(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】高圧水加工機およびその故障診断方法
(51)【国際特許分類】
B24C 5/02 20060101AFI20231116BHJP
F04B 51/00 20060101ALI20231116BHJP
B26F 3/00 20060101ALI20231116BHJP
B24C 9/00 20060101ALI20231116BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20231116BHJP
G16Y 10/25 20200101ALI20231116BHJP
G16Y 40/10 20200101ALI20231116BHJP
【FI】
B24C5/02 C
F04B51/00
B26F3/00 N
B24C9/00 Z
G05B19/418 Z
G16Y10/25
G16Y40/10
(21)【出願番号】P 2020184247
(22)【出願日】2020-11-04
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】舟津 昭博
(72)【発明者】
【氏名】藤木 崇道
(72)【発明者】
【氏名】吉浦 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】相山 大
(72)【発明者】
【氏名】竹田 洸史朗
【審査官】城野 祐希
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-225620(JP,A)
【文献】特許第4963205(JP,B2)
【文献】特開昭62-081532(JP,A)
【文献】特開昭62-094298(JP,A)
【文献】特開2016-061249(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 5/02
F04B 51/00
B26F 3/00
B24C 9/00
G05B 19/418
G16Y 10/25
G16Y 40/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加圧流体を吐出するポンプと、
前記被加圧流体を増圧する増圧機と、
前記被加圧流体を吐出して加工する吐出部と、
前記ポンプから前記被加圧流体の圧力を高めて吐出する前記吐出部までの流路と、
前記ポンプまたは前記流路の少なくとも1か所に配置する検知手段と、
前記吐出部による加工前または加工後に、予め設定する基準値と前記検知手段で検知する検知値とを比較し、異常を診断する診断手段と、
前記診断手段の診断結果を表示する表示手段とを備え
、
前記表示手段には、加工作業前または加工作業後に、故障診断を開始する故障診断運転の選択肢が表示される
ことを特徴とする高圧水加工機。
【請求項2】
被加圧流体を吐出するポンプと、
前記被加圧流体を増圧する増圧機と、
前記被加圧流体を吐出して加工する吐出部と、
前記ポンプから前記被加圧流体の圧力を高めて吐出する前記吐出部までの流路と、
前記ポンプまたは前記流路の少なくとも1か所に配置する検知手段と、
前記吐出部による加工前または加工後に、予め設定する基準値と前記検知手段で検知する検知値とを比較し、異常を診断する診断手段と、
前記診断手段の診断結果を表示する表示手段とを備え
、
前記検知手段は、
給水圧力を計測するセンサ、パッキン冷却水ドレン流量を計測するセンサ、研磨材供給装置における研磨材タンクの排出量を計測するセンサ、または研磨材供給ユニットの開閉弁の流量を計測するセンサのうち、少なくとも一つであることを特徴とする高圧水加工機。
【請求項3】
請求項1
から請求項2の何れか一項に記載の高圧水加工機において、
前記診断手段の診断結果は、原因とその対処法が表示される
ことを特徴とする高圧水加工機。
【請求項4】
設定手段と検知手段と診断手段と表示手段とを備える高圧水加工機の故障診断方法であって、
給水圧力
、パッキン冷却水ドレン流量
、研磨材供給装置における研磨材タンクの排出量または研磨材供給ユニットの開閉弁の流量のうち少なくとも1つ以上の一次パラメータを前記設定手段により予め設定する事前設定工程と、
前記一次パラメータと同様の項目を、前記検知手段を用いて、二次パラメータとして検知する検知工程と、
前記診断手段により、前記一次パラメータと前記二次パラメータとを比較して異常を診断する診断工程と、
前記診断工程における診断結果を前記表示手段により表示する表示工程とを、
含むことを特徴とする高圧水加工機の故障診断方法。
【請求項5】
請求項4に記載の高圧水加工機の故障診断方法において、
前記事前設定工程において、前記一次パラメータと前記二次パラメータとの数値差を生じる原因と対処方法を前記設定手段によって設定し、
前記表示工程において、前記原因と前記対処方法を表示する
ことを特徴とする高圧水加工機の故障診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧水加工機およびその故障診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械などの生産設備において、メンテナンスや故障時の対応を円滑に行う場合、各種センサなどの検知手段を用いて異常個所を検出し、問題発生時に対処するのが一般的である。
また、近年、IoT(Internet of Things)が叫ばれており、以前よりPC(personal computer)を用いて遠隔監視をすることは実用化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平2-47691号公報
【文献】特許第4963205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般の工作機械と高圧水加工機の違いは、高圧水(高圧流体)を利用するという点である。そのため、高圧水加工機は、高圧流体が循環する全範囲の部位について、不具合検知を行う必要があり、メンテナンスや故障時における診断の範囲が広くなりがちであり、対処に時間を要している。
【0005】
ここで、加工作業中の診断ということになると、加工作業中のワーク(被加工品)が不良品になってしまう可能性がある。加えて、故障規模、つまり故障の影響が大きくなってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は上記実状に鑑み創案されたものであり、故障を未然に発見して対処の容易化を可能とする高圧水加工機およびその故障診断方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明の高圧水加工機は、被加圧流体を吐出するポンプと、前記被加圧流体を増圧する増圧機と、前記被加圧流体を吐出して加工する吐出部と、前記ポンプから前記被加圧流体の圧力を高めて吐出する前記吐出部までの流路と、前記ポンプまたは前記流路の少なくとも1か所に配置する検知手段と、前記吐出部による加工前または加工後に、予め設定する基準値と前記検知手段で検知する検知値とを比較し、異常を診断する診断手段と、前記診断手段の診断結果を表示する表示手段とを備え、前記表示手段には、加工作業前または加工作業後に、故障診断を開始する故障診断運転の選択肢が表示されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、故障を未然に発見して対処の容易化を可能とする高圧水加工機およびその故障診断方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る高圧水加工機の正面図。
【
図2】実施形態に係る高圧水加工機の内部構造の概要を右斜め上から見た斜視模式図。
【
図6A】故障診断を行った結果、異常がなかった場合の故障診断結果画面を示す図。
【
図6B】故障診断を行った結果、異常があった場合の故障診断結果画面を示す図。
【
図8】高圧水加工機Wを遠隔に診断する状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に、本発明の実施形態に係る高圧水加工機Wの正面図を示す。
実施形態の高圧水加工機Wは、高圧水(被加圧流体)を加工対象のワークに噴射して加工する装置である。
【0011】
図1に示す高圧水加工機Wは、略直方体形状の外観を有している。高圧水加工機Wは、前面の正面シャッター1aと、上面の上部カバー1bと、左側面カバー1c、右側面カバー1dとで外郭が形成されている。正面シャッター1a、上部カバー1b、左側面カバー1c、および右側面カバー1dはそれぞれほぼ矩形の平板である。
【0012】
正面シャッター1a、上部カバー1b、左側面カバー1c、および右側面カバー1dは、ワークの加工空間である加工エリアKaを密閉するカバーを形成する。
前面の正面シャッター1aは、上部に取っ手1a1が設けられている。正面シャッター1aの周囲には、強度部材の架台1kが設けられている。
【0013】
上部カバー1bの左右後部には、加工エリアKaの水蒸気、切子等を排出する図示しない吸引手段、回収手段が設けられている。
加工エリアKaは、高圧水により加工が行われるため、温度、湿度が高くなり、切粉子とともに水蒸気や結露が発生しやすい。そこで、吸引手段と回収手段とを設置している。
【0014】
<制御装置2>
図1に示す高圧水加工機Wの右側部には、制御を司る制御装置2が配置されている。制御装置2は、マイクロコンピュータ、各種駆動回路、各種センサ回路等を備えている。
制御装置2の前面パネル1zには、操作パネル2pが設けられている。
操作パネル2pの上部には、表示画面2gが設けられている。操作パネル2pの下部には、操作スイッチ2s1、操作釦2s2、操作つまみ2s3を有する操作部2sが設けられている。
【0015】
<ノズルユニット5>
ノズルユニット5は、高圧水でワークを切断する切断装置を構成する。
図2に、実施形態に係る高圧水加工機Wの内部構造の概要を右斜め上から見た斜視模式図を示す。
ノズルユニット5は、ジェット水流を噴射ノズル5a1から噴射するノズルヘッド5aを有している。ノズルヘッド5aには、給水ポンプ11(
図3参照)から高圧水が供給される。そして、ノズルヘッド5aから、供給された高圧水が加工対象のワークに噴射される。ノズルヘッド5aは、左右方向、前後方向、上下方向に移動できるように構成されている。加工エリアKaの下方には、ノズルヘッド5aから噴射される水が貯留される水張りタンク10が設けられている。
【0016】
ノズルユニット5は、ノズル支持部6に支持されている。
ノズル支持部6は、ボールねじのナット部を有する支持板6a、Z軸駆動モータ6b等を有している。
ノズルヘッド5aは、Z軸駆動モータ6bを駆動することで、上下動することができる。
ノズルユニット5は、X軸方向(左右方向)に移動させるX軸機構部6Xと、Y軸方向(前後方向)に移動させるY軸機構部6Yとに連結されている
X軸機構部6Xは、X軸方向(左右方向)に延びるX軸直動レールとX軸ラックとが左右方向に延在して設けられている。X軸ラックには、左右方向に延びるラックギアが形成されている。
【0017】
Y軸機構部6Yは、Y軸方向(前後方向)に延びるY軸直動レールとY軸ラックとが前後方向に延在して設けられている。Y軸ラックには、前後方向に延びるラックギアが形成されている。
【0018】
X軸機構部6Xは、X軸駆動モータ6xmを有している。X軸駆動モータ6xmを駆動することで、ノズルヘッド5aをX軸方向のX軸ラックに沿って左右方向に移動させることができる。
Y軸機構部6Yは、Y軸駆動モータ6ymを有している。Y軸駆動モータ6ymを駆動することで、ノズルヘッド5aをY軸方向のY軸ラックに沿って前後方向に移動させることができる。
【0019】
図2に示すように、ノズルヘッド5aを有するノズル支持部6がX軸駆動モータ6xm、Y軸駆動モータ6ym、Z軸駆動モータ6dによって移動してワーク(被加工物)の加工を行う空間を加工エリアKaと称する。
【0020】
<高圧水加工機Wの回路K>
図3に、高圧水加工機Wの回路 (K1、K2、K3)の模式図を示す。
高圧水加工機Wは、ノズルヘッド5aから高圧水を吐出するための給水回路K1と、給水回路K1の水圧を高める油圧回路K2と、高圧水に研磨材を供給する研磨材供給回路K3とを備えている。
給水回路K1は、ノズルヘッド5aに高圧水を供給して、ノズルヘッド5aから高圧水をワークに吐出するするための回路である。
【0021】
給水回路K1は、給水ポンプ11、給水タンク11t、第1逆止弁12a、第2逆止弁12b、アキュムレータ13、脱圧弁14、オンオフバルブ15、ノズルヘッド5a、および水張りタンク10を有している。給水回路K1は、給水配管k11を介して、給水タンク11t、給水ポンプ11、第1逆止弁12a、第2逆止弁12bが接続されている。
【0022】
給水配管k11からは増圧機19のパッキンp1、p2にパッキン冷却水を流す冷却水配管k11a、k11bとが接続されている。冷却水は、増圧機19の高圧シリンダ19sとプランジャ19p1、19p2のそれぞれの間をシールするパッキンp1、p2へ流れ、冷却する。パッキンp1、p2からのドレンの流量は、流量計s3a、s3bで計測される。
【0023】
油圧回路K2は、給水ポンプ11からノズルヘッド5aに供給される水の水圧を増圧機19によって高める回路である。
油圧回路K2は、油圧ポンプ17、作動油タンク17t、方向切換弁18、および増圧機19を有している。作動油タンク17t、油圧ポンプ17、方向切換弁18、および増圧機19は、作動油が流れる油圧配管k21を介して、接続されている。
増圧機19は、第1油室19y1に油圧ポンプ17から油を供給することで、第1水室19m1の水圧を高める。或いは、増圧機19は、第2油室19y2に油圧ポンプ17から油を供給することで、第2水室19m2の水圧を高める。
【0024】
第1逆止弁12aは、第1水室19m1に給水ポンプ11から水を供給して、第1水室19m1からアキュムレータ13に高圧水を供給する。第2逆止弁12bは、第2水室19m2に給水ポンプ11から水を供給して、第2水室19m2からアキュムレータ13に高圧水を供給する。
【0025】
研磨材供給回路K3は、ノズルヘッド5aから吐出する高圧水に研磨材を供給する回路である。研磨材により、高圧水加工機Wの加工性能が向上する。
研磨材供給回路K3は、ノズルヘッド5aに研磨材を供給する研磨材供給装置20が接続される回路である。研磨材供給装置20は、研磨材が収容される研磨材タンク21と、研磨材を供給する研磨材供給ユニット22とを有している。ノズルヘッド5aには、研磨材供給ユニット22と研磨材タンク21とが接続されている。研磨材供給ユニット22の供給口には、開閉弁23が設けられている。
【0026】
<高圧水加工機Wの検知手段(s1~s5)>
給水回路K1には、給水ポンプ11での圧力を計測する給水圧力センサs1と、ノズルヘッド5aに向かう高圧水の圧力を計測する高圧水圧力センサs2とが設けられている。
油圧回路K2には、油圧ポンプ17での油圧力を計測する油圧力センサs3が設けられている。油圧力センサs3は、油圧回路K2の代わりに、油圧ポンプ17に設けてもよい。
【0027】
研磨材供給回路K3には、研磨材タンク21からの研磨材の排出量を計測するタンク排出量センサs4と、研磨材供給ユニット22の開閉弁23からの研磨材の流量を計測する流量センサs5とが設けられている。
【0028】
<高圧水加工機Wの故障診断機能>
次に、高圧水加工機Wの故障診断機能について説明する。
高圧水加工機Wの故障診断機能は、制御装置2(
図1参照)の制御により実行される。
図4Aに、保守画面g1を示す。
作業者は、高圧水加工機Wを電源オンして、加工作業前または加工作業後に、操作パネル2p(
図1参照)の上部の表示画面2gに保守画面g1(
図4A参照)を表示する。
【0029】
そして、作業者は、保守画面g1における「故障診断運転」ボタンb1を押下する。
すると、表示画面2gに、図示しない故障診断設定画面が表示される。作業者は、故障診断設定画面において、「電磁比例弁設定値」、「ジェットONorOFF」、「ノズル径×ノズル個数」を入力し、「次へ」ボタンを押下する。
すると、表示画面2gに、故障診断設定完了画面g2(
図4B参照)が表示される。
図4Bに、故障診断設定完了画面g2を示す。
【0030】
作業者は、
図1に示す操作パネル2pの操作部2sを操作して、ノズルユニット5を、ジェットを噴射しても問題ない位置まで移動させる。
図5A、
図5Bに、高圧水加工機Wにおける故障診断のフローを示す。
そして、作業者が図示しない「故障診断開始釦」を押下すると、高圧水加工機Wは、
図5A、
図5Bに示す故障診断を開始する。
高圧水加工機Wにおける故障診断内容は、例えば、(1)給水ポンプ診断、(2)油圧ポンプ診断、(3)超高圧パッキン診断、(4)水漏れ診断の4種類である。(1)から(4)まで自動的に診断運転を実施する。
【0031】
診断運転が開始されると、給水ポンプ11、油圧ポンプ17(
図3参照)の運転が行われる(
図5AのS101)。
次に、
図5AのS102で、圧力(検知値、二次パラメータ)が基準値(一次パラメータ)より大きいか否か判定される。
圧力が基準値以下の場合(S102でNo)には、圧力異常が検出される(S103)。続いて、
図5BのS104に移行する。
【0032】
圧力が基準値より大きい場合(S102でYes)には、給水ポンプ11、油圧ポンプ17を運転する(
図5BのS104)。
続いて、増圧機19を運転する(S105)。
【0033】
続いて、流量計s3a、s3b(
図3参照)でドレン流量の平均値を計測して、ドレン流量の平均値(検知値、二次パラメータ)が基準値(一次パラメータ)より小さいか否か判定する(S106)。
ドレン流量の平均値が基準値以上の場合(S106でNo)、パッキンに異常を検出する(S107)。続いて、
図5BのS108に移行する。
ドレン流量の平均値が基準値より小さい場合(S106でYes)、増圧機19を運転する(S108)。
【0034】
続いて、高圧水圧力センサs2で吐出する高圧水の昇圧を確認する(S109)。
続いて、増圧機19の切替回数(検知値、二次パラメータ)が基準値(一次パラメータ)より小さいか判定し、水漏れがないかチェックする(
図5BのS110)。
増圧機19の切替回数が基準値以上の場合(
図5BのS110でNo)には、増圧機19の切替回数に異常を検出し(
図5BのS111)、水漏れがあることが検知される。そして、S112に移行する。
増圧機19の切替回数が基準値未満の場合(
図5BのS110でYes)には、増圧機19に異常がないか判定される(S112)。
【0035】
増圧機19に異常がある場合(S112でNo)には、増圧機19の切替時間に異常を検出したとして、診断を終了する。
増圧機19に異常がない場合(S112でYes)には、異常がないとして、診断を終了する。
以上が、制御装置2による診断の制御である。
【0036】
<高圧水加工機Wの故障診断の表示>
図6Aに、故障診断を行った結果、異常がなかった場合の故障診断結果画面g10aを示す。
図6Bに、故障診断を行った結果、異常があった場合の故障診断結果画面g10bを示す。
制御装置2による診断の制御が終了すると、
図1に示す高圧水加工機Wの右側部の表示画面2gに、故障診断結果画面g10aまたは故障診断結果画面g10bが表示される。
【0037】
故障診断を行った結果、異常がなかった場合には、故障診断結果画面g10a(
図6A参照)が表示される。
故障診断結果画面g10aには、給水ポンプ(11)、油圧ポンプ(17)、パッキン(p1、p2)、水漏れの各項目に対して、「異常なし」の表示がなされる。
故障診断を行った結果、給水ポンプ11と水漏れに異常が発見された場合には、故障診断結果画面g10b(
図6B参照)が表示される。
【0038】
故障診断結果画面g10bにおける「異常あり」を押下すると、発生原因と対処方法が表示される。
図7Aに、給水圧力低下画面g11を示す。
例えば、故障診断結果画面g10b(
図6B参照)における「給水ポンプ」の「異常あり」k1を押下すると、表示画面2g(
図1参照)に、給水圧力異常の発生原因とその対処方法が記載される給水圧力低下画面g11(
図7A参照)が表示される。
【0039】
給水圧力低下画面g11によれば、下記の発生原因と対処法が表示される。
(1)発生原因が給水不足の場合には、給水量を確認する。
(2)発生原因が給水フィルタの目詰まりの場合には、給水フィルタを交換する。
(3)発生原因が給水ポンプ(11)のエア溜まりの場合には、給水ポンプ11および周辺機器のエア抜きを行う。
【0040】
図7Bに、増圧機切替回数異常画面g12を示す。
或いは、故障診断結果画面g10b(
図6B参照)における「水漏れ」の「異常あり」k2を押下すると、表示画面2g(
図1参照)に、水漏れを表す増圧機切替回数異常画面g12(
図7B参照)が表示される。
増圧機切替回数異常画面g12によれば、下記の発生原因と対処法が表示される。
【0041】
(1)発生原因が噴射ノズル(5a1)(
図3参照)の摩耗により穴径が大きくなった場合には、噴射ノズル5a1の交換を行う。
(2)発生原因が高圧機器からの水漏れの場合には、高圧機器からの水漏れを確認する。
(3)発生原因がパッキンからのリーク量が規定値以上になった場合には、パッキンp1または/およびパッキンp2の交換を行う。
【0042】
図7Cに、油圧圧力低下画面g13を示す。
その他、故障診断結果画面g10b(
図6B参照)において、油圧ポンプに「異常あり」が表示された場合、該「異常あり」を押下すると、表示画面2g(
図1参照)に、油圧圧力低下の発生原因とその対処方法が記載される油圧圧力低下画面g12(
図7C参照)が表示される。
油圧圧力低下画面g13によれば、下記の発生原因と対処法が表示される。
【0043】
(1)発生原因が油圧ポンプ(17)の故障の場合には、油圧ポンプ17の点検を行う。
(2)発生原因が油圧機器からの作動油漏れの場合には、油圧機器からの作動油漏れを確認する。
【0044】
図7Dに、パッキン異常画面g14を示す。
その他、障診断結果画面g10b(
図6B参照)において、パッキン(p1、p2)に「異常あり」が表示された場合、該「異常あり」を押下すると、表示画面2g(
図1参照)に、パッキン異常画面g14(
図7D参照)が表示される。
パッキン異常画面g14によれば、下記の発生原因と対処法が表示される。
発生原因がパッキン(p1、p2)からのリーク量が規定値以上となった場合には、パッキンp1、p2の交換を行う。
【0045】
なお、給水圧力低下画面g11、増圧機切替回数異常画面g12、油圧圧力低下画面g13、パッキン異常画面g14にそれぞれ表示される内容は、これまでの故障とその対処法のデータに基づいて、予め制御装置2の記憶部(メモリ)に設定して記憶させておくものとする。
上記構成によれば、高圧水加工機Wの起動中(電源ON時)に、加工停止中の状態である加工前または加工後に診断を実施し、危険を回避できる利点がある。
【0046】
さらに、工作機械の高圧水加工機Wを利用する前に故障診断を行うことによって、対処の容易化を図れる。また、故障診断結果を発生原因とその対処方法で表示するので、作業者でも判断し易い。
【0047】
<<その他の実施形態>>
1.前記実施形態では、診断項目として、(1)給水ポンプ診断、(2)油圧ポンプ診断、(3)超高圧パッキン診断、(4)水漏れ診断を例示したが、他の構成の異常を検知して診断してもよい。例えば、
図3に示す研磨材供給装置20における研磨材タンク21の排出量または/および研磨材供給ユニット22の開閉弁23の流量等は、前記実施形態と同様にして、異常を検知できる。
【0048】
2.前記実施形態では、高圧水加工機Wに一体の操作部2sで操作して表示画面2gに表示する例を示したが、
図8に示すように、高圧水加工機Wをインターネット30の通信網その他の通信網を介して、PC(personal computer)31、携帯情報端末32等の情報機器で診断機能をその制御部で遠隔に操作して診断結果を遠隔に表示する構成としてもよい。この場合、高圧水加工機Wに通信手段を備えている。
図8に、高圧水加工機Wを遠隔に診断する状態の模式図を示す。
【0049】
3.なお、前記実施形態で説明した構成は、本発明の一例であり、特許請求の範囲で記載した範囲内でその他の様々な形態が可能である。
【符号の説明】
【0050】
2 制御装置(診断手段、設定手段)
2g 表示画面(表示手段)
5 ノズルユニット(吐出部)
5a ノズルヘッド(吐出部)
5a1 噴射ノズル(吐出部)
9 増圧機
11 給水ポンプ(ポンプ)
20 研磨材供給装置
21 研磨材タンク
22 研磨材供給ユニット
23 開閉弁
30 インターネット(通信網)
31 PC(遠隔操作手段、遠隔表示手段)
32 携帯情報端末(遠隔表示手段、遠隔表示手段)
k11 給水配管(流路)
k11a、k11b 冷却水配管(流路)
k12 高圧配管(流路)
k21 油圧配管(流路)
s1 給水圧力センサ(検知手段)
s2 高圧水圧力センサ(検知手段)
s3 油圧力センサ(検知手段)
s3a (検知手段)
s3b (検知手段)
s4 タンク排出量センサ(検知手段)
s5 流量センサ(検知手段)
W 高圧水加工機