IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-原子炉 図1
  • 特許-原子炉 図2
  • 特許-原子炉 図3
  • 特許-原子炉 図4
  • 特許-原子炉 図5
  • 特許-原子炉 図6
  • 特許-原子炉 図7
  • 特許-原子炉 図8
  • 特許-原子炉 図9
  • 特許-原子炉 図10
  • 特許-原子炉 図11
  • 特許-原子炉 図12
  • 特許-原子炉 図13
  • 特許-原子炉 図14
  • 特許-原子炉 図15
  • 特許-原子炉 図16
  • 特許-原子炉 図17
  • 特許-原子炉 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】原子炉
(51)【国際特許分類】
   G21C 1/32 20060101AFI20231116BHJP
   G21C 5/00 20060101ALI20231116BHJP
   G21C 5/16 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
G21C1/32
G21C5/00 A
G21C5/16
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020033418
(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公開番号】P2021135237
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 秀行
(72)【発明者】
【氏名】野口 浩徳
(72)【発明者】
【氏名】谷本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】大谷 雄一
(72)【発明者】
【氏名】田中 豊
(72)【発明者】
【氏名】野田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】坂田 英之
(72)【発明者】
【氏名】石黒 達男
(72)【発明者】
【氏名】池田 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】蒲原 覚
(72)【発明者】
【氏名】大槻 昇平
(72)【発明者】
【氏名】村上 望
(72)【発明者】
【氏名】中里 道
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 喬
(72)【発明者】
【氏名】淀 忠勝
(72)【発明者】
【氏名】原井 康考
(72)【発明者】
【氏名】小林 翔太
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-119429(JP,A)
【文献】特開2017-181445(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109147966(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0268950(US,A1)
【文献】特開2019-196886(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0108920(US,A1)
【文献】特開平02-285286(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0027536(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 1/00-1/32
G21C 5/00-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料部と、
前記燃料部の周囲を覆い放射線を遮へいする遮へい部と、
前記遮へい部を貫通して前記燃料部の内部および前記遮へい部の外部に延出して配置され前記燃料部の熱を前記遮へい部の外部に固体熱伝導で伝える熱伝導部と、
を含み、
前記燃料部および前記熱伝導部は、板状に形成されて板面を対向して交互に重ねて配置され、板状の前記熱伝導部は、板状の外周部が前記遮へい部の外部に延出して配置される、原子炉。
【請求項2】
前記燃料部は、板状に形成された支持体と、前記支持体に設けられた穴に配置される核燃料と、を含む、請求項に記載の原子炉。
【請求項3】
前記熱伝導部は、前記遮へい部の外部に延出する部分に切込が複数形成されている、請求項またはに記載の原子炉。
【請求項4】
前記熱伝導部は、前記遮へい部の外部に延出する部分に、冷媒を流通する伝熱管が貫通されている、請求項またはに記載の原子炉。
【請求項5】
前記熱伝導部は、前記燃料部と重なる方向に複数の板材を重ねて板状に形成されている、請求項からのいずれか一項に記載の原子炉。
【請求項6】
燃料部と、
前記燃料部の周囲を覆い放射線を遮へいする遮へい部と、
前記遮へい部を貫通して前記燃料部の内部および前記遮へい部の外部に延出して配置され前記燃料部の熱を前記遮へい部の外部に固体熱伝導で伝える熱伝導部と、
を含み、
前記燃料部は、棒状に形成された複数の核燃料と、棒状の前記核燃料を支持する支持体と、を含み、
前記熱伝導部は、棒状に形成されて前記核燃料の延在方向に沿って延在して複数並設され前記支持体に貫通して支持され、
前記熱伝導部が延出されていない前記遮へい部の外部に取り付けられる別の熱伝導部を含み、
前記熱伝導部は、棒状の延在方向に連続する板材を重ねて棒状に形成され、かつ棒状の周面をなす前記板材の端部を、前記遮へい部の外部に取り付けた前記別の熱伝導部に向けて配置されている、原子炉。
【請求項7】
棒状の前記熱伝導部は、両端部が前記燃料部を貫通し、前記遮へい部の外部に延出して配置されている、請求項に記載の原子炉。
【請求項8】
前記熱伝導部は、棒状の延在方向に連続する板材を重ねて棒状に形成されている、請求項またはに記載の原子炉。
【請求項9】
燃料部と、
前記燃料部の周囲を覆い放射線を遮へいする遮へい部と、
前記遮へい部を貫通して前記燃料部の内部および前記遮へい部の外部に延出して配置され前記燃料部の熱を前記遮へい部の外部に固体熱伝導で伝える熱伝導部と、
を含み、
前記燃料部は、板状に形成された支持体と、前記支持体に支持される核燃料と、を含み、
前記熱伝導部は、板状に形成されて前記支持体の板面に対向して交互に重ねて配置される第一熱伝導部と、棒状に形成されて前記支持体および前記第一熱伝導部が重なる方向に延在して配置される第二熱伝導部と、を含む、
子炉。
【請求項10】
前記燃料部は、前記核燃料が、前記支持体に設けられた穴にのみ配置される第一核燃料を含む、請求項に記載の原子炉。
【請求項11】
前記燃料部は、前記核燃料が、棒状に形成されて前記支持体に設けられた穴、および前記第一熱伝導部に設けられた穴に挿入され、前記第二熱伝導部の延在方向に沿って配置される第二核燃料を含む、請求項または10に記載の原子炉。
【請求項12】
前記第一熱伝導部は、前記遮へい部の外部に延出する部分に切込が複数形成されている、請求項から11のいずれか一項に記載の原子炉。
【請求項13】
前記第一熱伝導部は、前記遮へい部の外部に延出する部分に、冷媒を流通する伝熱管が挿通されている、請求項から11のいずれか一項に記載の原子炉。
【請求項14】
前記第一熱伝導部は、前記燃料部と重なる方向に複数の板材を重ねて板状に形成されている、請求項から13のいずれか一項に記載の原子炉。
【請求項15】
棒状の前記第二熱伝導部は、両端部が前記燃料部を貫通し、前記遮へい部の外部に延出して配置されている、請求項から14のいずれか一項に記載の原子炉。
【請求項16】
前記第二熱伝導部は、棒状の延在方向に連続する板材を重ねて棒状に形成されている、請求項から14のいずれか一項に記載の原子炉。
【請求項17】
前記第二熱伝導部は、棒状の周面をなす前記板材の端部を、前記遮へい部の外部に向けて配置されている、請求項16に記載の原子炉。
【請求項18】
前記熱伝導部は、グラフェンを含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の原子炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子炉に関する。
【背景技術】
【0002】
核燃料を用い、核反応の熱を利用して発電を行う原子力発電システムでは、原子炉で生じた熱を冷却材が循環することで回収し、回収した熱で蒸気を発生させ、蒸気でタービンを回転させて発電を行う。
【0003】
これに対して、特許文献1には、原子炉で生じた熱をヒートパイプで回収し、ヒートパイプと冷媒が循環する冷却系統とで熱交換を行い、冷却系統で回収した熱エネルギーで発電する構造が記載されている。特許文献1の構造は、外部電源無しで炉心内に設置するヒートパイプ内の冷却材を循環させることができ、原子力発電システムの信頼性向上、小型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許2016/0027536号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような小型の原子炉を用いる場合、熱エネルギーを効率よく取り出すことが望まれている。
【0006】
また、特許文献1のようにヒートパイプを用いる構造とした場合、燃料と熱交換した冷却材がヒートパイプ内を循環する。原子炉は、放射線が生じる。このような構造において、ヒートパイプに損傷が生じた場合、タービンと繋がる系統にヒートパイプ内の放射線が照射された放射性物質である冷却材が漏えいするおそれがある。また、ヒートパイプ内の冷却材には、液体金属(アルカリ金属)が使用されており、この液体金属が漏えいするおそれもある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、放射性物質などの漏洩を防止しつつ高い出力温度を確保することのできる原子炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本開示の一態様に係る原子炉は、燃料部と、前記燃料部の周囲を覆い放射線を遮へいする遮へい部と、前記遮へい部を貫通して前記燃料部の内部および前記遮へい部の外部に延出して配置され前記燃料部の熱を前記遮へい部の外部に固体熱伝導で伝える熱伝導部と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、燃料部により生じる熱を、熱伝導部により固体熱伝導で遮へい部の外部に取り出せる。この結果、本発明によれば、放射性物質などの漏えいを防止できる。しかも、本発明は、熱伝導部が燃料部の内部および遮へい部の外部に延出して配置されているため、燃料部により生じる熱の伝熱距離を抑えつつ遮へい部の外部に取り出せる。この結果、本発明によれば、高い出力温度を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る原子炉を用いた原子力発電システムの模式図である。
図2図2は、実施形態1に係る原子炉を示す模式図である。
図3図3は、実施形態1に係る原子炉の断面模式図である。
図4図4は、実施形態1に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。
図5図5は、実施形態1に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。
図6図6は、実施形態1に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。
図7図7は、実施形態1に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。
図8図8は、実施形態1に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。
図9図9は、実施形態2に係る原子炉を示す模式図である。
図10図10は、実施形態2に係る原子炉の断面模式図である。
図11図11は、実施形態2に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。
図12図12は、実施形態2に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。
図13図13は、実施形態2に係る原子炉の他の形態を示す模式図である。
図14図14は、実施形態2に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。
図15図15は、図14に示す形態の説明図である。
図16図16は、実施形態2に係る原子炉の他の形態を示す模式図である。
図17図17は、実施形態3に係る原子炉を示す模式図である。
図18図18は、実施形態3に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
図1は、実施形態に係る原子炉を用いた原子力発電システムの模式図である。図1に示すように、原子力発電システム50は、原子炉容器51と、熱交換器52と、熱伝導部53と、冷媒循環手段54と、タービン55と、発電機56と、冷却器57と、圧縮機58と、を有する。
【0013】
原子炉容器51は、後述する本実施形態の原子炉11(12,13)を有する。原子炉容器51は、内部に原子炉11(12,13)が格納されている。原子炉容器51は、原子炉11(12,13)を密閉状態で格納する。原子炉容器51は、内部に載置する原子炉11(12,13)が格納または取り出せるように、例えば蓋である開閉部が設けられている。原子炉容器51は、原子炉11(12,13)において核反応がおき、内部が高温、高圧になった場合でも、密閉状態を維持することができる。原子炉容器51は、中性子線の遮へい性能を備える材料で形成される。
【0014】
熱交換器52は、原子炉11(12,13)との間で熱交換を行う。本実施形態の熱交換器52は、原子炉容器51の内部に一部配置された熱伝導部53の固体の高熱伝導材料を介して原子炉11(12,13)の熱を回収する。なお、図1で示している熱伝導部53は、後述する熱伝導部3,103,104を総称して模式的に示したものである。
【0015】
冷媒循環手段54は、冷媒を循環させる経路であり、熱交換器52と、タービン55と、冷却器57と、圧縮機58と、が接続されている。冷媒循環手段54を流れる冷媒は、熱交換器52、タービン55、冷却器57、圧縮機58の順で流れ、圧縮機58を通過した冷媒は、熱交換器52に供給される。従って、熱交換器52は、熱伝導部53の固体の高熱伝導材料と、冷媒循環手段54を流れる冷媒との間で熱交換を行う。
【0016】
タービン55は、熱交換器52を通過した冷媒が流入する。タービン55は、加熱された冷媒のエネルギーにより回転される。つまりタービン55は、冷媒のエネルギーを回転エネルギーに変換して、冷媒からエネルギーを吸収する。
【0017】
発電機56は、タービン55と連結されており、タービン55と一体で回転する。発電機56は、タービン55と回転することで発電する。
【0018】
冷却器57は、タービン55を通過した冷媒を冷却する。冷却器57は、チラーや冷媒を一時的に液化する場合、復水器等である。
【0019】
圧縮機58は、冷媒を加圧するポンプである。
【0020】
原子力発電システム50は、原子炉11(12,13)の核燃料(1A,101A)の反応で生じた熱を熱伝導部53で熱交換器52に伝える。原子力発電システム50は、熱交換器52において、熱伝導部53の高熱伝導材料の熱で、冷媒循環手段54を流れる冷媒を加熱する。つまり、冷媒は、熱交換器52において熱を吸収する。これにより、原子炉11(12,13)で発生した熱は、冷媒で回収される。冷媒は、圧縮機58で圧縮された後、熱交換器52の通過時に加熱され、圧縮し加熱されたエネルギーでタービン55を回転させる。冷媒は、その後、冷却器57で基準状態まで冷却され、再び圧縮機58に供給される。
【0021】
原子力発電システム50は、以上のように、原子炉11(12,13)から取り出された熱を高熱伝導材料を介し、タービン55を回転する媒体となる冷媒に伝達する。これにより、原子炉11(12,13)と、タービン55を回転する媒体となる冷媒とを隔離することができ、タービン55を回転する媒体が汚染される恐れを低減できる。
【0022】
[実施形態1]
図2は、実施形態1に係る原子炉を示す模式図である。図3は、実施形態1に係る原子炉の断面模式図である。図4は、実施形態1に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。図5は、実施形態1に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。図6は、実施形態1に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。図7は、実施形態1に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。図8は、実施形態1に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。
【0023】
図2から図5に示すように、原子炉11は、燃料部(炉心)1と、遮へい部2と、熱伝導部3と、を含む。
【0024】
燃料部1は、図5に示す核燃料1Aが支持されている。また、図には明示しないが、燃料部1は、核燃料1Aの核反応を制御する制御棒が抜き挿し可能に設けられている。燃料部1は、制御棒が挿入されることで核燃料1Aの核反応を抑制する。また、燃料部1は、制御棒が抜き出されることで核燃料1Aの核反応を生じさせる。
【0025】
燃料部1は、板状に形成されている。本実施形態では、燃料部1は、円板状に形成されている。板状の燃料部1は、複数設けられ、相互が板面を対向するように並べて配置されている。この複数の板状の燃料部1が板面を対向して並ぶ方向を軸方向という場合もある。また、燃料部1は、図5に示すように、核燃料1Aと、支持体1Bと、を含む。支持体1Bは、燃料部1がなす円板状に形成されている。支持体1Bは、減速材として例えばグラフェンを用いることができる。支持体1Bは、減速材として例えば黒鉛を用いることができる。支持体1Bは、複数の穴1Baが板状の両板面に貫通して形成されている。本実施形態では、穴1Baは、円形に形成され、板状の両板面に貫通して形成されている。核燃料1Aは、各穴1Baに収納できるように形成されている。本実施形態では、核燃料1Aは、穴1Baが円形に形成されているため、穴1Baに収納できるように円柱形状に形成されている。
【0026】
遮へい部2は、燃料部1の周囲を覆うものである。遮へい部2は、金属ブロックからなり、核燃料1Aから照射される放射線(中性子)を反射することで、燃料部1を覆った外部への放射線の漏洩を防ぐ。遮へい部2は、使用する材料の中性子散乱および中性子吸収の能力に応じて反射体と呼ばれることがある。
【0027】
遮へい部2は、本実施形態では、板状に形成された複数の燃料部1における各々の板端の全外周を囲むようにリング状に形成された複数の胴体2Aと、板状に形成された燃料部1が並ぶ方向で最も外側に向く板面側を囲むように板状に形成された両端の蓋体2Bと、を含む。なお、遮へい部2は、燃料部1を内部に収容するにあたり、内部の酸化を防止する目的から、密閉構造とした内部に例えば窒化ガス等の不活性ガスを充填するとよい。
【0028】
熱伝導部3は、遮へい部2を貫通して当該遮へい部2が覆う内部に設けられている燃料部1の内部に挿入されることで、燃料部1の内部および遮へい部2の外部に延出して配置されている。熱伝導部3は、燃料部1の核燃料1Aの核反応により生じる熱を遮へい部2の外部に固体熱伝導で伝える。熱伝導部3は、例えばグラフェンを用いることができる。熱伝導部3は、例えばチタン、ニッケル、銅、グラファイトを用いることができる。熱伝導部3の遮へい部2の外部に延出した部分は、原子炉容器51の内部にて冷媒と熱交換可能に設けられている。
【0029】
熱伝導部3は、板状に形成されている。本実施形態では、熱伝導部3は、円板状に形成されている。熱伝導部3は、遮へい部2の胴体2Aよりも大きな外周に形成され、遮へい部2の外部に延出して配置される。この熱伝導部3が遮へい部2の外部に延出する方向は、円板状の熱伝導部3の中心から遠ざかる方向であって径方向という場合もある。板状の熱伝導部3は、複数設けられ、相互が板面を対向するように軸方向に並べて配置されている。また、板状の熱伝導部3は、板状の燃料部1に対して板面を対向するように軸方向に交互に重ねて配置される。
【0030】
従って、実施形態1の原子炉11は、燃料部1の核燃料1Aの核反応により生じる熱を、熱伝導部3により固体熱伝導で遮へい部2の外部に取り出すことができる。そして、遮へい部2の外部に取り出された熱は、冷媒に伝達され、タービン55を回転させる。
【0031】
このように、実施形態1の原子炉11は、燃料部1の核燃料1Aの熱を熱伝導部3により固体熱伝導で遮へい部2の外部に取り出し(図2矢印参照)、冷媒に熱を伝えることができる。この結果、実施形態1の原子炉11は、放射性物質などの漏えいを防止できる。また、実施形態1の原子炉11は、熱伝導部3が燃料部1の内部および遮へい部2の外部に延出して配置されているため、燃料部1の核燃料1Aの熱の伝熱距離を抑えつつ遮へい部2の外部に取り出すことができる。この結果、実施形態1の原子炉11は、高い出力温度を確保できる。
【0032】
また、実施形態1の原子炉11では、燃料部1および熱伝導部3が、板状に形成されて板面を対向して交互に重ねて配置され、板状の熱伝導部3は、板状の外周部が遮へい部2の外部に延出して配置される。従って、実施形態1の原子炉11は、熱伝導部3が、遮へい部2を貫通して燃料部1の内部および遮へい部2の外部に延出して配置される形態とすることができ、燃料部1の熱を遮へい部2の外部に固体熱伝導で取り出すことができる。なお、燃料部1の複数の板状や、熱伝導部3の複数の板状は、板厚を変えてもよい。また、熱伝導部3が延出していない遮へい部2の外部を断熱材で覆うことで、熱伝導部3による熱の回収効率を向上できる。
【0033】
また、実施形態1の原子炉11では、燃料部1が、板状に形成された支持体1Bと、支持体1Bに設けられた穴1Baに配置される核燃料1Aと、を含む。従って、実施形態1の原子炉11は、燃料部1および熱伝導部3を板状に形成した形態において、板状の熱伝導部3の板面に沿って核燃料1Aを適宜配置することができ、燃料部1の熱を遮へい部2の外部に固体熱伝導で取り出すことができる。
【0034】
ここで、実施形態1の原子炉11において、燃料部1は、支持体1Bに設けられた穴1Baに核燃料1Aを配置する形態とするにあたり、支持体1Bの板状の中央部分で穴1Baの密度を、外周部分の密度と比較して低くするとよい。即ち、実施形態1の原子炉11では、燃料部1は、核燃料1Aの配置密度を、外周部分よりも中央部分を低くするとよい。実施形態1の原子炉11の構成においては、燃料部1は、核燃料1Aの配置密度を均等とした場合、外周部分よりも中央部分の温度が高くなる。実施形態1の原子炉11は、燃料部1の径方向である外周側に熱を取り出す構成であり、熱を取り出しやすくするには、核燃料1Aの温度分布を均等にすることが好ましい。このため、燃料部1において、核燃料1Aの配置密度を、外周部分よりも中央部分を低くすることで、核燃料1Aの温度分布を均等にし、熱を取り出しやすくすることができる。
【0035】
また、実施形態1の原子炉11では、図6に示すように、熱伝導部3は、遮へい部2の外部に延出する部分に切込3Aが複数形成されているとよい。切込3Aは、遮へい部2の外面から遠ざかるように径方向に延びて形成され、遮へい部2の外周に沿うように、熱伝導部3の外周に複数並んで形成されている。即ち、熱伝導部3は、遮へい部2の外部に延出する部分であって、熱交換器52で熱交換を行うため冷媒循環手段54を循環する冷媒と熱交換を行う部分に、切込3Aにより冷媒を通過させる隙間が形成される。従って、実施形態1の原子炉11は、熱伝導部3で取り出した熱を冷媒に伝達する効率を高められる。
【0036】
ここで、遮へい部2の外面から遠ざかるように径方向に延びて形成された熱伝導部3において、取り出す熱は、燃料部1に近い径方向内側が高く、燃料部1から遠い径方向外側が低くなる。例えば、図6において、遮へい部2の外面から遠ざかるように径方向に延びて形成された熱伝導部3において、仮想線Lにより径方向に二つの領域に分けた場合、仮想線Lよりも径方向内側が径方向外側よりも取り出した熱の温度が高い。このため、熱伝導部3において、冷媒と熱交換を行うにあたり、冷媒を先に仮想線Lよりも径方向外側に通過させ、その後に戻して仮想線Lよりも径方向内側に通過させてから、冷媒を熱交換器52に送り出す。このようにすれば、熱伝導部3で取り出した熱を冷媒に伝達する効率を高められる。
【0037】
また、実施形態1の原子炉11では、図7に示すように、熱伝導部3は、遮へい部2の外部に延出する部分に、冷媒を流通する伝熱管3Bが貫通されているとよい。伝熱管3Bは、遮へい部2の外周に沿うように、熱伝導部3の外周に複数並んで形成されている。即ち、熱伝導部3は、遮へい部2の外部に延出する部分であって、熱交換器52で熱交換を行うため冷媒循環手段54を循環する冷媒と熱交換を行う部分に、冷媒を流通する伝熱管3Bが貫通されている。従って、実施形態1の原子炉11は、熱伝導部3で取り出した熱を伝熱管3Bを介して冷媒に伝達する。また、実施形態1の原子炉11は、熱伝導部3で取り出した熱を伝熱管3Bで間接的に冷媒に伝達するため、放射線の遮へい性を維持できる。
【0038】
ここで、遮へい部2の外面から遠ざかるように径方向に延びて形成された熱伝導部3において、取り出す熱は、燃料部1に近い径方向内側が高く、燃料部1から遠い径方向外側が低くなる。例えば、図7において、遮へい部2の外面から遠ざかるように径方向に延びて形成された熱伝導部3において、仮想線Lにより径方向に二つの領域に分けた場合、仮想線Lよりも径方向内側が径方向外側よりも取り出した熱の温度が高い。このため、伝熱管3Bは、径方向に複数配置し、仮想線Lよりも径方向内側に配置された内側伝熱管3Baと、仮想線Lよりも径方向外側に配置された外側伝熱管3Bbとを含む。そして、熱伝導部3において、冷媒と熱交換を行うにあたり、冷媒を先に外側伝熱管3Bbに流通させ、その後に戻して内側伝熱管3Baに流通させてから、冷媒を熱交換器52に送り出す。このようにすれば、熱伝導部3で取り出した熱を冷媒に伝達する効率を高められる。
【0039】
また、実施形態1の原子炉11では、図8に示すように、熱伝導部3は、燃料部1と重なる軸方向に複数の板材3Cを重ねて板状に形成されているとよい。熱伝導部3は、例えばグラフェンを用いることができるが、グラフェンは、炭素原子とその結合からできた六角形格子が連続した構造であり、六角形格子の連続した方向で熱の伝達性が高い。このグラフェンをシート状の板材3Cとすることで、六角形格子が板材3Cの面に沿って連続する。そして、この板材3Cを軸方向に重ねて板状に形成する。すると、熱伝導部3は、板材3Cの面に沿って径方向に熱の伝達性が高くなる。このため、熱伝導部3は、遮へい部2の外部に径方向に延出する部分に対して熱の伝達性が高くなる。この結果、実施形態1の原子炉11は、熱伝導部3で取り出した熱を冷媒に伝達する効率を高められる。
【0040】
[実施形態2]
図9は、実施形態2に係る原子炉を示す模式図である。図10は、実施形態2に係る原子炉の断面模式図である。図11は、実施形態2に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。図12は、実施形態2に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。図13は、実施形態2に係る原子炉の他の形態を示す模式図である。図14は、実施形態2に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。図15は、図14に示す形態の説明図である。図16は、実施形態2に係る原子炉の他の形態を示す模式図である。
【0041】
図9から図12に示すように、原子炉12は、燃料部(炉心)101と、遮へい部102と、熱伝導部103と、を含む。
【0042】
燃料部101は、図11および図12に示す核燃料101Aが支持されている。また、図には明示しないが、燃料部101は、核燃料101Aの核反応を制御する制御棒が抜き挿し可能に設けられている。燃料部101は、制御棒が挿入されることで核燃料101Aの核反応を抑制する。また、燃料部101は、制御棒が抜き出されることで核燃料101Aの核反応を生じさせる。
【0043】
燃料部101は、全体として柱状に形成されている。本実施形態では、燃料部101は、ほぼ円柱状に形成されている。この柱状の延びる方向を軸方向という場合もある。また、軸方向に直交する方向を径方向と言う場合もある。燃料部101は、図11図12に示すように、核燃料101Aと、支持体101Bと、を含む。図11図12では、図10に示している燃料部101を断面六角形の柱状に切り取ったイメージ図である。支持体101Bは、燃料部101がなす柱状の軸方向寸法をなすように軸方向に延びて形成されている。支持体101Bは、後述する棒状の熱伝導部103が軸方向で挿入される挿入穴101Baが軸方向に貫通して形成されている。本実施形態では、挿入穴101Baは、円形の断面形状に形成されている。また、支持体101Bは、挿入穴101Baの周囲に核燃料101Aが配置される穴部101Bbが軸方向に貫通して形成されている。本実施形態では、穴部101Bbは、円形の断面形状に形成されている。支持体101Bは、減速材として例えばグラフェンを用いることができる。支持体101Bは、減速材として例えば黒鉛を用いることができる。核燃料101Aは、本実施形態では、支持体101Bの穴部101Bbに配置されるように、円形の断面形状であり、軸方向に連続した棒状に形成されている。なお、棒状の核燃料101Aは、上記円形の断面形状の筒の内部にペレット状の核燃料が挿入されて形成することができる。
【0044】
遮へい部102は、燃料部101の周囲を覆うものである。遮へい部102は、金属ブロックからなり、核燃料101Aから照射される放射線(中性子)を反射することで、燃料部101を覆った外部への放射線の漏洩を防ぐ。遮蔽へい部102は、使用する材料の中性子散乱および中性子吸収の能力に応じて反射体と呼ばれることがある 。
【0045】
遮へい部102は、本実施形態では、燃料部101に柱形状の全外周を囲むように筒状に形成された胴体102Aと、胴体102Aの両端を塞ぐ各蓋体102Bと、を含む。なお、遮へい部102は、燃料部101を内部に収容するにあたり、内部の酸化を防止する目的から、密閉構造とした内部に例えば窒化ガス等の不活性ガスを充填するとよい。
【0046】
熱伝導部103は、遮へい部102を貫通して当該遮へい部102が覆う内部に設けられている燃料部101の内部に挿入されることで、燃料部101の内部および遮へい部102の外部に延出して配置されている。熱伝導部103は、燃料部101の核燃料101Aの核反応により生じる熱を遮へい部102の外部に固体熱伝導で伝える。熱伝導部103は、例えばグラフェンを用いることができる。熱伝導部103は、例えばチタン、ニッケル、銅、グラファイトを用いることができる。熱伝導部103の遮へい部102の外部に延出した部分は、原子炉容器51の内部にて冷媒と熱交換可能に設けられている。
【0047】
熱伝導部103は、軸方向に延びる棒状に形成されている。本実施形態では、熱伝導部3は、断面が円形の棒状に形成されている。熱伝導部103は、燃料部101における支持体101Bに形成された挿入穴101Baに挿入され、かつ遮へい部102における一方の蓋体102Bを貫通して遮へい部102の外部に延出して配置される。
【0048】
従って、実施形態2の原子炉12は、燃料部101の核燃料101Aの核反応により生じる熱を、熱伝導部103により固体熱伝導で遮へい部2の外部に取り出すことができる。そして、遮へい部102の外部に取り出された熱は、冷媒に伝達され、タービン55を回転させる。
【0049】
このように、実施形態2の原子炉12は、燃料部101の核燃料101Aの熱を熱伝導部103により固体熱伝導で遮へい部102の外部に取り出し(図9矢印参照)、冷媒に熱を伝えることができる。この結果、実施形態2の原子炉12は、放射性物質などの漏えいを防止できる。また、実施形態2の原子炉12は、熱伝導部103が燃料部101の内部および遮へい部102の外部に延出して配置されているため、燃料部101の核燃料101Aの熱の伝熱距離を抑えつつ遮へい部102の外部に取り出すことができる。この結果、実施形態2の原子炉12は、高い出力温度を確保できる。
【0050】
また、実施形態2の原子炉12では、燃料部101は、棒状に形成された核燃料101Aと、棒状の核燃料101Aを支持する支持体101Bと、を含み、熱伝導部103は、棒状に形成されて核燃料101Aの延在方向に沿って延在して複数並設され支持体101Bに貫通して支持される。従って、実施形態2の原子炉12は、熱伝導部103が、遮へい部102を貫通して燃料部101の内部および遮へい部102の外部に延出して配置される形態とすることができ、燃料部101の熱を遮へい部102の外部に固体熱伝導で取り出すことができる。なお、複数の棒状の熱伝導部103は、太さが変わっていてもよい。また、熱伝導部103が延出していない遮へい部102の外部を断熱材で覆うことで、熱伝導部103による熱の回収効率を向上できる。
【0051】
ここで、実施形態2の原子炉12において、上述したように、熱伝導部103は、棒状に形成されて核燃料101Aの延在方向に沿って軸方向に延在し遮へい部102の蓋体102Bを貫通して遮へい部102の外部に配置されている。この構成において、取り出す熱は、核燃料101Aの配置密度を均等とした場合、外周部分よりも中央部分の温度が高くなる。このため、熱伝導部103において、冷媒と熱交換を行うにあたり、冷媒を先に径方向外側の熱伝導部103の部分を通過させ、その後に径方向内側の熱伝導部103の部分を通過させてから、冷媒を熱交換器52に送り出す。このようにすれば、熱伝導部103で取り出した熱を冷媒に伝達する効率を高められる。また、核燃料101Aの配置密度を均等とした場合、外周部分よりも中央部分の温度が高くなるが、中央部分では面積が少なく熱を取り出す効率が低下するため、中央部分の熱伝導部103の密度が高くなるように、燃料部101の中央部分で棒状の熱伝導部103を太くしたり、配置間隔を近づけたりしてもよい。また、面積の大きい燃料部101の外周部分で核燃料101Aの配置密度を高くすれば、面積の大きい部分で熱を取り出す効率を高めることができる。この場合は、燃料部101の外周部分で熱伝導部103の密度が高くなるように、燃料部101の外周部分で棒状の熱伝導部103を太くしたり、配置間隔を近づけたりしてもよい。
【0052】
また、実施形態2の原子炉12では、図13に示すように、熱伝導部103は、燃料部101を貫通し、遮へい部102の反対側の各外部に延出して配置されていてもよい。即ち、図13に示す原子炉12は、熱伝導部103が遮へい部102の両蓋体102Bを貫通して軸方向に延び、遮へい部102の反対側の各外部にて配置される。従って、実施形態2の原子炉12は、燃料部101の熱を遮へい部102の反対側の各外部に固体熱伝導で取り出すことができる(図13矢印参照)。
【0053】
また、実施形態2の原子炉12では、図14に示すように、熱伝導部103は、棒状の延在方向に連続する板材103Cを重ねて棒状に形成されているとよい。熱伝導部103は、例えばグラフェンを用いることができるが、グラフェンは、炭素原子とその結合からできた六角形格子が連続した構造であり、六角形格子の連続した方向で熱の伝達性が高い。このグラフェンをシート状の板材103Cとすることで、六角形格子が板材103Cの面に沿って連続する。そして、この板材103Cを重ねて棒状に形成する。すると、熱伝導部103は、板材103Cの面に沿って棒状の延在方向である軸方向に熱の伝達性が高くなる。このため、熱伝導部103は、遮へい部102の外部に軸方向に延出する部分に対して熱の伝達性が高くなる。この結果、実施形態2の原子炉12は、熱伝導部103で取り出した熱を冷媒に伝達する効率を高められる。
【0054】
また、実施形態2の原子炉12では、図15図16に示すように、熱伝導部103が延出されていない遮へい部102の外部に取り付けられる別の熱伝導部104を含むとよい。本実施形態において、熱伝導部103が延出されていない遮へい部102とは、胴体102Aであり、この胴体102Aの外部に別の熱伝導部104を取り付ける。別の熱伝導部104は、図15図16に示すように、遮へい部102の胴体102Aの周りを囲むリング状に形成され、軸方向に複数並んで取り付ける。また、図には明示しないが、別の熱伝導部104は、軸方向に延びる板状に形成され、遮へい部102の胴体102Aの周りを囲むように複数並んで取り付けられてもよい。別の熱伝導部104は、例えばグラフェンを用いることができる。別の熱伝導部104は、例えばチタン、ニッケル、銅、グラファイトを用いることができる。別の熱伝導部104を設けることにより、熱伝導部103が延出されていない遮へい部102の外部からも熱を取り出せる(図15矢印参照)。この別の熱伝導部104が取り出した熱は、実施形態1において図6図7を参照して説明したように、冷媒と熱交換を行うにあたり、冷媒を先に径方向外側に通過させ、その後に戻して径方向内側に通過させてから、冷媒を熱交換器52に送り出す。
【0055】
また、実施形態2の原子炉12では、熱伝導部103は、棒状の延在方向に連続する板材103Cを重ねて棒状に形成された形態において、棒状の周面をなす板材103Cの端103Caを、遮へい部102の外部に取り付けた別の熱伝導部104に向けて配置されているとよい。図14に示すような棒状の延在方向に連続する板材103Cの面を重ねて棒状に形成された熱伝導部103は、棒状の周面をなす板材103Cの端103Caが、板材103Cの面に沿って反対方向に向いている。そして、この棒状の周面をなす板材103Cの端103Caを、図16に矢印で示すように、遮へい部102の外部に取り付けた別の熱伝導部104に向けて配置する。上述したように、熱伝導部103は、板材103Cの面に沿って熱の伝達性が高くなる。このため、板材103Cの面に沿って反対方向に向く端103Caを別の熱伝導部104に向けることで、別の熱伝導部104に対して熱の伝達性が高くなる。この結果、実施形態2の原子炉12は、熱伝導部103で取り出した熱を別の熱伝導部104で効率よく取り出せるため、冷媒に伝達する効率を高められる。
【0056】
[実施形態3]
図17は、実施形態3に係る原子炉を示す模式図である。図18は、実施形態3に係る原子炉の一部切取拡大模式図である。
【0057】
本実施形態の原子炉13は、上述した実施形態1の原子炉11の構成と、実施形態2の原子炉12の構成とを組み合わせている。よって、原子炉11および原子炉12の構成と同等の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態の原子炉13は、実施形態1の原子炉11の燃料部1と、遮へい部2と、熱伝導部(第一熱伝導部)3と、実施形態2の原子炉12の熱伝導部(第二熱伝導部)103と、を含む。
【0059】
即ち、原子炉13は、燃料部1の支持体1Bおよび熱伝導部3に、熱伝導部103が挿入される穴5が形成されている。
【0060】
このように、実施形態3の原子炉13では、燃料部1は、板状に形成された支持体1Bと、支持体1Bに支持される核燃料1Aと、を含み、熱伝導部は、板状に形成されて支持体1Bの板面に対向して交互に重ねて配置される第一熱伝導部3と、棒状に形成されて支持体1Bおよび第一熱伝導部3が重なる方向に延在して配置される第二熱伝導部103と、を含む。従って、実施形態3の原子炉13は、第一熱伝導部3および第二熱伝導部103が、遮へい部2を貫通して燃料部1の内部および遮へい部2の外部に延出して配置される形態とすることができ、燃料部1の熱を遮へい部2の外部に固体熱伝導で取り出すことができる。
【0061】
また、燃料部1は、支持体1Bに設けられた穴1Baに配置される核燃料(第一核燃料)1Aを含んでもよい。また、燃料部1は、棒状に形成されて支持体1Bに設けられた穴5、および第一熱伝導部3に設けられた穴5に挿通され、第二熱伝導部103の延在方向に沿って配置される核燃料(第二核燃料)101Aを含んでもよい。従って、実施形態3の原子炉13は、第一熱伝導部3および第二熱伝導部103が、遮へい部2を貫通して燃料部1の内部および遮へい部2の外部に延出して配置される形態とすることができ、燃料部1の熱を遮へい部2の外部に固体熱伝導で取り出すことができる(図17矢印参照)。
【0062】
なお、実施形態3の原子炉13では、第一熱伝導部3は、遮へい部2の外部に延出する部分に切込3Aが複数形成されているとよい。従って、実施形態1と同様の作用効果を得られる。
【0063】
また、実施形態3の原子炉13では、第一熱伝導部3は、遮へい部2の外部に延出する部分に、第一冷媒を流通する伝熱管3B(3Ba,3Bb)が挿通されているとよい。従って、実施形態1と同様の作用効果を得られる。
【0064】
また、実施形態3の原子炉13では、第一熱伝導部3は、燃料部1と重なる方向に複数の板材3Cを重ねて板状に形成されているとよい。従って、実施形態1と同様の作用効果を得られる。
【0065】
また、実施形態3の原子炉13では、第二熱伝導部103は、燃料部1を貫通し、遮へい部2の反対側である両蓋体102Bの各外部に延出して配置されているとよい。従って、実施形態2と同様の作用効果を得られる。
【0066】
また、実施形態3の原子炉13では、第二熱伝導部103は、棒状の延在方向に連続する板材103Cを重ねて棒状に形成されているとよい。従って、実施形態2と同様の作用効果を得られる。
【0067】
また、実施形態3の原子炉13では、第二熱伝導部103は、棒状の周面をなす板材103Cの端103Caを、板状の第一熱伝導部3の板面に沿って遮へい部2の外部に向けて配置されているとよい。第二熱伝導部103は、板材103Cの面に沿って熱の伝達性が高くなる。このため、板材103Cの面に沿って反対方向に向く端103Caを板状の第一熱伝導部3の板面に沿って遮へい部2の外部に向けることで、第一熱伝導部3に対して遮へい部2の外部への熱の伝達性が高くなる。この結果、実施形態3の原子炉13は、第一熱伝導部3で熱を効率よく取り出せるため、冷媒に伝達する効率を高められる。
【符号の説明】
【0068】
11,12,13 原子炉
1 燃料部
1A 核燃料
1B 支持体
1Ba 穴
2 遮へい部
3 熱伝導部(第一熱伝導部)
3A 切込
3B 伝熱管
3Ba 内側伝熱管
3Bb 外側伝熱管
3C 板材
5 穴
101 燃料部
101A 核燃料
101B 支持体
102 遮へい部
103 熱伝導部(第二熱伝導部)
103C 板材
103Ca 端
104 別の熱伝導部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18