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特許7386148リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池
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  • 特許-リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20231116BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20231116BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020194424
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2021086834
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2020-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2019-0152917
(32)【優先日】2019-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】511038879
【氏名又は名称】ポスコ ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 博明
(74)【代理人】
【識別番号】100115451
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】キム ソンテ
(72)【発明者】
【氏名】パク へウォン
(72)【発明者】
【氏名】パク ウンヒ
【審査官】鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-009960(JP,A)
【文献】特開2013-164942(JP,A)
【文献】国際公開第2013/021955(WO,A1)
【文献】特開2010-080168(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107204424(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/525
H01M 4/505
H01M 4/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前駆体原料物質及びリチウム原料物質に第1の熱処理を施してリチウム金属酸化物を得るステップ、
硫黄原料物質を水に溶かして水洗溶液を製造するステップ、
前記水洗溶液に前記リチウム金属酸化物を浸漬して水洗するステップ、及び
水洗された前記リチウム金属酸化物に第2の熱処理を施してリチウム金属酸化物活物質の表面に硫黄化合物を含むコーティング層を形成するステップ、
を含み、
前記第1の熱処理を施すことによって得られたリチウム金属酸化物の残存リチウムであるLiOHとLiCOの合計量が実質的に6000ppm以上であり、
前記硫黄原料物質Mは、x=1~8、y=1~8であり、MはNa又はKであり、zは0~3である化合物で示されるものであり、
前記硫黄化合物は、LiS及びLiSOからなる群から選択される少なくとも1つを含み、正極活物質の全重量に対して、0.5wt%~5.0wt%の割合で含まれるものであり、
前記リチウム金属酸化物活物質は、下記[化学式1]で示されるものである、リチウム二次電池用正極活物質の製造方法
[化学式1]LiNiCoMn
(式中、Mは、Al、Zr、B、又はこれらの組み合わせからなる金属であり、0.98<a<1.2、0.6≦b≦0.9、0.05≦c≦0.2、0.01≦d≦0.2、0.01≦e≦0.05、及び、b+c+d+e=1である)
【請求項2】
前記第2の熱処理は、130℃以上550℃未満で行われる、請求項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項3】
前記硫黄原料物質は、NaSO、NaSO、NaSO、NaSO、Na、Na、Na、Na、KSO、KSO、KSO、KSO、K、K、K、及びKからなる群から選択されるものである、請求項に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項4】
前記リチウム金属酸化物活物質及び
前記活物質の表面に位置するコーティング層を含み、
前記コーティング層は、硫黄化合物を含むものであり、
前記硫黄化合物は、Li S及びLi SO からなる群から選択される少なくとも1つを含むものであり、
前記コーティング層に含まれる硫黄化合物は、正極活物質の全重量に対して、0.5wt%~5.0wt%の割合で含まれるものであり、
前記リチウム金属酸化物活物質は、下記[化学式1]で示されるものである、リチウム二次電池用正極活物質。
[化学式1]Li Ni Co Mn
(式中、Mは、Al、Zr、B、又はこれらの組み合わせからなる金属であり、0.98<a<1.2、0.6≦b≦0.9、0.05≦c≦0.2、0.01≦d≦0.2、0.01≦e≦0.05、及び、b+c+d+e=1である)、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池に関し、より詳しくは、硫黄(sulfur)を含む化合物を用いた水洗によって残留リチウム不純物を低減させるとともに、正極活物質の表面に、リチウム-硫黄(Li-Sulfur)化合物のコーティング層を形成することによって、初期抵抗及びリーク電流の発生を減少させ、電池性能が改善され得る、リチウム二次電池用正極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウム二次電池は、リチウムの酸化と還元との反応原理を用いて電気を貯蔵する電池であって、高い電圧とエネルギー密度とを有している。リチウム二次電池は、高いエネルギー密度によって、他の二次電池(鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池など)に比べ、小型化及び軽量化に有利であるため、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの小型電子機器用電源として使用されている。
【0003】
最近、小型電源装置だけでなく、パワーツール(Power tool)、電気自動車などのような、高出力、高容量の中・大型電源装置、及び、ESS用大型電池などへ、適用範囲が拡大されつつある。特に、欧州及び中国の環境規制関連政策の強化に伴い、電気自動車の需要拡大が加速化されている。欧州連合(EU)議会は、2021年まで欧州で販売される新車の二酸化炭素排出量を95g/kmと規制することにし、これによって、欧州の完成車メーカーでは、ガソリン・ディーゼル車両を減らし、電気自動車のモデルを大幅増加すると見込まれる。このような動向に応じて、世界的完成車メーカーは、続々と電気自動車の開発に次世代自動車研究の焦点をあて、中・大型バッテリーの需要が急増する傾向にある。このような中・大型バッテリーの需要急増に伴い、リチウム二次電池の容量増大のため、正極活物質のNi組成が増加した、ハイニッケル(High Ni(Ni≧60%))三元系(NCM)に関する研究開発が持続的に行われ、現在、Ni≧80%のものに関する研究も盛んに行われている。
【0004】
このようなハイニッケル(High Ni)三元系(NCM)の場合、Ni含有量が高いほど容量が増加するという長所があるが、カチオン混合(cation mixing)(主に、Ni2+/Liのディスオーダー)によって、構造安定性の低下、初期抵抗の増加、未反応残留LiCO及びLiOHなどのリチウム不純物の増加による性能低下のような問題点を有している。
【0005】
従来、リチウム二次電池用正極活物質の製造は、前駆体に水酸化リチウム又は炭酸リチウムを混合した後、熱処理するが、このような熱処理過程後、正極活物質の製造反応に参与せずに残留する水酸化リチウム及び炭酸リチウムが存在するようになる。前記残留水酸化リチウムは、スラリーの製造過程において、スラリーのpHを増加させてスラリーの固化現象を発生させ、極板の製造が困難となり、また、前記残留炭酸リチウムは、電池のスウェリング(swelling)現象が増加し、サイクル性能の低下だけでなく、ガスの発生を引き起こし、電池が膨らむ現象の原因となっている。
【0006】
特に、表面に残留するリチウム不純物LiOHは、大気中のCOと反応し、さらにLiCOを形成し、これによって、初期不可逆容量が増加し、表面でのリチウムイオンの移動を妨げるという問題だけでなく、再度電気化学反応中に電解液と反応して分解反応が起こってCOガスが発生し、電池のスウェリング現象が発生し、高温安定性が低下するという問題が招来される。
【0007】
そのため、ハイニッケル(High Ni)のNCMでは(特に、Ni≧80%以上)、リチウム不純物を除去するため、水、アルコールなどで湿式処理を行う方法が、紹介及び使用されている。しかし、湿式処理方法の場合、残留リチウム不純物を除去する過程において、活物質内にあるLiの脱離が起こり、長期的な電池寿命が減少し、また、水洗後、活物質の表面が酸化されてNiO相(phase)が形成され、容量の低下、抵抗の増加などの問題が発生することがあり得る。したがって、水洗による活物質の容量減少などの問題点を極力抑制するとともに、目標水準の残留Li不純物の除去を達成し得る水洗添加剤に関する研究が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述のような従来の問題点を解決するため、Niを80モル%以上含有する高ニッケル正極活物質の表面に存在する残留リチウム不純物(LiCO、LiOH)を除去するための水洗工程を行う際に、硫黄(Sulfur)を含む化合物を添加し、活物質の表面にLi-Sのコーティング層を形成することにより、水洗による活物質の容量減少などの問題点を極力抑制し、効果的に残留リチウム不純物を除去するとともに、抵抗及びリーク電流(leak current)増加を改善することができる正極活物質及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
本発明は、さらに、本発明による正極活物質を含むリチウム二次電池を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、本発明の具現例を詳述する。但し、これらは例示に過ぎないものであり、本発明は、これらの例によって制限されず、添付の特許請求の範囲により定義される。
【0011】
上述のような課題を解決するため、本発明の一具現例では、リチウム金属酸化物活物質及び前記活物質の表面に位置するコーティング層を含み、前記コーティング層は、硫黄化合物を含むものである、リチウム二次電池用正極活物質を提供する。
【0012】
より具体的に、コアとして前記リチウム酸化物活物質は、下記[化学式1]で示されるものである。
【0013】
[化学式1]LiNiCoMn
【0014】
(式中、Mは、Al、Zr、B、又はこれらの組み合わせからなる金属であり、0.98<a<1.2、0.6≦b≦0.9、0.05≦c≦0.2、0.01≦d≦0.2、0.01≦e≦0.05、及びb+c+d+e=1である。より具体的に、式中、0.7≦b≦0.9、0.05≦c≦0.15、0.01≦d≦0.15、0.01≦e≦0.05、及びb+c+d+e=1である。上記の範囲は、例示に過ぎず、本発明は、この範囲に制限されない。)
【0015】
本発明の一具現例による正極活物質は、コア及びコーティング層から構成され、前記コアは、リチウム金属化合物であり、前記コーティング層は、硫黄を含み、前記コーティング中の硫黄化合物は、リチウム硫黄酸化物及び/又は硫黄化合物を含む。
【0016】
本発明による正極活物質は、リチウム硫黄酸化物及び硫黄化合物を含むコーティング層を含むことができる。
【0017】
本発明による正極活物質において、前記リチウム硫黄化合物は、LiS、LiSO、Li(nは、1≦n≦8である)であることができる。本発明による正極活物質において、これらの含有量は、処理する硫黄化合物の種類及び量によるが、具体的に、LiSO硫黄化合物が70wt%~99wt%、LiS化合物が5wt%~10wt%、他の硫黄化合物LiS,Li、Li、Li、LiSO(nは、LiSOを除き、1≦n≦8)が0wt%~5wt%の重量比であることができる。なお、前記硫黄化合物の重量比変化に応じた具体的な電池特性の変化は、報告されていない。
【0018】
本発明による正極活物質において、硫黄化合物の添加量は、具体的に、重量比0.5wt%~5.0wt%であることが好ましい。硫黄化合物の添加量が0.5wt%の未満である場合は、残留Liの低減効果及びコーティング効果が充分に得られず、硫黄化合物の添加量が5.0wt%を超える場合は、硫黄(sulfur)数値が、特定の数値以上(1000ppm超過)と高くなって、電解液との副反応を生じ、電池寿命性能が低下することがあり得る。従って、前記範囲内の添加量でコーティングを行うことが有利である。
【0019】
硫黄化合物の残留リチウム不純物低減の具体的な反応式は、下記の通りである。
【0020】
[反応式]nNa+nLiOH+nLiCO+nH
→nLiSO+nNaCO+nCO+nO+nHO(n=整数)
【0021】
硫黄化合物であるM(x=1~8、y=1~8であり、MはNa又はKであり、zは0~3である化合物)は、水洗中に残留リチウム不純物(LiCO、LiOH)との置換反応によって反応し、Li-S化合物のコーティング層を活物質の表面に形成し、抵抗の減少及びリーク電流発生の低減に良い影響を与えることができる。
【0022】
本発明による正極活物質は、リチウム硫黄酸化物及び硫黄化合物を含むコーティング層を有しない活物質に比べ、電池の初期抵抗が低くなり得る。
【0023】
本発明の一具現例では、リチウム金属酸化物の表面に存在する残留リチウム不純物(LiCO、LiOH)を、水洗時に、硫黄(sulfur)を含む化合物を添加することで効果的に残留リチウム不純物(LiCO、LiOH)を除去するとともに、Li-S化合物のコーティング層を表面に生成させたリチウム二次電池用正極活物質を提供する。
【0024】
湿式処理前のリチウム金属酸化物の残留リチウム(LiOH+LiCO)は、6000ppm以上であることができる。残留リチウムが6000ppm未満であるからといって、残留リチウム不純物の低減効果やコーティング層の形成効果が得られないとは限らないが、残留リチウムの数値が6000未満である場合、水洗による残留リチウム除去効果が過度に高くなって、活物質中のリチウム脱離によって容量やサイクルの側面で性能低下が生じることがあり得る。そこで、セル性能の低下が生じることなく効果的な水洗効果を得るためには、活物質の残留リチウム(LiOH+LiCO)が6000ppm以上であることが好ましい。
【0025】
本発明の一具現例に係る正極活物質は、一次粒子の粒径が0.1μm~2μmの球状二次粒子からなっている。さらに、上述の一次粒子が丸められて形成される二次粒子から構成され、前記二次粒子の直径が1μm~20μm以下のものであるリチウム二次電池用正極活物質を含む。
【0026】
本発明の他の具現例では、前駆体原料物質及びリチウム原料物質を焼成してリチウム金属酸化物を得るステップ、硫黄原料物質を水に溶かして水洗溶液を製造するステップ、水洗溶液に前記リチウム金属酸化物正極活物質を浸漬して水洗するステップ、及び、水洗された前記リチウム金属酸化物に第2の熱処理を施すステップを含むリチウム二次電池用正極活物質の製造方法を提供する。
【0027】
本発明によるリチウム二次電池用正極活物質の製造方法では、硫黄原料物質を水に溶かして水洗溶液を製造するステップ、水洗溶液に正極活物質を浸漬して水洗するステップを行うことで、残留リチウム不純物を除去するとともに表面に均一な硫黄化合物コーティング層を形成することができる。
【0028】
本発明によるリチウム二次電池用正極活物質の製造方法において、前記第2の熱処理を施すステップは、130℃以上550℃未満で熱処理することができる。熱処理の温度が130℃を超える場合、硫黄化合物の水分が除去された形態で結晶状態を保つことができる。しかし、熱処理温度が550℃を超えると、硫黄化合物の構造変形が起こり、構造の密度が低くなり、伝導度が低下し、コーティング効果が低減され得る。
【0029】
従って、本発明に係るリチウム二次電池用正極活物質の製造方法において、硫黄化合物を用いた正極材の安定的な熱処理温度は、130℃以上550℃未満の範囲である。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一具現例に係る正極活物質を含むリチウム二次電池は、水洗することで残留リチウム不純物が低減されるとともに、表面に硫黄化合物がコーティングされることで初期抵抗及び過充電のテストにおいてリーク電流の問題が改善され得る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施例で製造される硫黄(sulfur)化合物を用いた水洗品及び比較例で製造されるコインセルの容量データを示す。
図2】本発明の一実施例で製造される硫黄(sulfur)化合物を用いた水洗品及び比較例で製造されるコインセルの抵抗データを示す。
図3】本発明の一実施例で製造される硫黄(sulfur)化合物を用いた水洗品及び比較例で製造されるコインセルの過充電リーク電流の測定データを示す。
図4】本発明の一実施例で製造される硫黄(sulfur)化合物を用いた水洗品及び比較例で製造されるコインセルの寿命特性及び抵抗増加率データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の具現例を詳述する。ただし、これらは例示であって、本発明は、これらによって制限されず、添付の特許請求の範囲の範疇により定義される。
【0033】
<実施例>正極活物質の製造
【0034】
後述の方法で正極活物質を製造した。金属酸化物乾燥された前駆体をLiOHと混合した後、混合物を耐火匣鉢(saggar)に充填した後、焼結炉で、酸素(O)雰囲気下、焼成温度700℃~900℃の条件で焼成して活物質を製造した。
【0035】
つぎに、残留リチウム不純物を除去するため、硫黄化合物を添加して湿式水洗処理を行って残留リチウム不純物を除去するとともに、LiS及びLiSOを主な化合物として含むコーティング層付きの最終正極活物質を得た。
【0036】
<実験例>残留リチウムの測定
【0037】
上述の実施例で製造された正極活物質5gを、脱イオン水(DIW)100mlに入れて10分間撹拌し、ろ過(Filtering)して溶液50mlを濾取した後、ここに0.1M HClを加え、pH変化によるHClの消耗量を測定した。
【0038】
HCl消耗量によってQ1、Q2を決定し、下記式によって残留リチウムである未反応のLiOH及びLiCOを計算し、その結果を、表1において通常の水洗及びS水洗による残留Liの結果を示す。
【0039】
M1=23.94(LiOH Molecular weight)
M2=73.89(LiCO Molecular weight)
SPL Size=(Sample weight×Solution weight)/Water weight
LiOH(wt%)=[(2×Q1-Q2)×0.1×23.94×1000/((5×50)/100)]
LiCO(wt%)=[(Q2-Q1)×0.1×73.89×1000/((5×50)/100)]
【0040】
【表1】
【0041】
<実施例>コインセルの製造
【0042】
製造された正極活物質96.5wt%、導電剤1.5wt%、バインダー(PVDF)2.0wt%の割合で混合し、撹拌機で混合後、スラリー(slurry)をアルミ箔(Al foil)に塗布し、120℃で乾燥して正極板を製造し、負極板としてリチウム金属箔(Li metal foil)を使用し、セパレータとしてポリプロピレンを使用し、通常の電解液(LiPF salt in EC/EMC/DMC)を使用してコインセル(coin cell)を製造した。
【0043】
<実験例>電気化学特性の測定-電池容量平価
【0044】
図1は、硫黄化合物を用いた水洗品と既存の水洗品とを評価した、コインセル容量の結果を示す。
【0045】
図1に示されるように、硫黄化合物処理品と既存の水洗品との容量評価結果の値は、誤差範囲内の水準であることがわかる。
【0046】
<実験例>電気化学特性の測定-初期抵抗の測定
【0047】
図2は、硫黄化合物を用いた水洗品と既存の水洗品とを評価した、コインセルの0.2C初期抵抗の結果を示す。
【0048】
図2に示されるように、硫黄化合物処理の際に、0.2C初期抵抗の結果値が、平均して18.5Ωから17.5Ωに改善されることがわかる。
【0049】
<実験例>電気化学特性の測定-リーク電流の測定
【0050】
図3は、硫黄化合物を用いた水洗品と既存の水洗品とを評価した、4.7V過充電120hrでのリーク電流の結果を示す。
【0051】
図3に示されるように、硫黄化合物処理の際に、120時間過充電状態のリーク電流の結果値が、平均して0.35mAから0.17mAに大幅に改善されることがわかる。
【0052】
<実験例>電気化学特性の測定-寿命特性及び抵抗増加率の測定
【0053】
図4は、硫黄化合物を用いた水洗品と既存の水洗品とを評価した、コインセルの30cyc高温寿命及び抵抗増加率の測定結果を示す。
【0054】
図4に示されるように、硫黄化合物処理の際に、高温寿命効率が94.6%から95.6%へ、抵抗増加率が95.0%から48.0%に大幅に改善されることがわかる。

図1
図2
図3
図4