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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20231116BHJP
   H01L 27/04 20060101ALI20231116BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231116BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20231116BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231116BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/088 C
H01L27/088 B
H01L29/78 301B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020070515
(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公開番号】P2021168331
(43)【公開日】2021-10-21
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増永 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】桑名 諒
(72)【発明者】
【氏名】野本 真司
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201229(JP,A)
【文献】国際公開第2018/110093(WO,A1)
【文献】特開2015-095525(JP,A)
【文献】特開2012-039078(JP,A)
【文献】米国特許第04670670(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336、21/822、21/8234
H01L 27/04
H01L 31/00-31/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1入力端子および第2入力端子と、
前記第1入力端子および前記第2入力端子の各々からの入力電圧の差を増幅するための差動回路と、
前記差動回路において増幅された出力電圧を出力するための出力端子と、
前記差動回路へ出力する電流量を制御するための電流制御回路と、
γ線を検出するための検出回路と、
前記検出回路に接続され、且つ、前記電流制御回路の一部を構成する調整回路と、
を備え、
前記検出回路および前記差動回路は、それぞれ、炭化珪素からなる半導体基板に形成された複数の半導体素子のうちの一部を含んで構成され、
前記電流制御回路は、前記検出回路において検出されたγ線の積算線量に基づいて、前記差動回路へ出力する電流量を制御可能である、半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
γ線の積算線量が増加した場合、前記電流制御回路から前記差動回路へ出力される電流量も増加する、半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置において、
前記差動回路は、前記複数の半導体素子の一部である第1トランジスタおよび第2トランジスタを含み、
前記第1トランジスタは、前記半導体基板上に形成された第1ゲート絶縁膜と、前記第1ゲート絶縁膜上に形成され、且つ、前記第1入力端子に接続された第1ゲート電極とを有し、
前記第2トランジスタは、前記半導体基板上に形成された第2ゲート絶縁膜と、前記第2ゲート絶縁膜上に形成され、且つ、前記第2入力端子に接続された第2ゲート電極とを有し、
前記電流制御回路から前記差動回路へ出力される電流量は、前記半導体基板と前記第1ゲート絶縁膜との界面付近、および、前記半導体基板と前記第2ゲート絶縁膜との界面付近において、γ線によって増加したリーク電流の量よりも大きい、半導体装置。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記調整回路は、互いに並列接続された複数の抵抗素子を含み、
前記複数の抵抗素子の一部または全部は、前記検出回路を構成する前記複数の半導体素子と直列接続されている、半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記検出回路は、前記複数の半導体素子の一部であり、且つ、それぞれ前記複数の抵抗素子のうちの1つと直列接続された第3トランジスタおよび第4トランジスタを含み、
前記第3トランジスタは、前記半導体基板上に形成された第3ゲート絶縁膜と、前記第3ゲート絶縁膜上に形成された第3ゲート電極と、前記第3ゲート電極下の前記半導体基板内に位置する第1チャネル領域とを有し、
前記第4トランジスタは、前記半導体基板上に形成された第4ゲート絶縁膜と、前記第4ゲート絶縁膜上に形成された第4ゲート電極と、前記第4ゲート電極下の前記半導体基板内に位置する第2チャネル領域とを有し、
前記第3トランジスタおよび前記第4トランジスタの各々は、γ線の積算線量が所定の量に到達した場合、オン状態に切り替わる、半導体装置。
【請求項6】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記第3トランジスタがオン状態に切り替わるタイミングは、前記第4トランジスタがオン状態に切り替わるタイミングと異なっている、半導体装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第3ゲート絶縁膜の厚さは、前記第4ゲート絶縁膜の厚さと異なっている、半導体装置。
【請求項8】
請求項6に記載の半導体装置において、
前記第1チャネル領域の不純物濃度は、前記第2チャネル領域の不純物濃度と異なっている、半導体装置。
【請求項9】
請求項5に記載の半導体装置において、
前記第3トランジスタおよび前記第4トランジスタの各々は、nチャネル型MOSトランジスタである、半導体装置。
【請求項10】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記半導体装置は、第1半導体チップによって構成され、
前記第1半導体チップは、前記調整回路、前記検出回路、前記差動回路および前記電流制御回路を含む、半導体装置。
【請求項11】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記半導体装置は、第1半導体チップおよび第2半導体チップを搭載する半導体モジュールによって構成され、
前記第1半導体チップは、前記差動回路および前記電流制御回路を含み、
前記第2半導体チップは、前記調整回路および前記検出回路を含む、半導体装置。
【請求項12】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記半導体装置は、第1半導体チップ、第2半導体チップおよび外部機器を搭載する半導体モジュールによって構成され、
前記第1半導体チップは、前記差動回路および前記電流制御回路を含み、
前記第2半導体チップは、前記検出回路を含み、
前記外部機器は、前記調整回路を含む、半導体装置。
【請求項13】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記差動回路と前記出力端子との間に、出力段を更に備え、
前記検出回路において検出されたγ線の積算線量に基づいて、前記電流制御回路は、前記出力段へ出力する電流量も制御可能である、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、例えば、炭化珪素のような化合物半導体からなる半導体基板を用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体素子の一例としてMOSトランジスタ(以下、MOSと称する)のようなトランジスタが用いられている。半導体素子は、放射線の影響を受け易いデバイスである。主な放射線の影響として「トータルドーズ効果」、「はじき出し損傷効果」および「シングルイベント効果」の3つがあり、エネルギーレベルの高いγ線では、トータルドーズ効果が問題となる。
【0003】
トータルドーズ効果の主な要因は、半導体素子の一部を構成する絶縁膜に照射されたγ線が、電子-正孔対を発生させることである。絶縁膜中に発生した電子-正孔対の一部は再結合し、それ以外は、静電ポテンシャルの低い方へドリフトする。このとき、ドリフト成分の電子は、数ピコ秒以内に絶縁膜外へ取り出される。しかし、電子と比較して移動度の低い正孔は、捕獲中心にトラップされる確率が高い。それ故、正孔は絶縁膜中に蓄積され易く、その結果として生成される空間電場は、MOSの閾値電圧を負側へシフトさせる。
【0004】
nチャネル型MOSの場合、正孔の蓄積が進むと、nチャネル型MOSは、ゲート電極にオン信号を入力していなくても電流が流れ続ける「デプレッション型デバイス」となり、所望の動作を示さなくなる。
【0005】
電子-正孔対の影響はそれだけではない。絶縁膜中で誘起された正孔は、絶縁膜中の水素と反応し、水素ラジカルを発生させる。この水素ラジカルは、絶縁膜の界面を終端している水素と直接反応し、絶縁膜と半導体との界面にダングリングボンドを発生させる。ダングリングボンドは界面欠陥として作用するので、閾値電圧の変動または移動度の低下などが引き起こされる。更に、界面欠陥の増加によってオフリーク電流が増加し、MOSのパラメータ不良またはSN比劣化などが引き起こされる。
【0006】
捕獲電荷による閾値電圧の変動に関して、ゲート絶縁膜を薄膜化することで、その影響を軽減できることが知られている。一方で、界面欠陥の増加に関しては、界面を終端している水素の離脱が原因であるので、半導体素子として広く用いられる珪素(Si)基板での対策が難しい。
【0007】
炭化珪素(SiC)基板では、ゲート酸化膜との界面を窒化処理することで、この界面欠陥の発生を抑制できると報告されている。なお、以下の説明では、珪素基板を用いて形成されたMOSをSi-MOSと称し、炭化珪素基板を用いて形成されたMOSをSiC-MOSと称する。
【0008】
図12は、非特許文献1に示されるグラフであり、SiC-MOSにおける界面欠陥密度の積算線量依存性である。図12に示されるように、ゲート絶縁膜に酸窒化処理(NOアニール)を施したサンプル(〇)では、γ線を160kGyまで照射しても、界面欠陥が殆ど増加せず、安定した動作を示すことがわかる。一方で、ゲート絶縁膜に酸窒化処理を施さないサンプル(■)では、γ線の照射量が増えると共に、界面欠陥が増加している。従って、SiC-MOSトランジスタにおいて、酸窒化処理が施され、且つ、薄い厚さを有するゲート絶縁膜を採用することで、優れた放射線耐性が期待される。
【0009】
また、非特許文献2には、SiC相補型MOSによって構成される増幅器が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】T. Chen, et al., Solid-State Electronics, vol.46, no.12, pp.2231-2235, Dec. 2002
【文献】M. Masunaga, S. Sato, R. Kuwana, N. Sugii, and A. Shima, “4H-SiC CMOS Transimpedance Amplifier of Gamma-Irradiation Resistance Over 1 MGy." IEEE Transactions on Electron Devices, vol.67, no.1, pp.224-229, Jan. 2020
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
酸窒化処理が施されたSiC相補型MOS(以下、SiC-CMOSと称する)を増幅器へ適用した場合、放射線耐性は、Si-CMOSで構成される従来品と比較して、大幅に改善される。しかしながら、SiC-CMOSにおいてもγ線によって界面欠陥が少なからず生成されるので、γ線の積算線量がある値に達すると、SiC-CMOSは、増幅器として動作できなくなる。以下に、そのような不具合に対して、非特許文献2に開示された内容を基に、本願発明者らが行った検討について説明する。
【0012】
図13は、SiC-CMOSを適用した半導体装置SD2の等価回路図を示している。
【0013】
半導体装置SD2は、差動回路9と、出力段10と、電流制御回路11とを備える。また、差動回路9、出力段10および電流制御回路11は、高電圧側の電源ライン4および低電圧側の電源ライン5に電気的に接続されている。
【0014】
半導体装置SD2には、例えばトランジスタM1~M8のような複数の半導体素子が含まれる。トランジスタM1~M8の各々は例えばMOSであり、トランジスタM1、M2、M6~M8はnチャネル型MOSであり、トランジスタM3~M5はpチャネル型MOSである。なお、全てのトランジスタM1~M8は、飽和領域で動作する。
【0015】
差動回路9はトランジスタM1~M4を含み、出力段10はトランジスタM5を含み、電流制御回路11はトランジスタM6~M8を含む。入力端子2a、2bから入力された入力電圧は、差動回路9において増幅され、増幅された出力電圧は、出力段10を介して出力端子3から出力される。
【0016】
トランジスタM8に出力されるアイドリング電流Iは、トランジスタM8と直列接続された抵抗素子R0によって制御される。トランジスタM6~M8の各々のゲート電極は、互いに接続され、カレントミラー回路を構成している。制御されたアイドリング電流Iは、トランジスタM6、M7においてコピーされる。また、コピーされたアイドリング電流Iの電流量は、トランジスタM8のゲート幅と、トランジスタM6、M7のゲート幅との比によって調節される。
【0017】
図14は、差動回路9におけるオフセット電圧のγ線の積算線量に対する依存性を示すグラフ(実測値)である。オフセット電圧は、2MGyまで殆ど変化せず、従来品と比較して十分に高い。なお、従来品は、Si-CMOSのような半導体素子であり、そのオフセット電圧は、0.3kGyを超えた辺りから変化する。しかしながら、SiC-CMOSのような半導体素子においても、2MGyを超えると、オフセット電圧が急激に増加し始める。
【0018】
オフセット電圧が急増した原因は、SiC-CMOSのリーク電流の増加であることが回路シミュレーションよって明らかになっている。図15は、オフセット電圧と、トランジスタM1およびトランジスタM2の各々のリーク電流との関係を示すグラフ(計算値)である。ここでは、トランジスタM1およびトランジスタM2の各々のリーク電流は同じであるとして、計算が行われている。
【0019】
図15に示されるように、オフセット電圧は、あるリーク電流量に至るまで安定的に推移しているが、オフセット電圧は、あるリーク電流量を超えると急激に増加している。これは、図14で示したオフセット電圧のγ線の積算線量依存性と同じ傾向と言える。
【0020】
このような現象は次のように理解される。まず、γ線によって、トランジスタM1およびトランジスタM2の各々のゲート絶縁膜と、炭化珪素基板との界面付近に、界面欠陥が誘起される。そして、トランジスタM1およびトランジスタM2の各々の上記界面付近において、上記界面欠陥によってリーク電流が増加する。
【0021】
トランジスタM7に流れる電流は、トランジスタM1およびトランジスタM2に流れるドレイン電流と、増加したリーク電流との合計である。このリーク電流が増加するほど、図13に示されるトランジスタM1およびトランジスタM2の共通ソース電位201は増加する。トランジスタM7は一定電流を流すように制御されるので、トランジスタM1およびトランジスタM2は、オフ状態へ近づいていく。
【0022】
共通ソース電位201が増加し続けた場合、最終的に、トランジスタM1およびトランジスタM2の動作領域は、「飽和」から「線形」へと移る。半導体装置SD2の場合、全てのトランジスタM1~M8は、飽和領域下でなければ正しく動作しないので、結果的にオフセット電圧が急増する。
【0023】
上述のようなオフセット電圧の挙動は、SiC-CMOS特有の現象であると言える。それは、非特許文献2にも示されるように、SiC-CMOSのリーク電流は、主電流を流すアクティブ領域ではなく、アクティブ領域を囲むその他の領域において発生しているからである。言い換えると、アクティブ領域で界面欠陥を誘起し難いSiC-CMOSでは、閾値電圧および相互コンダクタンスが変動し難く、リーク電流によるオフセット電圧変動が支配的となる。これは、従来品(Si-CMOS)では見られない現象である。Si-CMOSの場合、アクティブ領域においても界面欠陥が誘起されるので、オフセット電圧の劣化は、閾値電圧および相互コンダクタンスの変動が支配的となるからである。
【0024】
本願の主な課題は、以上のような問題点を鑑みて成されたものであり、γ線によって増加するSiC-CMOSのリーク電流に依らず、放射線耐性を改善させることで、半導体装置の信頼性を向上させることにある。
【0025】
その他の課題および新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0027】
一実施の形態における半導体装置は、第1入力端子および第2入力端子と、前記第1入力端子および前記第2入力端子の各々からの入力電圧の差を増幅するための差動回路と、前記差動回路において増幅された出力電圧を出力するための出力端子と、前記差動回路へ出力する電流量を制御するための電流制御回路と、γ線を検出するための検出回路と、前記検出回路に接続され、且つ、前記電流制御回路の一部を構成する調整回路とを備える。ここで、前記検出回路および前記差動回路は、それぞれ、炭化珪素からなる半導体基板に形成された複数の半導体素子のうちの一部を含んで構成され、前記電流制御回路は、前記検出回路において検出されたγ線の積算線量に基づいて、前記差動回路へ出力する電流量を制御可能である。
【発明の効果】
【0028】
一実施の形態によれば、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施の形態1における半導体装置を示す等価回路図である。
図2】実施の形態1における半導体装置を示す等価回路図である。
図3】実施の形態1における調整回路から出力される電流のグラフである。
図4】実施の形態1における調整回路から出力される電流のグラフである。
図5】実施の形態2における電流調整器を示す等価回路図である。
図6】実施の形態2における検出回路の制御方法を説明するためのグラフである。
図7】実施の形態2における調整回路から出力される電流のグラフである。
図8】実施の形態2におけるトランジスタを示す断面図である。
図9】実施の形態2におけるトランジスタを示す断面図である。
図10】実施の形態2におけるトランジスタを示す断面図である。
図11図10におけるウェル領域の不純物濃度を示すグラフである。
図12】SiC-MOSの界面欠陥のγ線の積算線量依存性を示すグラフである。
図13】従来技術における半導体装置を示す等価回路図である。
図14】従来技術における半導体装置のオフセット電圧のγ線の積算線量依存性を示すグラフ(実測値)である。
図15】従来技術における半導体装置のオフセット電圧とリーク電流との関係を示すグラフ(計算値)である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0031】
(実施の形態1)
以下に図1図4を用いて、実施の形態1における半導体装置SD1について説明する。
【0032】
図1は、実施の形態1における半導体装置SD1の等価回路図を示し、図2は、図1よりも詳細な等価回路図を示している。
【0033】
図1に示されるように、半導体装置SD1は、増幅器1と、入力端子2と、出力端子3と、高電圧側の電源ライン4と、低電圧側の電源ライン5と、電流調整器8とを備える。増幅器1は、電源ライン4と電源ライン5との間に設けられている。入力端子2(入力端子2a、2b)から入力された入力電圧は、増幅器1によって増幅され、増幅された出力電圧は、出力端子3から出力される。
【0034】
電流調整器8は、電源ライン4と増幅器1との間に設けられ、γ線を検出するための検出回路6および検出回路6に接続された調整回路7を備える。検出回路6は、γ線の積算線量を計測する。調整回路7は、γ線の積算線量に基づいてアイドリング電流Iの電流量を調整できる。
【0035】
図2に示されるように、増幅器1は、差動回路9と、出力段10と、電流制御回路11とを備える。なお、電流調整器8に含まれる調整回路7は、電流制御回路11の一部を構成している。また、差動回路9、出力段10および電流制御回路11は、高電圧側の電源ライン4および低電圧側の電源ライン5に電気的に接続されている。
【0036】
差動回路9、出力段10、電流制御回路11および検出回路6は、それぞれ、炭化珪素(SiC)のような化合物半導体からなる半導体基板に形成された複数の半導体素子の一部を含んで構成されている。半導体素子は、例えばトランジスタであり、SiC-MOSである。
【0037】
なお、実施の形態1における「MOS(MOSトランジスタ)」には、半導体基板上に形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極などが含まれる。以下では、ゲート絶縁膜が酸化シリコン膜であり、ゲート電極が多結晶シリコン膜である場合を例示するが、ゲート絶縁膜は、酸化シリコン膜よりも高い誘電率を有する絶縁膜であってもよいし、ゲート電極は、金属膜であってもよい。また、ゲート絶縁膜が酸化シリコン膜である場合、ゲート絶縁膜には酸窒化処理(NO処理)が施されている。
【0038】
差動回路9、出力段10および電流制御回路11には、例えばトランジスタM1~M8のような複数の半導体素子が含まれる。トランジスタM1~M8の各々は例えばMOSであり、トランジスタM1、M2、M6~M8はnチャネル型MOSであり、トランジスタM3~M5はpチャネル型MOSである。なお、全てのトランジスタM1~M8は、飽和領域で動作する。
【0039】
差動回路9はトランジスタM1~M4を含む。トランジスタM1のゲート電極は入力端子2aに接続され、トランジスタM2のゲート電極は入力端子2bに接続されている。トランジスタM1のソース領域およびトランジスタM2のソース領域は、互いに接続され、トランジスタM7を介して電源ライン5に接続されている。トランジスタM1のドレイン領域はトランジスタM3のドレイン領域に接続され、トランジスタM2のドレイン領域はトランジスタM4のドレイン領域に接続されている。
【0040】
トランジスタM3のソース領域およびトランジスタM4のソース領域は、電源ライン4に接続されている。トランジスタM3のゲート電極およびトランジスタM4のゲート電極は、互いに接続され、トランジスタM1のドレイン領域に接続されている。
【0041】
入力端子2a、2bから入力された入力電圧は、このような差動回路9において増幅され、増幅された電圧は、出力段10を介して出力端子3から出力電圧として出力される。
【0042】
出力段10はトランジスタM5を含み、トランジスタM5のソース領域は、電源ライン4に接続されている。トランジスタM5のゲート電極は、トランジスタM2のドレイン領域およびトランジスタM4のドレイン領域に接続され、容量Ccを介してトランジスタM5のドレイン領域に接続されている。トランジスタM5のドレイン領域は出力端子3に接続されている。なお、出力端子3には、電流を電圧に変換するための容量素子が設けられていてもよい。
【0043】
電流制御回路11はトランジスタM6~M8を含む。トランジスタM6~M8のソース領域は、電源ライン5に接続されている。トランジスタM6のドレイン領域は、トランジスタM5のドレイン領域に接続されている。トランジスタM7のドレイン領域は、トランジスタM1のソース領域およびトランジスタM2のソース領域に接続されている。
【0044】
トランジスタM8のドレイン領域は、電流調整器8を介して電源ライン4に接続され、トランジスタM8のゲート電極に接続されている。トランジスタM6~M8の各々のゲート電極は互いに接続され、カレントミラー回路を構成している。電流調整器8から出力されたアイドリング電流Iは、トランジスタM6、M7においてコピーされる。また、コピーされたアイドリング電流Iの量は、トランジスタM8のゲート幅と、トランジスタM6、M7のゲート幅との比によって調整される。
【0045】
このように、電流制御回路11は、差動回路9および出力段10へ出力する電流量を制御可能である。
【0046】
電流調整器8では、検出回路6によってγ線が検出され、γ線の積算線量が計測される。γ線の積算線量に基づいて、調整回路7によってアイドリング電流Iの量が制御される。なお、調整回路7は電流制御回路11の一部を構成する。従って、電流制御回路11は、検出回路6において検出されたγ線の積算線量に基づいて、差動回路9および出力段10へ出力する電流量を制御可能である。
【0047】
上述のように、トランジスタM1およびトランジスタM2の各々のゲート絶縁膜と、半導体基板との界面付近において、γ線によってリーク電流が増加する。以下では、このようなリーク電流の量と、アイドリング電流Iの量との関係を説明する。
【0048】
図3および図4は、調整回路7から出力されるアイドリング電流Iのグラフである。
【0049】
図3に示されるように、γ線の積算線量が増加すると、リーク電流の量も増加する。この場合、これらの増加に伴ってアイドリング電流Iの量も増加している。言い換えれば、電流制御回路11から差動回路9および出力段10へ出力される電流量は、γ線によって増加したリーク電流の量よりも常に大きくなるように、制御されている。
【0050】
このため、差動回路9において、トランジスタM7を流れるドレイン電流に対してリーク電流の割合が小さくなるので、共通ソース電位201の増加が抑制される。
【0051】
図4は、図3とは別の制御方法によるアイドリング電流Iのグラフである。図4では、アイドリング電流Iの量は、増幅器1が動作不良となるリーク電流の量までは殆ど増加しない。しかしながら、リーク電流の量が、増幅器1が破壊される値に近づくと、アイドリング電流Iは、指数関数的に増加している。
【0052】
図4の制御方法では、リーク電流の量が少ない期間に、最小限のアイドリング電流Iが流される。従って、図4の制御方法は、リーク電流による動作不良を抑制できると共に、図3の制御方法と比較して消費電力の低減を図れる。
【0053】
以上のように、実施の形態1によれば、γ線によって誘起された界面欠陥に起因して、差動回路9においてリーク電流が増加した場合でも、オフセット電圧が急増せず、優れた放射線耐性が得られる。言い換えれば、γ線によって増加するSiC-MOSのリーク電流に依らず、放射線耐性が改善される。従って、半導体装置SD1の信頼性を向上させることができる。
【0054】
ところで、検出回路6および調整回路7は、差動回路9、出力段10および電流制御回路11を含む第1半導体チップ内に設けられていてもよいし、第1半導体チップと異なる外部機器内設けられていてもよい。すなわち、実施の形態1における半導体装置SD1は、1つの半導体チップによって構成されていてもよいし、1つまたは複数の半導体チップと、1つまたは複数の外部機器とを適宜搭載する半導体モジュールによって構成されていてもよい。なお、後述するように、調整回路7が抵抗素子である場合もある。従って、外部機器としては、半導体チップおよび抵抗素子が例示できる。
【0055】
第1例として、半導体装置SD1が1つの第1半導体チップによって構成される場合、第1半導体チップには、検出回路6、調整回路7、差動回路9、出力段10および電流制御回路11が含まれる。
【0056】
第2例として、半導体装置SD1が第1半導体チップおよび第2半導体チップを搭載する半導体モジュールによって構成される場合、第1半導体チップには差動回路9、出力段10および電流制御回路11が含まれ、第2半導体チップには検出回路6および調整回路7が含まれる。
【0057】
第3例として、半導体装置SD1が第1半導体チップ、第2半導体チップおよび外部機器を搭載する半導体モジュールによって構成される場合、第1半導体チップには差動回路9、出力段10および電流制御回路11が含まれ、第2半導体チップには検出回路6が含まれ、外部機器には調整回路7が含まれる。
【0058】
なお、第2例および第3例の変形例として、検出回路6または調整回路7の一方のみが、第1半導体チップに含まれていてもよい。
【0059】
何れの例であっても、各回路は、半導体チップ内の配線層、ボンディングワイヤ、バンプ電極およびTSV(Through Silicon Via)などによって、図2に示される等価回路図のように電気的に接続される。
【0060】
(実施の形態2)
以下に図5図11を用いて、実施の形態2における半導体装置SD1を説明する。なお、以下では、主に実施の形態1との相違点について説明する。
【0061】
実施の形態2では、調整回路7は、互いに並列接続された複数の抵抗素子を含み、複数の抵抗素子の一部または全部は、検出回路6を構成する複数の半導体素子と直列接続されている。
【0062】
図5に示されるように、調整回路7は、複数の抵抗素子R1~R3を含み、検出回路6は、複数の半導体素子としてトランジスタM9およびトランジスタM10を含む。また、複数の抵抗素子R1~R3の一部は、トランジスタM9およびトランジスタM10と直列接続されている。
【0063】
トランジスタM9およびトランジスタM10は、トランジスタM1~M8と同様に、炭化珪素(SiC)のような化合物半導体からなる半導体基板に形成されている。ここでは、トランジスタM9およびトランジスタM10は、例えばSiC-MOSであり、nチャネル型MOSである。
【0064】
なお、上述のように、検出回路6が、差動回路9および出力段10を含む半導体チップと異なる外部機器内に設けられている場合もある。その場合でも、検出回路6に含まれるトランジスタM9およびトランジスタM10は、炭化珪素のような化合物半導体からなる半導体基板に形成される。言い換えれば、トランジスタM9およびトランジスタM10は、トランジスタM1~M8とは異なる半導体基板に形成される。
【0065】
調整回路7が上記半導体チップ内に設けられる場合、抵抗素子R1~R3としては、半導体基板内に形成された不純物領域、半導体基板上に形成された配線層、または、ゲート電極と同層の導電性膜などが適用できる。調整回路7が外部機器内に設けられる場合、抵抗素子R1~R3としては、カーボン抵抗素子、金属抵抗素子または酸化金属抵抗素子など、公知の様々な抵抗素子が適用できる。
【0066】
図5に示されるように、抵抗素子R1は、電源ライン4に直接接続されているが、抵抗素子R2および抵抗素子R3は、それぞれトランジスタM9およびトランジスタM10に直列接続され、それぞれトランジスタM9およびトランジスタM10を介して電源ライン4に接続されている。
【0067】
γ線の積算線量が所定の量に到達した場合、トランジスタM9およびトランジスタM10は、導通し、オン状態となるように設計されている。また、アイドリング電流Iの量は、抵抗素子R1~R3のうちの一部または全部の合成抵抗によって調整されている。
【0068】
図6のグラフを用いて、トランジスタM9およびトランジスタM10の制御方法の一例を説明する。トランジスタM9がオン状態に切り替わるタイミングは、トランジスタM10がオン状態に切り替わるタイミングと異なっている。
【0069】
nチャネル型MOSでは、γ線の積算線量の増加に伴って、閾値電圧(Vth)が低下する。トランジスタM9およびトランジスタM10において、両者の初期Vthに差が設けられ、且つ、γ線によるVthの劣化速度が同じである場合、トランジスタM9およびトランジスタM10が導通するタイミングは、初期Vthの差のみによって設計されることになる。
【0070】
図6に示されるように、トランジスタM9の初期VthがトランジスタM10の初期Vthよりも低ければ、γ線の積算線量の増加に伴って、トランジスタM9が先にオン状態となる。
【0071】
図7には、図6に対応した期間において、調整回路7から出力されるアイドリング電流Iの量が示されている。アイドリング電流Iは、トランジスタM9が導通するタイミングと、トランジスタM10が導通するタイミングとで急増する。そして、その電流量は、抵抗素子R1と、導通状態となったトランジスタに直列接続されている抵抗素子R2および/または抵抗素子R3との合成抵抗によって決定される。
【0072】
すなわち、トランジスタM9のみが導通した場合、抵抗素子R1および抵抗素子R2の合成抵抗(R1//R2)が適用され、トランジスタM9およびトランジスタM10の両方が導通した場合、抵抗素子R1~R3の合成抵抗(R1//R2//R3)が適用される。このような合成抵抗によって、アイドリング電流Iの量が制御される。従って、検出回路6および調整回路7を用いれば、γ線の積算線量の増加と共にアイドリング電流Iの量を増加させることが可能となる。
【0073】
なお、図5では、抵抗素子R1は電源ライン4に直接接続されているが、抵抗素子R1にトランジスタM9よりも更に初期Vthの低いトランジスタを接続し、抵抗素子R1が最初に導通するように設計することもできる。すなわち、複数の抵抗素子の全部が、検出回路6を構成する複数の半導体素子と直列接続されていてもよい。
【0074】
また、図5では、3つの抵抗素子R1~R3と、2つのトランジスタM9、M10とが例示されているが、抵抗素子の数およびトランジスタ(半導体素子)の数は、これらに限られず、必要に応じて適切な数に変更可能である。
【0075】
以下に図8図11を用いて、トランジスタM9およびトランジスタM10の初期Vthを設計する方法を説明する。
【0076】
まず、図8および図9を用いて、ゲート絶縁膜の厚さの差によって、初期Vthを設計する方法を説明する。図8はトランジスタM9の断面図であり、図9はトランジスタM10の断面図である。
【0077】
図8に示されるように、炭化珪素(SiC)のような化合物半導体からなるn型の半導体基板101上に、半導体基板101と同じ材料からなるn型のエピタキシャル層(半導体層)102が形成されている。エピタキシャル層102の不純物濃度は、半導体基板101の不純物濃度よりも低い。なお、以下では説明の簡略化のために、エピタキシャル層102を半導体基板101の一部と見做して説明を行う。
【0078】
半導体基板101内には、p型のウェル領域103が形成され、p型のウェル領域103内には、半導体基板101よりも高い不純物濃度を有するn型の高濃度不純物領域104およびn型の高濃度不純物領域105が形成されている。
【0079】
半導体基板101上には、例えば酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜106が形成されている。ゲート絶縁膜106上には、例えばn型の不純物が導入された多結晶シリコン膜からなるゲート電極107が形成されている。なお、ゲート絶縁膜106は、高濃度不純物領域104上および高濃度不純物領域105上にも形成されている。
【0080】
トランジスタM9は、ゲート絶縁膜106、ゲート電極107、高濃度不純物領域104、高濃度不純物領域105およびチャネル領域111(ウェル領域103)を有する。
【0081】
高濃度不純物領域104は、トランジスタM9のソース領域またはドレイン領域の一方を構成し、高濃度不純物領域105は、トランジスタM9のソース領域またはドレイン領域の他方を構成している。また、ゲート電極107下に位置し、且つ、高濃度不純物領域104と高濃度不純物領域105との間に位置する半導体基板101内(ウェル領域103内)の領域が、チャネル領域111となる。
【0082】
半導体基板101上には、トランジスタM9を覆うように、層間絶縁膜108が形成されている。層間絶縁膜108は、例えば酸化シリコン膜からなる。層間絶縁膜108、および、ゲート電極107が形成されていないゲート絶縁膜106を貫通し、且つ、高濃度不純物領域104および高濃度不純物領域105に達するように、コンタクトホールが形成されている。層間絶縁膜108上には、上記コンタクトホール内を埋め込むように、配線109および配線110が形成されている。配線109は高濃度不純物領域104に接続され、配線110は高濃度不純物領域105に接続されている。
【0083】
図9に示されるトランジスタM10の構造は、ゲート絶縁膜106の厚さを除いて、図8に示されるトランジスタM9の構造と同じである。トランジスタM9のゲート絶縁膜106の厚さTox9は、トランジスタM10のゲート絶縁膜106の厚さTox10と異なっており、厚さTox10よりも薄い。
【0084】
上述の「背景技術」の欄で記したように、γ線に対する放射線耐性は、絶縁膜の厚さが厚いほど低い。従って、トランジスタM9は、トランジスタM10よりも早く導通し、トランジスタM10よりも先にオン状態へ切り替えられる。
【0085】
次に、図10および図11を用いて、チャネル領域の不純物濃度の差によって、初期Vthを設計する方法を説明する。図10はトランジスタM9およびトランジスタM10の断面図であり、図11はこれらのチャネル領域の不純物濃度の差を示すグラフである。
【0086】
図10に示されるように、トランジスタM9およびトランジスタM10は、それぞれのゲート絶縁膜106の厚さを含めて、それぞれ同じ構造である。しかしながら、これらのウェル領域103の不純物濃度が異なっている。言い換えれば、トランジスタM9のチャネル領域111の不純物濃度は、トランジスタM10のチャネル領域111の不純物濃度と異なっている。
【0087】
図11は、図10の測定点A~Cにおけるウェル領域103の不純物濃度を示すグラフである。図11に示されるように、半導体基板101の表面からの深さ方向において、測定点A~Cの不純物濃度は、トランジスタM9の方がトランジスタM10よりも薄い。
【0088】
このような構成によって、トランジスタM9の初期VthをトランジスタM10の初期Vthよりも低くすることができる。従って、トランジスタM9およびトランジスタM10において、γ線によるVthの劣化速度を同じとし、オン状態となるタイミングを異ならせることができる。
【0089】
ところで、特に図示はしなかったが、トランジスタM1~M8も、図8図10で説明した構造と基本的に同じ構造によって形成されている。しかしながら、ゲート電極107の長さおよび幅、ゲート絶縁膜106の厚さ、並びに、ウェル領域103の不純物濃度などのプロファイルは、使用される回路の目的に応じて、それぞれ適切に設計される。
【0090】
なお、pチャネル型MOSであるトランジスタM3~M5では、ウェル領域103、高濃度不純物領域104、高濃度不純物領域105およびゲート電極107の導電型が、nチャネル型MOSであるトランジスタM1、M2、M6~M8の導電型と逆になる。
【0091】
以上、本発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0092】
例えば、検出回路6および調整回路7の代わりに、γ線の積算線量に合わせて抵抗値を低減させるような材料によって構成された抵抗素子を適用してもよい。そのような抵抗素子として、チップ抵抗または金属皮膜抵抗などが挙げられる。各々の抵抗値が異なる複数の上記抵抗素子を並列接続することで、γ線の積算線量に合わせてアイドリング電流Iの量を調整できる。
【符号の説明】
【0093】
1 増幅器
2、2a、2b 入力端子
3 出力端子
4 高電圧側の電源ライン
5 低電圧側の電源ライン
6 検出回路
7 調整回路
8 電流調整器
9 差動回路
10 出力段
11 電流制御回路
101 半導体基板
102 エピタキシャル層
103 ウェル領域
104、105 高濃度不純物領域
106 ゲート絶縁膜
107 ゲート電極
108 層間絶縁膜
109、110 配線
111 チャネル領域
201 共通ソース電位
アイドリング電流
M1~M10 トランジスタ
R0~R3 抵抗素子
SD1、SD2 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15