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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 15/00 20060101AFI20231116BHJP
   B23B 3/30 20060101ALI20231116BHJP
   B23Q 7/00 20060101ALI20231116BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
B23B15/00 N
B23B3/30
B23Q7/00 D
B23Q7/04 L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020048940
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021146447
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-12-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 〔公開事由〕 展示会名:メカトロテックジャパン2019 開催日:2019年10月23日~10月26日 〔公開事由〕 配布場所:メカトロテックジャパン2019 配布日:2019年10月23日~10月26日 〔公開事由〕 ウェブサイトのアドレス:https://www.takamaz.co.jp/ https://www.takamaz.co.jp/product/1420/ ウェブサイトの掲載日:2019年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】591014835
【氏名又は名称】高松機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】浅井 隆平
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-175442(JP,A)
【文献】特開2012-121077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 1/00-25/06;
B23Q 7/00-7/18,37/00-41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物を加工するための第1及び第2加工装置部と、前記第1及び第2加工装置部の第1及び第2加工域に加工物を搬送するための搬送装置とを具備し、
前記第1及び第2加工装置部は、前記加工物を保持するための第1及び第2主軸チャックと一体的に回動する第1及び第2主軸を回転自在支持する前記第1及び第2主軸ユニットと、前記第1及び第2主軸チャックに保持された前記加工物を加工するための第1及び第2加工工具が取り付けられた第1及び第2刃物台ユニットとを備え、
前記搬送装置は、前記第1及び第2加工装置部を通して延びる架設レールと、前記架設レールに移動自在に支持された搬送ユニットと、前記搬送ユニットに設けられて前記加工物を保持する第1及び第2搬送チャックと、前記第1及び第2搬送チャックに保持された前記加工物を押し出すために前記搬送ユニットに設けられた第1及び第2プッシャとを備えており、
前記第1及び第2搬送チャックは、前記第1及び第2主軸の前記第1及び第2主軸軸線に対しての第1及び第2旋回軸線を中心として第1角度位置と第2角度位置との間を反転旋回自在に前記搬送ユニットに装着されており、
前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックに保持された前記加工物を反転搬送するときには、前記搬送装置の前記搬送ユニットが前記第1加工装置部と前記第2加工装置部との間を移動する間に、前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックが前記第1角度位置と前記第2角度位置との間を反転旋回されることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
床面に設置されるベッドベースを備え、前記ベッドベースに前記第1及び第2加工装置部が取り付けられ、前記第1及び第2加工装置部は、更に、前記ベッドベースに取り付けられた第1及び第2ベッドユニットと、前記第1及び第2ベッドユニットの第1及び第2上支持面に第1の方向に移動自在に支持された第1及び第2主軸支持部材とを備え、前記第1及び第2主軸ユニットは、前記第1及び第2主軸支持部材の第1及び第2主軸支持面に第2の方向に移動自在に支持され、前記第1及び第2刃物台ユニットは、前記第1及び第2ベッドユニットの中間支持面に第3の方向に移動自在に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記加工物を加工するための第3加工装置部を更に備え、前記第3加工装置部が前記第1及び第2加工装置部とともに前記ベッドベースに取り付けられ、前記搬送装置の前記架設レールは、前記第1~第3加工装置部を通して延びており、前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックに保持された前記加工物を反転搬送するときには、前記搬送装置の前記搬送ユニットが前記第1~第3加工装置部の隣接する加工装置部間を移動する間に、前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックが前記第1角度位置と前記第2角度位置との間を反転旋回されることを特徴とする請求項2に記載の加工装置。
【請求項4】
加工物を保持するための第1及び第2主軸チャックと一体的に回動する第1及び第2主軸を回転自在支持する前記第1及び第2主軸ユニットと、前記第1及び第2主軸ユニットに保持された前記加工物を加工するための第1及び第2加工工具が取り付けられた第1及び第2刃物台ユニットと、前記加工物を第1及び第2加工域に搬送するための搬送装置とを備え、
前記搬送装置は、前記第1及び第2加工域を通して延びる架設レールと、前記架設レールに移動自在に支持された搬送ユニットと、前記搬送ユニットに設けられて前記加工物を保持する第1及び第2搬送チャックと、前記第1及び第2搬送チャックに保持された前記加工物を押し出すために前記搬送ユニットに設けられた第1及び第2プッシャとを備えており、
前記第1及び第2搬送チャックは、前記第1及び第2主軸の第1及び第2主軸軸線に対しての第1及び第2旋回軸線を中心として第1角度位置と第2角度位置との間を反転旋回自在に前記搬送ユニットに装着されており、
前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックに保持された前記加工物を反転搬送するときには、前記搬送装置の前記搬送ユニットが前記第1加工域と前記第2加工域との間を移動する間に、前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックが前記第1角度位置と前記第2角度位置との間を反転旋回されることを特徴とする加工装置。
【請求項5】
床面に設置されるベッド本体を備え、前記ベッド本体の片側に前記第1主軸ユニット又は前記第1刃物台ユニットが配設され、前記ベッド本体の他側に前記第2主軸ユニット又は前記第2刃物台ユニットが配設され、また前記ベッド本体の中央部片側に前記第1主軸ユニット又は前記第1刃物台ユニットに対応して前記第1刃物台ユニット又は前記第1主軸ユニットが配設され、前記ベッド本体の中央部他側に前記第2主軸ユニット又は前記第2刃物台ユニットに対応して前記第2刃物台ユニット又は前記第2主軸ユニットが配設されていることを特徴とする請求項4に記載の加工装置。
【請求項6】
前記搬送ユニットの前記第1及び第2搬送チャックは、同時に、前記第1角度位置から前記第2角度位置に又は前記第2角度位置から前記第1角度位置に180度旋回されて反転されることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物を搬送装置を用いて加工域に搬送して加工を行う加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工物を搬送する搬送装置(例えば、ローダ装置)を備えた加工装置(例えば、NC旋盤)が知られている(例えば、特許文献1参照)。この加工装置は、工場の床面などに設置されるベッドベースと、ベッドベースの中央部に取り付けられた第1及び第2主軸ユニットと、第1及び第2主軸ユニットの両外側に配設された第1及び第2刃物台ユニット(例えば、第1及び第2タレット装置)とを備えている。第1及び第2主軸ユニットは、所定方向に回転駆動される第1及び第2主軸と、第1及び第2主軸と一体的に回動する第1及び第2主軸チャックとを備え、加工すべき加工物は、第1及び第2主軸チャックに着脱自在に取り付けられる。また、第1及び第2刃物台ユニット(第1及び第2タレット装置)には、加工物を加工するための第1及び第2加工工具が取り付けられ、第1主軸ユニットの第1主軸チャックに保持された加工物は、第1加工域において第1刃物台ユニットに取り付けられた第1加工工具により加工が施され、第2主軸ユニットの第2主軸チャックに保持された加工物は、第2加工域において第2刃物台ユニットに取り付けられた第2加工工具により加工が施される。
【0003】
この加工装置では、その前面側、即ち第1及び第2主軸ユニット及び第1及び第2刃物台ユニットの前面側に搬送装置が配設されている。搬送装置は、加工装置の一側端側から他側端側に延びる架設レールと、この架設レールに移動自在に支持された搬送ユニット(ローダ)と、搬送ユニットに取り付けられた第1及び第2搬送チャックとを備えている。また、この搬送装置に関連して、加工物を表裏反転させるための反転装置が装備されることがあり、このような反転装置は、例えば第1及び第2主軸ユニット間の上方に配設される。反転装置は、例えば第1及び第2反転チャックを備え、第1及び第2反転チャック間で加工物の受渡しが行われることにより、この加工物の表裏反転が行われる。
【0004】
このような加工装置において、例えば、加工物の一端側を第1加工域(即ち、第1主軸ユニット及び第1刃物台ユニット)で一次加工を行った後に第2加工域(即ち、第2主軸ユニット及び第2刃物台ユニット)でその他端側を二次加工を行う場合、第1主軸ユニットの第1主軸チャックから取り外した加工物(一次加工済みのもの)を第1加工域から第2加工域に搬送する前に反転装置に搬送し、この反転装置において加工物の受渡しを行ってその表裏を反転させ、その後第2加工域に搬送して第2主軸ユニットの第2主軸チャックに取り付けてこの加工物の他端側を加工している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-155968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した加工装置には、次の通りの解決すべき問題がある。例えば、第1加工域にて加工物の一端側を加工し、第2加工域にてその他端側を加工しようとした場合、この加工物を表裏反転させるための反転装置が必要となるために、加工装置自体が複雑になるとともに、その製造コストも高くなる問題がある。また、反転装置を用いた加工物の表裏反転は、例えば搬送ユニットの第1搬送チャックに保持した加工物を反転装置の第1反転チャックに受渡し、次いで第1反転チャックに保持された加工物を第2反転チャックに受渡し、その後第2反転チャックに保持された加工物を第1搬送チャックに受渡すようにして行われ、この反転装置を用いた加工物の表裏反転には時間を要し、このことに起因して加工効率が低下する問題がある。
【0007】
本発明の目的は、加工物の表裏反転を効率良く行って加工効率を高めることができる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の加工装置は、加工物を加工するための第1及び第2加工装置部と、前記第1及び第2加工装置部の第1及び第2加工域に加工物を搬送するための搬送装置とを具備し、
前記第1及び第2加工装置部は、前記加工物を保持するための第1及び第2主軸チャックと一体的に回動する第1及び第2主軸を回転自在支持する前記第1及び第2主軸ユニットと、前記第1及び第2主軸チャックに保持された前記加工物を加工するための第1及び第2加工工具が取り付けられた第1及び第2刃物台ユニットとを備え、
前記搬送装置は、前記第1及び第2加工装置部を通して延びる架設レールと、前記架設レールに移動自在に支持された搬送ユニットと、前記搬送ユニットに設けられて前記加工物を保持する第1及び第2搬送チャックと、前記第1及び第2搬送チャックに保持された前記加工物を押し出すために前記搬送ユニットに設けられた第1及び第2プッシャとを備えており、
前記第1及び第2搬送チャックは、前記第1及び第2主軸の第1及び第2主軸軸線に対しての第1及び第2旋回軸線を中心として第1角度位置と第2角度位置との間を反転旋回自在に前記搬送ユニットに装着されており、
前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックに保持された前記加工物を反転搬送するときには、前記搬送装置の前記搬送ユニットが前記第1加工装置部と前記第2加工装置部との間を移動する間に、前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックが前記第1角度位置と前記第2角度位置との間を反転旋回されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の加工装置では、床面に設置されるベッドベースを備え、前記ベッドベースに前記第1及び第2加工装置部が取り付けられ、前記第1及び第2加工装置部は、更に、前記ベッドベースに取り付けられた第1及び第2ベッドユニットと、前記第1及び第2ベッドユニットの第1及び第2上支持面に第1の方向に移動自在に支持された第1及び第2主軸支持部材とを備え、前記第1及び第2主軸ユニットは、前記第1及び第2主軸支持部材の第1及び第2主軸支持面に第2の方向に移動自在に支持され、前記第1及び第2刃物台ユニットは、前記第1及び第2ベッドユニットの中間支持面に第3の方向に移動自在に支持されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載の加工装置では、前記加工物を加工するための第3加工装置部を更に備え、前記第3加工装置部が前記第1及び第2加工装置部とともに前記ベッドベースに取り付けられ、前記搬送装置の前記架設レールは、前記第1~第3加工装置部を通して延びており、前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックに保持された前記加工物を反転搬送するときには、前記搬送装置の前記搬送ユニットが前記第1~第3加工装置部の隣接する加工装置部間を移動する間に、前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックが前記第1角度位置と前記第2角度位置との間を反転旋回されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載の加工装置は、加工物を保持するための第1及び第2主軸チャックと一体的に回動する第1及び第2主軸を回転自在支持する前記第1及び第2主軸ユニットと、前記第1及び第2主軸ユニットに保持された前記加工物を加工するための第1及び第2加工工具が取り付けられた第1及び第2刃物台ユニットと、前記加工物を第1及び第2加工域に搬送するための搬送装置とを備え、
前記搬送装置は、前記第1及び第2加工域を通して延びる架設レールと、前記架設レールに移動自在に支持された搬送ユニットと、前記搬送ユニットに設けられて前記加工物を保持する第1及び第2搬送チャックと、前記第1及び第2搬送チャックに保持された前記加工物を押し出すために前記搬送ユニットに設けられた第1及び第2プッシャとを備えており、
前記第1及び第2搬送チャックは、前記第1及び第2主軸の第1及び第2主軸軸線に対しての第1及び第2旋回軸線を中心として第1角度位置と第2角度位置との間を反転旋回自在に前記搬送ユニットに装着されており、
前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックに保持された前記加工物を反転搬送するときには、前記搬送装置の前記搬送ユニットが前記第1加工域と前記第2加工域との間を移動する間に、前記第1搬送チャック又は前記第2搬送チャックが前記第1角度位置と前記第2角度位置との間を反転旋回されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項5に記載の加工装置は、床面に設置されるベッド本体を備え、前記ベッド本体の片側に前記第1主軸ユニット又は前記第1刃物台ユニットが配設され、前記ベッド本体の他側に前記第2主軸ユニット又は前記第2刃物台ユニットが配設され、また前記ベッド本体の中央部片側に前記第1主軸ユニット又は前記第1刃物台ユニットに対応して前記第1刃物台ユニット又は前記第1主軸ユニットが配設され、前記ベッド本体の中央部他側に前記第2主軸ユニット又は前記第2刃物台ユニットに対応して前記第2刃物台ユニット又は前記第2主軸ユニットが配設されていることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の請求項6に記載の加工装置では、前記搬送ユニットの前記第1及び第2搬送チャックは、同時に、前記第1角度位置から前記第2角度位置に又は前記第2角度位置から前記第1角度位置に180度旋回されて反転されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載の加工装置によれば、第1及び第2加工装置部は、第1及び第2主軸を回転自在に支持する第1及び第2主軸ユニットと、加工物を加工するための第1及び第2加工工具が取り付けられた第1及び第2刃物台ユニットと、加工物を第1及び第2加工装置部に搬送するための搬送装置とを備え、搬送装置は、第1及び第2加工装置部を通して延びる架設レールと、架設レールに移動自在に支持された搬送ユニットと、この搬送ユニットに設けられた第1及び第2搬送チャックとを備え、第1及び第2搬送チャックが第1角度位置と第2角度位置との間を反転旋回自在に搬送ユニットに装着されているので、第1搬送チャックを例えば第1角度位置から第2角度位置に旋回することによって、第1搬送チャックに保持された加工物を表裏反転させることができ、また第2搬送チャックを例えば第1角度位置から第2角度位置に旋回させることによって、第2搬送チャックに保持された加工物を表裏反転させることができ、これによって、加工物を反転させるために必要であった専用の反転装置を省略することができ、加工装置の構成を簡単にすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0015】
また、第1搬送チャック(又は第2搬送チャック)に保持された加工物を反転搬送するときには、搬送装置の搬送ユニットが第1加工装置部(又は第2加工装置部)から第2加工装置部(又は第1加工装置部)に移動する間に、第1搬送チャック(又は第2搬送チャック)が第1角度位置と第2角度位置との間を反転旋回されるので、搬送ユニットの移動時間を利用して加工物を表裏反転させることができ、これによって加工時間の短縮化を図ることができる。加えて、搬送ユニットに第1及び第2プッシャが設けられているので、第1搬送チャックに保持された加工物を第1プッシャによって第1主軸ユニットの第1主軸チャック(又は第2主軸ユニットの第2主軸チャック)の所定位置に位置付けることができ、また第2搬送チャックに保持された加工物を第2プッシャによって第1主軸ユニットの第1主軸チャック(又は第2主軸ユニットの第2主軸チャック)の所定位置に位置付けることができる。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載の加工装置によれば、ベッドベースに第1及び第2加工装置部が取り付けられ、第1及び第2加工装置部は、ベッドベースに取り付けられた第1及び第2ベッドユニットと、第1及び第2ベッドユニットの第1及び第2上支持面に第1の方向に移動自在に支持された第1及び第2主軸支持部材とを備え、第1及び第2主軸ユニットは、第1及び第2主軸支持部材の第1及び第2主軸支持面に第2の方向に移動自在に支持され、第1及び第2刃物台ユニットは、第1及び第2ベッドユニットの中間支持面に第3の方向に移動自在に支持されているので、第1及び第2加工装置部を備えた加工装置のコンパクト化を図ることができるとともに、搬送ユニットの第1及び第2搬送チャックと第1及び第2主軸ユニットの第1及び第2主軸チャックとの間の受渡しを容易に行うことができる。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載の加工装置によれば、加工物を加工するための第3加工装置部が設けられ、第3加工装置部が第1及び第2加工装置部とともにベッドベースに取り付けられているので、第1~第3加工装置部を備えた加工装置の小型化を図ることができる。また、搬送装置の架設レールは第1~第3加工装置部を通して延びているので、第1~第3加工装置部間における加工物の任意の搬送を行うことができ、これによって、加工物を効率良く加工することができる。
【0018】
また、本発明の請求項4に記載の加工装置によれば、第1及び第2主軸を回転自在の支持する第1及び第2主軸ユニットと、加工物を加工するための第1及び第2加工工具が取り付けられた第1及び第2刃物台ユニットと、加工物を第1及び第2主軸ユニットの第1及び第2主軸チャックに搬送するための搬送装置とを備え、搬送装置は、第1及び第2加工域を通して延びる架設レールと、架設レールに移動自在に支持された搬送ユニットと、この搬送ユニットに設けられた第1及び第2搬送チャックとを備え、第1及び第2搬送チャックが第1角度位置と第2角度位置との間を反転旋回自在に搬送ユニットに装着されているので、第1搬送チャックを例えば第1角度位置から第2角度位置に旋回させることによって、第1搬送チャックに保持された加工物を表裏反転させることができ、また第2搬送チャックを例えば第1角度位置から第2角度位置に旋回させることによって、第2搬送チャックに保持された加工物を表裏反転させることができ、これによって、加工物を反転させるために必要であった専用の反転装置を省略することができ、加工装置の構成を簡単にすることができるとともに、製造コストを低減することができる。
【0019】
また、第1搬送チャック(又は第2搬送チャック)に保持された加工物を反転搬送するときには、搬送装置の搬送ユニットが第1加工域(又は第2加工域)から第2加工域(又は第1加工域)に移動する間に、第1搬送チャック(又は第2搬送チャック)が第1角度位置と第2角度位置との間を反転旋回されるので、搬送ユニットの移動時間を利用して加工物を表裏反転させることができ、これによって加工時間の短縮化を図ることができる。加えて、搬送ユニットに第1及び第2プッシャが設けられているので、上述したと同様に、第1搬送チャック(及び第2搬送チャック)に保持された加工物を第1プッシャ(及び第2プッシャ)によって第1主軸ユニットの第1主軸チャック(又は第2主軸ユニットの第2主軸チャック)の所定位置に位置付けることができる。
【0020】
また、本発明の請求項5に記載の加工装置によれば、ベッド本体の片側に第1主軸ユニット(又は第1刃物台ユニット)が配設され、このベッド本体の他側に第2主軸ユニット(又は第2刃物台ユニット)が配設され、またベッド本体の中央部片側に第1刃物台ユニット(又は第1主軸ユニット)が配設され、このベッド本体の中央部他側に第2刃物台ユニット(又は第2主軸ユニット)が配設され、このような形態の加工装置にも同様に適用することができる。
【0021】
更に、本発明の請求項6に記載の加工装置によれば、搬送ユニットの第1及び第2搬送チャックは、同時に、第1角度位置から第2角度位置に又は第2角度位置から第1角度位置に180度旋回されて反転されるので、第1搬送チャック(又は第2搬送チャック)に保持された加工物を簡単な制御でもって反転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に従う加工装置の一実施形態を示す正面図。
図2図1におけるII-II線による断面図。
図3図1の加工装置における第1加工装置部の第1加工域及びその周囲を拡大して示す部分拡大断面図。
図4図1の加工装置に装備された搬送装置を示す斜視図。
図5図4の搬送装置を示す右側面図。
図6図4の搬送装置のヘッド部を示す斜視図。
図7図1の加工装置における第1主軸ユニットから第1搬送チャックへの加工物の受渡しを説明するための説明図。
図8図1の加工装置における第1加工域から第2加工域への搬送ユニットの移動を説明するための説明図。
図9図1の加工装置における第1搬送チャックから第2主軸ユニットへの加工物の受渡しを説明するための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う加工装置の一実施形態について説明する。図1及び図2において、図示の加工装置は加工装置本体2を備え、この実施形態では、加工装置本体2は、その幅方向(図1において左右方向、図2において紙面に対して垂直な方向)に連続して配設された3つの加工装置部、即ち第1~第3加工装置部4,6,8を備え、これら第1~第3加工装置部4~8がベッドベース7に取り付けられている。この加工装置本体2の一側部(図1において左側部)に加工物供給装置10が設けられ、また第1~第3加工装置部4~8に関連して、加工物供給装置10の供給域に搬送された加工物P(図3参照)を第1~第3加工装置部4~8の第1~第3加工域K(K1~K3)に搬送するための搬送装置11が設けられている。
【0024】
第1~第3加工装置部4~8は、実質上同一の構成であり、それらの一つの加工装置部、例えば第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)について説明する。主として図2を参照して、図示の第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)は、工場の床面に設置されるベッドベース7に取り付けられるベッドユニット12を備え、このベッドユニット12に第1支持機構14を介して主軸支持部材16が第1の方向(所謂、Y軸方向)に移動自在に支持されている。この実施形態では、第1~第3加工装置部4~8は、一つのベッドベース7に取り付けられ、かかる共通のベッドベース7に第1~第3加工装置部4~8のベッドユニット12が取り付けられる。
【0025】
第1支持機構14に関連して、第1駆動源としての第1駆動モータ18が設けられ、この第1駆動モータ18が例えば所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、主軸支持部材16は、第1支持機構14の支持面、即ちベッドユニット12の上支持面に支持されて矢印20(又は22)で示す方向に移動される。
【0026】
この主軸支持部材16に第2支持機構24を介して主軸ユニット26が第2の方向(所謂、Z軸方向)に移動自在に支持されている。この第2支持機構24に関連して、第2駆動源としての第2駆動モータ28が設けられ、この第2駆動モータ28が例えば所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、主軸ユニット26は、第2支持機構24の支持面、即ち主軸支持部材16の主軸支持面に支持されて矢印30(又は32)で示す方向に移動される。
【0027】
また、ベッドユニット12の前中間部に第3支持機構34を介して刃物台ユニット36が第3の方向(所謂、X軸方向)に移動自在に支持されている。この第3の支持機構34に関連して、第3駆動源としての第3駆動モータ38が設けられ、第3駆動モータ38が例えば所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、刃物台ユニット36は、第3支持機構34の支持面、即ちベッドユニット12の中間支持面に支持されて図2において紙面に対して垂直な方向奥側(又は紙面に対して垂直な方向手前側)に移動される。
【0028】
この加工装置においては、第1支持機構14の支持面、即ちベッドユニット12の上支持面は、加工装置本体2の後側(図2において右側)から前側(図2において左側)に向けて斜め上方に傾斜して延び、その傾斜角度が例えば45度になるように構成されている。また、第2支持機構24の支持面、即ち主軸支持部材16の主軸支持面は、加工装置本体2の後側から前側に斜め下方に傾斜して延び、その傾斜角度が例えば45度になるように構成され、ベッドユニット12の上支持面に対して実質上垂直となるように構成され、このように構成することにより、第1及び第2支持機構14,24に関連して、加工装置本体2(第1~第3加工装置部4~8)の前後方向のサイズを小さくすることができる。尚、ベッドユニット12の上支持面の傾斜角度を例えば60度に、また主軸支持部材16の主軸支持面の角度を例えば30度になるようにしてもよい。
【0029】
主軸ユニット26は、所定方向に回転駆動される主軸(図示せず)を備え、この主軸と一体的に回動するように 主軸チャック40が取り付けられ、加工すべき加工物Pは、この主軸チャック40のチャック爪41(図7図9参照)間に着脱自在に保持される。主軸(図示せず)の軸線は、図2において右上から左下の方向、図7図9において上下方向)に延び、主軸支持部材16の主軸支持面は、この主軸の軸線方向(即ち、加工物Pの送り方向)に実質上平行に延び、ベッドユニット12の上支持面は、この主軸の軸線に対して垂直な方向(即ち、加工物Pの切込み方向)に延びている。更に、ベッドユニット12の中間支持面は、主軸の軸線(換言すると、主軸支持部材16の主軸支持面)と平行となるように斜め下方に傾斜し、図2及び図3において紙面に対して垂直な方向(即ち、加工物Pの切込み方向)に延びている。
【0030】
また、刃物台ユニット36は刃物台42を備え、この刃物台42に加工物Pを加工(例えば、切削加工)するための加工工具(図示せず)が取り付けられる。主軸ユニット26(具体的には、主軸チャック40に取り付けられた加工物P)と刃物台ユニット36(具体的には、刃物台42に取り付けられた加工工具)との間に加工域K(第1加工域K1、第2加工域K2、第3加工域K3)が存在し、刃物台ユニット36の加工工具(図示せず)は、加工域K(第1加工域K1、第2加工域K2、第3加工域K3)において、主軸チャック40に保持されて所定方向に回動する加工物Pに作用して加工を施す。
【0031】
この実施形態では、第3支持機構34に関連して、次のように構成されている。ベッドユニット12の前中間部には、加工装置本体2の後側から前側に向けて斜め上方に開口する前中間凹部44が設けられ、この前中間凹部44に一対の案内支持レール46が取り付けられ、かかる一対の案内支持レール46は前中間凹部44内を第3の方向に延び、それらの上面が中間支持面を規定する。そして、刃物台ユニット36の一部(この形態では、その下部)がこの前中間凹部44に収容されて一対の案内支持レール46に支持され、このような構成により、刃物台ユニット36を加工装置本体2の後側に配置することができ、この構成によっても加工装置本体2の前後方向のサイズを小さくすることができる。
【0032】
尚、上述した説明では、第1~第3加工装置部4~8の構成が実質上同一であるので、第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)に関する構成を説明するに際し、ベッドユニット12、主軸支持部材16、主軸ユニット26、主軸チャック40、加工域K、刃物台ユニット36などと説明しているが、この明細書全体を通して、第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)に関するこれらの構成を第1ベッドユニット12(第2ベッドユニット、第3ベッドユニット)、第1主軸支持部材16(第2主軸支持部材、第3支持部材)、第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)、第1主軸チャック40(第2主軸チャック、第3主軸チャック)、第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)、第1刃物台ユニット36(第2刃物台ユニット、第3刃物台ユニット)などと称することもある。
【0033】
再び、図1及び図2を参照して、加工物Pを搬送するための搬送装置11について説明すると、図示の搬送装置11は、加工物供給装置10から加工装置本体2に延びる架設レール52を備え、この架設レール52は、加工物供給装置10及び加工装置本体2の第1~第3加工装置部4~8内を通して加工装置本体2の横方向(図1において左右方向、図2において紙面に対して垂直な方向)に延びている。
【0034】
この搬送装置11は、加工物Pを搬送するための搬送ユニット54を備え、この搬送ユニット54は、その下端部に設けられたヘッド部56を有し、このヘッド部56に一対の搬送チャック、即ち第1及び第2搬送チャック58,60が取り付けられている。この搬送ユニット54の上端部は架設レール52に移動自在に支持され、この支持された上端部からヘッド部56に向けて下方に延び、例えば、搬送駆動源としての搬送駆動モータ(図示せず)が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、この搬送ユニット54は架設レール52に沿って矢印62(又は矢印64)で示す方向に移動される。
【0035】
この搬送装置11の搬送ユニット54は、例えば、次のように位置付けられる。加工物供給装置10から加工物Pを受け取るときには、受取り位置(図示せず)に位置付けられ、加工物Pを受け渡すための受渡し手段(図示せず)により、搬送装置11の供給域(図示せず)に搬送されてきた加工物Pが、受渡し手段(図示せす)を介して搬送ユニット54の一方の搬送チャック、例えば第1搬送チャック58(又は他方の搬送チャック、例えば第2搬送チャック60)に受け渡される。
【0036】
加工物Pを第1加工装置部4の第1主軸チャック40に受渡しするときには、搬送ユニット54は架設レール52に沿って移動されて図1に実線54Aで示す第1受渡し位置に位置付けられる。この第1の受渡し位置54Aにおいては、図2に示すように、搬送装置11の第1及び第2搬送チャック58,60が第1加工装置部4の第1加工域K1に対応する位置に位置し、第1加工装置部4の第1主軸ユニット26が第2支持機構24を介して搬送ユニット54のヘッド部56に近接する方向(矢印30で示す方向)に移動することにより行われ、例えば図7に示すように、第1主軸チャック40の第1主軸チャック爪41間に保持された加工物P(例えば、一次加工済みのもの)が搬送ユニット54の第2搬送チャック60の第2搬送チャック爪61間に受渡しされた後に、その第1搬送チャック58の第1搬送チャック爪59間に保持された加工物P(未加工のもの)が第1主軸チャック40の第1主軸チャック爪41間に受渡しされる。
【0037】
加工物Pを第2加工装置部6の第2主軸チャック40に受渡しするときには、搬送ユニット54は架設レール52に沿って移動されて図1に破線54Bで示す第2受渡し位置に位置付けられる。この第2の受渡し位置54Bにおいては、上述したと同様に、搬送装置11の第1及び第2搬送チャック58,60が第2加工装置部6の第2加工域K2に対応する位置に位置付けられ、第2加工装置部6の第2主軸ユニット26が第2支持機構24を介して搬送ユニット54のヘッド部56に近接する方向(矢印30で示す方向)に移動することにより、上述したと同様にして行われ、例えば、第2主軸チャック40(第2主軸チャック爪41)に保持された加工物Pが搬送ユニット54の第2搬送チャック60(第2搬送チャック爪61)に受渡しされた後に、その第1搬送チャック58(第1搬送チャック爪59)に保持された加工物Pが第2主軸チャック40(第2主軸チャック爪41)に受渡しされる。
【0038】
また、加工物Pを第3加工装置部8の第3主軸チャック40に保持するときには、搬送ユニット54は架設レール52に沿って移動されて図1に破線54Cで示す第3受渡し位置に位置付けられる。この第3の受渡し位置54Cにおいては、上述したと同様に、搬送装置11の第1及び第2搬送チャック58,60が第3加工装置部8の第3加工域K3に対応する位置に位置付けられ、第3加工装置部8の第3主軸ユニット26が第2支持機構24を介して搬送ユニット54のヘッド部56に近接する方向(矢印30で示す方向)に移動することにより、上述したと同様に行われ、例えば、第3主軸チャック40に保持された加工物Pが搬送ユニット54の第2搬送チャック60に受渡しされた後に、その第1搬送チャック58に保持された加工物Pが第3主軸チャック40に受渡しされる。
【0039】
尚、上述した説明では、例えば第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)の第1主軸チャック40(第2主軸チャック、第3主軸チャック)に保持された加工物Pを搬送ユニット54の第2搬送チャック60で受け取った後に第1搬送チャック58に保持された加工物Pを第1主軸チャック40(第2主軸チャック、第3主軸チャック)に受け渡しているが、これとは反対に、例えば第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)の第1主軸チャック40(第2主軸チャック、第3主軸チャック)に保持された加工物Pを搬送ユニット54の第1搬送チャック58で受け取った後に第2搬送チャック60に保持された加工物Pを第1主軸チャック40(第2主軸チャック、第3主軸チャック)に受け渡しするようにしてもよい。
【0040】
この加工装置では、図1及び図2に示すように、加工装置本体2、即ち第1~第3加工装置部4~8を覆うようにハウジングカバー66が設けられている。このハウジングカバー66は、加工装置本体2の前面を覆う前面カバー(第1~第3前面カバー68から構成される)と、その片側面(図1において左側面)を覆う第1側面カバー70と、その他側面(図1において右側面)を覆う第2側面カバー72と、その後面を覆う後面カバー74と、その上面を覆う上面カバー76とを有し、これらの4つのカバー68,70,72,74によって、加工装置本体2の4側面を覆い、残りのカバー76により加工装置本体2の上面を覆っている。
【0041】
この加工装置では、搬送装置11の搬送ユニット54を上述した如く移動させるために、更に、次のように構成されている。主として図2及び図3を参照して、第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)の第1主軸支持部材16(第2主軸部材、第3主軸部材)が第1の方向(Y軸方向)である斜め上方に移動自在に支持され、第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)が斜め下方である第2の方向(Z軸方向)に移動自在に支持されているので、ハウジングカバー66内の前上部、即ち、第1前面カバー68(第2前面カバー、第3前面カバー)の前上カバー部78と第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)との間に、略三角形状の第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)が生じている(この収容空間80の上面は、上面カバー76の内側の上傾斜カバー壁77により覆われている)。尚、第1前面カバー68(第2前面カバー、第3前面カバー)の前上カバー部78の前面側には、加工条件などを入力操作するための操作パネル79が配設されている。
【0042】
この三角形状の第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)は第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)の横方向(図1において左右方向、図2及び図3において紙面に対して垂直な方向)にその一端から他端まで延びており、このように構成することにより、第1加工装置部4の第1収容空間80、第2加工装置部6の第2収容空間及び第3加工装置部8の第3収容空間は、相互に連通して加工装置本体2の一側端部から他側端部まで連続して延びる搬送空間82を規定する。そして、図3に示すように、搬送装置11の架設レール52は、この搬送空間82の上端部に配置され、架設レール52に支持された搬送ユニット54(そのヘッド部56及びこれに取り付けられた第1及び第2搬送チャック58,60)は、この搬送空間82内を加工装置本体2の横方向に往復移動される。
【0043】
この搬送空間82に関連して、更に、次の通りに構成されている。第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)の第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)が存在する第1加工室84(第2加工室、第3加工室)とその第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)とを仕切るために、第1中間仕切り壁86(第2中間仕切り壁、第3中間仕切り壁)が設けられている。この実施形態では、第1中間仕切り壁86(第2中間仕切り壁、第3中間仕切り壁)は上傾斜カバー壁77から下方に延び、その下端部が第1前面カバー68(第2前面カバー、第3前面カバー)の内面に取り付けられ、この第1加工室84(第2加工室、第3加工室)には、第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)及び第1刃物台ユニット36(第2刃物台ユニット、第3刃物台ユニット)などが収容される。
【0044】
この第1中間仕切り壁86(第2中間仕切り壁、第3中間仕切り壁)には、第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)に対応して内側確認用開口90(図3参照)が設けられ、この内側確認用開口90に第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)が開閉自在に設けられている。この実施形態では、図示していないが、第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)が横方向に移動して内側確認用開口90を開閉するように構成されている。
【0045】
この第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)が開状態のときには、図3に示すように、この内側確認用開口90を通して第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)と第1加工室84(第2加工室、第3加工室)とが連通され、例えば、搬送装置11の搬送ユニット54(第1及び第2搬送チャック58,60)と第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)の第1主軸チャック40(第2主軸チャック、第3主軸チャック)との加工物Pの受渡し、第1刃物台ユニット36(第2刃物台ユニット、第3刃物台ユニット)に取り付けられた加工工具の取替えなどを行うことができる。
【0046】
この実施形態では、更に、ハウジングカバー66の第1前面カバー68(第2前面カバー、第3前面カバー)に第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)に対応して外側確認用開口94が設けられ、この外側確認用開口94に第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)が上下方向に開閉自在に取り付けられている。この第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)の外側上部に取っ手部98が設けられ、この取っ手部98を把持することにより、第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)の開閉動作を容易に行うことができる。
【0047】
第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)が開状態にあるときには、外側確認用開口94が開放され、この外側確認用開口94を通して搬送装置11の第1及び第2搬送チャック58,60の点検などを行うことができ、更に第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)も開状態のときには、外側からの加工工具の交換などを行うことができる。
【0048】
また、第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)が閉状態にあるときには、図2図4及び図6に示すように、外側確認用開口94が閉塞され、第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)と外側(作業者側空間)との連通状態が遮断され、加工作業中の安全を確保することができる。
【0049】
次に、図4図6を参照して、加工物Pを搬送する搬送装置11について説明する。図示の搬送装置11では、架設レール52は加工物供給装置10及び加工装置本体2の第1~第3加工装置部4~8内を通して加工装置本体2の横方向に延びており、この架設レール52に沿って移動される搬送ユニット54は、図1に示すように、第1加工装置部4の第1主軸チャック40との間で加工物Pの受渡しを行うときには第1受渡し位置54Aに位置付けられ、第2加工装置部6の第2主軸チャック40との間で加工物Pの受渡しを行うときには第2受渡し位置54Bに位置付けられ、また第3加工装置部8の第3主軸チャック40との間で加工物Pの受渡しを行うときには第3受渡し位置54Cに位置付けられる。
【0050】
この搬送ユニット54は、架設レール52に移動自在に支持されたユニット本体102と、このユニット本体102に取り付けられた支持アーム104とを備え、ヘッド部56はこの支持アーム104の下端部に設けられている。搬送ユニット54に関連して移動用駆動源(図示せず)が設けられ、この移動用駆動源によって搬送ユニット54が架設レール52に沿って往復移動される。また、支持アーム104に関連して昇降用駆動源106が設けられ、この昇降用駆動源106によって支持アーム104が上下方向に移動される。尚、移動用駆動源及び昇降用駆動源106は、例えば電動モータなどから構成される。
【0051】
搬送ユニット54のヘッド部56には、加工物Pを保持するための第1及び第2搬送チャック58,60が設けられ、これら第1及び第2搬送チャック58,60に関連して第1及び第2プッシャ108,110が設けられている。第1及び第2搬送チャック58,60は、実質上同一の構成であり、搬送ユニット54のヘッド部56に旋回自在に取り付けられた円筒状の第1及び第2チャック本体112,114を備え、第1及び第2チャック本体112,114の片側(ヘッド部56から突出する側)に一対の第1及び第2搬送チャック爪59,61が開閉自在に設けられ、これら第1及び第2搬送チャック爪59,61間に加工物Pが挟持保持される。
【0052】
第1搬送チャック爪59に関連して第1開閉シリンダ機構115が設けられ、この第1開閉シリンダ機構の開ポート116及び閉ポート118がヘッド部56に設けられている。従って、開ポート116を通して圧力流体が供給されると、一対の第1搬送チャック爪59が第1開閉シリンダ機構115により開方向に移動されて開状態となり、また閉ポート118を通して圧力流体が供給されると、一対の第1搬送チャック爪59が第1開閉シリンダ機構115により閉方向に移動されて閉状態になり、一対の第1搬送チャック爪59間に加工物Pが挟持保持される。
【0053】
また、第2搬送チャック爪61に関連して第2開閉シリンダ機構117が設けられ、この第2開閉シリンダ機構117の開ポート120及び閉ポート122がヘッド部56に設けられている。従って、開ポート120を通して圧力流体が供給されると、一対の第2搬送チャック爪61が第2開閉シリンダ機構117により開方向に移動されて開状態となり、また閉ポート122を通して圧力流体が供給されると、一対の第2搬送チャック爪61が第2開閉シリンダ機構117により閉方向に移動されて閉状態になり、一対の第2搬送チャック爪61間に加工物Pが挟持保持される。
【0054】
また、第1及び第2チャック本体112,114の他端側には、これらを旋回駆動させるための第1及び第2旋回シリンダ機構124,126が取り付けられ、この第1旋回シリンダ機構124に関連して、その第1ポート128及び第2ポート130がヘッド部56に設けられ、第2旋回シリンダ機構126に関連して、その第1ポート132及び第2ポート134がヘッド部56に設けられている。
【0055】
この実施形態では、第1及び第2搬送チャック58,60の第1及び第2チャック本体112,114は、図7図9において紙面に対して垂直に延びる第1及び第2旋回軸線(即ち、第1~第3主軸ユニット26の第1~第3主軸の第1~第3主軸軸線に対して垂直な方向に延びる旋回軸線)を中心として第1角度位置(例えば、図7に示す角度位置)と第2角度位置(例えば、図9に示す角度位置)との間を180度旋回するようにヘッド部56に装着されている。
【0056】
このように構成されているので、第1ポート128を通して圧力流体が供給されると、第1チャック本体112(一対の第1搬送チャック爪59)が第1旋回シリンダ124により所定方向(例えば、図6及び図7において反時計方向)に旋回されて図6及び図7に示す第1角度位置に保持され、また第2ポート130を通して圧力流体が供給されると、第1チャック本体112が第1旋回シリンダ機構124により所定方向と反対方向(例えば、図6及び図7において時計方向)に旋回されて図9に示す第2角度位置(第1角度位置から180度回動した角度位置)に保持される。
【0057】
また、第1ポート132を通して圧力流体が供給されると、第2チャック本体114(一対の第2搬送チャック爪61)が第2旋回シリンダ機構126により所定方向(例えば、図6及び図7において反時計方向)に旋回されて図6及び図7に示す第1角度位置に保持され、また第2ポート134を通して圧力流体が供給されると、第2チャック本体114が第2旋回シリンダ機構126により所定方向と反対方向(例えば、図6及び図7において時計方向)に旋回されて図9に示す第2角度位置(第1角度位置から180度旋回した角度位置)に保持される。
【0058】
第1及び第2開閉シリンダ機構115,117並びに第1及び第2旋回シリンダ機構124,126は、例えば空圧シリンダ機構から構成され、この場合、例えばコンプレッサからの圧縮空気が圧力流体として供給される。
【0059】
第1及び第2搬送チャック58,60に関連して、それらの背面側(第1~第3主軸ユニット26とは反対側)に第1及び第2プッシャ108,110が設けられている(図1図3においてはこれらを省略して示している)。第1プッシャ108は、第1押圧シリンダ機構142を備え、この第1押圧シリンダ機構142の出力部に押圧部材144が装着されている。第1押圧シリンダ機構142は、出力部を伸縮させるための伸張ポート146及び収縮ポート148を備え、伸張ポート146を通して圧力流体が供給されると、第1押圧シリンダ機構142の出力部が伸張し、押圧部材144が第1搬送チャック58(一対の第1搬送チャック爪59)に保持された加工物Pに作用し、収縮ポート148を通して圧力流体が供給されると、第1押圧シリンダ機構142の出力部が収縮し、押圧部材144は第1搬送チャック58に保持された加工物Pから後退する。
【0060】
また、第2プッシャ110は、第2押圧シリンダ機構150を備え、この第2押圧シリンダ機構150の出力部に押圧部材152が装着されている。第2押圧シリンダ機構150は、出力部を伸縮させるための伸張ポート154及び収縮ポート156を備え、伸張ポート154を通して圧力流体が供給されると、第2押圧シリンダ機構150の出力部が伸張し、押圧部材152が第2搬送チャック60(一対の第2搬送チャック爪61)に保持された加工物Pに作用し、収縮ポート156を通して圧力流体が供給されると、第2押圧シリンダ機構150の出力部が収縮し、この押圧部材152は第2搬送チャック60に保持された加工物Pから後退する。尚、第1及び第2押圧シリンダ機構142,150も例えば空圧シリンダ機構から構成される。
【0061】
この実施形態では、第1及び第2プッシャ108,110(第1及び第2押圧シリンダ機構142,150)の押圧部材144,152は、第1及び第2搬送チャック58,60に保持された加工物Pに作用するように制御されているが、このような制御に代えて、第1及び第2搬送チャック60による保持が解除された後に、かかる押圧部材144,152が加工物Pに作用するように制御するようにしてもよく、或いは押圧部材144,152の加工物Pへの作用時点を第1及び第2搬送チャック58,60による解除直前又は解除直後となるように切換制御可能に構成するようにしてもよい。
【0062】
この搬送装置11による加工物Pの反転搬送は、例えば、次のように行われる。第1加工装置部4に加工された加工物P(例えば、一次加工されたもの)を反転させて第2加工装置部6に搬送するときには、図7図9に示すように行われる。
【0063】
この反転搬送のときには、図7に示すように、搬送装置11の搬送ユニット54が架設レール52に沿って移動されて第1受渡し位置54Aに位置付けられる(図1も参照)。そして、この第1受渡位置54Aにおいて、第1加工装置部4の第1主軸ユニット26と搬送ユニット54との間で加工物Pの受渡しが行われる。例えば、加工物Pの一端側は第1加工装置部4の第1主軸チャック40(第1主軸チャック爪41)に保持され、かく保持された加工物Pの他端側が、第1刃物台ユニット36に取り付けられた第1加工工具(図示せず)により加工(例えば、切削加工)され、この加工された加工物P(一次加工されたもの)が搬送ユニット54の例えば第2搬送チャック60に受け渡される。
【0064】
加工物Pを受け渡す際には、第1主軸ユニット26が第2支持機構24に沿って矢印162で示す方向(搬送ユニット54に近接する方向)に移動され、第1主軸チャック40に保持された加工物Pの他端側が第2搬送チャック60の開状態の第2搬送チャック爪61間に挿入され、挿入後に第2搬送チャック爪61が閉状態になって、この加工物Pが図7に一点鎖線で示すように一対の第2搬送チャック爪61間に挟持保持され、このようにして第1主軸チャック40から矢印163で示すように第2搬送チャック60に受け渡される。この受渡し後、第1主軸チャック40が開状態になり、第1主軸ユニット26が矢印162で示す方向と反対方向に後退する。
【0065】
第2搬送チャック爪61の開移動は、第2開閉シリンダ機構117の開ポート120に圧力流体を供給することにより行われ、またそれらの閉移動は、その閉ポート122に圧力流体を供給することにより行われる。また、この実施形態においては、搬送ユニット54の第1及び第2搬送チャック58,60は同時に旋回して第1角度位置又は第2角度位置に保持されるように構成されており、上述したように第1主軸チャック40から第2搬送チャック60に受渡しするときには、第1及び第2搬送チャック58,60は、例えば第1角度位置に保持される。
【0066】
その後、図示していないが、搬送ユニット54が図7において幾分左方向に移動して第1搬送チャック58(一対の第1搬送チャック爪59)に保持された加工物P(例えば、未加工のもの)の受渡しが行われる。例えば、加工物Pの他端側は搬送ユニット54の第1搬送チャック58(第1搬送チャック爪59)に保持され、かく保持された加工物Pの一端側が第1主軸ユニット26の第1主軸チャック40(第1主軸チャック爪41)に受渡しされる。
【0067】
加工物Pを第1主軸ユニット26側に受け渡す際には、第1主軸ユニット26が第2支持機構24に沿って矢印162で示す方向(搬送ユニット54に近接する方向)に移動され、搬送ユニット54側の第1搬送チャック58(一対の第1搬送チャック爪59)に保持された加工物Pの一端側が第1主軸チャック40の開状態の第1主軸チャック爪41間に挿入され、更に第1プッシャ108が作動して加工物Pの挿入位置付けが行われる。即ち、第1押圧シリンダ機構142が伸張し、押圧部材144が第1搬送チャック58に保持された加工物Pの他端に作用して第1主軸ユニット26に向けて押圧し、このようにして加工物Pが所定位置まで挿入される。この挿入後、第1押圧シリンダ機構142は収縮して押圧部材144は後退する。
【0068】
押圧部材144の挿入移動は、第1押圧シリンダ機構142の伸張ポート154に圧力流体を供給することにより行われ、またその後退移動は、その収縮ポート156に圧力流体を供給することにより行われる。
【0069】
このようにして加工物Pが挿入されると、第1主軸チャック爪41が閉状態になり、この加工物Pが第1主軸チャック40(一対の第1主軸チャック爪41)に挟持保持され、このようにして第1主軸チャック40に受け渡され、この受渡し後に第1主軸ユニット26が矢印162で示す方向と反対方向に後退する。このように加工物P(未加工のもの)の受渡しが行われると、図8に示すように、搬送ユニット54の第1搬送チャック58は空の状態(加工物Pを保持していない状態)になる。
【0070】
第1受渡し位置での加工物Pの受渡しが終了すると、図8及び図9に示すように、搬送ユニット54が第1加工装置部4(第1受渡し位置54A)から架設レール52に沿って矢印164(図8参照)で示す方向に第2加工装置部6(第2受渡し位置54B)まで移動し、この第2受渡し位置での加工物Pの受渡しが行われる。
【0071】
この実施形態では、第1受渡し位置から第2受渡し位置に移動する間に、図8及び図9から理解されるように、第1及び第2搬送ユニット58及び60が第1角度位置(図7に示す角度位置)から矢印166で示す所定方向(図8において時計方向)に旋回して第2角度位置(図9に示す角度位置)に同時に旋回され、このように同時旋回するように制御することにより、その旋回制御が容易となる。第1及び第2搬送ユニット58,60の第2角度位置に向けての旋回移動は、第1及び第2旋回シリンダ機構124,126の第1ポート128,132に圧力流体を供給することにより行われる。
【0072】
このように搬送ユニット54が第1受渡し位置54Aから第2受渡し位置54Bに移動すると、図9に示すように、第2搬送チャック60に保持された加工物Pは、表裏反転した状態となり、加工物Pの他端側(第1加工装置部4にて一次加工された一端側と反対の側)が第2加工装置部6(第2主軸ユニット26)と対向した状態となる。尚、加工物Pの表裏反転を行わないとき(そのままの状態で搬送するとき)には、第1及び第2旋回シリンダ機構124,126が作動せず、第1及び第2搬送チャック58,60は反転旋回することなく移動される。
【0073】
この実施形態では、搬送ユニット54が第2受渡し位置54Bに移動する間に第1及び第2搬送ユニット58,60が第1角度位置から第2角度位置に反転旋回されるので、加工物Pを表裏反転させるための専用の反転装置を必要とせず、加工装置の構成を簡単にすることができる。更に、従来のように反転装置で加工物を反転させるための反転工程も不要となり、これによって、加工物Pの加工時間を短くし、加工効率の効率化を図ることができる。加えて、第1加工装置部2(第1受渡し位置54A)から第2加工装置部6(第2受渡し位置54B)に反転させながら移動させる時間と、反転させることなく移動させる時間とが同じとなり、このことに関連して、第1~第3加工装置部4~8を用いて種々の工程での加工が可能となる。
【0074】
第2受渡位置54Bにおける加工物Pの受渡しは、第1受渡し位置54Aにおける受渡しと同様に行われる。まず、第2加工装置部6の第2主軸ユニット26と搬送ユニット54との間で加工物Pの受渡しが行われる。例えば、加工物Pの他端側は第2加工装置部6の第2主軸チャック40に保持され、かく保持された加工物Pの一端側が、第2刃物台ユニット36に取り付けられた加工工具(図示せず)により加工(例えば、切削加工)され、この加工された加工物P(二次加工されたもの)が搬送ユニット54の例えば第1搬送チャック58に受け渡され、この加工物Pの受渡しは、上述したと同様に行われる。
【0075】
加工物Pを受け渡す際には、第2主軸ユニット26が第2支持機構24に沿って搬送ユニット54に近接する方向に移動され、第2主軸チャック40に保持された加工物Pの一端側が第1搬送チャック58の開状態の第1搬送チャック爪59間に挿入され、挿入後に第1搬送チャック爪59が閉状態になり、このようにして加工物Pが第1搬送チャック58に受け渡される。
【0076】
その後、図示していないが、搬送ユニット54が幾分右方向に移動して図9に示す位置に位置付けられ、第2搬送チャック60(一対の第2搬送チャック爪61)に保持された加工物P(第1加工装置部4にて一次加工されたもの)の受渡しが行われる。加工物Pの一端側は搬送ユニット54の第2搬送チャック60に保持され、かく保持された加工物Pの他端側が第2主軸ユニット26の第2主軸チャック40(第2主軸チャック爪41)に受渡しされる。
【0077】
加工物Pを第2主軸ユニット26側に受け渡す際には、第2主軸ユニット26が第2支持機構24に沿って矢印168で示す方向(即ち、搬送ユニット54に近接する方向)に移動され、搬送ユニット54側の第2搬送チャック60に保持された加工物Pの他端側が第2主軸チャック40の開状態の第2主軸チャック爪41間に挿入され、更に第2プッシャ110が作動して加工物Pの挿入位置付けが行われる。即ち、第2押圧シリンダ機構150が伸張し、押圧部材152が矢印170で示す方向に第1搬送チャック58に保持された加工物Pの他端に作用して第2主軸ユニット26に向けて押圧し、このようにして加工物Pが所定位置まで挿入され、このようにして第2搬送チャック60から矢印172で示すように第2主軸チャック40に受け渡される。
【0078】
上述した例では、第1加工装置部4(第1受渡し位置54A)から第2加工装置部(第2受渡し位置54B)に移動する間に、第1及び第2搬送チャック58,60が第1角度位置から第2角度位置に180度旋回して加工物Pを反転させているが、これとは反対に、第1及び第2搬送チャック58,60が第2角度位置から第1角度位置に180度旋回して加工物Pを反転させるようにしてもよい。
【0079】
また、例えば、上述した例では、第1搬送チャック58又は第2搬送チャック60に保持された加工物Pを表裏反転させるときに、第1及び第2搬送チャック58,60を同時に反転旋回させている(第1角度位置から第2角度位置に、又は第2角度位置から第1角度位置に旋回させている)が、加工物Pを保持している第1搬送チャック58又は第2搬送チャック60のみを反転旋回させるようにしてもよい。
【0080】
また、上述した例では、第1加工装置部4(第1受渡し位置54A)から第2加工装置部6(第2受渡し位置54B)に搬送する場合について説明したが、第1加工装置部4又は第2加工装置部6から第3加工装置部8(第3受渡し位置54C)に搬送する場合についても上述したと同様に行うことができる。また、上述した搬送方向とは反対に、第3加工装置部8から第2加工装置部6又は第1加工装置部2に搬送する場合、或いは第2加工装置部6から第1加工装置部2に搬送する場合についても上述したと同様に行うことができる。
【0081】
更に、例えば、上述した実施形態では、ベッドベース7に3つの加工装置部(第1~第3加工装置部4~8)を設けたものに適用して説明したが、このような構成に限定されず、ベッドベース7に2つ又は4つ以上の加工装置部を設けたものにも同様に適用することができる。
【0082】
以上、本発明に従う加工装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0083】
例えば、上述した実施形態では、ベッドベース7に複数(例えば、3つ)の加工装置部4~8を取り付けたものに適用して説明したが、このようなものに限定されず、従来の工作機械、例えば従来の2スピンドル-2スライド型のもの、従来の3スピンドル-3スライド型のものなどにも同様に適用することができる。
【0084】
例えば、従来の2スピンドル-2スライド型の加工装置(例えば、NC旋盤)においては、図示していないが、床面に設置されるベッド本体の片側に第1主軸ユニット(又は第1刃物台ユニット)が配設され、その他側に第2主軸ユニット(又は第2刃物台ユニット)が配設され、このような構成に関連して、ベッド本体の中央部片側に第1主軸ユニット(又は第1刃物台ユニット)に対応して第1刃物台ユニット(又は第1主軸ユニット)が配設され、またベッド本体の中央部他側に第2主軸ユニット(又は第2刃物台ユニット)に対応して第2刃物台ユニット(又は第2主軸ユニット)が配設される。
【0085】
第1及び第2主軸ユニットには、第1及び第2主軸チャックと一体的に回動する第1及び第2主軸が回転自在に支持され、これら第1及び第2主軸チャックに加工すべき加工物が着脱自在に保持される。また、第1及び第2刃物台ユニットには、第1及び第2主軸チャックに保持された加工物を加工するための第1及び第2加工工具(例えば、切削工具)が取り付けられる。第1及び第2主軸チャックに保持された加工物と第1及び第2刃物台ユニットに取り付けられた第1及び第2加工工具との間が第1及び第2加工域となり、かかる第1及び第2加工域において加工物に加工が施される。
【0086】
この場合、搬送装置の搬送ユニットは、第1及び第2主軸チャックに加工物を搬送するように構成され、搬送装置としては上述したと同様に構成することができる。概説すると、搬送装置の架設レールは、第1及び第2加工域を通して延び、架設レールに支持されて移動する搬送ユニットのヘッド部に第1及び第2搬送チャックが装着され、これら第1及び第2搬送チャックに関連して第1及び第2プッシャがヘッド部に設けられる。
【0087】
第1及び第2搬送チャック(第1及び第2チャック本体)は、第1及び第2主軸の第1及び第2主軸軸線に対して垂直な第1及び第2旋回軸線を中心として第1角度位置と第2角度位置との間を反転旋回自在に搬送ユニットのヘッド部に装着され、搬送装置の搬送ユニットが第1主軸ユニットの第1加工域と第2主軸ユニットの第2加工域との間を移動する間に、第1及び第2搬送チャックが第1角度位置と第2角度位置との間を反転旋回可能に構成され、このようにこの搬送装置を従来の加工装置(例えば、NC旋盤)に組み付けることにより、上述したと同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0088】
2 加工装置本体
4,6,8 加工装置部
7 ベッドベース
11 搬送装置
12 ベッドユニット(第1~第3ベッドユニット)
16 主軸支持部材(第1~第3支持部材)
26 主軸ユニット(第1~第3主軸ユニット)
36 刃物台ユニット(第1~第3刃物台ユニット)
52 架設レール
54 搬送ユニット
56 ヘッド部
58,60 搬送チャック(第1及び第2搬送チャック)
108,110 プッシャ(第1及び第2プッシャ)
115,117 開閉シリンダ機構(第1及び第2開閉シリンダ機構)
124,126 旋回シリンダ機構(第1及び第2旋回シリンダ機構)
142,144 押圧シリンダ機構(第1及び第2押圧シリンダ機構)
K,K1,K2,K3 加工域
P 加工物








図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9