(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20231116BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/68 N
H02N13/00 D
(21)【出願番号】P 2020000647
(22)【出願日】2020-01-07
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001911
【氏名又は名称】弁理士法人アルファ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三輪 要
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-009715(JP,A)
【文献】特開2018-206804(JP,A)
【文献】国際公開第2019/065233(WO,A1)
【文献】特開平04-236449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H02N 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に略直交する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有する板状部材と、
第3の表面を有し、前記第3の表面が前記板状部材の前記第2の表面側に位置するように配置され、冷却機構を有するベース部材と、
樹脂を含む材料により形成され、前記板状部材の前記第2の表面と前記ベース部材の前記第3の表面との間に配置されて前記板状部材と前記ベース部材とを接合する接合部と、
を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、さらに、
導電性材料により形成された第1の電極であって、前記第1の方向において前記接合部の少なくとも一部分である特定部分より前記第1の表面に近い位置に配置され、前記接合部の前記特定部分を挟んで前記第1の方向に対向する第2の電極との間に静電力を発生させるように構成された第1の電極を備える、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項2】
請求項1に記載の保持装置において、
前記第1の電極は、前記板状部材の内部と、前記板状部材の前記第2の表面上と、の一方に配置されている、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項3】
請求項1に記載の保持装置において、
前記第1の電極は、前記接合部の内部に配置されている、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の保持装置において、
前記ベース部材の少なくとも一部は、導電性材料により形成され、前記第2の電極として機能する、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の保持装置において、さらに、
導電性材料により形成され、前記接合部の内部に配置された前記第2の電極を備える、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の保持装置において、
前記第1の方向に直交する第2の方向に並び、かつ、前記静電力を個別に制御可能な複数の前記第1の電極を備える、
ことを特徴とする保持装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の保持装置において、
前記板状部材の前記第1の表面を加熱するヒータを備えない、
ことを特徴とする保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術は、対象物を保持する保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハを保持する保持装置として、静電チャックが用いられる。静電チャックは、例えばセラミックスを含む材料により形成された板状部材と、例えば金属により形成されたベース部材と、例えば樹脂を含む材料により形成され、板状部材とベース部材とを接合する接合部と、板状部材の内部に設けられたチャック電極とを備えている。静電チャックは、チャック電極に電圧が印加されることにより発生する静電引力を利用して、板状部材の表面(以下、「吸着面」という。)にウェハを吸着して保持する。
【0003】
板状部材の吸着面に保持されたウェハの温度が所望の温度にならないと、ウェハに対する各処理(成膜、エッチング等)の精度が低下するおそれがあるため、静電チャックにはウェハの温度分布を制御する性能が求められる。そのため、ベース部材には冷却機構(例えば、冷媒流路)が形成されており、該冷却機構を用いてベース部材を冷却することにより、接合部を介したベース部材と板状部材との間の伝熱(熱引き)により板状部材が冷却され、これにより板状部材の吸着面の温度分布の制御(ひいては、吸着面に保持されたウェハの温度分布の制御)が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の静電チャックの構成では、ベース部材の冷却機構を用いた板状部材の吸着面の温度分布の制御性の点で向上の余地がある。
【0006】
なお、このような課題は、静電引力を利用してウェハを保持する静電チャックに限らず、板状部材と、ベース部材と、両者を接合する接合部とを備え、板状部材の表面上に対象物を保持する保持装置一般に共通の課題である。
【0007】
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
【0009】
(1)本明細書に開示される保持装置は、第1の方向に略直交する第1の表面と、前記第1の表面とは反対側の第2の表面と、を有する板状部材と、第3の表面を有し、前記第3の表面が前記板状部材の前記第2の表面側に位置するように配置され、冷却機構を有するベース部材と、樹脂を含む材料により形成され、前記板状部材の前記第2の表面と前記ベース部材の前記第3の表面との間に配置されて前記板状部材と前記ベース部材とを接合する接合部と、を備え、前記板状部材の前記第1の表面上に対象物を保持する保持装置において、さらに、導電性材料により形成された第1の電極であって、前記第1の方向において前記接合部の少なくとも一部分である特定部分より前記第1の表面に近い位置に配置され、前記接合部の前記特定部分を挟んで前記第1の方向に対向する第2の電極との間に静電力を発生させるように構成された第1の電極を備える。本保持装置によれば、第1の電極と第2の電極との間で静電力を発生させることにより、接合部の厚さ(第1の方向における寸法)を調整することができる。これにより、接合部の伝熱性を調整することができ、接合部を介したベース部材と板状部材との間の熱伝導(冷媒機構を有するベース部材による板状部材からの熱引き)の量を調整することができ、ひいては、板状部材の第1の表面の温度分布の制御性を向上させることができる。
【0010】
(2)上記保持装置において、前記第1の電極は、前記板状部材の内部と、前記板状部材の前記第2の表面上と、の一方に配置されている構成としてもよい。本保持装置によれば、例えば第1の電極が接合部の内部に配置された形態と比較して、接合部のより大きい部分を対象として厚さを調整することができるため、接合部の伝熱性を比較的広い範囲で調整することができ、ひいては、板状部材の第1の表面の温度を比較的広い範囲で調整することができ、板状部材の第1の表面の温度分布の制御性を効果的に向上させることができる。
【0011】
(3)上記保持装置において、前記第1の電極は、前記接合部の内部に配置されている構成としてもよい。本保持装置によれば、例えば第1の電極が板状部材の内部や第2の表面に配置された形態と比較して、接合部の厚さをより迅速に、かつ、より確実に調整することができるため、接合部の伝熱性をより迅速に、かつ、より確実に調整することができ、ひいては、板状部材の第1の表面の温度をより迅速に、かつ、より確実に調整することができる。
【0012】
(4)上記保持装置において、前記ベース部材の少なくとも一部は、導電性材料により形成され、前記第2の電極として機能する構成としてもよい。本保持装置によれば、ベース部材とは別に第2の電極を設ける形態と比較して、部品点数の増加を抑制することができ、製造の容易化やコストの低減を実現することができる。
【0013】
(5)上記保持装置において、さらに、導電性材料により形成され、前記接合部の内部に配置された前記第2の電極を備える構成としてもよい。本保持装置によれば、例えばベース部材を第2の電極として機能させる形態と比較して、接合部の厚さをより迅速に、かつ、より確実に調整することができるため、接合部の伝熱性をより迅速に、かつ、より確実に調整することができ、ひいては、板状部材の第1の表面の温度をより迅速に、かつ、より確実に調整することができる。
【0014】
(6)上記保持装置において、前記第1の方向に直交する第2の方向に並び、かつ、前記静電力を個別に制御可能な複数の前記第1の電極を備える構成としてもよい。本保持装置によれば、第2の方向に並ぶ複数の位置において、接合部の厚さを個別に調整することができるため、接合部を介したベース部材と板状部材との間の熱伝導の量を個別に調整することができ、ひいては、板状部材の第1の表面の温度分布をより緻密に制御することができる。
【0015】
(7)上記保持装置において、前記板状部材の前記第1の表面を加熱するヒータを備えない構成としてもよい。本保持装置によれば、ヒータを備えないために、板状部材の第1の表面の温度を調整することが比較的困難な保持装置においても、第1の電極を用いて接合部の厚さを調整し、接合部を介したベース部材と板状部材との間の熱伝導の量を調整することにより、板状部材の第1の表面の温度分布の制御性を向上させることができる。
【0016】
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、保持装置、静電チャック、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図
【
図2】第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図
【
図3】第1実施形態における静電チャック100のXY断面構成を概略的に示す説明図
【
図4】第2実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
A.第1実施形態:
A-1.静電チャック100の構成:
図1は、第1実施形態における静電チャック100の外観構成を概略的に示す斜視図であり、
図2は、第1実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図であり、
図3は、第1実施形態における静電チャック100のXY断面構成を概略的に示す説明図である。
図3には、
図2のIII-IIIの位置における静電チャック100のXY断面構成が示されている。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向といい、Z軸負方向を下方向というものとするが、静電チャック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。
【0019】
静電チャック100は、対象物(例えばウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される半導体製造装置用部品である。静電チャック100は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向(Z軸方向))に並べて配置された板状部材10およびベース部材20を備える。板状部材10とベース部材20とは、板状部材10の下面S2(
図2参照)とベース部材20の上面S3とが、後述する接合部30を挟んで上記配列方向に対向するように配置されている。すなわち、ベース部材20は、ベース部材20の上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置されている。板状部材10の下面S2は、特許請求の範囲における第2の表面に相当し、ベース部材20の上面S3は、特許請求の範囲における第3の表面に相当する。
【0020】
板状部材10は、Z軸方向視で略円形の板状の部材であり、例えばセラミックス(例えば、アルミナや窒化アルミニウム等)を含む材料により形成されている。なお、本実施形態では、板状部材10は、セラミックスを主成分として含む材料により形成されている。本明細書において、主成分とは、体積含有率が最も高い成分を意味する。板状部材10は、外周に沿って上側に切り欠きが形成された部分である外周部OPと、外周部OPの内側に位置する内側部IPとから構成されている。板状部材10における内側部IPの厚さ(Z軸方向における厚さであり、以下同様。)は、外周部OPに形成された切り欠きの分だけ、外周部OPの厚さより厚くなっている。すなわち、板状部材10の外周部OPと内側部IPとの境界の位置で、板状部材10の厚さが変化している。
【0021】
板状部材10の内側部IPの直径は例えば50mm~500mm程度(通常は200mm~350mm程度)であり、板状部材10の外周部OPの直径は例えば60mm~510mm程度(通常は210mm~360mm程度)である(ただし、外周部OPの直径は内側部IPの直径より大きい)。また、板状部材10の内側部IPの厚さは例えば1mm~10mm程度であり、板状部材10の外周部OPの厚さは例えば0.5mm~9.5mm程度である(ただし、外周部OPの厚さは内側部IPの厚さより薄い)。
【0022】
板状部材10の上面S1のうち、内側部IPにおける上面(以下、「吸着面」ともいう。)S11は、Z軸方向に略直交する略円形の表面である。吸着面S11は、特許請求の範囲における第1の表面に相当し、Z軸方向は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。なお、本明細書では、Z軸方向に直交する方向を「面方向」という。
【0023】
板状部材10の上面S1のうち、外周部OPにおける上面(以下、「外周上面」ともいう。)S12は、Z軸方向に略直交する略円環状の表面である。板状部材10の外周上面S12には、例えば、静電チャック100を固定するための治具(不図示)が係合する。
【0024】
図2に示すように、板状部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成されたチャック電極40が配置されている。本実施形態では、チャック電極40は、板状部材10を厚さ方向(Z軸方向)に仮想的に3等分したときの一番上側の部分に配置されている。Z軸方向視でのチャック電極40の形状は、例えば略円形である。チャック電極40にチャック用電源(不図示)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWが板状部材10の吸着面S11に吸着固定される。
【0025】
また、
図2に示すように、板状部材10の内部には、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成された複数の熱伝導調整用電極50が配置されている。本実施形態では、熱伝導調整用電極50は、板状部材10を厚さ方向(Z軸方向)に仮想的に3等分したときの一番下側の部分に配置されている。また、静電チャック100は、熱伝導調整用電極50への給電のための構成(ドライバ電極60等)を備えている。これらの構成については、後に詳述する。本実施形態において、熱伝導調整用電極50は、特許請求の範囲における第1の電極に相当する。
【0026】
ベース部材20は、例えば板状部材10の外周部OPと同径の、または、板状部材10の外周部OPより径が大きい円形平面の板状部材であり、例えば金属(アルミニウムやアルミニウム合金等)等の導電性材料により形成されている。ベース部材20の直径は例えば220mm~550mm程度(通常は220mm~350mm)であり、ベース部材20の厚さは例えば20mm~40mm程度である。
【0027】
ベース部材20は、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置された接合部30によって、板状部材10に接合されている。接合部30の厚さは、例えば0.1mm~1mm程度である。本実施形態では、接合部30は、樹脂材料(接着材料)を主成分として含んでいる。接合部30に含まれる樹脂材料としては、シリコーン樹脂やフッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の種々の樹脂材料を用いることができるが、耐熱性が高く、かつ、柔軟な樹脂材料であるシリコーン樹脂やフッ素樹脂を用いることが好ましい。また、接合部30は、樹脂材料に加えて、例えばセラミックスの充填材(フィラー)を含んでいてもよい。接合部30は、ある程度の弾性を有している。
【0028】
ベース部材20の内部には冷媒流路21が形成されている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体や水等)が流されると、ベース部材20が冷却され、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の伝熱(熱引き)により板状部材10が冷却され、板状部材10の吸着面S11に保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。冷媒流路21は、特許請求の範囲における冷却機構に相当する。
【0029】
また、静電チャック100は、静電チャック100の周囲に存在するプラズマやプロセスガスから接合部30の外周面を保護するためのOリング130を備える。Oリング130は、例えばエラストマー(例えば、合成ゴム)により形成されている。Oリング130は、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3とに当接しており、該当接箇所において封止機能を発揮することにより、接合部30の外周面がプラズマやプロセスガスに晒されて劣化することを抑制する。
【0030】
なお、本実施形態の静電チャック100は、板状部材10の吸着面S11を加熱するヒータを備えていない。すなわち、本実施形態の静電チャック100では、板状部材10の吸着面S11の温度制御は、ベース部材20に形成された冷媒流路21への冷媒の供給により実行現される。
【0031】
A-2.熱伝導調整用電極50等の構成:
次に、熱伝導調整用電極50および熱伝導調整用電極50への給電のための構成について詳述する。上述したように、本実施形態の静電チャック100は、複数の熱伝導調整用電極50(より具体的には、3つの熱伝導調整用電極50A,50B,50C)を備える(
図2および
図3参照)。各熱伝導調整用電極50は、面方向に平行な所定の形状の導体パターンである。本実施形態では、複数の熱伝導調整用電極50は、面方向に互いに並んで配置されている。
【0032】
図2および
図3に示すように、本実施形態の静電チャック100では、板状部材10(より詳細には、板状部材10の内側部IP)が、面方向に並ぶ3つのセグメントZ(Za,Zb,Zc)に仮想的に分割されている。より具体的には、板状部材10が、Z軸方向視で、板状部材10の外周線と同心の2つの円形の仮想分割線VL(VL1,VL2)によって、3つのセグメントZに仮想的に分割されている。Z軸方向視での各セグメントZの形状は、略円形または略円環形である。
【0033】
複数の熱伝導調整用電極50のそれぞれは、板状部材10に設定された複数のセグメントZのうちの1つに配置されている。具体的には、3つの熱伝導調整用電極50の内、1つの熱伝導調整用電極50Aは、3つのセグメントZのうちの最も外周側に位置するセグメントZaに配置されており、他の1つの熱伝導調整用電極50Cは、3つのセグメントZのうちの最も中心に近い側に位置するセグメントZcに配置されており、残り1つの熱伝導調整用電極50Bは、セグメントZaとセグメントZcとに挟まれたセグメントZbに配置されている。
【0034】
本実施形態では、各熱伝導調整用電極50は、Z軸方向視で、各セグメントZの略全体を覆うような形状となっている。すなわち、Z軸方向視で略円環形のセグメントZであるセグメントZaおよびセグメントZbに配置された熱伝導調整用電極50Aおよび熱伝導調整用電極50Bは、Z軸方向視で略円環形であり、Z軸方向視で略円形のセグメントZであるセグメントZcに配置された熱伝導調整用電極50Cは、Z軸方向視で略円形である。
【0035】
また、本実施形態の静電チャック100は、各熱伝導調整用電極50への給電のための構成を備えている。具体的には、静電チャック100は、複数のドライバ電極60を備える(
図2参照)。各ドライバ電極60は、面方向に平行な所定の形状の導体パターンであり、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成されている。本実施形態では、複数のドライバ電極60は、面方向に互いに並んで配置されており、各ドライバ電極60の配置位置は、各熱伝導調整用電極50の配置位置より上側とされている。
【0036】
また、
図2に示すように、静電チャック100には、ベース部材20の下面S4から板状部材10の内部に至る複数の(本実施形態では3つの)端子用孔110が形成されている。各端子用孔110は、ベース部材20を上下方向に貫通する貫通孔22と、接合部30を上下方向に貫通する貫通孔32と、板状部材10の下面S2に形成された凹部13とが、互いに連通することにより構成された一体の孔である。
【0037】
各端子用孔110には、導電性材料により形成された略柱状の部材である給電端子74が収容されている。また、各端子用孔110を構成する板状部材10の凹部13の底面には、導電性材料により形成された給電電極(電極パッド)73が配置されている。給電端子74の上端部分は、例えばろう付け等により給電電極73に接合されている。また、各ドライバ電極60は、第1のビア71を介して1つの給電電極73に電気的に接続されていると共に、第2のビア72を介して1つの熱伝導調整用電極50に電気的に接続されている。このように、各熱伝導調整用電極50は、第2のビア72、ドライバ電極60、第1のビア71および給電電極73を介して、給電端子74と電気的に接続されている。各給電端子74とベース部材20との間には、電源140により個別に電圧が印加可能となっている。
【0038】
なお、熱伝導調整用電極50やドライバ電極60が内部に配置された板状部材10の作製方法は、例えば以下の通りである。まず、セラミックスグリーンシートを複数枚作製し、所定のセラミックスグリーンシートに所定の加工を行う。所定の加工としては、例えば、熱伝導調整用電極50やドライバ電極60の形成のためのメタライズペーストの印刷、各種ビアの形成のための孔空けおよびメタライズペーストの充填等が挙げられる。これらのセラミックスグリーンシートを積層して熱圧着し、切断等の加工を行うことにより、セラミックスグリーンシートの積層体を作製する。作製されたセラミックスグリーンシートの積層体を焼成することにより、板状部材10を得る。
【0039】
A-3.静電チャック100の作用:
本実施形態の静電チャック100は、上述した構成を有しているため、以下に説明するように、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の熱伝導(冷媒流路21を有するベース部材20による板状部材10からの熱引き)の量を調整することができ、ひいては、板状部材10の吸着面S11の温度分布の制御性を向上させることができる。
【0040】
例えば、
図2に示すように、最も中心に近いセグメントZcに属する熱伝導調整用電極50Cに電気的に接続された給電端子74と、ベース部材20との間に電圧を印加すると、熱伝導調整用電極50Cがプラスに帯電する一方、ベース部材20がマイナスに帯電し、熱伝導調整用電極50Cとベース部材20との間に静電引力が発生する。この静電引力により、熱伝導調整用電極50Cとベース部材20とが引き寄せ合い、接合部30のうち、熱伝導調整用電極50Cとベース部材20とにより挟まれた部分が厚さ方向に圧縮されるように弾性変形する。その結果、板状部材10やベース部材20と比べて熱抵抗の大きい接合部30において、一部分が厚さ方向につぶされて熱抵抗が小さくなり、該部分を介したベース部材20による板状部材10からの熱引きの量が大きくなり、板状部材10の吸着面S11のうち、Z軸方向視で熱伝導調整用電極50Cと重なる部分(すなわち、セグメントZcに属する部分)の温度が低くなる。
【0041】
上述したように、本実施形態の静電チャック100では、各給電端子74とベース部材20との間に、個別に電圧が印加可能となっているため、各熱伝導調整用電極50とベース部材20との間に発生する静電引力を個別に制御することができる。従って、板状部材10の吸着面S11のうち、温度を低下させたい部分に対応するセグメントZに配置された熱伝導調整用電極50とベース部材20との間に静電引力を発生させることにより、接合部30の一部分を厚さ方向につぶして熱抵抗を小さくし、吸着面S11における対応する部分の温度を低下させることができる。
【0042】
また、2つのセグメントZ(例えば、セグメントZaおよびセグメントZb)に属する熱伝導調整用電極50(例えば、熱伝導調整用電極50Aおよび熱伝導調整用電極50B)と電気的に接続された各給電端子74とベース部材20との間に電圧を印加し、残りの1つのセグメントZ(例えば、セグメントZc)については電圧の印加を行わないことにより、板状部材10の吸着面S11のうち、電圧の印加を行わないセグメントZ(例えば、セグメントZc)に属する部分の温度を相対的に高くすることができる。
【0043】
なお、本実施形態の静電チャック100において、熱伝導調整用電極50は、板状部材10の内部に配置されている。換言すれば、熱伝導調整用電極50は、Z軸方向において接合部30より吸着面S11に近い位置に配置されている。また、ベース部材20は、導電性材料により形成されており、Z軸方向において接合部30を挟んで熱伝導調整用電極50に対向する電極として機能する。本実施形態において、ベース部材20は、特許請求の範囲における第2の電極に相当し、接合部30の全体は、特許請求の範囲における特定部分に相当する。
【0044】
A-4.第1実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の静電チャック100は、板状部材10と、ベース部材20と、接合部30とを備える。板状部材10は、Z軸方向に略直交する吸着面S11と、吸着面S11とは反対側の下面S2とを有する板状の部材である。ベース部材20は、上面S3を有する部材であり、上面S3が板状部材10の下面S2側に位置するように配置され、冷媒流路21を有する。接合部30は、樹脂を含む材料により形成され、板状部材10の下面S2とベース部材20の上面S3との間に配置されて、板状部材10とベース部材20とを接合する。また、本実施形態の静電チャック100は、さらに、導電性材料により形成された熱伝導調整用電極50を備える。熱伝導調整用電極50は、Z軸方向において接合部30(接合部30の全体)より吸着面S11に近い位置に配置され、接合部30(接合部30の全体)を挟んでZ軸方向に対向するベース部材20との間に静電力を発生させるように構成されている。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、熱伝導調整用電極50とベース部材20との間で静電力(静電引力)を発生させることにより、接合部30の厚さ(Z軸方向における寸法)を調整することができる。これにより、接合部30の伝熱性を調整することができ、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の熱伝導(冷媒流路21を有するベース部材20による板状部材10からの熱引き)の量を調整することができ、ひいては、板状部材10の吸着面S11の温度分布の制御性を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態の静電チャック100では、熱伝導調整用電極50は、板状部材10の内部に配置されている。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、例えば熱伝導調整用電極50が接合部30の内部に配置された形態と比較して、接合部30のより大きい部分を対象として厚さを調整することができるため、接合部30の伝熱性を比較的広い範囲で調整することができ、ひいては、板状部材10の吸着面S11の温度を比較的広い範囲で調整することができ、板状部材10の吸着面S11の温度分布の制御性を効果的に向上させることができる。
【0046】
また、本実施形態の静電チャック100では、ベース部材20は、導電性材料により形成され、熱伝導調整用電極50との間で静電力を発生させる電極(第2の電極)として機能する。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、ベース部材20とは別に第2の電極を設ける形態と比較して、部品点数の増加を抑制することができ、製造の容易化やコストの低減を実現することができる。
【0047】
また、本実施形態の静電チャック100は、面方向に並び、かつ、静電力を個別に制御可能な複数の熱伝導調整用電極50を備える。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、面方向に並ぶ複数の位置において、接合部30の厚さを個別に調整することができるため、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の熱伝導の量を個別に調整することができ、ひいては、板状部材10の吸着面S11の温度分布をより緻密に制御することができる。
【0048】
また、本実施形態の静電チャック100は、板状部材10の吸着面S11を加熱するヒータを備えない。本実施形態の静電チャック100によれば、ヒータを備えないために、板状部材10の吸着面S11の温度を調整することが比較的困難な静電チャック100においても、熱伝導調整用電極50を用いて接合部30の厚さを調整し、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の熱伝導の量を調整することにより、板状部材10の吸着面S11の温度分布の制御性を向上させることができる。
【0049】
B.第2実施形態:
図4は、第2実施形態における静電チャック100のXZ断面構成を概略的に示す説明図である。以下では、第2実施形態の静電チャック100の構成の内、上述した第1実施形態の静電チャック100の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
【0050】
図4に示すように、第2実施形態の静電チャック100は、熱伝導調整用電極50に関する構成の点で、第1実施形態の静電チャック100と異なる。より具体的には、第2実施形態の静電チャック100では、熱伝導調整用電極50が、板状部材10の内部ではなく、接合部30の内部に配置されている。
【0051】
本実施形態では、
図4に示すXZ断面の位置において、接合部30の内部に、Z軸方向に並ぶ4つの熱伝導調整用電極50が配置されている。4つの熱伝導調整用電極50のうち、上から1つ目および3つ目の熱伝導調整用電極50(以下、「第1の熱伝導調整用電極50S」ともいう。)は、例えば導電性接着材により形成された引出線78を介して、1つの給電端子74(以下、「第1の給電端子74S」ともいう。)に電気的に接続されている。また、上から2つ目および4つ目の熱伝導調整用電極50(以下、「第2の熱伝導調整用電極50T」ともいう。)は、例えば導電性接着材により形成された引出線78を介して、他の1つの給電端子74(以下、「第2の給電端子74T」ともいう。)に電気的に接続されている。第1の給電端子74Sと第2の給電端子74Tとの間には、電源140により電圧が印加可能となっている。なお、各給電端子74は、グラウンドとしてのベース部材20に電気的に接続されていてもよい。
【0052】
なお、本実施形態における熱伝導調整用電極50周りの構成の作製方法は、例えば以下の通りである。すなわち、接合部30の形成材料である複数のシート状接着剤の積層体を作製する。このとき、各シート状接着剤の間に挟むように、例えば金属箔により形成された熱伝導調整用電極50を配置する。また、各シート状接着剤に孔をあけ、該孔に例えば導電性接着材を充填することにより、各熱伝導調整用電極50に導通する引出線78を形成する。このような構成の複数のシート状接着剤の積層体を、板状部材10とベース部材20との間に配置して硬化させることにより接合部30を作製する。また、ベース部材20に予め形成しておいた端子用孔110内に、例えばスプリングコネクタ等により構成されたコネクタ部を有する給電端子74を挿入し、給電端子74のコネクタ部を引出線78と電気的に接続させる。
【0053】
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、板状部材10に複数のセグメントZが設定され、各セグメントZに、個別に印加電圧を制御可能な第1の熱伝導調整用電極50Sと第2の熱伝導調整用電極50Tとの組合せが配置されるとしてもよい。
【0054】
第2実施形態の静電チャック100は、上述した構成を有しているため、第1実施形態の静電チャック100と同様に、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の熱伝導(冷媒流路21を有するベース部材20による板状部材10からの熱引き)の量を調整することができ、ひいては、板状部材10の吸着面S11の温度分布の制御性を向上させることができる。
【0055】
例えば、
図4に示すように2つの電源140を接続すると、第1の給電端子74Sに電気的に接続された第1の熱伝導調整用電極50Sがマイナスに帯電する一方、第2の給電端子74Tに電気的に接続された第2の熱伝導調整用電極50Tがプラスに帯電し、第1の熱伝導調整用電極50Sと第2の熱伝導調整用電極50Tとの間に静電引力が発生する。この静電引力により、第1の熱伝導調整用電極50Sと第2の熱伝導調整用電極50Tとが引き寄せ合い、接合部30のうち、第1の熱伝導調整用電極50Sと第2の熱伝導調整用電極50Tとにより挟まれた部分が厚さ方向に圧縮されるように弾性変形する。その結果、板状部材10やベース部材20と比べて熱抵抗の大きい接合部30において、一部分が厚さ方向につぶされて熱抵抗が小さくなり、該部分を介したベース部材20による板状部材10からの熱引きの量が大きくなり、板状部材10の吸着面S11のうち、Z軸方向視で第1の熱伝導調整用電極50Sおよび第2の熱伝導調整用電極50Tと重なる部分の温度が低くなる。
【0056】
一方、
図4に示す2つの電源140のうち、左側の電源140を逆向きに接続すると、第1の熱伝導調整用電極50Sと第2の熱伝導調整用電極50Tとが、共にプラスに帯電し、第1の熱伝導調整用電極50Sと第2の熱伝導調整用電極50Tとの間に静電斥力が発生する。この静電斥力により、第1の熱伝導調整用電極50Sと第2の熱伝導調整用電極50Tとが反発し合い、接合部30のうち、第1の熱伝導調整用電極50Sと第2の熱伝導調整用電極50Tとにより挟まれた部分が厚さ方向に引っ張られるように弾性変形する。その結果、板状部材10やベース部材20と比べて熱抵抗の大きい接合部30において、一部分が厚さ方向に引き延ばされて熱抵抗が大きくなり、接合部30の該部分を介したベース部材20による板状部材10からの熱引きの量が小さくなり、板状部材10の吸着面S11のうち、Z軸方向視で第1の熱伝導調整用電極50Sおよび第2の熱伝導調整用電極50Tと重なる部分の温度が高くなる。
【0057】
なお、第2実施形態の静電チャック100において、各第1の熱伝導調整用電極50Sは、接合部30の内部に配置されている。換言すれば、各第1の熱伝導調整用電極50Sは、Z軸方向において接合部30の少なくとも一部分(各第1の熱伝導調整用電極50Sに対して下方向に隣り合う第2の熱伝導調整用電極50Tより上側の部分であり、以下、「特定部分34」という。)より吸着面S11に近い位置に配置されている。また、各第2の熱伝導調整用電極50Tは、接合部30の特定部分34を挟んで各第1の熱伝導調整用電極50Sに対向する電極として機能する。本実施形態において、第1の熱伝導調整用電極50Sは、特許請求の範囲における第1の電極に相当し、第2の熱伝導調整用電極50Tは、特許請求の範囲における第2の電極に相当する。
【0058】
以上説明したように、第2実施形態の静電チャック100は、第1実施形態の静電チャック100と同様に、導電性材料により形成された熱伝導調整用電極50を備える。熱伝導調整用電極50のうちの第1の熱伝導調整用電極50Sは、Z軸方向において接合部30の少なくとも一部分である特定部分34より吸着面S11に近い位置に配置され、接合部30の特定部分34を挟んでZ軸方向に対向する第2の熱伝導調整用電極50Tとの間に静電力を発生させるように構成されている。そのため、第2実施形態の静電チャック100によれば、第1の熱伝導調整用電極50Sと第2の熱伝導調整用電極50Tとの間で静電力(静電引力または静電斥力)を発生させることにより、接合部30の厚さ(Z軸方向における寸法)を調整することができる。これにより、接合部30の伝熱性を調整することができ、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の熱伝導(冷媒流路21を有するベース部材20による板状部材10からの熱引き)の量を調整することができ、ひいては、板状部材10の吸着面S11の温度分布の制御性を向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態の静電チャック100では、第1の熱伝導調整用電極50Sは、接合部30の内部に配置されている。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、例えば第1の熱伝導調整用電極50Sが板状部材10の内部や下面S2に配置された形態と比較して、接合部30の厚さをより迅速に、かつ、より確実に調整することができるため、接合部30の伝熱性をより迅速に、かつ、より確実に調整することができ、ひいては、板状部材10の吸着面S11の温度をより迅速に、かつ、より確実に調整することができる。
【0060】
また、本実施形態の静電チャック100では、さらに、導電性材料により形成され、接合部30の内部に配置された第2の熱伝導調整用電極50Tを備える。そのため、本実施形態の静電チャック100によれば、ベース部材20を第2の電極として機能させる形態と比較して、接合部30の厚さをより迅速に、かつ、より確実に調整することができるため、接合部30の伝熱性をより迅速に、かつ、より確実に調整することができ、ひいては、板状部材10の吸着面S11の温度をより迅速に、かつ、より確実に調整することができる。
【0061】
C.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0062】
上記実施形態における静電チャック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記第1実施形態では、熱伝導調整用電極50が板状部材10の内部に配置されているが、熱伝導調整用電極50が板状部材10の下面S2上に配置されていてもよい。このような構成であっても、上記第1実施形態と同様に、熱伝導調整用電極50とベース部材20との間で静電力(静電引力)を発生させることにより、接合部30の厚さを調整することができ、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の熱伝導の量を調整することができ、ひいては、板状部材10の吸着面S11の温度分布の制御性を向上させることができる。
【0063】
また、上記第1実施形態では、熱伝導調整用電極50が板状部材10の内部に配置されているが、熱伝導調整用電極50が接合部30の内部に配置されていてもよい。このような構成であっても、上記第1実施形態と同様に、熱伝導調整用電極50とベース部材20との間で静電力(静電引力)を発生させることにより、接合部30の厚さを調整することができ、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の熱伝導の量を調整することができ、ひいては、板状部材10の吸着面S11の温度分布の制御性を向上させることができる。
【0064】
また、上記実施形態における熱伝導調整用電極50の個数や、各熱伝導調整用電極50の形状、板状部材10における各熱伝導調整用電極50の配置は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記第1実施形態の静電チャック100は、3つの熱伝導調整用電極50を備えるが、静電チャック100が備える熱伝導調整用電極50の個数は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。同様に、上記第1実施形態におけるセグメントZの個数や、各セグメントZの形状、板状部材10における各セグメントZの配置は、あくまで一例であり、種々変形可能である。
【0065】
また、上記第2実施形態の静電チャック100は、第1の熱伝導調整用電極50Sと第2の熱伝導調整用電極50Tとの組合せを2つ備えるが、静電チャック100が備える該組合せの個数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態におけるドライバ電極60の個数や、各ドライバ電極60の形状、板状部材10における各ドライバ電極60の配置は、あくまで一例であり、種々変形可能である。また、上記実施形態において、静電チャック100がドライバ電極60を備えないとしてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、ベース部材20は、冷却機構として冷媒流路21を有しているが、冷媒流路21に代えて、あるいは、冷媒流路21と共に、冷媒流路21以外の冷却機構を有していてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、板状部材10の上面側の外周に沿って上側に切り欠きが形成されているが、該切り欠きは形成されていなくてもよい。また、上記実施形態では、板状部材10の内部に1つのチャック電極40が設けられた単極方式が採用されているが、板状部材10の内部に一対のチャック電極40が設けられた双極方式が採用されてもよい。また、上記実施形態の静電チャック100は、板状部材10の吸着面S11を加熱するヒータを備えないが、静電チャック100が、板状部材10の吸着面S11を加熱するヒータを備えるとしてもよい。また、上記実施形態の静電チャック100における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。
【0069】
また、上記実施形態における静電チャック100の製造方法は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、セラミックスグリーンの積層体を焼成することにより板状部材10が作製されるが、板状部材10が他の方法(例えば、ホットプレス焼成)により作製されるとしてもよい。
【0070】
また、本発明は、静電チャック100に限らず、板状部材と、ベース部材と、両者を接合する接合部とを備え、板状部材の表面上に対象物を保持する他の保持装置にも適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
10:板状部材 13:凹部 20:ベース部材 21:冷媒流路 22:貫通孔 30:接合部 32:貫通孔 34:特定部分 40:チャック電極 50:熱伝導調整用電極 60:ドライバ電極 71:第1のビア 72:第2のビア 73:給電電極 74:給電端子 78:引出線 100:静電チャック 110:端子用孔 130:Oリング 140:電源 IP:内側部 OP:外周部 S11:吸着面 S12:外周上面 S1:上面 S2:下面 S3:上面 S4:下面 W:ウェハ