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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】捨て枠の固定構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/52 20060101AFI20231116BHJP
【FI】
E06B1/52
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020013562
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021120508
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】持田 典之
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-139262(JP,A)
【文献】特開2005-290878(JP,A)
【文献】特開2000-320253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00- 1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と、左右の縦枠からなる三方枠の前記左右の縦枠の下端部位は少なくとも1本の捨て枠で接続されており、
前記捨て枠は、前記三方枠の幅方向に延びる長尺部分と、前記長尺部分の長さ方向両端部位に立ち上がり状に形成された左右の垂直片と、からなり、
前記捨て枠は、前記長尺部分の長さ方向両端部が前記左右の縦枠の下端に当接し、前記左右の垂直片が前記左右の縦枠の外側の下端部位に当接した状態で、前記左右の垂直片と前記下端部位とを螺子で固定してなる
捨て枠の固定構造。
【請求項2】
前記左右の縦枠は、第1見付面と、第2見付面と、第1見付面と第2見付面の内側端を接続する内側見込面と、第1見付面の外側端から見込方向に延びる第1外側見込辺と、第2見付面の外側端から見込方向に延びる第2外側見込辺と、を備え、
前記第1外側見込辺と前記第2外側見込辺の下端部位間を接続する接続要素が設けてあり、
前記接続要素は垂直面を備えており、前記左右の垂直片は、前記接続要素の垂直面に当接した状態で、螺子によって当該接続要素に固定されている、
請求項に記載の捨て枠の固定構造。
【請求項3】
前記捨て枠の長尺部分は、上面部と、上面部から垂下する第1見付辺と第2見付辺とから断面視コ字形状に形成されており、
前記長尺部分の長さ方向両端部には、垂直状の第1片と水平状の第2片とからL形状を備えた端部要素が固定されており、
前記長尺部分の上面部の長さ方向両端部が前記左右の縦枠の下端に当接しており、前記端部要素の前記第1片が前記左右の垂直片を形成している、
請求項1、2いずれか1項に記載の捨て枠の固定構造。
【請求項4】
前記端部要素は、前記第2片の端縁が前記第1見付辺、前記第2見付辺の内面に当接ないし近接した状態で前記上面部の下面に固定されている、
請求項に記載の捨て枠の固定構造。
【請求項5】
上枠と、左右の縦枠からなる三方枠の前記左右の縦枠の下端部位は少なくとも1本の捨て枠で接続されており、
前記捨て枠は、前記三方枠の幅方向に延びる長尺部分と、前記長尺部分の長さ方向両端部位に立ち上がり状に形成された左右の垂直片と、からなり、
前記捨て枠は、前記長尺部分の長さ方向両端部が前記左右の縦枠の下端に当接し、前記左右の垂直片が前記左右の縦枠の下端部位に当接した状態で、前記左右の垂直片と前記下端部位とを螺子で固定してなり、
前記捨て枠の長尺部分は、上面部と、上面部から垂下する第1見付辺と第2見付辺とから断面視コ字形状に形成されており、
前記長尺部分の長さ方向両端部には、垂直状の第1片と水平状の第2片とからL形状を備えた端部要素が固定されており、
前記長尺部分の上面部の長さ方向両端部が前記左右の縦枠の下端に当接しており、前記端部要素の前記第1片が前記左右の垂直片を形成している、
捨て枠の固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三方枠からなるドア枠に用いられる捨て枠の固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
開き戸等のドア枠は一般的には方形状の四周枠であるが、ドア枠には、下枠(沓摺)が無い三方枠の仕様もある。ドア枠は工場で組み立てられ、現場に搬入されて開口部に設置されるが、三方枠は形状が不安定であることから運搬時に変形するおそれがある。運搬時の三方枠の変形を防止するために、工場において、三方枠の左右の縦枠の下端部位に捨て枠(下枠)を溶接することで仮四周枠として運搬し、現場において、サンダー等で溶接部を切断することで捨て枠を取り外すことが行われる。しかしながら、サンダー等による溶接部の切断時には火花が出る場合があることから、火気作業ができない現場ではこのような捨て枠を用いることができない。また、溶接部をきれいに切断するためには熟練を要する。
【0003】
これに対して、捨て枠を螺子を用いて三方枠の左右の縦枠の下端部位に固定することで、火気作業ができない現場であっても、捨て枠を用いることができ、また、螺子を用いた取り外し作業は熟練を要しない。図10は、螺子を用いた従来の捨て枠の固定構造を示す。三方枠の左右の縦枠2´の下端部位には、断面視L形状のアンカー5´が固定されており、並行する2本の捨て枠3´を、左右の縦枠2´の下端間に架け渡し、捨て枠3´の長さ方向両端部をアンカー5´の下面に当接させて螺子6´で固定している。しかしながら、この固定構造は、螺子で固定された部材同士が螺子を中心に回転し得るものであり、三方枠の変形防止において、溶接による固定構造に比べて強度が劣るものであった。
【0004】
特許文献1には、ドア開口部への取り付けにあたって、四方枠程度に取り扱いが容易で、しかも取付後には三方枠のもつ利便性を発揮することができるドア開口部用枠体を提供することを目的とし、ドア開口用枠体において、下枠材が、縦枠材のそれぞれの下端部から取り外し可能とされており、ドア開口部に取り付けられたのち、不用となった下枠材を取り外して、三方枠とすることが開示されている。このものは、三方枠のドア開口部への取付時の取り扱いを改善することを目的とするものであり、下枠材と縦枠材の固定構造は、下枠材を有する四方枠として開口部に取り付けた後に下枠材を取り外し可能であることが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-139262
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、三方のドア枠に捨て枠を固定するにあたり、現場作業性かつ強度に優れた捨て枠の固定構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
上枠と、左右の縦枠からなる三方枠の前記左右の縦枠の下端部位は少なくとも1本の捨て枠で接続されており、
前記捨て枠は、前記三方枠の幅方向に延びる長尺部分と、前記長尺部分の長さ方向両端部位に立ち上がり状に形成された左右の垂直片と、からなり、
前記捨て枠は、前記長尺部分の長さ方向両端部が前記左右の縦枠の下端に当接し、前記左右の垂直片が前記左右の縦枠の下端部位に当接した状態で、前記左右の垂直片と前記下端部位とを螺子で固定してなる、
捨て枠の固定構造である。
【0008】
1つの態様では、前記捨て枠は、前記長尺部分の長さ方向両端部が前記左右の縦枠の下端に当接し、前記左右の垂直片が前記左右の縦枠の外側の下端部位に当接した状態で、前記左右の垂直片と前記下端部位とを螺子で固定してなる。
【0009】
1つの態様では、前記左右の縦枠は、第1見付面と、第2見付面と、第1見付面と第2見付面の内側端を接続する内側見込面と、第1見付面の外側端から見込方向に延びる第1外側見込辺と、第2見付面の外側端から見込方向に延びる第2外側見込辺と、を備え、
前記第1外側見込辺と前記第2外側見込辺の下端部位間を接続する接続要素が設けてあり、
前記接続要素は垂直面を備えており、前記左右の垂直片は、前記接続要素の垂直面に当接した状態で、螺子によって当該接続要素に固定されている。
【0010】
1つの態様では、前記捨て枠の長尺部分は、上面部と、上面部から垂下する第1見付辺と第2見付辺とから断面視コ字形状に形成されており、
前記長尺部分の長さ方向両端部には、垂直状の第1片と水平状の第2片とからL形状を備えた端部要素が固定されており、
前記長尺部分の上面部の長さ方向両端部が前記左右の縦枠の下端に当接しており、前記端部要素の前記第1片が前記左右の垂直片を形成している。
1つの態様では、前記端部要素は、前記第2片の端縁が前記第1見付辺、前記第2見付辺の内面に当接ないし近接した状態で前記上面部の下面に固定されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、捨て枠を、長さ方向両端部位が左右の縦枠の下端に当接した状態で、長さ方向両端部位に立ち上がり状に形成された左右の垂直片を介して左右の縦枠2の下端部位(特に見込方向に延びる面)に螺子で固定することで四周枠を形成するようにしたので、四周枠に作用する回転やねじりに対抗して四周枠の変形を防止し、四周枠の安定した形状を維持する。
また、本発明に係る捨て枠の固定構造は螺子を用いるものであるため、現場における捨て枠の取り外しが容易であり、また、火気作業が出来ない現場にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る捨て枠の固定構造を備えたドア枠の正面図及び側面図である。
図2図1に示すドア枠の一部省略拡大横断面図である。
図3図1に示すドア枠の下方部位の一部省略拡大部分縦断面図である。
図4】第1実施形態に係る捨て枠の上面図、正面図、側面図である。
図5】第2実施形態に係る捨て枠の固定構造を示す図であり、四周枠の幅方向一方の下方部位の、横断面図、側面図、縦断面図である。
図6】第3実施形態に係る捨て枠の固定構造を示す図であり、四周枠の幅方向一方の下方部位の、横断面図、側面図、縦断面図である。
図7】第4実施形態に係る捨て枠の固定構造を示す図であり、四周枠の幅方向一方の下方部位の、横断面図、側面図、縦断面図である。
図8】第5実施形態に係る捨て枠の固定構造を示す図であり、四周枠の幅方向一方の下方部位の、横断面図、縦断面図、側面図である。
図9】第6実施形態に係る捨て枠の固定構造を示す図であり、四周枠の幅方向一方の下方部位の、横断面図、縦断面図、側面図である。
図10】従来の螺子を用いた捨て枠の固定構造を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る捨て枠の固定構造を備えたドア枠(開口部に取り付けられる前の状態)の正面図であって、ドア枠は、上枠1と、左右の縦枠2と、からなる三方枠において、左右の縦枠2の下端部位に下枠としての捨て枠3を設けてなる仮の四周枠である。図1に示す四周枠は、工場で組み立てられて、四周枠として現場に搬入され、現場で捨て枠3を取り外して、上枠1と左右の縦枠2からなる三方のドア枠として開口部に取り付けられる。
【0014】
上枠1と、左右の縦枠2と、からなる三方枠は、左右の金属製(例えば、スチール製)の縦枠2の上端を金属製(例えば、スチール製)の上枠1の長さ方向両端にそれぞれ固定(溶接、螺子止め等)することで組み立てられる。図2に示すように、左右の縦枠2は、第1見付面20と、第2見付面21と、第1見付面20と第2見付面21の内側端を接続する内側見込面を備え、内側見込面は、第1見付面20の内側端から見込方向に延びる第1内側見込面22と、第2見付面21の内側端から見込方向に延びる第2内側見込面23と、第1内側見込面22と第2内側見込面23の間に位置した凸状の中央見込部24と、からなる。中央見込部24は、中央見込面240と、第1中央見付面241と、第2中央見付面242と、からなる。左右の縦枠2は、さらに、第1見付面20の外側端から見込方向に延びる第1外側見込辺25と、第2見付面21の外側端から見込方向に延びる第2外側見込辺26と、を備えている。上枠1は、1つの態様では、縦枠2と類似の断面形状を備えているが、その形状は限定されず、詳細な説明は省略する。
【0015】
縦枠2において、第1外側見込辺25と第2外側見込辺26は離間しており、第1外側見込辺25と第2外側見込辺26の間には、縦枠2の高さ方向に間隔を存して複数の接続要素5が固定(溶接、螺子止め等)されており、縦枠2の強度を向上させている。複数の接続要素5の最下位の接続要素5は、第1外側見込辺25と第2外側見込辺26の下端部位間を接続している(図1参照)。本実施形態に係る接続要素5は、金属製(例えば、スチール製)のプレートであり、垂直姿勢で第1外側見込辺25と第2外側見込辺26の間に固定されており、接続要素5の面部は縦枠2の外側の見込面となっている。
【0016】
図1図4を参照しつつ、第1実施形態に係る捨て枠の固定構造について説明する。図4に示すように、捨て枠3は、長尺部分3Aと、長尺部分3Aの長さ方向両端部に固定された端部要素4とからなる。捨て枠3は長尺部分3A、端部要素4を含んで金属製(例えば、スチール製)である。
【0017】
長尺部分3Aは、水平面である上面部30と、上面部30から垂下する第1見付辺31と第2見付辺32とから断面視コ字形状に形成されている。長尺部分3Aの長さ寸法は、三方枠の幅寸法、具体的には、左右の縦枠2の外側面(第1外側見込辺25、第2外側見込辺26)間の寸法、と略同じであり、捨て枠3は、上面部30の長さ方向両端部位が、左右の縦枠2の下端に当接するような寸法を備えている。
【0018】
端部要素4は、垂直状の第1片40と水平状の第2片41とからL形状を備えており、第2片41の端縁が長尺部分3Aの第1見付辺31、第2見付辺32の内面に当接ないし近接し、かつ、第1片40の内側面の下端が長尺部分3Aの上面部30の長さ方向端縁に当接した状態で、上面部30の下面に固定(溶接、螺子止め等)されており、第1片40が長尺部分の長さ方向両端部から垂直に立ち上がる垂直片を形成している。第1片40には、螺子6の挿通孔400が形成されている。
【0019】
本実施形態では、図2に示すように、左右の縦枠2の下端部位間を接続する2本の捨て枠3を備え、一方の捨て枠3は、長尺部分3Aの上面部30の上面の長さ方向両端部が左右の縦枠2(第1内側見込面22、中央見込部24の中央見込面240と第1中央見付面241)の下端及び接続要素5の下端に当接し、左右の端部要素4の第1片(垂直片)40が左右の縦枠2の外側の下端部位に固定された接続要素5からなる垂直状の見込面に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と接続要素5とを螺子6で固定してなり、他方の捨て枠3は、長尺部分3Aの上面部30の上面の長さ方向両端部が左右の縦枠2(第2内側見込面23、中央見込部24の中央見込面240と第2中央見付面242)の下端及び接続要素5の下端に当接し、左右の端部要素4の第1片(垂直片)40が左右の縦枠2の外側の下端部位に固定された接続要素5からなる垂直状の見込面に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と接続要素5とを螺子6で固定してなる。
【0020】
本実施形態では、左右の縦枠2の下端部位間を接続する2本の捨て枠3を設けたが、捨て枠3の本数は限定されず、例えば、1本であってもよい。本実施形態では、捨て枠3を、長尺部分3Aと端部要素4から形成したが、捨て枠3の長さ方向両端部に立ち上がり状の垂直片を一体形成してもよい。
【0021】
図5を参照しつつ、第2実施形態に係る捨て枠の固定構造について説明する。左右の縦枠2の形状、捨て枠3の形状は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態に係る説明を援用することができる。第1実施形態では、捨て枠3の左右両端部の第1片(垂直片)40を左右の縦枠2の外側の下端部位に固定された接続要素5に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と接続要素5とを螺子6で固定してなるが、第2実施形態では、捨て枠3の左右両端部の第1片(垂直片)40を縦枠2(第1外側見込辺25、第2外側見込辺26)の下端部位に直接固定している。
【0022】
より具体的には、第2実施形態では、左右の縦枠2の下端部位間を接続する2本の捨て枠3を備え、一方の捨て枠3は、長尺部分の上面部30の上面の長さ方向両端部が左右の縦枠2(第1内側見込面22、第1外側見込辺25)の下端に当接し、左右の端部要素4の第1片(垂直片)40が左右の縦枠2の第1外側見込辺25からなる垂直状の見込面に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と第1外側見込辺25とを螺子6で固定してなり、他方の捨て枠3は、長尺部分の上面部30の上面の長さ方向両端部が左右の縦枠2(第2内側見込面23、第2外側見込辺26)の下端に当接し、左右の端部要素4の第1片(垂直片)40が左右の縦枠2の第2外側見込辺26からなる垂直状の見込面に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と第2外側見込辺26とを螺子6で固定してなる。
【0023】
図6を参照しつつ、第3実施形態に係る捨て枠の固定構造について説明する。左右の縦枠2の形状は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態に係る説明を援用することができる。第1実施形態では、並行状に延びる2本の捨て枠3の左右両端部の第1片(垂直片)40を左右の縦枠2の外側の下端部位に固定された接続要素5に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と接続要素5とを螺子6で固定してなるが、第3実施形態では、一本の捨て枠3を用いて、捨て枠3の左右両端部の垂直片33を縦枠2の外側の下端部位に固定された接続要素5に固定している。
【0024】
捨て枠3は、幅広の上面部30と、上面部30から垂下する第1見付辺31と第2見付辺32とから断面視コ字形状に形成されており、長さ方向の両端部には、上面部30の端部から垂直状に立ち上がる垂直片33が一体形成されている。
【0025】
捨て枠3は、上面部30の上面の長さ方向両端部が左右の縦枠2(第1内側見込面22、第2内側見込面23、中央見込部24の中央見込面240と第1中央見付面241と第2中央見付面242)の下端及び接続要素5の下端に当接し、左右の垂直片33が左右の縦枠2の外側の下端部位に固定された接続要素5からなる垂直状の見込面に当接した状態で、左右の垂直片33と接続要素5とを螺子6で固定してなる。
【0026】
図7を参照しつつ、第4実施形態に係る捨て枠の固定構造について説明する。左右の縦枠2の形状は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態に係る説明を援用することができる。第4実施形態に係る捨て枠3は、第3実施形態に係る捨て枠3と類似するが、第4実施形態では、捨て枠3の左右両端部の垂直片33を縦枠2(第1外側見込辺25、第2外側見込辺26)の下端部位に直接固定している。
【0027】
捨て枠3は、幅広の上面部30と、上面部30から垂下する第1見付辺31と第2見付辺32とから断面視コ字形状に形成されており、長さ方向の両端部には、上面部30の端部から垂直状に立ち上がる垂直片33が一体形成されている。捨て枠3の見込み寸法(上面部30の幅寸法)は、縦枠2の見込み寸法と略同じである。
【0028】
捨て枠3は、上面部30の上面の長さ方向両端部が左右の縦枠2(第1内側見込面22、第2内側見込面23、中央見込部24の中央見込面240と第1中央見付面241と第2中央見付面242、第1外側見込辺25、第2外側見込辺26)の下端に当接し、左右の垂直片33が左右の縦枠2の第1外側見込辺25、第2外側見込辺26の下端部位の垂直状の見込面に当接した状態で、左右の垂直片33と、第1外側見込辺25、第2外側見込辺26とを螺子6で固定してなる。
【0029】
図8を参照しつつ、第5実施形態に係る捨て枠の固定構造について説明する。左右の縦枠2の形状は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態に係る説明を援用することができる。第1実施形態~第4実施形態では、捨て枠3は、長さ方向両端部の左右の第1片(垂直片)40、垂直片33が左右の縦枠2の外側の下端部位(接続要素5、第1外側見込辺25、第2外側見込辺26)に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40、垂直片33と外側の下端部位とを螺子6で固定してなるが、第5実施形態では、長さ方向両端部の左右の垂直片40が左右の縦枠2の内側の下端部位に固定されている。
【0030】
捨て枠3は、長尺部分と、長尺部分の長さ方向両端部に固定された端部要素4とからなる。長尺部分は、上面部30と、上面部30から垂下する第1見付辺31と第2見付辺32とから断面視コ字形状に形成されている。長尺部分の長さ寸法は、三方枠の幅寸法(左右の縦枠2の外側面間の寸法)と同じである。
【0031】
端部要素4は、垂直状の第1片40と水平状の第2片41とからL形状を備えており、第2片41の下面は上面部30の上面に固定(溶接、螺子止め等)されており、第1片40が長尺部分の長さ方向両端部(両端縁から内側に少し偏倚した部位)から垂直に立ち上がる垂直片を形成している。
【0032】
左右の縦枠2の下端部位間を接続する2本の捨て枠3を備え、一方の捨て枠3は、長尺部分の上面部30の上面の長さ方向両端部(第1片40の外側に位置する部位)が左右の縦枠2(第1内側見込面22、第1外側見込辺25)の下端に当接し、左右の端部要素4の第1片(垂直片)40が左右の縦枠2の第1内側見込面22からなる垂直状の見込面に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と第1内側見込面22とを螺子6で固定してなり、他方の捨て枠3は、長尺部分の上面部30の上面の長さ方向両端部(第1片40の外側に位置する部位)が左右の縦枠2(第2内側見込面23、第2外側見込辺26)の下端に当接し、左右の端部要素4の第1片(垂直片)40が左右の縦枠2の第2内側見込面23からなる垂直状の見込面に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と第2内側見込面23とを螺子6で固定してなる。なお、図8では、左右の縦枠2の下端部位間を接続する2本の捨て枠3を示したが、第5実施形態の変形として、幅広の上面部を備えた1本の捨て枠(図7に示す捨て枠3参照)に4つの端部要素(長さ方向両端部位にそれぞれ2つの端部要素)を設け、左右の端部要素4の第1片(垂直片)40が左右の縦枠2の第1内側見込面22からなる垂直状の見込面に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と第1内側見込面22とを螺子6で固定し、左右の端部要素4の第1片(垂直片)40が左右の縦枠2の第2内側見込面23からなる垂直状の見込面に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と第2内側見込面23とを螺子6で固定するようにしてもよい。
【0033】
図9を参照しつつ、第6実施形態に係る捨て枠の固定構造について説明する。左右の縦枠2の形状は、第1実施形態と同様であり、第1実施形態に係る説明を援用することができる。第5実施形態と同様に、捨て枠3の長さ方向両端部の左右の垂直片40が左右の縦枠2の内側の下端部位に固定されている。
【0034】
捨て枠3は、長尺部分と、長尺部分の長さ方向両端部に固定された端部要素4とからなる。長尺部分は、上面部30と、上面部30から垂下する第1見付辺31と第2見付辺32とから断面視コ字形状に形成されている。長尺部分の長さ寸法は、左右の縦枠2の内側面(第1内側見込面22、第2内側見込面23)間の寸法より少し長い寸法であり、三方枠の幅寸法(左右の縦枠2の外側面間の寸法)よりも短い。
【0035】
端部要素4は、垂直状の第1片40と水平状の第2片41とからL形状を備えており、第2片41の下面は上面部30の上面に固定(溶接、螺子止め等)されており、第1片40が長尺部分の長さ方向両端部(両端縁に近接した部位)から垂直に立ち上がる垂直片を形成しており、左右の第1片40の外側に僅かに上面部30が露出するようになっており、この露出面に縦枠2(第1内側見込面22、第2内側見込面23)の下端が当接するようになっている。
【0036】
左右の縦枠2の下端部位間を接続する2本の捨て枠3を備え、一方の捨て枠3は、長尺部分の上面部30の上面の長さ方向両端部(第1片40の外側に位置する部位)が左右の縦枠2(第1内側見込面22)の下端に当接し、左右の端部要素4の第1片(垂直片)40が左右の縦枠2の第1内側見込面22からなる垂直状の見込面に当接し、左右の端部要素4の一方の端縁が左右の縦枠2の第1中央見付面241に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と第1内側見込面22とを螺子6で固定してなり、他方の捨て枠3は、長尺部分の上面部30の上面の長さ方向両端部(第1片40の外側に位置する部位)が左右の縦枠2(第2内側見込面23)の下端に当接し、左右の端部要素4の第1片(垂直片)40が左右の縦枠2の第2内側見込面23からなる垂直状の見込面に当接し、左右の端部要素4の一方の端縁が左右の縦枠2の第2中央見付面242に当接した状態で、左右の第1片(垂直片)40と第2内側見込面23とを螺子6で固定してなる。第6実施形態に係る捨て枠の固定構造では、端部要素4の一方の端縁が第1中央見付面241ないし第2中央見付面242に当接することで、螺子6の軸回りの変形にも良好に対応することができる。
【0037】
上述のように、本実施形態では、捨て枠3を、上面部30の長さ方向両端部位を左右の縦枠2の下端に当接させた状態で、長さ方向両端部位に立ち上がり状に形成された左右の垂直片(第1片40、垂直片33)を左右の縦枠2の下端部位の垂直状の見込面(接続要素5、第1外側見込辺25、第2外側見込辺26、第1内側見込面22、第2内側見込面23)に螺子6で固定することで仮の四周枠を形成するようにしたので、四周枠に作用する回転やねじりに対抗して四周枠の変形を防止することができ、工場から現場での搬送時、搬入時に四周枠の安定した形状を維持する。
【0038】
捨て枠3の長尺部分3Aに対する端部要素4の固定において、端部要素4の第2片41の端縁が長尺部分3Aの第1見付辺31、第2見付辺32の内面に当接ないし近接した状態で上面部30の下面に固定されているものでは、第2片41の端縁が第1見付辺31、第2見付辺32の内面に当接することで、螺子6の軸回りの変形にも良好に対応することができる。
【0039】
三方枠からなるドア枠は、仮の四周枠として現場に搬入される。具体的には、工場において、上枠1と、左右の縦枠2と、からなる三方枠を組み立てると共に、さらに、左右の縦枠2の下端部位に下枠としての捨て枠3を固定して四周枠を組み立てる。ドア枠は四周枠として現場に搬入され、現場で捨て枠3を取り外して、上枠1と左右の縦枠2からなる三方のドア枠として開口部に取り付けられる。本実施形態に係る捨て枠3の固定構造は螺子6を用いるものであるため、現場における捨て枠3の取り外しが容易であり、また、火気作業が出来ない現場にも対応することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 上枠
2 縦枠
20 第1見付面
21 第2見付面
22 第1内側見込面
23 第2内側見込面
24 中央見込部
240 中央見込面
241 第1中央見付面
242 第2中央見付面
25 第1外側見込辺
26 第2外側見込辺
3 捨て枠
3A 長尺部分
30 上面部
31 第1見付辺
32 第2見付辺
33 垂直片
4 端部要素
40 第1片(垂直片)
41 第2片
5 接続要素
6 螺子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10