部は、前記第1方向と交差する方向に沿って延在する、請求項に記載の冷却流路構造。
【請求項7】
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、
前記第1壁部と前記第2壁部とを接続する前記第1仕切壁部は、前記第1壁部から前記第2壁部まで前記第2方向と交差する方向に沿って延在し、
前記第2壁部と前記第3壁部とを接続する前記第2仕切壁部は、前記第3壁部から前記第2壁部まで前記第2方向と交差する方向に沿って延在する、請求項又は6に記載の冷却流路構造。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の冷却流路構造を備えるバーナーであって、
前記第1方向は、前記バーナーの軸方向であり、前記第2方向は前記バーナーの径方向である、バーナー。
【請求項9】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の冷却流路構造を備える熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却流路構造、バーナー及び熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軸方向に沿って直線状に延在する冷却流路を内部に備える燃料ノズルシュラウドが開示されている。この構成によれば、冷却流路に冷却媒体を流すことにより、燃料ノズルシュラウドに発生する熱応力を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-206584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、冷却対象物を冷却するための冷却流路に関して、対向する2つの壁部の間に壁面に沿う方向に間隔を空けて複数の流路断面が配置される場合、上記2つの壁部のうち高温流体に晒される壁部には、上記複数の流路断面を仕切る仕切壁部との接続位置に大きな熱応力が発生し、損傷が生じる恐れがある。しかしながら、上記特許文献1には、このような課題及びその解決策に関する知見は開示されていない。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本開示は、熱応力に起因する損傷を抑制可能な冷却流路構造、バーナー及び熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る冷却流路構造は、
第1方向に沿って延在する第1壁部と、
前記第1方向と直交する第2方向において前記第1壁部と間隔を空けて配置された第2壁部と、
前記第1方向に間隔を空けて配置される複数の流路断面を有する少なくとも1つの冷却流路を前記第1壁部と前記第2壁部との間に形成するように、前記第1壁部と前記第2壁部とを接続する複数の仕切壁部と、
を備え、
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、前記仕切壁部の少なくとも一部は、前記第2方向と交差する方向に沿って延在する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、熱応力に起因する損傷を抑制可能な冷却流路構造、バーナー及び熱交換器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るバーナー2の概略構成を示す縦断面図である。
図2】一実施形態に係るバーナー筒5(5A)の概略構成を示す縦断面図であり、バーナー筒5(5A)の中心軸線CLを含む断面(軸方向及び径方向を含む断面)を示している。
図3】比較形態に係るバーナー筒の概略構成を示す縦断面図である。
図4図3に示した構成の部分拡大図である。
図5図2に示した構成の部分拡大図である。
図6】他の実施形態に係るバーナー筒5(5B)の概略構成を示す縦断面図であり、バーナー筒5(5B)の中心軸線CLを含む断面(軸方向及び径方向を含む断面)を示している。
図7】他の実施形態に係るバーナー筒5(5C)の概略構成を示す縦断面図であり、バーナー筒5(5C)の中心軸線CLを含む断面(軸方向及び径方向を含む断面)を示している。
図8図6に示した構成の部分拡大図である。
図9図7に示した構成の部分拡大図である。
図10】他の実施形態に係るバーナー筒5(5D)の概略構成を示す縦断面図であり、バーナー筒5(5D)の中心軸線CLを含む断面(軸方向及び径方向を含む断面)を示している。
図11】他の実施形態に係るバーナー筒5(5E)の概略構成を示す縦断面図であり、バーナー筒5(5E)の中心軸線CLを含む断面(軸方向及び径方向を含む断面)を示している。
図12】他の実施形態に係るロケットエンジンのノズルスカート50の概略構成を示す部分断面図である。
図13】他の実施形態に係る冷却流路構造100Gの概略構成を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0010】
図1は、一実施形態に係るバーナー2の概略構成を示す縦断面図である。バーナー2は、例えば、石炭ガス化装置等のガス火炉、コンベンショナルボイラ、ごみ焼却炉、ガスタービン燃焼器又はエンジン等に適用される。
【0011】
バーナー2は、燃料を噴射する燃料ノズル4と、燃料ノズル4の周りに燃料ノズル4と同一の軸線CL上に配置され、燃料を燃焼するための酸化剤としての空気を案内するバーナー筒5とを備える。バーナー筒5は、両端に開口を有する筒状部材であり、熱を遮蔽する遮蔽筒として機能する。燃料ノズル4の外周面とバーナー筒5の内周面との間にはスワラ30が設けられている。バーナー筒5は火炎が形成される燃焼室26の壁28を貫通して設けられ、バーナー筒5の基端側は燃焼室26の外部に位置し、バーナー筒5の先端側は燃焼室26の内部に位置する。バーナー筒5の基端側には、例えば空気を供給する不図示の空気供給管に接続するためのフランジ等が設けられていてもよい。
【0012】
以下では、バーナー筒5の軸方向を単に「軸方向」といい、バーナー筒5の径方向を単に「径方向」といい、バーナー筒5の周方向を単に「周方向」ということとする。また、以下では、バーナー筒5の内部とは、バーナー筒5の肉厚の内部を意味することとする。
【0013】
次に、図2を用いてバーナー筒5の構成例を説明する。図2は、一実施形態に係るバーナー筒5(5A)の概略構成を示す縦断面図であり、バーナー筒5(5A)の中心軸線CLを含む断面(軸方向及び径方向を含む断面)を示している。
【0014】
図2に示すように、バーナー筒5(5A)は、第1方向としての軸方向に沿って延在する筒状の第1壁部6と、第1方向と直交する第2方向としての径方向(バーナー筒5の厚さ方向)において第1壁部6と間隔を空けて配置された筒状の第2壁部8と、少なくとも1つの冷却流路14と、第1壁部6と第2壁部8とを接続する複数の仕切壁部10と、を備える。筒状の第2壁部8は、筒状の第1壁部6の内周側に配置されており、第1壁部6の中心軸線CLと第2壁部8の中心軸線とは一致している。図2に示す断面において、第1壁部6と第2壁部8とは平行に配置されている。
【0015】
複数の仕切壁部10は、軸方向に間隔を空けて配置される複数の流路断面12を有する少なくとも1つの冷却流路14を第1壁部6と第2壁部8との間に形成するように、第1壁部6と第2壁部8とを接続する。すなわち、仕切壁部10の各々は、冷却流路14に設けられ、第1壁部6から第2壁部8まで径方向に沿って延在し、冷却流路14の壁面を形成する。仕切壁部10の各々の径方向外側端は第1壁部6のうち第2壁部8側の面6a(第1壁部6の内周面)に接続し、仕切壁部10の各々の径方向内側端は第2壁部8のうち第1壁部6側の面8a(第2壁部8の外周面)に接続する。すなわち、第1壁部と第2壁部8とは、複数の仕切壁部10を介して接続されている。少なくとも1つの冷却流路14は、例えば1つの螺旋状流路であってもよいし、複数の螺旋状流路であってもよいし、熱交換器等に採用される他の種々の形状を有する1つ又は複数の流路であってもよい。
【0016】
図2に示す断面において、仕切壁部10の少なくとも一部は、径方向と交差する方向に沿って延在している。図2に示す断面では、流路断面12の各々は略三角形を含む矢印形状を有しており、仕切壁部10の各々は、第1壁部6から径方向と交差する方向a(第3方向)に沿って直線状に延在する第1傾斜壁部16と、第2壁部8から径方向及び方向aの各々と交差する方向b(第4方向)に沿って直線状に延在して第1傾斜壁部16に接続する第2傾斜壁部18と、を含む。図示する断面では、方向aは、第1壁部6から径方向における内側に向かうにつれて軸方向におけるバーナー筒5の先端側に向かう方向であり、方向bは、第2壁部8から径方向における外側に向かうにつれて軸方向におけるバーナー筒5の先端側に向かう方向である。
【0017】
図2に示す構成では、第1壁部6、第2壁部8及び複数の仕切壁部10が、少なくとも1つの冷却流路14を含む冷却流路構造100Aを構成する。すなわち、バーナー筒5(5A)を冷却するための冷却媒体が流れる少なくとも1つの冷却流路14がバーナー筒5(5A)自体の内部(バーナー筒5の肉厚の内部)に形成されており、バーナー筒5(5A)自体が冷却流路構造100Aを構成している。このようなバーナー筒5(5A)は、例えば三次元積層造形装置(所謂3Dプリンター)を用いて製造することができる。なお、冷却流路14を流れる冷却媒体は、例えば水や油等の液体であってもよいし、空気等の気体であってもよい。
【0018】
ここで、図2に示す構成により得られる効果について、図3図5を用いて説明する。図3は、比較形態に係るバーナー筒の概略構成を示す縦断面図である。図4は、図3に示した構成の部分拡大図である。図4には、第1壁部06が仕切壁部010によって熱変形の拘束を受けない仮想的な場合(ケース1)について、第1壁部06の径方向の熱変形量が破線で模式的に示されており、第1壁部06が仕切壁部010によって熱変形の拘束を受ける実際の場合(ケース2)について、第1壁部06の径方向の熱変形量が一点鎖線で模式的に示されている。図5は、図2に示した構成の部分拡大図である。図5には、第1壁部6が仕切壁部10によって熱変形の拘束を受けない仮想的な場合(ケース3)について、第1壁部6の径方向の熱変形量が破線で模式的に示されており、第1壁部6が仕切壁部10によって熱変形の拘束を受ける実際の場合(ケース4)について、第1壁部6の径方向の熱変形量が一点鎖線で模式的に示されている。
【0019】
図3に示すように、熱交換を行う機器では、高温流体と冷却媒体(高温流体よりも温度が低い低温流体)との間に位置する第1壁部06において、第1壁部06の厚さ方向に温度勾配(図3に示す温度Tから温度Tに至る温度分布を有する温度勾配)が生じ、高温流体からの熱流束qによる温度上昇により熱変形が生じる。一方、冷却流路014の流路断面012を仕切る仕切壁部010は、冷却媒体に挟まれているため、仕切壁部010の温度は冷却媒体の温度と同等となる。
【0020】
図4に示すように、第1壁部06は、仕切壁部010から軸方向に離れた位置P2では仕切壁部010に接続していないため、位置P2では仕切壁部010から熱変形の拘束を直接的には受けないのに対し、軸方向において仕切壁部010が存在している位置P1では仕切壁部010に接続しているため、位置P1では仕切壁部010から熱変形の拘束を直接的に受ける。このため、第1壁部06のうち仕切壁部010に接続する部分(位置P1の近傍部分)には、大きな熱応力が生じることとなり、損傷が生じる可能性がある。
【0021】
これに対し、図2及び図5に示したバーナー筒5(5A)では、上述のように、仕切壁部10の少なくとも一部は、径方向と交差する方向に沿って延在している。このため、図3及び図4に示す構成と比較して、冷却流路14の密度を維持しながら、第1壁部6が仕切壁部10から受ける熱変形の拘束力(第1壁部6のうち仕切壁部10に接続する部分が受ける拘束力)を低減して、第1壁部6の損傷を抑制することができる。
【0022】
また、上述のように、仕切壁部10の各々は、第1壁部6から径方向と交差する方向aに沿って延在する第1傾斜壁部16と、第2壁部8から径方向及び方向aの各々と交差する方向bに沿って延在して第1傾斜壁部16に接続する第2傾斜壁部18と、を含む。このため、流路断面12の各々が略三角形を含む矢印形状を有しており、冷却流路14の高い耐圧性と低い圧力損失を実現するとともに、第1壁部6に生じる熱応力の増大を抑制することができる。
【0023】
次に、幾つかの他の実施形態について説明する。以下で説明する他の実施形態において、前述の実施形態の各構成と共通の符号は、特記しない限り前述の実施形態の各構成と同様の構成を示すものとし、説明を省略する。
【0024】
図6は、他の実施形態に係るバーナー筒5(5B)の概略構成を示す縦断面図であり、バーナー筒5(5B)の中心軸線CLを含む断面(軸方向及び径方向を含む断面)を示している。図7は、他の実施形態に係るバーナー筒5(5C)の概略構成を示す縦断面図であり、バーナー筒5(5C)の中心軸線CLを含む断面(軸方向及び径方向を含む断面)を示している。
【0025】
図6に示すバーナー筒5(5B)は、上述の第1壁部6、第2壁部8及び複数の仕切壁部10に加えて、第3壁部20及び複数の仕切壁部22を更に備える。
【0026】
第3壁部20は、第2壁部8を挟んで第1壁部6と反対側に配置されており、軸方向に沿って延在する。図6に示す構成では、第1壁部6のうち第2壁部8と反対側の面6bが燃焼室26内の高温流体に面しており、第3壁部20のうち第2壁部8と反対側の面20aが燃焼室26内の高温流体に面している。
【0027】
複数の仕切壁部22は、軸方向に間隔を空けて配置される複数の流路断面32を有する少なくとも1つの冷却流路34を第2壁部8と第3壁部20との間に形成するように、第2壁部8と第3壁部20とを接続する。
【0028】
図6に示す断面において、第2壁部8と第3壁部20とを接続する仕切壁部22の少なくとも一部は、径方向と交差する方向に沿って延在する。図6に示す断面において、仕切壁部22の各々は、第2壁部8から径方向と交差する方向cに沿って直線状に延在する第3傾斜壁部36と、第2壁部8から径方向及び方向cの各々と交差する方向dに沿って直線状に延在して第3傾斜壁部36に接続する第4傾斜壁部38と、を含む。図示する断面では、方向cは、第2壁部8から径方向における内側に向かうにつれて軸方向におけるバーナー筒5の先端側に向かう方向であり、方向dは、第3壁部20から径方向における外側に向かうにつれて軸方向におけるバーナー筒5の先端側に向かう方向である。
【0029】
図6に示す構成では、第1壁部6、第2壁部8、第3壁部20、複数の仕切壁部10及び複数の仕切壁部22が、冷却流路14,34を含む冷却流路構造100Bを構成する。すなわち、バーナー筒5(5B)を冷却するための冷却媒体が流れる冷却流路14,34がバーナー筒5(5B)自体の内部(バーナー筒5の肉厚の内部)に形成されており、バーナー筒5(5B)自体が冷却流路構造100Bを構成している。
【0030】
図6に示す構成によれば、第1壁部6と第2壁部8とを接続する仕切壁部10の少なくとも一部が径方向と交差する方向に沿って延在しているため、冷却流路14の密度を維持しながら、第1壁部6が仕切壁部10から受ける熱変形の拘束力を低減して、第1壁部6の損傷を抑制することができる。また、第2壁部8と第3壁部20とを接続する仕切壁部22の少なくとも一部が径方向と交差する方向に沿って延在しているため、冷却流路34の密度を維持しながら、第3壁部20が仕切壁部22から受ける熱変形の拘束力を低減して、第3壁部20の損傷を抑制することができる。
【0031】
図6に示す構成では、第1壁部6及び第3壁部20が高温流体に加熱されて軸方向に熱変形(熱伸び)が生じるのに対して、第2壁部8は冷却媒体に挟まれて冷却されているため、第1壁部6及び第3壁部20の軸方向の熱変形が第2壁部8によって拘束され、熱応力が生じる。
【0032】
これに対し、図7に示すバーナー筒5(5C)では、軸方向及び径方向を含む断面において、第2壁部8の少なくとも一部は、軸方向と交差する方向に沿って延在している。これにより、第1壁部6及び第3壁部20が第2壁部8から受ける軸方向の熱変形の拘束力を低減して、第1壁部6及び第3壁部20の損傷を抑制することができる。
【0033】
また、図7に示す断面では、第2壁部8は、接続部40、第5傾斜壁部42、第6傾斜壁部44及び第7傾斜壁部46を含む曲がり壁部48を、仕切壁部10と同じピッチで複数備える。接続部40は、仕切壁部10及び仕切壁部22の各々に接続する。
【0034】
第5傾斜壁部42は、軸方向におけるバーナー筒5の基端側に向かうにつれて径方向における外側に向かうように直線状に延在しており、第5傾斜壁部42の一端は接続部40に接続し、第5傾斜壁部42の他端は第6傾斜壁部44の一端に接続している。第6傾斜壁部44は、軸方向におけるバーナー筒5の基端側に向かうにつれて径方向における内側に向かうように直線状に延在しており、第6傾斜壁部44の他端は第7傾斜壁部46の一端に接続している。第7傾斜壁部46は、軸方向におけるバーナー筒5の基端側に向かうにつれて径方向における外側に向かうように直線状に延在しており、第7傾斜壁部46の他端は隣接する接続部40に接続している。
【0035】
図7に示す構成では、第1壁部6、第2壁部8、第3壁部20、複数の仕切壁部10及び複数の仕切壁部22が、冷却流路14,34を含む冷却流路構造100Cを構成する。すなわち、バーナー筒5(5C)を冷却するための冷却媒体が流れる冷却流路14,34がバーナー筒5(5C)自体の内部(バーナー筒5の肉厚の内部)に形成されており、バーナー筒5(5C)自体が冷却流路構造100Cを構成している。
【0036】
図7に示す構成では、第2壁部8が上述の曲がり壁部48を備えることにより、第1壁部6及び第3壁部20が第2壁部8から受ける軸方向の熱変形の拘束力を効果的に低減することができる。
【0037】
図8は、図6に示した構成の部分拡大図である。図8には、熱変形が拘束されない仮想的な場合(ケース5)について、軸方向の熱変形量が破線で模式的に示されており、熱変形が拘束される実際の場合(ケース6)について、軸方向の熱変形量が一点鎖線で模式的に示されている。図9は、図7に示した構成の部分拡大図である。図9には、熱変形が拘束されない仮想的な場合(ケース7)について、軸方向の熱変形量が破線で模式的に示されており、熱変形が拘束される実際の場合(ケース8)について、軸方向の熱変形量が一点鎖線で模式的に示されている。
【0038】
図8及び図9を比較すると、熱変形が拘束されない仮想的な場合(ケース5,ケース7)と比較して、熱変形が拘束される実際の場合(ケース6,ケース8)の方が、第1壁部6及び第3壁部20の熱変形量が拘束されて小さくなる。また、図9に示す構成の方が図8に示す構成よりも第1壁部6及び第3壁部20が第2壁部8から受ける軸方向の熱変形の拘束力が小さいため、ケース8の方が、図8に示すケース6と比較して、第1壁部6、第2壁部8及び第3壁部20の軸方向の熱変形量が大きくなっている。このため、図9に示す構成の方が図8に示す構成よりも第1壁部6及び第3壁部20に生じる熱応力を低減することができ、第1壁部6及び第3壁部20の損傷を抑制することができる。
【0039】
図10は、他の実施形態に係るバーナー筒5(5D)の概略構成を示す縦断面図であり、バーナー筒5(5D)の中心軸線CLを含む断面(軸方向及び径方向を含む断面)を示している。
【0040】
図6に示す構成では流路断面12,32の各々が略三角形を含む矢印形状を有しているのに対し、図10に示す構成では、流路断面12,32の各々が略半円を含む矢印形状を有している。
【0041】
図10に示す断面において、仕切壁部10の各々は、円弧に沿って形成されており、仕切壁部10の少なくとも一部は、径方向と交差する方向に沿って延在している。また、図10に示す断面において、仕切壁部22の各々は、円弧に沿って形成されており、仕切壁部22の少なくとも一部は、径方向と交差する方向に沿って延在している。
【0042】
このように、図10に示す構成では、第1壁部6、第2壁部8、第3壁部20、複数の仕切壁部10及び複数の仕切壁部22が、冷却流路14,34を含む冷却流路構造100Dを構成する。すなわち、バーナー筒5(5D)を冷却するための冷却媒体が流れる冷却流路14,34がバーナー筒5(5D)自体の内部(バーナー筒5の肉厚の内部)に形成されており、バーナー筒5(5D)自体が冷却流路構造100Dを構成している。
【0043】
図10に示す構成においても、仕切壁部10の少なくとも一部が径方向と交差する方向に沿って延在しているため、冷却流路14の密度を維持しながら、第1壁部6が仕切壁部10から受ける熱変形の拘束力を低減して、第1壁部6の損傷を抑制することができる。また、仕切壁部22の少なくとも一部が径方向と交差する方向に沿って延在しているため、冷却流路34の密度を維持しながら、第3壁部20が仕切壁部22から受ける熱変形の拘束力を低減して、第3壁部20の損傷を抑制することができる。
【0044】
また、仕切壁部10の各々を円弧に沿って形成することにより、図6に示す構成と比較して、冷却流路14の耐圧性を高めつつ冷却流路14の圧力損失増大を抑制することができる。また、仕切壁部22の各々を円弧に沿って形成することにより、図6に示す構成と比較して、冷却流路34の耐圧性を高めつつ冷却流路14における圧力損失の増大を抑制することができる。
【0045】
図11は、他の実施形態に係るバーナー筒5(5E)の概略構成を示す縦断面図であり、バーナー筒5(5E)の中心軸線CLを含む断面(軸方向及び径方向を含む断面)を示している。
【0046】
図6に示す構成では流路断面12,32の各々が略三角形を含む矢印形状を有しているのに対し、図11に示す構成では、流路断面12,32の各々が略平行四辺形を有している。
【0047】
図11に示す断面において、仕切壁部10の各々は、第1壁部6から第2壁部8まで径方向と交差する方向eに沿って直線状に延在している。また、図11に示す断面において、仕切壁部22の各々は、第3壁部20から第2壁部8まで径方向と交差する方向fに沿って直線状に延在している。図示する断面では、方向eは、第1壁部6から径方向における内側に向かうにつれて軸方向におけるバーナー筒5の基端側に向かう方向であり、方向fは、第3壁部20から径方向における外側に向かうにつれて軸方向におけるバーナー筒5の基端側に向かう方向である。
【0048】
このように、図11に示す構成では、第1壁部6、第2壁部8、第3壁部20、複数の仕切壁部10及び複数の仕切壁部22が、冷却流路14,34を含む冷却流路構造100Cを構成する。すなわち、バーナー筒5(5E)を冷却するための冷却媒体が流れる冷却流路14,34がバーナー筒5(5E)自体の内部(バーナー筒5の肉厚の内部)に形成されており、バーナー筒5(5E)自体が冷却流路構造100Eを構成している。
【0049】
図11に示す構成においても、仕切壁部10の少なくとも一部が径方向と交差する方向に沿って延在しているため、冷却流路14の密度を維持しながら、第1壁部6が仕切壁部10から受ける熱変形の拘束力を低減して、第1壁部6の損傷を抑制することができる。また、仕切壁部22の少なくとも一部が径方向と交差する方向に沿って延在しているため、冷却流路34の密度を維持しながら、第3壁部20が仕切壁部22から受ける熱変形の拘束力を低減して、第3壁部20の損傷を抑制することができる。
【0050】
また、仕切壁部10が第1壁部6から第2壁部8まで径方向と交差する方向eに沿って延在しているため、図6に示す構成や図10に示す構成と比較して、第1壁部6が仕切壁部10から受ける熱変形の拘束力を効果的に低減して、第1壁部6の損傷を効果的に抑制することができる。
【0051】
また、仕切壁部22が第3壁部20から第2壁部8まで径方向と交差する方向fに沿って延在しているため、図6に示す構成や図10に示す構成と比較して、第3壁部20が仕切壁部22から受ける熱変形の拘束力を効果的に低減して、第3壁部20の損傷を効果的に抑制することができる。
【0052】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0053】
例えば、上述した幾つかの実施形態では、バーナー筒5(5A~5E)が冷却流路構造100A~100Eを構成する場合を例示したが、これらと同様の冷却流路構造をロケットエンジンのノズルスカートに適用してもよい。
【0054】
図12は、他の実施形態に係るロケットエンジンのノズルスカート50の概略構成を示す部分断面図である。
図12に示すロケットエンジンのノズルスカート50は、筒状に構成されており、第1方向d1に沿って延在する筒状の第1壁部6と、第1方向d1と直交する第2方向d2(ノズルスカート50の厚さ方向)において第1壁部6と間隔を空けて配置された筒状の第2壁部8と、第1壁部6と第2壁部8とを接続する複数の仕切壁部10と、を備える。筒状の第2壁部8は、筒状の第1壁部6の内周側に配置されており、第1壁部6の中心軸線CLと第2壁部8の中心軸線CLとは一致している。筒状の第1壁部6の半径と筒状の第2壁部8の半径は、ノズルスカート50の先端側(紙面下側)に近づくにつれて拡大する。
【0055】
複数の仕切壁部10は、第1方向d1に間隔を空けて配置される複数の流路断面12を有する少なくとも1つの冷却流路14を第1壁部6と第2壁部8との間に形成するように、第1壁部6と第2壁部8とを接続する。
【0056】
図12に示す構成では、第1壁部6、第2壁部8及び複数の仕切壁部10が、少なくとも1つの冷却流路14を含む冷却流路構造100Fを構成する。すなわち、ノズルスカート50を冷却するための冷却媒体が流れる冷却流路14がノズルスカート50自体の内部(ノズルスカート50の肉厚の内部)に形成されており、ノズルスカート50自体が冷却流路構造100Fを構成している。
【0057】
図12に示す断面において、仕切壁部10の少なくとも一部が第2方向d2と交差する方向に沿って延在しているため、冷却流路14の密度を維持しながら、第1壁部6が仕切壁部10から受ける熱変形の拘束力を低減して、第1壁部6の損傷を抑制することができる。
【0058】
また、上述した幾つかの実施形態では、筒状の部材が冷却流路構造100A~100Fを構成する場合を例示した。すなわち、第1壁部6及び第2壁部8の各々が筒状に構成された場合を例示した。しかしながら、他の実施形態では、第1壁部6及び第2壁部8は円筒形状に限らず例えば多角形の断面を有する筒状であってもよいし、例えば図13に示すように、第1壁部6及び第2壁部8の各々は、平面Sに沿って平面Sに平行に形成されてもよい。この場合、仕切壁部10の少なくとも一部は、平面Sに直交する方向(第2方向)と交差する方向に沿って延在する。
【0059】
図13に示す断面では、流路断面12の各々は略三角形を含む矢印形状を有しており、仕切壁部10の各々は、第1壁部6から径方向と交差する方向a(第3方向)に沿って直線状に延在する第1傾斜壁部16と、第2壁部8から径方向及び方向aの各々と交差する方向b(第4方向)に沿って直線状に延在して第1傾斜壁部16に接続する第2傾斜壁部18と、を含む。図示する断面では、方向aは、第1壁部6から離れるにつれて第1方向d1における一方側に向かう方向であり、方向bは、第2壁部8から離れるにつれて第1方向における上記一方側に向かう方向である。
【0060】
図13に示す構成では、第1壁部6、第2壁部8及び複数の仕切壁部10が、少なくとも1つの冷却流路14を含む冷却流路構造100Gを構成する。図13に示す冷却流路構造100Gは、例えばボイラの火炉の水冷壁等に適用することが可能である。図13に示す構成によれば、第1壁部6が仕切壁部10から受ける熱変形の拘束力を低減して、第1壁部6の損傷を抑制することができる。
【0061】
また、上述した幾つかの実施形態では、第1壁部6及び第2壁部8(並びに第3壁部20)が平行に配置された構成を例示したが、第1壁部6壁部6及び第2壁部8(並びに第3壁部20)は必ずしも平行に配置されていなくともよい。
【0062】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0063】
(1)本開示に係る冷却流路構造(100A~100G)は、
第1方向(例えば上述のバーナー筒5(5A~5E)における軸方向、ノズルスカート50における第1方向d1及び水冷壁52における第1方向d1)に沿って延在する第1壁部(例えば上述の各実施形態の第1壁部6)と、
前記第1方向と直交する第2方向(例えば上述のバーナー筒5(5A~5E)における径方向、ノズルスカート50における第2方向d2及び水冷壁52における第2方向d2)において前記第1壁部と間隔を空けて配置された第2壁部(例えば上述の各実施形態の第2壁部8)と、
前記第1方向に間隔を空けて配置される複数の流路断面(例えば上述の各実施形態の複数の流路断面12)を有する少なくとも1つの冷却流路(例えば上述の各実施形態の少なくとも1つの冷却流路14)であって、前記第1壁部と前記第2壁部との間に形成された冷却流路と、
前記冷却流路に設けられ、前記第1壁部と前記第2壁部とを接続し、前記冷却流路の壁面を形成する複数の仕切壁部(例えば上述の各実施形態の複数の仕切壁部10)と、
を備え、
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、前記仕切壁部の少なくとも一部は、前記第2方向と交差する方向(例えば上述の方向a,b,e、及び図10に示す実施形態における円弧に沿う方向)に沿って延在する。
【0064】
上記(1)に記載の冷却流路構造によれば、仕切壁部の少なくとも一部が第2方向と交差する方向に沿って延在しているため、仕切壁部が第2方向に平行(第1方向と直交する方向)に延在している構成と比較して、冷却流路の密度を維持しながら、第1壁部が仕切壁部から受ける熱変形の拘束力を低減して、熱応力に起因する第1壁部の損傷を抑制することができる。
【0065】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の冷却流路構造において、
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、前記仕切壁部は、円弧に沿って形成される。
【0066】
上記(2)に記載の冷却流路構造によれば、仕切壁部を円弧に沿って形成することにより、冷却流路の耐圧性及び圧力損失の観点で特に良好な冷却流路構造を実現することができる。
【0067】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の冷却流路構造において、
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、前記仕切壁部は、
前記第1壁部から前記第2方向と交差する第3方向(例えば上述の方向a)に延在する第1傾斜壁部(例えば上述の第1傾斜壁部16)と、
前記第2壁部から前記第2方向及び前記第3方向の各々と交差する第4方向(例えば上述の方向b)に延在して前記第1傾斜壁部に接続する第2傾斜壁部(例えば上述の第2傾斜壁部18)と、
を含む。
【0068】
上記(3)に記載の冷却流路構造によれば、冷却流路の流路断面が略三角形を含む形状を有しており、冷却流路の耐圧性の観点、冷却流路の圧力損失の観点、及び第1壁部に生じる熱応力の観点で良好な冷却流路構造を実現することができる。
【0069】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の冷却流路構造において、
前記仕切壁部の各々は、前記第1傾斜壁部及び前記第2傾斜壁部を備え、
前記第3方向は、前記第1壁部から離れるにつれて前記第1方向における一方側に向かう方向であり、前記第4方向は、前記第2壁部から離れるにつれて前記第1方向における上記一方側に向かう方向である。
【0070】
上記(4)に記載の冷却流路構造によれば、冷却流路の各々の流路断面が略三角形を含む形状を有しており、冷却流路の耐圧性の観点、冷却流路の圧力損失の観点、及び第1壁部に生じる熱応力の観点で良好な冷却流路構造を実現することができる。
【0071】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の冷却流路構造において、
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、前記仕切壁部は、前記第1壁部から前記第2壁部まで前記第2方向と交差する方向(例えば上述の方向e)に沿って延在する。
【0072】
上記(5)に記載の冷却流路構造によれば、第1壁部に生じる熱応力の観点で特に良好な冷却流路構造を実現することができる。
【0073】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかに記載の冷却流路構造において、
前記第1壁部及び前記第2壁部の各々は、筒状に形成され、
前記第2壁部は前記第1壁部の内周側に配置される。
【0074】
上記(6)に記載の冷却流路構造によれば、筒状の構造物における熱応力に起因する損傷を抑制することができる。
【0075】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかに記載の冷却流路構造において、
前記第1壁部及び前記第2壁部の各々は、平面(例えば上述の平面S)に沿って形成される。
【0076】
上記(7)に記載の冷却流路構造によれば、平面に沿った構造物における熱応力に起因する損傷を抑制することができる。
【0077】
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかに記載の冷却流路構造において、
前記第2壁部を挟んで前記第1壁部と反対側に配置された第3壁部(例えば上述の第3壁部20)と、
前記第1方向に間隔を空けて配置される複数の流路断面(例えば上述の複数の流路断面32)を有する少なくとも1つの冷却流路(例えば上述の少なくとも1つの冷却流路34)を前記第2壁部と前記第3壁部との間に形成するように、前記第2壁部と前記第3壁部とを接続する複数の仕切壁部(例えば上述の複数の仕切壁部22)と、
を更に備え、
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、前記第2壁部と前記第3壁部とを接続する前記仕切壁部の少なくとも一部は、前記第2方向と交差する方向(例えば上述の方向c,d,f及び図10に示す実施形態における円弧に沿う方向)に沿って延在する。
【0078】
上記(8)に記載の冷却流路構造によれば、第2壁部と前記第3壁部とを接続する仕切壁部の少なくとも一部が第2方向と交差する方向に沿って延在しているため、該仕切壁部が第2方向に平行(第1方向と直交する方向)に延在している構成と比較して、冷却流路の密度を維持しながら、第3壁部が仕切壁部から受ける熱変形の拘束力を低減して、熱応力に起因する第3壁部の損傷を抑制することができる。
【0079】
(9)幾つかの実施形態では、上記(8)に記載の冷却流路構造において、
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、前記第2壁部の少なくとも一部は、前記第1方向と交差する方向(例えば図9に示す第5傾斜壁部42が延在する方向、第6傾斜壁部44が延在する方向及び第7傾斜壁部46が延在する方向)に沿って延在する。
【0080】
上記(9)に記載の冷却流路構造によれば、第2壁部の少なくとも一部が第1方向と交差する方向に沿って延在しているため、第1壁部及び第3壁部が第2壁部から受ける第1方向の熱変形の拘束力を低減して、熱応力に起因する第1壁部及び第3壁部の損傷を抑制することができる。
【0081】
(10)幾つかの実施形態では、上記(8)又は(9)に記載の冷却流路構造において、
前記第1方向及び前記第2方向を含む断面において、
前記第1壁部と前記第2壁部とを接続する前記仕切壁部は、前記第1壁部から前記第2壁部まで前記第2方向と交差する方向に沿って延在し、
前記第2壁部と前記第3壁部とを接続する前記仕切壁部は、前記第3壁部から前記第2壁部まで前記第2方向と交差する方向に沿って延在する。
【0082】
上記(10)に記載の冷却流路構造によれば、第1壁部が仕切壁部から受ける熱変形の拘束力を効果的に低減して、第1壁部の損傷を効果的に抑制することができる。
【0083】
(11)本開示に係るバーナーは、上記(1)乃至(10)に記載の冷却流路構造を備える。
【0084】
上記(11)に記載のバーナーによれば、上記(1)乃至(10)に記載の冷却流路構造を備えるため、仕切壁部が第2方向に平行(第1方向と直交する方向)に延在している構成と比較して、冷却流路の密度を維持しながら、第1壁部が仕切壁部から受ける熱変形の拘束力を低減して、熱応力に起因する第1壁部の損傷を抑制することができる。このため、バーナーの損傷を抑制することができる。
【0085】
(12)本開示に係る熱交換器は、上記(1)乃至(10)に記載の冷却流路構造を備える。
【0086】
上記(12)に記載の熱交換器によれば、上記(1)乃至(10)に記載の冷却流路構造を備えるため、仕切壁部が第2方向に平行(第1方向と直交する方向)に延在している構成と比較して、冷却流路の密度を維持しながら、第1壁部が仕切壁部から受ける熱変形の拘束力を低減して、熱応力に起因する第1壁部の損傷を抑制することができる。このため、熱交換器の損傷を抑制することができる。
【符号の説明】
【0087】
2 バーナー
4 燃料ノズル
5(5A~5E) バーナー筒
6 第1壁部
8 第2壁部
10 仕切壁部
12 流路断面
14 冷却流路
16 第1傾斜壁部
18 第2傾斜壁部
20 第3壁部
22 仕切壁部
26 燃焼室
28 壁
30 スワラ
32 流路断面
34 冷却流路
36 第3傾斜壁部
38 第4傾斜壁部
40 接続部
42 第5傾斜壁部
44 第6傾斜壁部
46 第7傾斜壁部
48 曲がり壁部
50 ノズルスカート
52 水冷壁
100A~100G 冷却流路構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13