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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】情報取得システム
(51)【国際特許分類】
   B65B 57/00 20060101AFI20231116BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20231116BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20231116BHJP
【FI】
B65B57/00 C
H04N5/222 100
H04N23/60 500
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020148435
(22)【出願日】2020-09-03
(65)【公開番号】P2022007855
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2020109924
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】山根 徳幸
(72)【発明者】
【氏名】山近 俊太
(72)【発明者】
【氏名】松村 啓史
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-197388(JP,A)
【文献】特開2003-283766(JP,A)
【文献】特開2001-298606(JP,A)
【文献】特開2007-333639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 57/00 - 57/02
H04N 5/222
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置と、
袋及び袋を収容するための袋収容部のうちの少なくともいずれか一方と、前記撮像装置との間の、相対位置を変える移動装置と、
前記撮像装置を制御し、複数の前記相対位置のそれぞれにおいて前記袋及び前記袋収容部のうちの少なくともいずれか一方の複数の画像データを、前記撮像装置により取得させる撮像制御装置と、
前記複数の画像データを解析して、前記袋及び前記袋収容部のうちの少なくともいずれか一方の状態を示す状態情報を取得する画像処理装置と、
光を発する照明装置と、を備え、
前記複数の画像データは、お互いに少なくとも部分的に異なる画像を含み、
前記移動装置は、移動経路に沿って前記袋収容部を移動させ、
前記撮像制御装置は、前記撮像装置により、前記移動経路における複数の撮像ポイントの各々における前記袋収容部の撮像を行って前記複数の画像データを取得させ、
前記状態情報は、前記袋収容部の状態を示す袋収容部情報を含み、
前記画像処理装置は、前記複数の画像データを解析して前記袋収容部情報を取得し、
前記複数の画像データの各々は、前記袋収容部の一部分の画像であって、前記複数の画像データ間でお互いに少なくとも部分的に異なる画像を含み、
前記移動経路は、前記袋収容部から袋を取り出す袋取出エリアと、前記袋取出エリアよりも下流に位置し、前記撮像装置による前記袋収容部の撮像が行われる撮像エリアと、を通り、
前記袋収容部情報は、前記袋収容部における袋の残存状況に関する情報を含み、
前記移動経路に沿う方向に関し、前記撮像エリアは、前記撮像エリアを通る際の前記袋収容部よりも小さく、
前記移動経路に沿う方向に関し、前記撮像装置の撮像範囲は、前記撮像エリアを通る際の前記袋収容部よりも小さく、
前記移動装置は、前記袋収容部とともに移動する移送体を含み、
前記撮像制御装置は、前記移送体の移動位置に応じて、前記撮像装置により前記複数の画像データを取得させ、
前記撮像装置は、前記撮像を行うラインスキャンカメラを含み、
前記袋収容部は、前記照明装置から発せられた光が通過する貫通孔を有する、
情報取得システム。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記袋収容部の底部であって、前記袋が載せられる底部に設けられる、
請求項1に記載の情報取得システム。
【請求項3】
前記袋収容部には、前記貫通孔が複数設けられる、
請求項1又は2に記載の情報取得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、袋及び袋収容部のうちの少なくともいずれか一方の状態を示す状態情報を取得する情報取得システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、スパウトに取り付けられるキャップの取り付け状態の良否を判定する装置を開示する。特許文献1の装置では、撮影画像のうち、キャップがスパウトに正常に取り付けられた場合の目印の位置に設定される検査ゲートに存在する部分が画像処理されることで判定用データが求められる。当該判定用データと所定の判定基準とが比較されることによって、キャップの取り付け状態の良否が判定される。
【0003】
特許文献2は、包装容器又は包装用フィルムの印刷部分における不良印刷発生に応じて該当容器を自動的に処理する装置を開示する。特許文献2の装置では、イメージセンサによって各容器のカラープリントのカラーグレー画像が取得され、登録済みの記憶カラーとカラーグレー画像とが対比される。そして、カラーグレー画像の色配分と記憶カラー配分との識別値が許容値を超える場合には、警報信号が発せられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-344592号公報
【文献】特開2001-219916号公報
【文献】特開2006-052088号公報
【文献】特開2005-343614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
袋の画像データに基づいて検査を行う場合、検査項目に応じて、別々の工程で、別々の専用の装置が使われる。そのため、検査項目数が増えるに従って、装置の数が増え、装置の設置スペースも大きくなる。
【0006】
また袋の大きさやパッケージデザインを変える場合、検査に必要な情報が付される袋上の位置が変わることが多い。そのため、袋の大きさやパッケージデザインが変わるたびに撮像範囲を調整し、検査に必要な情報が付されている袋上の箇所を撮像データに適切に含める必要がある。
【0007】
袋の大きさやパッケージデザインの変更にかかわらず、袋の全体を撮像し、撮像データを画像処理することによって検査に必要な情報を取得することも考えられる。そのような手法において検査精度の低下を防ぐためには高解像度の撮像データが必要とされるが、高解像度の撮像データを取得するためには高価な撮像装置が必要となる。
【0008】
また例えば、袋収容部からの袋の取り出しが適切に行われず、意図せずに袋収容部に袋が残っていると、後段の処理等において様々な不都合がもたらされうる。そのため袋収容部の画像データに基づいて検査を行って、袋収容部における袋の残存の有無を確認することが可能である。しかしながら、袋収容部の撮像が行われる撮像エリアが狭いと、袋収容部全体の画像データを適切に取得できない場合がある。また撮像装置の撮像範囲に比べて袋収容部が大きいと、袋収容部の全体の画像データを適切に取得できない場合がある。この場合、袋収容部の全体をカバーする広角撮影が可能な撮像装置を用いることが考えられるが、そのような高性能な撮像装置は高価である。
【0009】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、高価な撮像装置を用いることなく、袋及び袋収容部のうちの少なくともいずれか一方の状態情報を精度良く取得することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、撮像装置と、袋及び袋を収容するための袋収容部のうちの少なくともいずれか一方と、撮像装置との間の、相対位置を変える移動装置と、撮像装置を制御し、複数の相対位置のそれぞれにおいて袋及び袋収容部のうちの少なくともいずれか一方の複数の画像データを、撮像装置により取得させる撮像制御装置と、複数の画像データを解析して、袋及び袋収容部のうちの少なくともいずれか一方の状態を示す状態情報を取得する画像処理装置と、を備え、複数の画像データは、お互いに少なくとも部分的に異なる画像を含む情報取得システムに関する。
【0011】
袋は、口部が閉じられている状態で搬送装置により間欠的に搬送され、移動装置は、移動経路に沿って撮像装置を移動させ、撮像制御装置は、撮像装置により、移動経路における複数の撮像ポイントのそれぞれにおいて袋の撮像を行って複数の画像データを取得させ、状態情報は、袋の状態を示す袋情報を含み、画像処理装置は、複数の画像データを解析して袋情報を取得し、複数の画像データの各々は、袋の一部分の画像であって、複数の画像データ間でお互いに少なくとも部分的に異なる画像を含んでもよい。
【0012】
袋情報は、袋に付されている読み取り可能な情報、袋の位置に関する情報、及び袋の姿勢に関する情報のうちの少なくともいずれか一つを含んでもよい。
【0013】
複数の画像データの各々は、読み取り可能な情報が付されている袋の露出面の画像を含み、画像処理装置は、複数の画像データに基づいて、袋の露出面における読み取り可能な情報が付されている箇所を特定し、読み取り可能な情報を認識してもよい。
【0014】
複数の画像データの少なくともいずれかは、基準物の画像を含み、画像処理装置は、複数の画像データに基づいて、基準物に対する袋の相対的な位置及び姿勢のうちの少なくともいずれか一つに関する情報を取得してもよい。
【0015】
複数の撮像ポイントは、お互いに異なる3以上の撮像ポイントであり、移動装置は、移動経路上の撮像装置の位置情報を把握しつつ、撮像装置を移動させ、撮像制御装置は、移動装置から得られる位置情報に基づいて、撮像装置を制御してもよい。
【0016】
情報取得システムは、袋の位置を制限する位置制限部材を備え、撮像装置は、位置制限部材により袋の位置が制限されている状態で、袋の撮像を行ってもよい。
【0017】
情報取得システムは、気体を噴出するブロワーを備え、撮像装置は、ブロワーから袋に向けて気体が吹き付けられている状態で、袋の撮像を行ってもよい。
【0018】
画像処理装置により取得される袋情報を、予め得られている基準情報と比較し、袋の適切性を判定する判定装置を備えてもよい。
【0019】
移動装置は、移動経路に沿って袋収容部を移動させ、撮像制御装置は、撮像装置により、移動経路における複数の撮像ポイントの各々における袋収容部の撮像を行って複数の画像データを取得させ、状態情報は、袋収容部の状態を示す袋収容部情報を含み、画像処理装置は、複数の画像データを解析して袋収容部情報を取得し、複数の画像データの各々は、袋収容部の一部分の画像であって、複数の画像データ間でお互いに少なくとも部分的に異なる画像を含んでもよい。
【0020】
移動経路は、袋収容部から袋を取り出す袋取出エリアと、袋取出エリアよりも下流に位置し、撮像装置による袋収容部の撮像が行われる撮像エリアと、を通り、袋収容部情報は、袋収容部における袋の残存状況に関する情報を含んでもよい。
【0021】
移動経路に沿う方向に関し、撮像エリアは、撮像エリアを通る際の袋収容部よりも小さくてもよい。
【0022】
移動経路に沿う方向に関し、撮像装置の撮像範囲は、撮像エリアを通る際の袋収容部よりも小さくてもよい。
【0023】
移動装置は、袋収容部とともに移動する移送体を含み、撮像制御装置は、移送体の移動位置に応じて、撮像装置により複数の画像データを取得させてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、高価な撮像装置を用いることなく、袋及び袋収容部のうちの少なくともいずれか一方の状態情報を精度良く取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、第1実施形態に係る袋情報取得システムの構成の概略を例示する側方図である。
図2図2は、第2実施形態に係る袋情報取得システムの構成の概略を例示する側方図である。
図3図3は、撮像対象部である袋の表面の一例を示す正面図である。
図4図4は、袋情報取得システムの制御構成の一例を示す図である。
図5図5は、上下方向に位置ずれが生じている袋を例示する図面である。
図6図6は、傾きずれ(すなわち回転方向位置ずれ)が生じている袋を例示する図面である。
図7図7は、袋が把持部によって適切な状態で把持されており、袋に位置ずれ及び傾きずれが生じていない場合の袋の状態を例示する。
図8図8は、把持部によって把持されている袋に傾きずれが生じている場合の袋の状態を例示する。
図9図9は、袋情報取得方法の一例を示すフローチャートである。
図10A図10Aは、袋収容部の一例を示す平面図である。
図10B図10Bは、図10Aにおいて符号「XB」で示されている矢印が示す方向に袋収容部を見た袋収容部の側面図である。
図10C図10Cは、図10Aにおいて符号「XC」で示されている矢印が示す方向に袋収容部を見た袋収容部の正面図である。
図11図11は、袋収容部における袋の残存の有無を検出する装置の一例を示す図である。
図12図12は、トレイ底部が撓んでいる場合を例示する図である。
図13図13は、袋搬送システムの一例の概略構成を示す上方図である。
図14図14は、図13に示す撮像装置近傍のエリア(すなわち第3トレイ搬送エリア、第4トレイ搬送エリア、及び第5トレイ搬送エリア)を拡大して示した側方図である。
図15図15は、袋収容部の一例を示す平面図である。
図16図16は、袋収容部情報取得システムの制御構成の一例を示す機能ブロック図である。
図17図17は、袋収容部情報取得システムの作動例を説明する図である。
図18図18は、袋収容部情報取得システムの作動例を説明する図である。
図19図19は、袋収容部情報取得システムの作動例を説明する図である。
図20図20は、袋収容部情報取得システムの作動例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下図面を参照して、本開示の典型的な実施形態を例示する。
【0027】
以下に例示される情報取得システムは、撮像装置、移動装置、撮像制御装置、画像処理装置を備える。撮像装置は、撮像を行って画像データを取得する。移動装置は、袋及び袋を収容するための袋収容部のうちの少なくともいずれか一方と、撮像装置との間の、相対位置を変える。撮像制御装置は、撮像装置を制御し、お互いに異なる複数の相対位置のそれぞれにおいて、袋及び袋収容部のうちの少なくともいずれか一方の複数の画像データを、撮像装置により取得させる。このようにして取得される複数の画像データは、お互いに少なくとも部分的に異なる画像を含む。画像処理装置は、複数の画像データを解析して、袋及び袋収容部のうちの少なくともいずれか一方の状態を示す状態情報を取得する。
【0028】
まず、情報取得システムが袋情報取得システムとして具現化され、状態情報が、袋の状態を示す袋情報を含む場合について例示する(後述の第1モード参照)。次に、情報取得システムが袋収容部情報取得システムとして具現化され、状態情報が、袋収容部の状態を示す袋収容部情報を含む場合について例示する(後述の第2モード参照)。なお状態情報は、袋情報及び袋収容部情報の一方のみを含んでいてもよいし、両方を含んでいてもよい。また情報取得システムは、袋情報及び袋収容部情報の両方を取得するシステムとして具現化されてもよく、第1モードの各実施形態及び第2モードの各実施形態は、お互いに、全体的に又は部分的に適宜組み合わされてもよい。
【0029】
[第1モード]
図1は、第1実施形態に係る袋情報取得システム10の構成の概略を例示する側方図である。
【0030】
袋情報取得システム10は、撮像装置11及び移動装置12を備える。
【0031】
撮像装置11は、口部B1が閉じられている状態で搬送装置70により間欠的に搬送されている袋B(空袋)の撮像を行って、撮像データを取得する。図示の撮像装置11は、デジタルカメラによって構成され、搬送装置70によって袋Bが間欠的に停止している間に、袋Bの撮像を行う。
【0032】
図示の搬送装置70は、移動可能に設けられている支持デバイス71を含む。支持デバイス71は、開閉可能に設けられている一対の把持部72を有する。それぞれの把持部72により袋Bの両側部B3が把持されることで、当該袋Bは支持デバイス71により吊り下げ状態で保持される。
【0033】
移動装置12は、所定の移動経路に沿って撮像装置11を移動させる。図示の移動装置12は、撮像装置11を支持する移動支持部23と、移動支持部23を上下方向(すなわち重力が作用する鉛直方向に沿う高さ方向)に昇降させる移動ユニット22と、移動ユニット22に動力を付与する移動駆動源21とを有する。一例として、移動駆動源21(例えばモータ)から伝えられる回転動力を、移動ユニット22(例えばボールねじ)により上下方向への直線的な動力に変換することができる。この直線的な動力が移動支持部23に伝えられることによって、撮像装置11を移動支持部23と一体的に上下動させることができる。
【0034】
撮像装置11は、後述の撮像制御装置(図4の「制御装置40」及び「画像処理判定装置42」参照)により制御され、移動経路における複数の撮像ポイントの各々で撮像を行って、袋Bを被写体とする複数の画像データを取得する。図示の撮像装置11は、上下方向に関してお互いに異なる位置である第1撮像ポイントP1、第2撮像ポイントP2及び第3撮像ポイントP3の各々に位置する時に、袋Bの撮像を行う。図1では、上方位置である第1撮像ポイントP1に配置されている撮像装置11及び移動支持部23が実線で示されており、下方位置である第3撮像ポイントP3に配置されている撮像装置11及び移動支持部23が二点鎖線で示されており、中間位置である第2撮像ポイントP2に配置されている撮像装置11及び移動支持部23の図示が省略されている。
【0035】
また図1において、撮像装置11(特に第1撮像ポイントP1及び第3撮像ポイントP3に位置する撮像装置11)による撮像範囲Rpが二点鎖線で示されている。撮像装置11の撮像範囲Rpは、袋Bの撮像対象部(本実施形態では表面Bs)の全体をカバーすることができず、撮像対象部の一部分のみをカバーすることができる。したがって撮像装置11によって取得される画像データの各々は、袋Bの全体の画像を含むことができず、袋Bのうちの一部分のみの画像を含む。
【0036】
したがって複数の撮像ポイントP1~P3のそれぞれにおいて撮像装置11により取得される複数の画像データは、袋Bの一部分の画像であって、少なくとも部分的にお互いに異なる画像を含む。すなわち撮像装置11は、第1撮像ポイントP1に位置している時に、口部B1を含む袋Bの上方部分(後述の図8の「第1画像領域I1」参照)の撮像を行って第1の画像データを取得する。また撮像装置11は、第2撮像ポイントP2に位置している時に、口部B1と底部B2との間の袋Bの中間部分(図8の「第2画像領域I2」参照)の撮像を行って第2の画像データを取得する。また撮像装置11は、第3撮像ポイントP3に位置している時に、底部B2を含む袋Bの下方部分(図8の「第3画像領域I3」参照)の撮像を行って第3の画像データを取得する。
【0037】
複数の撮像ポイントのそれぞれにおける撮像装置11の撮像範囲Rpの全体は、袋Bの撮像対象部(すなわち表面Bs)の全体をカバーする。そのため、上述のようにして取得される複数の画像データ(本実施形態では第1~第3の画像データ)のそれぞれに含まれる袋Bの部分画像を組み合わせることによって、袋Bの全体画像を取得することができる。すなわち個々の画像データは、袋Bのうちの一部分のみの画像しか含まないが、複数の撮像ポイントP1~P3において撮像装置11が取得した複数の画像データに含まれる袋Bの部分画像を合成することによって、袋Bの全体画像を取得することができる。
【0038】
本実施形態では、お互いに隣り合う撮像ポイントにおける撮像装置11の撮像範囲は、お互いに部分的にオーバーラップする。すなわち第1撮像ポイントP1に位置する撮像装置11の撮像範囲(第1の撮像範囲)の下方端部は、第2撮像ポイントP2に位置する撮像装置11の撮像範囲(第2の撮像範囲)の上方端部と重なる。同様に、第2の撮像範囲の下方端部は、第3撮像ポイントP3に位置する撮像装置11の撮像範囲(第3の撮像範囲)の上方端部と重なる。したがって、お互いに隣り合う撮像ポイントにおいて撮像装置11により取得される複数の画像データに含まれる袋Bの部分画像は、部分的にオーバーラップする。これにより複数の画像データは袋Bの撮像対象部の全体を隙間無く確実に網羅することができ、複数の画像データに含まれる袋Bの部分画像から袋Bの全体画像を確実に合成生成することができる。
【0039】
袋B(特に撮像対象部)のサイズは変更可能である。例えば、袋情報取得システム10において取り扱う袋Bの種類(例えばサイズ)を、時間帯に応じて又は日毎に変えてもよい。ただし袋Bの撮像対象部の全体を、撮像装置11が取得する複数の画像データによって網羅することが求められる場合、撮像装置11の撮像可能範囲に袋Bの撮像対象部の全体を含めることができる範囲で、袋Bのサイズは変更される必要がある。撮像装置11の撮像可能範囲は、撮像装置11の移動経路の範囲及び撮像装置11の撮像範囲Rpに基づいて決められる。
【0040】
図2は、第2実施形態に係る袋情報取得システム10の構成の概略を例示する側方図である。図2に示す袋情報取得システム10を構成する要素のうち、図1に示す袋情報取得システム10を構成する要素と同一又は類似の要素には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0041】
図2に示す袋情報取得システム10は、撮像装置11及び移動装置12に加え、光透過型照明装置31、位置制限部材32及びブロワー33を備える。
【0042】
光透過型照明装置31は、撮像装置11と撮像位置で間欠停止している袋Bとの間に位置し、袋Bに向けて発光しつつ、袋Bから撮像装置11に向かう光を透過させる。光透過型照明装置31を用いることによって、撮像に十分な光量の光が袋Bに照射されるとともに、撮像装置11は袋Bの撮像対象部(表面Bs)を適切に撮像することができる。
【0043】
光透過型照明装置31の構成は限定されない。光透過型照明装置31としてエッジ入光方式の透明導光板を用いる場合、発光ダイオード(LED)等の光源からの光が、導光板のエッジ部分から導光板に入射し、導光板内で全反射を繰り返しながら進行する。そして、導光板の反射面に対する入光角度が全反射条件を満たさなくなった少なくとも一部の光が、導光板から袋Bに向けて出射する。例えばフラットドーム(登録商標)と呼ばれる照明装置(シーシーエス株式会社製)を、光透過型照明装置31として使用することが可能である。
【0044】
位置制限部材32は、支持デバイス71により支持されている袋Bの位置を制限する。図2に示す位置制限部材32は、上下方向に延びるプレート状部材であり、撮像位置で間欠停止している袋Bを介して、撮像装置11とは反対側に位置し、袋Bのうち表面Bs(撮像対象部)とは逆側の裏面と対向する。位置制限部材32のうち袋Bの裏面と向かい合う面は、水平方向(特に撮像装置11の光軸方向)に延びる法線ベクトルを持つ平坦面である。図2に示す位置制限部材32は、基本的に、撮像位置において支持デバイス71により支持されている袋Bとは接触しない位置に設けられている。ただし、後述のブロワー33からの気体Aが袋Bに吹き付けられると、袋B(特に裏面)が位置制限部材32の平坦面に密着し、位置制限部材32は袋Bの移動を制限する。このように位置制限部材32は、袋Bの揺れを防ぐことができる。
【0045】
ブロワー33は、撮像位置において支持デバイス71により支持されている袋Bに向けて、気体Aを噴出する。図2に示すブロワー33は、撮像位置で間欠停止している袋Bを介して位置制限部材32とは反対側に位置し、袋Bのうち撮像対象部を構成する表面Bsに向けて気体Aを吹き付けて、袋Bを位置制限部材32に密着させる。これにより、袋Bを所定位置(すなわち位置制限部材32と密着する位置)に確実に配置することができ、また袋Bの表面Bsからシワを除去又は低減することができる。
【0046】
撮像装置11は、位置制限部材32により袋Bの位置が制限されている状態で、袋Bの撮像を行う。また撮像装置11は、ブロワー33から袋Bに気体Aが吹き付けられている状態で、袋Bの撮像を行う。したがって撮像装置11は、袋Bが所定位置(すなわち位置制限部材32と密着する位置)に配置されている状態で、シワの影響が低減されている表面Bs(撮像対象部)を撮像することができる。
【0047】
図3は、袋Bの表面Bs(撮像対象部)の一例を示す正面図である。図3には、位置制限部材32を具備する上述の第2実施形態の袋情報取得システム10が例示的に示されている。
【0048】
袋Bの表面Bsには、様々な情報を表示可能である。一例として、袋Bに入れられることになる内容物の原材料を示す情報(図3の第1情報表示部R1参照)、当該内容物の賞味期限を示す情報(第2情報表示部R2)及びバーコード情報(第3情報表示部R3)を、袋Bの表面Bsの異なる箇所に同時的に表示可能である。バーコード情報は、任意の情報を示すことができ、例えば袋Bに内容物が封入されることで作られる商品の情報(商品の種類等)を示すことができる。
【0049】
このように袋Bの露出面には、画像として読み取り可能な情報を付すことが可能である。袋Bに付される読み取り可能な情報は、典型的には、インキを使って袋Bにプリントされた情報であるが、刻印や他の方法によって袋Bに付与された情報であってもよい。撮像装置11によって取得される複数の画像データの各々は、そのような読み取り可能な情報が付されている袋の露出面(図1図3に示す例では袋Bの表面Bs)の画像を含むことができる。
【0050】
位置制限部材32が設けられる場合、図3に示すように、袋Bの表面Bs(撮像対象部)のうち、画像データに含めるべき読み取り可能な情報が付されている箇所の全てが、位置制限部材32によって背後から覆われることが好ましい。これにより、画像データに含めるべき読み取り可能な情報が付されている箇所の全体の位置を、位置制限部材32によって制限することができる。
【0051】
図4は、袋情報取得システム10の制御構成の一例を示す図である。図4には、位置制限部材32及びブロワー33を具備する上述の第2実施形態の袋情報取得システム10が例示的に示されている。
【0052】
袋情報取得システム10は、制御装置40及び画像処理判定装置42を備える。
【0053】
制御装置40は接続されている機器を制御し、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)として働く。図4に示す制御装置40は、画像処理判定装置42を介して撮像装置11に接続され、サーボドライバ41を介して移動駆動源21に接続され、ブロワー33に接続されている。
【0054】
サーボドライバ41は、目標値(すなわち撮像装置11の移動目標位置)を示す駆動指令信号(図示の例では昇降指令信号)を制御装置40から受信し、受信した駆動指令信号に対応する動力信号を移動駆動源21に送信する。移動駆動源21は、サーボドライバ41からの動力信号に応じた動力を移動ユニット22に与え、移動ユニット22は、撮像装置11とともに移動支持部23を昇降させる。その一方で、撮像装置11の実際の移動位置(昇降位置)を示す位置情報が、移動駆動源21と一体的に設けられているエンコーダ等の位置検出デバイス(図示省略)から、サーボドライバ41を介して制御装置40に送信される。制御装置40は、位置検出デバイスから送られてくる位置情報が示す撮像装置11の現在位置と移動目標位置との間の差分に基づいて、サーボドライバ41に送信する駆動指令信号を調整する。このように移動装置12は、移動経路における撮像装置11の位置情報を把握しつつ、撮像装置11を移動させるサーボ機構に基づいている。
【0055】
撮像装置11は、制御装置40の制御下で撮像を行う。具体的には、画像処理判定装置42が制御装置40の制御下で撮像指示信号を撮像装置11に送信し、撮像装置11は、画像処理判定装置42から送られてくる撮像指示信号に基づく条件(撮像タイミングを含む)で、撮像を行う。本実施形態の制御装置40は、撮像装置11の移動位置に応じて、撮像装置11に撮像を実行させる。すなわち、所定の複数の撮像ポイント(具体的には図2に示す第1撮像ポイントP1~第3撮像ポイントP3)で撮像装置11が撮像を行うように、制御装置40は、撮像装置11の移動位置を示す情報に基づいて、画像処理判定装置42を介して撮像装置11を制御する。撮像装置11の移動位置を示す情報として、移動装置12の位置検出デバイスから制御装置40に送信される位置情報(撮像装置11の実際の移動位置を示す情報)を利用することができるが、他の情報を利用してもよい。このように制御装置40は撮像制御装置としても働き、移動装置12から得られる位置情報に基づいて撮像装置11を制御し、複数の撮像ポイントの各々において撮像装置11により袋Bの画像データを取得させる。
【0056】
ブロワー33は、制御装置40の制御下で、気体の噴出のオン/オフを行う。一例として、撮像位置において袋Bが間欠的に停止している間(特に撮像装置11によって袋Bの撮像が行われている間)は、ブロワー33からの気体の噴出がオンにされてもよい。また搬送装置70によって袋Bが間欠的に移動させられる間は、ブロワー33からの気体の噴出がオフにされてもよい。
【0057】
画像処理判定装置42は、上述のように制御装置40の制御下で撮像装置11に撮像指示信号を送信する。このように本実施形態の画像処理判定装置42は、制御装置40と協働して撮像制御装置としても働く。ただし制御装置40は、画像処理判定装置42を介することなく、直接的に撮像装置11に接続し、撮像装置11の撮像を直接的に制御してもよい。
【0058】
また画像処理判定装置42は、画像データの解析を行う画像処理装置として働くとともに、画像データの解析結果に基づいて検査対象の袋Bの適切性を判定する判定装置としても働く。
【0059】
すなわち画像処理判定装置42は、制御装置40から画像処理指令信号を受信するとともに撮像装置11から複数の画像データを受信する。画像処理判定装置42は、画像処理指令信号に基づき、複数の撮像ポイント(第1撮像ポイントP1~第3撮像ポイントP3)のそれぞれにおいて撮像装置11により取得される複数の画像データを解析して袋情報を取得する。袋情報の内容は限定されないが、袋Bの適切性の判定基準となりうる情報を袋情報は含む。そのような袋情報は、典型的には、袋Bに付されている読み取り可能な情報、袋Bの位置に関する情報、及び袋Bの姿勢に関する情報のうちの少なくともいずれか一つを含みうる。
【0060】
例えば画像処理判定装置42は、撮像装置11から送られてくる複数の画像データに基づいて、袋Bの露出面(表面Bs)における読み取り可能な情報が付されている箇所(図3に示す第1情報表示部R1~第3情報表示部R3参照)を特定し、読み取り可能な情報の内容を認識することができる。そして画像処理判定装置42は、認識した読み取り可能な情報が適切か否かを判定することができる。画像処理判定装置42は、実際に袋Bに付されている読み取り可能な情報の内容の誤り、読み取り可能な情報の印字不良(印字抜け等)、及び読み取り可能な情報に関する他のエラーを、読み取り可能な情報の認識結果に基づいてチェックすることができる。
【0061】
読み取り可能な情報として、例えば、画像として認識可能な文字情報、記号情報、図形情報、コード情報(一次元コード及び二次元コードを含む)、及び他の表示情報が挙げられる。特にコード情報の場合、画像処理判定装置42は、認識したコード情報が表す具体的な数値や文字等の情報を認識してもよい。
【0062】
撮像装置11によって取得される複数の画像データの少なくともいずれかは、基準物の画像を含んでいてもよい。画像処理判定装置42は、撮像装置11から送られてくる複数の画像データに基づいて、基準物に対する袋Bの相対的な位置及び姿勢のうちの少なくともいずれか一つに関する情報を取得してもよい。ここで言う基準物は、袋Bの位置及び姿勢のうちの少なくともいずれか一つを評価するための基準として利用可能な物体である。本実施形態では、把持部72を基準物として用いることができ、撮像装置11が第1撮像ポイントP1において取得した画像データに把持部72(基準物)の画像が含まれる。
【0063】
画像処理判定装置42は、このようにして取得した検査対象の袋Bの袋情報を、予め得られている基準情報と比較し、検査対象の袋Bの適切性を判定する。
【0064】
基準情報を得る方法は限定されない。例えば、袋情報取得システム10の使用者によって、制御装置40又は画像処理判定装置42に基準情報が直接的に入力されてもよい。制御装置40に基準情報が入力される場合、制御装置40から画像処理判定装置42に送られる画像処理指令信号に基準情報が含められてもよい。
【0065】
或いは、事前に、袋情報取得システム10において正常な袋Bを使うことで「正常な袋Bの袋情報」を取得しておき、この「正常な袋Bの袋情報」を基準情報として用いてもよい。「正常な袋Bの袋情報」は、例えば、正常な袋Bの撮像対象部(表面Bs)のエッジ位置を示す情報(正常エッジ位置情報)、正常な袋Bの撮像対象部における情報表示部(第1情報表示部R1~第3情報表示部R3)の位置を示す情報(正常情報表示部位置情報)、及び各把持部72(基準物)の位置を示す情報(正常基準物位置情報)を含んでいてもよい。
【0066】
そして画像処理判定装置42は、検査対象の袋Bの袋情報及び適切性の判定結果(すなわち検査結果)を示す出力信号を、モニター43に送信する。モニター43は、画像処理判定装置42から送られてくる出力信号に応じて、検査対象の袋Bの袋情報及び判定結果を表示する。袋情報取得システム10の使用者は、モニター43の表示を介して、検査対象の袋Bの袋情報及び判定結果を確認することができる。
【0067】
次に、袋Bの適切性判定の基礎となる袋情報について説明する。
【0068】
図5は、上下方向に位置ずれが生じている袋Bを例示する図面である。図5において、適切な位置に配置されている袋Bのエッジ(特に口部B1を含む上端部のエッジ)が二点鎖線により示されている。
【0069】
把持部72により把持されている袋Bの位置が上下方向にずれている場合、袋Bの上端エッジ及び下端エッジの各々と把持部72(基準物)との間の上下方向距離が、ずれ量に応じて変わる。画像処理判定装置42は、撮像装置11から送られてくる複数の画像データを解析して、画像中の袋Bの上端エッジ及び/又は下端エッジの位置と把持部72の位置(例えば把持部72のエッジに基づいて決められる位置)とを特定し、画像中における「袋Bの上端エッジと把持部72との間の上下方向距離」及び/又は「袋Bの下端エッジと把持部72との間の上下方向距離」を特定することができる。画像処理判定装置42は、このようにして特定した「袋Bの上端エッジと把持部72との間の上下方向距離」及び/又は「袋Bの下端エッジと把持部72との間の上下方向距離」と、袋Bの位置が上下方向にずれていない場合の「袋Bの上端エッジと把持部72との間の上下方向距離」及び/又は「袋Bの下端エッジと把持部72との間の上下方向距離」とを比較することによって、袋Bの上下方向への位置ずれの情報を取得することができる。
【0070】
同様に、画像処理判定装置42は、撮像装置11から送られてくる画像データを解析して、画像中の袋Bの側方エッジ(すなわち右端エッジ及び/又は左端エッジ)の位置と把持部72の位置とを特定し、画像中における「袋Bの右端エッジと把持部72との間の水平方向距離」及び/又は「袋Bの左端エッジと把持部72との間の水平方向距離」を特定することができる。画像処理判定装置42は、このようにして特定した「袋Bの右端エッジと把持部72との間の水平方向距離」及び/又は「袋Bの左端エッジと把持部72との間の水平方向距離」と、袋Bの位置が水平方向にずれていない場合の「袋Bの右端エッジと把持部72との間の水平方向距離」及び/又は「袋Bの左端エッジと把持部72との間の水平方向距離」とを比較することによって、袋Bの水平方向への位置ずれの情報を取得することができる。
【0071】
図6は、傾きずれ(すなわち回転方向位置ずれ)が生じている袋Bを例示する図面である。
【0072】
把持部72により把持されている袋Bに傾きずれが生じている場合、袋Bのうちの異なる2箇所(例えば上端の左右のコーナーエッジ)の各々と把持部72との間の距離が、袋Bの傾きの程度に応じて変わる。画像処理判定装置42は、撮像装置11から送られてくる画像データを解析することによって、画像中の袋Bの上端左コーナーエッジ及び上端右コーナーエッジの位置と把持部72の位置とを特定し、画像中における「袋Bの上端左コーナーエッジと左側側部B3を把持する把持部72との間の上下方向距離」及び「袋Bの上端右コーナーエッジと右側側部B3を把持する把持部72との間の上下方向距離」を特定することができる。画像処理判定装置42は、このようにして特定した「袋Bの上端左コーナーエッジと左側把持部72との間の上下方向距離」及び「袋Bの上端右コーナーエッジと右側把持部72との間の上下方向距離」と、袋Bの位置が上下方向にずれていない場合の「袋Bの上端左コーナーエッジと左側把持部72との間の上下方向距離」及び「袋Bの上端右コーナーエッジと右側把持部72との間の上下方向距離」とを比較することで、袋Bの傾きずれに関する情報を取得することができる。
【0073】
図7は、正常な袋Bが把持部72によって適切な状態で把持されており、袋Bに位置ずれ及び傾きずれが生じていない場合の袋Bの状態を例示する。図8は、把持部72によって把持されている袋Bに傾きずれが生じている場合の袋Bの状態を例示する。
【0074】
画像処理判定装置42は、撮像装置11がそれぞれの撮像ポイントで取得した複数の画像データに基づいて袋Bの合成画像データを取得し、合成画像データを解析することによって袋情報を取得する。撮像装置11が第1撮像ポイントP1で取得する画像データには、図8に示す第1画像領域I1の画像が含まれる。撮像装置11が第2撮像ポイントP2で取得する画像データには、第1画像領域I1に隣り合う第2画像領域I2の画像が含まれる。撮像装置11が第3撮像ポイントP3で取得する画像データには、第2画像領域I2に隣り合う第3画像領域I3の画像が含まれる。
【0075】
上述のように、各撮像ポイントで取得される画像データが示す袋Bの部分画像は、隣り合う撮像ポイントで取得される画像データが示す袋Bの部分画像と、部分的にオーバーラップする。したがって撮像装置11が第1撮像ポイントP1で取得する画像データには、第1画像領域I1の画像に加え、第2画像領域I2の一部の画像(特に第1画像領域I1と第2画像領域I2との間の境界近傍の画像)が含まれる。また撮像装置11が第2撮像ポイントP2で取得する画像データには、第2画像領域I2の画像に加え、第1画像領域I1の一部の画像及び第3画像領域I3の一部の画像が含まれる。また撮像装置11が第3撮像ポイントP3で取得する画像データには、第3画像領域I3の画像に加え、第2画像領域I2の一部の画像が含まれる。画像処理判定装置42は、隣接する画像領域間のオーバーラップ部分を基準として用いることにより、撮像装置11からの複数の画像データ(袋Bの部分画像)から、袋Bの全体画像を示す画像データ(合成画像データ)を作り出すことができる。
【0076】
そして画像処理判定装置42は、袋Bの全体画像を示す画像データ(合成画像データ)を解析することによって「袋Bの撮像対象部(表面Bs)のエッジ位置を示す情報(検査エッジ位置情報)」、「袋Bの撮像対象部(表面Bs)における情報表示部の位置を示す情報(検査情報表示部位置情報)」及び「各把持部72(基準物)の位置を示す情報(検査基準物位置情報)」を取得する。
【0077】
画像処理判定装置42は、袋情報取得システム10において正常な袋B(図7参照)を使って得られる合成画像データを解析して、正常な袋Bの撮像対象部のエッジ位置、日付を示す第2情報表示部R2の位置、バーコードを示す第3情報表示部R3の位置、及び各把持部72の位置を取得する。画像処理判定装置42は、袋Bの撮像対象部のエッジ位置として、撮像対象部のエッジ全体の位置を取得してもよいし、特徴的なエッジ部分(例えばコーナーエッジ部分)のみの位置を取得してもよい。また画像処理判定装置42は、各情報表示部の情報内容の特徴を、各情報表示部の位置と関連づけて記憶する。例えば画像処理判定装置42は、賞味期限を示す日付情報と第2情報表示部R2の位置とを関連づけて記憶し、バーコードと第3情報表示部R3の位置とを関連づけて記憶する。
【0078】
そして画像処理判定装置42は、正常な袋Bに関し、各把持部72に対する各情報表示部の相対位置を算出して記憶し、各把持部72に対する袋Bのエッジの相対位置を算出して記憶する。このようにして画像処理判定装置42は、正常な袋Bの画像データから基準情報を導き出して記憶する。
【0079】
そして画像処理判定装置42は、検査対象の袋Bを使って得られる画像データを解析し、検査対象の袋Bに関する撮像対象部のエッジ位置、第1情報表示部R1~第3情報表示部R3の位置、及び各把持部72の位置を取得する。そして画像処理判定装置42は、検査対象の袋Bに関し、各把持部72に対する各情報表示部の相対位置を算出し、各把持部72に対する袋Bのエッジの相対位置を算出する。この際、第2情報表示部R2及び第3情報表示部R3の位置は、それぞれ第2情報表示部R2及び第3情報表示部R3の情報内容の特徴に基づいて特定される。例えば第2情報表示部R2の位置を特定する際、画像処理判定装置42は、日付情報を含む情報表示部の位置を探索する。また第3情報表示部R3の位置を特定する際、画像処理判定装置42は、バーコードを含む情報表示部の位置を探索する。
【0080】
これにより、第2情報表示部R2及び第3情報表示部R3が本来の位置から大幅にずれていても、第2情報表示部R2及び第3情報表示部R3の位置を特定することができる。例えば袋Bが上下反対の状態で把持部72に把持されているような場合であっても、画像処理判定装置42は、実際の第2情報表示部R2及び第3情報表示部R3の位置を特定することができる。
【0081】
そして画像処理判定装置42は、検査対象の袋Bに関する上述の情報を基準情報と比較して、検査対象の袋Bの適切性を判定する。すなわち画像処理判定装置42は、検査対象の袋Bに関する上下方向の位置ずれ(図5参照)、傾きずれ(図6参照)、及び読み取り可能な情報を基礎情報と比較して、検査対象の袋Bの適切性を判定することができる。また、画像処理判定装置42は、検査対象の袋Bに関する第2情報表示部R2及び第3情報表示部R3の実際の位置関係から、袋Bが上下反対の状態に置かれているか否かを判定することができる。
【0082】
次に、上述の袋情報取得システム10を使って袋情報を取得する袋情報取得方法の一例について説明する。
【0083】
図9は、袋情報取得方法の一例を示すフローチャートである。以下では、位置制限部材32及びブロワー33を具備する上述の第2実施形態の袋情報取得システム10(図2参照)によって、図9に示す袋情報取得方法が実施される場合が例示されている。下記の袋情報取得方法は、制御装置40の制御下で行われる。
【0084】
袋Bは、搬送装置70によって所定の撮像位置に搬送され、当該撮像位置において間欠的に停止させられる(図9のS1)。袋Bは、搬送装置70によって次に間欠的に移動させられるまで、支持デバイス71の把持部72により継続的に吊り下げ保持される。
【0085】
そしてブロワー33からの気体の噴出が開始される(S2)。袋Bは、ブロワー33からの気体によって位置制限部材32の平坦面に密着し、撮像に適した状態に置かれる。
【0086】
そして撮像装置11は、移動装置12によって移動スタート位置からの移動が開始され(S3)、撮像を行って複数の画像データを取得し(S4)、移動装置12によって移動ストップ位置で移動が停止させられる(S5)。撮像装置11は、途中で停止することなく、移動スタート位置から移動ストップ位置に向かって移動しながら、袋Bの表面Bsを撮像して複数の画像データを取得する。ただし撮像装置11は、複数の撮像ポイント(第1撮像ポイントP1~第3撮像ポイントP3)の各々において一旦停止し、停止している状態で撮像を行ってもよい。
【0087】
図9に示す例では、撮像装置11が移動スタート位置から移動を開始した後であって撮像装置11が移動ストップ位置で移動を停止する前に袋Bの撮像が行われているが、撮像装置11が撮影を行うタイミングはこれに限定されない。例えば撮像装置11は、移動スタート位置から移動開始する前に移動スタート位置で撮像を行って最初の画像データを取得してもよい。また撮像装置11は、移動ストップ位置で停止した後に移動ストップ位置で撮像を行って画像データを取得してもよい。
【0088】
本実施形態において、移動スタート位置は、撮像装置11を配置可能な最上方位置であり、移動ストップ位置は、撮像装置11を配置可能な最下方位置である。したがって移動スタート位置及び移動ストップ位置は、移動支持部23の昇降可能範囲(特に上昇限界位置及び下降限界位置)に対応する。ただし移動スタート位置及び移動ストップ位置は限定されない。例えば、移動スタート位置が撮像装置11を配置可能な最下方位置であり、移動ストップ位置が撮像装置11を配置可能な最上方位置であってもよい。また移動スタート位置及び移動ストップ位置は変更可能であってもよい。例えば検査対象の袋Bのサイズ(特に長さ方向サイズ(すなわち口部B1から底部B2に向かう方向のサイズ))に応じて、移動スタート位置及び/又は移動ストップ位置が変えられてもよい。このように撮像装置11の移動スタート位置及び移動ストップ位置は、移動支持部23の上昇限界位置及び下降限界位置に対応していなくてもよい。
【0089】
撮像装置11による袋Bの撮像が終了した後、ブロワー33からの気体の噴出が停止され(S6)、袋Bは搬送装置70によって撮像位置から搬送される(S7)。図9に示す例では、撮像装置11の移動が停止した後にブロワー33からの気体の噴出が停止されるが、撮像装置11による袋Bの撮像が終了した後であれば、撮像装置11の移動が停止する前であってもブロワー33からの気体の噴出を停止してもよい。
【0090】
複数の撮像ポイント(第1撮像ポイントP1~第3撮像ポイントP3)において撮像装置11により取得された複数の画像データは、撮像装置11から画像処理判定装置42に送られる。画像処理判定装置42は、複数の画像データから合成画像データを作り出し、この合成画像データに基づいて検査対象の袋Bの袋情報を取得し、検査対象の袋Bの適切性を判定する。そして画像処理判定装置42は、検査対象の袋Bの袋情報及び適切性の判定結果をモニター43に送信する。モニター43は、画像処理判定装置42から送られてくる袋Bの袋情報及び判定結果を表示する。
【0091】
正常であると判定された袋Bは、通常通りに後段に送られる。後段の装置構成は限定されず、例えば袋Bに内容物を封入する包装装置、袋Bの搬送を中継する中継搬送装置、或いは袋Bを貯留しておくストッカーを、後段の装置として設置可能である。一方、異常であると判定された袋Bは、後段において異常状態を解消するための処理を受けてもよいし、撮像位置で、撮像位置から後段に送られる途中で、或いは後段において、袋情報取得システム10から排出されてもよい。
【0092】
なお移動装置12は、撮像装置11を移動ストップ位置から移動スタート位置に戻す。撮像装置11を移動スタート位置に戻すタイミングは限定されないが、次の袋Bの撮像処理を開始する前(例えば次の検査対象の袋Bが撮像位置に間欠停止させられる前)に、撮像装置11は移動ストップ位置から移動スタート位置に戻される。
【0093】
以上説明したように上述の袋情報取得システム10及び袋情報取得方法によれば、複数の画像データを解析することによって、検査対象の袋Bの袋情報が取得される。そのため、撮像解像度がそれほど高くない安価な撮像装置11を用いる場合であっても、検査対象の袋Bの袋情報を精度良く取得することができる。
【0094】
また複数の画像データから袋Bの表面Bs(撮像対象部)の全体画像(すなわち合成画像)を得ることができるため、複数の検査を一度の処理プロセスによって行うことが可能である。例えば袋Bの撮像対象部に付された読み取り可能な情報の検査と、袋Bの上下方向の位置ずれの検査と、袋Bの傾きずれの検査とを、同時的に行うことが可能である。そのため、検査項目毎に別個の検査装置を用意したり別個の検査場所を確保したりする必要がない。また袋Bのサイズが変更されたり、袋Bに付されている情報表示部の位置が変更されたりしても、袋情報取得システム10を構成する各種装置(特に撮像装置11)の位置調整を回避しうる。
【0095】
またブロワー33及び/又は位置制限部材32を用いることによって、撮像の際の袋Bの揺れを防いで、袋Bの撮像対象部である表面Bsを所定位置に精度良く配置することができる。また袋Bの表面Bsからシワを除去又は低減して、袋情報の取得精度を向上させることができる。
【0096】
[変形例]
本開示の装置及び方法は、上述の実施形態には限定されない。
【0097】
複数の撮像ポイントは、お互いに異なる4以上の撮像ポイントであってもよいし、お互いに異なる2つの撮像ポイントであってもよい。複数の撮像ポイントが3以上である場合、複数の撮像ポイントは等間隔に位置していてもよい。
【0098】
撮像ポイントが2つの場合、撮像装置11は、移動スタート位置及び移動ストップ位置において停止した状態で撮像を行ってもよい。この場合、移動途中で撮像を行わなくてもよいため、撮像装置11の移動途中の位置を把握する必要がなく、エアシリンダ等の比較的簡素な装置を移動ユニット22として使用することが可能である。一方、撮像ポイントがお互いに異なる3以上の撮像ポイントの場合、撮像装置11は、移動スタート位置から移動ストップ位置に向かって移動する途中で撮像を行う必要があるため、撮像装置11の移動途中の正確な位置を把握することが求められることがある。この場合、移動装置12は、移動経路上の撮像装置11の位置情報を把握しつつ、撮像装置11を移動させ、制御装置40(撮像制御装置)は、撮像装置11から得られる位置情報に基づいて、撮像装置11を制御することができる。
【0099】
制御装置40は、撮像装置11の位置情報に基づかずに、移動経路上の互いに異なるポイントの各々において撮像装置11により画像データを取得させてもよい。例えば、制御装置40は、移動装置12を介して撮像装置11を移動させつつ、撮像装置11に連写を実行させることで、袋Bに関する複数の画像データが取得されてもよい。
【0100】
袋情報は、上述の情報に限定されない。例えば、袋Bにスパウト等の附属物が取り付けられている場合、画像処理判定装置42は、複数の画像データを解析することによって、袋Bに対する附属物の取り付け位置及び/又は取り付け姿勢を特定してもよい。そして画像処理判定装置42は、袋Bに対する附属物の取り付けの適切性を、附属物の取り付け位置及び/又は取り付け姿勢に基づいて判定してもよい。
【0101】
[第2モード]
図10Aは、袋収容部200の一例を示す平面図である。図10Bは、図10Aにおいて符号「XB」で示されている矢印が示す方向に袋収容部200を見た袋収容部200の側面図である。図10Cは、図10Aにおいて符号「XC」で示されている矢印が示す方向に袋収容部200を見た袋収容部200の正面図である。図10B及び図10Cにおいて、袋収容部200の内側の複数の袋Bは、実際には外側から見えないが、理解を容易にするため点線で示されている。
【0102】
図10A図10Cに示す袋収容部200は、トレイ形状を有し、四角形の平面形状を持つトレイ底部200aと、トレイ底部200aの各エッジ部からトレイ底部200aとほぼ直角を成す方向に延びるトレイ壁部200bとを含む。トレイ底部200aは、基本的には平板形状を有し、同一平面上に位置する。ただしトレイ底部200aは、後述のように撓んでしまうこともあり、平板形状を有していなくてもよく、同一平面上に位置しなくもよい。袋収容部200のうちトレイ底部200aと対面する側には開口部201が形成されている。トレイ底部200a及びトレイ壁部200bによって囲まれる空間は、開口部201を介して外部に開放されている。
【0103】
重力が作用する鉛直方向側(すなわち下側)にトレイ底部200aを位置づけつつ、トレイ壁部200bが上方に延びるように袋収容部200を配置した状態で、トレイ底部200a上(特に開口部201を介して外部に露出する面上)に複数の袋Bが載せられる。複数の袋Bをトレイ底部200a上に載せる作業は、図示しない装置によって行われてもよいし、人手によって行われてもよい。トレイ底部200a上における複数の袋Bの状態は限定されないが、典型的には、複数の袋Bは、お互いに向きがそろえられ且つ等間隔に並べられた状態で、トレイ底部200a上に置かれる。各袋Bは限定されないが、本実施形態では、内容物が入れられ且つ口部が封止された複数の袋(すなわち複数の製品袋)Bがトレイ底部200a上に置かれる。
【0104】
図11は、袋収容部200における袋Bの残存の有無を検出する装置の一例を示す図である。図11に示す例では、一対のガイドレール210が設けられており、各ガイドレール210はL字状の断面を有する。袋収容部200(特にトレイ底部200a)は、各ガイドレール210上に載せられ、図示しない移動装置によりガイドレール210に沿って(すなわち図11の紙面に垂直な方向へ)移動させられる。袋収容部200は、L字状断面を有する各ガイドレール210によって幅方向(図11の左右方向)への位置ずれが防がれつつ、各ガイドレール210の延在方向(図11の紙面に垂直な方向)へ案内される。
【0105】
一対のガイドレール210よりも上方には、フレーム211に支持された複数の距離検出装置202が設けられている。各距離検出装置202は、検出レーザーLを下方に真っ直ぐに出射するとともに、検出レーザーLの反射光を受光する。各距離検出装置202が受光した反射光を解析することによって、各距離検出装置202から検出レーザーLを反射した物体までの距離が得られる。複数の距離検出装置202は、一対のガイドレール210上に載せられた袋収容部200の幅方向(すなわち図11の左右方向)に並べられ、袋収容部200において袋Bが載せられることが予定されている複数の載置位置(特に幅方向に並ぶ複数の載置位置)に向けて検出レーザーLを出射する。
【0106】
上述の図11に示す装置によれば、各距離検出装置202から検出レーザーLが出射されている状態で、袋収容部200が一対のガイドレール210に案内されつつ各距離検出装置202の下方を通過する。載置位置に袋Bが残っていない場合、検出レーザーLはトレイ底部200aによって反射されるため、「対応の距離検出装置202からトレイ底部200aまでの距離」が「対応の距離検出装置202から反射物体までの距離」として検出される。一方、載置位置に袋Bが残っている場合、検出レーザーLは袋Bによって反射されるため、「対応の距離検出装置202から袋Bまでの距離」が「対応の距離検出装置202から反射物体までの距離」として検出されたり、袋Bの乱反射によって検出自体にエラーが生じたりする。
【0107】
通常、「対応の距離検出装置202からトレイ底部200aまでの距離」は予め取得可能なほぼ一定の値を示す。一方、「対応の距離検出装置202から袋Bまでの距離」は、「対応の距離検出装置202からトレイ底部200aまでの距離」よりも短く、必ずしも一定しない。この測定距離の違いに基づき、各距離検出装置202は、袋収容部200上に袋Bが残存するか否かを検出することができる。
【0108】
図11に示す上述の装置は、「対応の距離検出装置202からトレイ底部200aまでの距離」が予め取得可能なほぼ一定の値を示す場合には有効であるが、「対応の距離検出装置202からトレイ底部200aまでの距離」が意図せずに変動する場合には有効ではない。
【0109】
図12は、トレイ底部200aが撓んでいる場合を例示する図である。図12に示すように、トレイ底部200aが意図せずに撓んでいる場合、距離検出装置202の測定結果から袋収容部200における袋Bの残存の有無を適切に検出できないことがある。例えば、トレイ底部200a上に意図せずに袋Bが残存していても、トレイ底部200aの撓み(すなわち湾曲)のために、当該袋Bの上下方向位置が、撓みが生じていないトレイ底部200aの本来の上下方向位置に近いことがある。この場合、対応の距離検出装置202の測定結果からは、袋収容部200における袋Bの残存を検出できないことがある。
【0110】
トレイ底部200aの撓みは、様々な要因によって、様々な状態で発生しうる。例えば、各袋Bの加熱処理(例えば殺菌処理)を行うために、トレイ底部200aに複数の袋Bが載せられている状態で高温環境下に(例えば殺菌釜内に)袋収容部200が長時間置かれることがある。この場合、熱によってトレイ底部200aが撓んでしまうことがある。また各袋Bが重い場合にも、トレイ底部200aは撓んでしまうことがある。
【0111】
以下に説明する、袋収容部情報取得システムによれば、トレイ底部200aの撓みの有無にかかわらず、袋収容部200における袋Bの残存の有無(すなわち袋収容部情報)を精度良く検出することが可能である。
【0112】
図13は、袋搬送システム100の一例の概略構成を示す上方図である。図13において、符号「A1」で示される矢印は袋Bの移動方向(すなわち「袋送り方向A1」)を示し、符号「A2」で示される矢印は袋収容部200の移動方向(すなわち「袋収容部送り方向A2」)を示す。
【0113】
袋搬送システム100は、第1トレイ集積ユニット101、第2トレイ集積ユニット102、袋取出装置103及び袋搬送装置104を備える。
【0114】
第1トレイ集積ユニット101は、複数の袋Bを収容している袋収容部200を複数保持可能に設けられている。図13に示す第1トレイ集積ユニット101は、一対のガイドレール210から上方に離れた位置において、複数の袋収容部200を上下方向に並べて(例えば複数の袋収容部200を積み重ねて)保持することができる。第1トレイ集積ユニット101が保持する複数の袋収容部200のうち最下位置にある袋収容部200は、図示しないトレイ取出装置により移動させられ、一対のガイドレール210(図11参照)上に載せられる。トレイ取出装置により第1トレイ集積ユニット101から袋収容部200が取り出されるのと同時的に又は当該袋収容部200が取り出された後に、第1トレイ集積ユニット101は、保持している袋収容部200を一段分下方に移動させる。そして、第1トレイ集積ユニット101に新たに供給される袋収容部200は、第1トレイ集積ユニット101において最上位置に配置され、第1トレイ集積ユニット101により保持される。
【0115】
袋収容部200を保持するための第1トレイ集積ユニット101の具体的な機構及びトレイ取出装置の具体的な機構は限定されず、任意の機構によって第1トレイ集積ユニット101及びトレイ取出装置の各々を構成することができる。本実施形態の第1トレイ集積ユニット101は、上述のように複数の袋収容部200を保持する機能(すなわち袋収容部保持機能)及び保持している袋収容部200を降下させる機能(すなわち袋収容部降下機能)を兼ね備えている。そのため第1トレイ集積ユニット101は、袋収容部保持機能及び袋収容部降下機能を発揮する1以上の機構を具備する。
【0116】
第2トレイ集積ユニット102は、基本的には袋Bを収容していない袋収容部200を複数保持可能に設けられている。第1トレイ集積ユニット101と同様に、第2トレイ集積ユニット102は、一対のガイドレール210から上方に離れた位置において、複数の袋収容部200を上下方向に並べて保持することができる。第2トレイ集積ユニット102が保持する複数の袋収容部200は、上から順に取り出される。後述のように第2トレイ集積ユニット102に新たに供給される袋収容部200は、図示しないトレイ回収装置により、一対のガイドレール210から回収されて、第2トレイ集積ユニット102に渡される。第2トレイ集積ユニット102に新たに供給された袋収容部200は、第2トレイ集積ユニット102において最下位置に配置され、第2トレイ集積ユニット102により保持される。
【0117】
袋収容部200を保持するための第2トレイ集積ユニット102の具体的な機構及びトレイ回収装置の具体的な機構は限定されず、任意の機構によって第2トレイ集積ユニット102及びトレイ回収装置の各々を構成することができる。本実施形態の第2トレイ集積ユニット102は、上述のように複数の袋収容部200を保持する機能(すなわち袋収容部保持機能)及び保持している袋収容部200を上昇させる機能(すなわち袋収容部上昇機能)を兼ね備えている。そのため第2トレイ集積ユニット102は、袋収容部保持機能及び袋収容部上昇機能を発揮する1以上の機構を具備する。
【0118】
袋取出装置103は、袋収容部200から袋Bを取り出して、当該袋Bを袋搬送装置104に渡す。
【0119】
図13に示す袋取出装置103は、無端状ベルトを含む反転送り出し部103aを有する。袋取出装置103に新たに供給される袋収容部200は反転送り出し部103aの下方に位置づけられる。袋取出装置103は、袋収容部200の開口部201(図10A図10C参照)を上方から反転送り出し部103aで塞ぐようにトレイ壁部200bに反転送り出し部103a(特に無端状ベルト)を押し付けた状態で、当該袋収容部200を反転送り出し部103aとともに上下反転させる。これにより袋収容部200は反転送り出し部103aの上方に位置づけられ、袋収容部200のトレイ底部200aが開口部201よりも上方に位置づけられる。その結果、複数の袋Bは、袋収容部200の内側から開口部201を通って落下し、反転送り出し部103a(特に無端状ベルト)上に載せられる。その後、袋収容部200が上方に退避して反転送り出し部103aから離され、反転送り出し部103aは、無端状ベルトを走行させることによって、反転送り出し部103a上の複数の袋Bを袋搬送装置104に送り出す。
【0120】
その後、空になった袋収容部200は、反転送り出し部103aとともに上下反転され、再び、反転送り出し部103aの下方に位置づけられて、一対のガイドレール210上に載せられる。袋取出装置103における「空になった袋収容部200の上下反転動作」と「袋Bを収容している別の袋収容部200の上下反転動作」とは、同時的に行われてもよい。すなわち空の袋収容部200を反転送り出し部103aの上方から下方に移動させつつ、袋Bを収容している別の袋収容部200を反転送り出し部103aの下方から上方に移動させてもよい。この場合、反転送り出し部103aのうち空の袋収容部200を塞ぐ部分と、反転送り出し部103aのうち袋Bを収容している別の袋収容部200を塞ぐ部分とは、お互いに関する上下関係が逆になる。
【0121】
袋取出装置103の具体的な機構は限定されず、任意の構成によって袋取出装置103を構成することができる。袋収容部200から袋Bを取り出す上述の方法は一例に過ぎず、他の方法及び他の装置構成の袋取出装置103によって、袋収容部200から袋Bを取り出して、当該袋Bを袋取出装置103から袋搬送装置104に渡してもよい。例えば、特開2006-052088号公報に開示されている装置を、袋取出装置103に応用することが可能である。
【0122】
袋搬送装置104は、袋取出装置103から受け取った複数の袋Bを後段に送る。図13に示す袋搬送装置104はコンベアベルトを有し、袋取出装置103から当該コンベアベルト上に複数の袋Bが載せられる。そして袋搬送装置104のコンベアベルトが走行することにより、当該コンベアベルト上の複数の袋Bが後段に送られる。なお袋搬送装置104の具体的な機構は限定されず、任意の構成によって袋搬送装置104を構成することができる。
【0123】
袋搬送システム100は、更に、収容部移動装置120、撮像装置151、及び照明装置152を備える。
【0124】
収容部移動装置120は、予め定められた移動経路に沿って、袋収容部200を移動させる。本実施形態の袋収容部200の移動経路は、第1トレイ集積ユニット101が設けられる第2トレイ搬送エリアS2から、袋取出装置103が設けられる第3トレイ搬送エリアS3と、撮像装置151及び照明装置152が設けられる第4トレイ搬送エリアS4とを経て、第2トレイ集積ユニット102が設けられる第5トレイ搬送エリアS5に至る。図13に示す収容部移動装置120は、袋収容部200とともに移動する移送体121を含む。移送体121は、移動対象の袋収容部200に接触し、移動経路に沿う方向へ当該袋収容部200を押すことによって、袋収容部200を移動させる。
【0125】
撮像装置151及び照明装置152は、袋取出装置103(第3トレイ搬送エリアS3)と第2トレイ集積ユニット102(第5トレイ搬送エリアS5)との間のエリア(第4トレイ搬送エリアS4)に設けられている。撮像装置151及び照明装置152は、各ガイドレール210に沿って移動する袋収容部200の移動経路に対応する位置に設けられている。撮像装置151は、フレーム(図13では図示省略、図14の符号「211」参照)により固定的に支持されており、袋収容部200の移動経路よりも上方(すなわち各ガイドレール210よりも上方)に位置づけられている。照明装置152は、袋収容部200の移動経路よりも下方(すなわち各ガイドレール210よりも下方)に位置づけられている。
【0126】
撮像装置151の撮像方向は下方向であり、撮像装置151は、各ガイドレール210により案内されつつ移動経路に沿って第2トレイ集積ユニット102に向かって移動する袋収容部200を撮像することができる。撮像装置151は、移動経路に沿う方向に関しては、一度の撮像処理で、袋収容部200(特に袋Bが載せられる載置範囲(すなわちトレイ底部200a))の全体をカバーする画像データを取得することができない。一方、移動経路に沿う方向と垂直を成す水平方向(すなわち図13の左右方向)に関しては、袋収容部情報取得システム150は、一度の撮像処理で、袋収容部200(特に袋Bが載せられる載置範囲(すなわちトレイ底部200a))の全体をカバーする画像データを取得することができる。撮像装置151の具体的な構成は限定されず、例えばラインスキャンカメラによって撮像装置151を構成することができる。
【0127】
図13では図示を省略するが、各袋収容部200のトレイ底部200aは複数の貫通孔(図15の符号「205」参照)を有する。照明装置152の上方を袋収容部200が通過する際、照明装置152から発せられた光は当該袋収容部200のトレイ底部200aを通過する。これにより、撮像装置151によって取得される袋収容部200の画像データの鮮明度を向上させることができる。
【0128】
このように袋収容部200の移動経路は、袋取出装置103によって袋収容部200から袋Bを取り出す袋取出エリア(すなわち第3トレイ搬送エリアS3)と、袋取出エリアよりも下流に位置し、撮像装置151による袋収容部200の撮像が行われる撮像エリア(すなわち第4トレイ搬送エリアS4)とを通る。図13に示す例では、各ガイドレール210は直線的に水平方向に延びているので、第3トレイ搬送エリアS3、第4トレイ搬送エリアS4及び第5トレイ搬送エリアS5も直線的に水平方向に並んで設けられている。
【0129】
次に、袋搬送システム100の作動例を説明する。
【0130】
作業者Wは、複数の袋Bを収容している袋収容部200が複数載せられた台車220を押して移動させ、第1トレイ集積ユニット101に隣り合う第1トレイ搬送エリアS1に当該台車220を停める。台車220の構成は限定されない。図13に示す台車220の底部は、お互いに離間して設けられた複数の棒状部材により構成され、当該底部(すなわち複数の棒状部材)上に、袋収容部200が積み重ねられている。このように台車220の底部が貫通空間を有することによって、各袋収容部200から液体が垂れる場合でも、台車220の底部にそのような液体が溜まることはない。
【0131】
そして第1トレイ搬送エリアS1に配置されている台車220から、第2トレイ搬送エリアS2に設けられている第1トレイ集積ユニット101に、袋収容部200が移動させられる。台車220から第1トレイ集積ユニット101への袋収容部200の移動は、人手によって行われてもよいし、図示しない装置によって行われてもよい。例えば特開2005-343614号公報に開示されているトレイ移送装置を応用したデバイスによって、台車220から第1トレイ集積ユニット101に袋収容部200が順次供給されてもよい。
【0132】
第1トレイ集積ユニット101に保持されている袋収容部200は、トレイ取出装置(図示省略)によって、順次、一対のガイドレール210上に載せられる。一対のガイドレール210に載せられた袋収容部200は、収容部移動装置120の移送体121によって、第3トレイ搬送エリアS3に設けられている袋取出装置103(図示の例では反転送り出し部103aの下方)に送られる。
【0133】
そして、袋取出装置103によって袋収容部200から複数の袋Bが取り出され、当該複数の袋Bが袋搬送装置104に送られる。このようにして袋搬送装置104に送られた複数の袋Bは、袋搬送装置104によって更に後段に送られる。
【0134】
一方、袋取出装置103によって複数の袋Bが取り出されて空になった袋収容部200は、一対のガイドレール210に載せられた状態で、移送体121によって、撮像装置151に対応するエリア(すなわち第4トレイ搬送エリアS4)を経て、第2トレイ集積ユニット102に対応するエリア(すなわち第5トレイ搬送エリアS5)に送られる。そして、空の袋収容部200は、トレイ回収装置(図示省略)によって、第2トレイ集積ユニット102に渡され、第2トレイ集積ユニット102によって保持される。
【0135】
第2トレイ集積ユニット102に保持されている空の袋収容部200は、第2トレイ集積ユニット102に隣り合う第6トレイ搬送エリアS6に停められている台車220に移動させられる。第2トレイ集積ユニット102から台車220への袋収容部200の移動は、人手によって行われてもよいし、図示しない装置によって行われてもよい。
【0136】
このように袋収容部200は、台車220(第1トレイ搬送エリアS1)から、第1トレイ集積ユニット101(第2トレイ搬送エリアS2)、袋取出装置103(第3トレイ搬送エリアS3)、撮像装置151の撮像エリア(第4トレイ搬送エリアS4)及び第2トレイ集積ユニット102(第5トレイ搬送エリアS5)を経て、台車220(第6トレイ搬送エリアS6)に移動する。
【0137】
なお、第1トレイ搬送エリアS1に停められている台車220から全ての袋収容部200が取り出されたら、作業者Wは当該台車220を移動させて、複数の袋収容部200(すなわち複数の袋Bを収容している袋収容部200)を保持する別の台車220を第1トレイ搬送エリアS1に位置づける。同様に、第6トレイ搬送エリアS6に停められている台車220が空の袋収容部200でいっぱいになったら、作業者Wは当該台車220を移動させて、別の空の台車220を第6トレイ搬送エリアS6に位置づける。
【0138】
上述の一連の処理を繰り返し行うことによって、台車220(第1トレイ搬送エリアS1)から袋収容部200を連続的に取り出し、連続的に送られてくる袋収容部200の各々から複数の袋Bを袋取出装置103によって取り出し、空の袋収容部200を台車220(第6トレイ搬送エリアS6)に連続的に回収することができる。
【0139】
[袋収容部情報取得システム]
上述のように袋収容部200は、全ての袋Bが取り出されて空になった状態で、第2トレイ集積ユニット102を介して台車220に回収される。
【0140】
しかしながら、何らかの不具合(例えばトレイ底部200aに対する袋Bの意図しない付着)により、袋収容部200に収容されている全ての袋Bを袋取出装置103によって適切に取り出すことができず、1以上の袋Bが袋収容部200に残されてしまうことがある。この場合、袋収容部200は、袋Bが残された状態で台車220に回収されることになり、後段において不具合がもたらされうる。例えば、回収された袋収容部200に新たな複数の袋Bを収容する際に、残存する袋Bのために、適切な数の袋Bを袋収容部200に収容できなかったり、袋収容部200における袋Bの配置に乱れが生じたりしうる。また、袋収容部200に載せられている袋Bの加熱処理を行う場合、袋収容部200に残存する袋Bは、結果的に想定よりも多い回数の加熱処理を受けることになるため、袋B内の内容物の品質が意図せずに劣化しうる。
【0141】
そのような不具合の発生を防ぐため、本実施形態では、撮像装置151を含む袋収容部情報取得システム150によって、袋収容部200における袋Bの残存状況に関する情報を含む袋収容部情報が取得される。
【0142】
以下、袋収容部情報取得システム150の一例について説明する。
【0143】
図14は、図13に示す撮像装置151近傍のエリア(すなわち第3トレイ搬送エリアS3、第4トレイ搬送エリアS4及び第5トレイ搬送エリアS5)を拡大して示した側方図である。図14において、一方のガイドレール210(すなわち図14の紙面の手前側に位置するガイドレール210)の図示は省略されている。
【0144】
袋取出装置103が設けられる袋取出エリア(第3トレイ搬送エリアS3)及び第2トレイ集積ユニット102が設けられる袋収容部回収エリア(第5トレイ搬送エリアS5)は、お互いに近い位置に設けられることがある。この場合、撮像装置151によって撮像が行われる撮像エリア(第4トレイ搬送エリアS4)が狭くなる。その結果、例えば、袋収容部200の移動経路に沿う方向(すなわち各ガイドレール210が延びる方向(図14の左右方向))に関し、撮像エリアが、撮像エリアを通る際の袋収容部200の全体よりも小さいことがある。また袋収容部200の移動経路に沿う方向に関し、撮像装置151の撮像範囲が、撮像エリアを通る際の袋収容部200の全体よりも小さいことがある。
【0145】
これらの場合、従来の撮像装置では、撮像エリアにおいて、袋収容部200(特に袋Bが載せられる載置範囲(すなわちトレイ底部200a))の全体の画像データを適切に取得することが難しい。
【0146】
一方、本実施形態では、撮像装置151が袋収容部200の複数の画像データを取得し、画像処理装置がこれらの画像データを解析することで袋収容部情報を取得する。
【0147】
特に、撮像装置151によって取得される袋収容部200の複数の画像データの各々は、袋収容部200の一部分の画像であって、複数の画像データ間でお互いに少なくとも部分的に異なる画像を含む。これにより、一度の撮像によって袋収容部200の全体の画像データを取得することが難しい場合であっても、複数の画像データの組み合わせに基づいて袋収容部200の全体を実質的にカバーすることができる。
【0148】
図15は、袋収容部200の一例を示す平面図である。図15では、上述の図10Aでは図示が省略されていた「トレイ底部200aが有する複数の貫通孔205」が図示されている。これらの貫通孔205は、照明装置152からの光を袋収容部200内に導く役割を果たすとともに、袋収容部200内に液体(例えば各袋Bに結露して各袋Bから落下した液体)が滞留するのを防ぐ役割を果たす。
【0149】
上述のように本実施形態の撮像装置151は、一度の撮像によって袋収容部200の一部分のみの画像データを取得する。撮像装置151の一度の撮像によってカバーされる範囲は、図15に示す例では、少なくとも第1収容部範囲Q1~第7収容部範囲Q7の各々を含む。すなわち撮像装置151による1回目の撮像によって取得される画像データは、袋収容部200のうちの第1収容部範囲Q1を含む範囲の画像を含む。また2回目の撮像によって取得される画像データは、袋収容部200のうちの第2収容部範囲Q2を含む範囲の画像を含む。同様に、3回目~7回目の撮像によって取得される画像データは、それぞれ第3収容部範囲Q3~第7収容部範囲Q7を含む範囲の画像を含む。そして、これらの7回の撮像によって取得される画像データを組み合わせることによって、袋収容部200(特に袋Bが載せられる載置範囲(すなわちトレイ底部200a))の全体の画像データを適切に取得することができる。
【0150】
袋収容部200の全体の画像データを取得するために必要な撮像回数は限定されず、撮像装置151の撮像範囲及び袋収容部200のサイズに応じて適宜決められる。袋収容部200のうちの隣り合う範囲の撮像では、撮像装置151の撮像範囲は、お互いに部分的にオーバーラップしてもよい。この場合、複数の画像データは袋収容部200の撮像対象部の全体を隙間無く確実に網羅することができ、複数の画像データに含まれる袋収容部200の部分画像から袋収容部200の全体画像を確実に合成生成することができる。
【0151】
図16は、袋収容部情報取得システム150の制御構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0152】
袋収容部200の全体をカバーする複数の画像データを取得するため、撮像装置151は撮像制御装置の制御下で撮像を行う。
【0153】
図16に示す例では、袋収容部情報取得システム150は、制御装置40及び画像処理判定装置42を備える。
【0154】
制御装置40は接続されている機器を制御し、PLCとして働く。図16に示す制御装置40は、画像処理判定装置42を介して撮像装置151に接続され、サーボドライバ41を介して収容部移動装置120に接続されている。
【0155】
サーボドライバ41は、目標値(すなわち収容部移動装置120(特に移送体121)の移動目標位置)を示す駆動指令信号を制御装置40から受信し、受信した駆動指令信号に対応する動力信号を収容部移動装置120に送信する。収容部移動装置120は、サーボドライバ41からの動力信号に応じて移送体121を移動させる。その一方で、移送体121の実際の移動位置を示す位置情報が、移送体121と一体的に設けられているエンコーダ等の位置検出デバイス(図示省略)から、サーボドライバ41を介して制御装置40に送信される。制御装置40は、位置検出デバイスから送られてくる位置情報が示す移送体121の現在位置と移動目標位置との間の差分に基づいて、サーボドライバ41に送信する駆動指令信号を調整する。このように収容部移動装置120は、移動経路における袋収容部200の位置情報(直接的には移送体121の位置情報)を把握しつつ、袋収容部200を移動させるサーボ機構に基づいている。
【0156】
撮像装置151は、制御装置40の制御下で撮像を行う。具体的には、画像処理判定装置42が制御装置40の制御下で撮像指示信号を撮像装置151に送信し、撮像装置151は、画像処理判定装置42から送られてくる撮像指示信号に基づく条件(撮像タイミングを含む)で、撮像を行う。本実施形態の制御装置40は、移送体121の移動位置(すなわち袋収容部200の移動位置)に応じて、撮像装置151により撮像を実行させて袋収容部200に関する複数の画像データを取得させる。すなわち、所定の複数の撮像ポイントに袋収容部200が位置するタイミングで撮像装置151が撮像を行うように、制御装置40は、移送体121の移動位置を示す情報に基づいて、画像処理判定装置42を介して撮像装置151を制御する。移送体121の移動位置を示す情報として、収容部移動装置120の位置検出デバイスから制御装置40に送信される位置情報(移送体121の実際の移動位置を示す情報)を利用することができるが、他の情報を利用してもよい。このように制御装置40は撮像制御装置としても働き、収容部移動装置120から得られる移送体121の位置情報に応じて撮像装置151を制御し、撮像装置151により移動経路における複数の撮像ポイントの各々における袋収容部200の撮像を行って、袋収容部200の複数の画像データを取得させる。
【0157】
画像処理判定装置42は、上述のように制御装置40の制御下で撮像装置151に撮像指示信号を送信する。このように本実施形態の画像処理判定装置42は、制御装置40と協働して撮像制御装置としても働く。ただし制御装置40は、画像処理判定装置42を介することなく、直接的に撮像装置151に接続し、撮像装置151の撮像を直接的に制御してもよい。
【0158】
また画像処理判定装置42は、画像データの解析を行う画像処理装置として働くとともに、画像データの解析結果に基づいて検査対象の袋収容部200の適切性を判定する判定装置としても働く。
【0159】
すなわち画像処理判定装置42は、制御装置40から画像処理指令信号を受信するとともに撮像装置151から複数の画像データを受信する。画像処理判定装置42は、画像処理指令信号に基づき、撮像装置151により取得される複数の画像データを解析して袋収容部情報を取得する。袋収容部情報の内容は限定されないが、本例の袋収容部情報は、袋収容部200における袋Bの残存の有無を示す情報を含む。袋収容部200の画像データに基づいて、袋収容部200における袋Bの残存の有無を判定する具体的な画像処理方法は限定されない。典型的には、袋収容部200の複数の画像データに、袋Bに固有の特徴点(特徴量)が含まれるか否かを検出することで、袋収容部200における袋Bの残存の有無を判定することが可能である。
【0160】
そして画像処理判定装置42は、検査対象の袋収容部200の袋収容部情報(適切性の判定結果(すなわち検査結果)を含む)を示す出力信号を、モニター43に送信する。モニター43は、画像処理判定装置42から送られてくる出力信号に応じて、検査対象の袋収容部200の袋収容部情報(適切性の判定結果を含む)を表示する。袋収容部情報取得システム150を備える袋搬送システム100の使用者(例えば作業者W)は、モニター43の表示を介して、検査対象の袋収容部200の情報を確認することができる。
【0161】
次に、袋収容部情報取得システム150の作動例について説明する。
【0162】
図17図20は、袋収容部情報取得システム150の作動例を説明する図である。図17図20には、袋収容部200に袋Bが残存している場合が例示されている。
【0163】
図17図20に示す例において、収容部移動装置120は、上述の移送体121に加え、突出量調整部122、可動ブロック123及び移送駆動デバイス124を備える。突出量調整部122は、移送体121の突出量調整部122から上方への突出量を調整する。可動ブロック123は、移送体121及び突出量調整部122を固定的に支持し、移送体121及び突出量調整部122と一体的に移動可能に設けられている。移送駆動デバイス124は、可動ブロック123を、ひいては移送体121及び突出量調整部122を、袋収容部200の移動経路に沿って、水平方向へ往復移動させる。
【0164】
上述のように、袋収容部200(特に袋収容部200の移動方向に関して後端側に位置するトレイ壁部200b)は移送体121により押されて、第3トレイ搬送エリアS3から第4トレイ搬送エリアS4を経て第5トレイ搬送エリアS5に移動させられる(図17図19参照)。具体的には、制御装置40(図16参照)の制御下で、突出量調整部122は移送体121を上方に突出させて伸張状態に置き、一対のガイドレール210上の袋収容部200のトレイ底部200aよりも高い位置に移送体121の先端部を位置づける。そして移送体121が伸張状態に置かれている状態で、制御装置40の制御下で、移送駆動デバイス124は可動ブロック123を水平方向に移動させ、袋収容部200を移送体121とともに第3トレイ搬送エリアS3から第4トレイ搬送エリアS4を経て第5トレイ搬送エリアS5に移動させる。
【0165】
突出量調整部122及び移送駆動デバイス124は、制御装置40(図16参照)の制御下で駆動する任意の機構を有する。例えば、移送体121及び突出量調整部122は、エアシリンダによって構成されてもよい。また移送駆動デバイス124は、サーボドライバ41(図16参照)と協働するサーボモータ(図示省略)を具備していてもよい。
【0166】
収容部移動装置120は、袋収容部200を第5トレイ搬送エリアS5に配置した後に移送体121を第5トレイ搬送エリアS5から第4トレイ搬送エリアS4を経て第3トレイ搬送エリアS3に移動させる(図19及び図20参照)。具体的には、制御装置40の制御下で、移送駆動デバイス124が可動ブロック123を移動させ、ひいては移送体121及び突出量調整部122を移動させる。これにより移送体121は、第3トレイ搬送エリアS3に配置される新たな袋収容部200よりも上流側(すなわち新たな袋収容部200よりも第2トレイ搬送エリアS2側)に配置される。
【0167】
移送駆動デバイス124によって、移送体121が第5トレイ搬送エリアS5から第3トレイ搬送エリアS3に戻される間、突出量調整部122は、制御装置40の制御下で、突出量調整部122からの移送体121の突出量が低減された収縮状態に移送体121を置き、第3トレイ搬送エリアS3に新たに配置される袋収容部200のトレイ底部200aよりも低い位置に移送体121の先端部を位置づける。これにより、移送体121を第5トレイ搬送エリアS5から第3トレイ搬送エリアS3に移動させる際に、第3トレイ搬送エリアS3に配置される新たな袋収容部200に対して移送体121が衝突するのを回避することができる。
【0168】
以上説明したように本実施形態によれば、撮像エリア(第4トレイ搬送エリアS4)が狭かったり、撮像装置151の撮像範囲が狭かったりしても、袋収容部200(特にトレイ底部200a)の全体に関する袋収容部情報を適切に取得することができる。これにより、袋収容部200の異常状態(上述の実施形態では袋Bの意図しない残存)を精度良く検出することができる。
【0169】
[変形例]
本開示の装置及び方法は、上述の実施形態には限定されない。
【0170】
撮像装置151は、上述の実施形態では移送体121の移動位置(すなわち袋収容部200の移動位置)に応じて撮像を行っているが、移送体121の移動位置によらずに撮像を行ってもよい。例えば、移送体121(すなわち袋収容部200)が第3トレイ搬送エリアS3から第5トレイ搬送エリアS5に向かって移動する間(特に移送体121及び袋収容部200が第4トレイ搬送エリアS4を通過する間)、制御装置40は、収容部移動装置120を介して袋収容部200を移動させつつ、撮像装置151に連写を実行させることで、袋収容部200に関する複数の画像データが取得されてもよい。この場合、撮像装置151は、典型的には一定の時間間隔で撮像を行う。
【0171】
本開示は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。例えば、上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよい。また上述の実施形態及び変形例の構成が、全体的に又は部分的に組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0172】
10 袋情報取得システム、11 撮像装置、12 移動装置、21 移動駆動源、22 移動ユニット、23 移動支持部、31 光透過型照明装置、32 位置制限部材、33 ブロワー、40 制御装置、41 サーボドライバ、42 画像処理判定装置、43 モニター、70 搬送装置、71 支持デバイス、72 把持部、100 袋搬送システム、101 第1トレイ集積ユニット、102 第2トレイ集積ユニット、103 袋取出装置、103a 反転送り出し部、104 袋搬送装置、120 収容部移動装置、121 移送体、122 突出量調整部、123 可動ブロック、124 移送駆動デバイス、150 袋収容部情報取得システム、151 撮像装置、152 照明装置、200 袋収容部、200a トレイ底部、200b トレイ壁部、201 開口部、202 距離検出装置、205 貫通孔、210 ガイドレール、211 フレーム、220 台車、A 気体、A1 袋送り方向、A2 袋収容部送り方向、B 袋、Bs 表面、B1 口部、B2 底部、B3 側部、I1 第1画像領域、I2 第2画像領域、I3 第3画像領域、L 検出レーザー、P1 第1撮像ポイント、P2 第2撮像ポイント、P3 第3撮像ポイント、Q1 第1収容部範囲、Q2 第2収容部範囲、Q3 第3収容部範囲、Q4 第4収容部範囲、Q5 第5収容部範囲、Q6 第6収容部範囲、Q7 第7収容部範囲、Rp 撮像範囲、R1 第1情報表示部、R2 第2情報表示部、R3 第3情報表示部、S1 第1トレイ搬送エリア、S2 第2トレイ搬送エリア、S3 第3トレイ搬送エリア、S4 第4トレイ搬送エリア、S5 第5トレイ搬送エリア、S6 第6トレイ搬送エリア、W 作業者
図1
図2
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図10A
図10B
図10C
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