(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/14 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
F25D21/14 A
(21)【出願番号】P 2019187548
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 隆史
(72)【発明者】
【氏名】河地 基宏
【審査官】五十嵐 公輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-017493(JP,A)
【文献】実開平04-112361(JP,U)
【文献】特開平10-030877(JP,A)
【文献】実開平05-059169(JP,U)
【文献】特開2018-191794(JP,A)
【文献】特開2017-109056(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 1/00-31/00
A47F 3/04
E06B 7/215-7/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に開口された収容室を有する箱状の貯蔵庫本体と、
前記貯蔵庫本体が設置される床面上を移動可能な台車部と、前記収容室に対してその前方から挿入ないし抜出し可能に収容されたカート本体部と、を備えるカートと、
前記収容室を構成する底壁部の前端部に設けられ、前記カート本体部の少なくとも一部を前方から挿入可能とする開口部を構成する開口部構成部材と、
前記収容室を開閉可能な扉と、
前記収容室に設けられ、水を噴射することが可能な噴射部と、
前記扉における前記収容室側の面に設けられ、前記カート本体部の前記一部が前記開口部に挿入されていないカート未挿入状態において前記開口部を塞ぐ閉塞部材と、を備え
、
前記扉における前記収容室側の面において、前記開口部構成部材の上方となる箇所に設けられ、当該貯蔵庫の左右方向に延びると共に上方に開口された箱状をなす水受け部材を備え、
前記閉塞部材は、柔軟性を有するシート部材であり、前記カート未挿入状態において、前記水受け部材を構成する前記収容室側の壁部における前記収容室側の面から垂れ下がる形で配されており、
前記閉塞部材の下部は、前記開口部内に配されており、
前記開口部の内面のうち前記閉塞部材の下方に配される底面と前記閉塞部材の下端との間には、隙間が設けられている、貯蔵庫。
【請求項2】
前記閉塞部材は、前記カート未挿入状態において前記開口部内に配され、
前記開口部の内面のうち、前記閉塞部材の下方に配される底面は、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面である請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記閉塞部材は、前記カート未挿入状態において前記開口部内に配され、
前記開口部の内面のうち、前記閉塞部材の下方に配される底面には、前後方向に沿って延びる溝部が、当該貯蔵庫の左右方向に沿って複数並ぶ形で形成されている請求項1又は請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記貯蔵庫本体は、前記収容室を構成する天井壁部を備え、
前記噴射部は、前記天井壁部の下面に設けられ、少なくとも前方に向けて水を噴射することが可能な構成とされ、
前記噴射部と前記扉の上端部の間には、当該貯蔵庫の左右方向に延びる延設部材が介在されている請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記延設部材は、後方に向かうにつれて下降傾斜する延設部材側傾斜面を有している請求項4に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記延設部材は、板状をなし、
前記天井壁部の下面に取り付けられた第1板部と、
前記第1板部の後端から後方に向かうにつれて下降傾斜すると共に、前記延設部材側傾斜面を有する第2板部と、
前記第1板部の前端から前方に向かうにつれて下降傾斜する第3板部と、
前記第3板部の下端から下方に延び、前記扉における前記収容室側の面と対向配置される第4板部と、を備える請求項5に記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記貯蔵庫本体は、前記収容室の内面を構成する側壁部を有し、
前記延設部材の延設方向における前記側壁部側の一端部と前記側壁部との間には隙間が設けられている請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の貯蔵庫。
【請求項8】
前記開口部構成部材は、前記収容室を構成する前記底壁部の前端部から上方に立ち上がる一対の柱状部材を備え、当該貯蔵庫の左右方向に沿って並ぶ前記一対の柱状部材の間に前記開口部が形成されており
、
前記水受け部材において前記一対の柱状部材のうち一方の柱状部材の上方に配される箇所には、前記水受け部材内の水を水受け部材の下方に排出する排出孔が設けられ、
前記一方の柱状部材の上面は、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされる請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の貯蔵庫。
【請求項9】
前記水受け部材の底壁部は、前記一対の柱状部材のうち他方の柱状部材から前記一方の柱状部材に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面を有する請求項8に記載の貯蔵庫。
【請求項10】
前記収容室は、前記カート本体部が配されるカート配置空間と、冷却器が配される冷却器配置空間と、を有し、
前記カート配置空間と前記冷却器配置空間とは当該貯蔵庫の左右方向に並ぶものとされ、
前記扉は、前記収容室のうち前記カート配置空間を開閉可能な構成とされ、
前記収容室のうち前記冷却器配置空間を開閉可能な冷却器側扉を備え、
前記冷却器側扉における前記冷却器側の面には、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面を有する傾斜面構成部材が当該貯蔵庫の左右方向に延びる形で設けられている請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯蔵庫として、カートを収容することが可能な収容室を有する貯蔵庫本体と、収容室を開閉する扉と、を備えるものが知られている(下記特許文献1)。特許文献1には、カートの一部(基盤)が前方から進入可能な開口部を構成する開口部構成部材(カート受け)が収容室(収納室)に設けられているものが記載されている。なお、カートにはトレイが複数段に亘って収容されており、トレイには食品等の載置物が載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記貯蔵庫においては、トレイに載置された載置物(例えば食品の煮汁等)によって収容室内が汚れる場合があるため、収容室内を洗浄することが求められる。収容室内を洗浄するために、例えば水(洗浄水)を噴射することが可能な噴射部を収容室に設けることが考えられる。
【0005】
ここで、仮にカートが収容室に収容されている状態で水を噴射すると、カートが噴射された水を遮ってしまうため、収容室内において洗浄されない部分が生じ易くなる。このため、カートが収容室に収容されていない状態で収容室内を洗浄することが好ましい。しかしながら、カートが収容室に収容されていない状態では、カートが開口部に挿入されていないことから、噴射部からの水が開口部を通じて庫外に漏れる事態が懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、水が庫外に漏れる事態を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の貯蔵庫は、前方に開口された収容室を有する箱状の貯蔵庫本体と、前記貯蔵庫本体が設置される床面上を移動可能な台車部と、前記収容室に対してその前方から挿入ないし抜出し可能に収容されたカート本体部と、を備えるカートと、前記収容室を構成する底壁部の前端部に設けられ、前記カート本体部の少なくとも一部を前方から挿入可能とする開口部を構成する開口部構成部材と、前記収容室を開閉可能な扉と、前記収容室に設けられ、水を噴射することが可能な噴射部と、前記扉における前記収容室側の面に設けられ、前記カート本体部の前記一部が前記開口部に挿入されていないカート未挿入状態において前記開口部を塞ぐ閉塞部材と、を備えることに特徴を有する。
【0008】
上記構成によれば、カート本体部の少なくとも一部が開口部に挿入されることで、カート本体部を位置決めすることができる。また、カートが開口部に挿入されていない状態においては、開口部が閉塞部材によって塞がれているため、噴射部からの水が開口部を通じて庫外(主に貯蔵庫本体の前方)に漏れる事態を抑制できる。また、閉塞部材は、扉に設けられているため、扉を開けることで開口部から離れる結果、開口部が開放される。これにより、開口部にカート本体部を挿入する際に閉塞部材を開口部から取り除く作業を行う必要がなく、作業性を向上させることができる。
【0009】
また、前記閉塞部材は、前記カート未挿入状態において前記開口部内に配され、前記開口部の内面のうち、前記閉塞部材の下方に配される底面は、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面であるものとすることができる。
【0010】
閉塞部材を、開口部内に配することで、より確実に開口部を塞ぐことができる。しかしながら、閉塞部材の表面を流下した水が開口部の底面に溜まると、開口部の前方に水が漏れる事態が懸念される。そこで、底面を傾斜面とすれば、底面にある水が後方(収容室の内部側)に向かい易くなり、水が溜まる事態を抑制できる。
【0011】
また、前記閉塞部材は、前記カート未挿入状態において前記開口部内に配され、前記開口部の内面のうち、前記閉塞部材の下方に配される底面には、前後方向に沿って延びる溝部が、当該貯蔵庫の左右方向に沿って複数並ぶ形で形成されているものとすることができる。
【0012】
閉塞部材を、開口部内に配することで、より確実に開口部を塞ぐことができる。しかしながら、閉塞部材の表面を流下した水が開口部の底面に溜まると、開口部の前方に水が漏れる事態が懸念される。そこで、底面に複数の溝部を設けることで、底面上の水は、溝部に沿って収容室に流れ易くなる。これによって、底面に水が溜まる事態をより確実に抑制することができる。
【0013】
また、前記貯蔵庫本体は、前記収容室を構成する天井壁部を備え、前記噴射部は、前記天井壁部の下面に設けられ、少なくとも前方に向けて水を噴射することが可能な構成とされ、前記噴射部と前記扉の上端部の間には、当該貯蔵庫の左右方向に延びる延設部材が介在されているものとすることができる。延設部材を備えることで、扉の上端部に噴射部からの水が直接的にかかる事態を抑制できる。これにより、扉の上端部と貯蔵庫本体の間から水が庫外に漏れる事態を抑制できる。
【0014】
また、前記延設部材は、後方に向かうにつれて下降傾斜する延設部材側傾斜面を有しているものとすることができる。噴射部からの水が延設部材側傾斜面で跳ね返った場合において、跳ね返った水を後方に向けることができる。このため、延設部材で跳ね返った水が前方に向かい庫外に漏れる事態を抑制できる。
【0015】
また、前記延設部材は、板状をなし、前記天井壁部の下面に取り付けられた第1板部と、前記第1板部の後端から後方に向かうにつれて下降傾斜すると共に、前記延設部材側傾斜面を有する第2板部と、前記第1板部の前端から前方に向かうにつれて下降傾斜する第3板部と、前記第3板部の下端から下方に延び、前記扉における前記収容室側の面と対向配置される第4板部と、を備えるものとすることができる。
【0016】
第4板部を備えることで延設部材と扉の隙間をより小さくすることができる。これにより、噴射部からの水(又は当該水が蒸発した蒸気)が延設部材と扉の隙間を通じて庫外に漏れる事態を抑制できる。また、第4板部と第1板部とを繋ぐ第3板部は、前方に向かうにつれて下降傾斜するものであるから、第3板部の上面に水が溜まる事態を抑制できる。
【0017】
また、前記貯蔵庫本体は、前記収容室の内面を構成する側壁部を有し、前記延設部材の延設方向における前記側壁部側の一端部と前記側壁部との間には隙間が設けられているものとすることができる。
【0018】
仮に延設部材の一端部と側壁部とが接触していると、噴射部から前方且つ側壁部側に噴射された水が延設部材の一端部によって遮られ、側壁部において延設部材よりも前方に水が到達しない事態が懸念される。延設部材の一端部と側壁部との間に隙間を設けることで、その隙間を通じて水が前方に向かうことができる。これにより、側壁部の表面の一部に水が届かない事態を抑制でき、より確実に表面の洗浄を行うことができる。
【0019】
また、前記扉における前記収容室側の面に設けられ、当該貯蔵庫の左右方向に延びると共に上方に開口された箱状をなす水受け部材を備え、前記開口部構成部材は、前記収容室を構成する前記底壁部の前端部から上方に立ち上がる一対の柱状部材を備え、当該貯蔵庫の左右方向に沿って並ぶ前記一対の柱状部材の間に前記開口部が形成されており、前記水受け部材は、前記開口部構成部材の上方に配され、前記水受け部材において前記一対の柱状部材のうち一方の柱状部材の上方に配される箇所には、前記水受け部材内の水を水受け部材の下方に排出する排出孔が設けられ、前記一方の柱状部材の上面は、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされるものとすることができる。
【0020】
噴射部からの水が扉の裏面を流下した場合に、流下した水を水受け部材によって受けることができる。そして、水受け部材で受けられた水は、排出孔から排出される。ここで、排出孔は、一方の柱状部材の上方に配されており、開口部を避ける形で配されている。このため、排出孔から排出された水が開口部を通じて庫外に漏れる事態を抑制できる。また、一方の柱状部材の上面は、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面であるため、排出孔から排出された水が当該上面に落下した場合には、後方(庫内)に向かうことから、庫外に漏れる事態をより確実に抑制できる。
【0021】
また、前記水受け部材の底壁部は、前記一対の柱状部材のうち他方の柱状部材から前記一方の柱状部材に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面を有するものとすることができる。水受け部材で受けられた水を一方の柱状部材側(排出孔側)に向かわせることができ、水の排出をより確実に行うことができる。
【0022】
また、前記収容室は、前記カート本体部が配されるカート配置空間と、冷却器が配される冷却器配置空間と、を有し、前記カート配置空間と前記冷却器配置空間とは当該貯蔵庫の左右方向に並ぶものとされ、前記扉は、前記収容室のうち前記カート配置空間を開閉可能な構成とされ、前記収容室のうち前記冷却器配置空間を開閉可能な冷却器側扉を備え、前記冷却器側扉における前記冷却器側の面には、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面を有する傾斜面構成部材が当該貯蔵庫の左右方向に延びる形で設けられているものとすることができる。
【0023】
噴射部からの水が冷却器側扉の裏面(冷却器側の面)を流下した場合に、流下した水を傾斜面構成部材の傾斜面によって後方(庫内側)に流すことができる。これにより、水が冷却器側扉の下端部から庫外に漏れる事態を抑制できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、水が庫外に漏れる事態を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態1に係る急速冷却庫を示す正面図
【
図3】カート及び扉を省略した状態の冷却庫本体を示す斜視図
【
図4】カート配置空間を開放した状態の急速冷却庫を示す正面図(カート収容状態)
【
図5】扉12,17Aが開いた状態の急速冷却庫を示す斜視図(カート未収容状態)
【
図6】収容室内を正面側から視た図(冷却ユニットの内部構造を示す断面図)
【
図7】急速冷却庫を排気パイプに対応する箇所で切断した断面図
【
図8】収容室内及び収容空間内を正面側から視た図(カバー37Bを開けた状態)
【
図15】洗剤トレイを示す斜視図(トレイ本体が回転した状態)
【
図19】開口部構成部材付近を示す断面図(カート収容状態)
【
図20】開口部構成部材付近を示す断面図(カート未収容状態)
【
図22】開口部構成部材及び扉12の下部付近を示す斜視図
【
図24】ドレンパン及び本体側ドレンパンを上方から視た図
【
図26】水受け部材及び開口部構成部材を収容室側から視た斜視図
【
図27】水受け部材及び開口部構成部材を収容室側から視た図
【
図28】水受け部材を示す断面図(
図27のXXVIII-XXVIII線で切断した図に対応)
【
図29】扉17Aに設けられた傾斜面構成部材を右側から視た図
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1から
図37によって説明する。本実施形態では、貯蔵庫として、カートインタイプの急速冷却庫10(ブラストチラー)を例示する。急速冷却庫10は、
図1及び
図2に示すように、縦長の冷却庫本体11(貯蔵庫本体)と、扉12と、扉17Aと、カート13と、を備える。冷却庫本体11は断熱箱体であり、
図3に示すように、前方に開口された収容室15を有する箱状をなしている。冷却庫本体11の下面には、4つの脚部14が設けられている。冷却庫本体11は、4つの脚部14を介して、床面14A上に設置されており、冷却庫本体11の下面11Aと床面14Aとの間には隙間が設けられている。なお、以下の説明では、扉12側を前側、扉12とは反対側を後側として説明する。また、正面視(急速冷却庫10を前側から視た状態、
図1の状態)における左右方向が急速冷却庫10の左右方向である。
【0027】
カート13(トロリー)は、
図3に示すように、台車部19と、カート本体部20と、カート本体部20と台車部19とを接続する接続部21と、を備える。台車部19は、4つのキャスタ19A及び方形枠状の枠部材19Bを備え、床面14A上を移動可能な構成となっている。接続部21は、台車部19(より詳しくは枠部材19B)の前端部から上方に立ち上がる一対の柱体22,22と、一対の柱体22,22の後面に設けられた板部23と、を備える。カート本体部20は、板部23の後面から後方に延びる基盤24と、基盤24上に設けられた縦長の門型をなす前後一対のフレーム25,25と、一対のフレーム25,25間に亘って複数段に設けられたトレイ受け26と、を備える。トレイ受け26には、
図4に示すように、トレイ26Aが載置され、そのトレイ26Aには被冷却物である食品が載置される。
【0028】
基盤24は、
図3に示すように、台車部19の上方に配されている。そして、枠部材19Bと基盤24との間には、冷却庫本体11の底壁部15F(収容室を構成する底壁部)を後方から挿入することが可能な隙間S1が設けられている。カート本体部20は、収容室15(より詳しくは収容室15のうちカート配置空間15A)に対してその前方から挿入ないし抜出し可能に収容されている。つまり、カート13を冷却庫本体11の前方から後方に動かすことで、カート本体部20をカート配置空間15Aに対して前方から挿入することでカート配置空間15Aに収容することができる。また、カート本体部20がカート配置空間15Aに収容された状態でカート13を前方に動かすことで、カート配置空間15Aからカート本体部20を取り出す(抜き出す)ことができる。なお、
図19に示すように、カート本体部20を収容室15に収容した状態(カート収容状態)では、台車部19の枠部材19Bは、底壁部15Fの下方に配置されている。
【0029】
収容室15(庫内)は、
図3に示すように、主にカート本体部20(ひいては被冷却物である食品)が配されるカート配置空間15Aと、冷却器35(
図6参照)を含む冷却ユニット16が主に配される冷却ユニット配置空間15B(冷却器配置空間)と、を有している。カート配置空間15Aは、収容室15の右側の領域であり、冷却ユニット配置空間15Bは、収容室15の左側の領域である。つまり、カート配置空間15Aと冷却ユニット配置空間15Bとは急速冷却庫10の左右方向(貯蔵庫の左右方向)に並んでおり、カート配置空間15A及び冷却ユニット配置空間15Bはそれぞれ前方に開口されている。
【0030】
扉12は、収容室15のうちカート配置空間15Aを開閉可能な構成とされる。扉12は、
図1に示すように、右側の側端部において、冷却庫本体11に対してヒンジ12Aを介して回動可能に取り付けられている。これにより、ヒンジ12Aを回動中心として扉12を回動させることでカート配置空間15Aを開閉することができる。扉17A(冷却器側扉)は、左側の側端部において、冷却庫本体11に対して回動可能に取り付けられている。扉17Aは、収容室15のうち冷却ユニット配置空間15Bを開閉可能な構成とされる。扉12及び扉17Aは、閉状態では、左右方向に並んでいる。また、扉12及び扉17Aは、ロック機構52によって閉状態で固定される構成となっている。ロック機構52は、レバー53を備え、レバー53を操作することで、ロック機構52による扉12及び扉17Aの固定を解除することが可能となっている。
【0031】
冷却ユニット配置空間15Bには、
図6に示すように、冷却ユニット16が配置されている。冷却ユニット16は、2基の冷却器35(蒸発器)と、3基の庫内ファン36と、冷却器35及び庫内ファン36が収容されたケース37と、を備える。冷却器35は、収容室15を冷却するためのもので、庫内ファン36に対して左側に配されている。冷却器35は、冷媒配管を介して、外部に設けられた冷凍装置(圧縮機、凝縮器及び凝縮器ファン、図示せず)の圧縮機及び凝縮器と循環接続されることで冷凍サイクルを構成するものとされる。なお、このような冷凍装置は、急速冷却庫10の内部に設けられていてもよい。また、冷却器35及び庫内ファン36の個数は適宜変更可能である。
【0032】
ケース37は、
図5に示すように、右側に開口された開口部37Dを有する箱状をなすケース本体37Aと、ケース本体37Aに対して回動可能に取り付けられたカバー37Bと、を備える。カバー37Bは、後側の端部において、ケース本体37Aに対して回動可能に取り付けられており、開口部37Dを開閉可能な構成となっている。カバー37Bを開けた状態(
図5及び
図8の状態)では、冷却器35が開口部37Dを通じて右側に露出する構成となっている。なお、庫内ファン36は、カバー37Bに対して取り付けられている。
【0033】
収容室15を冷却する冷却運転において、冷凍装置と庫内ファン36とが運転されると、収容室15の空気(主にカート配置空間15Aの空気)がケース37内に吸引され、冷却器35を通過する際に冷やされることで冷気となり、ケース37から左側に吹き出された冷気が、収容室15を構成する左側の側壁部15D(
図6参照)に当たった後、ケース37を回り込むようにしてカート配置空間15Aに送り込まれる。このような空気の循環が連続的に行われることで収容室15(ひいてはトレイ26Aに載置された被冷却物)が冷却される。また、冷却器35の右側面には、ヒータ39が設けられている。ヒータ39は、庫内を乾燥させる乾燥運転(後述)を行う際に用いられる。このような乾燥運転は、例えば収容室15内を洗浄するための洗浄運転(後述)を行った後に実行される。
【0034】
急速冷却庫10は、収容室15内を洗浄するための洗浄装置40を備える。洗浄装置40は、タンク41(
図9参照)と、洗剤トレイ42(
図14参照)と、収容室15に設けられ、水を噴射することが可能な噴射部45(
図10参照)と、ケース37内に設けられ、冷却器35及び庫内ファン36に水を噴射することが可能な冷却ユニット側噴射部46(
図5参照)と、噴射部45及び冷却ユニット側噴射部46の各々にタンク41内の水を供給するポンプ43(
図8参照)と、を備える。
【0035】
冷却庫本体11は、収容室15の底面を構成する底壁部15Fを備えており、タンク41は、
図9に示すように、底壁部15Fの下面11Aに設けられている。底壁部15Fには、
図3に示すように、排水口15Gが貫通形成されており、タンク41は排水口15Gと接続されている。つまり、タンク41の内部空間と排水口15Gとは連通されており、底壁部15F上の水は排水口15Gを通じてタンク41に流れる構成となっている。
【0036】
また、
図8に示すように、天井壁部15Eの上方には、給水バルブ49が設けられている。給水バルブ49は、水道管等の水源と接続されている。また、給水バルブ49は、天井壁部15Eに貫通形成された給水用の孔(図示せず)と接続されている。これにより、給水バルブ49を開くことで、給水用の孔から収容室15内に水源からの水が供給され、収容室15内に供給された水は、底壁部15Fの排水口15Gを通じて、タンク41に溜められる。
【0037】
急速冷却庫10は、収容室15の左側に配された収容空間18を有しており、ポンプ43は、収容空間18における下部に設けられている。ポンプ43とタンク41は、
図9に示すように、配管47(
図36も参照)を介して接続されており、ポンプ43と噴射部45は配管48を介して接続されている。また、ポンプ43は、図示しない配管を介して冷却ユニット側噴射部46とも接続されている。なお、洗浄装置40を構成する各機器は、例えば、収容空間18に設けられたコントロールボックス40A内に収容された制御部によって制御される。
【0038】
冷却庫本体11は、
図10に示すように、収容室15を構成する天井壁部15Eを備え、噴射部45は、天井壁部15Eの下面15K(収容室の天井面)に設けられている。噴射部45は、回転しながら洗浄水を噴射可能な金属製のパドルであって、
図10及び
図11に示すように、円筒部45Aと、円筒部45Aから突出するノズル管45Bと、円筒部45Aからノズル管45Bとは反対側に突出するノズル管45Cと、ノズル管45Cの中間部から下方に突出するノズル管45Dと、を備える。円筒部45Aは、天井壁部15Eから下方に突出する円筒状の突起部45E及び軸受け45Fを介して天井壁部15Eに対して回転可能に取り付けられている。これにより、噴射部45は、突起部45E(上下方向に延びる軸)を回転中心として回転可能となっている。
【0039】
突起部45E、円筒部45A、ノズル管45B,45C,45Dの各内部空間は連通されている。ノズル管45B,45C,45Dの先端には、
図11に示すように、水を扇状に噴射可能なノズル45Gが設けられている。これにより、ポンプ43から供給されたタンク41の水は、突起部45Eの内部を通って各ノズル管45B,45C,45Dのノズル45Gから噴射される。ノズル管45Cの先端は、平面視(上方から視た状態)において基端に対して折り曲げられた形状をなしている。これにより、噴射部45は、ノズル管45Cのノズル45Gからの水の噴射を推進力として、ノズル管45Cの折り曲げ方向と逆方向に回転する。このため、噴射部45は上下方向に延びる軸(突起部45E)を中心として回転しながら、回転方向における全周(360度)に亘って水を噴射することが可能となっている。つまり、噴射部45は少なくとも前方に向けて水を噴射することが可能な構成となっている。
【0040】
冷却ユニット側噴射部46は、冷却器35を右側から覆う形で配されており、
図5、
図12、
図13に示すように、蛇行状をなす形で延びるパイプ46A(噴射部本体)と、複数のノズル46Dと、ノズル46Fと、を備える。ノズル46Dは、
図12に示すように、例えば、パイプ46Aが有する4つの前後方向に延びる延設部のうち、最上段の延設部46Bに設けられており、延設部46Bの延設方向に沿って並ぶ形で複数(例えば4つ、
図12では2つのみ図示)設けられている。
【0041】
ノズル46Fは、
図13に示すように、パイプ46Aが有する4つの前後方向に延びる延設部のうち最下段の延設部46Eに設けられている。ノズル46Dは、冷却器35に向けて水を噴射することが可能となっており、ノズル46Fは、後述する洗剤トレイ42のトレイ本体42Bに向けて水を噴射することが可能となっている。また、パイプ46Aの右側の表面には、
図12及び
図13に示すように、庫内ファン36に向けて水を噴射することが可能な噴射孔46Gが複数形成されている。
【0042】
洗剤トレイ42は、
図14に示すように、カバー37Bの表面37B1(右側を向く面)に取り付けられた枠部材42Aと、枠部材42Aの内部に配されたトレイ本体42Bと、を備える。トレイ本体42Bは、上方に開口された箱状をなしており、作業者はトレイ本体42Bの内部に洗剤を入れることができる。トレイ本体42Bは、枠部材42Aに対して軸部42Cを介して回転可能に取り付けられている。トレイ本体42Bはカバー37Bの表面37B1と対向する対向壁部42Dを有しており、対向壁部42Dは、カバー37Bに形成された貫通孔37Cを覆う構成となっている。上述したノズル46Fは、貫通孔37Cと対向配置されている。
【0043】
これにより、
図15に示すように、ノズル46Fから噴射された水(矢線L1)が貫通孔37Cを通じて対向壁部42Dに当たることで、トレイ本体42Bが軸部42Cを回転中心として回転し、トレイ本体42B内に入っている洗剤が底壁部15F上に落下する構成となっている。なお、底壁部15F上に落下した洗剤は、底壁部15F上の水(噴射部45や冷却ユニット側噴射部46から噴射された水)と混ざり、排水口15Gを通じてタンク41に溜まる。これにより、ポンプ43を作動させることで、洗剤が混入した水をタンク41と噴射部45(又は冷却ユニット側噴射部46)との間で循環させることができる。
【0044】
また、
図8及び
図9に示すように、収容空間18には、吸気用のファン50と、吸気用のバルブ51が設けられている。ファン50は、配管54によって、タンク41と接続されている。バルブ51を開いた状態で、ファン50を動作させると収容空間18の空気がタンク41及び排水口15Gを経由して収容室15に送られる。なお、収容空間18は、
図2に示すように、扉17Aの左側に配された前壁部18Aと、前壁部18Aの左側端部から後方に延びる側壁部18Bによって囲まれた空間であり、上方及び後方に開口されている。このため、収容空間18内のファン50を動作させることで、外気(急速冷却庫10の外部の空気)を収容室15に送る(吸気する)ことができる。
【0045】
また、
図7に示すように、冷却庫本体11には、収容室15内の空気を庫外(冷却庫本体11の外部)に排出するための排気パイプ55が設けられている。排気パイプ55は、ケース37の内部から上方に延び、天井壁部15Eを貫通する形で設けられている。これにより、排気パイプ55の上端は、天井壁部15Eの上方に配されている。排気パイプ55にはバルブ55Aが設けられ、バルブ55Aを開閉することで、排気パイプ55による排気路を開閉することができる。また、排気パイプ55は、庫内ファン36の下流側(左側)に配されている。
【0046】
乾燥運転では、バルブ51及びバルブ55Aを開いた状態でファン50、庫内ファン36及びヒータ39を動作させる。これにより、ファン50が動作することで、タンク41及び排水口15Gを経由して外気が収容室15に送られる。また、庫内ファン36が動作することでケース37内に吸い込まれた空気は、ヒータ39によって加熱されることで、温風となり、収容室15内に吹き出されることで、収容室15内の温度が上昇し、収容室15内の水分が徐々に水蒸気に変化する。また、収容室15内の水蒸気及び空気は、排気パイプ55から排気される。これにより、収容室15の内部を乾燥させることができる。また、乾燥運転では、外気がタンク41及び排水口15Gを経由して収容室15に送られることから、タンク41内を乾燥させることができる。なお、洗浄運転や乾燥運転は、カート本体部20が収容室15に収容されていない状態(カート未収容状態)で実行される。
【0047】
次に、開口部33を構成する部材である開口部構成部材28について説明する。開口部構成部材28は、
図20に示すように、底壁部15Fを構成するパネル部材15Lの上面15Jに設けられ、上方に開口された略U字状(浅いチャンネル形状)をなしている。開口部構成部材28は、
図16に示すように、左右方向に沿って延びるブロック状の延設部29と、延設部29の上面に取り付けられたプレート34と、パネル部材15Lから上方に立ち上がる一対の柱状部材30,30(
図8参照)と、延設部29の前面29Aに設けられた横長のパッキン31(
図5参照)と、柱状部材30の前面に設けられた縦長のパッキン32と、を備える。なお、延設部29は、上面15J上に載置されている。なお、パネル部材15Lは、底壁部15Fの前端部を構成するものであり、
図22に示すように、開口部構成部材28の下方に配される形で左右方向に延びている。つまり、開口部構成部材28は、底壁部15Fの前端部に設けられ、一対の柱状部材30,30は、底壁部15Fの前端部(より詳しくは上面15J)から上方に立ち上がる構成となっている。また、パネル部材15Lの上面15Jは、収容室15の底面(収容室15の内面)の前端部を構成するものである。なお、パネル部材15Lは、
図21に示すように、上下方向に延びる第1壁部15L1と、第1壁部15L1の上端から前側(
図21では左側)に延びると共に上面15Jを有する第2壁部15L2と、第2壁部15L2の前端から前側に向かうにつれて下降傾斜する第3壁部15L3と、を備える。
【0048】
一対の柱状部材30,30は、左右方向に沿って並んでおり、一対の柱状部材30,30の間には、基盤24(カート本体部の少なくとも一部)を前方から挿入可能とする開口部33が形成されている。つまり、開口部33は、一対の柱状部材30,30とプレート34に囲まれた空間であり、前後方向及び上方に開口されている。このため、基盤24における前端部以外の部分は、開口部33を通じて、収容室15に収容される。なお、延設部29及び柱状部材30は、例えば合成樹脂製のブロックによって構成されているが、これに限定されない。また、左側の柱状部材30の後端部には、右側に延びる板状の延設部30Dが設けられ、右側の柱状部材30の後端部には、左側に延びる板状の延設部30Eが設けられている。なお、左右方向における基盤24の長さは、延設部30D,30E間の長さL3よりも小さい値で設定されており、基盤24は延設部30D,30Eの間を通過可能な構成となっている。なお、延設部30D,30Eを備えていなくてもよい。
【0049】
パッキン31,32,32は、開口部33の開口縁部を構成するものとされる。カート収容状態では、
図4及び
図19に示すように、パッキン31,32,32の前面がカート13の板部23に当接する。つまり、パッキン31,32,32は、カート13の板部23を後方から受けることでカート13が後方に変位することを規制するカート受け部であり、開口部構成部材28はカート受け部を構成する受け部構成部材である。なお、カート収容状態では、開口部33が板部23によって前方から塞がれる構成となっている。
【0050】
プレート34は、
図16に示すように、左右方向に延びており、プレート34の上面34Aは、開口部33の底面(開口部の内面)を構成するものとされる。また、カート13の基盤24が開口部33に挿入されていないカート未挿入状態(言い換えるとカート未収容状態)においては、
図20に示すように、扉12における収容室15側の面に設けられたシート部材70(後述)が開口部33内に配されている。上面34A(閉塞部材の下方に配される底面)は、シート部材70の下方に配されており、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされる。また、上面34Aには、前後方向に沿って延びる溝部34Bが、左右方向に沿って複数並ぶ形で形成されている。溝部34Bは、
図20及び
図21に示すように、上面34Aにおける後側の部分に形成され、上方且つ後方に開口されている。また、溝部34Bの底面34Cは、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされる。
【0051】
次に本実施形態の扉12の構成について説明する。本実施形態の扉12は、
図1に示すように、扉12の上部を構成する第1扉61と、扉12の下部を構成する第2扉62と、第1扉61と第2扉62とを接続するヒンジ部材63と、を備える。
図20に示すように、第2扉62は、開口部構成部材28と対向配置されている。ヒンジ部材63は、左右方向に延びるヒンジ軸63Aを備える。これにより、第2扉62は、第1扉61に対してヒンジ部材63を介して回動可能に取り付けられている。具体的には、第2扉62は、第1扉61に対して、第2扉62の下端部が前方に向かう形で回動可能となっている。つまり、第2扉62は、第1扉61に対して前方に相対変位可能な構成とされる。
【0052】
第1扉61は、カート配置空間15Aの開口の大部分(主に開口部構成部材28が配されていない箇所)を前方から覆う構成となっている。また、第1扉61の裏面における周縁部の4辺には、
図18に示すように、方形の枠状をなす扉パッキン12Dが設けられている。扉パッキン12Dは、第1扉61と冷却庫本体11との隙間を塞ぐ機能を有している。また、第1扉61の裏面には、
図20に示すように、シート部材12B及びシート部材12Eが設けられている。シート部材12B,12Eは、第1扉61の裏面から垂れ下がる形で配されている。シート部材12B,12Eは、第1扉61の下端部と第2扉62の双方を後側から覆う形で配されている。つまり、シート部材12B,12Eは、第2扉62と開口部構成部材28との間に配されている。なお、シート部材12Eは、扉12とシート部材12Bとの間に介在されている。
【0053】
また、
図20に示すように、シート部材12B,12Eは、第1扉61の裏面に設けられた横パッキン12H(扉パッキン12Dの一部)と、柱状部材30に設けられたパッキン32との間に介在されている。なお、
図19に示すカート収容状態では、横パッキン12Hは、シート部材12E,12B,70を介して、板部23の上端部に前方から押し付けられている。なお、横パッキン12Hの内部には磁石12Jが収容されており、磁石12Jによって金属製の板部23に対して横パッキン12Hを吸着させることで、横パッキン12H、シート部材12E,12B,70、板部23を密着させることが可能となっている。横パッキン12H、シート部材12E,12B,70によって、扉12(より詳しくは第1扉61)と板部23との間の隙間が塞がれている。
【0054】
第2扉62は、
図20に示すように、ヒンジ部材63に取り付けられる第2扉本体部66と、第2扉本体部66を後方から覆う押さえ板部65と、を備える。なお、第2扉62の回動軸であるヒンジ軸63Aは左右方向に沿って延びている。ヒンジ軸63Aには、ヒンジバネ64が巻き付けられている。カート本体部20が収容室15に配されていないカート未収容状態では、シート部材12Bは、開口部構成部材28の開口部33を前方から塞ぐ構成となっている。なお、カート未収容状態では、第2扉62は、自然状態(扉12を開けた状態)に比べて、わずかに前方に回動した姿勢となっており、ヒンジバネ64(付勢部材)によって第2扉62は、開口部構成部材28側に付勢されている。
【0055】
カート未収容状態では、押さえ板部65によってシート部材12B及びシート部材12Eの双方が開口部構成部材28のパッキン31に押し付けられる。このため、カート未収容状態において、シート部材12Bと開口部構成部材28との間に隙間が生じる事態を抑制でき、シート部材12Bによって開口部33をより確実に塞ぐことができるため、開口部33を通じて収容室15の空気が庫外に漏れる事態を抑制できる。
【0056】
図19に示すように、カート収容状態では、接続部21である一対の柱体22,22が、第2扉62と冷却庫本体11との間に配されている。このため、第2扉は、扉12を閉める際に一対の柱体22,22に当接することで第1扉61に対して前方に回動変位する(前方に相対変位する)構成となっている。言い換えると、カート収容状態では、第2扉62は、柱体22の分だけ、カート未収容状態よりも前方に回動した状態となっている。このように、第2扉62が第1扉61に対して前方に相対変位可能となっているため、扉12を閉じる際に柱体22と第2扉62とが干渉する事態を避けることができる。
【0057】
また、シート部材12Eは、シート部材12Bよりも押さえ板部65に対する密着性が低い材質によって構成されている。カート収容状態では、柔軟性を有するシート部材12E及びシート部材12Bは、柱体22の形状に倣って折れ曲がった状態となる。この状態から扉12を開けると、シート部材12E,12Bは垂れ下がった状態になり、カート未収容状態にしてから、扉12を閉じることでシート部材12E,12Bによって開口部33を覆うことができる。
【0058】
仮にシート部材12E,12Bが折れ曲がった状態が保持されたまま、カート未収容状態になると、シート部材12E,12Bによって、開口部33を確実に塞ぐことが困難となる。シート部材12Bの間に比較的密着性の低いシート部材12Eが介在されることで、カート収容状態で扉12を開けた際に、シート部材12Eが押さえ板部65に密着して折れ曲がった状態が保持される事態を抑制できるため、シート部材12E,12Bを垂れ下がった状態にすることができ、カート未収容状態において、開口部33を確実に覆うことができる。
【0059】
収容室15側に配されるシート部材12Bは、洗剤を含む水や収容室15内の冷気等が直接触れる可能性があるから、耐寒性や耐薬品性に優れた材質とすることが好ましい。本実施形態では、シート部材12Bと第2扉62の間にシート部材12Eを介在させることで、シート部材12Bが押さえ板部65に接触する事態を抑制することができる。このため、シート部材12Bの材質を検討する際に押さえ板部65との密着性を考慮する必要がないから、シート部材12Bの材質を耐寒性や耐薬品性の観点からより最適な材質とすることができる。なお、シート部材12Bとしては、例えば、耐寒性や耐薬品性に優れたシリコンシートとすることができる。しかしながら、シリコンシートは一般的に密着性が高いため、シート部材12Eを備えていない構成では、カート収容状態で押さえ板部65に密着し、折れ曲がった状態が保持される可能性がある。なお、シート部材12Bをシリコンシートとした場合には、例えば、シート部材12Eをシリコンシートよりも密着性が低いゴムシートとすればよいが、シート部材12E及びシート部材12Bの材質はこれに限定されず、適宜変更可能である。
【0060】
図20に示すように、第2扉本体部66の裏面(収容室15側の面)の下端部には、ドレンパン67が設けられている。ドレンパン67は、上方に開口された箱状をなし、左右方向に長い長手状をなしている。
図20のカート未収容状態では、第2扉62と延設部29の前面29Aとの間にパッキン31が介在されると共に、ドレンパン67がパッキン31(及びシート部材12B,12E)の下方に配される。
【0061】
また、
図17に示すように、冷却庫本体11には、本体側ドレンパン68が設けられている。本体側ドレンパン68は、冷却庫本体11の下方に配されており、
図23に示すように、上方に開口された箱状(浅い皿状)をなし、本体側ドレンパン68の前端部68Dは冷却庫本体11の前面15F1よりも前方に突出する形で配されている。本体側ドレンパン68は、左右方向においては、
図3に示すように、開口部33の右側に配されている。つまり、本体側ドレンパン68は、正面視においてカート13と重ならない箇所に配されている。
【0062】
図18に示すように、ドレンパン67の長手方向における一端部(急速冷却庫の右側の端部、
図18では左側の端部)には、ドレンパン67内の水をドレンパン67の下方に排出する排出孔67Aが設けられている。排出孔67Aは、ドレンパン67の右側(急速冷却庫の右側)の端部に設けられ、右側(
図18では左側に相当)に開口されている。より詳しくは、排出孔67Aは、
図24に示すように、ドレンパン67の前壁部67Fとドレンパン67の後壁部67Gとの間の隙間である。カート未収容状態において、排出孔67Aは、
図24の平面視に示すように、本体側ドレンパン68の上方に配され、平面視においては、本体側ドレンパン68と重なる形で配されている。なお、
図24の下側が急速冷却庫10の前側である。また、ドレンパン67の底壁部67Dにおける排出孔67A側の端部には、上下方向に貫通する貫通孔67D1が複数個(
図24では6個)設けられている。複数の貫通孔67D1は、例えば円形状をなし、カート未収容状態において、本体側ドレンパン68の上方に配されている。このため、ドレンパン67上の水は、排出孔67A又は貫通孔67D1を通じて本体側ドレンパン68上に落下する。
図24においては、排出孔67Aから本体側ドレンパン68上に落下する水の流れを矢線L4で示している。本実施形態によれば、ドレンパン67で受けた水は、(排出孔67Aに加えて)貫通孔67D1を通じて本体側ドレンパン68に向かう。このため、ドレンパン67から水が溢れる事態をより確実に抑制できる。
【0063】
本体側ドレンパン68には、本体側ドレンパン68内の水を排水するための貫通孔68Aが設けられている。
図25に示すように、貫通孔68Aには、排水用のパイプ68Bが接続されている。パイプ68Bは、冷却庫本体11の下面に沿う形で延びており、例えば、庫外に設けられた排水溝(図示せず)まで延びている。
【0064】
また、ドレンパン67は、金属製の板材によって構成され、
図19及び
図22に示すように、ドレンパン67における収容室15側の面67Bには、接続部21側(収容室15側)に突出する合成樹脂製の突出部69が設けられている。突出部69は、収容室15側の面67Bにおける右側(ヒンジ12A側)の端部寄りの箇所に取り付けられている。突出部69は、例えば、ブロック状をなしており、摺動性の高い合成樹脂製(例えばポリアセタール等)とされるが、形状及び材質はこれに限定されない。なお、カート収容状態では、ドレンパン67は、
図19に示すように、第2扉62の姿勢に追従した傾斜姿勢となる。このため、ドレンパン67の底面が傾斜面となるから、ドレンパン67の底面が水平面となる場合と比べて、ドレンパン67内の水が留まり難くなり、外部に排出され易くなる。
【0065】
上述したように、扉12は、
図1に示すように、右側の側端部(貯蔵庫の左右方向における一方の側端部)において冷却庫本体11(貯蔵庫本体)に対してヒンジ12Aを介して回動可能(開閉可能)に取り付けられている。つまり、ヒンジ12Aは、扉12が開閉する際の回動軸(回動中心)を構成するものである。そして、ドレンパン67は、
図22に示すように、ドレンパン側壁部67Hを備えている。ドレンパン側壁部67Hは、ドレンパン67の長手方向において排出孔67Aと反対側の端部(ドレンパン67の長手方向における他端部)を構成する側壁部である。言い換えると、排出孔67Aは、ドレンパン67の長手方向において、ヒンジ12A側の端部(ヒンジ12Aに近い側の端部)に設けられ、ドレンパン側壁部67Hは、ドレンパン67の長手方向において、ヒンジ12Aとは反対側の端部(ヒンジ12Aから遠い側の端部)を構成するものである。つまり、ドレンパン67は、ヒンジ12A側の端部が開口されており、ヒンジ12Aとは反対側の端部が閉じている。
【0066】
仮に、排出孔67Aをドレンパン67の長手方向においてヒンジ12Aと反対側の端部に設けた構成(言い換えるとドレンパン側壁部67Hを備えておらず、ドレンパン67においてヒンジ12Aとは反対側の端部が開口されている構成)の場合、排出孔67Aは、ヒンジ12Aとは反対側に開口された孔となる。この場合、扉12を開けた際の遠心力でドレンパン67におけるヒンジ12Aとは反対側の端部から水が放出される事態が懸念される。本実施形態のように、ヒンジ12Aとは反対側の端部(扉12の回動中心から遠い側の端部)を構成するドレンパン側壁部67Hを備えることで、扉12を開閉する際の遠心力でドレンパン67におけるヒンジ12Aとは反対側の端部から水が放出される事態を抑制することができる。
【0067】
図18に示すように、第1扉61の裏面61A(扉における収容室側の面)において、横パッキン12Hの上方となる箇所には、上方に開口された箱状をなす水受け部材71が設けられている。水受け部材71は、左右方向に延びており、
図26に示すように、開口部構成部材28の上方に配されている。水受け部材71において右側の柱状部材30(一対の柱状部材のうち一方の柱状部材、以下の説明では符号30Rを付す場合がある)の上方に配される箇所には、水受け部材71内の水を水受け部材71の下方に排出する排出孔71Aが設けられている。排出孔71Aは、
図21に示すように、水受け部材71の後壁部71Bの右側の端部と水受け部材71の右側の側壁部71Fとの間に設けられた隙間によって構成されている。
【0068】
水受け部材71は、
図27に示すように、急速冷却庫10の左側から右側に向かうにつれて(
図27では右側から左側に向かうにつれて)下降傾斜する姿勢で第1扉61に取り付けられている。このため、水受け部材71の底壁部71Cの上面71E(
図26参照)は、一対の柱状部材30,30のうち左側の柱状部材30(他方の柱状部材、以下の説明では符号30Lを付す場合がある)から右側の柱状部材30Rに向かうにつれて下降傾斜する傾斜面となっている。また、
図28に示すように、水受け部材71の底壁部71Cの後端部において、排出孔71Aに対応する箇所には、後方に向けて下降傾斜する傾斜壁部71Dが設けられている。そして、柱状部材30の上面30Aは、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされる。
【0069】
このため、水受け部材71によって受けられた水(例えば噴射部45から噴射され、第1扉61の裏面61Aを流下した水)は、底壁部71Cの上面71Eにおいて柱状部材30R側に流れ、その後、排出孔71Aを通過して、傾斜壁部71Dの上面において後方に向かい傾斜壁部71Dから落下する。排出孔71A及び傾斜壁部71Dの下方には、柱状部材30Rが配されている。柱状部材30Rの上面30Aは後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面であるため排出孔71Aから排出された水が上面30Aに落下した場合、その水は後方(庫内側)に向かって流れる。なお、
図26及び
図28においては、このような水の流れを矢線L2で示している。
【0070】
また、
図18に示すように、第1扉61の裏面において、扉パッキン12Dの内側の部分には、長手状をなす板状部材75,76,77が設けられている。板状部材75は、左右方向に延び、第1扉61の上部付近に設けられている。板状部材76は、上下方向に延び、第1扉61の左側(
図18では右側)の側端部付近に設けられている。板状部材77は、上下方向に延び、第1扉61の右側の側端部付近に設けられている。
【0071】
板状部材77は、断面視においてクランク状をなし、上下方向に延び、第1扉61に取り付けられる壁部77Aと、上下方向に延び、壁部77Aに対して後方に配される壁部77Bと、を有している。壁部77Bの下端部には、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜壁部77Cが設けられている。この傾斜壁部77Cは、
図28に示すように、水受け部材71の右側の端部の上方に配されている。このため、壁部77Bの表面を流下した水は、傾斜壁部77Cを通じて水受け部材71によって受けられる構成となっている。
【0072】
図18に示すように、水受け部材71の後壁部71Bにおける収容室15側の面には、シート部材70(閉塞部材)が設けられている。つまり、シート部材70は、第1扉61の裏面61Aに対して水受け部材71を介して設けられている。シート部材70は、後壁部71Bから垂れ下がる形で配されており、
図20に示すように、カート未挿入状態において開口部33内に配されることで、開口部33を塞ぐ構成となっている。シート部材70の下端とプレート34の上面34Aの間には隙間S6が設けられている。このため、扉12を開閉する際に、シート部材70が上面34Aと擦れる事態を抑制できる。なお、シート部材70は、柔軟性を有しており、シート部材70としては、例えば、耐寒性や耐薬品性に優れたシリコンシートを用いることができるが、これに限定されず、シート部材70の材質は、適宜変更可能である。
【0073】
なお、
図27に示すように、左右方向におけるシート部材70の長さは、延設部30D,30E間の長さL3よりも大きい値で設定されている。このため、シート部材70における一方の側端部70Dは、延設部30Dを前側から覆い、シート部材70における他方の側端部70Eは、延設部30Dを前側から覆う構成となっている。また、
図26に示すように、扉17Aの裏面17B(冷却器35側の面)において、水受け部材71と同じ高さとなる箇所には、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面72A(
図29参照)を有する傾斜面構成部材72が左右方向に延びる形で設けられている。
【0074】
図30及び
図32に示すように、天井壁部15Eの下面における前端部には、左右方向に延びる延設部材73が設けられている。延設部材73は、扉12の上端部(第1扉61の上端部)と扉17Aの上端部の双方に亘って延びている。つまり、延設部材73は、
図10に示すように、噴射部45と扉12の上端部との間に介在されると共に噴射部45と扉17Aの上端部との間に介在される。
【0075】
延設部材73は、
図10及び
図31に示すように、天井壁部15Eの下面に取り付けられた板部73Aと、板部73Aの後端から後方に向かうにつれて下降傾斜する板部73Bと、板部73Aの前端から下方に向かって延びる板部73Cと、板部73Cの下端から前方に向かって延びる板部73Dと、板部73Dの下端から下方に延び、扉12における収容室15側の面と対向配置される板部73Eと、板部73Bの後端から後方に延びる板部73Fと、を備える。板部73Bの上面73B1(延設部材側傾斜面)は、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされる。なお、上述した板状部材75は、
図10に示すように、断面視においてクランク状をなし、延設部材73の板部73Eと対向配置される対向壁部75Aを有している。
【0076】
冷却庫本体11は、
図32及び
図33に示すように、収容室15の内面を構成する一対の側壁部15D,15Hを有し、延設部材73の延設方向における側壁部15D側の端部(側壁部側の一端部)と側壁部15Dとの間には隙間S2が設けられ、延設部材73の延設方向における側壁部15H側の端部と側壁部15Hとの間には隙間S3が設けられている。なお、
図33の上側が急速冷却庫10の前側である。
【0077】
次にタンク41の構成について説明する。タンク41は、
図34及び
図35に示すように、上方に開口された箱状をなすタンク本体部81と、タンク本体部81を上方から覆うタンク蓋部82と、を備える。タンク蓋部82には、底壁部15Fの排水口15Gと配管88(
図36参照)を介して接続される接続口82Aが設けられている。排水口15Gは、
図3及び
図14に示すように、底壁部15Fにおいて、冷却ユニット16の下方となる箇所に配されており、接続口82Aは、
図36に示すように、排水口15Gの下方に配されている。
【0078】
タンク本体部81内には、タンク41内の水位を測る水位センサ83A、タンク41内の水温を測るサーミスタ83B、タンク41内の水を加熱するヒータ83C、タンク41内の水温が所定以上になった場合にヒータ83Cへの通電を遮断するためのサーモスタット83D、オーバーフロー管83Eが設けられている。水位センサ83A、サーミスタ83B、ヒータ83C及びサーモスタット83Dは、
図34に示すように、タンク本体部81の前壁部81Aを貫通する形で取り付けられている。このため、水位センサ83A、サーミスタ83B、ヒータ83C及びサーモスタット83Dの各前端部83A1,83B1,83C1,83D1(電極部分等)は、タンク41の前面41A(タンク本体部81の前面)に設けられている。
【0079】
タンク41の前面41Aは、
図25に示すように、冷却庫本体11の前面11Bよりも後方に配されている。さらに水位センサ83A、サーミスタ83B、ヒータ83C及びサーモスタット83Dの各前端部83A1,83B1,83C1,83D1(タンクの前面に設けられた電気部品)は、
図34及び
図37に示すように、タンクカバー84(より詳しくは前壁部84A)によって前方から覆われている。タンクカバー84は、少なくとも前壁部84A、側壁部84B、底壁部84Cを備えており、
図34においては、タンクカバー84の前壁部84A及び側壁部84Bを2点鎖線で図示している。
【0080】
オーバーフロー管83Eは、L字状をなし、タンク本体部81の左側の側壁部81Bを貫通する形で設けられている。タンク41内の水位がオーバーフロー管83Eの上端部を超えた場合、超えた分の水がオーバーフロー管83Eを通って排水される。なお、給水バルブ49からタンク41内に水を給水する際には、例えば、水位センサ83Aで所定水位を検知した後、さらに所定時間給水することでオーバーフロー管83Eから水をオーバーフローさせた時点で給水バルブ49を閉じてタンク41への給水を停止するが、これに限定されない。
【0081】
また、前壁部81Aの下部には、タンク41の水を排水するためのタンク側排水口81Cが形成されている。
図37に示すように、タンク側排水口81Cには排水用の配管81Dが接続されており、配管81Dには、
図8に示すように、バルブ81Eが設けられている。これにより、バルブ81Eを開くことで、タンク側排水口81Cを通じてタンク41の水を排水することができる。また、タンク本体部81の底壁部81Fは、
図35に示すように、2箇所で折り曲げられたパネル部材によって構成されており、傾斜の態様が異なる3つの底面81F1,81F2,81F3を有している。各底面81F1,81F2,81F3は、タンク側排水口81Cに向かうにつれて下降傾斜する傾斜面となっている。
【0082】
また、側壁部81B(タンク側壁部)において、オーバーフロー管83の下方となる箇所には、
図35及び
図36に示すように、ポンプ43と接続される吸込口81G(
図35では破線で図示)が設けられている。そして、タンク41内において吸込口81G寄りの部分には板状部材85が設けられている。板状部材85は、底壁部81F(タンク底壁部)と間隔を空けて対向配置された対向壁部85Aと、対向壁部85Aの側端から下方に延びる延設壁部85Bと、前壁部81Aに取り付けられる取付片部85Cと、側壁部81Bに取り付けられる取付片部85Dと、を有している。対向壁部85Aは、吸込口81Gよりも上方となる箇所に設けられており、底壁部81Fの底面81F3と対向配置されている。
【0083】
また、延設壁部85Bの下端と底壁部81Fの間には、
図36に示すように、隙間S4が設けられている。側壁部81B、底壁部81F(より詳しくは底面81F3)及び板状部材85によって吸込口81Gと連通する連通空間S5が構成されている。連通空間S5は、後方に開口された開口部86と、側方に開口された開口部87(隙間S4)を有している。ポンプ43を動作させることで、タンク41内において連通空間S5の外部にある水は、開口部86又は開口部87のいずれか一方を通って連通空間S5に入った後、吸込口81Gを通ってポンプ43に吸い込まれる。
【0084】
次に本実施形態の効果について説明する。本実施形態では、カート未収容状態では、第2扉62と延設部29の前面29Aとの間の隙間をパッキン31で埋めることができる。仮に、噴射部45からの水が例えばパッキン31とシート部材12Bの間の隙間を通ってパッキン31の下方に垂れた際に、垂れた水をドレンパン67で受けることができるため、庫外に漏れた水が床面14Aに落下する事態を抑制できる。また、上記構成では、扉12を閉める際に、第2扉62が第1扉61に対して前方に相対変位することで、カート13の接続部21(柱体22)と第2扉62とが干渉する事態を抑制することができる。仮に冷却庫本体11の底壁部15Fに設けたドレンパンによって、底壁部15Fの前端から下方に垂れた水を受ける構成とした場合には、ドレンパン67が底壁部15Fの前面から突出する形となるため、カート13とドレンパン67とが干渉する事態が懸念される。上記構成では、ドレンパン67が第2扉62に設けられているため、第2扉62と共に第1扉61に対して前方に相対変位することができ、ドレンパン67とカート13の接続部21とが干渉する事態を抑制できる。
【0085】
また、冷却庫本体11に設けられた本体側ドレンパン68を備え、ドレンパン67は、急速冷却庫10の左右方向に長い長手状をなし、ドレンパン67の長手方向における一端部には、ドレンパン67内の水をドレンパン67の下方に排出する排出孔67Aが設けられ、本体側ドレンパン68は、正面視においてカート13と重ならない箇所に配され、カート未収容状態において、排出孔67Aは、本体側ドレンパン68の上方に配される。
【0086】
ドレンパン67で受けた水は、排出孔67Aを通じて本体側ドレンパン68に向かう。このため、ドレンパン67から水が溢れる事態を抑制できる。これにより、ドレンパン67のみを備える構成と比べて、受けることができる水の容量をより多くすることができる。また、本体側ドレンパン68は正面視においてカート13と重ならない箇所に配されているため、カート13の出し入れを妨げる事態を抑制することができる。なお、正面視とは、急速冷却庫10を前方から視た状態であり、左右方向とは急速冷却庫10を前方から視た場合の左右方向である。また、ドレンパン67は、扉12の開閉時に変位するため、ドレンパン67に排水管を接続することが困難である。これに対して、本体側ドレンパン68は、冷却庫本体11に設けられ、扉12開閉時に変位することがないため、容易に排水管(パイプ68B)を接続することができ、本体側ドレンパン68の水をパイプ68Bを通じて排水することが可能となる。
【0087】
また、ドレンパン67は、金属製とされ、ドレンパン67における収容室側の面67Bには、接続部21側に突出する合成樹脂製の突出部69が設けられている。接続部21とドレンパン67の間に突出部69が介在されることで、金属製のドレンパン67がカート13の接続部21に直接的に当接し、金属音が発生する事態を抑制できる。
【0088】
また、底壁部15Fの下面11Aに設けられると共に底壁部15Fに貫通形成された排水口15Gと接続されるタンク41と、タンク41内の水を噴射部45に供給するポンプ43と、タンク41の前面41Aに設けられた電気部品(前端部83A1,83B1,83C1,83D1)を覆うタンクカバー84と、を備える。噴射部45からの水は、排水口15Gを通じてタンク41に貯まり、タンク41に貯められた水はポンプ43によって噴射部45に供給される。これにより、噴射部45とタンク41との間で水を循環させることができ、外部(水道等)からの水の供給をより少なくしつつ、収容室15内を洗浄することができる。また、タンクカバー84を備えることで、タンク41の前面41Aに設けられた電気部品(前端部83A1,83B1,83C1,83D1)に水が掛かる事態をより確実に抑制できる。
【0089】
また、タンク41の側壁部81Bには、ポンプ43と接続される吸込口81Gが設けられ、タンク41内において、吸込口81Gよりも上方となる箇所には、板状部材85が、タンク41の底壁部81Fと間隔を空けて対向配置されており、側壁部81B、底壁部81F及び板状部材85によって吸込口81Gと連通する連通空間S5が構成されている。
【0090】
ポンプ43が動作すると、タンク41内の水は吸込口81Gを通ってポンプ43に吸い込まれる。これに伴ってタンク41内の水の流れによって渦が発生する場合がある。このような渦が吸込口81Gに達すると、水と一緒に空気が吸込口81Gに吸い込まれてしまう。上記構成では、板状部材85によって吸込口81Gと連通する連通空間S5が構成されている。これにより、タンク41内の水は、連通空間S5を経由して吸込口81Gに向かうことになる。水が連通空間S5を経由して吸込口81Gに向かうようにすれば、水面から吸込口81Gまでの水の経路を連通空間S5の分だけ長くすることができる。一般的に、渦は水面から水の流れに沿って延びる形で生じることから、水面から吸込口81Gまでの水の経路を長くすることで、発生した渦が吸込口81Gに達する事態を抑制できる。
【0091】
仮に、板状部材85が配されていない構成では、
図36に示すように、水面W1(タンク41内の水の水面)において吸込口81Gに近い箇所から吸込口81Gに向かう形で渦T1(
図36の矢線参照)が発生し、渦T1の下端が吸込口81Gに到達する可能性がある。これに対して、本実施形態では、水面W1において板状部材85を避けた箇所から開口部87(又は開口部86)に向かって渦T2(
図36の矢線参照)が発生することになり、渦T2の下端が吸込口81Gに到達する事態を抑制することができる。つまり、板状部材85の分だけ、渦の下端を吸込口81Gから遠ざけることができる。これにより、タンク41内の水位が低い場合であっても、タンク41内の水と一緒に空気が吸込口81Gに吸い込まれてポンプ43に向かう事態(いわゆるエアガミ)を抑制することができ、タンク41の水をより確実に噴射部45(及び噴射部46)に供給することができる。
【0092】
また、板状部材85は、延設壁部85Bを有しており、剛性をより高くすることができる。なお、連通空間S5は、後方に開口された開口部86と、側方に開口された開口部87(隙間S4)を有しており、開口部86の幅(上下方向の長さ)は、開口部87の幅(上下方向の長さ)よりも大きいものとされる。これにより、開口部86の幅が開口部87の幅と同じ場合と比べて、水を流れ易くすることができ、ポンプ43に負荷が掛かる事態を抑制することができる。
【0093】
また、本実施形態では、カート本体部20の少なくとも一部(基盤24)を前方から挿入可能とする開口部33を構成する開口部構成部材28と、収容室15を開閉可能な扉12と、収容室15に設けられ、水を噴射することが可能な噴射部45と、第1扉61の裏面61Aに設けられ、カート13の基盤24が開口部33に挿入されていないカート未挿入状態(カート未収容状態)において開口部33を塞ぐシート部材70と、を備える。
【0094】
このような構成とすれば、カート本体部20の基盤24が開口部33に挿入されることで、カート本体部20を位置決めすることができる。また、カート13が開口部33に挿入されていない状態においては、開口部33がシート部材70によって塞がれているため、噴射部45からの水が開口部33を通じて庫外(主に冷却庫本体11の前方)に漏れる事態を抑制できる。また、シート部材70は、扉12に設けられているため、扉12を開けることで開口部33から離れる結果、開口部33が開放される。これにより、開口部33にカート本体部20を挿入する際にシート部材70を開口部33から取り除く作業を行う必要がなく、作業性を向上させることができる。
【0095】
また、シート部材70は、カート未挿入状態において開口部33内に配され、プレート34の上面34A(開口部33の内面のうちシート部材70の下方に配される底面)は、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面である。シート部材70を、開口部33内に配することで、より確実に開口部33を塞ぐことができる。しかしながら、シート部材70の表面を流下した水が上面34A(開口部33の底面)に溜まると、開口部33の前方に水が漏れる事態が懸念される。そこで、上面34Aを傾斜面とすれば、上面34Aにある水が後方(収容室15の内部側)に向かい易くなり、水が溜まる事態を抑制できる。
【0096】
また、シート部材70は、カート未挿入状態において開口部33内に配され、上面34A(開口部33の底面)には、前後方向に沿って延びる溝部34Bが、急速冷却庫10の左右方向に沿って複数並ぶ形で形成されている。シート部材70を、開口部33内に配することで、より確実に開口部33を塞ぐことができる。しかしながら、シート部材70の表面を流下した水が上面34Aに溜まると、開口部33の前方に水が漏れる事態が懸念される。そこで、上面34Aに複数の溝部34Bを設けることで、上面34A上の水は、溝部34Bに沿って流れ易くなる。これによって、上面34Aに水が溜まる事態をより確実に抑制することができる。
【0097】
また、冷却庫本体11は、収容室15を構成する天井壁部15Eを備え、噴射部45は、天井壁部15Eの下面15Kに設けられ、少なくとも前方に向けて水を噴射することが可能な構成とされ、噴射部45と扉12の上端部の間には、急速冷却庫10の左右方向に延びる延設部材73が介在されている。延設部材73を備えることで、扉12の上端部に噴射部45からの水が直接的にかかる事態を抑制できる。これにより、扉12の上端部と冷却庫本体11の間(例えば扉パッキン12Dと冷却庫本体11の間、
図10参照)から水が庫外に漏れる事態を抑制できる。
【0098】
また、延設部材73は、後方に向かうにつれて下降傾斜する上面73B1を有している。噴射部45からの水が上面73B1で跳ね返った場合において、跳ね返った水を後方に向けることができる。このため、延設部材73で跳ね返った水が前方に向かい庫外に漏れる事態を抑制できる。
【0099】
また、冷却庫本体11は、収容室15の内面を構成する側壁部15D,15Hを有し、延設部材73の延設方向における側壁部15D側の端部(側壁部側の一端部)と側壁部15Dとの間には隙間S2が設けられ、延設部材73の延設方向における側壁部15H側の端部と側壁部15Hとの間には隙間S3が設けられている。
【0100】
仮に延設部材73の一端部と側壁部15Dとが接触していると、噴射部45から前方且つ側壁部15D側に噴射された水が延設部材73の一端部によって遮られ、側壁部15Dにおいて延設部材73(例えば板部73B)よりも前方に水が到達しない事態が懸念される。延設部材73の一端部と側壁部15Dとの間に隙間S2を設けることで、その隙間S2を通じて水W2(
図33参照)が前方に向かうことができる。これにより、側壁部15Dの表面の一部(例えば、
図33の符号R1で示す部分)に水が届かない事態を抑制でき、より確実に側壁部15Dの表面の洗浄を行うことができる。また、延設部材73の他端部と側壁部15Hとの間に隙間S3を設けることで、より確実に側壁部15Hの表面(より詳しくは延設部材73の前方の部分)の洗浄を行うことができる。
【0101】
また、扉12における収容室15側の面に設けられ、急速冷却庫10の左右方向に延びると共に上方に開口された箱状をなす水受け部材71を備え、開口部構成部材28は、パネル部材15Lから上方に立ち上がる一対の柱状部材30,30を備え、急速冷却庫10の左右方向に沿って並ぶ一対の柱状部材30,30の間に開口部33が形成されており、水受け部材71は、開口部構成部材28の上方に配され、水受け部材71において一対の柱状部材30,30のうち一方の柱状部材30Rの上方に配される箇所には、水受け部材71内の水を水受け部材71の下方に排出する排出孔71Aが設けられ、柱状部材30の上面30Aは、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面とされる。
【0102】
噴射部45からの水が扉12の裏面を流下した場合に、流下した水を水受け部材71によって受けることができる。そして、水受け部材71で受けられた水は、排出孔71Aから排出される。ここで、排出孔71Aは、柱状部材30Rの上方に配されており、開口部33を避ける形で配されている。このため、排出孔71Aから排出された水が開口部33を通じて庫外に漏れる事態を抑制できる。また、柱状部材30Rの上面30Aは、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面であるため、排出孔71Aから排出された水が上面30Aに落下した場合には、後方(庫内)に向かうことから、庫外に漏れる事態をより確実に抑制できる。
【0103】
また、水受け部材71の底壁部71Cは、一対の柱状部材30,30のうち左側の柱状部材30(他方の柱状部材)から右側の柱状部材30Rに向かうにつれて下降傾斜する傾斜面である上面71Eを有している。水受け部材71で受けられた水を柱状部材30R側(排出孔71A側)に向かわせることができ、水の排出をより確実に行うことができる。
【0104】
また、収容室15は、カート本体部20が配されるカート配置空間15Aと、冷却器35が配される冷却ユニット配置空間15Bと、を有し、カート配置空間15Aと冷却ユニット配置空間15Bとは急速冷却庫10の左右方向に並ぶものとされ、扉12は、収容室15のうちカート配置空間15Aを開閉可能な構成とされ、収容室15のうち冷却ユニット配置空間15Bを開閉可能な扉17A(冷却器側扉)を備え、扉17Aの裏面17B(冷却器35側の面)には、後方に向かうにつれて下降傾斜する傾斜面72Aを有する傾斜面構成部材72が急速冷却庫10の左右方向に延びる形で設けられている。噴射部45からの水が扉17Aの裏面17B(冷却器側の面)を流下した場合に、流下した水を傾斜面構成部材72の傾斜面72Aによって後方(庫内側)に流すことができる。これにより、水が扉17Aの下端部から庫外に漏れる事態を抑制できる。
【0105】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図38によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態においては、噴射部45(
図10参照)と扉12の上端部の間に介在された延設部材の構成が上記実施形態と異なる。本実施形態の延設部材273は、
図38に示すように、板状をなし、天井壁部15Eの下面に取り付けられた第1板部273Aと、第1板部273Aの後端から後方に向かうにつれて下降傾斜する第2板部273Bと、第1板部273Aの前端から前方に向かうにつれて下降傾斜する第3板部273Cと、第3板部273Cの下端から下方に延び、第1扉61の裏面61A(扉における収容室側の面)と対向配置される第4板部273Dと、第2板部273Bの後端から後方に延びる第5板部273Fと、を備える。また、第2板部273Bは、後方に向かうにつれて下降傾斜する延設部材側傾斜面273B1を有する。なお、第4板部273Dは、板状部材75の対向壁部75Aと対向配置されている。
【0106】
本実施形態では、第2板部273Bよりも扉12側に配される第4板部273Dを備えることで、延設部材が第1板部273A及び第2板部273Bのみを備える構成と比べて、延設部材273と扉12の隙間をより小さくすることができる。これにより、噴射部45(
図10参照)からの水(又は当該水が蒸発した蒸気)が延設部材273と扉12の隙間(より詳しくは延設部材273と対向壁部75Aの隙間)を通じて庫外に漏れる事態を抑制できる。また、第4板部273Dと第1板部273Aとを繋ぐ第3板部273Cは、前方に向かうにつれて下降傾斜するものであるから、噴射部45から噴射された水が扉12の裏面等に跳ね返ることで上面273C1にかかった場合であっても、第3板部273Cの上面273C1に水が溜まる事態を抑制できる。
【0107】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、貯蔵庫として急速冷却庫を例示したが、これに限定されない。本発明は、カートを備える貯蔵庫に対して適用することができる。
(2)第2扉62は、扉12を閉める際に、他部材(例えばシート部材12B,12E等)を介して接続部21(より詳しくは柱体22)に当接してもよい。つまり、第2扉62は、扉12を閉める際に接続部21に対して直接的又は間接的に当接するものであればよい。
(3)上記実施形態では、閉塞部材としてシート部材70を例示したが、閉塞部材はシート部材に限定されない。
(4)パッキン31は、扉12(例えば第2扉62)に設けられていてもよい。
(5)上記実施形態では、第2扉62が第1扉61に対して回動することで第1扉61に対して前方に相対変位する構成を例示したが、これに限定されず、例えば、第2扉62が第1扉61に対して前方にスライド変位することで相対変位する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0108】
10…急速冷却庫(貯蔵庫)、11…冷却庫本体(貯蔵庫本体)、12…扉、13…カート、14A…床面、15…収容室、15A…カート配置空間、15B…冷却ユニット配置空間(冷却器配置空間)、15D,15H…側壁部(収容室の内面を構成する側壁部)、15E…天井壁部、15F…底壁部(収容室を構成する底壁部)、15K…天井壁部の下面、15L…パネル部材(底壁部15Fの前端部を構成)、17A…扉(冷却器側扉)、17B…扉17Aの裏面(冷却器側扉における冷却器側の面)、19…台車部、20…カート本体部、24…基盤(カート本体部の少なくとも一部)、28…開口部構成部材、30…柱状部材、30A…柱状部材の上面、30R…柱状部材(一対の柱状部材のうち一方の柱状部材)、33…開口部、34A…プレートの上面(開口部の内面のうち、閉塞部材の下方に配される底面)、34B…溝部、35…冷却器、45…噴射部、61A…第1扉61の裏面(扉における収容室側の面)、70…シート部材(閉塞部材)、71…水受け部材、71A…排出孔(水受け部材の排出孔)、71C…水受け部材の底壁部、72…傾斜面構成部材、72A…傾斜面、73,273…延設部材、73B1…板部73Bの上面(延設部材側傾斜面)、273A…第1板部、273B…第2板部、273B1…第2板部の上面(延設部材側傾斜面)273C…第3板部、273D…第4板部、S2,S3…隙間