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特許7386176織物の処理と洗浄およびケア用配合物での使用のためのシロキサン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-15
(45)【発行日】2023-11-24
(54)【発明の名称】織物の処理と洗浄およびケア用配合物での使用のためのシロキサン
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/388 20060101AFI20231116BHJP
   A61Q 1/14 20060101ALI20231116BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231116BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20231116BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20231116BHJP
   A61K 8/898 20060101ALI20231116BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20231116BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231116BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20231116BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20231116BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20231116BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20231116BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231116BHJP
   C08L 83/08 20060101ALI20231116BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20231116BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20231116BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20231116BHJP
   B01J 13/00 20060101ALI20231116BHJP
   D06M 13/463 20060101ALI20231116BHJP
【FI】
C08G77/388
A61Q1/14
A61Q19/00
A61Q5/12
A61Q19/10
A61K8/898
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/36
A61K47/34
A61K9/107
A61K47/10
A61K47/12
C08L83/08
C11D3/37
C11D3/20
C11D17/08
B01J13/00 A
D06M13/463
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020554236
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019057491
(87)【国際公開番号】W WO2019192876
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-11-02
(31)【優先権主張番号】18165408.8
(32)【優先日】2018-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘニング,フラウケ
(72)【発明者】
【氏名】ペッガウ,ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】ローゼ,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】ズンドルフ,アストリッド
(72)【発明者】
【氏名】ラドロフ,サラ
(72)【発明者】
【氏名】トランビタス,アレクサンドラ
【審査官】西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-533532(JP,A)
【文献】特表2013-517337(JP,A)
【文献】特開2008-031481(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00-77/62
A61K 8/898
D06M 13/463
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
a1 a2 a3 a4 b1 b2 b3 c1 c4 式(I)
で示され、式中、
=[R SiO1/2];
=[R SiO1/2];
=[R SiO1/2];
=[R SiO1/2];
=[R SiO2/2];
=[RSiO2/2];
=[RSiO2/2];
=[RSiO3/2];
=[RSiO3/2];
Q=[SiO4/2];
a1=0~32;
a2=0~32;
a3=0~32;
a4=0~6;
b1=1~1000;
b2=0~10;
b3=0~10;
c1=0~10;
c4=0~5;
d=0~10;
=それぞれ独立に同一または異なる炭化水素基;
=R21-R22
21=少なくとも1つのヒドロキシル基を有する、それぞれ独立に同一または異なる二価炭化水素基
22=それぞれ独立に同一または異なる、式(II)の基、
【化1】

=R31-R32
31=R21
32=それぞれ独立に同一または異なる、式(III)の基、
【化2】

=それぞれ独立に同一または異なるアルコキシ基またはアシルオキシ基;
=-O-および-NR10-からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる二価の基;
=炭化水素基からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基;
=水素および炭化水素基からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基;
10=水素、-C(=O)Rおよび、炭化水素基からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基;
11=少なくとも1つのヒドロキシル基を有する炭化水素基からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基;
m-=酸HAの無機または有機陰イオン、およびそれらの誘導体から選択される、それぞれ独立に同一または異なる陰イオン、
m=1~3;
x=2~18;
であり、
条件(i)および(ii):
(i)a2+b2≧1;
(ii)a3+b3≧1
が当てはまることを特徴とする、
シロキサン(A)。
【請求項2】
加えて、条件(iii)または条件(iv):
(iii)a1=a4=b2=b3=c1=c4=d=0
かつ
a2=a3=1;
(iv)b2=b3=0
かつ
c1+c4+d≧1
かつ
a2+a3+a4≧3
のいずれかが当てはまる、請求項1に記載のシロキサン(A)。
【請求項3】
請求項1および2のいずれか1項に記載の少なくとも1つのシロキサン(A)を含む、組成物。
【請求項4】
シロキサン(B)およびシロキサン(C)からなる群から選択される少なくとも1つのシロキサンを付加的に含む、請求項3に記載の組成物であって、ここで、
シロキサン(B)は、少なくとも、条件(i)~(iv)よりむしろ条件(v)および(vi):
(v)a2=b2=0、
(vi)a3+b3≧2
が当てはまるという点で請求項1に記載のシロキサンとは異なるシロキサンであり;
シロキサン(C)は、少なくとも、条件(i)および(iv)よりむしろ条件(vii)および(viii):
(vii)a3=b3=0、
(viii)a2+b2≧2
が当てはまるという点で請求項1に記載のシロキサンとは異なるシロキサンである
、組成物。
【請求項5】
a.前記少なくとも1つのシロキサン(A)の、シロキサンの総質量に対する質量比率が20%~70%であり;
かつ/または
b.前記少なくとも1つのシロキサン(B)の、シロキサンの総質量に対する質量比率が0%~15%であり;
かつ/または
c.前記少なくとも1つのシロキサン(C)の、シロキサンの総質量に対する質量比率が3%~80%である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
アミドアミンを含有し、シロキサンの総質量に対するアミドアミンの質量比率が、1%未満であるか、またはアミドアミンを含有しない、請求項3~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1および2のいずれか1項に記載のシロキサン(A)または請求項3~6のいずれか1項に記載の組成物の製造のための方法であって、
少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つのエポキシ官能性シロキサンが、アミドアミンおよびエステルアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミン、およびジアルカノールアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンの両方と反応して、第四級アンモニウム基を形成する少なくとも1つの工程段階を含む、方法。
【請求項8】
前記エポキシ官能性シロキサンが、少なくとも1つのオレフィン系不飽和エポキシドの、式(V)
a1 a5 b1 b5 c1 c4(V)
で示され、式中、
=[R SiHO1/2]、
=[RSiHO2/2]、
a5=0~32;
b5=0~10;
ここで、
、D、T、T、Q、a1、b1、c1、c4、dおよびRは、式(I)に定義されたとおりである、
少なくとも1つのSiH官能性シロキサンによるヒドロシリル化によって調製される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記エポキシ官能性シロキサンが式(VI)
a1 a5 b1 b5 c1 c4(VI)
で示され、式中、
=[R13 SiO1/2]、
=[R13SiO2/2]、
13=それぞれ独立に同一または異なる有機エポキシ基、
ここで、
、D、T、T、Q、a1、b1、c1、c4、d、およびRは、式(I)に定義されたとおりであり、a5およびb5は、式(V)に定義されたとおりである、
シロキサンである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記反応後の、アミドアミンおよびエステルアミンからなる群から選択される第三級アミンの、前記組成物の総質量に対する質量比率としての残留含量が、1%未満である、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
アミドアミンおよびエステルアミンからなる群から選択される第三級アミンが式(VII)
【化3】

で示され、式中、R、R、Rおよびxは、式(II)に定義されたとおりである、
第三級アミンである、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ジアルカノールアミンからなる群から選択される第三級アミンが式(VIII)
【化4】

で示され、式中、RおよびR11は、式(III)に定義されたとおりである、
第三級アミンである、請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項7~12のいずれか1項に記載の方法により得られる、組成物。
【請求項14】
水と、請求項1および2のいずれか1項に記載の少なくとも1つのシロキサン(A)または請求項3~6および/もしくは請求項13のいずれか1項に記載の組成物ならびに/または請求項7~12のいずれか1項に記載の方法からの工程生成物
を含む、組成物。
【請求項15】
請求項1および2のいずれか1項に記載のシロキサン(A)の、または請求項3~6のいずれか1項もしくは請求項13および14のいずれか1項に記載の組成物の、または請求項7~12のいずれか1項に記載の方法からの工程生成物の、
a)二次元構造の処理のための;
b)家庭用および産業用の洗浄およびケア用配合物での;
c)化粧料用組成物、医薬組成物および皮膚科用組成物での;ならびに/または
d)硬表面の洗浄およびケアのための
、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のシロキサン、これらの特定のシロキサンを含有する組成物、これらの製造のための方法、ならびにこれらの組成物の、二次元構造の処理のための、家庭用および産業用の洗浄およびケア用配合物での、および化粧料用組成物、医薬組成物および皮膚科用組成物での、特に、美容クレンジングおよびケア用配合物、ヘアトリートメント製品およびヘアアフタートリートメント製品での、ならびに硬表面の洗浄およびケアのための、好ましくは、自動車の洗浄およびケアのための、特に、洗車施設の乾燥助剤の添加剤としての、使用に関する。
【0002】
より詳しくは、本発明は、より高い有効性を有し、低分子量の望ましくない副生成物成分の割合も最小限に抑えられる、織物または布帛の処理のための手触り改質有効成分に関する。
【背景技術】
【0003】
第四級アンモニウム基を有するシロキサンまたはシリコーン(以下、シリコーンクアット(silicone quats)とも呼ばれる)、ならびに織物の仕上げのためのおよび洗浄およびケア用配合物におけるそれらの使用は、従来技術から知られている。
【0004】
ここで、特に有利なシリコーンクアットは、エポキシ官能性シロキサンと第三級アミンとの反応により得られるものである。第一に、第三級アミンの第三級窒素の求核攻撃がエポキシ官能性シランのエポキシド環で起こり、これは最終的にエポキシド環の開環につながる。これにより両性イオンが形成され、その後、これはブレンステッド酸によってプロトン化され、シリコーンクアットが得られる。エポキシ基は最大限に変換されるため、一般的に、化学量論量の第三級アミンが使用される。次に、これは第三級アミンの残留量につながる可能性がある。これらの残留量は望ましくない。低分子量の反応物、例えば、使用されたアミンまたは低分子量の有機副生成物の残留含量は、皮膚を刺激する可能性がありかつ/または感作性および/または水生毒性(aquatoxic)である可能性がある。シリコーンクアットを水性織物処理液へ導入すると、低分子量の有機副生成物および変換されていない第三級アミンが溶解して、織物または廃水に移る可能性がある。
【0005】
懸案事項の少ない、より詳しくは、皮膚刺激、感作および/または水生毒性(aquatoxicity)をほとんどまたは全く引き起こさないアミンの使用は、一般的に、性能特性が不十分なシリコーンクアットをもたらす。対応するシリコーンクアットに基づいた織物仕上げ用の水性エマルジョンは、相安定性/保存安定性が低くかつ/またはそれを用いて仕上げられた織物における手触りの評価が不十分なことを示すことが多い。
【0006】
独国特許出願公開第102010000993号明細書には、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を有するポリシロキサンが開示されている。これらのポリシロキサンは、シャンプー、ヘアトリートメント製品およびヘアアフタートリートメント製品などのパーソナルクレンジングおよびケア製品に使用できる。これらのポリシロキサンは、無傷および損傷毛髪の櫛通り、柔らかさ、ボリューム、成形性、扱いやすさおよび解きほぐし性(disentanglability)などの特性を改善し、毛髪に心地よい輝きも与えると言われている。この実施例では、エポキシシランと、脂肪酸に基づいたアミドアミン、すなわち、3-N,N-ジメチルアミノプロピルラウラミドとの反応により得られるポリシロキサンが開示されている。これらのシリコーンクアットの合成における第三級アミンとしてのアミドアミンの排他的使用により、変換されていないアミドアミンの残留含量が生じる。これは望ましくない。少なくとも1つのアミドアンモニウム基と、さらに少なくとも1つのジアルカノールアンモニウム基も有するポリシロキサンの開示はない。
【0007】
独国特許出願公開第102009029450号明細書には、第四級アンモニウム基を有するポリシロキサンが開示されている。これらのポリシロキサンは、天然および/または合成原料および/または皮革で作られた布帛、例えば、織布、薄織物、不織布および/または繊維用の柔軟剤(softners)としての用途がある。この実施例では、エポキシシランと、ヤシ脂肪酸に基づいたアミドアミンとの反応により得られるポリシロキサンが開示されている。ここでも、これらのシリコーンクアットの合成における第三級アミンとしてのアミドアミンの排他的使用により、望ましくない、変換されていないアミドアミンの残留含量が生じる。少なくとも1つのアミドアンモニウム基と、さらに少なくとも1つのジアルカノールアンモニウム基を有するポリシロキサンの開示はない。
【0008】
独国特許出願公開第102011078382号明細書には、油相として、少なくとも1つの第四級アンモニウム基を含有するポリシロキサンを含むマイクロエマルジョンが開示されている。この実施例では、エポキシシランと、脂肪酸に基づいたアミドアミンとの反応により得られるポリシロキサンが開示されている。ここでも、これらのシリコーンクアットの合成における第三級アミンとしてのアミドアミンの排他的使用により、望ましくない、変換されていないアミドアミンの残留含量が生じる。少なくとも1つのアミドアンモニウム基と、さらに少なくとも1つのジアルカノールアンモニウム基を有するポリシロキサンの開示はない。
【0009】
独国特許出願公開第102010001531号明細書には、第一級アミノ官能基を有するシロキサンおよび第四級アンモニウム官能基を有する有機変性シロキサンが開示されている。アミドアンモニウム基またはジアルカノールアンモニウム基を有するポリシロキサンの開示はない。
【0010】
米国特許第5248783号明細書には、カルボン酸官能性シリコーンの中和のためのアミドアミンの使用が開示されている。アミドアンモニウム基またはジアルカノールアンモニウム基を有するポリシロキサンの開示はない。
【0011】
また、従来技術を超える利点を有するシロキサンを提供する必要もある。
【0012】
より詳しくは、織物または布帛の処理のための手触り改質有効成分として好適であり
、高い有効性を特徴とするが、皮膚を刺激しかつ/または感作性および/または水生毒性である、望ましくない有機副生成物の割合または反応物の残留量がさらに最小限に抑えられているシロキサンが必要である。性能特性の改善、例えば、相安定性/保存安定性の向上および/または処理された織物における手触りの良い評価をもたらすシロキサンが依然として必要とされている。多くの場合、シリコーンクアットは、布帛または織物の洗浄中または洗浄後に存在する可能性があるようなpH9を超えるアルカリ性条件下で布帛または織物上に沈降する。これにより、特に、織物または布帛が染色処理に供されている時に斑点が生じる可能性がある。よって、特にpH11までのより高いpH安定性を有するシロキサンが依然として必要とされている。より詳しくは、織布(textile fabrics)、例えば、綿/ポリエステルまたは綿/ポリアミド/エラスタン、あるいはセルロースまたはセルロース混紡から製造される不織布の仕上げのための、皮膚に優しくかつ環境に優しい手触り改質有効成分または組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
よって、本発明によって対処した問題は、従来技術の少なくとも1つの欠点を克服することであった。
【0014】
より詳しくは、この対処した問題は、望ましくない有機副生成物の割合が明らかに減少しかつ/または望ましくない有機反応物の残留含量が低い、第四級アンモニウム基を有するシロキサン/シリコーン(シリコーンクアットと呼ばれる)を提供することであった。より詳しくは、本発明によって対処した問題は、これらの望ましくない有機化合物を最小限に抑えると同時に織物に対する有効性がより高い手触り改質有効成分を調製することであった。
【0015】
驚くことに、特許請求の範囲に記載されている特定のシロキサンおよび特定の組成物が従来技術の少なくとも1つの欠点を克服することが見いだされた。より詳しくは、これらの特定のシロキサンおよび特定の組成物により、手触りのより良い評価、より良い相特性およびより低いアミドアミン含量につながることが見いだされた。
【0016】
これらの特定のシロキサンは、少なくとも2つの異なる第四級アンモニウム基を有し、ここで、少なくとも1つの第四級アンモニウム基は、第四級アミドアンモニウム基および第四級エステルアンモニウム基、好ましくは第四級アミドアンモニウム基からなる群から選択され、少なくとも1つの第四級アンモニウム基は、第四級ジアルカノールアンモニウム基からなる群から選択される。
【0017】
次に、これらの特定の組成物はこれらの特定のシロキサンを含有する。
【0018】
よって、本発明の目的は、独立請求項の主題によって達成される。本発明の有利な構成は、従属請求項、実施例および説明に明記されている。
【0019】
本発明のシロキサン、すなわち、本発明の手触り改質有効成分、本発明の組成物、本発明の方法、ならびにこれらの組成物および/または工程生成物の本発明の使用は、以下に例として記載されるが、本発明がこれらの例示的実施形態に限定されることを意図していない。化合物の範囲、一般式または種類が以下に明記される場合、これらは、明示的に言及されている化合物の対応する範囲または群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を除外することによって得ることができる化合物の全ての部分範囲および部分群も包含することを意図している。領域/部分領域および/または群/部分群の組合せによって、例えば、本発明による、必須の、任意選択の、好ましい(preferred)、好ましい(preferable)または好ましくは選択される、さらに好ましい、なおさらに好ましい、より好ましいまたは特に好ましい領域/部分領域および/または群/部分群の組合せによって得ることができるいかなる実施形態も、完全に本発明の開示内容の一部であり、黙示的、直接的および明確に開示されていると見なされる。「好ましく(with preference)」および「好ましくは(preferably)」という表現は同義的に使用される。
【0020】
本明細書の目的のために文献が引用されている場合、これらの内容全体が本発明の開示の一部であることが意図されている。
【0021】
含量の数値(ppmまたは%)を以下に示す場合、特に断りのない限り、それらは重量%または重量ppm(ppmw)での数値である。組成物の場合、含量の数値は、特に断りのない限り、組成物全体に対するものである。平均値を以下に報告する場合、問題の値は、特に断りのない限り、数値平均である。モル質量を使用する場合、特に明記しない限り、それらは重量平均モル質量Mwである。測定値または物理的特性、例えば、表面張力などを以下に報告する場合、特に断りのない限り、これらは、25℃で、好ましくは、101 325Pa(標準圧力)の圧力で測定された測定値または物理的特性である。本発明の範囲内で粘度の値を示す場合、特に断りのない限り、これらは、当業者に周知の方法により確認することができる動的粘度である。
【0022】
「XからYまで」の形式の数値範囲を以下に報告する場合、ここで、XおよびYは数値範囲の限界であり、これは、特に明記しない限り、「少なくともXからYまで(Yを含む)」の記述と同等である。従って、範囲の記述は、特に明記しない限り、範囲の限界XおよびYを含む。
【0023】
分子/分子断片が1以上の立体中心を有するかまたは対称性により異性体に区別され得るかまたは他の効果、例えば、束縛回転により異性体に区別され得る場合は、全ての可能な異性体が本発明により包含される。
【0024】
本発明に関連して、「ポリ」という単語の断片は、分子中に1以上のモノマーの少なくとも2つ、特に3つの繰り返し単位を有する化合物だけでなく、好ましくは、分子量分布を有すると同時に少なくとも200g/モルの平均分子量を有する化合物の組成物も包含する。この定義は、OECDガイドラインまたはREACHガイドラインのとおりのポリマー定義に則していないように見えても、そのような化合物をポリマーと呼ぶことは問題の産業分野で慣習となっているという事実を考慮に入れている。
【0025】
下式(I)、(IV)、(V)および(VI)における様々な断片は、統計的分布にあり得る。統計的分布は、任意の数のブロックおよび任意の順序を有するブロック様構造を有し得るか、または統計的分布はランダム化分布に従う場合があり;また、統計的分布は交互に起こる構造を有してもよく、あるいはもしある場合は、鎖に沿って勾配を形成してもよく;詳細には、また、統計的分布は、異なる分布の群が所望により連続し得る任意の混合形態を形成し得る。式に使用される指標a1、a2、a3、a4、b1、b2、b3、c1、c4、d、m、v、w、x、y、a5およびb5は、自然数である。式(IV)のアルキレンオキシ単位は、隣接する基または原子に異なって結合し得る、つまり、式(IV)において、
【0026】
【化1】
【0027】
は、それぞれの場合において独立に、[CHCH(R12)O]形態および/または[CH(R12)CHO]形態のアルキレンオキシ基(alkyleneoxy radical)であるが、好ましくは、[CHCH(R12)O]形態のアルキレンオキシ基であることを意味する。特定の実行は、指標または構造的成分または範囲または統計的分布などの特徴が実行によって制限を受けるという点から、以下に定義され得る。制限の影響を受けない全ての他の特徴は変わらない。
【0028】
本発明は、最初に、式(I)
a1 a2 a3 a4 b1 b2 b3 c1 c4 式(I)
で示され、式中、
=[R SiO1/2];
=[R SiO1/2];
=[R SiO1/2];
=[R SiO1/2];
=[R SiO2/2];
=[RSiO2/2];
=[RSiO2/2];
=[RSiO3/2];
=[RSiO3/2];
Q=[SiO4/2];
a1=0~32、好ましくは0~19、特に0~12;
a2=0~32、好ましくは1~10、特に1~3;
a3=0~32、好ましくは1~10、特に1~2;
a4=0~6、好ましくは0~1、特に0;
b1=1~1000、好ましくは5~500、特に10~400;
b2=0~10、好ましくは0~5、特に0;
b3=0~10、好ましくは0~5、特に0;
c1=0~10、好ましくは0~5、特に0~4;
c4=0~5、好ましくは0~2、特に0;
d=0~10、好ましくは0~5、特に0~4;
=好ましくは1~30個の炭素原子を有する、それぞれ独立に同一または異なる炭化水素基、
さらに好ましくは、1~30個の炭素原子を有するアルキル基または6~30個の炭素原子を有する芳香族炭化水素基、
なおさらに好ましくは、1~14個の炭素原子を有するアルキル基または単環式芳香族炭化水素基、
(ここで、前記アルキル基は、好ましくは、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和である)、
なおさらに好ましくは、メチル、エチル、プロピルまたはフェニル、特にメチル;
=R21-R22
21=少なくとも1つのヒドロキシル基と、所望によりさらなる酸素原子と、好ましくは2~30個の炭素原子を有し、
さらに好ましくは1~2個のさらなる酸素原子をさらに含有し、
なおさらに好ましくは、エーテル、カルボニルおよびエステル基から選択される官能基を含有する、それぞれ独立に同一または異なる二価炭化水素基、
なおさらに好ましくは、以下からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる二価の基
【0029】
【化2】
【0030】
特に、以下からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる二価の基、
【0031】
【化3】
【0032】
22=それぞれ独立に同一または異なる、式(II)の基、
【0033】
【化4】
【0034】
=R31-R32
31=R21
32=それぞれ独立に同一または異なる、式(III)の基、
【0035】
【化5】
【0036】
=好ましくは1~6個の炭素原子を有する、それぞれ独立に同一または異なるアルコキシ基またはアシルオキシ基、
さらに好ましくは、アセトキシ基および/もしくはメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ならびに/またはグリコール基、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、ブチルジグリコールから誘導されるアルコキシ基、
特にイソプロポキシ基;
=水素および、好ましくは1~6個の炭素原子を有する炭化水素基からなる群から選択され、さらに好ましくは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基(ここで、前記アルキル基は、好ましくは、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和である)、特にメチル;
=所望によりエーテル基を含有し、好ましくは1~6個の炭素原子を有する、それぞれ独立に同一または異なる二価炭化水素基、好ましくは、メチレン;
=-O-および-NR10-からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる二価の基、好ましくは-NR10-;
=好ましくは1~30個の炭素原子を有する炭化水素基からなる群から選択され、さらに好ましくは、1~12個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和アルキル基からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基、なおさらに好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチルからなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基、なおさらに好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルからなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基、特にメチル;
=水素および、好ましくは1~30個の炭素原子を有する炭化水素基からなる群から選択され、さらに好ましくは、1~30個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基、なおさらに好ましくは、12~24個の炭素原子を有する、特に、16~22個の炭素原子を有するアルキル基(ここで、前記炭化水素基またはアルキル基は、好ましくは、直鎖または分岐鎖、置換または非置換、飽和または不飽和、より好ましくは、直鎖、非置換および飽和である);
10=水素、-C(=O)Rおよび、好ましくは1~6個の炭素原子を有する炭化水素基、さらに好ましくは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基(ここで、前記炭化水素基またはアルキル基は、好ましくは、直鎖または分岐鎖、置換または非置換、飽和または不飽和、より好ましくは、直鎖、非置換および飽和である);R10は、特に好ましくは水素である;
11=少なくとも1つのヒドロキシル基と、好ましくは1~6個の炭素原子を有する炭化水素基からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基と、好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキル基(ここで、前記アルキル基は、好ましくは、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和である)、ならびに式(IV)の基
【0037】
【化6】
【0038】
好ましくは、2-ヒドロキシエチルおよび/または2-ヒドロキシプロピル;
12=好ましくは1~6個の炭素原子を有する炭化水素基からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる基、さらに好ましくは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基(ここで、前記アルキル基は、好ましくは、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和である)、好ましくは、メチルおよびエチル、特にメチル;
m-=酸HAの無機または有機陰イオン、およびそれらの誘導体から選択される、それぞれ独立に同一または異なる陰イオン、
m=1~3、好ましくは1~2、特に1;
v=0~30、好ましくは0~10、特に1~3;
w=0~30、好ましくは0~10;
x=2~18、好ましくは3;
y=2~18、好ましくは3
であり、
条件(i)および(ii):
(i)a2+b2≧1;
(ii)a3+b3≧1
が当てはまることを特徴とするシロキサン(A)を提供する。
【0039】
条件(i)および(ii)は、本シロキサン(A)が少なくとも1つの式(II)のアミドアンモニウム基および少なくとも1つの式(III)のジアルカノールアンモニウム基、すなわち、下式(II)および(III):
【0040】
【化7】
【0041】
【化8】
【0042】
のそれぞれの少なくとも1つの基を有することを確実にする。
【0043】
ここでの第四級アンモニウム基の正電荷は、対応する数の対イオンAm-により補償される。
【0044】
好ましいシロキサン(A)は、式(I)
a1 a2 a3 a4 b1 b2 b3 c1 c4 式(I)
で示され、式中、
a1=0~32、好ましくは0~19、特に0~12;
a2=0~32、好ましくは1~10、特に1~3;
a3=0~32、好ましくは1~10、特に1~2;
a4=0~6、好ましくは0~1、特に0;
b1=1~1000、好ましくは5~500、特に10~400;
b2=0~10、好ましくは0~5、特に0;
b3=0~10、好ましくは0~5、特に0;
c1=0~10、好ましくは0~5、特に0~4;
c4=0~5、好ましくは0~2、特に0;
d=0~10、好ましくは0~5、特に0~4;
=好ましくは、メチル、エチル、プロピルまたはフェニルからなる群から選択される、1~30個の炭素原子を有するそれぞれの場合において独立に同一または異なる炭化水素基、特にメチル;
=R21-R22
21=少なくとも1つのヒドロキシル基と、所望により1~2個のさらなる酸素原子と2~30個の炭素原子を有する、それぞれの場合において独立に同一または異なる二価炭化水素基、
好ましくは、以下からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる二価の基
【0045】
【化9】
【0046】
特に、以下からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる二価の基
【0047】
【化10】
【0048】
22=それぞれの場合において独立に同一または異なる、式(II)の基
【0049】
【化11】
【0050】
=R31-R32
31=R21
32=それぞれの場合において独立に同一または異なる、式(III)の基、
【0051】
【化12】
【0052】
=1~6個の炭素原子を有するそれぞれの場合において独立に同一または異なるアルコキシ基またはアシルオキシ基、好ましくは、アセトキシ基および/またはメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ基、特にイソプロポキシ基;
=水素および、1~6個の炭素原子を有する炭化水素基からなる群から選択され、好ましくは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基(ここで、前記アルキル基は、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和である)、特にメチル;
=所望によりエーテル基を含有し、1~6個の炭素原子を有する、それぞれの場合において独立に同一または異なる二価炭化水素基、好ましくはおよび特に、メチレン;
=-O-および-NR10-からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる二価の基、好ましくはおよび特に-NR10-;
=1~30個の炭素原子を有する炭化水素基からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基、好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルからなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基、特にメチル;
=1~30個の炭素原子を有する炭化水素基からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基、好ましくは、12~24個の炭素原子を有する、特に、16~22個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基;
10=水素、-C(=O)Rおよび1~6個の炭素原子を有する炭化水素基からなる群からの、好ましくは、水素および1~6個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基、特に、水素;
11=少なくとも1つのヒドロキシル基および1~6個の炭素原子を有する炭化水素基からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基、ならびに式(IV)の基
【0053】
【化13】
【0054】
好ましくはおよび特に、2-ヒドロキシエチルおよび/または2-ヒドロキシプロピル;
12=1~6個の炭素原子を有する炭化水素基からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基、好ましくは、メチルおよびエチル、特にメチル;
m-=酸HAの無機または有機陰イオン、およびそれらの誘導体から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる陰イオン;
m=1~3、好ましくはおよび特に1~2;
v=0~30、好ましくはおよび特に0~10;
w=0~30、好ましくはおよび特に0~10;
x=2~18、好ましくはおよび特に3;
y=2~18、好ましくはおよび特に3
であり、
条件(i)および(ii):
(i)a2+b2≧1;
(ii)a3+b3≧1
が当てはまることを特徴とするシロキサン(A)である。
【0055】
さらに好ましいシロキサン(A)は、式(I)
a1 a2 a3 a4 b1 b2 b3 c1 c4 式(I)、
で示され、式中、
a1=0~32、好ましくは0~19、特に0~12;
a2=0~32、好ましくは1~10、特に1~3;
a3=0~32、好ましくは1~10、特に1~2;
a4=0~6、好ましくは0~1、特に0;
b1=1~1000、好ましくは5~500、特に10~400;
b2=0~10、好ましくは0~5、特に0;
b3=0~10、好ましくは0~5、特に0;
c1=0~10、好ましくは0~5、特に0~4;
c4=0~5、好ましくは0~2、特に0;
d=0~10、好ましくは0~5、特に0~4;
=それぞれの場合において独立に、同一にまたは異なって、メチル、エチル、プロピルまたはフェニル、特にメチル;
=R21-R22
21=以下からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる二価の基
【0056】
【化14】
【0057】
特に、以下からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる二価の基
【0058】
【化15】
【0059】
22=それぞれの場合において独立に同一または異なる、式(II)の基
【0060】
【化16】
【0061】
=R31-R32
31=R21
32=それぞれの場合において独立に同一または異なる、式(III)の基
【0062】
【化17】
【0063】
=アセトキシ、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシおよびtert-ブトキシからなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基、特にイソプロポキシ;
=水素およびメチルから選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基;
=メチレン;
=-O-および-NR10-からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる二価の基、特に-NR10-;
=メチル;
=12~24個の炭素原子を有する、特に、16~22個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基;
10=水素;
11=少なくとも1つのヒドロキシル基および1~6個の炭素原子を有するそれぞれの場合において独立に同一または異なるアルキル基、特に2-ヒドロキシエチルおよび/または2-ヒドロキシプロピル;
12=それぞれの場合において独立に同一または異なる、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、特にメチル;
m-=酸HAの無機または有機陰イオン、およびそれらの誘導体から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる陰イオン;
m=1~3、好ましくは1~2、特に1;
v=0~30、好ましくは0~10、特に1~3;
w=0~30、好ましくはおよび特に0~10;
x=2~18、好ましくはおよび特に3;
y=2~18、好ましくはおよび特に3
であり、
条件(i)および(ii):
(i)a2+b2≧1;
(ii)a3+b3≧1
が当てはまることを特徴とするシロキサン(A)である。
【0064】
なおさらに好ましいシロキサン(A)は、式(I)
a1 a2 a3 a4 b1 b2 b3 c1 c4 式(I)
で示され、式中、
a1=0~32、好ましくは0~19、特に0~12;
a2=0~32、好ましくは1~10、特に1~3;
a3=0~32、好ましくは1~10、特に1~2;
a4=0~6、好ましくは0~1、特に0;
b1=1~1000、好ましくは5~500、特に10~400;
b2=0~10、好ましくは0~5、特に0;
b3=0~10、好ましくは0~5、特に0;
c1=0~10、好ましくは0~5、特に0~4;
c4=0~5、好ましくは0~2、特に0;
d=0~10、好ましくは0~5、特に0~4;
=それぞれの場合において独立に、同一にまたは異なってメチル、エチル、プロピルまたはフェニル、特にメチル;
=R21-R22
21=以下からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる二価の基
【0065】
【化18】
【0066】
22=それぞれの場合において独立に同一または異なる、式(II)の基
【0067】
【化19】
【0068】
=R31-R32
31=R21
32=それぞれの場合において独立に同一または異なる、式(III)の基
【0069】
【化20】
【0070】
=アセトキシ、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシおよびtert-ブトキシからなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基、特にイソ-プロポキシ;
=-NH-;
=メチル;
=16~22個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる基;
11=少なくとも1つのヒドロキシル基および1~6個の炭素原子を有するそれぞれの場合において独立に同一または異なるアルキル基、特に2-ヒドロキシエチルおよび/または2-ヒドロキシプロピル;
m-=酸HAの無機または有機陰イオン、およびそれらの誘導体から選択される、それぞれの場合において独立に同一または異なる陰イオン;
m=1~3、好ましくは1~2、特に1;
x=2~18、好ましくはおよび特に3
であり、
条件(i)および(ii):
(i)a2+b2≧1;
(ii)a3+b3≧1
が当てはまることを特徴とするシロキサン(A)である。
【0071】
好ましい実施形態では、本シロキサン(A)は、条件(iii)または条件(iv):
(iii)a1=a4=b2=b3=c1=c4=d=0
かつ
a2=a3=1;
(iv)b2=b3=0
かつ
c1+c4+d≧1
かつ
a2+a3+a4≧3、好ましくは、a2≧2、a3≧1およびa4=0
のいずれかが追加的に適用されることをさらに特徴とする。
【0072】
条件(iii)を満たすシロキサン(A)は、T単位、T単位またはQ単位を有さないため、ペンダントシロキサン基を有さない直鎖シロキサンである。さらに、このシロキサンには、M単位もM単位もないが、正確には1つのM単位と正確には1つのM単位を有するため、この非分岐シロキサンは、このシロキサン鎖の2つの末端の一方に正確には1つの式(II)のアミドアンモニウム基を、2つの鎖末端のもう一方に正確には1つの式(III)のジアルカノールアンモニウム基を有する。さらに、前記シロキサン(A)は、D単位もD単位も有さないため、このシロキサンは、側鎖として結合した(pendantly bonded)式(II)のアミドアンモニウム基も式(III)のジアルカノールアンモニウム基も有さない。
【0073】
次に、条件(iv)が当てはまるシロキサン(A)は、T単位、T単位およびQ単位からなる群から選択される少なくとも1つの単位を有するため、分岐鎖シロキサンである。この分岐鎖シロキサンは、その少なくとも3つの末端のうち少なくとも1つに式(II)のアミドアンモニウム基を、その少なくとも3つの末端のうち少なくとも1つの他の末端に式(III)のジアルカノールアンモニウム基を有する。さらに、このシロキサンは、D単位もD単位も有さないため、式(II)のアミドアンモニウム基または式(III)のジアルカノールアンモニウム基は、この分岐鎖シロキサンの少なくとも3つの末端にのみ存在し得る。加えて、このシロキサンはまた、1以上のR基、すなわち、それぞれの場合において独立に同一または異なるアルコキシ基またはアシルオキシ基も有し得る。M単位が存在する場合、少なくとも1つのR基が分岐鎖シロキサンの末端に結合している。T単位が存在する場合、少なくとも1つのR基がT分岐部位に結合している。しかしながら、好ましくは、条件(iv)を満たすシロキサンは、M単位を有さない、すなわち、好ましくはa4=0。さらに好ましくは、条件(iv)を満たすシロキサンはまた、正確には2つのM単位と正確には1つのM単位も有する。従って、このシロキサンは、その少なくとも3つの末端のうち正確には2つに式(II)のアミドアンモニウム基を、その少なくとも3つの末端のうち正確には1つに式(III)のジアルカノールアンモニウム基を有する。T単位がないことが特に好ましい;すなわち、特に好ましくは、c4=0。条件(iv)を満たすシロキサンはまた、M単位も有し得る。しかしながら、M単位がないことが好ましい;すなわち、好ましくはa1=0。
【0074】
本発明はさらに、少なくとも1つのシロキサン(A)を含む組成物を提供する。
【0075】
本発明による組成物は、好ましい実施形態では、条件(iii)が当てはまるシロキサン(A)を1種以上または条件(iv)が当てはまるシロキサン(A)を1種以上のいずれかを含有し得るが、これらの混合物も含有し得る。
【0076】
好ましくは、本発明による組成物は、シロキサン(B)およびシロキサン(C)からなる群から選択される少なくとも1つのシロキサンをさらに含む。
【0077】
シロキサン(B)は、少なくとも、好ましくは正確には、上記条件(i)~(iv)よりむしろ下記条件(v)および(vi):
(v)a2=b2=0、
(vi)a3+b3≧2
が当てはまるという点でシロキサン(A)とは異なるシロキサンである。
【0078】
従って、シロキサン(B)は、少なくとも、好ましくは正確には、少なくとも2つの式(III)のジアルカノールアンモニウム基を有するが式(II)のアミドアンモニウム基を有さないという点でシロキサン(A)とは異なるシロキサンである。
【0079】
シロキサン(C)は、少なくとも、好ましくは正確には、上記条件(i)および(iv)よりむしろ下記条件(vii)および(viii):
(vii)a3=b3=0、
(viii)a2+b2≧2
が当てはまるという点でシロキサン(A)とは異なるシロキサンである。
【0080】
従って、シロキサン(C)は、少なくとも、好ましくは正確には、少なくとも2つの式(II)のアミドアンモニウム基を有するが式(III)のジアルカノールアンモニウム基を有さないという点でシロキサン(A)とは異なるシロキサンである。
【0081】
従って、シロキサン(B)および(C)もまた互いに異なる。それに対応して、シロキサン(A)、(B)および(C)は互いに異なる。
【0082】
好ましい実施形態では、シロキサン(A)について:R=メチル、x=3、R=-NR10-、式中、R10=H。
【0083】
代替の好ましい実施形態では、シロキサン(A)について:R=メチル、R11=-CHCHOHおよび/または-CHCH(CH)OH。
【0084】
特に好ましい実施形態では、シロキサン(A)について:R=メチル、x=3、R=-NR10-、式中、R10=H、R11=-CHCHOHおよび/または-CHCH(CH)OH。
【0085】
さらに好ましくは、シロキサン(B)について:R=メチル、R11=-CHCHOHまたは-CHCH(CH)OH。
【0086】
さらに好ましくは、シロキサン(C)について:R=メチル、x=3、R=-NR10-、式中、R10=H。
【0087】
特に好ましくは、シロキサン(A)およびシロキサン(B)についてのR、x、RおよびR10ならびにシロキサン(A)およびシロキサン(C)についてのRおよびR11は同じである。
【0088】
好ましくは、少なくとも1つのシロキサン(A)の、全シロキサンの総質量に対する、より好ましくは、シロキサン(A)、シロキサン(B)およびシロキサン(C)を合わせた質量に対する、質量比率は、20%~70%、好ましくは25%~60%、特に30%~50%である。
【0089】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのシロキサン(B)の、シロキサンの総質量に対する、より好ましくは、シロキサン(A)、シロキサン(B)およびシロキサン(C)を合わせた質量に対する、質量比率は、0%~15%、好ましくは1%~10%である。
【0090】
好ましくは、少なくとも1つのシロキサン(C)の、シロキサンの総質量に対する、より好ましくは、シロキサン(A)、シロキサン(B)およびシロキサン(C)を合わせた質量に対する、質量比率は、3%~80%、好ましくは5%~60%、特に10%~50%である。
【0091】
調製により、本発明による組成物は第三級アミンを含有することが可能である。しかしながら、皮膚刺激性、感作性および/または水生毒性の第三級アミンの割合が低いことが好ましい。
【0092】
よって、この組成物中の、エステルアミンおよびアミドアミンの群から選択される第三級アミンの、シロキサン(A)、シロキサン(B)およびシロキサン(C)を合わせた総質量に対する質量比率が合計で1%未満、好ましくは0.8%未満、さらに好ましくは0.6%未満、なおさらに好ましくは0.4%未満、特に0%~0.3%となるか、またはこの組成物が、アミドアミンの群から選択される第三級アミンを含有しないことがさらに好ましい。
【0093】
本開示の文脈における「アミドアミン」とは、少なくとも1つの、好ましくは、正確には1つの、第三級アミノ基を有するN-アルキルカルボキサミドを意味すると理解される。従って、本開示の文脈におけるアミドアミンは、第三級アミンの群の一部を形成する。
【0094】
本開示の文脈における「エステルアミン」とは、少なくとも1つの、好ましくは、正確には1つの、第三級アミノ基を有するアルキルカルボキシレートを意味すると理解される。従って、本開示の文脈におけるエステルアミンは、第三級アミンの群の一部を形成する。
【0095】
本開示の文脈における第四級アンモニウム基を有するシロキサンはまた、「シリコーンクアット」または「四級化シロキサン」とも呼ばれる。
【0096】
本組成物中の、ジアルカノールアミンからなる群から選択される第三級アミンの、シロキサン(A)、シロキサン(B)およびシロキサン(C)の総質量に対する質量比率が3%未満、好ましくは2%未満、さらに好ましくは1%未満、特に0%~0.5%であるか、または本組成物が、ジアルカノールアミンからなる群から選択される第三級アミンを含有しないことがさらに好ましい。
【0097】
本開示の文脈における「ジアルカノールアミン」とは、1つの炭化水素基と、それぞれ第三級窒素原子に結合している2つのヒドロキシ官能性アルキル基とを有する第三級アミンを意味すると理解される。好ましくは、ジアルカノールアミンは、アルキルジアルカノールアミンから選択される(以下、N-アルキルジアルカノールアミンとも呼ばれる)。
【0098】
本組成物中の、第三級アミンの、シロキサン(A)、シロキサン(B)およびシロキサン(C)の総質量に対する質量比率が3%未満、好ましくは2%未満、さらに好ましくは1%未満、特に0%~0.5%であるか、または本組成物が、第三級アミンを含有しないことが特に好ましい。
【0099】
本組成物中の、500g/モル未満の分子量を有する第三級アミンの、シロキサン(A)、シロキサン(B)およびシロキサン(C)の総質量に対する質量比率が3%未満、好ましくは2%未満、さらに好ましくは1%未満、特に0%~0.5%であるか、または本組成物が、500g/モル未満の分子量を有する第三級アミンを含有しないことがさらに好ましい。
【0100】
本組成物中の、アミドアミンの群から選択される第三級アミンの、シロキサン(A)、シロキサン(B)およびシロキサン(C)の総質量に対する質量比率が合計で1%未満、好ましくは0.8%未満、さらに好ましくは0.6%未満、特に0.4%未満となるか、または本組成物が、アミドアミンの群から選択される第三級アミンを含有しないことが好ましい。
【0101】
本組成物中の、エステルアミンの群から選択される第三級アミンの、シロキサン(A)、シロキサン(B)およびシロキサン(C)の総質量に対する質量比率が合計で1%未満、好ましくは0.8%未満、さらに好ましくは0.6%未満、特に0.4%未満となるか、または本組成物が、エステルアミンの群から選択される第三級アミンを含有しないことが好ましい。
【0102】
本発明の文脈において、皮膚への損傷または皮膚を介した毒性作用を引き起こさず、かつ環境に有害ではなく、特に、下水特性を損なわないアミンを使用することが好ましい。好ましくは、GHS分類による下記Hフレーズの1以上のラベル表示義務があるアミンは避ける必要がある:
H310 皮膚に接触すると生命に危険
H311 皮膚に接触すると有毒
H312 皮膚に接触すると有害
H314 重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷
H315 皮膚刺激
H317 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
H400 水生生物に非常に強い毒性
H410 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
H411 長期継続的影響によって水生生物に毒性
H412 長期継続的影響によって水生生物に有害
H413 長期継続的影響によって水生生物に有害のおそれ
【0103】
エポキシ官能性シロキサンおよび第三級アミンからの第四級アンモニウム基を有するシリコーン/シロキサン(シリコーンクアット)の調製は、当業者に公知である。シリコーンクアットは、例えば、独国特許発明第3719086号明細書、独国特許出願公開第3802622号明細書および独国特許出願公開第102010000993号明細書に記載されているような従来技術の方法によって調製することができる。
【0104】
好ましくは、本発明によるシロキサンは、本発明による方法によって、エポキシ官能性シロキサンを、アミドアミンおよびエステルアミン、好ましくはアミドアミンからなる群から選択される第三級アミンと、ジアルカノールアミンからなる群から選択される第三級アミンとの混合物を反応させることにより調製される。
【0105】
よって、本発明は、好ましくは、本発明によるシロキサン(A)および/または前記シロキサン(A)を含有する本発明による組成物の製造のための方法をさらに提供し、この方法は、少なくとも2つのエポキシ基を有する少なくとも1つのエポキシ官能性シロキサンが、アミドアミンおよびエステルアミン、好ましくはアミドアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミン、およびジアルカノールアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンの両方と反応して、第四級アンモニウム基を形成する少なくとも1つの工程段階を含む。
【0106】
好ましくは、アミドアミンおよびエステルアミンからなる群から選択される第三級アミンは、アミドアミンからなる群から選択される第三級アミンである。従って、アミドアミンからなる群から選択される第三級アミンが使用される方法が、エステルアミンからなる群から選択される第三級アミンが使用される方法よりも好ましい。
【0107】
好ましくは、エポキシ官能性シロキサンの変換は、このエポキシ官能性シロキサン中のそれぞれの場合において少なくとも2つのエポキシ基のうち少なくとも1つとの、アミドアミンおよびエステルアミン、好ましくはアミドアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンの反応、またはジアルカノールアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンの反応のいずれかから生じる第四級アンモニウム基を与える。
【0108】
好ましくは、エポキシ基は、第三級アミンが最大限に変換され、反応後のそれらの残留含量が最小限に抑えられ、さらに好ましくは、エポキシシランもまた、さらに最大限に変換され、反応後のそれらの残留含量が最小限に抑えられるように、第三級アミノ基に対してモル過剰で、さらに好ましくは等モル量で使用される。
【0109】
よって、第三級アミノ基とエポキシ基のモル比が、0.8:1~1:1、さらに好ましくは0.9:1~1、なおさらに好ましくは0.95:1~1:1、なおさらに好ましくは0.99:1~1:1、特に1:1であることが好ましい。
【0110】
アミドアミンおよびエステルアミン、好ましくはアミドアミンからなる群から選択される第三級アミンの一部である第三級アミノ基と、エポキシ基のモル比(mV)が、0.6:1~0.8:1、さらに好ましくは0.65:1~0.75:1、特に0.7:1であることがさらに好ましい。
【0111】
また、ジアルカノールアミンからなる群から選択される第三級アミンの一部である第三級アミノ基と、エポキシ基のモル比(mV)が、0.4:1~0.2:1、さらに好ましくは0.35:1~0.25:1、特に0.3:1であることも好ましい。
【0112】
ここで適用されることが好ましい次の条件は、(mV)+(mV)=1:1である。
【0113】
アミドアミンおよびエステルアミン、好ましくはアミドアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンと、ジアルカノールアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンのモル比が、90:10~60:40、好ましくは80:20~65:35、特に70:30であることがさらに好ましい。
【0114】
特に好ましくは、アミドアミンからなる群から選択される第三級アミンと、アルキルジアルカノールアミンからなる群から選択される第三級アミンのモル比は、90:10~60:40、好ましくは80:20~65:35、特に70:30である。
【0115】
結果として、ジアルカノールアミンからなる群から選択される第三級アミンに由来する第四級アンモニウム基の割合と、アミドアミンおよびエステルアミン、好ましくはアミドアミンからなる群から選択される第三級アミンに由来する第四級アンモニウム基の割合は、有利には、調整することができる。
【0116】
本方法の第1の実施形態において、少なくとも1つのエポキシ官能性シロキサンは、工程段階においてジアルカノールアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンと反応し、得られた反応生成物は次の工程段階において、アミドアミンおよびエステルアミン、好ましくはアミドアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンと間接的または直接的にさらに反応する。
【0117】
本方法の第1の実施形態よりも好ましい本方法の第2の実施形態において、少なくとも1つのエポキシ官能性シロキサンは、工程段階においてアミドアミンおよびエステルアミン、好ましくはアミドアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンと反応し、得られた反応生成物は次の工程段階においてジアルカノールアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンと間接的または直接的にさらに反応する。
【0118】
本方法の第1および第2の実施形態よりも好ましい本方法の第3の実施形態において、少なくとも1つのエポキシ官能性シロキサンは、アミドアミンおよびエステルアミン、好ましくはアミドアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンと、ジアルカノールアミンからなる群から選択される少なくとも1つの第三級アミンとの混合物と反応する。
【0119】
少なくとも1つのエポキシ官能性シロキサンの反応が90%~100%のエポキシ基、より好ましくは92%より多くを変換する場合が好ましい。ここでの%の数字は、変換されたエポキシ基の数を使用されたエポキシ基の数で割った商を示している。エポキシ基の変換は、エポキシ変換とも呼ばれ、実施例に記載のとおりにH NMR分光法を用いて決定することができる。
【0120】
好ましくは、第三級アミンと少なくとも1つのエポキシ官能性シロキサンの反応後の工程生成物が、実施例に記載のとおりに、残留エポキシ基の不在について分析される。変換されているのがエポキシ基の90%未満である場合、90%以上の変換が得られるまでその反応がさらに行われる。好ましくは、90%以上の変換が得られない場合、そのバッチは廃棄される。
【0121】
第三級アミンの変換のために、触媒作用により反応を促進することが好ましい。使用される触媒は、好ましくはカルボン酸、好ましくは酢酸、イソノナン酸、乳酸、特に酢酸である。
【0122】
触媒は、好ましくは、反応物の総質量に対して0.5%~8%、好ましくは1%~5%の質量比率で、すなわち、さらなる非反応性成分、例えば、溶媒を無視して使用される。
【0123】
エポキシ官能性シロキサンと第三級アミンの反応は、溶媒の存在下または不在下で達成され得るが、好ましくは、溶媒の存在下で達成され得る。使用される好適な有機溶媒は、好ましくは、無水脂肪族アルコール、グリコールまたはグリコールエーテル、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2-プロパノール、tert-ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、ブチルジグリコール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、特に、2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコールである。
【0124】
好ましくは、得られた反応生成物は、それを好適な熱分離法に供することにより精製される。
【0125】
熱分離法は、この用語によって当業者に知られており、熱力学的相平衡の確立に基づく全ての方法を含む。好ましい熱分離法は、蒸留、精留、吸着、結晶化、抽出、吸収、乾燥および凍結を含むリストのから選択され、蒸留および精留の方法が特に好ましい。
【0126】
よって、本方法の好ましい実施形態は、さらなる工程段階として、反応生成物の蒸留および/または精製を含む。蒸留および/または精製は、例えば、ロータリーエバポレーターを用いて、好ましくは20~250℃、より好ましくは40~180℃、より好ましくは50~150℃の温度で達成することができ、ここで、圧力は、好ましくは0.0001~0.75バール、なおより好ましくは0.001~0.2バール、より好ましくは0.01~0.1バールである。蒸留および/または精製は、揮発性成分、特に、溶媒の除去に特に有利である。
【0127】
好ましく使用されるエステルアミンおよび/またはアミドアミンは、式(VII)
【0128】
【化21】
【0129】
のものであり、式中、R、R、Rおよびxは、式(II)に定義されたとおりである。
【0130】
特に好ましいのは、式(VII)のアミドアミンを使用することである。
【0131】
本発明による方法で使用されるアミドアミンは、好ましくは、ジメチルアミノアルキルアミン、特にジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)と、脂肪酸または脂肪酸エステル、例えば、脂肪酸のトリグリセリドとの反応からの反応生成物である。特に好ましいのは、10~30個、さらに好ましくは12~22個、なおさらに好ましくは12~18個、特に16~18個の炭素原子を有する脂肪酸に由来するアミドアミンである。
【0132】
よって、特に好ましいのは、R=メチル、x=3、R=-NR10-(式中、R10=H)の式(VII)のアミドアミンを使用することである。
【0133】
さらに好ましくは、Rは、9~29個、さらに好ましくは11~21個、なおさらに好ましくは11~17個、特に15~17個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択され、ここで、これらのアルキル基は、非置換またはヒドロキシル基で置換されている、直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和のものであり、好ましくは、非置換、直鎖および飽和である。
【0134】
特に好ましいのは、EvonikからTegoamid(登録商標)の商品名で市販されているアミドアミン、例えば、3-N,N-ジメチルアミノプロピルココアミド(Tegoamid(登録商標)D 5040およびTegoamid(登録商標)CNF)、3-N,N-ジメチルアミノプロピルステアラミド(Tegoamid(登録商標)S 18)および3-N,N-ジメチルアミノプロピルパルミタミド(Tegoamid(登録商標)PKFC)である。
【0135】
さらに好適なアミドアミンは、刊行物「Safety Assessment of Fatty Acid Amidopropyl Dimethylamines as Used in Cosmetics」(最終報告書、リリース日:2014年6月24日、パネル討議日:2014年6月9日~10日)のCosmetic Ingredient Review (https://www.cir-safety.org/sites/default/files/amidoa062014final.pdf)に開示されており、この点に関するその明示的な開示内容が参照により本開示に援用される。これらのアミドアミンの例としては、以下が挙げられる:
アーモンドアミドプロピルジメチルアミン(almondamidopropyl dimethylamine)
アボカドアミドプロピルジメチルアミン(avocadamidopropyl dimethylamine)
ババスアミドプロピルジメチルアミン(babassuamidopropyl dimethylamine)
ベヘナミドプロピルジメチルアミン(behenamidopropyl dimethylamine)
ブラシカアミドプロピルジメチルアミン(brassicamidopropyl dimethylamine)
コカミドプロピルジメチルアミン(cocamidopropyl dimethylamine)
ジリノールアミドプロピルジメチルアミン(dilinoleamidopropyl dimethylamine)
イソステアラミドプロピルジメチルアミン(isostearamidopropyl dimethylamine)
ラウラミドプロピルジメチルアミン(lauramidopropyl dimethylamine)
リノールアミドプロピルジメチルアミン(linoleamidopropyl dimethylamine)
ミンクアミドプロピルジメチルアミン(minkamidopropyl dimethylamine)
ミリスタミドプロピルジメチルアミン(myristamidopropyl dimethylamine)
エンバクアミドプロピルジメチルアミン(oatamidopropyl dimethylamine)
オレアミドプロピルジメチルアミン(oleamidopropyl dimethylamine)
オリーブアミドプロピルジメチルアミン(olivamidopropyl dimethylamine)
パルミタミドプロピルジメチルアミン(palmitamidopropyl dimethylamine)
リシノレアミドプロピルジメチルアミン(ricinoleamidopropyl dimethylamine)
セサミドプロピルジメチルアミン(sesamidopropyl dimethylamine)
ダイズアミドプロピルジメチルアミン(soyamidopropyl dimethylamine)
ステアラミドプロピルジメチルアミン(stearamidopropyl dimethylamine)
ヒマワリ種子油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミン(sunflowerseedamidopropyl dimethylamine)
タラミドプロピルジメチルアミン(tallamidopropyl dimethylamine)
獣脂アミドプロピルジメチルアミン(tallowamidopropyl dimethylamine)
コムギ胚芽油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミン(wheat germamidopropyl dimethylamine)
【0136】
好ましく使用されるジアルカノールアミンは、式(VIII)
【0137】
【化22】
【0138】
のものであり、式中、RおよびR11は、式(III)に定義されたとおりである。
【0139】
より好ましくは、ジアルカノールアミンは、N-メチルジエタノールアミン(R=-CHおよびR11=-CHCHOH)、N-エチルジエタノールアミン(R=-CHCHおよびR11=-CHCHOH)、N-メチルジイソプロパノールアミン(R=-CHおよびR11=-CHCH(CH)OH)、N-エチルジイソプロパノールアミン(R=-CHCHおよびR11=-CHCH(CH)OH)、N-イソプロピルジアミノエタノール(R=-CH(CHおよびR11=-CHCHOH)、N-ブチルジエタノールアミン(R=-CHCHCHCHおよびR11=-CHCHOH)、ならびにそれらのアルコキシル化生成物からなる群から選択され、ここで、それらのアルコキシル化生成物は、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、または当業者に既知の方法により言及された2つもしくは3つのアルキレンオキシドの混合物との反応により得られる。
【0140】
特に好ましく使用されるジアルカノールアミンは、N-メチルジエタノールアミン(R=-CHおよびR11=-CHCHOH)およびN-メチルジイソプロパノールアミン(R=-CHおよびR11=-CHCH(CH)OH)である。
【0141】
驚くことに、エポキシ官能性シロキサンとアルキルジアルカノールアミンまたは対応するジアルキルアルカノールアミンとの反応は、エポキシ基の高い変換をもたらすが、対応するトリアルカノールアミンとの反応では、エポキシ基の変換はわずかだけであるかまたはゼロであることが見いだされた。加えて、驚くことに、アミドアミンとの混合物におけるアルキルジアルカノールアミンの使用は、アミドアミンとの混合物における対応するジアルキルアルカノールアミンの使用よりもアミドアミンの残留含量が少ないことが見いだされた。加えて、アルキルジアルカノールアミンは、対応するジアルキルアルカノールアミンよりも皮膚刺激性および/または感作性および/または水生毒性が低いことがしばしばであることも驚くことである。
【0142】
本方法の好ましい実施形態では、反応後の、アミドアミンおよびエステルアミン、好ましくはアミドアミンからなる群から選択される第三級アミンの、本組成物の総質量に対する質量比率としての、残留含量は、1%未満、好ましくは0.8%未満、さらに好ましくは0.6%未満、特に0.4%未満である。
【0143】
本方法の好ましい実施形態では、エポキシ官能性シロキサンは式(VI)
a1 a5 b1 b5 c1 c4(VI)
で示され、式中、
=[R13 SiO1/2]、
=[R13SiO2/2]、
13=好ましくは、以下からなる群から選択される、それぞれ独立に同一または異なる有機エポキシ基、
【0144】
【化23】
【0145】
特に、
【0146】
【化24】
【0147】
のシロキサンであり、ここで、
、D、T、T、Q、a1、a5、b1、b5、c1、c4、d、R、R、Rおよびyは、式(I)に定義されたとおりである。
【0148】
好ましくは、少なくとも1つのエポキシ官能性シロキサンは、少なくとも1つのオレフィン系不飽和エポキシドのヒドロシリル化によって調製される。
【0149】
所望により、少なくとも1つのエポキシ官能性シロキサン、好ましくは、式(VI)のエポキシ官能性シロキサンは、その変換前に、好適な熱分離法に供することにより精製される。
【0150】
より好ましくは、このエポキシ官能性シロキサンは、好ましくは、アリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノオキシドおよびノルボルナジエンモノエポキシドからなる群から選択される少なくとも1つのオレフィン系不飽和エポキシド、特に、アリルグリシジルエーテルの、式(V)
a1 a5 b1 b5 c1 c4(V)
で示され、式中、
=[R SiHO1/2]、
=[RSiHO2/2]、
a5=0~32、好ましくは1~10、より好ましくは2~3、特に2;
b5=0~10、好ましくは0~5、特に0;
ここで、
、D、T、T、Q、a1、b1、c1、c4、dおよびRは、式(I)に定義されたとおりである、
少なくとも1つのSiH官能性シロキサンによるヒドロシリル化によって調製される。
【0151】
このヒドロシリル化は、当業者に既知の方法により達成される。
【0152】
本発明による方法におけるヒドロシリル化は、好ましくは、当業者の周知の白金族触媒を用いて、より好ましくは、Karstedt触媒を用いて触媒される。
【0153】
このヒドロシリル化は、溶媒の存在下または不在下で達成され得るが、好ましくは、溶媒の存在下で達成され得る。使用される好適な有機溶媒は、好ましくは、トルエン、キシレンまたはイソプロパノールである。使用される溶媒は、好ましくは、無水である。この溶媒が反応性基、特にヒドロキシル基を有する場合、これにより、SiOC副生成物がわずかに生じる場合がある。
【0154】
ヒドロシリル化が95%より多い、さらに好ましくは97%より多い、特に99%~100%のSiH基を変換する場合が好ましい。%の数字は、変換されたSiH基の数を使用されたSiH基の数で割った商を示している。SiH基は、当業者に周知の方法により、好ましくは、アルカリ分解後にガス測容手段により検出される。これは、例えば、反応混合物のサンプルをナトリウムブトキシドブタノール溶液(ナトリウムブトキシド含量=5重量%)と反応させ、生成された水素の量から依然として存在するSiH官能基の量を決定することにより行うことができる。
【0155】
所望により、少なくとも1つの式(V)のSiH官能性シロキサンは、ヒドロシリル化の前に、好適な熱分離法に供することにより精製される。
【0156】
同様に所望により、得られたエポキシ官能性シロキサンは、好ましくは、上記のような熱分離法によって精製される。
【0157】
SiH官能性シロキサンは、同様に、平衡化による既知の方法により得ることができる。トリフルオロメタンスルホン酸との平衡化による直鎖SiH官能性シロキサンの調製は、例えば、米国特許第5578692号明細書または欧州特許第2176319号明細書に記載されている。
【0158】
調製により、工程生成物は、環状シロキサンであるオクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンを含有することが可能である。オクタメチルシクロテトラシロキサンおよびデカメチルシクロペンタシロキサンは非生分解性である。さらに、オクタメチルシクロテトラシロキサンには毒物学的懸念がある。これらの理由により、デカメチルシクロペンタシロキサンおよび/またはオクタメチルシクロテトラシロキサンのモル比が最小であることが有利である。
【0159】
本発明による組成物および本発明による工程生成物の好ましい実施形態では、デカメチルシクロペンタシロキサンの、本発明による組成物全体または本発明による工程生成物全体に対する質量比率は、1%未満であり、特に好ましくは0%~0.1%である。
【0160】
本発明による組成物および本発明による工程生成物の好ましい実施形態では、オクタメチルシクロテトラシロキサンの、本発明による組成物全体または本発明による工程生成物全体に対する質量比率は、1%未満であり、特に好ましくは0%~0.1%である。
【0161】
本発明による方法は、好ましくは、2つの工程段階が存在するように実行することができる:1.エポキシ官能性シロキサンの調製、および2.本発明による四級化シリコーンを与えるための、エポキシ官能性シロキサンと、アミドアミンおよびエステルアミン、好ましくはアミドアミンからなる群から選択される第三級アミン、およびジアルカノールアミンからなる群から選択される第三級アミンとの反応。本発明の前述の好ましい実施形態の工程段階は、本発明による方法において、それぞれがワンポット反応の形態であるいは計量制御下で、好ましくは計量制御下で、別々に行われる連続的段階として行うことができる。反応は、回分式、半回分式または連続法で行うことができる。工程段階1および2では計量制御の反応が特に好ましい。
【0162】
本発明による方法は、溶媒の存在または不在下で達成され得る。第1の工程段階で使用される好適な有機溶媒は、好ましくは、トルエン、キシレンまたは2-プロパノールである。第2の工程段階で使用される好適な有機溶媒は、好ましくは、無水脂肪族アルコール、グリコールまたはグリコールエーテル、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2-プロパノール、tert-ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ペンチレングリコール、ブチルジグリコール、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、特に2-プロパノール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコールである。
【0163】
溶媒が反応性基、特にヒドロキシル基を有する場合、これにより、SiOC副生成物がわずかに生じる場合がある。使用されるジアルカノールアミンのヒドロキシル基により同様に微量のSiOC副生成物が生じる場合がある。
【0164】
ここで、反応物は、溶媒中任意の所望の濃度、本組成物全体に対して、例えば、5重量%~99重量%、好ましくは80重量%~95重量%、特に好ましくは85重量%~95重量%で存在し得る。
【0165】
好ましい実施形態では、本発明による方法は、10℃~150℃、好ましくは25℃~100℃、より好ましくは40℃~90℃の温度で行うことができる。
【0166】
好ましい実施形態では、本発明による方法は、好ましくは、0.5~20バール、好ましくは1~5バールの圧力で、特に好ましくは標準圧力で行うことができる。
【0167】
本発明による反応は、日光下または光排除下のいずれかで、好ましくは、日光下で行うことができる。
【0168】
本発明による反応は、不活性条件(窒素、アルゴン)下または酸素および/もしくは空気雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下で行うことができる。
【0169】
本発明はさらに、本発明による方法によって得ることができる組成物を提供する。
【0170】
好ましい実施形態では、本発明による組成物は、さらなる成分としての水を含む。
【0171】
この組成物は、好ましくは水性エマルジョンである。
【0172】
この組成物、好ましくは水性エマルジョンは、以下の成分をこの組成物の総質量に対する質量部で含有することがさらに好ましい:
a)20%~99.5%、好ましくは40%~97%、特に60%~95%の水;
b)0.5%~80%、好ましくは3%~60%、特に5%~40%の、少なくとも1つのシロキサン(A)と、好ましくは、少なくとも1つのシロキサン(B)および/または少なくとも1つのシロキサン(C)を含む少なくとも1つのシロキサン;
c)好ましくは1%~10%の少なくとも1つの乳化剤;
d)好ましくは5%~20%の少なくとも1つのグリコール;ならびに
e)好ましくは0%~1%の酢酸。
【0173】
本発明による組成物、特に水性エマルジョンは、好ましくは、増強溶剤、乳化剤、溶媒、香料、香料担体、色素、粘度調整剤、消泡剤、保存剤、活性抗微生物成分、殺菌剤、殺真菌剤、抗酸化剤、有機溶媒、シロキサン非含有ポリマーおよび他の非発明シロキサン含有ポリマー、例えば、非発明シロキサン含有シリコーン油、界面活性剤、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、酵素、蛍光剤、発泡防止剤、再付着防止剤、蛍光増白剤、灰色化防止剤、収縮防止剤、しわ防止剤、移染防止剤、防蝕剤、非発明帯電防止剤、苦味物質、アイロン助剤、撥水剤および含浸剤、膨張防止剤および滑り止め剤、中性フィラー塩ならびに紫外線吸収剤からなる群から選択され得る添加剤をさらに含む。ここで、ある種類の物質が別の種類の有効性を示すことも可能である。
【0174】
より詳しくは、本発明による組成物は、本発明によるシロキサン(A)、シロキサン(B)およびシロキサン(C)または工程生成物の総質量に対して0.001重量%~40重量%の間、より好ましくは0.01重量%~20重量%の、1以上の異なる添加剤または助剤を含有し得る。
【0175】
好ましくは、本発明による組成物は、濃縮物、化合物/エマルジョン濃縮物および/もしくはそれらの水性配合物の形態、水性エマルジョンおよび/もしくは溶液の形態、ならびに/またはポリエーテル、ポリオール、アルコールなどの有機化合物中の配合物もしくはエマルジョンの形態である。
【0176】
本発明によるさらに特に好ましい組成物は、本発明によるシロキサンまたは本発明による工程生成物をこの組成物全体に対して75重量%~99.99重量%の濃度で含有する濃縮物である。従って、これらの濃縮物に添加された溶媒の割合はごくわずかである。これらの濃縮物は、好ましくは、水溶液ではない。
【0177】
本発明によるさらに特に好ましい組成物は、本発明によるシロキサンまたは本発明による工程生成物を質量全体に対して40重量%~90重量%、好ましくは50重量%~80重量%の濃度で含有する化合物またはエマルジョン濃縮物である。これらの化合物またはエマルジョン濃縮物のさらなる成分は、水ならびに/またはグリコール、非分岐鎖および/もしくは分岐鎖アルコールならびに/または1~6個の炭素原子と、所望により、1以上の非イオン性乳化剤を有するアルキルエーテル、例えば、3~25のエチレンオキシド単位を有するアルコールエトキシレートから選択される溶媒である。化合物およびエマルジョン濃縮物は、一般的に、水溶性または自己乳化性である。
【0178】
本発明による特に好ましい水性エマルジョン、好ましくはマイクロエマルジョンは、織布(textile fabrics)の処理のための手触り改質剤である。
【0179】
本発明の文脈における布帛は、固体であるか、または木材、綿、ポリエステル、ポリアミド、合成繊維、紙および厚紙、ビスコース、セルロースおよび/またはリグニン系繊維などの繊維から構成される。本発明の文脈における布帛は、同様に、金属、セラミック、ガラス、木材またはプラスチックの硬表面を含む。
【0180】
好ましい布帛は、織布(woven textile fabrics)、毛髪および毛皮を含む群から選択され、特に、織布(woven textile fabrics)、ループ形成ニット(loop-formed knits)、ループ延伸ニット(loop-drawn knits)、不織布、薄織物(紙繊維)および/または天然および/または合成原料から作られた他の繊維が好ましい。
【0181】
本発明による特に好ましい組成物は、織物の一時的または永久的な仕上げのための手触り改質剤である。
【0182】
本発明による組成物は、所望により、さらに非発明織物柔軟剤を含んでよい。これらは1分子中に1以上の長鎖アルキル基を有する1以上の陽イオン性織物柔軟化合物である。広く使用されている陽イオン性織物柔軟化合物としては、例えば、アルカノールアミン-エステルクアット化合物または2つのC18-アシル基でエステル化された既知第四級アンモニウム化合物が挙げられる。さらに好適なアンモニウム化合物は、米国特許出願公開第2010/0184634号明細書の段落[0027]~[0068]に開示されており、この点に関するその明示的な開示内容が参照により本開示に援用される。
【0183】
水で希釈することにより、本発明による濃縮物、エマルジョン濃縮物および配合物を使用して、例えば、織物用の本発明による仕上げ剤を製造することが可能である。
【0184】
本発明による水性エマルジョンは、織布(textile fabrics)用の手触り改質剤として、本発明によるシロキサンまたは本発明による工程生成物を本組成物全体に対して3%~35%、好ましくは5%~25%、特に7%~20%の質量比率で含有する。
【0185】
使用される乳化剤は、一般に、エトキシル化レベルが3~12の脂肪アルコールエトキシレートであり、具体的には、シロキサン(A)、シロキサン(B)およびシロキサン(C)を合わせてと脂肪アルコールエトキシレートとの質量比が20:1~1:1である。同様に、ジプロピレングリコールまたはブチルジグリコールなどの高沸点グリコールが、一般に使用される。これらのグリコールは、脂肪アルコールエトキシレートを完全にまたは部分的に置き換えてもよい。
【0186】
好ましくは、乳化剤は、本発明による組成物および本発明による水性エマルジョン中に、この組成物全体に対して1%~10%、より好ましくは1.5%~8%の質量比率で存在する。
【0187】
使用される消泡剤は、従来技術から水性織物液に好適であることが知られている任意の消泡剤であってよい。好適な市販の消泡剤の例は、Dow Corning(登録商標)DB-110AおよびTEGO(登録商標)Antifoam(登録商標)MR 1015の名前で入手可能である。
【0188】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1つの消泡剤をこの組成物全体に対して0.0001%~0.05%、より好ましくは0.001%~0.01%の質量比率で含有する。
【0189】
保存剤として、この組成物は、従来技術から好適であることが知られている殺菌および/または殺真菌有効成分を含んでよく、水溶性有効成分が好ましい。好適な市販の殺菌剤の例は、メチルパラベン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンおよび5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンである。
【0190】
同様に、本発明による組成物は、保存剤、好ましくは酸化防止剤を含んでよい。好適な市販の酸化防止剤の例は、アスコルビン酸、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロールおよび没食子酸プロピルである。好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1つの保存剤をこの組成物全体に対して0.0001%~0.5%、より好ましくは0.001%~0.2%の質量比率で含有する。特に、これらの組成物は、少なくとも1つの酸化防止剤をこの組成物全体に対して0.001%~0.1%、より好ましくは0.001%~0.01%の質量比率で含有し得る。
【0191】
有機溶媒として、この組成物は、短鎖アルコール、グリコールおよびグリコールモノエーテルを含んでよく、エタノール、2-プロパノール、プロパン-1,2-ジオールおよびジプロピレングリコールが好ましい。特に、本発明による組成物は、少なくとも1つの有機溶媒をこれらの組成物全体に対して0.1%~10%、より好ましくは0.2%~5%の質量比率で含有し得る。
【0192】
本発明はさらに、本発明によるシロキサンおよび/または組成物および/または工程生成物の、
a)二次元構造の処理、好ましくは、仕上げおよび/または含浸のための;
b)家庭用および産業用の洗浄およびケア用配合物での、特に柔軟剤での;
c)化粧料用組成物、医薬組成物および皮膚科用組成物での、特に、美容クレンジングおよびケア用配合物、ヘアトリートメント製品およびヘアアフタートリートメント製品での;ならびに/または
d)硬表面の洗浄およびケアのための、好ましくは、自動車の洗浄およびケアのための、特に、洗車施設の乾燥助剤の添加剤としての
使用を提供する。
【0193】
好ましいのは、本発明によるシロキサンおよび/または組成物および/または工程生成物の、織布(textile fabrics)の仕上げのための使用である。
【0194】
本発明によるシロキサンおよび/または組成物および/または工程生成物の、親水性の手触り改質組成物での、特に織物柔軟化組成物(柔軟剤)での使用がより好ましい。
【0195】
さらに好ましくは、本発明によるシロキサン、組成物および/または工程生成物は、布帛用の柔軟剤として使用される。
【0196】
それらは、例えば、柔軟剤組成物、特に、水性柔軟剤組成物で使用される。水性柔軟剤組成物は、一般に、洗濯物により柔らかな手触りを与えるために、洗濯機での洗濯物の洗浄の最終洗浄サイクルに加えられる。この種の柔軟剤組成物は、水溶液中に分散された、この柔軟剤組成物に対して2重量%~20重量%の量の本発明によるシロキサンを含有する。
【0197】
布帛用の柔軟剤として使用するために、本発明によるシロキサンは、ケイ素原子と第四級アンモニウム基のモル比が25超:1、好ましくは50:1~200:1である。
【0198】
シリコーンクアットは、織物加工において手触りを改善するためだけでなく、減摩作用を有する帯電防止剤としても使用される。
【0199】
よって、さらに好ましくは、本発明によるシロキサン、本発明による組成物および本発明による工程生成物は、帯電防止剤として使用される。
【0200】
さらに好ましくは、本発明によるシロキサン、本発明による組成物および本発明による工程生成物は、流動促進剤として使用される。
【0201】
従って、これらは、好ましくは、減摩効果を有する。
【0202】
帯電防止剤および/または流動促進剤としての使用に好適なシロキサンは、特に、第四級アンモニウム基の数に基づいて低分子量を有するものである。
【0203】
よって、好ましくは、帯電防止剤として使用するための本発明によるシロキサンは、50個未満のケイ素原子、特に15~30個のケイ素原子を有する。
【0204】
帯電防止剤として使用するためまたは特に、自動車分野での硬表面の処理に使用するために、本発明によるシロキサンは、ケイ素原子と第四級アンモニウム基のモル比が25未満:1、好ましくは5:1~25:1、特に10:1~15:1である。
【0205】
さらに好ましくは、本発明によるシロキサン、組成物および/または工程生成物は、好ましくは、自動車の洗浄およびケアのための、硬表面の洗浄およびケア用組成物として、特に、洗車施設の乾燥助剤の添加剤として使用される。
【0206】
硬表面の洗浄およびケア、特に、洗車施設における自動車の洗浄は、前洗浄と本洗浄に分けることができる。ここでは、異なる組成物を使用することが可能である。洗浄は、車両の表面の土粒子を取り除く。この洗浄の後に洗い流し作業が続き、これにより洗浄組成物の残留物が除去される。この段階は、最終送風乾燥の前に車両を疎水化する乾燥剤を使用するための準備に役立ち、従って、残っている水の膜をより容易に除去することができる。乾燥剤は、陽イオン性を有し、そうでなければ、陰イオン性洗浄配合物の適用後に難溶性塩を形成し、この塩によって、車両上に斑点が生じるため所望の光沢効果も疎水化ももたらさないことから、洗い流し作業は有利である。処理された材料上に表面活性化合物が残ることが要求される用途では、本発明によるシリコーンクアットはこれらの配合物の必須成分を形成する。本発明によるシリコーンクアットは、柔軟剤、織物仕上げまたはヘアリンスの分野での用途で、また洗車施設における乾燥機用途でも広く使用されている。車両用塗料でさえ、ほとんどの表面と同様に負の表面電位を有するため、シリコーンクアットは、乾燥剤配合物が噴霧され、存在する水の膜に置き換わった後、車両上に広がる。シリコーンクアットは、塗料の色の印象と光沢の印象を向上させ、耐候作用から保護する。
【0207】
本発明によるシロキサンおよび/または本発明による組成物および/または本発明による工程生成物は、従来技術のシリコーンクアットを超える多くの利点を有する;より詳しくは、それらは以下を示す:
a)同じ使用濃度でより大きな効果;
b)望ましくない有機化合物、特に低分子量の有機化合物の割合の減少、従ってこれらの化合物と関連する表面水に導入された場合の皮膚感作作用または水溶液への害のリスクの可能性の大幅な低下;
c)同じ量の有効成分で、同時に、溶媒または乳化剤の使用を少なくした場合の、加工性の向上および粘度の低下;
d)より長い貯蔵寿命;
e)仕上げ剤の浸透傾向の低下;
f)それを用いて仕上げられた織物の通気性が変わらないこと;
g)複数回洗浄した後でも、それを用いて仕上げられた織物の効果レベルが高いこと;
h)触覚特性の改善およびそれで仕上げられた織物のより快適な着心地;ならびに/または
i)良好な保存安定性(すなわち、保存中に粘度が安定しており、環状シロキサンの新たな形成が最小限に抑えられることを意味する);ならびに/または
j)pH安定性のpH11までの向上。
【発明を実施するための形態】
【0208】
実施例
一般的な方法
核スピン共鳴分光法(NMR分光法)
シロキサンは、H NMRおよび29Si NMR分光法を用いて特性評価することができる。これらの方法は、特に、カップリングの多重度を考慮に入れて、当業者に周知である。
【0209】
エポキシ基の変換(エポキシ変換)は、H NMR分光法を用いて決定することができる。
【0210】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC):
多分散性および重量平均モル質量Mwを決定するためのGPC測定は、次の測定条件下で行う:カラム組合せ SDV 1000/10 000Å(長さ55cm)、温度35℃、移動相としてのTHF、流速0.35ml/分、サンプル濃度10g/l、RI検出器、ポリスチレン標準(162-2 520 000g/モル)に対するポリマーの評価。
【0211】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC):
アミドアミン(Tegoamid(登録商標)S18、Tegoamid(登録商標)D5040、Tegoamid(登録商標)PKFC)の濃度を測定するために、逆相HPLCを、勾配条件を用いて行う。RP-C18カラム(Inertsil ODS-3、GL Science)を固定相として使用する。アセトニトリルおよび希硫酸を二成分溶出剤系として使用する。検出は、UV検出器によって波長210nmで達成される。較正に使用される外部標準は、シロキサン/シリコーンクアットのそれぞれの合成で使用される特定のアミドアミンである。残留含量は、対応する組成物に対する重量パーセントで報告する。
【0212】
ガスクロマトグラフィー:
環状シロキサン、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)およびデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)の質量比率は、物質がそれらの沸点に従って分離され、熱伝導率検出器によって検出されるガスクロマトグラフィー法(GC法)を用いて決定することができる。これは、GCによるさらなる希釈を行わずに、調べるサンプルのアリコートを分析することによって行う。これは、スプリット/スプリットレスインジェクター、キャピラリーカラムおよび熱伝導率検出器を備えたガスクロマトグラフで下記条件下で行う:
インジェクター:290℃、40mlに分割
注入量: 1μl
カラム: 5m0.32mm HP5 1μm
キャリアガス: ヘリウム、一定流量、2ml/分
温度プログラム:80℃で1分、次に30℃/分で80℃~300℃、
その後10分間300℃でコンディショニング。
検出器: 320℃でTCD
メイクアップガス 6ml/分
リファレンスガス 18ml/分
【0213】
環状シロキサンはそれらの沸点に従って分離される。個々の物質の質量比率は、検出された全ての物質の総面積との比較により、それぞれの物質について決定されたピーク面積のパーセンテージとして決定する(面積%法)。
【0214】
粘度:
粘度は、25℃でRP75測定プレートを使用してBrookfield R/S-CPS Plusレオメーターで測定する。試験方法は、DIN 53019(DIN 53019-1:2008-09、DIN 53019-2:2001-02およびDIN 53019-3:2008-09)に記載されている。
【0215】
一般的な合成方法:
四級化シロキサン(本明細書では有効成分またはシリコーンクアットとも呼ばれる)は、従来技術、例えば、刊行物独国特許出願公開第102010000993号明細書および独国特許出願公開第3802622号明細書に記載のとおり、当業者に既知の方法で調製する。この調製は3つの段階で達成される。第1段階では、SiH官能性シロキサンを調製する。第2段階では、調製したSiH官能性シロキサンを使用して、ヒドロシリル化によってエポキシ官能性シロキサンを調製する。第3段階では、得られたエポキシ官能性シロキサンを次のように酸触媒作用下で第三級アミンと反応させる:
【0216】
第1段階-SiH官能性シロキサンの調製:
直鎖末端SiHシロキサン:
精密ガラススターラー、還流冷却器および内部温度計を備えた不活性化済500ml三つ口フラスコに、最初に、それぞれの量(表1参照)のデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)および2.97ミリモル/gのSiH値を有するα,ω-ジヒドロポリジメチルシロキサン(α,ω-ジヒドロ-PDMS)を投入し、0.25gのトリフルオロメタンスルホン酸を撹拌しながら加えた。40℃で6時間撹拌した後、5gの炭酸水素ナトリウムを加え、混合物を2時間撹拌した。濾過後、透明で流動性のある無色の生成物を得た。
【0217】
SiH官能性シロキサンの調製の開始重量およびさらなる詳細は、表1に見つけることができる。
【0218】
【表1】
【0219】
分岐鎖SiHシロキサン(SH3):
文献欧州特許第2176319号明細書に開示されているように、調製を行った。
最初に、精密ガラススターラー、内部温度計、滴下漏斗および蒸留系を備えた四つ口フラスコに、44.2g(0.248モル)のメチルトリエトキシシラン、125.3gの、水素含量が2.97ミリモルSiH/gのα,ω-ジヒドロポリジメチルシロキサンおよび1352.5gのデカメチルシクロペンタシロキサンを投入し、室温で撹拌しながら、1.5gのトリフルオロメタンスルホン酸を加え、この混合物を30分間撹拌した。13.4gの脱イオン水と20mlのメタノールの混合物をさらに30分内で撹拌しながら滴下し、この混合物をさらに30分間撹拌した。この反応混合物を40℃に1時間加熱し、次に、40℃で1時間、約50ミリバールの水流ポンプ真空で蒸留した。30.4gの炭酸水素ナトリウムで中和し、濾過した後、152gのLewatit(登録商標)K 2621、予備乾燥させたスルホン酸陽イオン交換樹脂を加え、この混合物を40℃で4時間撹拌し、濾過した。これにより、透明無色の液体を得る。
【0220】
第2段階-エポキシ官能性シロキサンの調製:
精密ガラススターラー、内部温度計および還流冷却器を備えた不活性化済500ml 三つ口フラスコに、最初に、それぞれの量のSiHシロキサンおよびアリルグリシジルエーテル(AGE)(表2参照)を投入し、撹拌しながら70℃まで加熱した。0.13gのKarstedt触媒(0.1%Pt)をシリンジで加え、この混合物を、必要に応じて初期発熱を逆冷却しながら、80℃でさらに2時間撹拌した。120℃および1ミリバールで3時間蒸留した後、粘度135mPasの透明な淡ベージュ色の液体生成物を得た。ヒドロシリル化反応は、SiH官能性シロキサンの水素含量に関して完全変換に至った。本発明の文脈において、完全変換は、99%より多いSiH官能基が変換されたことを意味すると理解される。検出は、当業者に周知の方法により、アルカリ分解後にガス測容手段により達成される。
【0221】
エポキシ官能性シロキサンの調製の開始重量およびさらなる詳細は、表2に見つけることができる。
【0222】
【表2】
【0223】
第3段階-シリコーンクアットの調製:
精密ガラススターラー、滴下漏斗、内部温度計および還流冷却器を備えた不活性化済500ml三つ口フラスコに、最初に、それぞれの量(表3参照)のアミドアミン、アルカノールアミンおよび溶媒を投入し、それぞれの量のカルボン酸を計量供給し、この混合物を室温で1時間撹拌した。続いて、それぞれのエポキシ官能性シロキサンを滴下し、この混合物を80℃に加熱し、少なくとも90%のエポキシ基の変換(エポキシ変換とも呼ばれる)が得られるまで、12~16時間撹拌した。エポキシ基の変換は、NMR分光法で決定した。所望により、溶媒は、蒸留により除去し、その後に別の溶媒とブレンドすることにより、すなわち、得られた蒸留残渣を別の溶媒で希釈することにより交換した。
【0224】
シリコーンクアットの調製では、次の原料を使用した:
アミド1=3-N,N-ジメチルアミノプロピルココアミド、Tegoamid(登録商標)D 5040、Evonik
アミド2=3-N,N-ジメチルアミノプロピルステアラミド、Tegoamid(登録商標)S 18、Evonik
アミド3=3-N,N-ジメチルアミノプロピルパルミタミド、Tegoamid(登録商標)PKFC、Evonik
MDEA=N-メチルジエタノールアミン、99%、Sigma-Aldrich
MDIPA=N-メチルジイソプロパノールアミン、BASF
TEA=トリエタノールアミン、99%、Sigma-Aldrich
DMAE=ジメチルグリシン(ジメチルアミノ酢酸)、>98%、Alfa-Aesar
HOAc=酢酸、p.A.、Baker
INA=イソノナン酸、97%、Alfa-Aesar
IPA=イソプロパノール、>99.9%、Sasol
tBuOH=tert-ブタノール、ACS、Reag. Ph Eur、Merck
DPG=ジプロピレングリコール、>=99%、Lyondell
PG=1,2-プロピレングリコール、>=99%、Lyondell
DMM=ジプロピレングリコールジメチルエーテル、>94%、TCI Europe N。
【0225】
アミド1は、ここでは、水素添加ヤシ脂肪と3-アミノプロピルジメチルアミン(DMAPA)との反応により調製する。この反応により、得られたアミドアミンの脂肪酸ラジカルのC12で最大のC8~C18の鎖長分布がもたらされる。
【0226】
シリコーンクアットの調製では、次のエポキシ官能性シロキサンを使用した:
【0227】
【表3】
【0228】
本発明の式(I)のシロキサンの調製の開始重量およびさらなる詳細は、表4および5に見つけることができる。
【0229】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0230】
本発明の実施例I1~I14の合成では、ジアルカノールアミンとアミドアミンの混合物を使用した。一方、比較例V1およびV2の場合、アミドアミンを使用しなかったが、アルカノールアミンのみ、具体的には、V1ではトリアルカノールアミンおよびV2ではジアルカノールアミンを使用した。比較例V3およびV4の合成でも、アミドアミンのみを使用し、アルカノールアミンは使用しなかった。非発明シロキサン組成物V3およびV4は、本発明のシロキサン組成物I1~I14よりもアミドアミンの残留含量が多かった。V1の場合、相分離が観察された;エポキシ官能性シロキサンとアルカノールアミンとの反応は検出されなかった。一方、V2の場合、エポキシ変換が観察されたため、ここで反応が起こった。アミドアミンはV1またはV2のどちらにも使用しなかったため、残留含量を示す必要はない。
【0231】
70部のV4と30部のV2の非発明ブレンドを、試料瓶中室温で磁気撹拌子で撹拌することにより調製し、HPLC分析にかけた。残留アミドアミン含量の測定では、理論値0.9%に対して0.8%であった。同じSE2前駆体と、1モル当量のエポキシ基に対して0.7モル当量のアミド1および0.3モル当量のMDEAの混合物との反応によって調製した本発明の生成物I5は、HPLCによって測定された残留アミドアミン含量が0.4%である。V4およびV2の混合物の溶媒含量およびI5の場合の溶媒含量は、全ての場合で2.5%PGに相当した。この比較は、新規な混合官能性シリコーンクアットおよびそれらの組成物の本発明の調製により、明らかなブレンドによる比較で達成可能なものよりも著しく低い残留アミドアミン含有量が達成されることを示している。
【0232】
シリコーンクアットの保存安定性試験:
それぞれの場合において、2つの100mlねじ口試料瓶に、それぞれシリコーンクアットI5、I6およびI7を半分充填した。1本の試料瓶を室温で(RT)密閉保存し、それぞれの2本目の試料瓶を従来のBinderの実験室用乾燥キャビネット内で50℃で密閉保存した。規定の保存期間の後、サンプルの粘度を25℃で決定しかつ/または環状シロキサンの含量をGC分析により確認した。比較可能性と測定可能性を高めるために、高粘度の100%シリコーンクアットI7を、20%DPGとブレンドして、有効含量80%にした。保存安定性試験の結果を表6にまとめる。
【0233】
【表5】
【0234】
保存試験では、粘度に大きな変化はなく、長期間保存した後でもシリコーンクアットを効率的に測定できることが示されている。加えて、保存試験では、検出されているD4の増加が0.05重量%以下である点から、保存時間中の環状シロキサンの新たな形成が最小限に抑えられることも示されている。特に完全に蒸留されたサンプル5は、D4の割合が長期保存期間にわたって0.1重量%未満であることを示している。それぞれのサンプルのD4含量は、保存時間ではなく調製における蒸留の質に依存する。
【0235】
応用例:
使用材料:
【0236】
【表6】
【0237】
布帛:
織物:綿布帛(基本重量205g/m、厚さ:400μm);ポリエステル混紡(65重量%のポリエステルおよび35重量%の綿、基本重量170g/m、厚さ:200μm);ポリアミド布帛(ナイロン-6,6、基本重量65g/m、厚さ:50μm);全てのサンプルはWFK-Testgewebe GmbH製(クリステンフェルト 10 41379 ブリュッゲン)。
【0238】
配合物および仕上げ:
エマルジョンの製造:
I1~I14(アルカノールアミンとアミドアミンの混合物に基づく)、V2(アルカノールアミンに基づく)、V4(アミドアミンに基づく)およびV5(市販の比較製品としてのMagnasoft(登録商標)DerMa NT)から選択した合成シロキサン組成物を最初に投入し、必要に応じて、グリコールを添加することにより所望の有効含量、すなわち、所望の質量比率の有効成分(シロキサン)にさらに希釈した。これは、有効成分が溶媒からさらに変換された場合、特に、有効成分が、80%の有効含量を有する溶媒との混合物として使用される場合に特に良好な結果が達成されたため、有利であることがわかった。その後、このように得られた混合物RE1~RE10を最初に投入し、乳化剤および任意のさらなる助剤および/またはグリコールを加えた。次いで、プロペラスターラーで常に撹拌しながら水を徐々に加えた。その後酢酸を添加することによりpHをpH約4に調整した。混合物が均質になるまで撹拌を続けた。このようにして、エマルジョンI1~I26およびC1~C5を得た。
【0239】
パジング方法(モデル:HVF、Mathis AG):
それぞれのエマルジョンを試験するために、それぞれの場合において、8g/lの適当なエマルジョンを含む液を上記布帛に塗布し、これを約70重量%~80重量%の含浸量に絞り、乾燥させた。圧力および速度に使用した値は、表9に見つけることができる。パジングの適用は室温で行った。
【0240】
【表7】
【0241】
溶媒含有配合物から始める吸尽処理:
有効成分を試験するために、上述の布帛を、それぞれの場合において、20g/lの適当な有効成分を含む液で仕上げた。液比(布帛と液)1:15を選択した。使用した溶媒は水、酢酸ブチルおよび酢酸エチルである。試験布帛は、往復シェーカー(モデル:3006、製造業者:GFL)上で30分間連続撹拌しながらこの液中で処理した。30分後、試験布帛を浴から取出し、軽く絞り、振盪し、乾燥させた。ブランクは、同じ条件下で脱塩水だけで処理した。
【0242】
乾燥処理(LTE Labドライヤー、Mathis AG、通風速度2000rpm):
布帛を105℃で(滞留時間、すなわち、織布(textile fabric)の加熱時間を加えて)2分間乾燥させ、次に、160℃~180℃で(滞留時間なし)0.5分~1分間濃縮して、仕上げを定着させた。正確な条件を表10にまとめる。
【0243】
【表8】
【0244】
仕上げの試験:
手触り:
手触りは、布帛の基本的な品質パラメーターである。手触りは、例えば、滑らかさ、圧縮性および剛性によって説明することができる。通常、手触りは、手動試験による主観的評価によって決定される。加えて、客観的に測定するための測定機器もある。
【0245】
測定機器による手触りの評価(手触り試験)(TSA値/手触り感):
サイズに裁断した1枚の織布(textile fabric)を、25℃および50%相対大気湿度で事前調整した(4時間)後、TSAに挿入し、固定した(Tissue Soft Analyzer、Emtec Electronic GmbH製)。次いで、試験機器は、織布(textile fabric)の柔らかさ、滑らかさおよび剛性についての個々の値を決定し、これらを使用して、全体の印象、手触り感(HF)を確認する。このTSA値(HF値)は、EMTECが織物用に特別設計したアルゴリズムによって確認された。HF値が高いほど柔らかさが増すことを意味する。評価は、有効成分なしでの類似の処理と比較して行われる。
【0246】
手による手触りの評価(手触り試験)(パネル試験):
手触りを評価するために、10人の経験豊富な専門家チームを編成し、非特定化された手触り標本、つまりエマルジョンで仕上げた上述の布帛を、1~5のスケールでの手触りパネル試験を用いて評価した。評点1は非常に悪い手触りを、評点5は非常に良い手触りを意味する。パネル試験の結果は、全ての評価の平均として報告する。ニット布帛で作られた手触り標本には、目立たないようにラベル付けした未処理のサンプルをさらに含めた。
【0247】
帯電防止特性:
帯電防止特性は、DIN 54345 T.1(リング電極)に従って、測定電圧100V(Tera-Ohm-Meter 6206機器)で測定する。帯電防止剤での仕上げは、織布(textile fabrics)の電気抵抗を減少させる。抵抗の減少は、帯電防止効果の尺度である。
【0248】
帯電防止特性は、次の機器および布帛を用いて決定した:
・標準試験布帛:ポリエステル(100%、wfk(クレーフェルト)製の30 Aタイプ)
・前処理のための洗濯機および布帛の仕上げのためのパジング
・温度と湿度が調節された部屋(23±1℃、50~60%相対湿度)
・Tera-Ohm-Meter 6206(Eltex製)
・DIN 54345 T.1の6216試験電極(Eltex製)
【0249】
仕上げた布帛は、測定の前に、温度と湿度が調節された部屋で1日間保存して、バランスの取れた水分確保する。10×15cmの布片を平坦な表面上に置き、その上にリング電極を配置する。異なる仕上がりの抵抗を測定する。
【0250】
適用 結果:
合成生成物I3~I12およびV2およびV4と、さらに市場で慣例の比較生成物V5は、有効含量がまだ組成物に対して80重量%ではなかった場合、ブチルジグリコール(BDG)を添加することにより均一な80%の有効含量にした。このように得られた混合物RE1~RE10を表8にまとめる。これらの混合物を、上記のように使用して、エマルジョンI1~I26およびC1~C12を作出した。エマルジョンの組成物およびそれらの特性を下表にまとめる。
【0251】
【表9-1】
【表9-2】
【0252】
表12の本発明のエマルジョンI1~I5は、表13の対応する非発明エマルジョンC1~C5とは、使用した有効成分でのみ異なり、それ以外は同一の組成物である。本発明のエマルジョンは、非発明エマルジョンとの比較により、TSA値(HF値、手触り感)の明らかな改善を示している。手触り特性の改善はパネル試験で確認された。手触り感だけでなく、優れた吸水性もまた、着心地に関連している。本発明のエマルジョンでの仕上げは、従来技術の有効成分に基づくエマルジョンでの仕上げと比較して、ここではいかなる欠点も示さない。材料の品質(厚さおよび織り方)および配合物に応じて、より優れた吸水力または保水力を達成することも可能である。吸水力または保水力は、さらに、使用する乳化剤の選択によっても影響を受ける。
【0253】
【表10】
【0254】
表14は、嵩高性改善のための助剤/添加剤(Tegopren(登録商標)7008およびTegopren(登録商標)7009)の追加的使用により手触りの評価をさらに改善できることを示している。これは、測定機器を用いて(TSA値、手触り感)および手によって(パネル試験)決定された手触りの評価に同じように当てはまる。本発明による有効成分は、嵩高性改善のための助剤/添加剤との組合せで、有効成分が溶媒から変換された場合、特に、有効成分が80%の有効含量を有する混合物として使用された場合に最良の結果を示す。また、この仕上げは、パネル試験での手触りの評価でも優れている。
【0255】
【表11】
【0256】
表15は、イソトリデカノール8EOなどの費用最適化助剤を使用する場合、本発明によるエマルジョン(emultions)では、相分離は観察されずに非常に良い手触りの評価が同様に得られることを示している。
【0257】
【表12】
【0258】
表16は、本発明によるエマルジョンの利点を示している。非発明エマルジョンC8は、第三級アミンとしてのアルカノールアミンのみから調製された有効成分(V2)に基づいているため、手触り試験での良い結果と、アミドアミンの残留含量がないことを示している。しかし、エマルジョンC8は相分離が観察されるという欠点を有する。逆に、非発明エマルジョンC10の場合、相分離は起こらない;代わりに、透明な溶液が得られる。しかしながら、ここでの手触りの評価はかなり悪い。さらに、このエマルジョンは、第三級アミンとしてのアミドアミンのみから調製された有効成分(V4)に基づいているため、アミドアミンの残留含量は高い。本発明による組成物は、有利な相特性、アミドアミンの低残留含量、および非常に良い手触りの評価につながる。
【0259】
I12およびI16は、特に良い手触りの評価、ならびに良い配合可能性(formulability)を示す。
【0260】
【表13】
【0261】
表17は、異なる脂肪酸アミド(I20:ココイル、I21:パルミチル、I22:ステアリル)の効果を示す。脂肪酸アミドの選択に関係なく、手触り試験では非常に良い結果が得られる。加えて、アミドアミンの酸基のアルキル鎖長が長いほど、手触り試験での評価が優れていることもわかった。この相関はまた、パネル試験でも確認された。
【0262】
【表14】
【0263】
表18の結果は、本発明による有効成分の使用が、非発明有効成分、特に、市販の有効成分と比較して、より良い手触りの評価につながることを示している。
【0264】
【表15】
【0265】
表19の結果はまた、本発明によるシロキサンの使用が、より良い手触りの評価につながることを明らかにしている。
【0266】
本発明によるシロキサンの使用が、より良い手触りの評価、より良い相特性および/またはより低いアミドアミン含量につながることを強調すべきである。
【0267】
帯電防止特性を試験するために、シリコーンクアットを脱塩水で20重量%の有効含量に希釈し、次に、上記の方法によるパジング操作によりポリエステル布帛に塗布した。
【0268】
【表16】
【0269】
I27とC13、ならびにI28とC14およびC15の比較は、同じシロキサン鎖長を考えると、本発明の組成物I27およびI28の場合に幾分劣る溶解性が観察されることを示している。しかしながら、帯電防止剤および流動促進剤の有効成分として使用した場合、幾分劣る溶解性により、織物繊維マトリックスへの生成物の望ましくない浸透が減少する。帯電防止剤有効成分は、比較例よりも表面に多く残り、同様の帯電防止効果と相まって、より良い滑走効果をもたらす。生成物を比較するために、紡糸準備に一般に使用される助剤はこれ以上使用しなかった。I28の場合、相分離が観察された。このため、これに対して帯電防止測定は行わなかった。
【0270】
【表17】
【0271】
短鎖シロキサンC13およびI27を含むサンプルは、十分な帯電防止効果を示す。発明の実施例I27の帯電防止特性は、非発明実施例C13の場合よりも幾分低い。この違いは許容され、本発明の実施例のより良い滑走効果およびより良い手触りにより補償されるだけではない。本発明の実施例は、布帛に浸透する傾向が少なく、そのため、手触りが改善される。抵抗は、引用されたDINに従って観察される理想的な境界条件下で決定される。しかしながら、産業上の利用において、C13の場合の帯電防止仕上げは、時間とともに低下するのに対し、I27の帯電防止特性はほとんど変化しないことがわかる。実際の条件下での摩擦の増加は、非発明サンプルの織物への浸透の増加につながり、帯電防止仕上げが時間とともに低下することが想定される。本発明による生成物は、対照的に、浸透する傾向がより少なく、製造において通常のストレス条件下で実質的に一定の仕上げをもたらす。
【0272】
自動車ケアのための水希釈性配合物:
使用材料:
Carspray 90 ジ-(オレイルカルボキシエチル)ヒドロキシエチルメチルアンモニウムメトスルフェート
REWOCARE DOC 炭酸ジエチルヘキシル
TEGO POLISH ADDITIV 5 デカメチルシクロペンタシロキサン、D5
REWOPAL MPG 40 テトラエチレンモノフェニルエーテル
DPG ジプロピレングリコール
TEGOPREN 6922 クオタニウム80(シリコーンクアット)
REWOQUAT CR 3099 ジオレイン酸イソプロピルエステルジメチルアンモニウムメトスルフェート
ブチルセルソルブ 2-ブチルエタノール
REWOCARE OT 牛脂脂肪酸イソオクチル
【0273】
【表18】
【0274】
これらの自動車ケア用配合物を、1部の自動車ケア用配合物(表22および23参照)を26部の水で希釈することにより水希釈性について試験した。見かけ上の曇りがあってはならない。
【0275】
【表19】