(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
B06B 1/04 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
B06B1/04 S
(21)【出願番号】P 2019179722
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】北原 裕士
【審査官】稲葉 礼子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/030265(WO,A1)
【文献】特開2004-105816(JP,A)
【文献】特開2004-104906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
可動体と、
粘性および粘弾性のうちの少なくとも一方を有し、前記支持体および前記可動体に接続された接続体と、
前記支持体および前記可動体の一方側に設けられた磁石、および前記支持体および前記可動体の他方側に設けられ、前記磁石に第1方向で対向するコイルを有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に相対移動させる磁気駆動回路と、
を備え、
前記可動体では、前記第1方向における寸法が前記可動体より小さい突出部が前記第1方向に対して交差する方向に向けて突出しており、
前記突出部は、前記可動体における前記第1方向の途中位置から突出しており、前記第1方向に板厚方向を向けた板状であり、
前記支持体は、前記可動体を収容するケースを有し、
前記ケースは、前記可動体に前記第1方向の一方側で対向する第1端板部と、前記可動体に前記第1方向の他方側で対向する第2端板部と、を備え、
前記接続体は、前記突出部に対して前記突出部に対して前記第1方向の一方側で対向する前記第1端板部と前記突出部との間、および、前記突出部に対して前記第1方向の他方側で対向する前記第2端板部と前記突出部との間の各々に設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
請求項
1に記載のアクチュエータにおいて、
前記突出部は、前記第1方向および前記第2方向の双方に対して交差する第3方向に向けて突出していることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のアクチュエータにおいて、
前記接続体は、粘弾性部材であることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1から
3までの何れか一項に記載のアクチュエータにおいて、
前記可動体では、前記突出部が前記第1方向に対して交差する方向の一方側および他方側の各々に設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項5】
請求項1から
4までの何れか一項に記載のアクチュエータにおいて、
前記磁石は、前記可動体に設けられ、
前記コイルは、前記支持体に設けられ、
前記可動体は、前記磁石に前記コイルとは反対側から重なるヨークを備え、
前記突出部は、前記ヨークに設けられていることを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を振動させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気駆動機構によって振動を発生させるデバイスとして、支持体と可動体とを粘弾性部材等の接続体を介して接続し、支持体に設けられたコイルと、コイルに第1方向で対向するように可動体に設けられた磁石とを備えた磁気駆動回路によって、可動体を支持体に対して第1方向と交差する第2方向に相対移動させる構成が提案されている。ここで、接続体は、磁気駆動回路と第1方向で重なる位置で、支持体と可動体とが第1方向で対向する部分に配置される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しがしながら、特許文献1に記載のアクチュエータでは、コイル、磁石、および接続体が第1方向で重なるように配置されるため、アクチュータの厚さ(第1方向の寸法)が厚い。また、可動体の支持体に対する移動距離(ストローク)を大きくして可動体の加速度を高めるには、接続体の厚さ(第1方向の寸法)を厚くすることになるため、アクチュータの厚さ(第1方向の寸法)がより厚くなる。それ故、特許文献1に記載の構成では、コイルと磁石とが重なる方向におけるアクチュエータの寸法を小さくすることができないという問題点がある。
【0005】
以上の問題点に鑑みて、本願発明の課題は、コイルと磁石とが重なる方向におけるアクチュエータの寸法を小さくすることのできる構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のアクチュエータは、支持体と、可動体と、粘性および粘弾性のうちの少なくとも一方を有し、前記支持体および前記可動体に接続された接続体と、前記支持体および前記可動体の一方側に設けられた磁石、および前記支持体および前記可動体の他方側に設けられ、前記磁石に第1方向で対向するコイルを有し、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向と交差する第2方向に相対移動させる磁気駆動回路と、を備え、前記可動体では、前記第1方向における寸法が前記可動体より小さい突出部が前記第1方向に対して交差する方向に向けて突出しており、前記突出部は、前記可動体における前記第1方向の途中位置から突出しており、前記第1方向に板厚方向を向けた板状であり、前記支持体は、前記可動体を収容するケースを有し、前記ケースは、前記可動体に前記第1方向の一方側で対向する第1端板部と、前記可動体に前記第1方向の他方側で対向する第2端板部と、を備え、前記接続体は、前記突出部に対して前記突出部に対して前記第1方向の一方側で対向する前記第1端板部と前記突出部との間、および、前記突出部に対して前記第1方向の他方側で対向する前記第2端板部と前記突出部との間の各々に設けられていることを特徴とする。
【0007】
本発明において、可動体では、第1方向における寸法が可動体より小さい突出部が第1方向に対して交差する方向に向けて突出しており、接続体は、支持体のうち、突出部に第1方向で対向する部分と突出部とに接続されている。このため、接続体がコイルおよび磁石に対して第1方向で重なっていないため、コイルと磁石とが重なる第1方向におけるアクチュエータの寸法を小さくすることができる。また、接続体がコイルおよび磁石に対して第1方向で重なっていないため、接続体の第1方向の寸法を大きくすることができるので、可動体の支持体に対する移動距離(ストローク)を大きくして可動体の加速度を高めることができる。それ故、アクチュエータが発生させる振動を大きくすることができる。
【0009】
本発明において、前記突出部は、前記第1方向および前記第2方向の双方に対して交差する第3方向に向けて突出している態様を採用することができる。
【0010】
本発明において、前記接続体は、粘弾性部材である態様を採用することができる。
【0012】
本発明において、前記可動体では、前記突出部が前記第1方向に対して交差する方向の一方側および他方側の各々に設けられている態様を採用することができる。
【0014】
本発明において、前記磁石は、前記可動体に設けられ、前記コイルは、前記支持体に設けられ、前記可動体は、前記磁石に前記コイルとは反対側から重なるヨークを備え、前記突出部は、前記ヨークに設けられている態様を採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明において、可動体では、第1方向における寸法が可動体より小さい突出部が第1方向に対して交差する方向に向けて突出しており、接続体は、支持体のうち、突出部に第1方向で対向する部分と突出部とに接続されている。このため、接続体がコイルおよび磁石に対して第1方向で重なっていないため、コイルと磁石とが重なる第1方向におけるアクチュエータの寸法を小さくすることができる。また、接続体がコイルおよび磁石に対して第1方向で重なっていないため、接続体の第1方向の寸法を大きくすることができるので、可動体の支持体に対する移動距離(ストローク)を大きくして可動体の加速度を高めることができる。それ故、アクチュエータが発生させる振動を大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係るアクチュエータの外観斜視図。
【
図2】
図1のアクチュエータを第2方向の他方側から見た外観斜視図。
【
図5】
図1のアクチュエータから第1ケース部材および第1ヨークを外した状態における平面図。
【
図6】ケースを取り外したアクチュエータを第1方向の他方側から見た分解斜視図。
【
図7】ケースを取り外したアクチュエータを第1方向の一方側から見た分解斜視図。
【
図8】コイル、コイルホルダおよび配線基板の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の例示的なアクチュエータの実施形態を説明する。なお、以下の説明において、互いに交差する3つの方向を各々、第1方向Z、第2方向Yおよび第3方向Xとして説明する。また、以下に説明する実施形態において、第1方向Z
、第2方向Yおよび第3方向Xは互いに直交する。また、第3方向Xの一方側にX1を付し、第3方向Xの他方側にX2を付し、第2方向Yの一方側にY1を付し、第2方向Yの他方側にY2を付し、第1方向Zの一方側にZ1を付し、第1方向Zの他方側にZ2を付して説明する。
【0018】
本発明を適用したアクチュエータ1は、可動体3を支持体2に対して相対移動させる磁気駆動回路10を有する。磁気駆動回路10は、磁石5と、第1方向Zで磁石5と対向するコイル6とを有する。磁気駆動回路10では、コイル6が支持体2の側に設けられ、磁石5が可動体3の側に設けられる態様、および、コイル6が可動体3の側に設けられ、磁石5が支持体2の側に設けられる態様を採用することができる。以下、説明する実施形態は、コイル6が支持体2の側に設けられ、磁石5が可動体3の側に設けられる。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るアクチュエータ1の外観斜視図である。
図2は、
図1のアクチュエータ1を第2方向Yの他方側Y2から見た外観斜視図である。
図3は、
図1のアクチュエータ1の分解斜視図である。
図4は、
図1のアクチュエータ1の断面図である。
図5は、
図1のアクチュエータ1から第1ケース部材91および第1ヨーク81を外した状態における平面図である。
図6は、ケース9を取り外したアクチュエータ1を第1方向Zの他方側Z2から見た分解斜視図である。
図7は、ケース9を取り外したアクチュエータ1を第1方向Zの一方側Z1から見た分解斜視図である。
図8は、コイル6、コイルホルダ7および配線基板11の分解斜視図である。
【0020】
(全体構成)
図1、
図2および
図3に示すように、本実施形態のアクチュエータ1は、第2方向Yに長手方向を向けた略直方体形状のケース9を含む支持体2を有している。
図4に示すように、ケース9の内部には、可動体3が配置されており、支持体2および可動体3には、接続体4が接続している。ケース9は、アクチュエータ1の外郭を構成している。従って、アクチュエータ1は、第2方向Yに長手方向を向けた略直方体形状を有している。
【0021】
図3および
図4に示すように、支持体2は、ケース9、コイル6、コイルホルダ7、および配線基板11を有する。可動体3は、磁石5およびヨーク8を有する。磁石5とコイル6は、第1方向Zで対向し、支持体2に対して可動体3を第2方向Yに相対移動させる磁気駆動回路10を構成している。従って、磁気駆動回路10は、可動体3を第2方向Yに振動させることができる。それ故、アクチュエータ1は、アクチュエータ1を取り付けた機器等を利用する者に触覚を与える振動デバイスとして使用することができる。例えば、アクチュエータ1は、ゲーム機の操作部材、操作パネル、自動車のハンドルや座席等に組み込んで使用することができる。
【0022】
(可動体3)
図4、
図5、
図6および
図7に示すように、可動体3において、磁石5は、コイル6に第1方向Zの一方側Z1で対向する第1磁石51と、コイル6に第1方向Zの他方側Z2で対向する第2磁石52とを有する。本形態において、第1磁石51および第2磁石52は各々、第2方向Yに並ぶ2つの磁石から構成される。第1磁石51において、少なくともコイル6と対向する面は、第2方向Yの一方側Y1と他方側Y2とが異なる極に着磁されている。同様に、第2磁石52において、少なくともコイル6と対向する面は、第2方向Yの一方側Y1と他方側Y2とが異なる極に着磁されている。また、第1磁石51と第2磁石52とにおいて、コイル6を介して互いに対向する面は、異なる極となるように構成される。
【0023】
可動体3において、第1磁石51および第2磁石52に対してコイル6と反対側にはヨーク8が設けられており、第1磁石51および第2磁石52はヨーク8に保持されている
。ヨーク8は、磁性板をプレス加工することにより形成される。本形態において、ヨーク8は、第1磁石51に対してコイル6と反対側(第1方向Zの一方側Z1)に配置された第1ヨーク81と、第2磁石52に対してコイル6と反対側(第1方向Zの他方側Z2)に配置された第2ヨーク82とを有する。
【0024】
第1ヨーク81は、平板状の第1板部811を有しており、第1磁石51は、第1板部811の第1方向Zの他方側Z2の面に保持される。第1板部811の第3方向Xの両端部の中央部分には凹部812が設けられる。
【0025】
第2ヨーク82は、平板状の第2板部821と、第2板部821の第3方向Xの両端から第1方向Zの一方側Z1に折れ曲がった連結部822とを有しており、第2磁石52は、第2板部821の第1方向Zの一方側Z1の面に保持される。連結部822の第1方向Zの一方側Z1の端部の中央部分には、凸部823が設けられている。従って、第1ヨーク81と第2ヨーク82とを第1方向Zで重ねた際、凹部812と凸部823が嵌合することにより、ヨーク8が組み立てられる。また、凹部812と凸部823を溶接等で固定することにより、第1ヨーク81と第2ヨーク82とを連結することができ。
【0026】
(支持体)
図1、
図2および
図3に示すように、支持体2において、ケース9は、第1ケース部材91と、第1ケース部材91に第1方向Zの他方側Z2から重なる第2ケース部材92とを有する。第1ケース部材91と第2ケース部材92との間には、可動体3、接続体4、コイル6およびコイルホルダ7が収容される。ケース9の第2方向Yの一方側Y1の側面には、第1開口部93が形成され、第1開口部93からは配線基板11が露出する。
【0027】
第1ケース部材91は、第1方向Zを向く第1端板部911と、第1端板部911の端縁から第1方向Zの他方側Z2に突出する側板部912とを有する。第2方向Yの一方側Y1の側板部912の中央部分には、第1切り欠き部913が設けられる。第2方向Yの他方側の側板部912の中央部分には、第2切り欠き部914が設けられる。第2ケース部材92は、第1方向Zを向く第2端板部921と、第2端板部921の端縁から第1方向の一方側Z1に突出する側板部912とを有する。第2方向Yの一方側Y1の側板部922の中央部分には、第1切り欠き部923が設けられる。第2方向Yの他方側の側板部922の中央部分には、第2切り欠き部924が設けられる。第1端板部911および第2端板部921の第3方向Xの中央には、第2方向Yに延在する補強用のリブ911a、921aが形成されている。
【0028】
第1ケース部材91および第2ケース部材92を第1方向Zで重ねた際、第1ケース部材91の側板部912が第2ケース部材92の側板部922の外側から被さる。この状態で、第1ケース部材91および第2ケース部材92は、溶接等により固定される。第1ケース部材91および第2ケース部材92が固定されると、第1ケース部材91の第1切り欠き部913および第2ケース部材92の第1切り欠き部923が第1開口部93を構成し、第1ケース部材91の第2切り欠き部914および第2ケース部材92の第2切り欠き部924が第2開口部94を構成する。
【0029】
図6、
図7および
図8に示すコイルホルダ7は、樹脂材料からなる。コイルホルダ7は、コイル6と配線基板11とを保持する。コイルホルダ7は、第1方向Zから見た形状が長方形の本体部71と、本体部71の第2方向Yの両端から第1方向Zに突出する側壁部72とを有する。本体部71には、第1方向Zに貫通するコイル配置穴73が設けられており、コイル配置穴73にはコイル6が配置される。
【0030】
側壁部72は、第2方向Yの一方側Y1に配置された第1側壁部74と、第2方向Yの
他方側Y2に配置された第2側壁部75とを有する。第1側壁部74および第2側壁部75は、本体部71の第3方向Xの両端より、第3方向Xの両側に突出する。具体的には、第1側壁部74の第3方向Xの一方側X1の端部は、本体部71の第3方向Xの一方側X1の端部711より、第3方向Xの一方側X1に突出し、第1内壁部741を形成する。第1側壁部74の第3方向Xの他方側X2の端部は、本体部71の第3方向Xの他方側X2の端部712より、第3方向Xの他方側X2に突出し、第2内壁部742を形成する。第1内壁部741および第2内壁部742は、第2方向Yの他方側Y2を向く面部である。
【0031】
第2側壁部75の第3方向Xの一方側X1の端部は、本体部71の第3方向Xの一方側X1の端部711より、第3方向Xの一方側X1に突出し、第1内壁部751を形成する。第2側壁部75の第3方向Xの他方側X2の端部は、本体部71の第3方向Xの他方側X2の端部712より、第3方向Xの他方側X2に突出し、第2内壁部752を形成する。第1内壁部751および第2内壁部752は、第2方向Yの一方側Y1を向く面部である。
【0032】
図5に示すように、コイルホルダ7において、第1側壁部74の第1内壁部741および第2側壁部75の第1内壁部751は、ヨーク8の第1連結部8221と、第2方向Yで対向する。コイルホルダ7において、第1側壁部74の第2内壁部742および第2側壁部75の第2内壁部752は、ヨーク8の第1連結部8221と、第2方向Yで対向する。したがって、第1側壁部74の第1内壁部741および第2内壁部742は、可動体3が第2方向Yに移動する際の第2方向Yの一方側Y1の可動範囲を規定する度当たり面として機能する。第2側壁部75の第1内壁部751および第2内壁部752は、可動体3が第2方向Yに移動する際の第2方向Yの他方側Y2の可動範囲を規定する度当たり面として機能する。
【0033】
図5に示すように、コイルホルダ7において、本体部71の端部711は、2つの連結部822のうち、第1連結部8221と第2方向Yで対向し、本体部71の端部712は、2つの連結部822のうち、第2連結部8222の第2方向Yで対向する。したがって、本体部71の端部711および端部712は、可動体3が第2方向Yに移動する際の可動範囲を規定する度当たり部として機能する。なお、本形態では、本体部71の端部711および端部712は、後述する第1プレート76および第2プレート77に覆われているので、本体部71の端部711および端部712は、第1プレート76および第2プレート77を介して、度当たり部として機能する。
【0034】
図6、
図7および
図8に示すように、第1側壁部74には、第2方向Yの一方側Y1に突出する第1位置決め凸部743が設けられる。第1位置決め凸部743に中央部分には、第2方向Yの他方側Y2に凹んだ位置決め段部744が設けられる。位置決め段部744には、配線基板11が第2方向Yの一方側Y1から嵌め込まれる。第2側壁部75には、第2方向Yの他方側Y2に突出する第2位置決め凸部753が設けられる。
【0035】
図1、
図2および
図5に示すように、第1位置決め凸部743は、ケース9の第1開口部93に嵌合するとともに、ケース9より第2方向Yの一方側Y1に突出する。同様に、第2位置決め凸部753は、ケース9の第2開口部94に嵌合するとともに、ケース9より第2方向Yの他方側Y2に突出する。
図5に示すように、第1側壁部74および第2側壁部75は、第2方向Yにおいて、第2ケース部材92の側板部922の内面と当接する。したがって、第1位置決め凸部743および第2位置決め凸部753は、ケース9に対して、コイルホルダ7を第1方向Zおよび第2方向Yに位置決めする。第1側壁部74および第2側壁部75は、ケース9に対して、コイルホルダ7を第2方向Yに位置決めする。
【0036】
コイルホルダ7には、本体部71に対して第1方向Zの一方側Z1および他方側Z2から重なるように、第1プレート76および第2プレート77が取り付けられる。第1プレート76および第2プレート77は、非磁性材料からなる。本形態では、第1プレート76および第2プレート77は、非磁性のステンレス板からなる。第1プレート76および第2プレート77は、本体部71と、本体部71の端部711および端部712とを覆う。
【0037】
第1プレート76は、第2方向Yの両側から第1方向Zの一方側Z1に斜めに突出する爪部761を有する。本形態では、爪部761は、4つである。第2プレート77は、第2方向Yの両端から第1方向Zの他方側Z2に斜めに突出する爪部771を有する。本形態は、爪部771は、4つである。爪部761および771は、第1側壁部74および第2側壁部75に弾性をもって当接する。これにより、第1プレート76および第2プレート77は、コイルホルダ7に保持される。
【0038】
コイル6は長円形である。コイル6は、コイル配置穴73に配置され、接着剤により、コイルホルダ7に固定される。接着剤は、コイル6の空芯部60に充填されて、コイル6とコイルホルダ7との間に流れ込んで硬化する。接着剤は、コイル6と第1プレート76との間、第1プレート76とコイルホルダ7との間、コイル6と第2プレート77との間、第2プレート77とコイルホルダ7との間に流れ込んで硬化する。したがって、コイル6、第1プレート76、第2プレート77およびコイルホルダ7は、接着剤が流れ込んで硬化した接着層によって固定される。コイル6をコイルホルダ7に固定する方法は、接着剤による方法以外にも、インサート一体成型等であってもよい。
【0039】
アクチュエータ1は、配線基板11を介して外部(上位の機器)からコイル6に給電する。配線基板11は、コイルホルダ7に保持されて、ケース9の第1開口部93から露出する。コイル6から引き出される引き出し部分61は、コイルホルダ7の本体部71に第2方向Yの一方側Y1に引き出され、第1方向Zの一方側Z1へ曲げられて、配線基板11と電気的に接続する。
【0040】
(磁気駆動回路)
このように構成したアクチュエータ1においては、
図5に示すように、アクチュエータ1は、長円形のコイル6と磁石5との対からなる磁気駆動回路10を備える。磁気駆動回路10は、第2方向Yおよび第3方向Xを含む平面内方向であって第2方向Yに駆動力を発生する。このため、例えば、コイル6に印加する交流波形を調整することで、可動体3が第2方向Yの一方側X1に移動する加速度と、可動体3が第2方向Yの他方側X2に移動する加速度を異なるものとすることができる。したがって、アクチュエータ1を取り付けた機器等を利用する者は、第2方向Yにおいて方向性を有する振動を体感することができる。
【0041】
(突出部83および接続体4の構成)
本形態では、接続体4を介して可動体3が支持体2に支持された構造とするにあたって、以下の構造が採用されている。本形態において、接続体4は粘弾性部材であり、接続体4自身の粘着性、あるいは接着剤によって可動体3および支持体2の双方に接合されている。
【0042】
まず、可動体3では、第1方向Zにおける寸法が可動体3より小さい突出部83が第1方向Zに対して交差する方向に向けて突出しており、接続体4は、支持体2のうち、突出部83に第1方向Zで対向する部分と突出部83とに接続されている。本形態において、突出部83は、第1方向Zおよび第2方向Yの双方に対して交差する第3方向Xに向けて
突出している。
【0043】
本形態において、突出部83は、第1方向Zに対して交差する方向(第3方向X)の一方側X1および他方側X2の各々に、第1突出部831および第2突出部832として設けられている。従って、接続体4は、支持体2のうち、第1突出部831に第1方向Zで対向する部分と第1突出部831とに接続された第1接続体41、および支持体2のうち、第2突出部832に第1方向Zで対向する部分と第2突出部832とに接続された第2接続体42として設けられている。
【0044】
また、突出部83(第1突出部831および第2突出部832)は、可動体3における第1方向Zの途中位置から突出しており、接続体4は、支持体2のうち、突出部83に対して第1方向Zの一方側Z1で対向する部分と突出部83との間、および支持体2のうち、突出部83に対して第1方向Zの他方側Z2で対向する部分と突出部83との間の各々に設けられている。
【0045】
従って、第1接続体41は、支持体2のうち、第1突出部831に対して第1方向Zの一方側Z1で対向する部分と第1突出部831との間に設けられた第1部分411、および支持体2のうち、突出部83に対して第1方向Zの他方側Z2で対向する部分と第1突出部831との間に設けられた第2部分412からなる。また、第2接続体42は、支持体2のうち、第2突出部832に対して第1方向Zの一方側Z1で対向する部分と第2突出部832との間に設けられた第1部分421、および支持体2のうち、第2突出部832に対して第1方向Zの他方側Z2で対向する部分と第2突出部832との間に設けられた第2部分422からなる。
【0046】
本形態において、ケース9は、可動体3を第1方向Zの一方側Z1から重なる第1端板部911と、可動体3を第1方向Zの他方側Z2から重なる第2端板部921とを有しており、第1端板部911および第2端板部921は各々、突出部83(第1突出部831および第2突出部832)に対して、第1方向Zの一方側Z1、および他方側Z2で対向している。
【0047】
それ故、第1接続体41は、第1端板部911と第1突出部831との間に設けられた第1部分411、および第2端板部921と第1突出部831との間に設けられた第2部分412からなる。また、第2接続体42は、第1端板部911と第2突出部832との間に設けられた第1部分421、および第2端板部921と第2突出部832との間に設けられた第2部分422からなる。接続体4(第1部分411、421、および第2部分421、422)は、平面サイズ、厚さ等が同一である。
【0048】
本形態において、接続体4(第1部分411、421、および第2部分421、422)は各々、第1方向Zで同程度の厚さまで圧縮された状態に配置され、接続体4自身の粘着性、あるいは接着剤によって可動体3の突出部83、および支持体2の端板部(第1端板部911、および第2端板部921)の双方に接合されている。
【0049】
本形態において、突出部83は、ヨーク8に設けられている。より具体的には、第1突出部831は、連結部822のうち、第1連結部8221から第3方向Xの一方側X1に突出した部分である。第2突出部832は、連結部822のうち、第2連結部8222から第3方向Xの他方側X2に突出した部分である。従って、突出部83(第1突出部831および第2突出部832)はいずれも、板厚方向を第1方向Zに向けた板状である。
【0050】
接続体4において、粘弾性とは、粘性と弾性の両方を合わせた性質のことであり、プラスチックやゴム等の高分子物質に顕著に見られる性質である。従って、接続体4(粘弾性
部材)として、各種ゲル部材を用いることができる。また、接続体4(粘弾性部材)として、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム)、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いてもよい。また、弾性を備えた接続体4としては、板バネやコイルバネ等のバネを用いることができる。
【0051】
本形態では、接続体4として、シリコーンゲル等のゲル状部材(ゲル状ダンパー部材)が用いられている。針入度が80度から110度であるシリコーン系ゲルが用いられている。針入度とは、JIS-K-2207やJIS-K-2220で規定されており、この値が小さい程、硬いことを意味する。
【0052】
ここで、粘弾性部材は、その伸縮方向によって、線形あるいは非線形の伸縮特性を備える。例えば、粘弾性部材は、その厚さ方向(径方向および中心軸線L方向)に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える一方、引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい伸縮特性を備える。また、厚さ方向と交差する方向(せん断方向)に変形する場合も、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を持つ。本形態においては、可動体3が振動した際、粘弾性部材は、せん断方向(周方向)に変形するように構成されている。従って、粘弾性部材は、線形性が高い範囲で変形するので、アクチュエータ1からはリニアリティが良好な振動特性を得ることができる。
【0053】
(本形態の主な効果)
本形態において、可動体3では、第1方向Zにおける寸法が可動体3より小さい突出部83が第1方向Zに対して交差する方向に向けて突出しており、接続体4は、支持体2のうち、突出部83に第1方向Zで対向する部分と突出部83とに接続されている。このため、接続体4がコイル6および磁石5に対して第1方向Zで重なっていないため、コイル6と磁石5とが重なる第1方向Zにおけるアクチュエータ1の寸法を小さくすることができる。また、接続体4がコイル6および磁石5に対して第1方向Zで重なっていないため、接続体4の第1方向Zの寸法(厚さ)を大きくすることができるので、可動体3の支持体2に対する移動距離(ストローク)を大きくして可動体3の加速度を高めることができる。それ故、アクチュエータ1が発生させる振動を大きくすることができる。
【0054】
また、突出部83は、ヨーク8に設けられており、板厚方向を第1方向Zに向けた板状である。このため、第1方向Zにおけるアクチュエータ1の寸法を小さくすることができるとともに、接続体4の第1方向Zの寸法(厚さ)を大きくすることにより、可動体3の支持体2に対する移動距離(ストローク)を大きくして可動体3の加速度を高めることが容易である。
【0055】
また、突出部83は、第3方向Xの一方側X1および他方側X2の各々に第1突出部831および第2突出部832として設けられており、接続体4は、支持体2のうち、第1突出部831に第1方向Zで対向する部分と第1突出部831とに接続された第1接続体41、および支持体2のうち、第2突出部832に第1方向Zで対向する部分と第2突出部832とに接続された第2接続体42として設けられている。また、突出部83(第1突出部831および第2突出部832)は、可動体3における第1方向Zの途中位置から突出しており、接続体4は、支持体2のうち、突出部83に対して第1方向Zの一方側Z1で対向する部分と突出部83との間、および支持体2のうち、突出部83に対して第1方向Zの他方側Z2で対向する部分と突出部83との間の各々に設けられている。従って、可動体3は、支持体2にバランスよく安定した状態で支持される。
【0056】
(他の実施形態)
上記形態では、突出部83を可動体3の移動方向(第2方向Y)と交差する第3方向Xに突出させたが、突出部83を可動体3の移動方向(第2方向Y)に突出させてもよい。
【0057】
上記形態では、第1接続体41および第2接続体42は、一対の突出部83が向く方向において、一対の突出部83の各々の両側に配置される構成であったが、この構成に限定されない。例えば、第1接続体41および第2接続体42は、突出部83の第1方向Zの一方側Z1のみに配置されてもよいし、突出部83の第1方向Zの他方側Z2のみに配置されてもよい。すなわち、第1接続体41は、第1部分411で構成され、第2接続体42は、第1部分421で構成されてもよい。また、第1接続体41は、第2部分412で構成され、第2接続体42は、第2部分422で構成されてもよい。このように構成しても、第1方向Zにおいて、接続体を磁気駆動回路と重なるように接続体を配置した構成と比べて、アクチュエータ1の厚みを薄くすることができるとともに、接続体4の厚みを確保することができる。
【0058】
上記形態では、ヨーク8の連結部822に、突出部83を設けていたが、この構成に限定されない。例えば、ヨーク8を覆うケースなど部材を用いる場合は、この部材に突出部を設けてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…アクチュエータ、2…支持体、3…可動体、4…接続体、5…磁石、6…コイル、7…コイルホルダ、8…ヨーク、9…ケース、10…磁気駆動回路、41…第1接続体、42…第2接続体、51…第1磁石、52…第2磁石、76…第1プレート、77…第2プレート、81…第1ヨーク、82…第2ヨーク、83…突出部、91…第1ケース部材、92…第2ケース部材、411、421…第1部分、412、422…第2部分、831…第1突出部、832…第2突出部、X…第3方向、Y…第2方向、Z…第1方向