(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】便蓋
(51)【国際特許分類】
A47K 13/12 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
A47K13/12
(21)【出願番号】P 2019214285
(22)【出願日】2019-11-27
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 佳憲
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-057884(JP,A)
【文献】特開2009-153682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/00-13/30
日本意匠分類 D5-493
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を中心に回転可能に構成され、ストッパ部付きのブッシュが配置されるブッシュ受け部を備える便蓋であって、
前記ブッシュ受け部は、前記ブッシュが配置される空間を囲うように形成される囲いリブ
と、側面板と、前記側面板に交差する背面板と、を有し
、
前記囲いリブは、前記側面板から側方に立設されており、
前記囲いリブ、前記側面板及び前記背面板は、一体に形成されており、
前記囲いリブは、上方側の部分が、前記背面板との間に隙間部を有した状態で配置される便蓋。
【請求項2】
前記便蓋が開位置に位置された状態において、前記囲いリブは、前側リブと、上側リブと、を有する請求項1に記載の便蓋。
【請求項3】
前記前側リブは、曲面状に形成され、
前記上側リブは、平面状に形成される、請求項2に記載の便蓋。
【請求項4】
前記ブッシュ受け部に配置されるブッシュを備え、
前記ブッシュは、前記便蓋が開位置に位置する状態においてトイレ本体に当接するストッパ部を有する請求項1~
3のいずれかに記載の便蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、便蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便蓋の開閉軸が、ブッシュ付き軸受けによって支持される構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒンジ部にブッシュが取り付けられた便蓋において、ブッシュの外観の大部分が外部に露出するものがある。ブッシュの外観が目立ちにくい状態であれば、意匠性を向上できる。
【0005】
本開示は、ブッシュを外観が目立ちにくい状態で配置可能な便蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、回転軸を中心に回転可能に構成され、ストッパ部付きのブッシュが配置されるブッシュ受け部を備える便蓋であって、前記ブッシュ受け部は、前記ブッシュが配置される空間を囲うように形成される囲いリブを有する便蓋に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るトイレ装置を示す斜視図である。
【
図4】トイレ装置から便蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図5】ブッシュ受け部にブッシュが取り付けられた状態を示す斜視図である。
【
図6】便蓋が開位置に位置した状態の便蓋ヒンジ部を示す図である。
【
図7】便蓋が閉位置に位置した状態の便蓋ヒンジ部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、トイレ装置1の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において、便座11に着座したユーザから見た場合の前後の方向を前後方向とする。便座11に着座したユーザから見た場合の左右の方向を左右方向とする。鉛直方向を上下方向とする。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係るトイレ装置1は、便座11と、便蓋12と、便器13と、機能部2(トイレ本体)と、を備える。
【0010】
便器13は、上方に向けて開口して形成され、例えば陶器製である。便座11及び便蓋12は、機能部2の前部に、便器13に対して回転可能に取り付けられる。便座11は、使用者が着座する部分であり、便器13の開口縁の上に配置され、環状の形状に形成される。便蓋12は、便座11及び便器13の開口を開閉可能に覆う蓋である。
【0011】
便座11及び便蓋12は、
図1に示すように、機能部2に取り付けられる。機能部2は、便座11及び便蓋12の後方側に配置される。機能部2は、機能部品21と、機能部品21を覆うように配置されるカバー部材3と、を備える。機能部品21は、便器13の後部の上部に配置される。カバー部材3は、機能部2の外形を覆うカバーである。カバー部材3は、ベースカバー31と、トップカバー32と、を有する。
【0012】
便座11は、便器13の上部に配置される。便座11は、便座本体111と、一対の便座ヒンジ部112と、を備える。便座本体111は、中央部に開口111aが形成された長円形状に形成される。
【0013】
一対の便座ヒンジ部112は、便座11の後端側の左右方向の両端部に配置され、便座本体111の後方側の両端部から、便座11の後方に延びる。一対の便座ヒンジ部112は、機能部2の前側に回転可能に取り付けられる。
【0014】
便蓋12は、
図1に示すように、便座11の上部に配置される。便蓋12は、
図2に示すように、便蓋本体4と、一対の便蓋ヒンジ部5と、を備える。便蓋12は、樹脂材料で形成される。
【0015】
便蓋本体4は、左右対称の形状に形成され、天面板41(天板部)と、側壁板42(側壁部)と、根元側折り返し片43と、を有する。天面板41及び側壁板42は、板状に形成される。天面板41は、根元4aから先端4bに延びる。天面板41は、根元4a側の端部が左右方向に延びて形成され、先端4bにおいて左右方向の両端部側の角部が丸みを帯びて形成される。
【0016】
側壁板42は、天面板41の先端4b側及び側方側の縁部において、天面板41の裏面から、立ち上がるように形成される。根元側折り返し片43は、便蓋12が閉位置に位置する場合に、便蓋12の左右方向の中央側の根元4a側の端部から下方に突出すると共に、左右方向に延びる。
【0017】
一対の便蓋ヒンジ部5について説明する。一対の便蓋ヒンジ部5は、
図2及び
図3に示すように、天面板41の根元4a側の左右方向の両端部に配置される。一対の便蓋ヒンジ部5は、便蓋12が閉位置に位置する場合に、便蓋本体4の根元4a側の左右方向の両端部から、便蓋12の後方に延びる。
【0018】
一対の便蓋ヒンジ部5は、
図4に示すように、それぞれ、機能部2のカバー部材3のヒンジ配置空間33に配置される。ヒンジ配置空間33は、トップカバー32における前方側に形成される円弧状部331と、ベースカバー31における円弧状部331の下方側の前側に形成される底面部332と、ベースカバー31における底面部332の前側において立ち上がる立ち上がり面部333と、ベースカバー31における立ち上がり面部333の前側に形成される凸部334と、に沿って形成される。立ち上がり面部333の上部には、ブッシュ当て部333aが形成される。
【0019】
トイレ装置1を正面から見た場合の左側の便蓋ヒンジ部5は、
図3に示すように、機能部2の外側に突出するモータ34の回転軸部341に取り付けられる。トイレ装置1を正面から見た場合の右側の便蓋ヒンジ部5は、機能部2の外側に突出する支持軸部35に回転可能に取り付けられる。
【0020】
一対の便蓋ヒンジ部5は、便蓋12の開閉に伴って回転軸Jを中心に回転可能に構成される。一対の便蓋ヒンジ部5は、機能部2に回転可能に取り付けられる。便蓋ヒンジ部5には、ブッシュ受け部7に配置されたブッシュ6が設けられる。ブッシュ6は、機能部2の左右方向の一方側において機能部2の外側に突出するモータ34の回転軸部341に取り付けられ、機能部2の左右方向の他方側において機能部2の外側に突出する支持軸部35に取り付けられる。ブッシュ6は、モータ34の回転軸部341及び支持軸部35を支持する軸受けの機能を有する。
【0021】
ヒンジ配置空間33においては、
図5及び
図6に示すように、便蓋12が便蓋ヒンジ部5の回転軸Jを中心に回転することで、便蓋12は、
図5に示す開位置と、
図6に示す閉位置とに移動される。便蓋12が開位置に位置する場合には、
図5に示すように、ブッシュ受け部7に配置されたブッシュ6の突出ストッパ部65(後述)が、機能部2のベースカバー31のブッシュ当て部333aに当接する。
【0022】
本実施形態においては、一対の便蓋ヒンジ部5の基本的な構成は左右対称であるのみでほぼ同様である。そのため、本実施形態においては、トイレ装置1を正面から見た場合に左側に配置される便蓋ヒンジ部5について主に説明する。
【0023】
図5~
図7に示すように、便蓋ヒンジ部5は、突出ストッパ部65付きのブッシュ6と、ブッシュ6が配置されるブッシュ受け部7と、を有する。本実施形態においては、ブッシュ6及びブッシュ受け部7の説明は、特に便蓋12が閉位置に位置された状態である場合を明記した以外において、主に、便蓋12が開位置に位置された状態について説明する。
【0024】
ブッシュ受け部7は、側部延在板71(側面板)と、端部延在板72(背面板)と、囲いリブ73と、を有する。側部延在板71、端部延在板72及び囲いリブ73は、一体に形成される。
【0025】
側部延在板71は、便蓋本体4の左右方向の両端部において、便蓋本体4の側壁板42を後方側に延在した板状に形成される。端部延在板72は、天面板41の左右方向の両端部において、左右方向に所定幅を有して後方側に突出した板状に形成される。端部延在板72は、側部延在板71に交差する方向に延びる。
【0026】
端部延在板72は、後端に形成される後端傾斜板721を有する。後端傾斜板721は、便蓋12が開位置に位置する場合に、トイレ装置1の後方側から前方側に向かうに従って下る下り傾斜で形成される。
【0027】
囲いリブ73は、
図7に示すように、端部延在板72の前方側に離した位置において、側部延在板71の左右方向の内側の面から左右方向の内側に突出して形成される。囲いリブ73は、ブッシュ6が配置される空間を囲うように形成される。
【0028】
囲いリブ73は、
図5及び
図7に示すように、便蓋12が開位置に位置された状態において、前側リブ731と、上側リブ732と、下側リブ733と、を有する。前側リブ731、上側リブ732及び下側リブ733は、側部延在板71の左右方向の内側の面から左右方向の内側に突出する。上側リブ732、前側リブ731及び下側リブ733は、ブッシュ6が配置される空間の上側、前側及び下側に、この順に配置される。
【0029】
前側リブ731は、囲いリブ73における前側に配置され、トイレ装置1の前側に凸状に突出する曲面状に形成される。上側リブ732は、囲いリブ73における上側に配置され、前側リブ731の上端部から後方側に延びる平面状に形成される。上側リブ732は、前方側から後方側に向かうに従って上る上り傾斜で所定長さ延びる平面状に形成される。
【0030】
上側リブ732の後端部732aは、端部延在板72から前側に所定距離離した位置において、端部延在板72に対向して配置される。上側リブ732の後端部732aと端部延在板72の内面との間には、第1隙間S1(隙間部)が形成される。囲いリブ73は、上方側の奥側の上側リブ732の後端部732aが、端部延在板72との間に第1隙間S1を有した状態で配置される。
【0031】
下側リブ733は、囲いリブ73における下側に配置され、前側リブ731の下端部から後方側に延びる平面状に形成される。下側リブ733は、前方側から後方側に向かうに従って下る下り傾斜で所定長さ延びる平面状に形成される。下側リブ733の下端部733aは、端部延在板72の後端傾斜板721に対向する。下側リブ733の下端部733aと端部延在板72の後端傾斜板721との間には、第2隙間S2が形成される。第2隙間S2には、後述するブッシュ6がブッシュ受け部7に取り付けられた場合に、前面が露出された突出ストッパ部65が配置される。
【0032】
ブッシュ6は、
図5及び
図7に示すように、ブッシュ受け部7に取り付けられる。ブッシュ6は、左右方向に厚みを有するブロック状に形成される。ブッシュ6には、便蓋開閉用のモータ34の回転軸部341が挿入される軸穴61が形成される。軸穴61は、ブッシュ6における左右方向の内側の面から左右方向に筒状に窪んで形成される。
【0033】
ブッシュ6は、
図5及び
図7に示すように、便蓋12が開位置に位置された状態において、軸穴61を中心とする周面において、上面部62と、前側湾曲面部63と、下面部64と、突出ストッパ部65(ストッパ部)と、背面部66と、を有する。
【0034】
上面部62は、前方側から後方側に向かうに従って上る上り傾斜で所定長さ延びる平面状に形成される。上面部62は、囲いリブ73の上側リブ732の下面に沿って配置される。上面部62の後端部の上面は、第1隙間S1を介して、上方に向けて露出する。
【0035】
前側湾曲面部63は、上面部62の前方側の端部から下方に延びる。前側湾曲面部63は、トイレ装置1の前側に凸状に突出する曲面状に形成される。前側湾曲面部63は、囲いリブ73の前側リブ731の内面に沿って配置される。
【0036】
下面部64は、前側湾曲面部63の下端部から後方に延びる。下面部64は、前方側から後方側に向かうに従って下る下り傾斜で所定長さ延びる平面状に形成される。下面部64は、囲いリブ73の下側リブ733の上面に沿って配置される。
【0037】
背面部66は、上面部62の後端部から下方に延びる。背面部66は、端部延在板72の内面に沿って配置される。背面部66は、段差状に形成され、上側背面661と、段差部662と、下側背面663と、を有する。上側背面661、段差部662及び下側背面663は、上面部62の後端部から、上方から下方に向かってこの順に配置される。上側背面661及び下側背面663は、同じ角度の傾斜面により形成され、段差部662を介して接続される。下側背面663は、上側背面661よりも前方側に配置され、端部延在板72の内面から離れて配置される。
【0038】
突出ストッパ部65は、下側リブ733の下端部733aと端部延在板72の後端傾斜板721との間の第2隙間S2から、下方に突出する。突出ストッパ部65は、前面が露出された状態で下方に突出する。便蓋12が開位置に位置した状態において、
図5に示すように、機能部2のベースカバー31のブッシュ当て部333aに当接する。これにより、便蓋12が開位置から閉位置に移動した場合に、ブッシュ6の突出ストッパ部65がブッシュ当て部333aに衝突して、便蓋12がこれ以上開かないように回転位置を制限すると共に、便蓋12が機能部2に衝突する際のダメージを低減できる。
【0039】
以上説明した本実施形態の便蓋12によれば、以下のような効果を奏する。本実施形態の便蓋12においては、便蓋12は、回転軸Jを中心に回転可能に構成され、ストッパ部65付きのブッシュ6が配置されるブッシュ受け部7を備える便蓋12であって、ブッシュ受け部7は、ブッシュ6が配置される空間を囲うように形成される囲いリブ73を有する。そのため、囲いリブ73によりストッパ部65付きのブッシュ6を囲うため、便蓋12の軸受けの強度を向上できる。囲いリブ73によりストッパ部65付きのブッシュ6を囲うため、ストッパ部65付きのブッシュ6を外観が目立ちにくい状態で、ブッシュ受け部7に配置することができる。これにより、意匠性を向上できる。
【0040】
本実施形態においては、便蓋12が開位置に位置された状態において、囲いリブ73は、前側リブ731と、上側リブ732と、を有する。そのため、囲いリブ73により、ブッシュ6の前側を前側リブ731で隠し、ブッシュ6の上側を上側リブ732で隠すことができる。これにより、ブッシュ6の前側及び上側において隠すことにより、ブッシュ6を外観が目立ちにくい状態で、ブッシュ受け部7に配置することができる。よって、意匠性を向上できる。
【0041】
本実施形態においては、前側リブ731は、曲面状に形成され、上側リブ732は、平面状に形成される。そのため、前側リブ731が曲面状に形成されるため、便蓋12が回転する際に、前側リブ731は、カバー部材3のトップカバー32におけるヒンジ配置空間33を形成する凸部334を避けて回転できるため、囲いリブ73が回転する場合に、機能部2のカバー部材3が囲いリブ73の回転を妨げることを抑制できる。
【0042】
本実施形態においては、ブッシュ受け部7は、側部延在板71と、側部延在板71に交差する端部延在板72と、を更に有し、囲いリブ73は、側部延在板71から側方に立設されており、囲いリブ73、側部延在板71及び端部延在板72は、一体に形成されている。囲いリブ73は、上方側の部分が、端部延在板72との間に第1隙間S1を有した状態で配置される。
【0043】
仮に第1隙間S1を有さずに、囲いリブ73を端部延在板72に接続して形成した場合には、便蓋12を樹脂成形する場合に、接続した部分においてヒケが発生する可能性がある。これに対して、本開示は、囲いリブ73は、上方側の部分が、端部延在板72との間に第1隙間S1を有した状態で配置される。そのため、第1隙間S1を有した状態で囲いリブ73を形成することで、便蓋12を樹脂成形する場合に、ヒケが形成されることを抑制できる。
【0044】
本実施形態においては、ブッシュ受け部7に配置されるブッシュ6を備え、ブッシュ6は、便蓋12が開位置に位置する状態において機能部2に当接する突出ストッパ部65を有する。これにより、便蓋12が開位置から閉位置に移動した場合に、ブッシュ6の突出ストッパ部65がブッシュ当て部333aに衝突して、便蓋12がこれ以上開かないように回転位置を制限すると共に、便蓋12が機能部2に衝突する際のダメージを低減できる。
【0045】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。本開示は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
2 機能部(トイレ本体)、6 ブッシュ、7 ブッシュ受け部、12 便蓋、65 突出ストッパ部(ストッパ部)、71 側部延在板(側面板)、72 端部延在板(背面板)、73 囲いリブ、731 前側リブ、732 上側リブ、S1 第1隙間(隙間部)、J 回転軸