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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】物体監視装置及び車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231116BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20231116BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20231116BHJP
   B60W 30/09 20120101ALI20231116BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20231116BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 F
G08G1/09 H
G08G1/16 D
G08G1/13
B60W30/09
B60W30/095
B60W40/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020023856
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021128642
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健人
(72)【発明者】
【氏名】長谷島 範安
(72)【発明者】
【氏名】前田 健太
(72)【発明者】
【氏名】酒寄 剛
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/079297(WO,A1)
【文献】特開2002-262277(JP,A)
【文献】特開2019-079454(JP,A)
【文献】特開2016-085037(JP,A)
【文献】特開2010-086269(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179892(WO,A1)
【文献】特開2016-095831(JP,A)
【文献】特開2010-244394(JP,A)
【文献】特開2019-159462(JP,A)
【文献】特開2015-079332(JP,A)
【文献】特開2010-176302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両又は走行路に設置される物体監視装置であって、
周辺を監視する周辺監視部と、
前記周辺監視部から得られた情報に基づいて物体を検出する物体検出部と、
車両又は走行路に設置される前記物体監視装置の設置位置を記憶する設置位置記憶部と、
前記設置位置記憶部に記憶される前記物体監視装置の設置位置を用いて前記物体検出部により検出された物体の位置を算出する位置算出部と、
前記位置算出部により算出された物体の位置を前記周辺監視部の監視領域内の車両に送信する物体位置送信部と、
前記周辺監視部の監視領域内の車両から該車両の位置を受信する車両位置受信部と、
前記物体検出部により検出された物体の中から、前記車両位置受信部により受信された車両と同一の車両を特定する同一車両特定部と、
前記同一車両特定部により特定された同一車両について、前記車両位置受信部により受信された車両の位置と前記物体検出部により検出された物体の位置との組み合わせを蓄積し、蓄積した組み合わせの数が所定数以上になった場合、前記車両位置受信部により受信された車両の位置と前記物体検出部により検出された物体の位置との誤差が最小になるように前記設置位置記憶部に記憶される前記物体監視装置の設置位置の校正値を算出し、算出した校正値で前記設置位置記憶部に記憶される前記物体監視装置の設置位置を更新する校正部と、
を備えることを特徴とする物体監視装置。
【請求項2】
前記校正部は、前記周辺監視部の監視領域内に複数の小領域を設定し、前記車両位置受信部により受信された車両の位置と前記物体検出部により検出された物体の位置との組み合わせを小領域ごとに蓄積する請求項1に記載の物体監視装置。
【請求項3】
前記校正部は、前記周辺監視部の監視領域内において、前記物体検出部により検出された物体の検出頻度が高い領域を小領域として設定する請求項2に記載の物体監視装置。
【請求項4】
前記物体位置送信部は、前記位置算出部により算出された物体の位置とともに、前記同一車両特定部により得られた位置誤差に応じて設定される信頼度を送信する請求項1に記載の物体監視装置。
【請求項5】
前記同一車両特定部は、前記物体検出部により検出された物体の速度を速度閾値と比較することにより同一車両を特定するとき、速度が速いほど同一車両を特定するための速度閾値を大きく設定する請求項1に記載の物体監視装置。
【請求項6】
前記同一車両特定部は、前記周辺監視部の監視領域内の車両と前記物体監視装置との距離を距離閾値と比較することにより同一車両を特定するとき、距離が遠いほど同一車両を特定するための距離閾値を大きく設定する請求項1に記載の物体監視装置。
【請求項7】
前記校正部は、前記同一車両特定部により特定された同一車両の速度に基づいて、速度が遅い車両又は停車する車両の位置を優先して用いる請求項1に記載の物体監視装置。
【請求項8】
前記物体監視装置が車両に設置された場合、前記校正部は、自車の速度が所定値以下である場合又は自車が停車する場合のみ、前記車両位置受信部により受信された車両の位置と前記物体検出部により検出された物体の位置との組み合わせを蓄積する請求項1に記載の物体監視装置。
【請求項9】
車両に搭載される車両制御装置と、走行路に設置される物体監視装置とを有する車両制御システムであって、
前記物体監視装置は、
周辺を監視する周辺監視部と、
前記周辺監視部から得られた情報に基づいて物体を検出する物体検出部と、
走行路に設置される前記物体監視装置の設置位置を記憶する設置位置記憶部と、
前記設置位置記憶部に記憶される前記物体監視装置の設置位置を用いて前記物体検出部により検出された物体の位置を算出する位置算出部と、
前記位置算出部により算出された物体の位置を前記周辺監視部の監視領域内の車両に送信する物体位置送信部と、
前記周辺監視部の監視領域内の車両から該車両の位置を受信する車両位置受信部と、
前記物体検出部により検出された物体の中から、前記車両位置受信部により受信された車両と同一の車両を特定する同一車両特定部と、
前記同一車両特定部により特定された同一車両について、前記車両位置受信部により受信された車両の位置と前記物体検出部により検出された物体の位置との組み合わせを蓄積し、蓄積した組み合わせの数が所定数以上になった場合、前記車両位置受信部により受信された車両の位置と前記物体検出部により検出された物体の位置との誤差が最小になるように前記設置位置記憶部に記憶される前記物体監視装置の設置位置の校正値を算出し、算出した校正値で前記設置位置記憶部に記憶される前記物体監視装置の設置位置を更新する校正部と、を備えており、
前記車両制御装置は、
自車周辺を監視する車両周辺監視部と、
前記車両周辺監視部から得られた情報に基づいて自車周辺の物体を検出する車両周辺物体検出部と、
自車の位置を取得する自己位置取得部と、
前記自己位置取得部により取得された自車の位置を前記物体監視装置に送信する車両位置送信部と、
前記物体監視装置の前記物体位置送信部から送信される物体の位置を受信する物体位置受信部と、
前記物体位置受信部により受信された物体の位置、前記車両周辺物体検出部により検出された物体の位置、及び前記自己位置取得部により取得された自車の位置に基づいて、車両の走行制御を行う走行制御部と、
を備えることを特徴とする車両制御システム。
【請求項10】
前記車両周辺物体検出部によって死角領域が検出されたとき、前記走行制御部は、前記物体位置送信部から送信された物体が前記死角領域内に存在する場合に第1速度で車両の走行を制御し、前記物体位置送信部から送信された物体が前記死角領域内に存在しない場合に第1速度よりも速い第2速度で車両の走行を制御する請求項9に記載の車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体監視装置及び車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両制御システムとして、車両に搭載された物体監視センサ(車載監視センサ)や車両の走行路に設置された物体監視センサ(路上監視センサ)を用いて、障害物を含む物体を検出し、車両の安全走行を支援するものが知られている。この場合、車載監視センサは必ずしも車両周辺の全ての障害物を検出できるわけではなく、例えば車両の死角領域内に存在する障害物を検出することができない。そこで、車両は、路上監視センサで検出した死角領域内の障害物の位置を受信し、受信した位置に基づいて車両の走行制御を実現する。
【0003】
一例として、例えば特許文献1には、路上監視センサは検出した障害物の位置を緯度経度のフォーマットで車両に送信し、車両は路上監視センサから受信した障害物の緯度経度と自車の車載監視センサで検出した緯度経度とを比較し、車両の走行を適切に制御する車両制御システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-79454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記車両制御システムでは、カメラやLiDARなどからなる路上監視センサは、検出した障害物の位置を車両に送信するために緯度経度に変換する際に、路上監視センサの設置位置を表す緯度経度及び方位の情報を用いる。これらの情報は路上監視センサを走行路に設置する際に設定されるものであるが、経時変化又は設置位置のずれによって路上監視センサの緯度、経度、方位のいずれかが変わると、路上監視センサで検出した障害物の位置を表す緯度、経度についても誤差が生じる。特に方位は、距離に比例するため、微小な変化でも誤差が大きくなってしまう。このような誤差が生じた結果、車両は路上監視センサから受信した障害物の緯度経度に基づいて車両走行を制御すると、本来必要でない車両の減速制御を行ったり、死角領域内の障害物に対して適切に減速できずに急ブレーキをかけたりするといった不具合が発生する。
【0006】
本発明は、上記のような課題に鑑みてなされたものであり、経時変化と設置位置のずれに起因する位置誤差を抑制することができる物体監視装置及び車両制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物体監視装置は、車両又は走行路に設置される物体監視装置であって、周辺を監視する周辺監視部と、前記周辺監視部から得られた情報に基づいて物体を検出する物体検出部と、車両又は走行路に設置される設置位置を記憶する設置位置記憶部と、前記設置位置記憶部に記憶される設置位置を用いて前記物体検出部により検出された物体の位置を算出する位置算出部と、前記位置算出部により算出された物体の位置を前記周辺監視部の監視領域内の車両に送信する物体位置送信部と、前記周辺監視部の監視領域内の車両から該車両の位置を受信する車両位置受信部と、前記物体検出部により検出された物体の中から、前記車両位置受信部により受信された車両と同一の車両を特定する同一車両特定部と、前記同一車両特定部により特定された同一車両について、前記車両位置受信部により受信された車両の位置と前記物体検出部により検出された物体の位置との組み合わせを蓄積し、蓄積した組み合わせの数が所定数以上になった場合、前記車両位置受信部により受信された車両の位置と前記物体検出部により検出された物体の位置との誤差が最小になるように前記設置位置記憶部に記憶される設置位置の校正値を算出し、算出した校正値で前記設置位置記憶部に記憶される設置位置を更新する校正部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る物体監視装置では、車両位置受信部は周辺監視部の監視領域内の車両から該車両の位置を受信し、同一車両特定部は物体検出部により検出された物体の中から、車両位置受信部により受信された車両と同一の車両を特定する。校正部は、同一車両特定部により特定された同一車両について、車両位置受信部により受信された車両の位置と物体検出部により検出された物体の位置との組み合わせを蓄積し、蓄積した組み合わせの数が所定数以上になった場合、車両位置受信部により受信された車両の位置と物体検出部により検出された物体の位置との誤差が最小になるように設置位置記憶部に記憶される設置位置の校正値を算出し、算出した校正値で記憶される設置位置を更新する。これによって、物体監視装置の経時変化と設置位置ずれの影響を抑えることができるので、経時変化と設置位置のずれに起因する位置誤差を抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物体監視装置の経時変化と設置位置のずれに起因する位置誤差を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】車両制御システムの構成及び適用場面を示す図である。
図2A図1に示す場面において車両制御装置が検出する物体の様子を模式的に示す図である。
図2B図1に示す場面において物体監視装置が検出する物体の様子を模式的に示す図である。
図2C】車両制御装置が物体監視装置により検出された歩行者の位置を受信した様子を模式的に示す図である。
図3】第1実施形態に係る車両制御システムの構成を示すブロック図である。
図4A】物体検出部の制御処理を示すフローチャートである。
図4B】物体検出部がステップS406を実施する様子を示す概念図である。
図5A】位置算出部の制御処理を示すフローチャートである。
図5B】絶対位置変換を説明するための図である。
図6】走行制御部の制御処理を示すフローチャートである。
図7】同一車両特定部の制御処理を示すフローチャートである。
図8A】校正部の制御処理を示すフローチャートである。
図8B】校正部による小領域の設定を示す概念図である。
図8C】校正部による小領域の設定を示す概念図である。
図8D図8AのステップS803の処理を示す概念図である。
図9A】走行制御部の制御処理の変形例を示すフローチャートである。
図9B】走行制御部の制御処理の変形例を示す概念図である。
図9C】走行制御部の制御処理の変形例を示す概念図である。
図10】第2実施形態に係る車両制御システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る物体監視装置及び車両制御システムの実施形態について説明する。図面の説明において同一の要素には同一符号を付し、その重複説明を省略する。
【0012】
実施形態の説明に先立ち、本発明に至った経緯を図1及び図2A~2Cを基に説明する。
【0013】
図1は車両制御システムの構成及び適用場面を示す図である。図1に示すように、車両制御システム1は、車両10の安全走行を支援するシステムであり、車両10に搭載された車両制御装置100と、車両10の走行路に設置された物体監視装置200とを有する。車両制御装置100は、車両の走行に関する各制御を行う装置である。物体監視装置200は、物体監視装置200の周辺を監視する装置である。車両制御装置100と物体監視装置200とは、互いに通信可能に構成されている。
【0014】
図2Aは、図1に示す場面において車両制御装置100が検出する物体の様子を模式的に示す図である。図1に示す場面では、車両10が走行する道路の周辺には、遮蔽物30(例えばある程度の高さを有する壁)が存在している。歩行者21は、車両10の進行方向に対して直交する方向に進んでいるが、遮蔽物30によって遮蔽されている。すなわち、歩行者21は、車両10の死角領域40(図2Aのハッチング部分参照)内に存在する。従って、車両10から見た場合、該歩行者21は、死角領域40内に位置するため、車両制御装置100により検出されない。
【0015】
図2Bは、図1に示す場面において物体監視装置200が検出する物体の様子を模式的に示す図である。物体監視装置200から見た場合、車両10、歩行者21及び遮蔽物30は、全て物体監視装置200によって検出される。そして、物体監視装置200は、例えば検出した歩行者21の位置を車両制御装置100に送信する。従って、車両制御装置100は、自ら歩行者21を検出できなくても、物体監視装置200から送信された歩行者21の位置を受信することで、歩行者21の位置を把握できるので、回避行動などをとることができる。
【0016】
図2Cは、車両制御装置100が物体監視装置200により検出された歩行者21の位置を受信した様子を模式的に示す図である。物体監視装置200は、歩行者21の位置を検出した際に、記憶された物体監視装置200の設置位置(緯度、経度、方位)を基準として歩行者21の緯度、経度を算出する。このとき、物体監視装置200が経時変化又は設置位置のずれによって実際の位置が記憶された設置位置と異なると、算出される歩行者21の位置と歩行者21の実際の位置21aとの間に位置誤差が生じる。この位置誤差は、特に方位に大きく影響される。これは、方位のずれが微小であっても距離に比例するため、位置誤差は大きくなるからである。このような位置誤差が生じると、車両制御の誤作動や未作動といった望ましくない現象につながってしまう。
【0017】
本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、経時変化と設置位置のずれに起因する位置誤差を抑制し、車両制御装置が死角領域内の障害物の正確な位置を取得することにより、車両の安全走行を実現できることを見出し、本発明に至った。
【0018】
[第1実施形態]
図3は第1実施形態に係る車両制御システムの構成を示すブロック図である。上述したように、車両制御システム1は車両制御装置100及び物体監視装置200を有しており、車両制御装置100と物体監視装置200とは、互いに通信可能に構成されている。
【0019】
車両制御装置100は、例えば、演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、演算のためのプログラムを記録した二次記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、演算経過の保存や一時的な制御変数を保存する一時記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)とを組み合わせてなるマイクロコンピュータを有するように構成されており、車両10の走行に関する各制御を行う。この車両制御装置100は、車両周辺監視部110、物体位置受信部120、車両周辺物体検出部130、自己位置取得部140、走行制御部150、制御実行部160、及び車両位置送信部170を備えている。
【0020】
車両周辺監視部110は、車両10の周辺(すなわち、自車周辺)を監視し、周辺に存在する物体の情報を取得する。車両周辺監視部110は、例えばカメラなどの画像センサ或いはLiDARなどの測距センサにより構成されている。画像センサによって構成された場合、車両周辺監視部110は車両10の周辺の監視画像を出力する。測距センサによって構成された場合、車両周辺監視部110は物体の境界部分の座標を表す点群データを出力する。なお、車両周辺監視部110にはその他適当な検出デバイスを用いることもできる。
【0021】
物体位置受信部120は、物体監視装置200により検出された障害物を含む物体の位置を受信する。より具体的には、物体位置受信部120は、物体監視装置200の物体位置送信部250(後述する)から送信された物体の位置を受信する。送信された物体の位置には、車両10の走行に影響する障害物の位置が含まれている。
【0022】
車両周辺物体検出部130は、車両周辺監視部110から得られた情報に基づいて、自車周辺に存在する物体(例えば障害物、遮蔽物、道路標識など)を検出する。車両周辺物体検出部130の検出処理は、後述する物体監視装置200の物体検出部220と同じでも良く、物体検出部220と異なっても良い。
【0023】
自己位置取得部140は、RTK-GPS等のセンサ情報を取得し、自車の絶対位置(緯度、経度)を取得する。
【0024】
走行制御部150は、物体位置受信部120により受信された物体の位置、車両周辺物体検出部130により検出された物体の位置と、及び自己位置取得部140により取得された自車の位置に基づいて、自車の走行を制御する指令を生成する。
【0025】
制御実行部160は、走行制御部150で生成した指令に従い、車両走行を制御する。
【0026】
車両位置送信部170は、自己位置取得部140により取得された自車の絶対位置(緯度、経度)を物体監視装置200に送信する。好適には、車両位置送信部170は、送信先が物体監視装置200であるか否かを区別することなく、ブロードキャスト送信で自車の位置を送信する。
【0027】
一方、物体監視装置200は、例えば、演算を実行するCPU(Central Processing Unit)と、演算のためのプログラムを記録した二次記憶装置としてのROM(Read Only Memory)と、演算経過の保存や一時的な制御変数を保存する一時記憶装置としてのRAM(Random Access Memory)とを組み合わせてなるマイクロコンピュータを有するように構成されており、周辺の物体を検出し、検出した結果を監視領域内の通行車両に送信する。この物体監視装置200は、周辺監視部210、物体検出部220、位置算出部230、設置位置記憶部240、物体位置送信部250、車両位置受信部260、同一車両特定部270、及び校正部280を備えている。
【0028】
周辺監視部210は、物体監視装置200の周辺を監視し、周辺に存在する物体の情報を取得する。周辺監視部210は、例えばカメラなどの画像センサ或いはLiDARなどの測距センサにより構成されている。画像センサによって構成された場合、周辺監視部210は物体監視装置200周辺の監視画像を出力する。測距センサによって構成された場合、周辺監視部210は物体の境界部分の座標を表す点群データを出力する。なお、周辺監視部210にはその他適当な検出デバイスを用いることもできる。
【0029】
物体検出部220は、周辺監視部210から得られた情報に基づいて、物体監視装置200周辺の物体を検出する。物体検出部220により検出された物体には、車両10にとって障害物になる物体が含まれている。なお、物体検出部220による物体の検出処理は後述する。
【0030】
設置位置記憶部240は、物体監視装置200が走行路に設置される設置位置を記憶する。
【0031】
位置算出部230は、設置位置記憶部240に記憶される設置位置を用いて物体検出部220により検出された物体の位置を算出する。より具体的には、位置算出部230は、物体検出部220で検出した物体の相対位置情報と、設置位置記憶部240に記憶された物体監視装置200の設置位置(緯度、経度、方位)とを用いて、検出した物体の絶対位置(緯度、経度)を算出する。
【0032】
物体位置送信部250は、位置算出部230により算出された結果(すなわち、物体の絶対位置)を車両10に送信する。好適には、物体位置送信部250は、送信先が車両10であるか否かを区別することなく、ブロードキャスト送信により物体の絶対位置を送信する。
【0033】
車両位置受信部260は、車両10を含む周辺監視部210の監視領域内の車両から車両の位置を受信する。具体的には、車両位置受信部260は、車両制御装置100の車両位置送信部170から送信された車両10の絶対位置(緯度、経度)を受信する。
【0034】
同一車両特定部270は、物体検出部220により検出された物体の中から、車両位置受信部260により受信された車両と同一の車両を特定する。より具体的には、同一車両特定部270は、受信した車両10の絶対位置(緯度、経度)と、物体検出部220で検出した物体の位置(緯度、経度)とを比較することにより、物体検出部220により検出された物体の中から車両10と同一の車両を特定する。
【0035】
校正部280は、同一車両特定部270により特定された同一車両について、車両位置受信部260により受信された車両の位置と物体検出部220により検出された物体の位置との組み合わせを蓄積し、蓄積した組み合わせの数が所定数以上になった場合、車両位置受信部260により受信された車両の位置と物体検出部220により検出された物体の位置との誤差が最小になるように設置位置記憶部240に記憶される設置位置の校正値を算出し、算出した校正値で設置位置記憶部240に記憶された設置位置(緯度、経度、方位)を更新する。
【0036】
[物体検出部220の制御処理について]
以下、図4Aを参照して物体検出部220の制御処理を説明する。ここでは、周辺監視部210を測距センサによって構成されるものとする。
【0037】
まず、ステップS401では、物体検出部220は、周辺監視部210から3次元点群データを取得する。ステップS401に続くステップS402では、物体検出部220は、3次元点群データを用いて、以下に例示する手順に従って2次元マップ(すなわち、XYマップ)を作成する。XYマップの範囲及び解像度は、予め定められている。例えば、XYマップの範囲は周辺監視部210を中心としてX方向に±50m、Y方向に±50mと設定されており、解像度は1グリッド20cmと設定される。
【0038】
[XYマップの作成手順例1]
周辺監視部210は、周辺の物体として地面も検出する場合がある。そこで、物体検出部220は、周辺の物体から地面を除外するために、点群データを記述するXYZ座標のうち、Z方向(鉛直方向)における座標が所定範囲内(例えば30cm以上2m以下)にあるもののみをXYマップ上のXY座標として採用する。
【0039】
[XYマップの作成手順例2]
周辺監視部210が測距センサである場合、物体検出部220は、上述手順例1に代えて以下の手順を用いることもできる。すなわち、物体検出部220は、3次元点群データ上でZ方向において値を有する(物体境界が存在する)座標点をXYグリッド上に投影する。次に、物体検出部220は、同じXYグリッドに属する座標点についてZ方向の値を加算し、加算後のZ座標値が所定値以上であるXYグリッドのみを、XYマップ上に残す。これにより、Z方向においてある程度の幅を有するXY座標点のみがXYマップ上に反映されることになるので、検出した周辺物体から地面を除外することができる。
【0040】
[XYマップの作成手順例3]
また、周辺監視部210が測距センサである場合、物体検出部220は、上記手順例1または2に代えて以下の手順を用いることもできる。すなわち、物体検出部220は、同じXYグリッドに属するLiDARの反射強度値を加算し、加算後の反射強度値が所定値以上のXYグリッドのみをXYマップ上に残す。これにより、Z方向においてある程度の幅を有するXY座標点のみがXYマップ上に反映されることになるので、検出した周辺物体から地面を除外することができる。
【0041】
なお、周辺監視部210がカメラによって構成されている場合、物体検出部220は、カメラの設置位置と撮影方向を用いて、監視画像のうち地面部分を除去することができる。周辺物体の位置は、例えば監視画像上の境界位置を検出することにより特定される。
【0042】
ステップS402に続くステップS403では、物体検出部220は、背景マップが完成したか否かを判定する。判定方法として、例えば以下のように行われる。すなわち、物体検出部220は、ステップS402において作成したXYマップを所定個数以上平均することにより、背景マップを作成することができる。XYマップを時間的に平均化することにより、固定物のXY座標を記述したXYマップが得られると考えられるからである。但し、物体監視装置200周辺に移動物が多い場合や、一時的に載置された物体が多い場合は、XYマップを平均化したとしても、固定物のXY座標の精度は低いと考えられる。そこで、物体検出部220は、XYマップの積算個数が所定個数に達していない場合、または平均化したXYマップが記述されている物体位置の分散が所定値以上である場合は、背景マップが完成していないと判定し、これ以外の場合は完成したと判定する。
【0043】
そして、背景マップが完成していないと判定された場合、制御処理はステップS404に進む。ステップS404では、物体検出部220は、ステップS402の結果を背景マップに対して適用することにより背景マップを更新する。背景マップが更新された後、制御処理は、ステップS401に戻って新たな時刻における点群データの取得が行われ、同様の処理が繰り返される。
【0044】
一方、ステップS403において背景マップが完成したと判定された場合、制御処理はステップS405に進み、差分マップが作成される。具体的には、物体検出部220は、ステップS402において作成したXYマップと、完成した背景マップとの間の差分を求めることにより、差分マップを作成する。
【0045】
ステップS405に続くステップS406では、物体検出部220は、ステップS405で作成した差分マップ上に存在するXYグリッドに、移動物または一時載置物が存在するものとみなし、これらの物体を障害物として検出する。なお、以下の説明では、これらの物体を障害物と呼ぶ場合がある。
【0046】
図4Bは物体検出部がステップS406を実施する様子を示す概念図である。図4Bでは、図1の状況において周辺物体の境界面を点群データとして検出する例を示す。図4Bの上段は図1と同様に車両制御システム1が適用される場面を示すものであり、図4Bの下段は上段に対応する点群データである。
【0047】
図4Bに示すように、物体検出部220は、ステップS405において差分マップを作成することにより、遮蔽物30以外の物体の境界面を点データとして検出する。更に、物体検出部220は、点データをグループ化することにより、各物体の範囲を認識する。例えば距離が近接している点群は同じ物体とみなすことにより、点データを物体としてグループ化できる。そして、この例では、物体検出部220は、車両10、歩行者21、歩行者22について、それぞれ物体ID=1~3として認識する。
【0048】
[位置算出部230の制御処理について]
続いて、図5Aを参照して位置算出部230の制御処理を説明する。
【0049】
まず、ステップS501では、位置算出部230は、設置位置記憶部240から物体監視装置の設置位置を取得する。取得する設置位置は、物体監視装置が走行路に設置されている設置位置の絶対位置(LatBase、LonBase)および方位(Head)でも良く、基準となる場所の絶対位置(LatBase、LonBase)と、そこからのオフセット量である相対位置(X,Y)および方位(Head)でも良い。ここでの方位は、例えば東を0度として北回りをプラス、南回りをマイナスとする±180度で表現される絶対角度を表すものとする。
【0050】
ステップS501に続くステップS502では、位置算出部230は、物体検出部220で検出したすべての障害物について、物体監視装置からの相対位置(X[i],Y[i])をそれぞれ算出する。ここで、iは複数の物体を検出している場合に物体を識別するためのIDである。相対位置の算出は、周辺監視部210に用いられるセンサが測距センサである場合、グルーピングした点が持つ距離データの平均を用いることができる。周辺監視部210に用いられるセンサが画像センサである場合、検出した物体の画像上の位置と、カメラの内部パラメータおよび外部パラメータを用いて算出することができる。
【0051】
ステップS502に続くステップS503では、位置算出部230は、物体監視装置200の地球固定直交座標系で示された位置(LatBase,LonBase)を基準とした地平直交座標系で示された(X[i]、Y[i])を、地球固定座標系における絶対位置(Lat[i],Lon[i])へ変換する。
【0052】
ここでの変換処理について図5Bを用いて説明する。図5Bでは、物体監視装置200の周囲の物体ID=1~3を検出している例を示す。物体監視装置200の監視領域内において、座標系として路面に平行にX軸、Y軸が定義されており、物体監視装置200の設置されている絶対位置としてLatBase,LonBase、更にX軸の向いている方向と緯度の成す角度として絶対方位(Head)が定義されているものとする。このとき、検出している物体ID=1~3の位置はX軸、Y軸に基づいて物体の座標(X[i],Y[i])として求められているため、まずX軸と緯度を平行にするための方位Headに基づく座標回転が行われ、次に座標変換処理により絶対位置(Lat[i],Lon[i])への変換が行われる。
【0053】
そして、位置算出部230によって算出された障害物の絶対位置(Lat[i],Lon[i])は、物体位置送信部250を介して車両10に送信される。
【0054】
[走行制御部150の制御処理について]
続いて、図6を参照して車両制御装置100の走行制御部150の制御処理を説明する。
【0055】
まず、ステップS601では、走行制御部150は、物体監視装置200の物体位置送信部250から送信された障害物の情報を選別する。具体的には、受信した障害物の位置は地球固定座標系における緯度、経度(Lat[i],Lon[i])で表現されているため、走行制御部150は、まず、自己位置取得部140により取得された地球固定座標系における自車の緯度、経度(CarLon,CarLat)を用いて、地平直交座標系で示された位置(X’[i],Y’[i])へ変換する。変換する際の地球固定直交座標系で示される基準位置は、自車位置でも良く、固定した別の位置でも良い。
【0056】
物体監視装置200によって検出された物体の中には車両10自身が含まれているため、走行制御部150は、上記変換した後に、自車の近傍に存在する障害物を無視するなどの処理により、含まれた自車の情報を除外する。
【0057】
また、物体監視装置200によって検出された物体の中には、車両制御装置100の車両周辺物体検出部130により検出された物体と同一のものが含まれる可能性がある。そこで、走行制御部150は、物体位置送信部250から送信された障害物の情報よりも車両周辺物体検出部130によって検出された結果の方が正確と判定し、車両周辺物体検出部130により検出された物体と同一のものを除外する。
【0058】
このような除外処理を経て残された(言い換えれば、選別された)障害物は、車両10の死角領域40内の障害物である。
【0059】
ステップS601に続くステップS602では、走行制御部150は、車両周辺物体検出部130によって検出された障害物の位置と、ステップS601で選別した障害物の位置を取得する。
【0060】
ステップS602に続くステップS603では、走行制御部150は、車両10が障害物iと衝突するまでに要する予測時間(衝突予測時間TTC[i])を算出する。衝突予測時間TTC[i]は、例えば障害物iが停止していると仮定された上で、車両10の進行方向、車両10の速度、障害物iと車両10との間の距離等に基づいて算出される。車両10の進行方向は、例えば操舵角などから判定される。車両10の速度は、例えば車速センサによって取得される。なお、車両10を自動運転させる場合、走行制御部150はその走行計画から車両10の速度や進行方向を取得することができる。
【0061】
ステップS603に続くステップS604では、走行制御部150は、車両10が障害物iと衝突する可能性を表す衝突危険度DRECI[i]を算出する。算出手法としては、例えば車両10と障害物iとの間の距離が短いほど、DRECI[i]を高くすることが考えられる。走行制御部150は、全ての障害物iについてステップS602~S604を実施する。
【0062】
ステップS604に続くステップS605では、走行制御部150は、衝突危険度DRECIが閾値以上である障害物のうち、衝突予測時間TTCが最小である障害物kを特定する。ここでの閾値は、例えば車両の安全性などを考慮して設定される値である。
【0063】
ステップS605に続くステップS606では、走行制御部150は、衝突予測時間TTC[k]が強ブレーキ閾値以下であるか否かを判定する。衝突予測時間TTC[k]が強ブレーキ閾値以下であると判定された場合、制御処理はステップS607に進む。ステップS607では、走行制御部150は、制御実行部160を介して強いブレーキを作動させる。
【0064】
一方、ステップS606においてTTC[k]が強ブレーキ閾値より大きいと判定された場合、制御処理はステップS608に進む。ステップS608では、走行制御部150は、TTC[k]が弱ブレーキ閾値以下であるか否かを判定する。弱ブレーキ閾値以下であると判定された場合、制御処理はステップS609に進む。ステップS609では、走行制御部150は、制御実行部160を介して弱いブレーキを作動させる。一方、TTC[k]が弱ブレーキ閾値よりも大きいと判定された場合、制御処理は終了する。
【0065】
なお、ここでは、強ブレーキ閾値と弱ブレーキ閾値は、それぞれ車両の安全性や特性などを考慮して設定されるが、強ブレーキ閾値は弱ブレーキ閾値よりも小さい値であることが好ましい。障害物kを特定するのは、最も衝突までの時間が短い障害物kと衝突する可能性を回避できるのであれば、その他物体と衝突する可能性も回避できると考えられるからである。
【0066】
[同一車両特定部270の制御処理について]
続いて、図7を参照して物体監視装置200の同一車両特定部270の制御処理を説明する。
【0067】
まず、ステップS701では、同一車両特定部270は、車両位置受信部260を介して、車両制御装置100の車両位置送信部170から送信される車両10の位置を受信する。受信した車両位置(以下、「受信車両位置」と略する)をLatR[j],LonR[j]とする。ここで、jは受信した車両位置が複数存在する場合のID番号である。
【0068】
ステップS701に続くステップS702では、同一車両特定部270は、物体検出部220によって検出され、更に位置算出部230で算出した障害物の位置を取得する。検出した障害物の位置(以下、「検出障害物位置」と略する)をLat[i],Lon[i]とする。ここで、iは検出した障害物が複数存在する場合のID番号である。
【0069】
なお、ここでは、同一車両特定部270は、位置算出部230で算出した障害物の位置を取得した後に、車両位置送信部170から送信される車両10の位置を受信しても良く、或いは障害物位置の取得及び車両10の位置受信を同時に行っても良い。
【0070】
ステップS702に続くステップS703では、同一車両特定部270は、受信車両位置と検出障害物位置とを比較する。比較の方法は複数考えられるため、後述する。
【0071】
ステップS703に続くステップS704では、同一車両特定部270は、受信車両位置と検出障害物位置とを比較した結果に基づいて、物体検出部220によって検出され更に位置算出部230で算出した障害物の中から、車両位置受信部260により受信された車両(ここでは、車両10)と同一の車両を特定する。例えば同一車両特定部270は、ステップS703で算出した距離(後述する)に基づいて同一車両か否かを判定することにより、同一車両を特定する。同一車両か否かの判定方法はステップS703の比較方法とセットで複数考えられるため、後述する。
【0072】
そして、同一車両と判定された場合、制御処理はステップS705に進む。ステップS705では、同一車両特定部270は、同一車両と判定された物体について、受信車両位置(LatR[j],LonR[j])と、検出障害物位置(Lat[i],Lon[i])との組み合わせを記憶する。一方、同一車両でないと判定された場合、制御処理は終了する。
【0073】
これらの処理は、受信した車両位置及び検出した障害物の位置のすべての組み合わせに対して行われる。
【0074】
以下、ステップS703の比較に用いられる方法、ステップS704の同一車両の判定方法について説明する。
【0075】
まず、同一車両特定部270は、受信車両位置(LatR[j],LonR[j])と検出障害物位置(Lat[i],Lon[i])とのユークリッド距離を算出し、算出した値を閾値と比較することにより同一車両であるか否かを判定する。この場合、方位のずれの影響が物体監視装置200からの距離が離れるほど大きくなるので、閾値は物体監視装置200からの距離に応じて変化するのが望ましい。具体的には、同一車両特定部270は、周辺監視部210の監視領域内の車両10と物体監視装置200との距離を距離閾値と比較することにより同一車両を特定するとき、距離が遠いほど同一車両を特定するための距離閾値を大きく設定する。このようにすれば、同一車両を特定する精度を高めることができる。
【0076】
また、同一車両特定部270は、受信車両位置(LatR[j],LonR[j])と検出障害物位置(Lat[i],Lon[i])を物体監視装置200の地球固定直交座標系で示された位置(LatBase,LonBase)を基準とした地平直交座標系(XR[j]、R[j])、(X[i],Y[i])へ変換して演算を行うことにより、物体検出部220によって検出された際に追跡処理を行い物体の速度を求めておき、速度が速い物体ほど閾値を大きくするように設定する。具体的には、同一車両特定部270は、物体検出部220により検出された物体の速度を速度閾値と比較することにより同一車両を特定するとき、速度が速いほど同一車両を特定するための速度閾値を大きく設定する。このようにすれば、同一車両を特定する精度を高めることができる。
【0077】
更に、物体検出部220で物体を検出する際に、楕円による近似や矩形あてはめを行うことで物体の大きさの情報を取得することができる。この情報を用いて、近似した楕円や矩形の内部に受信車両位置が含まれるか否かを条件にして判定することができる。また、楕円や矩形により近似してその中心位置を求めることにより、検出障害物位置をより正確に求めることができる。
【0078】
[校正部280の制御処理について]
続いて、図8Aを参照して校正部280の制御処理を説明する。
【0079】
まず、ステップS801では、校正部280は、同一車両と判定された受信車両位置と検出障害物位置との組み合わせを、物体監視装置200のメモリ内に蓄積する。
【0080】
このとき、校正部280は、追跡処理を行い、同一車両の追跡開始時における受信車両位置(LatRSt[k],LonRSt[k])、検出障害物位置(LatSt[k],LonSt[k])及び追跡終了時における受信車両位置(LatREn[k],LonREn[k])、検出障害物位置(LatEn[k],LonEn[k])を1組として蓄積する。ここでのkは、蓄積する物体の組を表すIDである。
【0081】
ステップS801に続くステップS802では、校正部280は、蓄積した組み合わせが実行条件を満足する否かを判定する。実行条件を満足するか否かの判定方法としては、蓄積した組み合わせの数が閾値(例えば一定数)以上になったか否かが挙げられる。また、図8B及び図8Cに示すように、校正部280は、物体監視装置200の監視領域内に複数の小領域を設定し、受信車両位置と検出障害物位置との組み合わせを小領域ごと蓄積し、蓄積した組み合わせの数が所定数以上になるか否かを判定する。すなわち、周辺監視部210の監視領域が複数の小領域に分割され、これらの小領域の中で所定の数以上の組み合わせが全て集まった場合という条件が挙げられる。このようにすれば、後に校正値を算出する算出精度を高めることができる。
【0082】
この小領域の分割は、領域が均等に区切られたもの(図8BのA01~A04参照)や、設置位置に応じて予め車両が通行するエリアに絞って設定されるなど、様々なバリエーションが挙げられる。更に、物体検出部220の検出情報を用いて、検出物体情報を蓄積し、検出物体が頻出する領域(言い換えれば、物体の検出頻度が高い領域)を小領域として設定する方法も挙げられる(図8CのA01~A03参照)。このようにすれば、後に校正値を算出する算出精度を更に高めることができる。
【0083】
なお、受信車両位置と検出障害物位置とは、情報を取得したタイミングが異なるため、時間的なずれが生じており、また車両の速度が速いほど位置ずれも生じる。そこで、ステップS801で蓄積する際に、校正部280は、物体検出部220から検出された物体(ここでは、障害物)の速度も取得し、障害物の速度に応じて後述するステップS803の最適化算出の際に重みを設定する。例えば、校正部280は、同一車両特定部270により特定された同一車両の速度に基づいて、速度が遅い車両又は停車する車両の位置を優先して用いる。この場合、速度が遅い車両或いは停車する車両の位置誤差が小さいため、これらの車両の位置を優先して最小化するようにすることで、後述する設置位置の校正値をより正確に求めることができる。
【0084】
ステップS802において蓄積した組み合わせが実行条件を満足していないと判定された場合、制御処理は終了する。一方、実行条件を満足したと判定された場合、制御処理はステップS803に進む。ステップS803では、校正部280は、蓄積した組み合わせを用いて、物体監視装置200の地球固定直交座標系で示された設置位置(LatBase,LonBase)及びHeadの校正値(LatBaseN,LonBaseN)、HeadNを算出する。
【0085】
ステップS803の校正値算出について、図8Dを用いて説明する。図8Dには、同一車両の追跡開始時における受信車両位置(LatRSt[k],LonRSt[k])、検出障害物位置(LatSt[k],LonSt[k])および追跡終了時における受信車両位置(LatREn[k],LonREn[k])、検出障害物位置(LatEn[k],LonEn[k])を1組とする情報が2組蓄積されている。
【0086】
まず、校正部280は、追跡開始時の受信車両位置(LatRSt[k],LonRSt[k])および追跡終了時の受信車両位置(LatREn[k],LonREn[k])を結ぶ直線と基準軸(0°)との成す角度θR[k]と、追跡開始時の検出障害物位置(LatSt[k],LonSt[k])および追跡終了時の検出障害物位置(LatEn[k],LonEn[k])を結ぶ直線と基準軸(0°)との成す角度θ[k]と、をそれぞれ算出する。
【0087】
次に、校正部280は、確度誤差eθ=Σ|θR[k]-θ[k]|が最小となるように、Headを少しずつ校正しながら、追跡開始時の検出障害物位置(LatSt[k],LonSt[k])および追跡終了時の検出障害物位置(LatEn[k],LonEn[k])の値を変更して角度θ[k]を校正し、最終的な値であるHeadNを算出する。
【0088】
次に、校正部280は、算出したHeadNにより得られる追跡開始時の検出障害物位置(LatSt’[k],LonSt’[k])および追跡終了時の検出障害物位置(LatEn’[k],LonEn’[k])と、追跡開始時の受信車両位置(LatRSt[k],LonRSt[k])および追跡終了時の受信車両位置(LatREn[k],LonREn[k])とを比較し、以下の式1~3により算出される位置誤差ePが最小となるようにLatBase,LonBaseを校正する。
【0089】
eP=Σ(ePSt[k]+ePEn[k]) (式1)
ePSt[k]=SQRT((LatSt’[k]―LatRSt[k])^2+(LonSt’[k]―LonRSt[k])^2) (式2)
ePEn[k]=SQRT((LatEn’[k]―LatREn[k])^2+(LonEn’[k]―LonREn[k])^2) (式3)
【0090】
なお、以上の算出では、地球固定直交座標系として緯度経度を用いたが、緯度経度からメートル単位系で表現される地平直交座標系へ変換した後に上述の処理を行っても良い。
【0091】
ステップS803に続くステップS804では、校正部280は、算出した校正値(LatBaseN,LonBaseN)、HeadNを現在の設置位置(LatBase,LonBase)、Headに反映する(言い換えれば、算出した校正値で設置位置記憶部240に記憶された設置位置(緯度、経度、方位)を更新する)。
【0092】
反映は、校正値をそのまま現在の設置位置に入れてしまうと、ステップS803の最適化算出時に利用する情報にノイズが含まれている場合にその影響を受け、設置位置が校正されるたびに大きく変化して不安定になることが想定される。そのため、一般的には現在の設置位置に大きな重みをもたせた加重平均により校正する。これにより、ローパスフィルタとしての効果が得られ、少しずつ校正されることとなる。
【0093】
以上のように構成された物体監視装置200では、車両位置受信部260は周辺監視部210の監視領域内の車両10から該車両10の位置を受信し、同一車両特定部270は物体検出部220により検出された物体の中から、車両位置受信部260により受信された車両(ここでは、車両10)と同一の車両を特定する。校正部280は、同一車両特定部270により特定された同一車両について、車両位置受信部260により受信された車両10の位置と物体検出部220により検出された物体(すなわち、障害物)の位置との組み合わせを蓄積し、蓄積した組み合わせの数が所定数以上になった場合、車両位置受信部260により受信された車両10の位置と物体検出部により検出された物体の位置との誤差が最小になるように設置位置記憶部240に記憶される設置位置の校正値を算出し、算出した校正値で設置位置記憶部240に記憶される設置位置を更新する。これによって、物体監視装置200の経時変化と設置位置ずれの影響を抑えることができるので、経時変化と設置位置のずれに起因する位置誤差を抑制することができる。
【0094】
また、以上のように構成された車両制御システム1では、走行路に設置された物体監視装置200は、物体を検出して検出した物体の位置を車両10に送信し、車両10に搭載された車両制御装置100が送信された物体の位置を用いて車両10を制御する。そして、車両制御装置100が車両の位置を物体監視装置200に送信し、物体監視装置200はその車両の位置を用いて物体監視装置200の設置位置を校正して更新する。これによって、物体監視装置200の経時変化と設置位置のずれに起因する物体監視装置200から車両10に送られる物体の位置の誤差を抑えることができる。従って、物体の位置の誤差による車両制御装置100の誤作動を防ぐことができ、車両10の安全走行を実現することができる。
【0095】
なお、本実施形態に係る車両制御システム1について様々な変形例が考えられる。
【0096】
例えば、物体位置送信部250は、位置算出部230により算出された物体の位置とともに、同一車両特定部270により得られた誤差に応じて設定される信頼度を送信することが好ましい。具体的には、同一車両特定部270は、更に、同一車両と判定した受信車両位置と検出障害物位置との誤差の平均を算出して蓄積しておき、物体位置送信部250による送信時にそれを反映するように行う。そして、物体位置送信部250の送信情報には、物体の位置に加えて信頼度も含まれる。信頼度は、例えば上述の位置誤差が大きいほど低くなるように設定される。これにより、位置誤差(言い換えれば、位置ずれ)が大きい場合は、送信される物体の位置の信頼度が低く設定され、車両にその利用判断を委ねることができる。
【0097】
このとき、車両10では、車両周辺監視部110により検出された結果と物体位置受信部120により受信された結果(すなわち、物体の位置)を比較することにより得られる位置誤差と、そのときの信頼度を用いて、走行制御部150で用いる受信された物体の位置を判断するための信頼度の閾値が設定されることが好ましい。具体的には、走行制御部150は、車両周辺監視部110により検出された結果と物体位置受信部120により受信された結果との位置誤差が大きいと判定する閾値を持っておき、更に該閾値より大きな位置誤差を持つ受信結果に対応する信頼度を閾値として用いることで、死角領域内の障害物に対するずれ量を予測し、予測した結果を用いるか否かという判断を行うことができる。
【0098】
また、走行制御部150の制御処理は、上述した内容のほか、例えば図9Aに示すような処理も考えられる。
【0099】
[走行制御部150の制御処理の変形例について]
図9Aは、走行制御部150の制御処理の変形例を示すフローチャートである。まず、ステップS901では、走行制御部150は、車両周辺物体検出部130で検出した物体と自車の位置関係に基づいて、自車の死角領域を算出する。例えば、図9Bのようなシーンにおいては、車両周辺物体検出部130より遮蔽物30が検出され、走行制御部150は遮蔽物30と自車の位置関係から死角領域40を算出することができる。
【0100】
ステップS901に続くステップS902では、自己位置取得部140から得られる自車位置、および自車の走行路から、ステップS901で算出した死角領域のうち自車の走行に影響がある死角領域の有無を判定する。これは、算出された死角領域と走行路の最短距離を算出し、その値が閾値以下か否かによって判定する。閾値は、予め一定の値に定められても良く、自車の車速や自車がその経路位置に到達するまでの予測時間等によって可変としても良い。
【0101】
走行路の近くに死角領域があると判定された場合、制御処理はステップS903に進む。ステップS903では、走行制御部150は、物体監視装置200の物体位置送信部250から送信された障害物の情報を選別する。具体的には、受信した障害物の位置は地球固定座標系における緯度、経度(Lat[i],Lon[i])で表現されているため、走行制御部150は、まず、自己位置取得部140により取得された地球固定座標系における自車の緯度、経度(CarLon,CarLat)を用いて、地平直交座標系で示された位置(X’[i],Y’[i])へ変換する。変換する際の地球固定直交座標系で示される基準位置は、自車位置でも良く、固定した別の位置でも良い。
【0102】
また、物体監視装置200によって検出された物体の中には車両10自身が含まれているため、走行制御部150は、上記変換した後に、自車の近傍に存在する障害物を無視するなどの処理により、含まれた自車の情報を除外する。
【0103】
また、物体監視装置200によって検出された物体の中には、車両制御装置100の車両周辺物体検出部130により検出された物体と同一のものが含まれる可能性がある。そこで、走行制御部150は、物体位置送信部250から送信された障害物の情報よりも車両周辺物体検出部130によって検出された結果の方が正確と判定し、車両周辺物体検出部130により検出された物体と同一のものを除外する。
【0104】
ステップS903に続くステップS904では、走行制御部150は、障害物が死角領域内に存在するか否かを判定する。物体位置送信部250から送信された障害物が死角領域内に存在すると判定された場合、制御処理はステップS905に進む。ステップS905では、走行制御部150は、障害物が死角領域から飛び出す可能性があるので、車両の速度を通常より落として走行するように、制御実行部160に指示する。このシーンは、例えば図9Bに示すように、遮蔽物30に起因する死角領域40が自車の走行路の近くにあり、物体位置送信部250から送信された障害物(歩行者21)が死角領域40内に存在するので、自車は速度を下げて(すなわち、第1速度で)走行する。
【0105】
一方、ステップS904で障害物が死角領域内に存在しないと判定された場合、制御処理はステップS906に進む。ステップS906では、走行制御部150は、その走行路を走行する際の通常の速度(すなわち、第1速度より速い第2速度)で走行するように制御実行部160に指示する。このシーンは、例えば図9Cに示すように、遮蔽物30に起因する死角領域40が自車の走行路の近くにあるが、物体位置送信部250から送信された歩行者21が死角領域40内に存在しないので、自車は通常の速度で走行する。
【0106】
なお、上記ステップS902で走行路の近くに死角領域がないと判定された場合、制御処理もステップS906に進み、通常の速度で走行する制御が行われる。
【0107】
本変形例では、走行制御部150は、自車の走行に影響がある死角領域の有無を判定し、更に物体位置送信部250から送信された障害物が死角領域内に存在するか否かを判定し、存在する場合に障害物の飛び出しのリスクを想定して速度を落として走行し、存在しない場合に飛び出しのリスクを考慮せずに通常の速度で走行する。これによって、安全性の確保と走行の効率向上を両立させることができる。なお、このようなことを実現するためには、自車で算出する死角領域40と、物体監視装置200から送信される障害物の座標系が正しく設定される必要がある。
【0108】
[第2実施形態]
以下、図10を参照して車両制御システムの第2実施形態を説明する。本実施形態の車両制御システム1Aは、物体監視装置300が車両に設置される点において上述した第1実施形態と異なっている。以下では、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0109】
図10は、第2実施形態に係る車両制御システムの構成を示す機能ブロック図である。物体監視装置300は、車両周辺監視部110、車両周辺物体検出部130、位置算出部230、設置位置記憶部240、自己位置取得部140、物体位置受信部120、走行制御部150、制御実行部160、車両位置受信部260、同一車両特定部270、及び校正部280を備える。
【0110】
車両周辺監視部110は、物体監視装置300の周辺(言い換えれば、自車周辺)を監視し、周辺に存在する物体の情報を取得する。車両周辺監視部110は、例えばカメラなどの画像センサ或いはLiDARなどの測距センサにより構成されている。画像センサによって構成された場合、車両周辺監視部110は物体監視装置300の周辺の監視画像を出力する。測距センサによって構成された場合、車両周辺監視部110は物体の境界部分の座標を表す点群データを出力する。なお、車両周辺監視部110にはその他適当な検出デバイスを用いることもできる。
【0111】
車両周辺物体検出部130は、車両周辺監視部110から得られた情報に基づいて、物体監視装置300の周辺に存在する物体(例えば障害物、遮蔽物、道路標識など)を検出する。
【0112】
設置位置記憶部240は、例えば車両周辺監視部110を構成するセンサが車両に設置される設置位置を記憶する。ここでの設置位置は、例えば自車の後輪車軸中心からセンサの設置位置までのオフセット量および設置角度と幾何演算とを用いて、センサの検出結果から自車の後輪車軸中心を原点とする相対座標系における相対位置(X[i],Y[i])が算出される。
【0113】
自己位置取得部140は、RTK-GPS等のセンサ情報を取得し、自車の絶対位置(緯度、経度)を取得する。位置算出部230は、車両周辺物体検出部130により検出された障害物の相対位置(X[i],Y[i])と、自己位置取得部140から取得する自車の絶対位置(緯度、経度)および方位に基づいて、障害物の絶対位置(緯度、経度)を算出する。
【0114】
物体位置受信部120は、物体監視装置300の外部から障害物を含む物体の位置を受信する。例えば、自車の周囲に走行する他車から、他車によって検出された物体の位置を受信する。走行制御部150は、自車の走行を制御する指令を生成する。制御実行部160は、走行制御部150で生成した指令に従い、車両走行を制御する。車両位置受信部260は、自車以外の他車から他車の絶対位置(緯度、経度)を受信する。
【0115】
同一車両特定部270は、車両周辺物体検出部130により検出された物体の中から、車両位置受信部260により受信された他車と同一の車両を特定する。より具体的には、同一車両特定部270は、受信した他車の絶対位置(緯度、経度)と、車両周辺物体検出部130により検出され且つ位置算出部230によって算出された障害物の絶対位置(緯度、経度)とを比較することにより、同一車両を特定する。
【0116】
校正部280は、同一車両特定部270により特定された同一車両について、車両位置受信部260により受信された他車の位置(ここでは、絶対位置)と車両周辺物体検出部130により検出され且つ位置算出部230によって算出された障害物の位置との組み合わせを蓄積し、蓄積した組み合わせの数が所定数以上になった場合、両者の位置の誤差が最小になるように設置位置記憶部240に記憶される設置位置の校正値を算出し、算出した校正値で設置位置記憶部240に記憶された設置位置を更新する。
【0117】
具体的には、校正部280は、車両位置受信部260により受信された他車の位置と車両周辺物体検出部130により検出され且つ位置算出部230によって算出された障害物の位置との誤差が最小になるように、設置位置記憶部240に記憶された自車の後輪車軸中心から設置位置までのオフセット量および設置角度の情報を更新する。例えば、センサ(車両周辺監視部110)のオフセット量のうち前後方向および横方向、さらに設置角度のうちヨー角方向のみの3パラメータの校正を考えると、第1実施形態と同様に校正することが可能となる。
【0118】
なお、校正部280は、車両位置受信部260により受信された他車の位置と車両周辺物体検出部130により検出され且つ位置算出部230によって算出された障害物の位置との組み合わせを蓄積する際に、例えば自車の速度が所定値以下である場合又は自車が停車する場合のみ実行することで、自己位置取得部140、車両周辺物体検出部130、車両位置受信部260の結果の時間ずれによる影響を軽減することができ、より高精度に校正値を算出することができる。
【0119】
本実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様に、物体監視装置300が車両に配置されることにより、例えばセンサからなる車両周辺監視部の設置位置や角度の校正が可能となり、物体監視装置300の経時変化と設置位置のずれに起因する車両のセンシング精度の低下を防止することができる。その結果、物体監視装置300の経時変化と設置位置のずれに起因する位置誤差を抑制することができる。
【0120】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
【符号の説明】
【0121】
1,1A 車両制御システム
10 車両
21 歩行者
30 遮蔽物
40 死角領域
100 車両制御装置
110 車両周辺監視部
120 物体位置受信部
130 車両周辺物体検出部
140 自己位置取得部
150 走行制御部
160 制御実行部
170 車両位置送信部
200,300 物体監視装置
210 周辺監視部
220 物体検出部
230 位置算出部
240 設置位置記憶部
250 物体位置送信部
260 車両位置受信部
270 同一車両特定部
280 校正部
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図10